特許第6980156号(P6980156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6980156ループ形成のための装置、シンカー手段およびループ形成のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980156
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】ループ形成のための装置、シンカー手段およびループ形成のための方法
(51)【国際特許分類】
   D04B 15/06 20060101AFI20211202BHJP
【FI】
   D04B15/06 A
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2021-522049(P2021-522049)
(86)(22)【出願日】2019年10月9日
(65)【公表番号】特表2021-531423(P2021-531423A)
(43)【公表日】2021年11月18日
(86)【国際出願番号】EP2019077320
(87)【国際公開番号】WO2020083644
(87)【国際公開日】20200430
【審査請求日】2021年6月22日
(31)【優先権主張番号】18202046.1
(32)【優先日】2018年10月23日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500131561
【氏名又は名称】グロッツ−ベッケルト・カーゲー
(73)【特許権者】
【識別番号】598014043
【氏名又は名称】サントニ エッセ.ピ.ア.
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルンレ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレオーリ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】リッツィ,ステファノ
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2002/046508(WO,A1)
【文献】 特開2009−138323(JP,A)
【文献】 西独国特許出願公告第1084420(DE,B)
【文献】 米国特許第9732451(US,B2)
【文献】 欧州特許出願公開第2038460(EP,A1)
【文献】 特開2013−237936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ形成のための装置(1)であって、
少なくとも1つの針(4)を収容するための少なくとも1つの第1の溝(3)を含むシリンダー(2)と、
少なくとも1つのシンカー手段(5)を収容するための少なくとも1つの第2の溝(15)を有するシンカーリング(27)と、
少なくとも1つのシンカー手段(5)であって、
作動のための作動部(12)と、
ループの押し下げおよびノックオーバーのためのループ形成部(7)と、を含み、
少なくとも1つのシンカー手段(5)のループ形成部(7)は、開口部(11)を有し、
少なくとも1つのシンカー手段(5)は、少なくとも部分的に、単一の第2の溝(15)に収容される、少なくとも1つのシンカー手段(5)と、
少なくとも1つの針(4)であって、
第1の溝(3)に少なくとも部分的に収容され、
針(4)はループ形成部を含み、
該ループ形成部は、針(4)の長さ方向の延長の一部を含んでいる、少なくとも1つの針(4)と、を含んでおり、
前記開口部(11)は、シンカー手段(5)の幅方向(x)に2つの側面(23)で区切られ、前記少なくとも1つの針(4)のループ形成部は、少なくとも部分的に、少なくとも1つのシンカー手段(5)のループ形成部(7)の前記開口部(11)の2つの側面(23)の間に移動可能に配置されている、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
少なくとも1つの第2の溝(15)は、幅よりも最大で3.5倍深い、ことを特徴とする請求項1に記載のループ形成のための装置(1)。
【請求項3】
少なくとも1つのシンカー手段(5)は、2つの異なるシンカー(16)を含み、
2つの異なるシンカー(16)のうち、少なくとも第1のシンカーは、少なくとも1つの湾曲部を含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載のループ形成のための装置(1)。
【請求項4】
少なくとも1つのシンカー手段(5)は、単一の部品のみで構成される単一要素シンカー手段(19)である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のループ形成のための装置(1)。
【請求項5】
単一要素シンカー手段(19)は、シンカー手段(5)の長さ方向(y)の延長の少なくとも一部であって、最大で幅の3.5倍の高さを有する一部を含む作動部(12)を含んでいる、ことを特徴とする請求項4に記載のループ形成のための装置(1)。
【請求項6】
少なくとも1つのシンカー手段(5)のループ形成部(7)を少なくとも部分的に収容するための少なくとも1つの第3の溝(21)を含み、
少なくとも1つの第3の溝(21)は、幅よりも最大で3.5倍深い、ことを特徴とする請求項5に記載のループ形成のための装置(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの第2の溝(15)の底部(28)の位置は、シリンダーの中心軸の方向において、少なくとも1つの第3の溝(21)の底部(22)よりも高いか、または同じ高さである、ことを特徴とする請求項6に記載のループ形成のための装置(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの第3の溝(21)を組み込むための部材(6)を含み、該部材は、
望ましくは、少なくとも1つの針(4)を含むシリンダー(2)の一部を形成し、かつ
少なくとも1つの内向き縁部(20)を備えており、
少なくとも1つの内向き縁部(20)は、シンカー手段(5)の長さ方向(y)および高さ方向(z)の平面内で、少なくとも1つの第3の溝(21)の底部(22)と鋭角をなし、
少なくとも1つの内向きのエッジ(20)は、シリンダーの中心軸に向いている、
ことを特徴とする請求項6または7に記載のループ形成のための装置(1)。
【請求項9】
少なくとも1つのシンカー手段(5)の前方部(14)、より好ましくは前方部およびループ形成部(7)は、機械の一部であるいかなる部材(6)にも接触しない、ことを特徴とする請求項4から8のいずれか1項に記載のループ形成用装置(1)。
【請求項10】
ループのノックオーバーおよび押し下げを行うためのシンカー手段(5)であって、
作動のための少なくとも1つの作動部(12)であって、少なくとも1つのシンカー手段(5)の作動部(12)は、シンカーリング(27)の単一の第2の溝(15)に少なくとも部分的に収容されるために適している、作動部と、
ループのノックオーバーおよび押し下げのためのループ形成部(7)であって、少なくとも1つのシンカー手段(5)のループ形成部(7)は、開口部(11)を含んでいる、ループ形成部と、を含み、
前記開口部(11)は、少なくとも1つのシンカー手段(5)のループ形成部(7)の前記開口部(11)の2つの側面(23)の間に、針(4)のループ形成部の長さ方向の延長の少なくとも一部を移動可能に配置するために、2つの側面(23)によってシンカー手段の幅方向(x)に区切られている、ことを特徴とするシンカー手段。
【請求項11】
前記少なくとも1つの作動部(12)は、シンカー手段(5)の長さ方向の延長の一部に備えられ、編み機の単一のカムトラックによって駆動されるのに適しており、
前記少なくとも1つの作動部(12)は、シンカー手段(5)の開口部(11)の両側面(23)を駆動するのに適している、ことを特徴とする請求項10に記載のシンカー手段(5)。
【請求項12】
シンカー手段(5)は、2つの異なるシンカー(16)で構成され、
2つのシンカー(16)のうち、少なくとも第1のシンカーは、少なくとも1つの湾曲部を含む、ことを特徴とする請求項10または11に記載のシンカー手段(5)。
【請求項13】
第1のシンカー(16)は、ループ形成部(7)よりも幅広の前方部(14)と、
ループ形成部(7)と作動部(12)の間にある中間部(13)よりも幅広のループ形成部(7)と、
中間部(13)よりも幅広の、好ましくはループ形成部(7)よりも幅広の、作動部(12)と、を有する、ことを特徴とする請求項12に記載のシンカー手段(5)。
【請求項14】
少なくとも1つのシンカー手段(5)は、単一の部品のみで構成される単一要素シンカー手段(19)であり、
前記開口部(11)は、その長さ方向(y)に前方部(14)に向かって区切られている、ことを特徴とする請求項10または11に記載のシンカー手段(5)。
【請求項15】
ループ形成部(7)は、ノックオーバー縁部(8)を備え、
作動部(12)は、バット(10)と、該バット(10)を囲む2つのシャフト部を含み、
該2つのシャフト部のうち、少なくとも1つのシャフト部は上縁(26)を有し、
少なくとも1つのシャフト部の上縁(26)は、シンカー手段(5)の高さ方向(z)においてノックオーバー縁部(8)よりも上方に位置する、ことを特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載のシンカー手段(5)。
【請求項16】
ループ形成のための方法であって、
シンカー手段(5)の作動部(12)によって、シンカーリング(27)の少なくとも1つの第2の溝(15)内で少なくとも1つのシンカー手段(5)を作動させるステップであって、
少なくとも1つのシンカー手段(5)は、編み工程間に単一の第2の溝(15)に少なくとも部分的に収容され、
シンカー手段(5)は、ループの押し下げおよびノックオーバーを行うループ形成部(7)を備え、
少なくとも1つのシンカー手段(5)のループ形成部(7)は、開口部(11)を備えている、ステップと、
少なくとも1つの針(4)を作動させるステップであって、
該少なくとも1つ針は、自身のループ形成部でループ形成工程にも参加し、
前記少なくとも1つの針のループ形成部は、針(4)の長さ方向の延長の一部を含んでいる、ステップと、を含み、
前記開口部(11)は、2つの側面によってシンカー手段(5)の幅方向(x)に区切られており、少なくとも1つの針(4)は、少なくとも1つのシンカー手段(5)のループ形成部(7)の前記開口部(11)の2つの側面(23)の間で、少なくともシンカー手段(5)の高さ方向(z)に移動する、ことを特徴とする方法。
【請求項17】
単一のカムトラックが、単一の第2の溝(15)に収容されている少なくとも1つのシンカー手段(5)の作動部(12)を駆動する、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ループ形成のための装置、ループ形成のための装置に使用可能なシンカー手段、およびループ形成のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2012/055591号には、競争力のあるコストで製造することができ、一方で高い強度と信頼性を提供するハイゲージでのループ形成のための装置が開示されている。この装置の別の目的は、エネルギー消費を低減することである。これらの目的を達成するために、シリンダーは、針の摺動のためのチャネル(または溝)の数が、編地を形成する針の前部のためのチャネル(または溝)の数よりも少なくなっている。さらに、国際公開第2012/055591号には、シンカーのない丸編み機について、シリンダーの外側に配置される編地保持要素が開示されている。編地保持要素は、ヒールと、編地のためのストップショルダーを定める部分とを含み、編地の引き抜き動作中の針に沿った編地の引っ張りを相殺するようになっている。
【0003】
独国特許出願公開第102013104189号には、シンカーリングの1つの溝に挿入されることが意図された一対のシンカーが開示されている。第1のシンカー1は、その前部14にループ形成(押し下げ、ノックオーバー)のための手段を含んでおり、一方、第2のシンカー2により、第1のシンカーのバットにかかる負荷を軽減し、編み機のエネルギー消費量を減少させることが図られている。シンカーは、開口部と、これらのシンカーが貫通するが互いに接触しない肉厚部からなる。これらの部分とシンカーの間には、糸くずが溜まる可能性のある凹部が存在する。独国特許出願公開第102013104189号に記載されたループ形成装置の任意の2つの隣接する針は、上記一対のシンカーのループ形成部を囲っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなループ形成装置を備えた編み機は、例えば天然の繊条糸を編む際のループ形成時に発生する糸くずで機械部品が覆われない限り、高い信頼性で動作することが証明されている。ループ形成装置の溝に糸くずが溜まると、針やシンカーの正確な動きができなくなり、高い信頼性が得られなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、製造が容易であり、かつ、糸くずによって目詰まりしにくい、ループ形成のための装置を提供することである。また、それぞれのシンカー手段と、ループ形成のための方法も請求されている。
【0006】
本発明のループ形成のための装置は、少なくとも1つの針を少なくとも部分的に収容するための少なくとも1つの第1の溝を有するシリンダーと、少なくとも1つのシンカー手段を少なくとも部分的に収容するための少なくとも1つの第2の溝を有するシンカーリングと、を含む。本明細書にいう「少なくとも部分的」とは、それぞれの溝に少なくとも一時的に(溝内での編み具の動きに応じて)収容される編み具の部分がある一方で、編み具の他の部分が溝から長さ方向または高さ方向に突出していることを意味する。ほとんどの場合、少なくとも1つのシンカー手段の少なくとも作動部は、少なくとも部分的に第2の溝に収容される。有利には、1つの第1の溝は、唯一つの針のみを収容する。
【0007】
上述したように、ループ形成のための装置は、少なくとも1つのシンカー手段と、少なくとも1つの針とを含む。少なくとも1つのシンカー手段は、その作動のための作動部を含んでいる。好ましい実施形態において、作動部は、カムトラックによって作動させることができるバットを含む。いくつかの好ましい実施形態において、単一のカムトラックによって作動させることができるバットを有する作動部を有する。これらの実施形態のいくつかは、単一の部品のみで構成される、いわゆる単一要素シンカー手段からなる。他のシンカー手段は、2つの異なるシンカーで構成されている。しかし、これらの2つの異なるシンカーであっても、単一のカムトラックによって作動する作動部を備えることができる。
【0008】
少なくとも1つのシンカー手段、好ましくは、少なくとも1つのシンカー手段の作動部は、シンカーリングの単一の第2の溝に部分的に配置されている。少なくとも1つのシンカー手段のループ形成部は、ループのノックオーバーおよび押し下げをするためのものである。好ましくは、シンカー手段は、針がシリンダー内に引き込まれたときにループの形成に関与するノックオーバー縁部と、針が糸を捕捉するためにシリンダーから立ち上がったときに生地または少なくともステッチを押し下げるための縁部とを含む。この2つの機能を有するシンカーは、数十年前から技術の最先端にあり、さまざまな機器に使用されている。通常、シンカーは、薄い金属の帯状のプレス部品であり、そのほとんどがバットを含んでいる。そのため、当業者であれば、シンカーの幅方向(x)は、シンカーがプレス加工された金属薄板の厚さ方向を向いていると理解するものである。シンカーの長さ方向(y)は、多くの場合、カムトラックと相互作用するバットの面に対して直角である。また、高さ方向(z)は、前述の両方向に対して直角である。少なくとも1つのシンカー手段のループ形成部は、少なくとも1つの針のループ形成部を収容するための開口部を含む。この際、開口部は、2つの側面によってシンカー手段の幅方向(x)に区切られている。この説明は、単一の部品のみで構成される、いわゆる単一要素シンカー手段を含む実施形態、および、2つの異なるシンカーで構成されるシンカー手段を有する実施形態にも適用される。前述した第2の種類(2つの異なるシンカー)のほとんどの実施形態では、開口部の2つの異なる側面は、シンカー手段を形成する2つの異なるシンカーに属している。2つの異なるシンカーで構成されたシンカー手段の場合、スロットが2つの異なるシンカーを分けている。したがって、開口部は、シンカー手段の長さ方向の延長の、スロットが針のループ形成部を取り囲むのに十分な幅を有する部分を形成する。少なくとも1つのシンカー手段の2つの側面の間の距離は、ほとんどの場合、ゼロよりも大きい。
【0009】
少なくとも1つの針は、その長さ方向の延長の一部であるループ形成部を含む。ループ形成工程の間、針は糸と相互作用しなければならない。針の長さ方向の延長のこの部分は、ほとんどの場合針の前端部の近くにあり、針は、この部分にフックおよびラッチを含む場合が多い。ループ形成部は、少なくとも部分的に、少なくとも1つのシンカー手段のループ形成部の開口部の2つの側面の間に移動可能に配置されている。針のループ形成部の一部は、開口部の側面によって移動可能に収容され、および/または横方向に挟まれ、および/または取り囲まれるものであってもよい。開口部の側面は、針のループ形成部の一部を囲うものであってもよい。針のループ形成部と、少なくとも1つのシンカー手段の側面は、通常、互いに接触しない。単一の第2の溝に配置され、針のループ形成部を移動可能に配置するための2つの側面を有する開口部を含むシンカー手段は、様々な有利な効果を有する。シンカーリングの第2の溝は、より幅広に製造することができる。その結果、第2の溝の高さと幅の比率が低くなる。そのため、溝の製造が容易になり、迅速かつ安価に製造することができる。また、シンカーリングからシンカー手段を取り外す際に、高さと幅の比率が低い溝は清掃しやすい。驚くべきことに、本発明にしたがうループ形成のための装置は、糸くずによる目詰まりが起こりにくい。そのため、装置の信頼性が向上する。本発明の装置の上述したすべての特徴は、シンカー手段に対して少なくともシンカー手段の高さ方向に移動可能な少なくとも1つの針を備えている場合、非常に驚くべき方法で本発明の課題を解決する。好ましくは、少なくとも1つの針は、(最も有利には)、シンカー手段の長さ方向(y)に対して90°の角度で、シンカー手段に対して移動可能である。少なくとも1つの針は、シンカー手段の長さ方向に対して80°、100°、または60〜120°の角度で、あるいはその他の任意の角度で、移動可能であってもよい。また、少なくとも1つの針、またはその長さ方向の延長の一部を含む少なくともその作動部は、シリンダーの第1の溝に配置され、移動可能に保持される。この手段は、多くの有益な機会を提供するものである。
【0010】
ループ形成のための装置に自己清掃作用があるため、編み機の完全な清掃作業は必要ではないか、または作業が速められて負担が少なくなる。さらに、義務的な清掃作業は、その期日が来る頻度が少なくなるか、または期日がなくなる。ループ形成のための装置の義務的な保守またはサービスの停止の間の期間が延長される。換気装置としての従来の糸くず削減システムは、溝の縦横比(height to depth ratio)が低い場合、繊維または繊維片(糸くずの主成分)を溝からより容易に取り除くことができると考えられる。驚くべきことに、この説明は、シンカー手段の作動部と溝の側壁との間の遊びの寸法が、一般的な最新の装置に対して変更されていない場合にも明白に適用される。シンカーリングの第2の溝の数が、シリンダーの第1の溝の数よりも少ないと有利である。また、第3の溝の数は、第1の溝の数よりも少ないものであってもよい。有利には、第2および/または第3の溝の数は、例えば、第1の溝の数の半分である。
【0011】
幅よりも最大で3.5倍深い、(シンカー手段の作動部を部分的に収容するための)少なくとも1つの第2の溝を備えた本発明の装置を提供することが有利である。この追加の特徴は、前述した特徴の組み合わせを有する装置に容易に設けることができる。それぞれの溝は、容易に清掃することができるか、または清掃する必要がない。シンカーリングの溝の高さは、上記の通り、最大で溝の幅の3.5倍とすることができる。また、シンカーリングの溝の高さは、最大で溝の幅の2.5倍であると有利である。前述したように、少なくとも1つのシンカー手段は、2つの異なるシンカーを含むか、または単一の部品のみで構成される単一要素シンカー手段のいずれであってもよい。単一の部品のみで構成されている単一要素シンカー手段の場合、ループ形成のための装置の少なくとも1つの第2の溝の深さをその幅で割った上記の比率は、有利には最大で2.5である。少なくとも1つの第2の溝の有利な深さは、約1.6mmである。少なくとも1つの第2の溝の深さは、有利には1.2mmから2mmの間、さらに有利には1.4mmから1.8mmの間である。シンカー手段が2つの異なるシンカーで構成されている場合、特に2つの異なるシンカーのうちの少なくとも1つのシンカーがその長さにわたって変化する幅を有している場合には、少なくとも1つの第2の溝の幅は、有利には、ループ形成のための装置のピッチの70%から110%の間、さらに有利には約90%とすることができる。全てのシンカーが一定の幅を有する場合、少なくとも1つの第2の溝の幅は、有利には、ループ形成のための装置のピッチの35%から55%の間、さらに有利には約45%とすることができる。シンカー手段が単一の部品から構成される単一要素シンカー手段である場合、少なくとも1つの第2の溝の幅は、有利には、ループ形成のための装置のピッチの100%から140%の間、さらに有利には約120%とすることができる。また、幅が変化する異なる2つのシンカーから構成されるシンカー手段をループ形成のための装置に使用する場合には、少なくとも1つの第2の溝の幅をピッチの約120%とすることが有利である。ループ形成のための装置のピッチが、例えば、22ggと指定されたの装置であれば1.15mm、28ggと指定された装置であれば0.91mm、40ggと指定された装置であれば0.64mmであることは、当業者には周知である。
【0012】
シンカー手段として2つの異なるシンカーを使用する場合、2つのシンカーのうちの少なくとも1つのシンカーに、少なくとも1つの湾曲部または屈曲部を設けることが有利である。これは、開口部を設けるための1つの可能な手段である。湾曲部または屈曲部を備え得る少なくとも1つのシンカーの湾曲部または屈曲部は、シンカー手段の幅方向における2つのシンカーの間の距離を提供し、それによって、シンカー手段のそれぞれのループ形成部に開口部が形成されるからである。2つの異なるシンカーの両方に少なくとも1つの湾曲部または屈曲部を設けることで、同等の結果を得ることができる。別の有利な実施形態は、2つの異なるシンカーから構成されるシンカー手段であって、少なくとも1つの第1のシンカーが、その長さ方向の延長の、2つの異なるシンカーの間に開口部を形成するために幅が縮小された部分を含むものとすることができる。そして、幅が縮小された部分は、本発明の意味での湾曲である。開口部を設けるためのループ形成部における本発明の異なるシンカーの幅の縮小は、作動部の幅または最大幅の25%ら70%の範囲、または30%ら60%の範囲、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも40%とすることができる。いずれの実施形態においても、湾曲は、その湾曲が曲げによるものかまたは幅の縮小によるものかにかかわらず、シンカー手段の幅方向と長さ方向の平面内にあることができる。また、開口部を設けるための1つまたは複数の湾曲部は、作動部、ループ形成部、中間部、その他のすべての部分のような、シンカー手段の長手方向の延長の任意の部分に設けることができる。シンカーリングの単一の溝に配置された2つの異なるシンカーを含むシンカー手段は、異なるシンカーの2つのループ形成部のいずれかのシンカーの幅方向を向く両対向面のうち少なくとも第1の対向面が、異なるシンカーの作動部の少なくとも一部のシンカーの幅方向を向く両対向面のうち少なくとも第1の対抗面に対して、同一方向に少なくとも部分的に平行移動している構成とすることができる。また、少なくとも1つの屈曲部を含む2つの異なるシンカーを備えたシンカー手段の実施形態は、異なるシンカーのループ形成部のシンカーの幅方向を向く両対向面が、異なるシンカーの作動部の少なくとも一部の前記方向を向く両対向面に対して、同一方向に少なくとも部分的に平行移動している構成とすることができる。少なくとも1つのシンカー手段の作動部は、有利には、少なくとも1つの第2の溝に一般的に知られている公差で適合する。
【0013】
シンカー手段の長さ方向(y)の延長の少なくとも一部を含み、高さ(高さ方向zの延長)が幅方向(x)の延長よりも最大で3.5倍、または最大で3倍、または最大で2.5倍である作動部を有する単一要素シンカー手段を備えることが有利である。少なくとも1つのシンカー手段の作動部は、有利には、少なくとも1つの第2の溝に、一般的に知られている公差で適合する。単一の部品から構成される単一要素シンカー手段は、プレス加工された1つの平坦な金属部品から機械加工された単一の部品を含むものであってもよい。また、異なる部品、さらには異なる材料から接合された単一の部品も有利であり得る。
【0014】
本発明のループ形成のための装置のシンカー手段は、作動手段を有する作動部が、ピッチが小さい場合(例えば、50gg)には、も高さ(高さ方向の延長z)が幅(幅方向の延長x)より最大で2.5倍である。ピッチが大きい場合(例えば、22gg)には、シンカー手段の長さ方向の延長(y)の少なくとも一部は、幅と高さがほぼ同じである。このような比率により、シンカー手段の作動部の幅は、ループ形成のための装置のピッチに約1.3の係数を乗じたものになる。
【0015】
また、少なくとも1つのシンカー手段の前方部および/またはループ形成部を部分的に収容する少なくとも1つの第3の溝を備えることが有利である。この少なくとも1つの第3の溝が、幅よりも最大で3.5倍、または最大で3倍、または最大で2倍の深さである場合、さらなる利点が生じる。少なくとも1つの第3の溝の深さは、有利には、0.9mmから1.3mmの間、さらに有利には、約1.1mmとすることができる。少なくとも1つの第3の溝の幅は、ループ形成のための装置のピッチに応じて、0.6mmから1.5mmの間にすることができる。単一要素シンカー手段を備えている場合、少なくとも1つの第3の溝の幅は、最も有利には、ループ形成のための装置のピッチの約1.3倍である。同じことが、異なるシンカーを有するいくつかの実施形態にも当てはまる。また、第2の溝と第3の溝が次の条件を満たすことも有利である。すなわち、少なくとも1つの第2の溝の底部は、シリンダーの中心軸の方向において、少なくとも1つの第3の溝の底部よりも高いか、または同じ高さである。本発明に係る装置にこの手段を施すことで、特に第2の溝において、驚くほど糸くずが減少する。少なくとも1つの第3の溝は、何らかの形で機械の一部である部材に組み込まれるかまたは含まれる必要がある。一般的には、多くの第3の溝が、リング(丸編み機)または横編み機の長さ方向の部材に何らかの形で含まれる。ほとんどの丸編み機では、この部材はリングであり、リングは、針のための少なくとも1つの第1の溝が組み込まれたシリンダーの一部であるか、またはシリンダーと少なくとも結合されている。
【0016】
さらに、それぞれの部材に少なくとも1つの内向き縁部を設けることが有利である。この際、少なくとも1つの内向き縁部は、少なくとも1つの第3の溝の底部とシンカー手段の長さ方向(y)および高さ方向(z)の平面内で鋭角をなし、少なくとも1つの内向き縁部は、シリンダーの中心軸を向いている。この手段により、糸くずをさらに低減することができる。内向き縁部が鋭角であるため鋭い縁部が形成され、これによって、シンカー手段が第3の溝に格納される際にシンカー手段の下面から糸くずを掻き出すことができる。第3の溝に糸くずは入らない。
【0017】
他の有利な実施形態は、第3の溝を備えていない、またはいかなるシンカー手段のための第3の溝も備えていない。この場合、第3の溝が組み込まれた部材全体、またはその少なくとも一部は余分なものであり、省略することができる。これらの場合、それぞれのシンカー手段の前方部および(多分)ループ形成部は、機械の一部であるいかなる部材にも接触しない。この文脈では、糸は、「機械の一部」ではないものと理解される。
【0018】
ループのノックオーバーおよび押し下げを行うための本発明のシンカー手段は、
作動のための作動部であって、少なくとも1つのシンカー手段の作動部は、シンカーリングの単一の第2の溝に少なくとも部分的に収容されるために適している作動部と、
ループのノックオーバーおよび押し下げのためのループ形成部と、を含む。
さらに、本発明のシンカー手段は、そのループ形成部に開口部を含む。
この開口部は、少なくとも1つのシンカー手段のループ形成部の開口部の2つの側面の間に、針のループ形成部の長さ方向の延長の少なくとも一部を移動可能に配置するために、2つの側面によって少なくともシンカー手段の幅方向(x)に区切られている。
好ましくは、本発明のシンカー手段は、次のような作動部を含む。
作動部は、シンカー手段の長さ方向の延長の一部に備えられ、編み機の単一のカムトラックで駆動されるために適している。
好ましくは、作動部は、シンカー手段の開口部の両側面を駆動するのに適している。
【0019】
前述したように、少なくとも1つの作動部は、好ましくは単一のカムトラックによって駆動され得るように、シンカー手段の長さ方向に限られた延長を有する。場合によっては、単一のバットが、カムトラックによる作動を提供する。シンカー手段が2つの異なるシンカーで構成されている場合、各シンカーはバットを備えている。シンカー手段のそれぞれの作動部は、バットがシンカー手段の長さ方向において同じ位置にある限り、好ましくは単一の作動部として理解される。この結果、編み工程中に2つの異なるシンカーの間でのシンカー手段の長さ方向(y)におけるシンカーの相対速度は、仮にあったとしても、非常に小さい。好ましくは、2つの異なるシンカーの2つの異なるバットは、ほぼ同時に駆動される。この特徴は、針を囲うための開口部を設けるために重要である。言い換えれば、シンカー手段の2つの側面は、好ましくは、同じ作動部によって駆動される。
【0020】
2つの異なるシンカーから構成される本発明にしたがうシンカー手段は、ループ形成部よりも幅広の前方部を有する第1のシンカーを含むものであってもよい。ループ形成部は、ループ形成部と作動部との間にある中間部よりも幅広であってもよい。作動部は、中間部よりも幅広であってもよく、好ましくはループ形成部よりも幅広でであってもよい。幅の広い前方部と作動部により、ループ形成のための装置は、大きな幅対深さの比を持つ溝を備えることができる。中間部を薄くすることで、針の舌部が、シンカー手段の側面に接触することなく、シンカー手段に隣接して揺動するための十分なスペースを確保することができる。ループ形成部の幅は、有利には、前方部の幅よりも小さく、かつ中間部の幅よりも広いものであってもよい。これによって、糸が均一なメッシュに編まれるための最適な縁部を提供することができる。
【0021】
少なくとも1つのシンカー手段は、単一の部品のみで構成された単一要素シンカー手段であってもよい。単一要素シンカー手段の開口部は、その長さ方向に前方部に向かって区切られ得る。開口部は、ループ形成部を通じて延びる。少なくとも1つのシンカー手段の前方部とループ形成部は、本発明のループ形成のための装置を構成する機械の一部であるいかなる部材にも接触しないことが有利である。少なくとも1つのシンカー手段の作動部は、その少なくとも一部が1つの単一の第2の溝に摺動可能に収容されるものであってもよい。ループ形成部と前方部は、シリンダーに片持ちで設けることができる。これは、特に、シンカー手段のループ形成部と前方部がシリンダーの第3の溝に収容されないことを意味する。
【0022】
本発明のループ形成のための方法は、
シンカー手段の作動部によって、シンカーリングの少なくとも1つの第2の溝内で少なくとも1つのシンカー手段を作動させるステップであって、少なくとも1つのシンカー手段は、編み工程間に単一の第2の溝に少なくとも部分的に収容され、シンカー手段は、ループの押し下げおよびノックオーバーを行うループ形成部を備え、少なくとも1つのシンカー手段のループ形成部は、開口部を備えている、ステップと、
少なくとも1つの針を作動させるステップであって、該少なくとも1つの針は、針の長さ方向の延長の一部を含むループ形成部でループ形成工程にも参加する、ステップと、を含む。
さらに、本発明の方法は、開口部が2つの側面によってシンカー手段の幅方向に区切られており、少なくとも1つの針が、少なくとも1つのシンカー手段のループ形成部の開口部の2つの側面の間で、少なくともシンカー手段の高さ方向に移動することを特徴とする。好ましくは、単一のカムトラックが、単一の第2の溝に収容されている少なくとも1つのシンカー手段の作動部を駆動する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明のループ形成装置の第1の実施形態を示す図である。
図2図2は、図1の装置を切断した断面図であり、したがって、第2の溝に収容されたシンカーの側面図でもある。
図3図3は、図1および図2のシンカーおよび装置の上面図である。
図4図4は、本発明のループ形成装置の第2の実施形態を示す図である。
図5図5は、図4の実施形態の側面図である。
図6図6は、単一要素シンカー手段の側面図である。
図7図7は、図6と同じ単一要素シンカー手段の上面図である。
図8図8は、第3の溝が設けられていない、ループ形成装置のさらなる(第3の)実施形態を示す図である。
図9図8の実施形態の側面図である。
図10図10は、互いに位置をずらして配置された縮小された幅を備える2つの異なるシンカーで構成されたシンカー手段を示す図である。
図11図11は、図10に示したシンカー手段を、2つの異なるシンカーが互いに作業位置に配置された状態で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、シリンダー2を備えた本発明のループ形成装置1の第1の実施形態を示している。シリンダーは、針4を収容するための第1の溝3を含む。ループ形成装置1は、シンカーリング27も含んでおり、シンカーリング27は、シンカー手段5を収容するための第2の溝15を含む。また、図1に示す実施形態はまた、部材6を含み、この部材6は、シンカー手段5のループ形成部7を収容するための第3の溝21を含む。部材6は、第1の溝3を有するシリンダー2と結合されているか、または一体化されている。
【0025】
図2は、図1のループ形成装置を切断して示す断面図である。したがって、図2には、第2の溝内の作業位置にあるシンカー手段5の側面も示されている。シンカー手段5は、2つの異なるシンカー16(図3に明確に示されている)で構成されている。これらのシンカー16は、ループ形成装置1の第1の実施形態で使用することができる。
【0026】
シンカー手段5は、バット10を有する作動部12を備えている。シンカー手段は、押し下げ縁部9およびノックオーバー縁部8が設けられたループ形成部7も有している。ループ形成部7と作動部12の間の接続は、中間部13によって提供される。図3のシンカー手段5は、図2のシンカー手段と同じものであるが、ループ形成装置1の一部分の上面図でシンカー手段5が示されている。この上面図には、第2の溝15内の2つの異なるシンカー16が示されている。隣接する第2の溝15は空である。図3には、針4の長さ方向の延長の一部を取り囲むまたは収容するための開口部11も示されている。なお、針4は図示されていない。また、図3は、異なる2つのシンカー16の幅が、次のように、その長さ方向yの延長にわたって変化することが示されている。
【0027】
すなわち、前方部14は、好ましくは、ループ形成部7よりも広く、ループ形成部7は、好ましくは、中間部13よりも広く、作動部12は、好ましくは非常に広く、少なくとも中間部13よりも広い。
【0028】
図4は、本発明のループ形成装置の第2の実施形態に関する別の図であり、この実施形態は、図5、6、7にも示されている単一要素シンカー手段19を備えている。第2の実施形態は、第1の実施形態と同様のものであるが、最も顕著な違いは、2つの異なるシンカー16(第1の実施形態)の代わりに、上述したように、単一要素シンカー手段19(第2の実施形態)を選択したことである。図5は、ループ形成装置1の第2の実施形態の断面図である。図5には、内向き縁部20が示されており、内向き縁部20は、図示の実施形態では、第3の溝21が組み込まれた部材6の一部である。内向き縁部20は、第3の溝21の底部22と鋭角をなしている。図5はまた、第2の溝15の底部28が、シリンダー2の中心軸の方向(これは、好ましくは、シンカー手段19の高さ方向zと同じである)において、第3の溝21の底部22よりも高いことを示している。
【0029】
図6は、単一要素シンカー手段19が、図2および図3に示されたシンカー手段5とほぼ同じ技術的特徴を含むことを示している。これらの技術的特徴のうち、とりわけ、バット10、押し下げ縁部9、およびノックオーバー縁部8は、図6に示された重要な機能的特徴である。図7は、同じ単一要素シンカー手段19の上面図であり、シンカー手段5の幅方向x(図4参照)について針4を囲う2つの側面23を備えた開口部11も示している。開口部11はまた、シンカー手段の先端方向の前面24と、作動部12の方向の後面25とを有し得る。したがって、重要なことに、図6に示されている単一要素シンカー手段19は、二次元方向(x方向およびy方向)に完全に閉じられた開口部11を備えている。他の実施形態において、シンカー手段5は、少なくとも前面24を備えていない場合がある。図6に例示的に示すように、シャフト部の上縁26は、シンカー手段の高さ方向zにおいて、シンカー手段5のループ形成部7のノックオーバー縁部8よりも高くすることができる。この特徴は、糸くずの発生を防止するために非常に有益である。
【0030】
図8および図9は、本発明のループ形成装置の第3の実施形態を示している。この第3の実施形態は、第2の実施形態と類似しており、両実施形態とも単一要素シンカー手段19を使用している。ただし、第3の実施形態は、第3の溝21が組み込まれた部材6を備えていない。したがって、第3の実施形態は、第3の溝21を備えていない。この事実の結果として、少なくとも1つのシンカー手段5のループ形成部7および前方部14は、シンカー手段6の長さ方向yにおいて、第2の溝15から突出している。これらの2つの部分は、本実施形態では、ループ形成装置1の別の部分とは一切接触していない。しかし、第2の溝15を有するシンカーリング27は、シンカー手段5の後部と接触している。
【0031】
図10および図11は、再び、2つの異なるシンカー16から構成されるシンカー手段5を示している。図10では、2つの異なるシンカー16は、互いに距離をあけて示されている。図11では、2つの異なるシンカー16が第2の溝15に収容されているときの作業位置のように、それらの側面が互いに接触している。また、図10および図11は、これら2つの異なるシンカー16の側面が図11のように接触したときに、これら2つの異なるシンカー16が開口部11を形成することを示している。
【符号の説明】
【0032】
1:ループ形成装置、2:第1の溝を備えたシリンダー、3:第1の溝、4:針、5:シンカー手段、6:部材、7:シンカー手段5のループ形成部、8:ノックオーバー縁部、9:押し下げ縁部、10:バット、11:針4の長さ方向の延長の一部を取り囲む開口部、12:作動部、13:中間部、14:前方部、15:第2の溝、16:異なるシンカー、17:第1の屈曲部、18:第2の屈曲部、19:単一要素シンカー手段、20:内向き縁部、21:第3の溝、22:第3の溝21の底部、23:開口部11の側面、24:(シンカー手段5の先端方向の)前面、25:(作動部12方向の)後面、26:シャフト部の上縁、27:シンカーリング、28:第2の溝15の底部、x:シンカー手段5の幅方向、y:シンカー手段5の長さ方向、z:シンカー手段5の高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11