(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980101
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】耐プラズマ特性が向上したプラズマエッチング装置用部材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20211202BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-515086(P2020-515086)
(86)(22)【出願日】2018年7月17日
(65)【公表番号】特表2020-534684(P2020-534684A)
(43)【公表日】2020年11月26日
(86)【国際出願番号】KR2018008074
(87)【国際公開番号】WO2019054617
(87)【国際公開日】20190321
【審査請求日】2020年4月23日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0117841
(32)【優先日】2017年9月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516020581
【氏名又は名称】コミコ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KOMICO CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ドンフン
(72)【発明者】
【氏名】コ,ヒョンチョル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソンテ
【審査官】
加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】
特表2016−528380(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0273095(US,A1)
【文献】
特開平04−357187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
C04B 41/81
C03B 8/00
C23C 14/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)真空蒸着法によって希土類金属薄膜を基板に0.01μm〜2.0μmの厚さに蒸着するステップと、
b)前記希土類金属薄膜が蒸着された基板を大気、窒素、酸素またはアルゴンの雰囲気中にて1000℃〜2000℃で2〜40時間熱処理するステップとを含む、プラズマエッチング装置用部材の製造方法。
【請求項2】
前記真空蒸着法が電子ビーム物理気相蒸着法(EBPVD)またはスパッタリング法(Sputtering)である、請求項1に記載のプラズマエッチング装置用部材の製造方法。
【請求項3】
前記希土類金属がイットリウム(Yttrium)、イッテルビウム(Ytterbium)及びサマリウム(Samarium)の少なくとも一つである、請求項1に記載のプラズマエッチング装置用部材の製造方法。
【請求項4】
前記基板素材の融点が1000℃以上である、請求項1に記載のプラズマエッチング装置用部材の製造方法。
【請求項5】
前記基板が石英、アルミナ焼結体及びサファイアのいずれかである、請求項1に記載のプラズマエッチング装置用部材の製造方法。
【請求項6】
前記ステップb)の熱処理時間が2〜20時間である、請求項1に記載のプラズマエッチング装置用部材の製造方法。
【請求項7】
基板と、この上に形成された真空蒸着による希土類金属の薄膜から形成されており、
前記希土類金属の薄膜の厚さが0.01μm〜2.0μmであり、
前記基板は、前記希土類金属の熱拡散層(thermal diffusion layer)の厚さが0.1μm〜10μmであり、
前記基板の素材の融点が1000℃以上であり、
前記希土類金属がイットリウム(Yttrium)、イッテルビウム(Ytterbium)及びサマリウム(Samarium)の少なくとも一つである、プラズマエッチング装置用部材。
【請求項8】
基板と、この上に形成された真空蒸着による希土類金属の薄膜から形成されており、
前記希土類金属の薄膜の厚さが0.01μm〜2.0μmであり、
前記基板は、前記希土類金属の熱拡散層(thermal diffusion layer)の厚さが0.1μm〜10μmであり、
前記基板の素材の融点が1000℃以上であり、
前記希土類金属がイットリウム(Yttrium)、イッテルビウム(Ytterbium)及びサマリウム(Samarium)の少なくとも一つである透明なプラズマエッチング装置用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光プラズマエッチング装置用部材及びその製造方法に係り、より詳細には、希土類金属薄膜の熱拡散現象を利用してプラズマエッチング装置用部材の耐プラズマ特性を改善させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程においてシリコンウエハーなどの基板回路の高集積化のための微細加工を行うために、プラズマドライエッチング工程の重要性は益々重要になる傾向にある。
【0003】
プラズマエッチング工程は、水平エッチング率よりも垂直エッチング率が遥かに大きくなるようにすることができるので、エッチングされたパターンの結果的なアスペクト比を適切に制御することができる。実際に、プラズマエッチング工程を使用すると、厚さ約1μmの膜に大きいアスペクト比を持つ非常に微細なパターンを形成することができる。
【0004】
このようなドライエッチング工程を行う装備内のチャンバー環境は、加工レベルの微細化につれて高い清浄性が求められている。しかし、微細加工用の各種プロセスにおいては、フッ化物や塩化物などの腐食性が強い気体が使用されているが、このようなプロセスガスは、ウエハーだけでなく、チャンバーの内部も腐食させるという問題点がある。
【0005】
このような環境で使用されるために、耐プラズマ性に優れた素材がチャンバー部材として用いられているが、代表的にはアルマイト、アルミナ焼結体、石英部材などが挙げられる。
【0006】
この中でも、石英部材の場合は、他の素材に比べてドライプラズマエッチング率が高いにも拘らず使用されるが、これは特別な目的に起因する。石英部材が最も多く使われる場合は、ウエハーの周辺を包み込むエッジリングである。ウエハー周辺の場合は、電気的にシリコンウエハーと同様の環境であればこそ有利であり、エッチング工程から発生しうる副産物が他の素材に比べて気化しやすいSiF
4(フッ化シリコン)である。このような気化しやすい素材を活用することにより、ウエハーの収率に影響を少なく及ぼすことができるので、エッジリングのほとんどは石英部材を使用している傾向にある。
【0007】
もう一つ使用される石英部材の一例は、エンドポイント分析用部材であるが、エッチング工程の際に発生する波長を分析することにより、所望の深さに素材をエッチングすることができるように調節する付属装置である。内部の観察に適した素材は透明な素材でなければならず、石英の透明さは目的に正確に一致する。ところが、石英の場合は、プラズマ抵抗性が他の素材に比べて遥かに低いため、長期的な観点から部材を交換しなければならないという問題点がある。
【0008】
かかる問題点を解決するために、様々な方法が先行技術として議論されている。プラズマエッチング装置用石英部材の場合は、プラズマ抵抗性を向上させるために、酸水素化塩で溶融して被覆する方法や、イットリウムまたはイットリウム化合物またはYAGを溶解する溶液を塗布して加熱溶融する方法などを用いている。また、近年、半導体分野に適用する溶射技術の発達により、プラズマ溶射法や高速フレーム溶射法、エアロゾルデポジションなどが適用されている。ところが、これらの従来技術には、さまざまな問題点がある。
【0009】
特に、石英部材のうち、シリコンウエハーの周辺を包み込むエッジリングの場合、10μm以上の他の素材の皮膜が形成されると、ウエハーとの間隙にて電気的特性の違いによるアーク放電の危険性にさらされる。そして、チャンバー周辺の誘電率の変化によるCD及びEPDなどのプロセス変数が変化する可能性が存在する。
【0010】
近年、主に適用されているプラズマ溶射法は、石英部材の表面にビーズブラスト工程を施して粗さを形成するが、このような物理的衝撃によって石英部材の表面が損傷を受け、長期的な観点から再利用に制限となる割れや疲労破壊などの問題点を持っており、10μm以下の皮膜を均一に制御することができないという限界がある。
【0011】
また、溶射法の工法上の特徴として、クエンチング(quenching)効果を例として挙げることができるが、石英の場合は、原子的観点から強い結合力を持つ物質であって、熱衝撃に非常に弱い。溶射法の実施時に発生したクエンチング(quenching)効果によって熱的ストレスが累積して、残留応力による素材の特性低下も問題になるおそれがある。
【0012】
最近研究されているエアロゾルデポジションの場合でも、10μmレベルの皮膜を構成することは技術的に可能であるが、皮膜と表面との間の単純な機械的インターロック(噛み合わせ)による低い接着力に起因して、長期間使用時に剥離などの問題点が発生するおそれがあり、ドライエッチング工程の際に使用されるCF
4プラズマイオンとラジカルによって皮膜がエッチングされてパーティクルとして発生することによりウエハーを汚染させるおそれがある。
【0013】
最近、ドライエッチングプロセス装備のメーカーから、素材を変更して使用する方法として、非晶質耐プラズマガラス組成物或いはシリコンカーバイドを活用する方法も提示されているが、コストの面で合理的ではないため、使用が制限されている。
【0014】
次に、本発明の技術が属する分野に存在する先行技術について簡略に説明し、続いて、本発明が前記先行技術に比べて差別的に解決しようとする技術的事項について説明する。
【0015】
まず、韓国特許第10−0727672号(2007年6月5日)は、プラズマエッチング装置用部材に関するもので、より具体的には、石英ガラス、アルミニウム、アルマイトまたはこれらの組み合わせからなる部材の表面に、厚さ10μ以上、厚さばらつき10%以下、好ましくは面粗さRa1μm以下の酸化イットリウムまたはYAGの皮膜が形成されたプラズマエッチング装置用部材、および、この部材の表面に、酸化イットリウムまたはYAGをプラズマ溶射する方法、酸化イットリウムまたはYAGの粉末を酸水素化塩で溶融して被覆する方法、イットリウムまたはイットリウム化合物またはYAGを溶解する溶液を塗布して加熱溶融する方法、またはこれらの組み合わせのうちのいずれかの方法で、厚さ10μm以上、厚さばらつき10%以下、好ましくは面粗さRa1μm以下の酸化イットリウムまたはYAGの皮膜を形成する製造技術を開示している。
【0016】
また、韓国特許第10−0689889号(2007年2月26日)は、耐プラズマ性石英ガラス及びその製造方法に関するもので、具体的には、半導体製造に使用されるプラズマ反応用治具材料としてプラズマ耐食性、特にフッ素系プラズマガスに対する耐食性に優れ、シリコンウエハーにも異常を与えることなく使用可能な石英ガラス及び石英ガラス治具、及びその製造方法を提供する。2種類以上の金属元素を合わせて0.1〜20重量%含有する石英ガラスであって、前記金属元素が周期律表第3B族から選ばれた少なくとも1種類である第1の金属元素と、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、ランタノイドおよびアクチノイドよりなる群から選ばれた少なくとも1種類である第2の金属元素からなり、第2の金属元素のそれぞれの最大濃度は2.0重量%以下となるようにして、耐腐食性を向上させた技術について開示している。
【0017】
しかし、これらの先行技術文献の耐プラズマ性部材も、上記で提示した溶射法などの工法上、技術的な限界点を同様に持っているか、或いは異種元素との混合後に加熱・溶融させて製造されたドープ石英ガラス部材の場合、異種元素の比において非経済的である。
【0018】
発明者は、このような皮膜形成法及び素材変更方法に限界性を感じ、表面改質による効果的で優れたプラズマ抵抗性改善方法を提示するために、金属皮膜蒸着と熱処理の工程の連続工程を通じて、耐プラズマ性に優れたプラズマエッチング装置用部材の製造技術に関する研究を重ねた結果、本発明に至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の主な目的は、半導体プロセスの際に耐プラズマ特性が向上するだけでなく、光透過性が維持されてエッチング工程のエンドポイント分析用途に利用可能なプラズマエッチング装置用部材の製造方法を提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、前記プラズマエッチング装置用部材の製造方法を用いて、光透過性および耐プラズマ特性が向上したプラズマエッチング装置用部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、a)真空蒸着法によって希土類金属薄膜を基板に0.01μm〜2.0μmの厚さに蒸着するステップと、b)前記希土類金属薄膜が蒸着された基板を大気、窒素、酸素またはアルゴンの雰囲気中にて1000℃〜2000℃で2〜40時間熱処理するステップとを含む、プラズマエッチング装置用部材の製造方法を提供する。
【0022】
本発明の好適な一実施形態において、前記真空蒸着法が、電子ビーム物理気相蒸着法(EBPVD)またはスパッタリング法(Sputtering)であってもよい。
【0023】
本発明の好適な一実施形態において、前記希土類金属がイットリウム(Yttrium)、イッテルビウム(Ytterbium)及びサマリウム(Samarium)の少なくとも一つであってもよい。
【0024】
本発明の好適な一実施形態において、前記基板素材の融点が1000℃以上であってもよい。
【0025】
本発明の好適な一実施形態において、前記基板は石英、アルミナ焼結体及びサファイアのいずれかであってもよい。
【0026】
本発明の好適な一実施形態において、前記ステップb)の熱処理時間が2〜20時間であってもよい。
【0027】
本発明の別の実施形態は、上記の製造方法で製造され、前記希土類金属の熱拡散層(thermal diffusion layer)の厚さが0.1μm〜10μmであるプラズマエッチング装置用部材を提供する。
【0028】
本発明の別の実施形態は、上記の製造方法で製造され、前記希土類金属の熱拡散層(thermal diffusion layer)の厚さが0.1μm〜10μmである透明なプラズマエッチング装置用部材を提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るプラズマエッチング装置用部材は、希土類金属のドーピング効果による電気的特性(破壊電圧及び誘電率)などの変化がないため、プロセス変数の変化の可能性が最小限に抑えられるのであり、熱拡散方法を用いた化学的な結合によるので剥離などの危険性が存在しないのであり、熱処理効果により材料が持つ熱的ストレスを解消させて材料の物理的な特性低下を防ぐことができるのであり、蒸着後における雰囲気中での熱処理によって透明性を維持して部材本来の光的特性を維持させて従来のエンドポイント分析部材などとして活用可能である。
【0030】
また、本発明の製造方法は、簡単な蒸着及び熱処理によってコスト的、時間的な面においても合理的であり、ビーズブラスト工程などの物理的損傷を引き起こす前処理過程を含まないという利点を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】プラズマエッチング装置用エッジリング(edge ring)部材の模式図である。
【
図2】本発明のプラズマエッチング装置用部材の耐プラズマ性を向上させるために、希土類金属厚膜を形成する過程である。
【
図3】実施例1の(A)熱処理前と(B)熱処理後の深さ別元素分析を示すためのSIMS分析結果を示す。
【
図4】実施例2の(A)熱処理前と(B)熱処理後の深さ別元素分析を示すためのSIMS分析結果を示す。
【
図5】(A)及び(B)は、実施例1の(A)熱処理前及び(B)熱処理後の表面に存在するイットリウム3d orbitals XPS分析結果であり、(C)及び(D)は、実施例1の(C)熱処理前及び(D)熱処理後の内部に存在するイットリウム3d orbitals XPS分析結果である。
【
図6】(A)及び(B)は、実施例3の(A)熱処理前及び(B)熱処理後のイットリウム3d orbitalsの深さ別XPS分析結果であり、(C)及び(D)は、実施例3の(C)熱処理前及び(D)熱処理後のアルミニウム3d orbitalsの深さ別XPS分析結果である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
他に定義されない限り、本明細書で使用されたすべての技術的及び科学的用語は、本発明の属する技術分野における熟練した専門家によって通常理解されるのと同じ意味を持つ。一般に、本明細書で使用された命名法は、本技術分野でよく知られている、通常使用されるものである。
【0033】
本願明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特にこれに反する記載がない限り、別の構成要素を除外するのではなく、別の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0034】
半導体の製造工程では、ゲートエッチング装置、絶縁膜エッチング装置、レジスト膜エッチング装置、スパッタリング装置、CVD装置などが用いられている。一方、液晶の製造工程では、薄膜トランジスタを形成するためのエッチング装置などが用いられている。また、これらの製造装置では、微細加工による高集積化などを目的として、プラズマ発生機構を備えた構成を取っている。
【0035】
これらの製造工程における処理ガスとしては、フッ素系、塩素系などのハロゲン系腐食ガスが、これらの高い反応性により上述した装置に用いられている。フッ素系ガスとしてはSF
6、CF
4、CHF
3、ClF
3、HF、NF
3など、塩素ガスとしてはCl
2、BCl
3、HCl、CCl
4、SiCl
4などがそれぞれ挙げられるが、これらのガスが導入された雰囲気にマイクロ波や高周波などを導入すれば、これらのガスはプラズマ化される。これらのハロゲン系ガスまたはそのプラズマにさらされる装置部材には、表面に材料成分以外の金属が非常に少なく、また、高い耐食性を持つことが求められることにより、本発明は、耐プラズマ性に優れたプラズマエッチング装置用部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0036】
本発明の一観点において、a)真空蒸着法を通じて希土類金属薄膜0.01μm〜2.0μmを基板に蒸着するステップと、b)前記希土類金属薄膜が蒸着された基板を大気、窒素、酸素またはアルゴンの雰囲気中にて1000℃〜2000℃で2〜40時間熱処理するステップとを含む、プラズマエッチング装置用部材の製造方法を提供する。
【0037】
前記プラズマエッチング装置用部材は、代表的に、エッジリング(edge ring)として主に使用され、エッジリングの形態を示す模式図を
図1に示した。また、エッジリングは、プラズマエッチング装置用だけでなく、プラズマPVD、CVD、イオン注入などのためのチャンバーで使用されてもよい。
【0038】
前記基板素材の融点が1000℃以上であることが好ましく、基板の融点が1000℃未満である場合、熱処理過程で基板の熱的毀損が起こるおそれがある。また、融点が高すぎると、蒸着物質の熱拡散が十分に発生しないため、拡散深さを制御することができないという問題が発生するおそれもあり、これを制御するための高温処理により蒸着物質の変形を誘発するおそれもある。
【0039】
前記基板は、周期律表第4族元素、第5族元素、第13族元素および第14族元素から選ばれた1種以上の元素(例えば、ケイ素およびアルミニウムから選ばれた1種以上の元素)で構成された酸化物セラミック類、酸化処理された金属類、または金属類である場合が多い。このような処理部材の代表的な例としては、シリカまたはガラス、アルミナ、アルマイト、加工されたアルミニウム、ケイ素、およびアルミニウムから選ばれた1種以上を例示することができ、具体的には石英、アルミナ焼結体またはサファイアであることが好ましい。
【0040】
前記石英材料は、ガラス、合成シリカ、溶融シリカ、溶融石英、高純度石英、石英砂、及び石英ガラス組成物を形成するのに適切な他のシリコン含有材料よりなる群から選択できる。石英材料は、また、任意の適切なプロセスによって得ることができる。
【0041】
本発明は、融点1000℃以上の基板はすべて適用可能であって、半導体製造プロセスに使用されるドライエッチング装置のチャンバー部材の素材として使用が容易である。
【0042】
前記真空蒸着法が電子ビーム物理気相蒸着法(EBPVD)またはスパッタリング法(Sputtering)が可能であり、前記二つの方法の結果として得られた希土類金属薄膜の品質的違いは殆どない。
【0043】
前記電子ビーム物理気相蒸着法(electron beam physical vapor deposition、EB−PVD)は、数keV以上のエネルギーで電子を加速させてターゲット物質に照射して物質を溶融させ、溶融した物質が気体状態で移動して基板に蒸着される膜形成メカニズムを持つ。電子ビーム物理気相蒸着法は、フィラメントを用いた抵抗加熱蒸着法やスパッタリングに比べて、ターゲット物質を短時間で高温に加熱することができるため、酸化物などの高融点セラミックスの薄膜を製造するのに有利である。具体的に、本発明は、真空チャンバー内に固体希土類金属原料物質でターゲットを準備し、前記ターゲットを電子ビームで溶融させて気化させ、気化したターゲット物質を基板に蒸着することを特徴とする、希土類金属薄膜の製造方法を提供する。
【0044】
また、本発明において、複雑な形状のプラズマエッチング装置用部材に金属薄膜を蒸着する場合には、スパッタリング法が効果的である。具体的には、スパッタリング法が容易に高品位の薄膜を得ることができるので、多く使用される。スパッタリング法は、ウエハー金属薄膜と絶縁体を積層する方法である。スパッタリングの原理は、鋼球をコンクリート壁に投げ付けるのと同様の物理的な工程である。衝突した球は、コンクリートのような化学的・物理的特性を有する部分を切り離す。この過程が繰り返されると、衝突地点付近はコンクリート片に覆われることになる。スパッタリングにおいて、「鋼球」はイオン化されたアルゴン原子であり、「コンクリート壁」はスパッタリングされる物質の板であってターゲットという。スパッタリング工程は真空室で行われる。スパッタリングされる物質のターゲットと、ウエハーとが位置した反応室に、イオン化されたアルゴンが注入される。ターゲットは、陽性に帯電がなされたアルゴンに対して、陰性の電荷を帯びている。したがって、アルゴン原子は加速されるのであり、イオン注入とは異なって、スパッタリングではアルゴン原子がターゲットに打ち込まれない。その代わりに、鋼鉄などと同様に、衝突してターゲットを少し切り離す。反応室は真空であるため、切り離された物質は、ウエハーを含めた、反応室のあらゆる場所に積層される。
【0045】
前記希土類金属(rare earth metals)は、原子番号57番のランタン(La)から71番のルテチウム(Lu)までのランタン族と、21番のスカンジウム(Sc)、39番のイットリウム(Y)を含む17種類の元素を総称する。本発明の部材に使用される希土類金属元素としては、Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択される希土類金属元素が好ましく、より好ましくは、Y、SmおよびYbから選ばれる希土類金属元素であり、これらの希土類金属元素は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0046】
特に、前記イットリウムの酸化物であるイットリアは、石英と比較して、数個の利点を有する。一つ目:イットリアは石英に比べ、より高いスパッタ臨界エネルギーを有し、よって、より良好なスパッタ抵抗体である。二つ目:イットリアは石英に比べて揮発性の層をより少なく形成する傾向があるので、イットリア薄膜はより長く持続でき、イットリア薄膜部材について交換する間隔をより長い平均時間へと誘導できる。三つ目:イットリアは11乗のより高い誘電定数を有するのに対し、石英は約3.5の誘電定数を有し、接地延長部とプラズマとの間でRFの所望する結合を取得することができる。
【0047】
イットリア薄膜を使用する別の利点は、フッ素含有プロセスガスのより効果的な使用が取得できることである。つまり、フッ化炭素プロセスガスが石英リングに関連して使用される場合、揮発性化合物の形成により、ウエハーのエッジにてフッ素種の濃度が高くなりうるので、イットリアリングの使用と比較して、ウエハー基板の全体にわたるエッチングにて、均一性の欠如およびさらに低いエッジエッチング速度を誘発すしうる。しかし、イットリア薄膜部材は、石英リングよりもさらに良好なスパッタ抵抗体であり、フッ素化合物を容易に形成しないので、イットリア薄膜部材の使用は、ウエハー基板の全体にわたる臨界幅とエッチング速度の均一性をさらに向上させることができ、化学的にさらに均一なプラズマを発生させることができる。
【0048】
前記希土類金属薄膜の厚さが0.01μm〜2.0μmであることが、本発明のプラズマエッチング装置用部材の耐プラズマ性を向上させる観点から好ましい。具体的に、希土類金属薄膜の厚さが0.01μm未満である場合には、希土類金属成分の熱拡散(thermal diffusion)の深さが減少して希土類金属成分の十分なドーピング効果が起こらないため、本発明が到達しようとする耐プラズマ性向上の効果が不十分であり、希土類金属薄膜の厚さが2.0μmを超える場合には、経済的な面で好ましくない。
【0049】
前記ステップb)の熱処理ステップは、大気、窒素、酸素またはアルゴンの雰囲気中で熱拡散現象を通じて希土類金属をプラズマエッチング装置用部材にドープするのであり、雰囲気に応じて最終熱拡散層の濃度が変化しうる。
【0050】
前記ステップb)の熱処理ステップは、1000℃〜2000℃の条件で行われることが好ましい。石英部材は、温度条件が1000℃未満である場合には、希土類金属成分が部材の内部へ十分に拡散せず、温度条件が2000℃を超える場合には、ガラス転移温度付近であって他の相に変化しうる。また、熱処理の温度条件は、蒸着の雰囲気やプラズマエッチング装置用部材の種類に応じて異なるように設定されることが好ましい。
【0051】
希土類金属薄膜は、材質、厚さ及び物質の性質により、その温度昇降特性、すなわち温度昇降の際に温度上昇率と面内温度分布が異なるので、薄膜金属の種類に応じて昇温時間及び下降時間を調節する必要性がある。
【0052】
これに加えて、設定温度に至るための昇温時間及び熱処理後の室温に至るための下降時間などを適切に調節することにより、希土類金属薄膜の耐久性を向上させることができる。
【0053】
前記ステップb)の熱処理時間が2〜40時間であることが好ましく、具体的には2〜20時間であることがさらに好ましい。熱処理時間が2時間未満である場合には、希土類金属の熱拡散深さが0.1μm〜10μmの範囲に達せず、熱処理時間が40時間を超える場合には、プラズマエッチング装置用部材の熱変形などによる部材の物性低下が起こるおそれがある。
【0054】
通常、プラズマ処理装置は、反応チャンバーと、反応チャンバーの内部に設置され、プラズマガスの生成に必要なソースガスを反応チャンバーの内部へ供給するガス供給ユニットと、ウエハーが装着されるとともに電極の役割を果たす電極ユニットと、ガス供給ユニットから供給されたソースガスをウエハーに向かって均一に噴射するガス分配手段とを含む。
【0055】
前記反応チャンバーには、チャンバーの内部を観察することができるビューポート(view port)が提供されている。チャンバーのビューポート(エンドポイントウィンドウとして公知のもの)は、通常、石英またはサファイアからなる透明な部品である。様々な光学センサーは、ビューポートによって保護でき、ビューポートを通じて光学センサーの読み取りを行うことができる。さらに、ビューポートは、ユーザーがウエハーを加工中に視覚的に検査または観察することができるようにする。石英及びサファイアのいずれもが、不良なプラズマ耐浸食性を有する。プラズマ化学物質がビューポートを侵食させ粗面化させるので、ビューポートの光学的性質が変わる。例えば、ビューポートは、曇りうる、及び/またはビューポートを通過する光学信号が歪みうる。このことは、正確な読み取り値を収集する光学センサーの能力を損なうおそれがある。しかし、厚い膜保護層は、これらのコーティングがビューポートを遮る可能性があるので、ビューポート上への使用には適切でない可能性がある。
【0056】
前記ステップa)で真空蒸着法によって得られた希土類金属薄膜の外見上の特徴は、金属性光沢を示して熱処理前の光透過性が欠如している状態であるのに対し、前記ステップb)で熱処理された希土類金属の熱拡散層を含むプラズマエッチング装置用部材の表面は、外見上、金属性光沢を失ってしまい、透明に改質される様相を示す。
【0057】
これは、原蒸着材料が持つ色相が維持されて、皮膜の形成後に、白色などの色を持つエアロゾルデポジション及び溶射法の場合と異なり、本発明は、蒸着後における雰囲気中での熱処理によって希土類金属成分が持つ光沢が消え、光透明性が示されて部材本来の光的特性を維持させるので、既存のエンドポイント分析部材などとして活用可能であるという利点を提供する。また、ウィンドウ部材が必要な装備の付属品として活用が可能であり、ウィンドウ部材の耐腐食性の向上により装置の長寿命使用が可能である。
【0058】
前記本発明のプラズマエッチング装置用石英部材の製造方法を
図2の模式図で示した。イットリウム金属薄膜が蒸着された石英部材を前記熱処理温度範囲内で熱処理すると、高濃度から低濃度へと移動する拡散現象によって、イットリウム金属成分は石英部材の内部へ移動するとともに、石英部材内に存在するケイ素成分はイットリウム金属薄膜へ移動する。結果的に、イットリウム薄膜層は、イットリウム金属成分、ケイ素成分及び酸素成分からなる三成分系のY−Si−O薄膜層を形成し、このような希土類金属酸化物がドープされた形態の皮膜は、石英部材の表面において耐エッチング性および耐プラズマ性を付与するコーティング層である。
【0059】
本発明において、熱拡散層(thermal diffusion layer)の厚さは、前記ステップb)の熱処理過程を通じて蒸着された希土類金属が部材の内部に拡散し、希土類金属薄膜の表面から、部材の主要元素の濃度及び希土類金属の濃度が同一になる地点までの距離を意味する。
【0060】
前記熱処理ステップによって、厚さ0.1μm〜10μmの希土類金属の熱拡散層(thermal diffusion layer)がプラズマエッチング装置用部材の表面に形成され、基板の成分に応じてY−Si−O薄膜またはAl−Y−O(YAG)薄膜層などが形成され得る。
【0061】
本発明の熱処理ステップによって表面に希土類金属成分がドープされた形態の部材は、電気的特性(破壊電圧及び誘電率)などの変化がないという面で好ましい。具体的には、エッジリングの幾何学的な構造及びエッジリングを形作る材料は、エッチング率プロファイルに影響を及ぼす。すなわち、プラズマ装置のエッジリングを形作る材料の誘電率(dielectric value)が変化すると、ウエハーのエッジ領域で下方の電極に対するカップリングを変化させてプロセス変数の調節が必要である。ところが、本発明では、石英部材内の一部の酸化イットリウムをドープさせることにより、誘電率の変化がないためエッチング率のプロファイルを制御するためのプロセス変数の変化可能性を最小限に抑えることができる。
【0062】
また、2つの隣接した物質間の熱膨張係数の不一致が大きいほど、これらの物質のいずれかが結果的に、クラック、剥離、またはこれ以外、他の物質に対するこれらの結合に損失を生じさせる可能性が、より大きくなる。従来の皮膜形成法の場合は、物理的蒸着方法であって、単純な物理的結合をしているので、熱膨張係数の差による剥離などの脱落の危険性に晒されているが、熱拡散方法の場合は、化学的結合であって、剥離などの危険性が存在しない。
【0063】
また、溶射法は、クエンチング(quenching)効果によって熱的ストレスが高いが、当該技術の場合、後熱処理によって一種のアニーリング効果でもって材料が持つ熱的ストレスを解消させて材料の物理的特性の低下を防ぐことができる。溶射法とは異なり、石英部材の表面にビーズブラスト工程による粗さを付与しないので、材料に物理的損傷を加えないため、長期使用時に好ましい。
【0064】
素材を変更することに比べて、簡単な蒸着及び熱処理によって表面を改質することにより、コスト的、時間的な面においても合理的な代案になりうる。
【0065】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。しかし、下記の実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0066】
<実施例1〜3>
実施例1〜3では、下記表1に記載されている構成と条件でイットリウム金属薄膜を製造した。
【0068】
前記実施例の元素分布を分析するために、下記の実験を行った。
【0069】
<実験例1−二次イオン質量分析器>
実施例1及び実施例2のイットリウム(Y)元素の熱拡散深さを二次イオン質量分析器(Secondary Ion Mass Spectrometer:以下、「SIMS」という)を用いて評価した。まず、前記サンプルの保護膜の大気露出を最小限に抑えるために、パージシステム(purge system)内に前記サンプルを入れ、前記サンプルの保護膜の一部を採取して、SIMS分析用サンプルホルダー(sample holder)に装着した。パージ(purge)状態を維持しながら、前記サンプルホルダーをSIMS装置の準備チャンバー(preparation chamber)に入れた後、前記準備チャンバーをポンピング(pumping)して実験チャンバー(experimental chamber)に入れ、酸素イオン銃(oxygen ion gun)を用いてイットリウム(Y)、ケイ素(Si)及び酸素(O)の含有量を定量分析することにより、深さプロファイルグラフ(depth profile graph)を得た。
【0070】
実施例1と実施例2の深さプロファイルグラフは、それぞれ
図3及び
図4に示した。これは、それぞれの元素の陽イオン化(positive ionization)特性が陰イオン化(negative ionization)特性よりも優れている点を考慮したものである。より詳細な分析条件は、下記表2を参照する。
【0072】
このようなSIMS分析の結果、熱処理後のイットリウム(Y)原子が拡散現象によって深部へと移動したことを示し、実施例1のイットリウム(Y)の熱拡散深さは1.97μmであり、実施例2のイットリウム(Y)の熱拡散深さは0.20μmであることを確認した。
【0073】
<実験例2−X線光電子分光法>
X線光電子分光法(XPS)(Thermo Fisher Scientific、Al Kα(1486.6eV)X線光源を使用)を用いてプラズマ処理前後の試験片の化学的結合状態及び原子の含有量を調べた。試験片チャンバーの基本圧力は10
−9torrに調節し、分析中には10
−9〜10
−7torrの範囲を維持した。測定されたスペクトルは固定し、微小エネルギー(small−energy)の間隔における電子結合エネルギー:電子数のプロットで表示した。ピーク面積とピーク高さの感度係数は定量化に使用された。ここに示したすべての表面組成物は原子%(atm%)で表示される。
【0074】
図5に示すように、Y 3d orbitalsは、L−S couplingによってY 3d3/2と3d5/2ピークが現れ、イットリウムの酸化物(oxide)形成の際に化学的シフト(chemical shifts)によってより低い結合エネルギー位置に3d oxideピークが発生する。
図5(B)では表面に熱処理後のY 3d oxideピークが現れ、
図5の(D)では熱処理後の深部にもY 3d oxideピークが現れた。
【0075】
図6の(A)及び(B)に示すように、実施例3の熱処理後のY 3dピーク位置が深部へ移動しながら、化学的シフト(chemical shifts)の低い高い結合エネルギー位置へ移されたことを示している。これらの結合エネルギーの化学的シフト(chemical shifts)は、サファイア部材内でAl元素成分との化学的結合によるものである。
図6の(C)及び(D)では、実施例3の熱処理後のAl 2pピーク位置が表面へ拡散することを観察することができる。これは、熱拡散現象によって、サファイア部材の表面に存在するAl成分がY皮膜内へ拡散したものである。
【0076】
また、下記表3の条件で実施例3の熱拡散深さを測定した。分析の結果、実施例3で製造された部材のAl基準の拡散層までエッチング時間を換算して、熱拡散層の深さが2.0μmであることを確認した。
【0078】
以上で本発明の内容の特定部分を詳細に記述したが、当業分野における通常の知識を有する者にとって、これらの具体的な記述は好適な実施形態に過ぎず、これらによって本発明の範囲が限定されないのは明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求の範囲とそれらの等価物によって定義されるというべきである。