特許第6980144号(P6980144)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6980144ガスタービン用燃焼器、ガスタービン及びガスタービンの組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6980144
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】ガスタービン用燃焼器、ガスタービン及びガスタービンの組立方法
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/42 20060101AFI20211202BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20211202BHJP
   F23R 3/00 20060101ALI20211202BHJP
   F23L 1/00 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   F23R3/42 Z
   F02C7/00 D
   F23R3/00 Z
   F23R3/42 A
   F23L1/00 F
【請求項の数】22
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2021-49675(P2021-49675)
(22)【出願日】2021年3月24日
【審査請求日】2021年4月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱パワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼山 剣太郎
(72)【発明者】
【氏名】木下 泰希
(72)【発明者】
【氏名】谷口 健太
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健一
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 智志
(72)【発明者】
【氏名】富永 一弘
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−020682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/42
F02C 7/00
F23R 3/00
F23L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼筒と、
前記燃焼筒の外周に設けられた音響デバイスと、
を備え、
前記音響デバイスは、
前記燃焼筒の下流側に位置し、前記燃焼筒の径方向において前記燃焼筒を挟んだ一対の位置の少なくとも何れか一方に存在する第1領域と、
前記一対の位置とは前記燃焼筒の軸方向位置が少なくとも一部で重複し、かつ、前記一対の位置とは前記燃焼筒の周方向位置が異なり、前記径方向において前記燃焼筒を挟んだ位置に存在する一対の第2領域と、
前記第1領域および前記第2領域に対して前記燃焼筒の上流側に位置する第3領域と、
を有し、
前記一対の第2領域における前記音響デバイスの前記径方向の厚さは、前記第1領域における前記音響デバイスの前記径方向の厚さよりも小さく、
前記第3領域における前記音響デバイスの前記径方向の厚さは、前記一対の第2領域における前記音響デバイスの前記径方向の厚さよりも大きい
ガスタービン用燃焼器。
【請求項2】
前記第1領域は、前記一対の位置の双方に存在する
請求項1に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項3】
前記燃焼筒は、前記下流側の端部に形成された燃焼ガスの噴き出し口を形成する噴き出し部を有し、
前記燃焼筒の中心軸線は、前記燃焼筒の上流側の第1中心軸線と、前記噴き出し部における第2中心軸線とで異なる方向に延在し、
前記第1領域は、前記第1中心軸線と前記第2中心軸線とを含む第1仮想平面と交差し、
前記一対の第2領域は、前記第1中心軸線を含み前記第1仮想平面と直交する第2仮想平面と交差する
請求項1又は2に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項4】
前記一対の第2領域の少なくとも何れか一方の前記第2領域の少なくとも一部は、前記燃焼筒の中心軸線のうちの前記燃焼筒の上流側の第1中心軸線に沿って見たときに、前記第1領域の外表面における前記燃焼筒の周方向の端部のうち、前記一方の前記第2領域を挟んで位置する2つの端部同士を結ぶ線分よりも前記燃焼筒の径方向外側に存在する
請求項1乃至3の何れか一項に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項5】
前記一対の第2領域の内の一方の領域及び他方の領域の少なくとも何れか一方は、前記燃焼筒の周方向の大きさの方が前記燃焼筒の軸方向の大きさよりも大きい
請求項1乃至4の何れか一項に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項6】
前記第3領域の一部は、前記一対の第2領域の少なくとも一部と前記燃焼筒の周方向において重複する
請求項1乃至5の何れか一項に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項7】
前記第1領域における前記音響デバイスの前記径方向の厚さは、前記一対の第2領域における前記音響デバイスの前記径方向の厚さの2倍以上である
請求項1乃至6の何れか一項に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項8】
前記第3領域に対して前記上流側に位置し、前記第3領域とは前記燃焼筒の周方向における存在範囲が異なる第4領域をさらに有し、
前記第4領域における前記径方向に沿った前記音響デバイスの厚さは、前記一対の第2領域における前記音響デバイスの前記径方向の厚さよりも大きい
請求項1乃至7の何れか一項に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項9】
前記音響デバイスは、互いに独立した複数の共鳴室を有し、
少なくとも1つの前記共鳴室は、前記第1領域と、前記第3領域とにわたって設けられている
請求項1乃至8の何れか一項に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項10】
前記音響デバイスは、前記燃焼筒の径方向内側に設けられた内側音響デバイスと、少なくとも一部が前記内側音響デバイスよりも前記燃焼筒の径方向外側に設けられた、前記内側音響デバイスとは異なる外側音響デバイスとを含む
請求項1乃至9の何れか一項に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項11】
前記一対の第2領域には、前記内側音響デバイスが存在し、前記外側音響デバイスが存在せず、
前記第1領域には、前記内側音響デバイス及び前記外側音響デバイスが存在する
請求項10に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項12】
前記内側音響デバイス及び前記外側音響デバイスは、それぞれ少なくとも1つの共鳴室を有する
請求項10又は11に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項13】
前記外側音響デバイスにおける少なくとも1つの共鳴室は、前記第1領域と、第3領域とにわたって設けられている
請求項12に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項14】
前記内側音響デバイスは、音響ライナを構成し、
前記外側音響デバイスは、音響ダンパを構成する
請求項10乃至13の何れか一項に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項15】
前記第1領域における前記音響デバイスについての前記燃焼筒の周方向の端面と、前記一対の第2領域における前記音響デバイスの外周面と、を接続する接続部材
をさらに備える
請求項1乃至14の何れか一項に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項16】
前記接続部材は、板厚方向が前記燃焼筒の軸方向に沿うように配置された少なくとも1つの第1板部材を含む
請求項15に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項17】
前記接続部材は、板の表面が前記燃焼筒の軸方向に延在する少なくとも1つの第2板部材を含み、
前記第2板部材は、少なくとも前記第1領域における前記音響デバイスについての前記燃焼筒の周方向の端面と、前記一対の第2領域における前記音響デバイスの外周面とを接続する
請求項15又は16に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項18】
前記接続部材は、
板の表面が前記燃焼筒の軸方向に延在する少なくとも1つの第2板部材と、
前記第2板部材と、前記第1領域における前記音響デバイスについての前記燃焼筒の周方向の端面と、前記一対の第2領域における前記音響デバイスの外周面とで囲まれた領域に配置され、板厚方向が前記燃焼筒の軸方向に沿うように配置された少なくとも1つの第1板部材を含む
請求項15に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項19】
前記第1領域における前記音響デバイスについての前記燃焼筒の周方向の端面を有する板部材の厚さは、前記第1領域における前記音響デバイスの外周面を有する板部材の厚さよりも厚い
請求項1乃至17の何れか一項に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項20】
請求項1乃至19の何れか一項に記載のガスタービン用燃焼器を複数備え、
前記複数のガスタービン用燃焼器は、ガスタービンの周方向に配置され、
前記ガスタービンの周方向で隣り合う2つの前記ガスタービン用燃焼器は、前記2つの前記ガスタービン用燃焼器の内の一方の前記ガスタービン用燃焼器についての前記一対の第2領域の内の一方の領域が、前記2つの前記ガスタービン用燃焼器の内の他方の前記ガスタービン用燃焼器についての前記一対の第2領域の内の他方の領域と、前記ガスタービンの周方向で隣り合うように配置されている
ガスタービン。
【請求項21】
前記複数のガスタービン用燃焼器は、前記ガスタービンの周方向に順に並んだ第1乃至第3ガスタービン用燃焼器を含み、
前記第2ガスタービン用燃焼器において、前記一対の第2領域が存在する前記第2ガスタービン用燃焼器の軸方向の範囲内に存在し、前記第2ガスタービン用燃焼器の中心軸線上に存在する点を第2点とし、
前記第1ガスタービン用燃焼器において、前記一対の第2領域が存在する前記第1ガスタービン用燃焼器の軸方向の範囲内に存在し、前記第1ガスタービン用燃焼器の中心軸線上の点であって、前記第2ガスタービン用燃焼器における第2点と同じ軸方向位置の点を第1点とし、
前記第3ガスタービン用燃焼器において、前記一対の第2領域が存在する前記第3ガスタービン用燃焼器の軸方向の範囲内に存在し、前記第3ガスタービン用燃焼器の中心軸線上の点であって、前記第2ガスタービン用燃焼器における第2点と同じ軸方向位置の点を第3点とし、
前記第2点と前記第1点とを結ぶ第1線分と、前記第2ガスタービン用燃焼器における前記一対の第2領域の外表面とが、前記第2点と前記第1点との間で交差する交差位置において、該外表面と接する該外表面の接平面を第1接平面とし、
前記第2点と前記第3点とを結ぶ第2線分と、前記第2ガスタービン用燃焼器における前記一対の第2領域の外表面とが、前記第2点と前記第3点との間で交差する交差位置において、該外表面と接する該外表面の接平面を第2接平面としたときに、
前記第2ガスタービン用燃焼器における前記第1領域は、前記第1接平面と前記第2接平面との間に存在する
請求項20に記載のガスタービン。
【請求項22】
ガスタービンの組立方法であって、
請求項1乃至19の何れか一項に記載のガスタービン用燃焼器の複数をガスタービンのケーシング内に前記ガスタービンの周方向に配置する工程、
を備え、
前記配置する工程では、前記ガスタービンの周方向で隣り合う2つの前記ガスタービン用燃焼器において、一方の前記ガスタービン用燃焼器における前記一対の第2領域の内の一方の領域と、他方の前記ガスタービン用燃焼器における前記一対の第2領域の内の他方の領域とが前記ガスタービンの周方向で隣り合うように、前記複数の前記ガスタービン用燃焼器を配置する
ガスタービンの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービン用燃焼器、ガスタービン及びガスタービンの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、圧縮機と、燃焼器と、タービンとを有しており、圧縮機では空気を取り込んで圧縮して高圧にし、高圧になった空気を燃焼器に送り込む。
燃焼器では、高圧の空気に対して燃料を吹き出して燃料を燃焼させる。燃料が燃焼することにより発生する高温の燃焼ガスは、タービンに送られ、この高温の燃焼ガスがタービンを駆動する。
このタービンと前記圧縮機とは同じ回転軸の回りに回転するため、タービンがこのように駆動することにより、圧縮機も駆動し、上述したように空気を取り入れて圧縮をする。
【0003】
このように作動するガスタービンは、燃料が燃焼する際に燃焼振動が発生する場合があり、この燃焼振動は、ガスタービン運転時の騒音や振動の原因となっていた。
そこで、この燃焼振動に起因する音や振動を抑制するために、燃焼器に、たとえば、多孔板とその外側を覆うカバーとによって構成される比較的高周波の音を吸音する音響ライナを設けたり、大きな共鳴空間を有する比較的低周波の音を吸音する音響ダンパを設けたりしていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−117231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に産業用のガスタービンでは、複数のガスタービン用燃焼器をガスタービンの周方向に沿って並べて配置する。また、タービンの動翼と燃焼器とのガスタービンの径方向位置の関係から、複数の燃焼器をガスタービンの径方向内側に近づけて配置することとなる。したがって、ガスタービンの周方向で隣り合う燃焼器間の間隔は、比較的小さくなる傾向にある。
ガスタービンの周方向で隣り合う燃焼器間の空間に圧縮機からの圧縮空気が流通し難くなることで、燃焼器内に流入する際の圧縮空気の流れについて、燃焼器の周方向の位置による偏りが大きくなってしまうおそれがある。そのため、燃焼筒内で局所的な火炎温度の上昇等が生じ、燃焼振動の増加や、NOxの増加等を招くおそれがある。
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みて、燃焼筒内に流入する際の圧縮空気の流れについて、燃焼筒の周方向の位置による偏りを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービン用燃焼器は、
燃焼筒と、
前記燃焼筒の外周に設けられた音響デバイスと、
を備え、
前記音響デバイスは、
前記燃焼筒の下流側に位置し、前記燃焼筒の径方向において前記燃焼筒を挟んだ一対の位置の少なくとも何れか一方に存在する第1領域と、
前記一対の位置とは前記燃焼筒の軸方向位置が少なくとも一部で重複し、かつ、前記一対の位置とは前記燃焼筒の周方向位置が異なり、前記径方向において前記燃焼筒を挟んだ位置に存在する一対の第2領域と、
前記第1領域および前記第2領域に対して前記燃焼筒の上流側に位置する第3領域と、
を有し、
前記一対の第2領域における前記音響デバイスの前記径方向の厚さは、前記第1領域における前記音響デバイスの前記径方向の厚さよりも小さく、
前記第3領域における前記音響デバイスの前記径方向の厚さは、前記一対の第2領域における前記音響デバイスの前記径方向の厚さよりも大きい。
【0008】
(2)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンは、
上記(1)の構成のガスタービン用燃焼器を複数備え、
前記複数のガスタービン用燃焼器は、ガスタービンの周方向に配置され、
前記ガスタービンの周方向で隣り合う2つの前記ガスタービン用燃焼器は、前記2つの前記ガスタービン用燃焼器の内の一方の前記ガスタービン用燃焼器についての前記一対の第2領域の内の一方の領域が、前記2つの前記ガスタービン用燃焼器の内の他方の前記ガスタービン用燃焼器についての前記一対の第2領域の内の他方の領域と、前記ガスタービンの周方向で隣り合うように配置されている。
【0009】
(3)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンの組立方法は、
ガスタービンの組立方法であって、
上記(1)の構成のガスタービン用燃焼器の複数をガスタービンのケーシング内に前記ガスタービンの周方向に配置する工程、
を備え、
前記配置する工程では、前記ガスタービンの周方向で隣り合う2つの前記ガスタービン用燃焼器において、一方の前記ガスタービン用燃焼器における前記一対の第2領域の内の一方の領域と、他方の前記ガスタービン用燃焼器における前記一対の第2領域の内の他方の領域とが前記ガスタービンの周方向で隣り合うように、前記複数の前記ガスタービン用燃焼器を配置する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、燃焼筒内に流入する際の圧縮空気の流れについて、燃焼筒の周方向の位置による偏りを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】幾つかの実施形態に係るガスタービンを示す概略構成図である。
図2】幾つかの実施形態に係る燃焼器を示す断面図である。
図3】幾つかの実施形態に係る燃焼器をガスタービンの中心軸線を中心とするガスタービンの周方向から見た模式的な側面図である。
図4A図3におけるA−A矢視断面図である。
図4B図3におけるB−B矢視断面図である。
図4C図3におけるC−C矢視断面図である。
図5A】幾つかの実施形態に係る音響デバイスを燃焼筒の周方向に沿って展開した展開図である。
図5B】幾つかの実施形態に係る音響デバイスを燃焼筒の周方向に沿って展開した展開図である。
図6】ガスタービンの周方向で隣り合う燃焼器間の間隔について説明するための模式図である。
図7】ガスタービンの周方向で隣り合う燃焼器間の間隔について説明するための模式図である。
図8図3におけるA−A矢視断面図である。
図9】燃焼筒の上流側の第1中心軸線に沿って下流側から見た燃焼器の断面図である。
図10】一実施形態に係るガスタービンの組立方法についてのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0013】
(ガスタービン1について)
図1は、幾つかの実施形態に係るガスタービンを示す概略構成図である。
幾つかの実施形態に係るガスタービン用燃焼器の適用先の一例であるガスタービンについて、図1を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、幾つかの実施形態に係るガスタービン1は、酸化剤としての圧縮空気を生成するための圧縮機2と、圧縮空気及び燃料を用いて燃焼ガスを発生させるためのガスタービン用燃焼器4と、燃焼ガスによって回転駆動されるように構成されたタービン6と、を備える。発電用のガスタービン1の場合、タービン6には不図示の発電機が連結され、タービン6の回転エネルギーによって発電が行われるようになっている。以下の説明では、ガスタービン用燃焼器4のことを単に燃焼器4とも称する。
【0015】
幾つかの実施形態に係るガスタービン1における各部位の具体的な構成例について説明する。
幾つかの実施形態に係る圧縮機2は、圧縮機車室10と、圧縮機車室10の入口側に設けられ、空気を取り込むための空気取入口12と、圧縮機車室10及び後述するタービン車室22を共に貫通するように設けられたロータ8と、圧縮機車室10内に配置された各種の翼と、を備える。各種の翼は、空気取入口12側に設けられた入口案内翼14と、圧縮機車室10側に固定された複数の静翼16と、静翼16に対して交互に配列されるようにロータ8に植設された複数の動翼18と、を含む。なお、圧縮機2は、不図示の抽気室等の他の構成要素を備えていてもよい。このような圧縮機2において、空気取入口12から取り込まれた空気は、複数の静翼16及び複数の動翼18を通過して圧縮されることで高温高圧の圧縮空気となる。そして、高温高圧の圧縮空気は圧縮機2から後段の燃焼器4に送られる。
【0016】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4は、ケーシング20内に配置される。図1に示すように、燃焼器4は、ケーシング20内にロータ8を中心として環状に複数配置されている。燃焼器4には燃料と圧縮機2で生成された圧縮空気とが供給され、燃料と圧縮空気を燃焼させることによって、タービン6の作動流体である燃焼ガスを発生させる。そして、燃焼ガスは燃焼器4から後段のタービン6に送られる。なお、幾つかの実施形態に係る燃焼器4の詳細な構成例については後述する。
【0017】
幾つかの実施形態に係るタービン6は、タービン車室22と、タービン車室22内に配置された各種の翼と、を備える。各種の翼は、タービン車室22側に固定された複数の静翼24と、静翼24に対して交互に配列されるようにロータ8に植設された複数の動翼26と、を含む。なお、タービン6は、出口案内翼等の他の構成要素を備えていてもよい。タービン6においては、燃焼ガスが複数の静翼24及び複数の動翼26を通過することでロータ8が回転駆動する。これにより、ロータ8に連結された発電機が駆動されるようになっている。
タービン車室22の下流側には、排気車室28を介して排気室30が連結されている。タービン6を駆動した後の燃焼ガスは、排気車室28及び排気室30を介して外部へ排出される。
【0018】
(燃焼器4について)
図2は、幾つかの実施形態に係る燃焼器を示す断面図である。
図2を参照して、幾つかの実施形態に係る燃焼器4の詳細な構成について説明する。
【0019】
図2に示すように、幾つかの実施形態に係る燃焼器4は、ロータ8を中心として環状に複数配置されている(図1参照)。各燃焼器4は、ケーシング20により画定される燃焼器車室40に設けられた燃焼器ライナ46と、燃焼器ライナ46内にそれぞれ配置されたパイロット燃焼バーナ50及び複数の予混合燃焼バーナ(メイン燃焼バーナ)60と、を含む。燃焼器4は、ケーシング20の内部において燃焼器ライナ46の内筒47の外周側に設けられた外筒45をさらに含む。内筒47の外周側かつ外筒45の内周側には、圧縮空気が流れる空気通路43が形成される。
なお、燃焼器4は、燃焼ガスをバイパスさせるためのバイパス管(不図示)等の他の構成要素を備えていてもよい。
【0020】
例えば、燃焼器ライナ46は、パイロット燃焼バーナ50及び複数の予混合燃焼バーナ60の周囲に配置される内筒47と、内筒47の先端部に連結された尾筒48と、を有している。なお、内筒47と尾筒48とが一体的な燃焼筒を構成していてもよい。以下の説明では、内筒47と尾筒48とが一体的な燃焼筒を構成している場合も含めて、燃焼器ライナ46を燃焼筒46とも称する。
パイロット燃焼バーナ50は、燃焼筒46の中心軸線AXcに沿って配置されている。そして、パイロット燃焼バーナ50を囲むように、複数の予混合燃焼バーナ60が互いに離間して配列されている。
【0021】
上記構成を有する燃焼器4において、圧縮機2で生成された高温高圧の圧縮空気は圧縮機出口から燃焼器車室40内に供給され、さらに燃焼器車室40から空気通路43を経由してバーナ筒66内に流入する。そして、この圧縮空気と、燃料ポート62から供給された燃料とがバーナ筒66内で予混合される。この際、予混合気は不図示のスワラにより主として旋回流を形成し、燃焼筒46内に流れ込む。また、圧縮空気と、燃料ポート52を介してパイロット燃焼バーナ50から噴射された燃料とが燃焼筒46内で混合され、図示しない種火により着火されて燃焼し、燃焼ガスが発生する。このとき、燃焼ガスの一部が火炎を伴って周囲に拡散することで、各予混合燃焼バーナ60から燃焼筒46内に流れ込んだ予混合気に着火されて燃焼する。すなわち、パイロット燃焼バーナ50から噴射されたパイロット燃料によるパイロット火炎によって、予混合燃焼バーナ60からの予混合気(予混合燃料)の安定燃焼を行うための保炎を行うことができる。
【0022】
(音響デバイス100について)
図3は、幾つかの実施形態に係る燃焼器4をロータ8の中心軸線、すなわちガスタービン1の中心軸線AXを中心とするガスタービン1の周方向から見た模式的な側面図である。図3において、ガスタービン1の中心軸線AXは、燃焼器4の図示下方において図示左右方向に延在する。
幾つかの実施形態に係る燃焼器4は、燃焼筒46の外周に設けられた音響デバイス100を備えている。
【0023】
図4Aは、図3におけるA−A矢視断面図である。
図4Bは、図3におけるB−B矢視断面図である。
図4Cは、図3におけるC−C矢視断面図である。
なお、図4A図4B及び図4Cでは、燃焼筒46や後述するハウジング150の板の厚さ方向に沿って切断した板の断面が表れているため、この断面を1重の実線で描いている。そのため、実線によって閉鎖された領域は、燃焼筒46の内部空間や、音響デバイス100の後述する共鳴室(共鳴空間)160に該当する。図4Aにおいて、板の表面が紙面手前に表れるような部材(後述する第1板部材181)については、その表面をハッチングによって表現している。
【0024】
図5Aは、幾つかの実施形態に係る音響デバイス100を燃焼筒46の周方向に沿って展開した展開図であり、図4AにおけるI矢視図に相当する、内側音響デバイス101についての展開図である。
図5Bは、幾つかの実施形態に係る音響デバイス100を燃焼筒46の周方向に沿って展開した展開図であり、図4AにおけるII矢視図に相当する、外側音響デバイス103についての展開図である。
なお、図5A及び図5Bでは、燃焼筒46の軸方向の位置に関し、図3におけるA−A矢視断面、B−B矢視断面及びC−C矢視断面が存在する位置を一点鎖線で示している。
【0025】
幾つかの実施形態に係る音響デバイス100は、燃焼振動を減衰させるためのものであり、互いに独立した複数の共鳴室(共鳴空間)160を形成するハウジング150を有する。ハウジング150は、燃焼筒の径方向内側に設けられた内側音響デバイス101と、少なくとも一部が内側音響デバイス101よりも燃焼筒46の径方向外側に設けられた、内側音響デバイス101とは異なる外側音響デバイス103とを形成している。すなわち、幾つかの実施形態に係る音響デバイス100は、内側音響デバイス101と、外側音響デバイス103とを含んでいる。
ハウジング150を構成する板部材のそれぞれは、直接又は間接的に燃焼筒46の外表面に固定されている。
【0026】
例えば、内側音響デバイス101と外側音響デバイス103とで、減衰させる燃焼振動の周波数が異ならせる等、機能の分担をする場合に、例えば比較的容積が小さくても効果を奏することができる機能については、容積が小さくなりがちな、燃焼筒46の径方向内側に位置する内側音響デバイス101に割り当てるようにしてもよい。また、例えば比較的大きな容積が必要となる機能については、容積が大きくし易い、燃焼筒46の径方向外側に位置する外側音響デバイス103に割り当てるようにしてもよい。
このように、幾つかの実施形態に係る音響デバイス100によれば、内側音響デバイス101と外側音響デバイス103とに割り当てる機能を容積の点から合理的に設定し易くなる。
【0027】
幾つかの実施形態に係る音響デバイス100では、内側音響デバイス101は、音響ライナ201を構成し、外側音響デバイス103は、音響ダンパ203を構成する。
音響ライナ201は、燃焼振動に起因する、比較的高周波の振動を低減できる音響デバイスであり、音響ダンパ203は、燃焼振動に起因する、比較的低周波の振動を低減できる音響デバイスである。そのため、音響ダンパ203は、音響ライナ201と比べて比較的大きな共鳴空間を必要とする。
したがって、比較的容積が小さくても効果を奏することができる音響ライナ201は、容積が小さくなりがちな、燃焼筒46の径方向内側に位置する内側音響デバイス101に割り当てるようにするとよい。また、比較的大きな容積が必要となる音響ダンパ203については、容積が大きくし易い、燃焼筒46の径方向外側に位置する外側音響デバイス103に割り当てるようにするとよい。
このように、幾つかの実施形態に係る音響デバイス100によれば、内側音響デバイス101と外側音響デバイス103とに割り当てる機能を容積の点から合理的に設定できる。
【0028】
例えば図5A及び図5Bに示すように、幾つかの実施形態に係る内側音響デバイス101及び外側音響デバイス103は、互いに独立した複数の共鳴室(共鳴空間)160をそれぞれ有する。図5A及び図5Bに示すように、隣り合う共鳴室160は、破線で示した仕切部材151によって隔てられている。
なお、各共鳴室160は、共鳴室160内で共鳴空間が例えば屈曲して延在したり、蛇行して延在するように、不図示の仕切板が共鳴室160内に配置されていてもよい。
【0029】
図5A及び図5Bでは、図示上下方向は、燃焼筒46の中心軸線AXcに沿った軸方向であり、図示左右方向は、燃焼筒46の中心軸線AXcを中心とする燃焼筒46の周方向である。以下の説明では、燃焼筒46の中心軸線AXcに沿った軸方向を燃焼筒46の軸方向、又は単に軸方向とも称し、燃焼筒46の中心軸線AXcを中心とする周方向を燃焼筒46の周方向、又は単に周方向とも称する。同様に、以下の説明では、燃焼筒46の中心軸線AXcを中心とする径方向を燃焼筒46の径方向、又は単に径方向とも称する。
燃焼筒46の軸方向に関し、燃焼ガスの噴き出し口46dが存在する一方側を下流側とし、パイロット燃焼バーナ50等が存在する他方側を上流側とする。
【0030】
また、以下の説明では、ガスタービン1の中心軸線AXに沿った軸方向をガスタービン1の軸方向と称し、ガスタービン1の中心軸線AXを中心とする周方向をガスタービン1の周方向と称し、ガスタービン1の中心軸線AXを中心とする径方向をガスタービン1の径方向と称する。
ガスタービン1の軸方向に関し、燃焼器4の位置に対して、タービン6や排気室30が存在する一方側を下流側とし、圧縮機2が存在する他方側を上流側とする。
【0031】
音響デバイス100の周方向の位置に関し、ガスタービン1の中心軸線AXを中心とするガスタービンの径方向において、ガスタービン1の中心軸線AXから最も離れた周方向位置を0度とする。そして、燃焼筒46を軸方向下流側から見たときに周方向位置が0度となる位置からと反時計方向に進むにつれて周方向位置の角度の値が増えるものとする。
【0032】
内側音響デバイス101の複数の共鳴室160は、燃焼筒46に形成された複数の不図示の音響孔を介して、燃焼筒46の内部空間に連通している。
外側音響デバイス103の複数の共鳴室160は、例えば図5Aに示したように、内側音響デバイス101が設けられていない領域119において燃焼筒46に形成された複数の不図示の音響孔を介して、燃焼筒46の内部空間に連通している。
なお、図5A及び図5Bに示した例では、外側音響デバイス103の複数の共鳴室160と燃焼筒46の内部空間とを連通する上記複数の音響孔は、音響デバイス100における燃焼筒46の軸方向下流側の領域に形成されているが、この領域以外の領域に形成されていてもよい。同様に、該複数の音響孔は、燃焼筒46の周方向において0度近傍及び180度近傍の領域に形成されているが、この領域以外の領域に形成されていてもよい。
【0033】
(ガスタービン1の周方向で隣り合う燃焼器4間の間隔について)
図6及び図7は、ガスタービン1の周方向で隣り合う燃焼器4間の間隔について説明するための模式図であり、図3におけるVII矢視のように、ガスタービン1の周方向で隣り合う2つの燃焼器4の燃焼筒46をガスタービン1の径方向外側から見た図である。なお、図6では、説明の便宜上、音響デバイス100の記載を省略している。
【0034】
一般的に産業用のガスタービンでは、幾つかの実施形態に係るガスタービン1のように、複数の燃焼器4をガスタービン1の周方向に沿って並べて配置する。また、タービン6の動翼26と燃焼器4とのガスタービン1の径方向位置の関係から、複数の燃焼器4をガスタービン1の径方向内側に近づけて配置することとなる。そのため、ガスタービン1の周方向で隣り合う燃焼器4間の間隔は、比較的小さくなる傾向にある。
【0035】
図2に示すように、圧縮機2から燃焼器車室40内に導入される燃焼用の圧縮空気は、ガスタービン1の周方向で隣り合う複数の燃焼器4よりもガスタービン1の径方向内側の位置において、矢印aで示すように、ガスタービン1の軸方向下流側に向かって燃焼器車室40内に流入する。そして、燃焼器車室40内に導入された燃焼用の圧縮空気の流れは、矢印b、cで示すように、その後、ガスタービンの径方向外側に向かいつつ、矢印d、eで示すように、ガスタービン1の軸方向上流側に向かうように転向して燃焼筒46の軸方向上流側から燃焼筒46内に流入する。
【0036】
このように圧縮空気が燃焼器車室40内に流入した後、燃焼筒46内に流入する過程で、矢印cで示すように、一部の圧縮空気は、ガスタービン1の周方向で隣り合う燃焼器4の燃焼筒46同士の間の空間(隙間)40aを通過する(図6参照)。そのため、ガスタービン1の周方向で隣り合う燃焼筒46間の空間40aが小さくなり過ぎると、燃焼筒46内に流入する際の圧縮空気の流れについて、燃焼筒46の周方向の位置による偏りが大きくなってしまう。そのため、燃焼筒46内で局所的な火炎温度の上昇等が生じ、燃焼振動の増加や、NOxの増加等を招くおそれがある。
【0037】
また、産業用のガスタービンには、幾つかの実施形態に係るガスタービン1のように、燃焼振動を減衰させるための音響デバイス100を設けることが多い。この音響デバイス100は、燃焼筒46の外周に取り付けられることが多いため、ガスタービン1の周方向で隣り合う燃焼筒46間の空間40aは、より小さくなる傾向にある(図7参照)。なお、図7において、音響デバイス100について実線で描いた部分は、後述するような一対の第2領域113、114を設けた場合の音響デバイス100の形状を模式的に示すものである。また、図7において、音響デバイス100について破線で描いた部分は、後述するような一対の第2領域113、114を設けていない、従来の音響デバイスの形状を模式的に示すものである。
【0038】
そこで、幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、以下のような一対の第1領域111、112と第3領域120とを有するように音響デバイス100を構成した。
ここで、幾つかの実施形態に係る音響デバイス100は、燃焼筒46の下流側に位置し、燃焼筒46の径方向において燃焼筒46を挟んだ一対の位置111A、112Aに存在する一対の第1領域111、112を有する(図4A及び後述する図8図9参照)。音響デバイス100は、一対の第1領域111、112(一対の位置111A、112A)とは燃焼筒46の軸方向位置が少なくとも一部で重複し、かつ、一対の第1領域111、112(一対の位置111A、112A)とは燃焼筒46の周方向位置が異なり、径方向において燃焼筒46を挟んだ位置に存在する一対の第2領域113、114を有する。音響デバイス100は、第1領域111、112および第2領域113、114に対して燃焼筒46の上流側に位置する第3領域120を有する。一対の第2領域113、114における音響デバイス100の径方向の厚さt11は、第1領域111、112における音響デバイス100の径方向の厚さt12よりも小さい。第3領域120における音響デバイス100の径方向の厚さt20は、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の径方向の厚さt11よりも大きい。
【0039】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4が上記のような構成を有するのであれば、この燃焼器4をガスタービン1の周方向に並べて複数配置する場合に、一対の第2領域113、114がガスタービン1の周方向に沿って位置するように複数の燃焼器4を配置するとよい(図7参照)。これにより、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の厚さt11が上記一対の第1領域111、112における音響デバイス100の厚さt21よりも小さいので、ガスタービン1の周方向で隣り合う燃焼筒46間の空間40aを確保し易くなる。そのため、燃焼筒46内に流入する際の圧縮空気の流れにおいて上述したような燃焼筒46の周方向の位置による偏りを抑制できる。したがって、燃焼振動やNOx等の発生を抑制できる燃焼器4を実現できる。
【0040】
なお、各実施形態における、音響デバイス100の径方向の厚さとは、音響デバイス100が設置されている燃焼筒46の外周面から、音響デバイス100における、燃焼筒46の径方向外側の端面までの、燃焼筒46の径方向の距離のことをいう。また、以下の説明では、音響デバイス100の径方向の厚さのことを、単に、音響デバイス100の厚さとも称する。
【0041】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、さらに、以下のように音響デバイス100を構成してもよい。
【0042】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、燃焼筒46は、下流側の端部に形成された燃焼ガスの噴き出し口46dを形成する噴き出し部46eを有する。燃焼筒46の中心軸線AXcは、燃焼筒46の上流側の第1中心軸線AXc1と、噴き出し部46eにおける第2中心軸線AXc2とで異なる方向に延在する。一対の第1領域111、112は、第1中心軸線AXc1と第2中心軸線AXc2とを含む第1仮想平面Pv1と交差するとよい。一対の第2領域113、114は、第1中心軸線AXc1を含み第1仮想平面Pv1と直交する第2仮想平面Pv2と交差するとよい。
【0043】
幾つかの実施形態では、ガスタービン用燃焼器4をガスタービン1の周方向に並べて複数配置する場合に、一対の第2領域113、114がガスタービン1の周方向に沿って位置するように複数のガスタービン用燃焼器4を配置すれば、上述したように、ガスタービン1の周方向で隣り合う燃焼筒46間の空間40aを確保し易くなる。そしてこのようにガスタービン用燃焼器4を配置した場合には、一対の第2領域113、114の径方向の厚さt11よりも径方向の厚さt12が大きい一対の第1領域111、112の一方の領域111と他方の領域112ガスタービン1の径方向に並ぶ。そのため、ガスタービン1の周方向で隣り合うガスタービン用燃焼器4同士で一対の第1領域111、112同士が干渉し難くなるので、一対の第1領域111、112の容積を確保し易くなる。
【0044】
図8は、図3におけるA−A矢視断面図であり、一対の第1領域111、112と一対の第2領域113、114との位置及び寸法関係について説明するための図である。
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、図8に示すように、一対の第2領域113、114の少なくとも何れか一方の第2領域113、114の少なくとも一部は、燃焼筒46の中心軸線AXcのうちの燃焼筒46の上流側の第1中心軸線AXc1に沿って見たときに、一対の第1領域111、112の外表面100aにおける燃焼筒46の周方向の端部100bのうち、一方の第2領域113、114を挟んで位置する2つの端部同士を結ぶ線分Lfよりも径方向外側に存在するとよい。
【0045】
幾つかの実施形態では、ガスタービン用燃焼器4をガスタービン1の周方向に並べて複数配置する場合に、一対の第2領域113、114がガスタービン1の周方向に沿って位置するように複数のガスタービン用燃焼器4を配置すれば、一対の第1領域111、112の一方の領域111と他方の領域112とが並ぶ方向がガスタービン1の径方向に近づく。幾つかの実施形態に係る燃焼器4によれば、一対の第2領域113、114の少なくとも何れか一方の第2領域113、114においてガスタービン1の周方向に最も突出した部分よりも、上記端部100bが該周方向に突出しない。そのため、一対の第1領域111、112の該周方向に沿った大きさを抑制できるので、ガスタービン1の周方向で隣り合うガスタービン用燃焼器4同士で一対の第1領域111、112同士が干渉し難くなる。
【0046】
図9は、燃焼筒46の上流側の第1中心軸線AXc1に沿って下流側から見た燃焼器4の断面図であり、ガスタービン1の周方向で隣り合う4つの燃焼器4とともに図示した図である。
幾つかの実施形態では、図9に示すように、複数のガスタービン用燃焼器4は、ガスタービン1の周方向に順に並んだ第1乃至第3ガスタービン用燃焼器4A、4B、4Cを含む。第2ガスタービン用燃焼器4Bにおいて、一対の第2領域113、114が存在する第2ガスタービン用燃焼器4Bの軸方向の範囲内に存在し、第2ガスタービン用燃焼器4Bの燃焼筒46の上流側の第1中心軸線AXc1上に存在する点を第2点P2とする。第1ガスタービン用燃焼器4Aにおいて、一対の第2領域113、114が存在する第1ガスタービン用燃焼器4Aの軸方向の範囲内に存在し、第1ガスタービン用燃焼器4Aの燃焼筒46の上流側の第1中心軸線AXc1上の点であって、第2ガスタービン用燃焼器4Bにおける第2点P2と同じ軸方向位置の点を第1点P1とする。第3ガスタービン用燃焼器4Cにおいて、一対の第2領域113、114が存在する第3ガスタービン用燃焼器4Cの軸方向の範囲内に存在し、第3ガスタービン用燃焼器4Cの燃焼筒46の上流側の第1中心軸線AXc1上の点であって、第2ガスタービン用燃焼器4Bにおける第2点P2と同じ軸方向位置の点を第3点P3とする。第2点P2と第1点P1とを結ぶ第1線分Lv1と、第2ガスタービン用燃焼器4Bにおける一対の第2領域113、114の外表面113a、114aとが、第2点P2と第1点P1との間で交差する交差位置CPにおいて、該外表面113a、114aと接する該外表面113a、114aの接平面を第1接平面Pt1とする。第2点P2と第3点P3とを結ぶ第2線分Lv2と、第2ガスタービン用燃焼器4Bにおける一対の第2領域113、114の外表面113a、114aとが、第2点P2と第3点P3との間で交差する交差位置にCPおいて、該外表面113a、114aと接する該外表面113a、114aの接平面を第2接平面Pt2とする。
第2ガスタービン用燃焼器4Bにおける一対の第1領域111、112は、第1接平面Pt1と第2接平面Pt2との間に存在するとよい。
【0047】
これにより、一対の第1領域111、112におけるガスタービン1の周方向に沿った大きさを抑制できるので、ガスタービン1の周方向で隣り合うガスタービン用燃焼器4同士で一対の第1領域111、112同士が干渉し難くなる。
【0048】
例えば、幾つかの実施形態に係る音響デバイス100では、一対の第2領域113、114の内の一方の領域113及び他方の領域114の少なくとも何れか一方は、燃焼筒46の周方向に沿った大きさLcの方が燃焼筒46の軸方向に沿った大きさLaxよりも大きいとよい。
これにより、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の容積を確保しつつ、燃焼筒46の周方向に沿った大きさLcの方が燃焼筒46の軸方向に沿った大きさLaxよりも小さい場合と比べて、隣り合う燃焼器4間の間隔を大きくできる。
なお、一方の領域113と他方の領域114とで周方向に沿った大きさLcは、異なっていてもよい。同様に、一方の領域113と他方の領域114とで軸方向に沿った大きさLaxは、異なっていてもよい。
【0049】
幾つかの実施形態に係る音響デバイス100では、第3領域120の一部は、上記一対の第2領域113、114の少なくとも一部と周方向において重複してもよい。
【0050】
一般的に、燃焼器4は、ガスタービン1のケーシング20に取り付けられた際、燃焼筒46の下流側が上流側よりもガスタービン1のロータ8の軸線、すなわちガスタービン1の中心軸線AXに近づくように中心軸線AXに対して傾けて取り付けられる。そのため、複数の燃焼器4をガスタービン1の周方向に沿って並べて配置すると、各燃焼器4の中心軸線AXcについてのピッチ円は、燃焼筒46の下流側に向かうにつれて小さくなる。そのため、ガスタービン1の周方向で隣り合う燃焼筒46間の間隔は、燃焼筒46の下流側に向かうにつれて小さくなる傾向にある。逆に、ガスタービン1の周方向で隣り合う燃焼筒46間の間隔は、燃焼筒46の上流側に向かうにつれて大きくなる傾向にある。
【0051】
したがって、上述のように一対の第1領域111、112及び一対の第2領域113、114よりも燃焼筒46の上流側に位置する第3領域120が一対の第2領域113、114の少なくとも一部と周方向において重複したとしても、隣り合う燃焼筒46同士の間の空間40aを通過する圧縮空気の流れに与える影響が少ない。また、上述のように、一対の第1領域111、112及び一対の第2領域113、114よりも燃焼筒46の上流側に位置する第3領域120が一対の第2領域113、114の少なくとも一部と周方向において重複することが許容されれば、第3領域120における音響デバイス100の容積を確保し易くなる。
【0052】
幾つかの実施形態に係る音響デバイス100では、一対の第1領域111、112における音響デバイス100の径方向の厚さt12は、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の径方向の厚さt11の2倍以上であるとよい。
一対の第1領域111、112における音響デバイス100の径方向の厚さt12と、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の径方向の厚さt11との差を大きくすることで、音響デバイス100の容積を確保しつつ、隣り合う燃焼器4間の間隔を大きくすることができる。
【0053】
幾つかの実施形態に係る音響デバイス100では、第3領域120に対して燃焼筒46の上流側に位置し、第3領域120とは燃焼筒46の周方向における存在範囲が異なる第4領域130をさらに有していてもよい。第4領域130における径方向に沿った音響デバイス100の厚さt30は、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の径方向の厚さt11よりも大きいとよい。
上述したように、ガスタービン1の周方向で隣り合う燃焼筒46間の間隔は、燃焼筒46の上流側に向かうにつれて大きくなる傾向にあるので、第3領域120に対して上流側に位置する第4領域130を設けても、隣り合う燃焼筒46同士の間の空間40aを通過する圧縮空気の流れに与える影響が少ない。
上記のような第4領域130を設けることで、隣り合う燃焼筒46同士の間の空間40aを通過する圧縮空気の流れに与える影響を抑制しつつ、音響デバイス100の容積を確保できる。
【0054】
幾つかの実施形態に係る音響デバイス100では、上述したように、音響デバイス100は、互いに独立した複数の共鳴室160を有しているとよい。少なくとも1つの共鳴室160は、例えば、図5Bに示すように、一対の第1領域111、112の少なくとも一方の領域(すなわち、一方の領域111又は他方の領域112の少なくとも何れか一方)と、第3領域120とにわたって設けられていてもよい。
これにより、該共鳴室160の容積を確保し易くなる。
なお、例えば、図5Bに示すように、少なくとも1つの共鳴室160は、第3領域120と、第4領域130とにわたって設けられていてもよく、一方の領域111又は他方の領域112の少なくとも何れか一方と、第3領域120と、第4領域130とにわたって設けられていてもよい。
【0055】
幾つかの実施形態に係る音響デバイス100では、一対の第2領域113、114には、内側音響デバイス101が存在し、外側音響デバイス103が存在せず、一対の第1領域111、112には、内側音響デバイス101及び外側音響デバイス103が存在するとよい。
これにより、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の厚さt11を一対の第1領域111、112における音響デバイス100の厚さt12よりも小さくすることが容易となる。
【0056】
幾つかの実施形態に係る音響デバイス100では、上述したように、内側音響デバイス101及び外側音響デバイス103は、それぞれ少なくとも1つの共鳴室160を有するとよい。
これにより、内側音響デバイス101と外側音響デバイス103とで、例えば減衰させる燃焼振動の周波数を異ならせる等、共鳴室160に割り当てられた機能を異ならせることができる。
【0057】
幾つかの実施形態に係る音響デバイス100では、外側音響デバイス103における少なくとも1つの共鳴室160は、例えば、図5Bに示すように、一対の第1領域111、112の少なくとも一方の領域(すなわち、一方の領域111又は他方の領域112の少なくとも何れか一方)と、第3領域120とにわたって設けられているとよい。
これにより、該共鳴室160の容積を確保し易くなる。
なお、例えば、図5Bに示すように、外側音響デバイス103における少なくとも1つの共鳴室160は、第3領域120と、第4領域130とにわたって設けられていてもよく、一方の領域111又は他方の領域112の少なくとも何れか一方と、第3領域120と、第4領域130とにわたって設けられていてもよい。
【0058】
(接続部材180について)
幾つかの実施形態に係る音響デバイス100では、一対の第1領域111、112における音響デバイス100についての燃焼筒46の周方向の端面150aと、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面(外表面100a)と、を接続する接続部材180をさらに備えていてもよい。
接続部材180の詳細については、後で説明する。
【0059】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、一対の第1領域111、112における音響デバイス100の厚さt12と一対の第2領域113、114における音響デバイス100の厚さt11とに差があるため、音響デバイス100の剛性は、一対の第1領域111、112と一対の第2領域113、114とで異なる。具体的には、一対の第1領域111、112における音響デバイス100の剛性よりも一対の第2領域113、114における音響デバイス100の剛性の方が小さい。そのため、燃焼器4において燃料と燃焼用の圧縮空気との混合気が燃焼して燃焼筒46の温度が上昇すると、一対の第2領域113、114における一方の領域113と他方の領域114とが互いに離間し、一対の第1領域111、112における一方の領域111と他方の領域112とが接近するように、燃焼筒46が変形する傾向にある。このような燃焼筒46の変形を横オーバル変形とも称する。
【0060】
幾つかの実施形態に係る音響デバイス100では、音響デバイス100についての上記端面150aと、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aとを接続部材180を介して接続することで、一対の第2領域113、114における音響デバイス100が変形し難くなるので、上述したような燃焼筒46の横オーバル変形を抑制できる。
【0061】
例えば接続部材180は、板厚方向が燃焼筒46の軸方向に沿うように配置された少なくとも1つの第1板部材181を含むとよい。
図4Aでは、第1板部材181の板の表面は、紙面手前側及び紙面奥側を向く。そこで、図4Aでは、上述したように、第1板部材181の板の表面をハッチングによって表現している。
【0062】
幾つかの実施形態に係る燃焼器4では、一対の第1領域111、112における音響デバイス100についての上記端面150aと、一対の第2領域113、114における音響デバイスの外周面100aが交差している。そのため、燃焼器4の表面には、該端面150aと該外周面100aとで形成される凹部191が存在する。
第1板部材181は、上述したように、該端面150aと該外周面100aとを接続する板部材であって、板厚方向が燃焼筒46の軸方向に沿うように配置されている。すなわち、第1板部材181は、板部材の周縁が該端面150aと該外周面100aとに接続されたリブ状の部材であり、燃焼筒46の周方向及び径方向に延在することとなる。そのため、上記端面150aを有する板部材153が、該外周面100aを有する板部材155に対して相対的に倒れるように変形することとなる上述したような燃焼筒46の横オーバル変形に対し、これを抑制するように第1板部材181が作用する。したがって、板状の部材という、比較的単純な形態の部材によって上述したような燃焼筒46の横オーバル変形を抑制できる。
【0063】
また、例えば接続部材180は、板の表面が燃焼筒46の軸方向に延在する少なくとも1つの第2板部材182を含むとよい。第2板部材182は、少なくとも一対の第1領域111、112の内の少なくとも一方の領域(すなわち、一方の領域111又は他方の領域112の少なくとも何れか一方)における音響デバイス100についての燃焼筒46の周方向の端面150aと、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aとを接続するとよい。
なお、図4Aには、第2板部材182の板の厚さ方向に沿って切断した板の断面が表れている。
【0064】
これにより、板状の部材という、比較的単純な形態の部材によって上述したような燃焼筒46の横オーバル変形を抑制できる。また、第2板部材182を設けることで、以下で説明するように、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aに沿って一対の第1領域111、112における一方の領域111と他方の領域112とを結ぶ方向に流れる圧縮空気の流れが乱れることを抑制できる。すなわち、燃焼器4の表面には、上述した凹部191が存在する。そのため、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aに沿って一対の第1領域111、112における一方の領域111と他方の領域112とを結ぶ方向に流れる圧縮空気の流れは、第2板部材182が存在しない場合には、上記凹部191を通過する際に乱される。
第2板部材182は、一対の第1領域111、112における音響デバイス100についての上記端面150aと、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aとを接続し、且つ、板の表面が燃焼筒46の軸方向に沿うように延在する。そのため、第2板部材182は、上記凹部191の深さを浅くするように上記凹部191を覆うことができる。
したがって、第2板部材182を設けることにより、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aに沿って一対の第1領域111、112における一方の領域111と他方の領域112とを結ぶ方向に流れる圧縮空気の流れが乱れることを抑制できる。
【0065】
なお、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aに沿って一対の第1領域111、112における一方の領域111と他方の領域112とを結ぶ方向に流れる圧縮空気の流れの方向は、該一方の領域111から該他方の領域112に向かう方向であるか、又はその逆の方向の何れかであるので、該一方の領域111又は該他方の領域112のうち、圧縮空気の流れの下流側に位置する領域の方に第2板部材182が設けられていればよく、上流側に位置する領域の方には必ずしも第2板部材182を設ける必要はない。なお、図4Aに示した例では、ガスタービン1の径方向内側となる紙面下方からガスタービン1の径方向外側となる紙面上方に向かって上記圧縮空気が流れるので、一方の領域111に第2板部材182が設けられているとよい。すなわち、幾つかの実施形態において、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aに沿って一対の第1領域111、112における一方の領域111と他方の領域112とを結ぶ方向に流れる圧縮空気の流れは、図2において矢印cで示した圧縮空気の流れに相当する。
【0066】
また、例えば上述した第1板部材181と第2板部材182とを設け、第2板部材182で凹部191を覆うとともに、第2板部材182で覆われた凹部191に少なくとも1つの第1板部材181が配置されるようにしてもよい。
すなわち、接続部材180は、以下で説明するような少なくとも1つの第2板部材182と、少なくとも1つの第1板部材181を含むとよい。ここで、第2板部材182は、板の表面が燃焼筒46の軸方向に延在する板部材であるとよい。第1板部材181は、第2板部材182と、一対の第1領域111、112における音響デバイス100についての燃焼筒46の周方向の端面150aと、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aとで囲まれた領域に配置され、板厚方向が燃焼筒46の軸方向に沿うように配置された板部材であるとよい。
【0067】
これにより、上述したような、第1板部材181についての作用効果と、第2板部材182についての作用効果とを奏することができる。また、第2板部材182と、一対の第1領域111、112における音響デバイス100についての上記端面150aと、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aとで囲まれた領域に第1板部材181が配置されることとなる。これにより、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aに沿って一対の第1領域111、112における一方の領域111と他方の領域112とを結ぶ方向に流れる圧縮空気の流れに対して第1板部材181が影響を及ぼすことを抑制できる。
【0068】
例えば、幾つかの実施形態に係る音響デバイス100では、一対の第1領域111、112における音響デバイス100についての燃焼筒46の周方向の端面150aを有する板部材153の厚さは、一対の第1領域111、112における音響デバイス100の外周面100aを有する板部材156の厚さよりも厚いとよい。
上記板部材153の厚さを厚くすることで、上述したような燃焼筒46の横オーバル変形を抑制できる。
【0069】
上述した幾つかの実施形態に係る燃焼器4をガスタービン1に配置する場合、ガスタービンの周方向で隣り合う2つの燃焼器4は、該2つの燃焼器4の内の一方の燃焼器4についての一対の第2領域113、114の内の一方の領域113が、該2つの燃焼器4の内の他方の燃焼器4についての一対の第2領域113、114の内の他方の領域114と、ガスタービンの周方向で隣り合うように配置されているとよい(図7参照)。
これにより、該2つの燃焼器4同士の間隔を大きくできる。したがって、燃焼筒46内に流入する際の圧縮空気の流れにおいて上述したような燃焼筒46の周方向の位置による偏りを抑制できる。よって、燃焼振動やNOx等の発生を抑制できるガスタービン1を実現できる。
【0070】
(ガスタービンの組立方法)
図10は、一実施形態に係るガスタービンの組立方法についてのフローチャートである。なお、図10に示すフローチャートは、上述した幾つかの実施形態に係る燃焼器4の配置について説明するためのものである。
一実施形態に係るガスタービンの組立方法は、上述した幾つかの実施形態に係るガスタービン1の組立方法である。一実施形態に係るガスタービンの組立方法は、上述した幾つかの実施形態に係る燃焼器4の複数をガスタービン1のケーシング20内にガスタービン1の周方向に配置する工程S10を備える。
配置する工程S10では、例えば図7に示すように、ガスタービン1の周方向で隣り合う2つのガスタービン用燃焼器4において、一方のガスタービン用燃焼器4における一対の第2領域113、114の内の一方の領域113と、他方のガスタービン用燃焼器4における一対の第2領域113、114の内の他方の領域114とがガスタービン1の周方向で隣り合うように、複数のガスタービン用燃焼器4を配置する。
【0071】
これより、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の厚さt11が一対の第1領域111、112における音響デバイス100の厚さt12よりも小さいので、ガスタービン1の周方向で隣り合う燃焼筒46間の空間40aを確保し易くなる。これにより、燃焼筒46内に流入する際の圧縮空気の流れにおいて上述したような燃焼筒46の周方向の位置による偏りを抑制できる。したがって、燃焼振動やNOx等の発生を抑制できるガスタービン用燃焼器4を実現できる。
【0072】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した幾つかの実施形態に係る音響デバイス100は、燃焼筒46の径方向において燃焼筒46を挟んだ一対の位置111A、112Aに存在する第1領域111、112を有する。しかし、幾つかの実施形態に係る音響デバイス100は、上記一対の位置111A、112Aの一方の位置111Aに存在する第1領域111、又は、他方の位置112Aに存在する第1領域112の何れか一方だけを有していてもよい。なお、第1領域111、112が上記一対の位置111A、112Aの双方に存在れば、音響デバイス100の容積を確保し易くなる。
【0073】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービン用燃焼器4は、燃焼筒46と、燃焼筒46の外周に設けられた音響デバイス100と、を備える。音響デバイス100は、燃焼筒46の下流側に位置し、燃焼筒46の径方向において燃焼筒46を挟んだ一対の位置の少なくとも何れか一方に存在する第1領域111、112を有する。音響デバイス100は、一対の位置111A、112Aとは燃焼筒46の軸方向位置が少なくとも一部で重複し、かつ、一対の位置111A、112Bとは燃焼筒46の周方向位置が異なり、径方向において燃焼筒46を挟んだ位置に存在する一対の第2領域113、114を有する。音響デバイス100は、第1領域111、112および第2領域113、114に対して燃焼筒46の上流側に位置する第3領域120を有する。一対の第2領域113、114における音響デバイス100の径方向の厚さt11は、第1領域111、112における音響デバイス100の径方向の厚さt12よりも小さい。第3領域120における音響デバイス100の径方向の厚さt20は、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の径方向の厚さt11よりも大きい。
【0074】
上記(1)の構成によるガスタービン用燃焼器4をガスタービン1の周方向に並べて複数配置する場合に、一対の第2領域113、114がガスタービン1の周方向に沿って位置するように複数のガスタービン用燃焼器4を配置すれば、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の厚さt11が第1領域111、112における音響デバイス100の厚さt12よりも小さいので、ガスタービン1の周方向で隣り合う燃焼筒46間の空間40aを確保し易くなる。これにより、燃焼筒46内に流入する際の圧縮空気の流れにおいて上述したような燃焼筒46の周方向の位置による偏りを抑制できる。したがって、燃焼振動やNOx等の発生を抑制できるガスタービン用燃焼器4を実現できる。
【0075】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、第1領域111、112は、一対の位置111A、112Aの双方に存在するとよい。
【0076】
上記(2)の構成によれば、音響デバイス100の容積を確保し易くなる。
【0077】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、燃焼筒46は、下流側の端部に形成された燃焼ガスの噴き出し口46dを形成する噴き出し部46eを有する。燃焼筒46の中心軸線AXcは、燃焼筒46の上流側の第1中心軸線AXc1と、噴き出し部46eにおける第2中心軸線AXc2とで異なる方向に延在する。第1領域111、112は、第1中心軸線AXc1と第2中心軸線AXc2とを含む第1仮想平面Pv1と交差するとよい。一対の第2領域113、114は、第1中心軸線AXc1を含み第1仮想平面Pv1と直交する第2仮想平面Pv2と交差するとよい。
【0078】
上記(3)の構成によるガスタービン用燃焼器4をガスタービン1の周方向に並べて複数配置する場合に、一対の第2領域113、114がガスタービン1の周方向に沿って位置するように複数のガスタービン用燃焼器4を配置すれば、上述したように、ガスタービン1の周方向で隣り合う燃焼筒46間の空間40aを確保し易くなる。そしてこのようにガスタービン用燃焼器4を配置した場合には、一対の第2領域113、114の径方向の厚さt11よりも径方向の厚さt12が大きい第1領域111、112の一方の領域111と他方の領域112ガスタービン1の径方向に並ぶ。そのため、ガスタービン1の周方向で隣り合うガスタービン用燃焼器4同士で第1領域111、112同士が干渉し難くなるので、第1領域111、112の容積を確保し易くなる。
【0079】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、一対の第2領域113、114の少なくとも何れか一方の第2領域113、114の少なくとも一部は、燃焼筒46の中心軸線AXcのうちの燃焼筒46の上流側の第1中心軸線AXc1に沿って見たときに、第1領域111、112の外表面100aにおける燃焼筒46の周方向の端部100bのうち、一方の第2領域113、114を挟んで位置する2つの端部同士を結ぶ線分Lfよりも燃焼筒の径方向外側に存在するとよい。
【0080】
上記(4)の構成によるガスタービン用燃焼器4をガスタービン1の周方向に並べて複数配置する場合に、一対の第2領域113、114がガスタービン1の周方向に沿って位置するように複数のガスタービン用燃焼器4を配置すれば、第1領域111、112の一方の領域111と他方の領域112とが並ぶ方向がガスタービン1の径方向に近づく。上記(4)の構成によれば、一対の第2領域113、114の少なくとも何れか一方の第2領域113、114においてガスタービン1の周方向に最も突出した部分よりも、上記端部100bが該周方向に突出しない。そのため、第1領域111、112の該周方向に沿った大きさを抑制できるので、ガスタービン1の周方向で隣り合うガスタービン用燃焼器4同士で第1領域111、112同士が干渉し難くなる。
【0081】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、一対の第2領域113、114の内の一方の領域113及び他方の領域114の少なくとも何れか一方は、燃焼筒46の周方向の大きさLcの方が燃焼筒46の軸方向の大きさLaxよりも大きいとよい。
【0082】
上記(5)の構成によれば、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の容積を確保しつつ、燃焼筒46の周方向の大きさLcの方が燃焼筒46の軸方向の大きさLaxよりも小さい場合と比べて、隣り合う燃焼器4間の間隔を大きくできる。
【0083】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、第3領域120の一部は、一対の第2領域113、114の少なくとも一部と周方向において重複してもよい。
【0084】
上述したように、上記(6)の構成のように第1領域111、112及び一対の第2領域113、114よりも燃焼筒46の上流側に位置する第3領域120が一対の第2領域113、114の少なくとも一部と周方向において重複したとしても、隣り合う燃焼筒46同士の間の空間40aを通過する圧縮空気の流れに与える影響が少ない。また、上記(6)の構成のように、第1領域111、112及び一対の第2領域113、114よりも燃焼筒46の上流側に位置する第3領域120が一対の第2領域113、114の少なくとも一部と周方向において重複することが許容されれば、第3領域120における音響デバイス100の容積を確保し易くなる。
【0085】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、第1領域111、112における音響デバイス100の径方向の厚さt12は、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の径方向の厚さt11の2倍以上であるとよい。
【0086】
上記(7)の構成によれば、第1領域111、112における音響デバイス100の径方向の厚さt12と、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の径方向の厚さt11との差を大きくすることで、音響デバイス100の容積を確保しつつ、隣り合う燃焼器4間の間隔を大きくすることができる。
【0087】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかの構成において、第3領域120に対して燃焼筒46の上流側に位置し、第3領域120とは燃焼筒46の周方向における存在範囲が異なる第4領域130をさらに有していてもよい。第4領域130における径方向に沿った音響デバイス100の厚さt30は、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の径方向の厚さt11よりも大きいとよい。
【0088】
上述したように、ガスタービン1の周方向で隣り合う燃焼筒46間の間隔は、燃焼筒46の上流側に向かうにつれて大きくなる傾向にあるので、第3領域120に対して上流側に位置する第4領域130を設けても、隣り合う燃焼筒46同士の間の空間40aを通過する圧縮空気の流れに与える影響が少ない。
上記(8)の構成によれば、隣り合う燃焼筒46同士の間の空間40aを通過する圧縮空気の流れに与える影響を抑制しつつ、音響デバイス100の容積を確保できる。
【0089】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れかの構成において、音響デバイス100は、互いに独立した複数の共鳴室160を有しているとよい。少なくとも1つの共鳴室160は、上記第1領域111、112と、第3領域120とにわたって設けられていてもよい。
【0090】
上記(9)の構成によれば、第1領域111、112と、第3領域120とにわたって共鳴室160を設けることで、該共鳴室160の容積を確保し易くなる。
【0091】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかの構成において、音響デバイス100は、燃焼筒46の径方向内側に設けられた内側音響デバイス101と、少なくとも一部が内側音響デバイス101よりも燃焼筒46の径方向外側に設けられた、内側音響デバイス101とは異なる外側音響デバイス103とを含むとよい。
【0092】
上記(10)の構成によれば、例えば、内側音響デバイス101と外側音響デバイス103とで、減衰させる燃焼振動の周波数を異ならせる等、機能の分担をする場合に、例えば比較的容積が小さくても効果を奏することができる機能については、容積が小さくなりがちな径方向内側に位置する内側音響デバイス101に割り当てるようにしてもよい。また、例えば比較的大きな容積が必要となる機能については、容積を大きくし易い径方向外側に位置する外側音響デバイス103に割り当てるようにしてもよい。このように、上記(10)の構成によれば、内側音響デバイス101と外側音響デバイス103とに割り当てる機能を容積の点から合理的に設定し易くなる。
【0093】
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)の構成において、一対の第2領域113、114には、内側音響デバイス101が存在し、外側音響デバイス103が存在せず、第1領域111、112には、内側音響デバイス101及び外側音響デバイス103が存在するとよい。
【0094】
上記(11)の構成によれば、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の厚さt11を第1領域111、112における音響デバイス100の厚さt12よりも小さくすることが容易となる。
【0095】
(12)幾つかの実施形態では、上記(10)又は(11)の構成において、内側音響デバイス101及び外側音響デバイス103は、それぞれ少なくとも1つの共鳴室160を有するとよい。
【0096】
上記(12)の構成によれば、内側音響デバイス101と外側音響デバイス103とで、例えば減衰させる燃焼振動の周波数を異ならせる等、共鳴室160に割り当てられた機能を異ならせることができる。
【0097】
(13)幾つかの実施形態では、上記(12)の構成において、外側音響デバイス103における少なくとも1つの共鳴室160は、第1領域111、112と、第3領域120とにわたって設けられているとよい。
【0098】
上記(13)の構成によれば、第1領域111、112と、第3領域120とにわたって共鳴室160を設けることで、該共鳴室160の容積を確保し易くなる。
【0099】
(14)幾つかの実施形態では、上記(10)乃至(13)の何れかの構成において、内側音響デバイス101は、音響ライナ201を構成し、外側音響デバイス103は、音響ダンパ203を構成するとよい。
【0100】
音響ライナ201は、燃焼振動に起因する、比較的高周波の振動を低減できる音響デバイス100であり、音響ダンパ203は、燃焼振動に起因する、比較的低周波の振動を低減できる音響デバイス100である。そのため、音響ダンパ203は、音響ライナ201と比べて比較的大きな共鳴空間を必要とする。
したがって、比較的容積が小さくても効果を奏することができる音響ライナ201は、容積が小さくなりがちな径方向内側に位置する内側音響デバイス101に割り当てるようにするとよい。また、比較的大きな容積が必要となる音響ダンパ203については、容積が大きくし易い径方向外側に位置する外側音響デバイス103に割り当てるようにするとよい。
このように、上記(14)の構成によれば、内側音響デバイス101と外側音響デバイス103とに割り当てる機能を容積の点から合理的に設定できる。
【0101】
(15)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(14)の何れかの構成において、第1領域111、112における音響デバイス100についての燃焼筒46の周方向の端面150aと、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aと、を接続する接続部材180をさらに備えていてもよい。
【0102】
上記(15)の構成によれば、接続部材180が第1領域111、112における音響デバイス100についての上記端面150aと、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面(外表面100a)と、を接続しているので、上述したような燃焼筒46の横オーバル変形を抑制できる。
【0103】
(16)幾つかの実施形態では、上記(15)の構成において、接続部材180は、板厚方向が燃焼筒46の軸方向に沿うように配置された少なくとも1つの第1板部材181を含むとよい。
【0104】
上記(16)の構成によれば、板状の部材という、比較的単純な形態の部材によって上述したような燃焼筒46の横オーバル変形を抑制できる。
【0105】
(17)幾つかの実施形態では、上記(15)又は(16)の構成において、接続部材180は、板の表面が燃焼筒46の軸方向に延在する少なくとも1つの第2板部材182を含むとよい。第2板部材182は、第1領域111、112における音響デバイス100についての燃焼筒46の周方向の端面150aと、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aとを接続するとよい。
【0106】
上記(17)の構成によれば、板状の部材という、比較的単純な形態の部材によって上述したような燃焼筒46の横オーバル変形を抑制できる。また、上記(17)の構成によれば、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aに沿って第1領域111、112における一方の領域111と他方の領域112とを結ぶ方向に流れる圧縮空気の流れが乱れることを抑制できる。
【0107】
(18)幾つかの実施形態では、上記(15)の構成において、接続部材180は、以下で説明するような少なくとも1つの第2板部材182と、少なくとも1つの第1板部材181を含むとよい。ここで、第2板部材182は、板の表面が燃焼筒46の軸方向に延在する板部材であるとよい。第1板部材181は、第2板部材182と、第1領域111、112における音響デバイス100についての燃焼筒46の周方向の端面150aと、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aとで囲まれた領域に配置され、板厚方向が燃焼筒46の軸方向に沿うように配置された板部材であるとよい。
【0108】
上記(18)の構成によれば、第1板部材181によって、上述した上記構成(16)における作用効果と同様の作用効果を奏し、第2板部材182によって、上述した上記構成(17)における作用効果と同様の作用効果を奏する。また、上記(18)の構成によれば、第2板部材182と、第1領域111、112における音響デバイス100についての上記端面150aと、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aとで囲まれた領域に第1板部材181が配置されるので、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の外周面100aに沿って第1領域111、112における一方の領域111と他方の領域112とを結ぶ方向に流れる圧縮空気の流れに対して第1板部材181が影響を及ぼすことを抑制できる。
【0109】
(19)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(18)の何れかの構成において、第1領域111、112における音響デバイス100についての燃焼筒46の周方向の端面150aを有する板部材153の厚さは、第1領域111、112における音響デバイス100の外周面100aを有する板部材156の厚さよりも厚いとよい。
【0110】
上記(19)の構成によれば、上記端面150aを有する板部材153の厚さを厚くすることで、上述したような燃焼筒46の横オーバル変形を抑制できる。
【0111】
(20)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービン1は、上記(1)乃至(19)の何れかの構成のガスタービン用燃焼器4を複数備える。複数のガスタービン用燃焼器4は、ガスタービン1の周方向に配置される。ガスタービン1の周方向で隣り合う2つのガスタービン用燃焼器4は、該2つのガスタービン用燃焼器4の内の一方のガスタービン用燃焼器4についての一対の第2領域113、114の内の一方の領域113が、該2つのガスタービン用燃焼器4の内の他方のガスタービン用燃焼器4についての一対の第2領域113、114の内の他方の領域114と、ガスタービンの周方向で隣り合うように配置されている。
【0112】
上記(20)の構成によれば、該2つのガスタービン用燃焼器4同士の間隔を大きくできる。これにより、燃焼筒46内に流入する際の圧縮空気の流れにおいて上述したような燃焼筒46の周方向の位置による偏りを抑制できる。したがって、燃焼振動やNOx等の発生を抑制できるガスタービン1を実現できる。
【0113】
(21)幾つかの実施形態では、上記(20)の構成において複数のガスタービン用燃焼器4は、ガスタービン1の周方向に順に並んだ第1乃至第3ガスタービン用燃焼器4A、4B、4Cを含む。第2ガスタービン用燃焼器4Bにおいて、一対の第2領域113、114が存在する第2ガスタービン用燃焼器4Bの軸方向の範囲内に存在し、第2ガスタービン用燃焼器4Bの中心軸線AXc(第1中心軸線AXc1)上に存在する点を第2点P2とする。第1ガスタービン用燃焼器4Aにおいて、一対の第2領域113、114が存在する第1ガスタービン用燃焼器4Aの軸方向の範囲内に存在し、第1ガスタービン用燃焼器4Aの中心軸線AXc(第1中心軸線AXc1)上の点であって、第2ガスタービン用燃焼器4Bにおける第2点P2と同じ軸方向位置の点を第1点P1とする。第3ガスタービン用燃焼器4Cにおいて、一対の第2領域113、114が存在する第3ガスタービン用燃焼器4Cの軸方向の範囲内に存在し、第3ガスタービン用燃焼器4Cの中心軸線AXc(第1中心軸線AXc1)上の点であって、第2ガスタービン用燃焼器4Bにおける第2点P2と同じ軸方向位置の点を第3点P3とする。第2点P2と第1点P1とを結ぶ第1線分Lv1と、第2ガスタービン用燃焼器4Bにおける一対の第2領域113、114の外表面113a、114aとが、第2点P2と第1点P1との間で交差する交差位置CPにおいて、該外表面113a、114aと接する該外表面113a、114aの接平面を第1接平面Pt1とする。第2点P2と第3点P3とを結ぶ第2線分Lv2と、第2ガスタービン用燃焼器4Bにおける一対の第2領域113、114の外表面113a、114aとが、第2点P2と第3点P3との間で交差する交差位置にCPおいて、該外表面113a、114aと接する該外表面113a、114aの接平面を第2接平面Pt2とする。
第2ガスタービン用燃焼器4Bにおける第1領域111、112は、第1接平面Pt1と第2接平面Pt2との間に存在するとよい。
【0114】
上記(21)の構成によれば、第1領域111、112におけるガスタービン1の周方向に沿った大きさを抑制できるので、ガスタービン1の周方向で隣り合うガスタービン用燃焼器4同士で第1領域111、112同士が干渉し難くなる。
【0115】
(22)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンの組立方法は、ガスタービン1の組立方法であって、上記(1)乃至(19)の何れかの構成のガスタービン用燃焼器4の複数をガスタービン1のケーシング20内にガスタービン1の周方向に配置する工程S10を備える。配置する工程S10では、ガスタービン1の周方向で隣り合う2つのガスタービン用燃焼器4において、一方のガスタービン用燃焼器4における一対の第2領域113、114の内の一方の領域113と、他方のガスタービン用燃焼器4における一対の第2領域113、114の内の他方の領域114とがガスタービン1の周方向で隣り合うように、複数のガスタービン用燃焼器4を配置する。
【0116】
上記(22)の方法によれば、一対の第2領域113、114における音響デバイス100の厚さt11が第1領域111、112における音響デバイス100の厚さt12よりも小さいので、ガスタービン1の周方向で隣り合う燃焼筒46間の空間40aを確保し易くなる。これにより、燃焼筒46内に流入する際の圧縮空気の流れにおいて上述したような燃焼筒46の周方向の位置による偏りを抑制できる。したがって、燃焼振動やNOx等の発生を抑制できるガスタービン用燃焼器4を実現できる。
【符号の説明】
【0117】
1 ガスタービン
4 ガスタービン用燃焼器(燃焼器)
46 燃焼筒(燃焼器ライナ)
100 音響デバイス
101 内側音響デバイス
103 外側音響デバイス
111、112 第1領域
113、114 一対の第2領域
120 第3領域
130 第4領域
160 共鳴室(共鳴空間)
180 接続部材
181 第1板部材
182 第2板部材
201 音響ライナ
203 音響ダンパ
【要約】
【課題】燃焼筒内に流入する圧縮空気の偏りを抑制する。
【解決手段】一実施形態に係るガスタービン用燃焼器の音響デバイスは、燃焼筒の下流側に位置し、燃焼筒の径方向において燃焼筒を挟んだ一対の位置の少なくとも何れか一方に存在する第1領域と、一対の位置とは燃焼筒の軸方向位置が少なくとも一部で重複し、かつ、一対の位置とは燃焼筒の周方向位置が異なり、径方向において燃焼筒を挟んだ位置に存在する一対の第2領域と、第1領域および第2領域に対して燃焼筒の上流側に位置する第3領域と、を有する。一対の第2領域における音響デバイスの径方向の厚さは、第1領域における音響デバイスの径方向の厚さよりも小さく、第3領域における音響デバイスの径方向の厚さは、一対の第2領域における音響デバイスの径方向の厚さよりも大きい。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10