特許第6980161号(P6980161)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社アライドマテリアルの特許一覧

<>
  • 特許6980161-複合材料、ヒートシンク及び半導体装置 図000006
  • 特許6980161-複合材料、ヒートシンク及び半導体装置 図000007
  • 特許6980161-複合材料、ヒートシンク及び半導体装置 図000008
  • 特許6980161-複合材料、ヒートシンク及び半導体装置 図000009
  • 特許6980161-複合材料、ヒートシンク及び半導体装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6980161
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】複合材料、ヒートシンク及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   C22C 1/05 20060101AFI20211202BHJP
   C22C 26/00 20060101ALI20211202BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20211202BHJP
   H01L 23/373 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   C22C1/05 P
   C22C26/00 Z
   C25D7/00 Q
   H01L23/36 M
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2021-535214(P2021-535214)
(86)(22)【出願日】2021年3月3日
(86)【国際出願番号】JP2021008039
【審査請求日】2021年6月17日
(31)【優先権主張番号】特願2020-70227(P2020-70227)
(32)【優先日】2020年4月9日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220103
【氏名又は名称】株式会社アライドマテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真嶋 正利
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 剛平
(72)【発明者】
【氏名】高島 浩一
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2019/163721(WO,A1)
【文献】 特開2017−075397(JP,A)
【文献】 特開平04−259305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00− 8/00
C22C 1/04− 1/06
C22C 33/02
H01L 23/34−23/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のダイヤモンド粒子と、
銅と、
珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル及びタングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素と、を含み、
前記銅及び前記第1元素の合計質量に対する前記第1元素の含有率は50ppm以上2000ppm以下である、複合材料。
【請求項2】
前記複合材料は、前記ダイヤモンド粒子を60体積%以上90体積%以下、かつ、前記銅を10体積%以上40体積%以下含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記銅及び前記第1元素の合計質量に対する前記第1元素の含有率は200ppm以上800ppm以下である、請求項1又は請求項2に記載の複合材料。
【請求項4】
前記第1元素は、前記ダイヤモンド粒子と前記銅との界面において濃化している、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の複合材料と、
前記複合材料の表面の少なくとも一部に設けられた金属めっき層と、を含むヒートシンク。
【請求項6】
請求項5に記載のヒートシンクを備える半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合材料、ヒートシンク及び半導体装置に関する。本出願は、2020年4月9日に出願した日本特許出願である特願2020−070227号に基づく優先権を主張する。当該日本特許出願に記載された全ての記載内容は、参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の大出力化、高集積化に伴いヒートシンクに対してより高い熱伝導率が求められている。ヒートシンクの材料の一つとして、高い熱伝導率を有する銅(Cu)が用いられてきた。しかし、銅は高い熱伝導率を有しているものの、熱膨張係数が代表的な半導体であるSi、InP、GaAsに比べて大きな値であった。このため、銅と半導体素子とを接合した場合、接合時の加熱温度から室温への冷却過程において、あるいは、使用時の熱サイクルに伴って、接合界面近傍に大きな熱応力が発生するため、使用できない場合があった。
【0003】
そこで、銅と、タングステンやモリブデンといった熱膨張係数の低い材料とを合金化することによって、熱膨張係数を半導体に近づけたCuW、CuMoといった材料が用いられてきた。しかし、銅以外の材料が低熱伝導率であるため、これらの合金の熱伝導率も低下する。
【0004】
高熱伝導率のヒートシンクと成り得る材料としては、ダイヤモンドが挙げられる。ダイヤモンドは1000W/mK以上の高い熱伝導率を有する。しかしダイヤモンドは熱膨張係数が半導体素子に比べて小さすぎ、GaAsのような比較的熱膨張係数の大きな半導体素子には対応できない。またダイヤモンドのヤング率は1050GPaと非常に大きいため、半導体素子とのロウ付け時の冷却過程において、あるいは、使用時の熱サイクルにおいてヒートシンクと半導体素子との界面近傍に大きな熱応力が発生するため、使用できない場合があった。
【0005】
そこで、ヒートシンクの材料として、ダイヤモンドと金属とを複合化させた材料(以下、「複合材料」とも記す。)が開発されている。ダイヤモンドと金属とを複合化する方法としては、溶浸法や高温超高圧焼結法が挙げられる。
【0006】
溶浸法とは、ダイヤモンド粒子と金属粉末の混合粉末を加圧しながら溶融凝固させてダイヤモンド粒子と金属とを複合化させる方法である。
【0007】
特開2004−197153公報(特許文献1)には、溶浸法により得られる複合材料として、ダイヤモンド粒子と、ダイヤモンド粒子の表面に形成された4a、5a及び6a族元素から選ばれた一種以上からなる金属2の炭化物を主成分とする反応層と、Ag、Cu、Au、Al、Mg、Znより選ばれた一種以上からなる金属1とからなり、金属1によって形成されたマトリックス中に反応層を有する各ダイヤモンド粒子が金属1によって隔てられて分散しているダイヤモンド−金属複合材料が開示されている。
【0008】
高温超高圧焼結法とは、ダイヤモンド粒子と金属粉末の混合粉末を高温超高圧条件下で焼結させてダイヤモンド粒子と金属とを複合化させる方法である。
【0009】
特開2003−309316号公報(特許文献2)には、高温超高圧焼結法により得られる複合材料として、ダイヤモンド粒子を主成分とし、残部が実質的に銅からなる焼結体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−197153公報
【特許文献2】特開2003−309316号公報
【発明の概要】
【0011】
本開示の複合材料は、
複数のダイヤモンド粒子と、
銅と、
珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル及びタングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素と、を含み、
前記銅及び前記第1元素の合計質量に対する前記第1元素の含有率は50ppm以上2000ppm以下である、複合材料である。
【0012】
本開示のヒートシンクは、
上記の複合材料と、
前記複合材料の表面の少なくとも一部に設けられた金属めっき層と、を含むヒートシンクである。
【0013】
本開示の半導体装置は、
上記のヒートシンクを備える半導体装置である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の複合材料のTEM像の一例を示す画像である。
図2図2は、図1の画像を元素マッピング分析して得られた元素マッピング像を示す画像である。
図3図3は、実施形態2に係るヒートシンクの代表的な構成例を説明する図である。
図4図4は、実施形態3に係る半導体装置の代表的な構成例を説明する図である。
図5図5は、せん断試験装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[本開示が解決しようとする課題]
特許文献1の複合材料は、金属マトリックスと4族元素、5族元素及び6族元素の合計に対する4族元素、5族元素及び6族元素の含有割合が質量基準で1%〜30%程度であり、ダイヤモンドと銅とが、4族元素、5族元素及び6族元素の炭化物を介して密着した構造となっている。しかし、4族元素、5族元素及び6族元素は、銅に比べて熱伝導率が低いため、複合材料の熱伝導率を低下させる一因となっている。従って、複合材料の熱伝導率の向上が望まれている。
【0016】
特許文献2の複合材料は、熱伝導率を低下させる一因である4族元素、5族元素及び6族元素を含まないため、これらの元素に起因する熱伝導率の低下は生じ難い。一方、特許文献2の複合材料を半導体素子と接合する場合、両者の接合強度を高めるために、複合材料に金属めっき処理を行うことが多い。金属めっき処理として例えば、電気ニッケルめっき処理を行うと、めっき処理後の複合材料は熱伝導率及び強度が低下する傾向があった。
【0017】
そこで、本目的は、特に、電気ニッケルめっき処理後においても、高い熱伝導率、及び、高い強度を有する複合材料、並びに、該複合材料を用いたヒートシンク及び半導体装置を提供することを目的とする。
[本開示の効果]
【0018】
本開示の複合材料は、特に、電気ニッケルめっき処理後においても、高い熱伝導率、及び、高い強度を有することができる。
【0019】
本開示のヒートシンクは、高い熱伝導率、及び、高い強度を有することができる。
本開示の半導体装置は、優れた性能を維持したまま、長い寿命を有することができる。
【0020】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0021】
(1)本開示の複合材料は、
複数のダイヤモンド粒子と、
銅と、
珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素と、を含み、
前記銅及び前記第1元素の合計質量に対する前記第1元素の含有率は50ppm以上2000ppm以下である、複合材料である。
【0022】
本開示の複合材料は、特に、電気ニッケルめっき処理後においても、高い熱伝導率、及び、高い強度を有することができる。
【0023】
(2)前記複合材料は、前記ダイヤモンド粒子を60体積%以上90体積%以下、かつ、前記銅を10体積%以上40体積%以下含むことが好ましい。これによると、複合材料の熱伝導率が更に高くなる。また、複合材料の熱膨張係数と、半導体素子の熱膨張係数との差を小さくすることができる。
【0024】
(3)前記銅及び前記第1元素の合計質量に対する前記第1元素の含有率は200ppm以上800ppm以下であることが好ましい。これによると、複合材料の熱伝導率及び強度が更に高くなる。
【0025】
(4)前記第1元素は、前記ダイヤモンド粒子と前記銅との界面において濃化していることが好ましい。これによると、複合材料の強度が更に高くなる。
【0026】
(5)本開示のヒートシンクは、
上記に記載の複合材料と、
前記複合材料の表面の少なくとも一部に設けられた金属めっき層と、を含むヒートシンクである。
本開示のヒートシンクは、高い熱伝導率、及び、高い強度を有することができる。
【0027】
(6)本開示の半導体装置は、上記に記載のヒートシンクを備える半導体装置である。
【0028】
本開示の半導体装置は、優れた性能を維持したまま、長い寿命を有することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本発明者らは、高温超高圧焼結法で作製された従来の複合材料に電気ニッケルめっき処理を行った場合に、電気ニッケルめっき処理後の複合材料の熱伝導率及び強度が低下する原因について検討した。
【0029】
はじめに、電気ニッケルめっき処理時間と熱伝導率との関係について調べた。この結果から、処理時間が長いほど、熱伝導率が低下する傾向が確認された。
【0030】
更に、電気ニッケルめっき処理後の複合材料をせん断し、せん断面を観察したところ、外周部が変色しており、変色箇所に、WATT浴(硫酸ニッケル、塩化ニッケル及びホウ酸を含む)の構成成分である塩素(Cl)が検出された。
【0031】
本発明者らは、上記の知見に基づき、電気ニッケルめっき処理時に、複合材料の熱伝導率及び強度が低下する原因について、下記の通り推察した。
【0032】
従来の複合材料の電気ニッケルめっき処理時に、複合材料中のダイヤモンド粒子と銅との界面の隙間に電気ニッケルめっき処理液が侵入する。電気ニッケルめっき処理液により界面付近に存在する銅の一部が溶出し、界面付近の銅の腐食が進む。
【0033】
銅の腐食に伴い、ダイヤモンド粒子と銅との界面の隙間が拡がり、熱伝導率及び強度が低下すると推察される。このような銅の腐食は、電気ニッケルめっき処理に限らず、他の電解めっき処理においても生じやすい。
【0034】
本発明者らは上記の推察に基づき、鋭意検討の結果、特に、電気ニッケルめっき処理後においても、高い熱伝導率、及び、高い強度を有する複合材料を新たに創作した。
【0035】
以下、本開示の複合材料、ヒートシンク及び半導体装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本開示の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、必ずしも実際の寸法関係を表すものではない。
【0036】
本明細書において「A〜B」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。
【0037】
[実施形態1:複合材料]
本開示の複合材料は、複数のダイヤモンド粒子と、銅と、珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素と、を含み、銅及び第1元素の合計質量に対する第1元素の含有率は50ppm以上2000ppm以下である、複合材料である。
【0038】
本開示の複合材料は、電気ニッケルめっき処理後においても、高い熱伝導率、及び、高い強度を有することができる。この理由は、下記の通りと推察される。
【0039】
本開示の複合材料は、珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素を含む。これらの第1元素は、銅に比べて耐食性が高い。従って、本開示の複合材料は、電気ニッケルめっき処理時に、銅の腐食が抑制される。よって、本開示の複合材料は、電気ニッケルめっき処理後においても、高い熱伝導率、及び、高い強度を有することができると推察される。
【0040】
(ダイヤモンド粒子)
本開示の複合材料はダイヤモンド粒子を含む。これにより、本開示の複合材料は、優れた熱伝導性を有することができる。
【0041】
複合材料は、ダイヤモンド粒子を60体積%以上90体積%以下、かつ、銅を10体積%以上40体積%以下含むことが好ましい。これによると、複合材料の熱伝導率が更に高くなる。また、複合材料の熱膨張係数と、半導体素子の熱膨張係数との差を小さくすることができる。
【0042】
複合材料中のダイヤモンド粒子の含有率の下限は、熱伝導率向上の観点から、60体積%以上が好ましく、70体積%以上がより好ましい。複合材料中のダイヤモンド粒子の含有率の上限は、複合材料の熱膨張係数と、半導体素子の熱膨張係数との差を小さくする観点から、90体積%以下が好ましい。複合材料中のダイヤモンド粒子の含有率は、60体積%以上90体積%以下が好ましく、70体積%以上90体積%以下がより好ましい。
【0043】
複合材料中のダイヤモンド粒子の含有率(体積%)は、下記の方法で測定される。アルゴンのイオンビーム等を用いて超硬合金をCP(Cross Section Polisher)加工することにより、平滑な断面を有する試料を得る。この試料の上記断面に対し、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて200倍で撮像することにより、上記試料の断面の電子顕微鏡像(SEM像)を得る。
【0044】
次に、上記の電子顕微鏡増に対して、画像解析ソフトを用いて、ダイヤモンド粒子を認識できる閾値を用いて二値化処理を行い二値化像を得る。該二値化像に基づき、上記二値化像全体の面積に対する、ダイヤモンド粒子の面積の和(総面積)の比率(面積比率)を算出する。この面積比率を複合材料中のダイヤモンド粒子の含有率(体積%)とみなす。本明細書において、「複合材料中のダイヤモンド粒子の含有率(体積%)」は、上記試料の断面において、重複する撮像部分が現れないようにして10枚(10視野)の電子顕微鏡像を準備し、この10視野において算出された各含有率の平均値とする。
【0045】
なお、複合材料は、後述する珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素を含むが、第1元素の含有量は銅に対して微量であるため、複合材料中の第1元素の体積割合は0と見做すことができる。
【0046】
ダイヤモンド粒子の平均粒径の下限は、ダイヤモンド粒子間の粒界、又は、ダイヤモンド粒子と銅との間の粒界を減少させて、熱伝導率を向上させる観点から、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましい。ダイヤモンド粒子の平均粒径の上限は、複合材料の加工性の向上、及び、薄型化の実現の観点から、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、70μm以下が更に好ましい。ダイヤモンド粒子の平均粒径は、3μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上80μm以下がより好ましく、10μm以上70μm以下が更に好ましい。
【0047】
本明細書中、ダイヤモンド粒子の平均粒径は、下記の方法で測定される。上記の複合材料中のダイヤモンド粒子の含有率(体積%)の測定方法と同様の方法で、試料の断面の電子顕微鏡像(SEM像)に基づき二値化像を作製する。二値化像において、各ダイヤモンド粒子の面積を求めて、それと等しい面積を持つ円の直径(円相当径)を算出し、それらの平均を平均粒径とする。本明細書において、「ダイヤモンド粒子の平均粒径」は、上記試料の断面において、重複する撮像部分が現れないようにして10枚(10視野)の電子顕微鏡像を準備し、この10視野において算出された各平均粒径の平均値とする。
【0048】
(銅)
本開示の複合材料は銅を含む。これにより、本開示の複合材料は、優れた熱伝導性を有することができる。
【0049】
複合材料中の銅の含有率の下限は、複合材料の熱膨張係数と、半導体素子の熱膨張係数との差を小さくする観点から、10体積%以上が好ましい。複合材料中の銅の含有率の上限は、熱伝導率向上の観点から、40体積%以下が好ましく、30体積%以下がより好ましい。複合材料中の銅の含有率は、10体積%以上40体積%以下が好ましく、10体積%以上30体積%以下がより好ましい。
【0050】
複合材料中の銅の含有率(体積%)は、上記の複合材料全体からダイヤモンド粒子の含有率を除して算出される。
【0051】
(第1元素)
複合材料は、珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素を含み、銅及び第1元素の合計質量に対する第1元素の含有率(以下、「第1元素の含有率」とも記す。)は50ppm以上2000ppm以下である。これによると、複合材料は電気ニッケルめっき処理後においても、高い熱伝導率、及び、高い強度を有することができる。
【0052】
複合材料中における、銅及び第1元素の合計質量に対する第1元素の含有率の下限は、熱伝導率向上、及び、強度向上の観点から、200ppm以上800ppm以下が好ましい。
【0053】
複合材料中の銅の質量基準の含有量W1及び第1元素の質量基準の含有量W2は、ICP発光分光分析法(使用機器:島津製作所製「ICPS−8100」(商品名))を用いて分析することにより測定することができる。具体的には、複合材料からなる試料0.5gを、純水10mLに濃塩酸(36%)5mL及び濃硝酸(60%)5mLを加えた酸溶液で溶解した後、溶液をICP発光分光分析法で測定して、W1及びW2の質量を算出する。W1及びW2の値に基づき、銅及び第1元素の合計質量に対する第1元素の含有率を得ることができる。
【0054】
第1元素は、ダイヤモンド粒子と銅との界面において濃化していることが好ましい。これによると、ダイヤモンド粒子と銅との界面において、第1元素による耐食性の効果が発揮されやすい。よって、電気ニッケルめっき処理時に、めっき処理液によりダイヤモンド粒子と銅との界面付近における銅の腐食がより効果的に抑制されると考えられる。
【0055】
第1元素がダイヤモンド粒子と銅との界面において濃化していることの確認方法について、下記に説明する。
【0056】
(1−1)複合材料からサンプルを採取し、日本電子社製のイオンスライサ「EM−09100IS」(商品名)を用いて、サンプルを30〜100nmの厚みに薄片化して切片を作製する。
【0057】
(1−2)上記(1−1)で作製された切片を透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子社製の「JEM−2100F/Cs」(商品名))にて10万倍で観察し、TEM付帯のエネルギー分散型X線分光法(EDX、AMETEK社製の「EDAX」(商品名))を用いて元素マッピング分析を行い、元素マッピング像を得る。元素マッピング分析では、第1元素、銅及び炭素の分布を分析する。
【0058】
本開示の複合材料のTEM像の一例を図1に示し、図1の画像を元素マッピング分析して得られた元素マッピング像を図2に示す。図1において、Diaと示される暗視野領域はダイヤモンド粒子の存在する領域(以下、「ダイヤモンド領域」とも記す。)を示し、Cuと示される明視野領域は銅の存在する領域(以下、「銅領域」とも記す。)を示す。図2において、明視野で示される部分は、第1元素(Cr)を示す。
【0059】
(1−3)上記(1−2)で得られたTEM像に基づき、ダイヤモンド粒子と銅との界面を特定する。
【0060】
(1−4)上記(1−2)で得られたTEM像と元素マッピング像とを重ね合わせ、ダイヤモンド粒子と銅との界面に対して垂直な方向に、ダイヤモンド粒子から銅にわたって、元素ライン分析を実施し、第1元素の含有量を測定する。ここで、界面に対して垂直な方向とは、界面の伸長方向の接線に対して90°±5°の角度で交差する直線に沿う方向を意味する。元素ライン分析のビーム径は0.3nm以下とし、スキャン間隔は0.1〜0.7nmとする。
【0061】
(1−5)上記(1−4)の測定の結果、界面からの距離が1nm以上30nm以下の範囲における第1元素の濃度が、界面からの距離が40nm以上50nm以下の範囲におけるダイヤモンド領域及び銅領域における第1元素の濃度よりも50%以上大きい場合に、第1元素は、ダイヤモンド粒子と銅との界面において濃化していると確認される。
【0062】
なお、上記の確認は複合材料から任意に選ばれた10箇所のサンプルを作製し、1箇所以上のサンプルにおいて上記(1−5)の条件を満たした場合に、該複合材料において、第1元素は、ダイヤモンド粒子と銅との界面において濃化していると判断される。
【0063】
(複合材料の特性)
複合材料の電気ニッケルめっき処理後の室温(23℃)における熱伝導率は、400W/mK以上が好ましく、430W/mK以上がより好ましく、450W/mK以上が更に好ましい。複合材料の熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により測定される。例えば、市販の測定器(NETZSCH社製「LFA467」)により測定される。
【0064】
本開示の複合材料は、熱膨張係数が小さいダイヤモンド粒子と、ダイヤモンドよりも熱膨張係数が十分に大きい銅とを主体とすることで、熱膨張係数が両者の中間値をとり得る。例えば、上記の複合材料の30℃〜400℃における平均の熱膨張係数は、3×10−6/K以上13×10−6/K以下が好ましく、4×10−6/K以上12×10−6/K以下がより好ましく、4.5×10−6/K以上10×10−6/K以下が更に好ましい。
【0065】
(複合材料の形状及び大きさ)
本開示の複合材料の代表的な形状は、平板状が挙げられる。製造時に用いる成形型の形状や、切削加工などによって所望の平面形状、三次元形状の複合材料にすることができる。複合材料などの大きさ(厚さ、幅、長さなど)は適宜選択できる。厚さが薄いと(例えば5mm以下、3mm以下、更に2.5mm以下)、軽量で薄型の複合材料とすることができる。
【0066】
(複合材料の製造方法)
実施形態1の複合材料の製造方法は、例えば、ダイヤモンド粉末と、銅粉末と、珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素の粉末(以下、「第1元素粉末」とも記す。)とを混合して第1混合粉末を得る工程(以下、「第1混合粉末準備工程」とも記す。)と、第1混合粉末とダイヤモンド粉末とを混合して、第2混合粉末を得る工程(以下、「第2混合粉末準備工程」とも記す。)と、第2混合粉末を高温超高圧条件下で焼結させて複合材料を得る工程(以下、「焼結工程」とも記す。)とを備えることができる。下記に各工程の詳細について説明する。
【0067】
(第1混合粉末準備工程)
まず、銅粉末と、珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素の粉末とを混合することにより、第1混合粉末を得る。
【0068】
銅粉末の大きさ(平均粒径)は、適宜選択でき、例えば、1μm以上150μm以下程度が挙げられる。この範囲であれば、同粉末が小さ過ぎず取り扱い易く、大き過ぎないため焼結時に溶融し易いと考えられる。
【0069】
第1元素粉末の大きさ(平均粒径)は、適宜選択でき、例えば、1μm以上150μm以下程度が挙げられる。この範囲であれば、同粉末が小さ過ぎず取り扱い易く、大き過ぎないため焼結時に溶融し易いと考えられる。
【0070】
第1混合粉末中の第1元素粉末の含有率(質量基準)は、最終的に製造する複合材料中の第1元素の含有率(質量基準量)が所望の値となるように選択する。第1混合粉末中の第1元素粉末の含有率は、例えば、50ppm以上2000ppm以下、200ppm以上800ppm以下とすることができる。
【0071】
原料の第1元素粉末は、純度が高いほど、熱伝導性に優れて好ましい。第1元素粉末中の各元素粉末のそれぞれの純度は、例えば、99.99%以上とすることができる。
【0072】
原料の銅粉末は、純度が高いほど、熱伝導性に優れて好ましい。銅粉末の純度は、例えば、99.99%以上とすることができる。
【0073】
(第2混合粉末準備工程)
次に、第1混合粉末とダイヤモンド粉末とを混合して、第2混合粉末を得る。
【0074】
ダイヤモンド粉末の大きさ(平均粒径)は、最終的に製造する複合材料中のダイヤモンド粒子の大きさ(平均粒径)となるように選択する。原料のダイヤモンド粉末の平均粒径は、例えば、1μm以上300μm以下、1μm以上100μm以下、20μm以上60μm以下が好ましい。
【0075】
第1混合粉末とダイヤモンド粉末との混合割合は、最終的に製造する複合材料中のダイヤモンド粒子及び銅の体積割合が所望の値となるように選択する。なお、第1混合粉末中には第1元素粉末が含まれているが、微量であるため、体積割合としては考慮しないものとすることができる。
【0076】
原料のダイヤモンド粉末は、純度が高いほど(例えば天然ダイヤモンド)、熱伝導性に優れて好ましい。一方、工業用ダイヤモンドは、純度が低いものの比較的安価であり利用し易い。この複合材料の製造方法では、工業用ダイヤモンドであっても、原料に利用できる。
【0077】
第2混合粉末中のダイヤモンド粉末の含有割合は、例えば、60体積%以上90体積%以下、70体積%以上90体積%以下とすることができる。第2混合粉末中の銅粉末の含有割合は、例えば、10体積%以上40体積%以下、10体積%以上30体積%以下とすることができる。
【0078】
(焼結工程)
次に、第2混合粉末を高温超高圧条件下で焼結させて複合材料を得る。例えば、まず、第2混合粉末をモリブデン製の容器に充填し、2t/cmの荷重でプレスし、厚さ2mmの圧粉体にする。この圧粉体を装填した容器にろう材を介してモリブデン製の蓋をし、真空中で加熱することにより容器と蓋とをろう付け封止する。
【0079】
上記の容器をベルト型超高圧発生装置に装填し、圧力3GPa、温度1200℃の条件で10分間保持した後、温度を500℃まで下げた状態で30分間保持すると同時に、圧力を徐々に大気圧まで下げる。これにより、混合粉末が焼結され、複合材料が作製される。
【0080】
[実施形態2:ヒートシンク]
本開示のヒートシンクについて、図3を用いて説明する。図3に示されるように、ヒートシンク3は、実施形態1の複合材料1と、該複合材料1の表面の少なくとも一部に設けられた金属めっき層2とを含む。該ヒートシンクは、高い熱伝導率、及び、高い強度を有することができる。
【0081】
(複合材料)
ヒートシンク3に含まれる複合材料1としては、実施の形態1に記載の複合材料を用いることができる。
【0082】
(金属めっき層)
ヒートシンクは、図3に示されるように、複合材料1の表面の少なくとも一部に設けられた金属めっき層2を含む。複合材料が金属めっき層を含むと、複合材料1と半導体素子等とを半田やロウ材などで接合する場合に、金属めっき層と半田やろう材などの金属とが十分に濡れて、複合材料と半導体素子等とを強固に接合することができる。
【0083】
金属めっき層の構成金属は、半田やロウ材の使用温度に耐え得る金属であればよく、特に限定されない。金属めっき層は、例えば、ニッケル、銅、金、亜鉛、錫、パラジウムこれらの元素の合金などが挙げられる。金属めっき層は、単層構造の他、多層構造とすることができる。
【0084】
金属めっき層は、複合材料全体の熱伝導性の低下を抑制する目的からは、薄い方が好ましい。具体的には、金属めっき層の厚さ(多層構造の場合には合計厚さ)の上限は、300μm以下、200μm以下、100μm以下が挙げられる。一方、上述の接合用下地などの目的からは、金属めっき層の厚さの下限は、0.1μm以上、0.2μm以上、0.5μm以上が挙げられる。金属めっき層の厚さは、例えば、0.1μm以上300μm以下、0.2μm以上200μm以下、0.5μm以上100μm以下とすることができる。
【0085】
(ヒートシンクの製造方法)
実施形態2のヒートシンクの製造方法は、例えば、実施形態1の複合材料を準備する工程(以下、「複合材料準備工程」とも記す。)と、複合材料に金属めっき処理を行い、複合材料の表面の少なくとも一部に金属めっき層を形成してヒートシンクを得る工程(以下、「金属めっき層形成工程」とも記す。)とを備えることができる。下記に各工程の詳細について説明する。
【0086】
(複合材料準備工程)
複合材料準備工程では、実施形態1に記載の複合材料の製造方法と同一の方法を用いて複合材料を作製することができる。具体的な方法は実施形態1に記載されているため、その説明は繰り返さない。
【0087】
(金属めっき層形成工程)
次に、複合材料に金属めっき処理を行い、複合材料の表面の少なくとも一部に金属めっき層を形成してヒートシンクを得る。金属めっき処理は、公知の金属めっき処理液を用いて、公知の方法で行うことができる。
【0088】
本開示の複合材料は、珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素を含む。これらの第1元素は、銅に比べて耐食性が高い。従って、本開示の複合材料は、金属めっき処理時に、金属めっき処理液による銅の腐食が抑制されると考えられる。よって、本開示の複合材料は、金属めっき処理後においても、高い熱伝導率、及び、高い強度を有することができると推察される。
【0089】
[実施形態3:半導体装置]
本開示の半導体装置について、図4を用いて説明する。図4に示されるように、半導体装置5は、実施形態2に記載のヒートシンク3を備える。図4では、ヒートシンク3上に半導体素子4が設けられ、半導体装置5を構成している。該半導体装置は、優れた性能を維持したまま、長い寿命を有することができる。
【実施例】
【0090】
本実施の形態を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、これらの実施例により本実施の形態が限定されるものではない。
【0091】
[試料1−1〜試料1−8、試料2−1〜試料2−8、試料3−1〜試料3−8、試料4−1〜試料4−10]
<複合材料の作製>
(第1混合粉末準備工程)
銅粉(平均粒径5μm、純度99.99%)と、表1〜表4の「第1混合粉末」の「第1元素の種類」欄に記載の種類の第1元素粉末(例えば、試料1−1では、Si(珪素)粉末)とを混合して第1混合粉末を得た。第1混合粉末中の第1元素粉末の含有率は表1〜表4の「第1混合粉末」の「第1元素の含有率(ppm)」欄に記載の量とした(例えば。試料1−1では、55ppm)。
【0092】
(第2混合粉末準備工程)
次に、第1混合粉末とダイヤモンド粉末とを、第2混合粉末中のそれぞれの含有割合が表1〜表4の「第2混合粉末」の「ダイヤモンド粉末(体積%)」及び「第1混合粉末(銅粉末)(体積%)」欄に記載の割合となるように混合して第2混合粉末を得た(例えば、試料1−1では、ダイヤモンド粉末72体積%、第1混合粉末28体積%の割合で混合した。)。なお、第1混合粉末中には第1元素粉末が含まれているが、第1元素粉末は微量であるため、その体積割合は考慮しないものとする。
【0093】
(焼結工程)
次に、第2混合粉末を内径25mm、深さ5mmのモリブデン製容器に充填し、2t/cmの荷重でプレスし、厚さ2mmの圧粉体にした。この圧粉体を装填した容器にろう材を介してモリブデン製の蓋をし、真空中で加熱することにより容器と蓋とをろう付け封止した。
【0094】
上記の容器をベルト型超高圧発生装置に装填し、圧力3GPa、温度1200℃の条件で5分間保持した後、温度を500℃まで下げた状態で30分間保持すると同時に、圧力を徐々に大気圧まで下げた。回収したモリブデン容器の上下を平面研削盤で研削して成形体を得た。
【0095】
成形体をワイヤー放電加工により、サイズφ50mm×2mmの板状に切り出し、表面を両面研削機で研削した。更に、ワイヤー放電加工により、サイズ15mm×1mm×2mmの個片に切断した。これにより、各試料の複合材料からなる個片を得た。
【0096】
<ヒートシンクの作製>
(金属めっき層形成工程)
各試料の複合材料からなる個片に、電気ニッケルめっき処理を行い、個片の全面に厚さ3μmのニッケル層(金属めっき層)を形成して各試料のヒートシンクを得た。めっき処理液は、WATT浴(組成:硫酸ニッケル250g/L,塩化ニッケル60g/L,ホウ酸40mL/L)を用いた。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
<評価>
(複合材料の組成)
各試料の複合材料からなる個片について、ダイヤモンド粒子の含有率、銅の含有率を測定した。具体的な測定方法は実施形態1に記載されている方法と同一であるため、その説明は繰り返さない。結果を表1〜表4の「複合材料」の「ダイヤモンド粒子(体積%)」及び「銅(体積%)」欄に示す。
【0102】
(銅及び第1元素の合計質量に対する第1元素の含有率)
各試料の複合材料からなる個片について、銅及び第1元素の合計質量に対する第1元素の含有率を測定した。具体的な測定方法は実施形態1に記載されている方法と同一であるため、その説明は繰り返さない。結果を表1〜表4の「複合材料」の「銅及び第1元素の合計質量に対する第1元素の含有率(ppm)」欄に示す。
【0103】
(第1元素の濃化)
各試料の複合材料からなる個片について、ダイヤモンド粒子と銅との界面において第1元素の濃化の有無を確認した。具体的な確認方法は実施形態1に記載されている方法と同一であるため、その説明は繰り返さない。結果を表1〜表4の「複合材料」の「第1元素の濃化」欄に示す。第1元素の濃化が確認された場合は「あり」、確認されない場合は「なし」と記載される。
【0104】
(熱膨張係数)
各試料の複合材料からなる個片について、熱膨張係数を熱機械分析(測定装置:島津製作所製「TMA−60D」(商標))により測定した。結果を表1〜表4の「複合材料」の「熱膨張係数(ppm/K)」欄に示す。
【0105】
(強度)
各試料のヒートシンクについて、図5に示されるせん断試験装置10を用いて強度を測定した。せん断試験装置10の第1の固定台11a及び第2の固定台11bの間に各試料のヒートシンクからなる試験片14を固定する。試験片は高さ5mmの位置まで第1の固定台11a及び第2の固定台11bで固定される。固定台11aからの露出高さが5cmの位置に端子12を配置し、矢印aで示される方向に荷重を加え、試験片が破断した時の荷重を荷重センサー13で測定した。該荷重が強度に該当する。結果を表1〜表4の「ヒートシンク」の「強度(MPa)」欄に示す。
【0106】
(熱伝導率)
各試料のヒートシンクについて、レーザーフラッシュ法(測定装置:NETZSCH社製「LFA467」(商標))にて熱伝導率を測定した。結果を表1〜表4の「ヒートシンク」の「熱伝導率(W/mK)」欄に示す。
【0107】
<考察>
試料1−1〜試料1−6、試料2−1〜試料2−6、試料3−1〜試料3−6、試料4−1〜試料4−10は実施例に該当する。
【0108】
試料1−7及び試料2−7は、銅及び第1元素の合計質量に対する第1元素の含有率が2000ppm超であり、比較例に該当する。
【0109】
試料1−8及び試料2−8は、銅及び第1元素の合計質量に対する第1元素の含有率が50ppm未満であり、比較例に該当する。
【0110】
試料1−1〜試料1−6、試料2−1〜試料2−6、試料3−1〜試料3−6、試料4−1〜試料4−10(実施例)は、試料1−7、試料1−8、試料2−7、試料2−8(比較例)に比べて、同等以上の強度を有し、かつ、高い熱伝導率を有することが確認された。
【0111】
なお、上記の実施例では、金属めっき処理のうち、特に電気ニッケルめっき処理後においても、高い熱伝導率、及び、高い強度を有することを確認しているが、金属めっき処理の種類は電気ニッケルめっき処理に限定されない。本開示の複合材料は、他の種類の電解めっき処理後においても、高い熱伝導率、及び、高い強度を有することができる。
【0112】
以上のように本開示の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせたり、様々に変形することも当初から予定している。
【0113】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0114】
1 複合材料、2 金属めっき層、3 ヒートシンク、4 半導体素子、5 半導体装置、10 せん断試験装置、11a 第1の固定台、11b 第2の固定台、12 端子、13 荷重センサー、14 試験片、a 荷重の方向
【要約】
本開示の複合材料は、複数のダイヤモンド粒子と、銅と、珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル及びタングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素と、を含み、前記銅及び前記第1元素の合計質量に対する前記第1元素の含有率は50ppm以上2000ppm以下である。
図1
図2
図3
図4
図5