(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光源から第1のレーザ光が出力されたときに、前記光検波部から出力されたそれぞれの検波信号の周波数を解析し、前記光源から第2のレーザ光が出力されたときに、前記光検波部から出力されたそれぞれの検波信号の周波数を解析し、それぞれの周波数の解析結果から、前記気体の密度を算出する密度算出部を備えたことを特徴とする請求項7記載のライダ装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示をより詳細に説明するために、本開示を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る信号処理装置15を含むライダ装置を示す構成図である。
図1に示すライダ装置は、光源1、パルス変調部2、送受信部6、光検波部11及び信号処理装置15を備えている。
ライダ装置は、空間に存在している複数の観測対象におけるそれぞれの移動速度として、ライダ装置に対するそれぞれの観測対象の相対速度を算出する。観測対象は、固体、液体、又は、気体である。
図1に示すライダ装置では、説明の簡単化のため、観測対象の数が2つであるものとして、一方の観測対象が第1の観測対象、他方の観測対象が第2の観測対象であるとする。ただし、これは一例に過ぎず、観測対象の数が3つ以上であってもよい。
【0012】
光源1は、例えば、単一周波数のレーザ光を発光するレーザであって、発光スペクトルの線幅が数MHz以下の、半導体レーザ、ファイバレーザ、又は、固体レーザによって実現される。あるいは、光源1は、半導体レーザ、ファイバレーザ及び固体レーザのうち、1つ以上のレーザの組み合わせによって実現される。
光源1は、連続光であるレーザ光をパルス変調部2に出力する。光源1から出力されるレーザ光が有している光周波数は、f
0である。
【0013】
パルス変調部2は、光分割部3、トリガ生成部4及びパルス変調器5を備えている。
パルス変調部2は、光源1から出力されたレーザ光から、光周波数が互いに異なる複数のパルス光を生成する。
パルス変調部2により生成される複数のパルス光が、例えば、2つのパルス光P
1,P
2であれば、パルス光P
1が有している光周波数は、f
0+f
IF1であり、パルス光P
2が有している光周波数は、f
0+f
IF2である。例えば、f
IF2>f
IF1である。f
IF2とf
IF1との周波数差Δf(=f
IF2−f
IF1)は、第1の観測対象及び第2の観測対象のそれぞれが、想定される最高速度で移動した場合に生じるドップラー周波数の絶対値の2倍よりも大きい。周波数差Δfが、ドップラー周波数の絶対値の2倍よりも大きければ、第1の観測対象及び第2の観測対象のそれぞれの移動速度が、想定の範囲内の速度である限り、後述する複数の散乱光が有する光周波数は、互いに異なる周波数となる。
パルス変調部2により生成される複数のパルス光が、M(Mは、3つ以上の整数)個のパルス光P
1,P
2,・・・,P
Mであれば、パルス光P
m(m=1,2,・・・,M)が有している光周波数は、f
0+f
IFmである。例えば、f
IFM>f
IF(M−1)>・・・>f
IF1である。
図1に示すライダ装置では、説明の簡単化のため、パルス変調部2が、2つのパルス光P
1,P
2を生成するものとする。
【0014】
光分割部3は、例えば、ビームスプリッタ、ファイバ型カプラ、又は、ハーフミラーによって実現される。
光分割部3は、光源1から出力されたレーザ光を所定の比率で2分配する。所定の比率としては、例えば、パルス変調器5側が2、後述する光合波部12が1の比率である。
光分割部3は、分配後の一方のレーザ光をパルス変調器5に出力し、分配後の他方のレーザ光を参照光として光合波部12に出力する。
【0015】
トリガ生成部4は、例えば、パルスジェネレータ、ファンクションジェネレータ、又は、FPGA(Field−Programmable Gate Array)によって実現される。
トリガ生成部4は、
図2に示すように、パルス信号生成部4a、基準信号生成部4b、第1のシフト信号生成部4c、第2のシフト信号生成部4d及びスイッチ4eを備えている。
トリガ生成部4は、パルス信号をパルス変調器5、後述するアナログデジタル変換器(以下「A/D変換部」という)14及び信号処理装置15のそれぞれに出力する。
また、トリガ生成部4は、変調周波数f
IF1を示す第1の周波数シフト信号と、変調周波数f
IF2を示す第2の周波数シフト信号とをパルス変調器5及び信号処理装置15のそれぞれに出力する。
【0016】
図2は、トリガ生成部4の内部を示す構成図である。
パルス信号生成部4aは、パルス幅ΔTのパルス信号を生成する。
パルス信号生成部4aは、パルス幅ΔTのパルス信号をパルス変調器5、A/D変換部14及び信号処理装置15のそれぞれに、周期Trepで繰り返し出力する。
基準信号生成部4bは、周波数fの電気信号である基準信号を生成する。
基準信号生成部4bは、基準信号を第1のシフト信号生成部4c及び第2のシフト信号生成部4dのそれぞれに出力する。
【0017】
第1のシフト信号生成部4cは、基準信号生成部4bから出力された基準信号を取得し、基準信号から、変調周波数f
IF1を示す第1の周波数シフト信号を生成する。
第1のシフト信号生成部4cは、第1の周波数シフト信号をスイッチ4eに出力する。
第2のシフト信号生成部4dは、基準信号生成部4bから出力された基準信号を取得し、基準信号から、変調周波数f
IF2を示す第2の周波数シフト信号を生成する。
第2のシフト信号生成部4dは、第2の周波数シフト信号をスイッチ4eに出力する。
スイッチ4eは、第1のシフト信号生成部4cから出力された第1の周波数シフト信号と、第2のシフト信号生成部4dから出力された第2の周波数シフト信号とを順番にパルス変調器5及び信号処理装置15のそれぞれに出力する。
【0018】
パルス変調器5は、例えば、音響光学素子を用いている変調素子又はニオブ酸リチウム結晶を用いている変調素子と、半導体光アンプ等の光増幅器とによって実現される。
パルス変調器5は、パルス信号生成部4aからパルス幅ΔTのパルス信号を受ける毎に、当該パルス信号に従って、光分割部3から出力されたレーザ光をパルス変調する。即ち、パルス変調器5は、連続光であるレーザ光を、パルス幅ΔTを有するパルス光に変換する。
また、パルス変調器5は、スイッチ4eから第1の周波数シフト信号が出力されれば、パルス幅ΔTを有するパルス光の光周波数f
0を光周波数f
0+f
IF1にシフトすることによって、光周波数f
0+f
IF1を有するパルス光P
1を生成する。
パルス変調器5は、パルス光P
1を送信側光学系7に出力する。
パルス変調器5は、スイッチ4eから第2の周波数シフト信号が出力されれば、パルス幅ΔTを有するパルス光の光周波数f
0を光周波数f
0+f
IF2にシフトすることによって、光周波数f
0+f
IF2を有するパルス光P
2を生成する。
パルス変調器5は、パルス光P
2を送信側光学系7に出力する。
【0019】
送受信部6は、送信側光学系7、送受分離部8、テレスコープ9及び受信側光学系10を備えている。
送受信部6は、パルス変調部2により生成されたそれぞれのパルス光P
1,P
2を空間に放射する。
送受信部6は、第1の観測対象によって散乱された後のパルス光P
1を散乱光R
1として受信し、第2の観測対象によって散乱された後のパルス光P
1を散乱光R
2として受信する。
送受信部6は、第1の観測対象によって散乱された後のパルス光P
2を散乱光R
3として受信し、第2の観測対象によって散乱された後のパルス光P
2を散乱光R
4として受信する。
第1の観測対象がパルス光P
1,P
2の放射方向に移動していれば、散乱光R
1,R
3が有している光周波数は、第1の観測対象の移動に伴うドップラー周波数f
dp1を含んでいる。したがって、散乱光R
1が有している光周波数は、f
0+f
IF1+f
dp1になり、散乱光R
3が有している光周波数は、f
0+f
IF2+f
dp1になる。
第2の観測対象がパルス光P
1,P
2の放射方向に移動していれば、散乱光R
2,R
4が有している光周波数は、第2の観測対象の移動に伴うドップラー周波数f
dp2を含んでいる。したがって、散乱光R
2が有している光周波数は、f
0+f
IF1+f
dp2になり、散乱光R
4が有している光周波数は、f
0+f
IF2+f
dp2になる。
【0020】
送信側光学系7は、パルス変調器5から出力されたそれぞれのパルス光P
1,P
2を整形し、整形後のそれぞれのパルス光P
1,P
2を送受分離部8に出力する。パルス光の整形としては、パルス光におけるビーム径の整形のほか、パルス光における広がり角の整形が該当する。
送受分離部8は、例えば、偏光ビームスプリッタと波長板とによって実現される。
送受分離部8は、送信側光学系7から出力された整形後のそれぞれのパルス光P
1,P
2の光軸上に設置されている。
送受分離部8は、送信側光学系7から出力された整形後のそれぞれのパルス光P
1,P
2をテレスコープ9に出力し、テレスコープ9によって集光されたそれぞれの散乱光R
1,R
2,R
3,R
4を受信側光学系10に出力する。
【0021】
テレスコープ9は、例えば、複数の屈折レンズ、又は、複数のミラーによって実現される。
テレスコープ9は、送受分離部8から出力された整形後のそれぞれのパルス光P
1,P
2を空間に放射する。
テレスコープ9は、第1の観測対象によって散乱された後のパルス光P
1を散乱光R
1として集光し、第2の観測対象によって散乱された後のパルス光P
1を散乱光R
2として集光する。
テレスコープ9は、第1の観測対象によって散乱された後のパルス光P
2を散乱光R
3として集光し、第2の観測対象によって散乱された後のパルス光P
2を散乱光R
4として集光する。
テレスコープ9は、それぞれの散乱光R
1,R
2,R
3,R
4を送受分離部8に出力する。
受信側光学系10は、送受分離部8から出力されたそれぞれの散乱光R
1,R
2,R
3,R
4の光軸と、光合波部12の光軸とが一致するように設置されている。
受信側光学系10は、送受分離部8から出力されたそれぞれの散乱光R
1,R
2,R
3,R
4を整形し、整形後のそれぞれの散乱光R
1,R
2,R
3,R
4を光合波部12に出力する。散乱光の整形としては、散乱光におけるビーム径の整形のほか、散乱光における広がり角の整形が該当する。
【0022】
光検波部11は、光合波部12、受光部13及びA/D変換部14を備えている。
光検波部11は、送受信部6により受信されたそれぞれの散乱光R
1,R
2,R
3,R
4と光源1から出力されたレーザ光である参照光との合波光C
1,C
2,C
3,C
4を検波する。
光検波部11は、それぞれの合波光C
1,C
2,C
3,C
4の検波信号D
1,D
2,D
3,D
4を信号処理装置15に出力する。
【0023】
光合波部12は、例えば、ビームスプリッタ、又は、ファイバ型カプラによって実現される。
光合波部12は、受信側光学系10から出力された整形後のそれぞれの散乱光R
1,R
2,R
3,R
4と光分割部3から出力された参照光との合波光C
1,C
2,C
3,C
4を検波する。
即ち、光合波部12は、それぞれの散乱光R
1,R
2,R
3,R
4と光源1から出力された参照光とを混合することによって、合波光C
1,C
2,C
3,C
4をヘテロダイン検波する。合波光C
1が有している光周波数は、f
IF1+f
dp1であり、合波光C
2が有している光周波数は、f
IF1+f
dp2である。合波光C
3が有している光周波数は、f
IF2+f
dp1であり、合波光C
4が有している光周波数は、f
IF2+f
dp2である。
光合波部12は、それぞれの合波光C
1,C
2,C
3,C
4を受光部13に出力する。
【0024】
受光部13は、例えば、フォトダイオードによって実現される。
受光部13は、光合波部12から出力されたそれぞれの合波光C
1,C
2,C
3,C
4を電気信号に変換する。
受光部13は、それぞれの電気信号をA/D変換部14に出力する。
受光部13は、受信側光学系10から、散乱光R
1,R
2,R
3,R
4のいずれも出力されていない期間中は、電圧がほぼ0の電気信号をA/D変換部14に出力する。
【0025】
A/D変換部14は、トリガ生成部4のパルス信号生成部4aからパルス幅ΔTのパルス信号が出力されている期間中、受光部13から出力された電気信号を、アナログ信号からデジタル信号Dig(t)に変換する処理を行う。tは、サンプリング時刻を示す変数である。
A/D変換部14は、デジタル信号Dig(t)を信号処理装置15に出力する。受信側光学系10から散乱光R
1が出力されている期間中、デジタル信号Dig(t)は、合波光C
1の検波信号D
1を示し、受信側光学系10から散乱光R
2が出力されている期間中、デジタル信号Dig(t)は、合波光C
2の検波信号D
2を示している。受信側光学系10から散乱光R
3が出力されている期間中、デジタル信号Dig(t)は、合波光C
3の検波信号D
3を示し、受信側光学系10から散乱光R
4が出力されている期間中、デジタル信号Dig(t)は、合波光C
4の検波信号D
4を示している。
散乱光R
1,R
2,R
3,R
4のいずれも出力されていない期間中、デジタル信号Dig(t)は、ほぼ0の値を示している。
【0026】
図3は、実施の形態1に係る信号処理装置15を示す構成図である。
信号処理装置15は、ドップラー周波数算出部16、速度算出部17、SNR(Signal to Noise Ratio)算出部30及び距離特性算出部31を備えている。
信号処理装置15は、A/D変換部14から出力されたデジタル信号Dig(t)に基づいて、第1の観測対象及び第2の観測対象におけるそれぞれの移動速度として、ライダ装置に対する第1の観測対象の相対速度V
1と、ライダ装置に対する第2の観測対象の相対速度V
2とを算出する。
図4は、実施の形態1に係る信号処理装置15のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
【0027】
ドップラー周波数算出部16は、例えば、
図4に示すドップラー周波数算出回路41によって実現される。
ドップラー周波数算出部16は、光周波数補正部21及び周波数算出処理部28を備えている。
ドップラー周波数算出部16は、パルス変調部2により生成されたそれぞれのパルス光P
1,P
2が有している光周波数f
0+f
IF1,f
0+f
IF2と、光検波部11から出力されたそれぞれの合波光C
1,C
2,C
3,C
4の検波信号D
1,D
2,D
3,D
4とを取得する。
ドップラー周波数算出部16は、それぞれのパルス光P
1,P
2が有している光周波数f
0+f
IF1,f
0+f
IF2と、それぞれの検波信号D
1,D
2,D
3,D
4とから、それぞれの散乱光R
1,R
2,R
3,R
4が有している光周波数に含まれている、それぞれの観測対象の移動に伴うドップラー周波数を算出する。
即ち、ドップラー周波数算出部16は、複数のパルス光P
1,P
2の中の、1つのパルス光P
1が有している光周波数f
0+f
IF1と残りのパルス光P
2が有している光周波数との周波数差f
0+f
IF2との周波数差Δf(=f
IF2−f
IF1)を算出する。
ドップラー周波数算出部16は、周波数差Δfと、デジタル信号Dig(t)に含まれているそれぞれの検波信号D
1,D
3とから、第1の観測対象の相対速度V
1に対応するドップラー周波数f
dp1として、それぞれの散乱光R
1,R
3が有している光周波数に含まれているドップラー周波数f
dp1を算出する。
ドップラー周波数算出部16は、周波数差Δfと、デジタル信号Dig(t)に含まれているそれぞれの検波信号D
2,D
4とから、第2の観測対象の相対速度V
2に対応するドップラー周波数f
dp2として、それぞれの散乱光R
2,R
4が有している光周波数に含まれているドップラー周波数f
dp2を算出する。
ドップラー周波数算出部16は、ドップラー周波数f
dp1とドップラー周波数f
dp2とを周波数算出処理部28に出力する。
【0028】
光周波数補正部21は、レンジビン分割部22、周波数解析部23、レンジ補正部24、周波数補正処理部25、スペクトル積算部26及びピーク周波数検出部27を備えている。
光周波数補正部21は、トリガ生成部4から、第1の周波数シフト信号及び第2の周波数シフト信号のそれぞれを取得する。
光周波数補正部21は、第2の周波数シフト信号が示す変調周波数f
IF2から、第1の周波数シフト信号が示す変調周波数f
IF1を減算することによって、周波数差Δfを算出する。
光周波数補正部21は、A/D変換部14から、それぞれの検波信号D
1,D
2,D
3,D
4を含んでいるデジタル信号Dig(t)を取得する。
光周波数補正部21は、周波数差Δfに基づいて、合波光C
3が有している光周波数f
IF2+f
dp1を補正する。
光周波数補正部21は、周波数差Δfに基づいて、合波光C
4が有している光周波数f
IF2+f
dp2を補正する。
【0029】
レンジビン分割部22は、A/D変換部14から出力されたデジタル信号Dig(t)を時間方向に分割する。デジタル信号Dig(t)における時間方向の分割幅Δtは、レンジビン幅Rbwに対応している。したがって、サンプリング時刻t=1に係る分割後のデジタル信号Dig(1)は、レンジビン(1)に対応し、サンプリング時刻t=2に係る分割後のデジタル信号Dig(2)は、レンジビン(2)に対応する。また、サンプリング時刻t=3に係る分割後のデジタル信号Dig(3)は、レンジビン(3)に対応する。
レンジビン分割部22は、分割後のそれぞれのデジタル信号Dig(t)をレンジビン信号(n)として周波数解析部23に出力する。nは、レンジビンを示す変数であり、n=1,2,3,・・・である。
【0030】
周波数解析部23は、レンジビン分割部22から出力されたそれぞれのレンジビン信号(n)に対するFFT(Fast Fourier Transform)処理を実施することで、それぞれのレンジビン信号(n)の周波数スペクトルFS(n)を算出する。
周波数解析部23は、それぞれの周波数スペクトルFS(n)をレンジ補正部24に出力する。
【0031】
レンジ補正部24は、周波数解析部23から、それぞれの周波数スペクトルFS(n)を取得する。
レンジ補正部24は、トリガ生成部4から、第1の周波数シフト信号と第2の周波数シフト信号とを取得する。
レンジ補正部24は、周波数スペクトルFS(n)から、ピークスペクトルS
p1、ピークスペクトルS
p2、ピークスペクトルS
p3及びピークスペクトルS
p4のそれぞれを検出する。
また、レンジ補正部24は、ピークスペクトルS
p1に対応するピーク周波数f
p1を検出し、ピークスペクトルS
p2に対応するピーク周波数f
p2を検出する。
レンジ補正部24は、ピークスペクトルS
p3に対応するピーク周波数f
p3を検出し、ピークスペクトルS
p4に対応するピーク周波数f
p4を検出する。
【0032】
レンジ補正部24は、ピーク周波数f
p1と第1の周波数シフト信号が示す変調周波数f
IF1との差分の絶対値|Δf
1−1|と、ピーク周波数f
p1と第2の周波数シフト信号が示す変調周波数f
IF2との差分の絶対値|Δf
1−2|とを算出する。
レンジ補正部24は、差分の絶対値|Δf
1−1|が差分の絶対値|Δf
1−2|以下であれば、ピークスペクトルS
p1を有する合波光が、パルス光P
1に対応する合波光C
1、又は、パルス光P
1に対応する合波光C
2であると判定する。
レンジ補正部24は、差分の絶対値|Δf
1−1|が差分の絶対値|Δf
1−2|よりも大きければ、ピークスペクトルS
p1を有する合波光が、パルス光P
2に対応する合波光C
3、又は、パルス光P
2に対応する合波光C
4であると判定する。
レンジ補正部24は、ピーク周波数f
p2と変調周波数f
IF1との差分の絶対値|Δf
2−1|と、ピーク周波数f
p2と変調周波数f
IF2との差分の絶対値|Δf
2−2|とを算出する。
レンジ補正部24は、差分の絶対値|Δf
2−1|が差分の絶対値|Δf
2−2|以下であれば、ピークスペクトルS
p2を有する合波光が、パルス光P
1に対応する合波光C
1、又は、パルス光P
1に対応する合波光C
2であると判定する。
レンジ補正部24は、差分の絶対値|Δf
2−1|が差分の絶対値|Δf
2−2|よりも大きければ、ピークスペクトルS
p2を有する合波光が、パルス光P
2に対応する合波光C
3、又は、パルス光P
2に対応する合波光C
4であると判定する。
【0033】
レンジ補正部24は、ピーク周波数f
p3と変調周波数f
IF1との差分の絶対値|Δf
3−1|と、ピーク周波数f
p3と変調周波数f
IF2との差分の絶対値|Δf
3−2|とを算出する。
レンジ補正部24は、差分の絶対値|Δf
3−1|が差分の絶対値|Δf
3−2|以下であれば、ピークスペクトルS
p3を有する合波光が、パルス光P
1に対応する合波光C
1、又は、パルス光P
1に対応する合波光C
2であると判定する。
レンジ補正部24は、差分の絶対値|Δf
3−1|が差分の絶対値|Δf
3−2|よりも大きければ、ピークスペクトルS
p3を有する合波光が、パルス光P
2に対応する合波光C
3、又は、パルス光P
2に対応する合波光C
4であると判定する。
レンジ補正部24は、ピーク周波数f
p4と変調周波数f
IF1との差分の絶対値|Δf
4−1|と、ピーク周波数f
p4と変調周波数f
IF2との差分の絶対値|Δf
4−2|とを算出する。
レンジ補正部24は、差分の絶対値|Δf
4−1|が差分の絶対値|Δf
4−2|以下であれば、ピークスペクトルS
p4を有する合波光が、パルス光P
1に対応する合波光C
1、又は、パルス光P
1に対応する合波光C
2であると判定する。
レンジ補正部24は、差分の絶対値|Δf
4−1|が差分の絶対値|Δf
4−2|よりも大きければ、ピークスペクトルS
p4を有する合波光が、パルス光P
2に対応する合波光C
3、又は、パルス光P
2に対応する合波光C
4であると判定する。
【0034】
ここでは、説明の便宜上、ピークスペクトルS
p1を有する合波光及びピークスペクトルS
p2を有する合波光のそれぞれが、パルス光P
1に対応する合波光C
1、又は、パルス光P
1に対応する合波光C
2であるものとする。
また、ピークスペクトルS
p3を有する合波光及びピークスペクトルS
p4を有する合波光のそれぞれが、パルス光P
2に対応する合波光C
3、又は、パルス光P
2に対応する合波光C
4であるものとする。
この場合、レンジ補正部24は、ピークスペクトルS
p1のレンジビンが、ピークスペクトルS
p2のレンジビン以下であれば、ピークスペクトルS
p1を有する合波光が、パルス光P
1に対応する合波光C
1であり、ピークスペクトルS
p2を有する合波光が、パルス光P
1に対応する合波光C
2であると判定する。レンジ補正部24は、ピークスペクトルS
p1のレンジビンが、ピークスペクトルS
p2のレンジビンよりも大きければ、ピークスペクトルS
p1を有する合波光が、パルス光P
1に対応する合波光C
2であり、ピークスペクトルS
p2を有する合波光が、パルス光P
1に対応する合波光C
1であると判定する。
また、レンジ補正部24は、ピークスペクトルS
p3のレンジビンが、ピークスペクトルS
p4のレンジビン以下であれば、ピークスペクトルS
p3を有する合波光が、パルス光P
2に対応する合波光C
3であり、ピークスペクトルS
p4を有する合波光が、パルス光P
2に対応する合波光C
4であると判定する。レンジ補正部24は、ピークスペクトルS
p3のレンジビンが、ピークスペクトルS
p4のレンジビンよりも大きければ、ピークスペクトルS
p3を有する合波光が、パルス光P
2に対応する合波光C
4であり、ピークスペクトルS
p4を有する合波光が、パルス光P
2に対応する合波光C
3であると判定する。
ここでは、説明の便宜上、ピークスペクトルS
p1を有する合波光が合波光C
1であり、ピークスペクトルS
p2を有する合波光が合波光C
2であるとする。また、ピークスペクトルS
p3を有する合波光が合波光C
3であり、ピークスペクトルS
p4を有する合波光が合波光C
4であるとする。
【0035】
レンジ補正部24は、合波光C
1,C
2がパルス光P
1に対応する合波光であり、合波光C
3,C
4がパルス光P
2に対応する合波光であると判定すると、後述する
図11に示すように、合波光C
3に係る散乱光R
3が存在しているレンジビン(7)と、合波光C
4に係る散乱光R
4が存在しているレンジビン(13)とを補正する。
即ち、レンジ補正部24は、合波光C
3に係る散乱光R
3が存在しているレンジビン(7)から周期Trep(=6)を減算することによって、合波光C
3に係る散乱光R
3が存在しているレンジビン(7)をレンジビン(1)に補正する。
また、レンジ補正部24は、合波光C
4に係る散乱光R
4が存在しているレンジビン(13)から周期Trep(=6)を減算することによって、合波光C
4に係る散乱光R
4が存在しているレンジビン(13)をレンジビン(7)に補正する。
図11の例では、パルス光P
1の放射時刻T
1とパルス光P
2の放射時刻T
2との時刻差がレンジビン(6)に相当しており、周期Trepが6である。このため、合波光C
3に係る散乱光R
3が存在している補正後のレンジビンであるn’は、1(=7−6)となり、合波光C
4に係る散乱光R
4が存在している補正後のレンジビンであるn’は、7(=13−6)となる。
レンジ補正部24は、複数の周波数スペクトルFS(1)〜FS(N)のうち、合波光C
1,C
2に係る散乱光R
1,R
2が存在しているレンジビン(n)についての周波数スペクトルFS(n)を周波数補正処理部25に出力する。
また、レンジ補正部24は、複数の周波数スペクトルFS(1)〜FS(N)のうち、合波光C
3,C
4に係る散乱光R
3,R
4が存在している補正後のレンジビン(n’)についての周波数スペクトルFS(n’)を周波数補正処理部25に出力する。
レンジ補正部24は、合波光C
1が有している光周波数f
IF1+f
dp1(=f
p1)と、合波光C
2が有している光周波数f
IF1+f
dp2(=f
p2)と、合波光C
3が有している光周波数f
IF2+f
dp1(=f
p3)と、合波光C
4が有している光周波数f
IF2+f
dp2(=f
p4)とを周波数補正処理部25に出力する。
レンジ補正部24は、合波光C
1に係る散乱光R
1が存在しているレンジビンと、合波光C
2に係る散乱光R
2が存在しているレンジビンとを距離特性算出部31に出力する。
【0036】
周波数補正処理部25は、トリガ生成部4から、第1の周波数シフト信号と第2の周波数シフト信号とを取得する。
周波数補正処理部25は、第1の周波数シフト信号が示す変調周波数f
IF1と第2の周波数シフト信号が示す変調周波数f
IF2との周波数差Δf(=f
IF2−f
IF1)を算出する。
周波数補正処理部25は、レンジ補正部24から、合波光C
1,C
2に係る散乱光R
1,R
2が存在しているレンジビン(n)についての周波数スペクトルFS(n)と、合波光C
3,C
4に係る散乱光R
3,R
4が存在している補正後のレンジビン(n’)についての周波数スペクトルFS(n’)とを取得する。
周波数補正処理部25は、レンジ補正部24から、合波光C
1が有している光周波数f
IF1+f
dp1と、合波光C
2が有している光周波数f
IF1+f
dp2と、合波光C
3が有している光周波数f
IF2+f
dp1と、レンジビン補正後の合波光C
4が有している光周波数f
IF2+f
dp2とを取得する。
周波数補正処理部25は、レンジビン補正後の合波光C
3が有している光周波数f
IF2+f
dp1から周波数差Δfを減算することによって、合波光C
3が有している光周波数を補正する。合波光C
3が有している補正後の光周波数は、f
IF1+f
dp1であり、合波光C
1が有している光周波数f
IF1+f
dp1と同じ周波数である。
周波数補正処理部25は、レンジビン補正後の合波光C
4が有している光周波数f
IF2+f
dp2から周波数差Δfを減算することによって、合波光C
4が有している光周波数を補正する。合波光C
4が有している補正後の光周波数は、f
IF1+f
dp2であり、合波光C
2が有している光周波数f
IF1+f
dp2と同じ周波数である。
図3に示す信号処理装置15では、周波数補正処理部25が、レンジビン補正後の合波光C
3,C
4が有している光周波数を、レンジビンを補正していない合波光C
1,C
2が有している光周波数と揃えるように補正している。しかし、これは一例に過ぎず、レンジビンを補正していない合波光C
1,C
2が有している光周波数を、レンジビン補正後の合波光C
3,C
4が有している光周波数と揃えるように補正してもよい。
【0037】
周波数補正処理部25は、合波光C
1に係る散乱光R
1が存在しているレンジビン(n=1)についての周波数スペクトルFS(n=1)をスペクトル積算部26に出力する。
周波数補正処理部25は、合波光C
2に係る散乱光R
2が存在しているレンジビン(n=7)についての周波数スペクトルFS(n=7)をスペクトル積算部26に出力する。
周波数補正処理部25は、合波光C
3に係る散乱光R
3が存在している補正後のレンジビン(n’=1)についての周波数スペクトルFS(n’=1)の光周波数を、合波光C
3が有している補正後の光周波数f
IF1+f
dp1に変更する。
周波数補正処理部25は、光周波数変更後の周波数スペクトルFS(n’=1)をスペクトル積算部26に出力する。
周波数補正処理部25は、合波光C
4に係る散乱光R
4が存在している補正後のレンジビン(n’=7)についての周波数スペクトルFS(n’=7)の光周波数を、合波光C
4が有している補正後の光周波数f
IF1+f
dp2に変更する。
周波数補正処理部25は、光周波数変更後の周波数スペクトルFS(n’=7)をスペクトル積算部26に出力する。
【0038】
スペクトル積算部26は、周波数補正処理部25から、周波数スペクトルFS(n=1)と、周波数スペクトルFS(n=7)と、光周波数変更後の周波数スペクトルFS(n’=1)と、光周波数変更後の周波数スペクトルFS(n’=7)とを取得する。
スペクトル積算部26は、周波数スペクトルFS(n=1)と、周波数スペクトルFS(n=7)と、光周波数変更後の周波数スペクトルFS(n’=1)と、光周波数変更後の周波数スペクトルFS(n’=7)とを積算する。スペクトル積算部26によって積算されることによって、光周波数f
IF1+f
dp1に対応する周波数スペクトルのスペクトル強度と、光周波数f
IF1+f
dp2に対応する周波数スペクトルのスペクトル強度とが大きくなる。
スペクトル積算部26は、積算後の周波数スペクトルΣHFSをピーク周波数検出部27に出力する。
【0039】
ピーク周波数検出部27は、スペクトル積算部26から、積算後の周波数スペクトルΣHFSを取得する。
ピーク周波数検出部27は、積算後の周波数スペクトルΣHFSに含まれている複数のスペクトル強度の中で、閾値以上のスペクトル強度FS
max1,FS
max2を特定する。第1の観測対象と第2の観測対象とが空間に存在しているので、2つのスペクトル強度FS
max1,FS
max2が特定される。閾値は、ピーク周波数検出部27の内部メモリに格納されていてもよいし、
図1に示すライダ装置の外部から与えられるものであってもよい。
ピーク周波数検出部27は、それぞれのスペクトル強度FS
max1,FS
max2に対応するピーク周波数f
peak1,f
peak2を周波数算出処理部28に出力し、積算後の周波数スペクトルΣHFSをSNR算出部30に出力する。
【0040】
周波数算出処理部28は、ピーク周波数検出部27から、それぞれのピーク周波数f
peak1,f
peak2を取得する。
周波数算出処理部28は、トリガ生成部4から、第1の周波数シフト信号と第2の周波数シフト信号とを取得する。
周波数算出処理部28は、ピーク周波数f
peak1から第1の周波数シフト信号が示す変調周波数f
IF1を減算することによって、合波光C
1が有している光周波数f
IF1+f
dp1に含まれているドップラー周波数f
dp1を算出する。
周波数算出処理部28は、ピーク周波数f
peak2から第2の周波数シフト信号が示す変調周波数f
IF2を減算することによって、合波光C
2が有している光周波数f
IF2+f
dp2に含まれているドップラー周波数f
dp2を算出する。
周波数算出処理部28は、それぞれのドップラー周波数f
dp1,f
dp2を速度算出処理部29に出力する。
【0041】
速度算出部17は、例えば、
図4に示す速度算出回路42によって実現される。
速度算出部17は、速度算出処理部29を備えている。
速度算出処理部29は、周波数算出処理部28から、それぞれのドップラー周波数f
dp1,f
dp2を取得する。
速度算出処理部29は、ドップラー周波数f
dp1から、第1の観測対象の相対速度V
1を算出する。
速度算出処理部29は、ドップラー周波数f
dp2から、第2の観測対象の相対速度V
2を算出する。
【0042】
SNR算出部30は、例えば、
図4に示すSNR算出回路43によって実現される。
SNR算出部30は、ピーク周波数検出部27から、積算後の周波数スペクトルΣHFSを取得する。
SNR算出部30は、積算後の周波数スペクトルΣHFSを逆FFT処理することによって、それぞれのレンジビン(n)の信号を算出する。
SNR算出部30は、それぞれのレンジビン(n)の信号を帯域外雑音で除算することで、それぞれのレンジビン(n)のSNRを算出する。
SNR算出部30は、それぞれのレンジビン(n)のSNRを距離特性算出部31に出力する。
【0043】
距離特性算出部31は、例えば、
図4に示す距離特性算出回路44によって実現される。
距離特性算出部31は、レンジ補正部24から、合波光C
1に係る散乱光R
1が存在しているレンジビン(n=1)と、合波光C
2に係る散乱光R
2が存在しているレンジビン(n=7)とを取得する。
距離特性算出部31は、合波光C
1に係る散乱光R
1が存在しているレンジビン(n=1)と、A/D変換部14のA/D変換レートRateと、レンジビン幅Rbwとから、ライダ装置から第1の観測対象までの距離L
1を算出する。
距離特性算出部31は、合波光C
2に係る散乱光R
2が存在しているレンジビン(n=7)と、A/D変換部14のA/D変換レートRateと、レンジビン幅Rbwとから、ライダ装置から第2の観測対象までの距離L
2を算出する。
距離特性算出部31は、レンジビン(n)の距離とSNR算出部30により算出されたSNRとの対応関係を示す距離特性(a−scope)を例えば図示せぬ表示装置に表示させる。
【0044】
図1では、信号処理装置15の構成要素であるドップラー周波数算出部16、速度算出部17、SNR算出部30及び距離特性算出部31のそれぞれが、
図4に示すような専用のハードウェアによって実現されるものを想定している。即ち、信号処理装置15が、ドップラー周波数算出回路41、速度算出回路42、SNR算出回路43及び距離特性算出回路44によって実現されるものを想定している。
ドップラー周波数算出回路41、速度算出回路42、SNR算出回路43及び距離特性算出回路44のそれぞれは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA、又は、これらを組み合わせたものが該当する。
【0045】
信号処理装置15の構成要素は、専用のハードウェアによって実現されるものに限るものではなく、信号処理装置15が、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現されるものであってもよい。
ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして、コンピュータのメモリに格納される。コンピュータは、プログラムを実行するハードウェアを意味し、例えば、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)が該当する。
【0046】
図5は、信号処理装置15が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合のコンピュータのハードウェア構成図である。
信号処理装置15が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合、ドップラー周波数算出部16、速度算出部17、SNR算出部30及び距離特性算出部31におけるそれぞれの処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムがメモリ51に格納される。そして、コンピュータのプロセッサ52がメモリ51に格納されているプログラムを実行する。
【0047】
また、
図4では、信号処理装置15の構成要素のそれぞれが専用のハードウェアによって実現される例を示し、
図5では、信号処理装置15がソフトウェア又はファームウェア等によって実現される例を示している。しかし、これは一例に過ぎず、信号処理装置15における一部の構成要素が専用のハードウェアによって実現され、残りの構成要素がソフトウェア又はファームウェア等によって実現されるものであってもよい。
【0048】
次に、
図1に示すライダ装置の動作について説明する。
図6は、
図1に示すライダ装置の処理手順を示すフローチャートである。
図7は、信号処理装置15の処理手順である信号処理方法を示すフローチャートである。
光源1は、光周波数f
0の連続光であるレーザ光をパルス変調部2の光分割部3に出力する(
図6のステップST1)。
光分割部3は、光源1からレーザ光を受けると、レーザ光を2分配する(
図6のステップST2)。
光分割部3は、分配後の一方のレーザ光をパルス変調器5に出力し、分配後の他方のレーザ光を参照光として光合波部12に出力する。
【0049】
トリガ生成部4のパルス信号生成部4aは、パルス幅ΔTのパルス信号を生成する。
パルス信号生成部4aは、パルス信号をパルス変調器5、A/D変換部14及び信号処理装置15のそれぞれに、周期Trepで繰り返し出力する。
トリガ生成部4の基準信号生成部4bは、周波数fの電気信号である基準信号を生成する。
基準信号生成部4bは、基準信号を第1のシフト信号生成部4cに出力する。
【0050】
第1のシフト信号生成部4cは、基準信号生成部4bから基準信号を受けると、基準信号から、変調周波数f
IF1を示す第1の周波数シフト信号を生成する(
図6のステップST3)。
第1のシフト信号生成部4cは、第1の周波数シフト信号をスイッチ4eに出力する。
スイッチ4eは、第1のシフト信号生成部4cから第1の周波数シフト信号を受けると、第1の周波数シフト信号をパルス変調器5及び信号処理装置15のそれぞれに出力する。
【0051】
パルス変調器5は、パルス信号生成部4aからパルス幅ΔTのパルス信号を受ける毎に、当該パルス信号に従って、光分割部3から出力されたレーザ光をパルス変調する。
即ち、パルス変調器5は、光分割部3から出力されたレーザ光を、パルス幅ΔTを有するパルス光Pに変換する。
パルス変調器5は、スイッチ4eから第1の周波数シフト信号が出力されると、パルス光Pの光周波数f
0を光周波数f
0+f
IF1にシフトすることによって、光周波数f
0+f
IF1を有するパルス光P
1を生成する。
パルス変調器5は、パルス光P
1を送信側光学系7に出力する(
図6のステップST4)。
【0052】
送信側光学系7は、パルス変調器5からパルス光P
1を受けると、パルス光P
1を整形し、整形後のパルス光P
1を送受分離部8に出力する。
送受分離部8は、送信側光学系7から整形後のパルス光P
1を受けると、整形後のパルス光P
1をテレスコープ9に出力する。
テレスコープ9は、送受分離部8から出力された整形後のパルス光P
1を空間に放射する(
図6のステップST5)。
第1の観測対象と第2の観測対象とがパルス光P
1の照射領域内の空間に存在していれば、
図8に示すように、パルス光P
1が第1の観測対象及び第2の観測対象のそれぞれによって散乱される。
図8は、ライダ装置から放射されたパルス光P
1と、第1の観測対象からの散乱光R
1と、第2の観測対象からの散乱光R
2とを示す説明図である。
図8の例では、ライダ装置から第1の観測対象までの距離L
1が、ライダ装置から第2の観測対象までの距離L
2よりも短い。このため、第1の観測対象からの散乱光R
1は、第2の観測対象からの散乱光R
2よりも早くライダ装置に戻ってくる。
図9は、ライダ装置から放射されたパルス光P
1,P
2の放射時刻T
1,T
2と、第1の観測対象からの散乱光R
1,R
3の受信時刻T
1’,T
3’と、第2の観測対象からの散乱光R
2,R
4の受信時刻T
2’,T
4’とを示す説明図である。
図9において、横軸は時間を示し、縦軸は光強度を示している。
【0053】
テレスコープ9は、第1の観測対象によって散乱された後のパルス光P
1を散乱光R
1として集光し、散乱光R
1を送受分離部8に出力する(
図6のステップST6)。
図9の例では、ライダ装置から第1の観測対象までの距離L
1が近いため、テレスコープ9からパルス光P
2が放射される前に、第1の観測対象からの散乱光R
1がテレスコープ9によって集光されている。一方、ライダ装置から第2の観測対象までの距離L
2が遠いため、テレスコープ9からパルス光P
2が放射された後に、第2の観測対象からの散乱光R
2がテレスコープ9によって集光されている。
図9の例では、テレスコープ9からパルス光P
2が放射された後に、第2の観測対象からの散乱光R
2がテレスコープ9によって集光されている。しかし、これは一例に過ぎず、テレスコープ9からパルス光P
2が放射される前に、第2の観測対象からの散乱光R
2がテレスコープ9によって集光されているものであってもよい。
また、
図9の例では、テレスコープ9からパルス光P
2が放射される前に、第1の観測対象からの散乱光R
1がテレスコープ9によって集光されている。しかし、これは一例に過ぎず、テレスコープ9からパルス光P
2が放射された後に、第1の観測対象からの散乱光R
1がテレスコープ9によって集光されているものであってもよい。
【0054】
送受分離部8は、テレスコープ9から第1の観測対象からの散乱光R
1を受けると、散乱光R
1を受信側光学系10に出力する。
受信側光学系10は、送受分離部8から散乱光R
1を受けると、散乱光R
1を整形し、整形後の散乱光R
1を光合波部12に出力する。
【0055】
光合波部12は、受信側光学系10から整形後の散乱光R
1を受けると、整形後の散乱光R
1と光源1から出力された参照光とを混合することによって、合波光C
1をヘテロダイン検波する(
図6のステップST7)。合波光C
1が有している光周波数は、f
IF1+f
dp1である。
光合波部12は、合波光C
1を受光部13に出力する。
【0056】
受光部13は、光合波部12から合波光C
1を受けると、合波光C
1を電気信号に変換し、電気信号をA/D変換部14に出力する。
A/D変換部14は、トリガ生成部4のパルス信号生成部4aからパルス幅ΔTのパルス信号が出力されている期間中、受光部13から出力された電気信号を、アナログ信号からデジタル信号Dig(t)に変換する処理を行う。
A/D変換部14は、合波光C
1の検波信号D
1を含むデジタル信号Dig(t)を信号処理装置15のレンジビン分割部22に出力する。
【0057】
トリガ生成部4のパルス信号生成部4aは、パルス信号を出力してから、周期Trepの時間が経過すると、パルス信号をパルス変調器5、A/D変換部14及び信号処理装置15のそれぞれに出力する。
基準信号生成部4bは、基準信号を第1のシフト信号生成部4cに出力してから、周期Trepの時間が経過すると、基準信号を第2のシフト信号生成部4dに出力する。
第2のシフト信号生成部4dは、基準信号生成部4bから基準信号を受けると、基準信号から、変調周波数f
IF2を示す第2の周波数シフト信号を生成する(
図6のステップST8)。
第2のシフト信号生成部4dは、第2の周波数シフト信号をスイッチ4eに出力する。
図1に示すライダ装置では、f
IF2>f
IF1であり、変調周波数f
IF2と変調周波数f
IF1との周波数差Δf(=f
IF2−f
IF1)は、第1の観測対象及び第2の観測対象のそれぞれが、想定される最高速度で移動した場合に生じるドップラー周波数の絶対値の2倍よりも大きい。周波数差Δfが、ドップラー周波数の絶対値の2倍よりも大きければ、第1の観測対象及び第2の観測対象のそれぞれの移動速度が、想定の範囲内の速度である限り、それぞれの散乱光R
1,R
2,R
3,R
4の光周波数が、互いに異なる周波数になる。
スイッチ4eは、第2のシフト信号生成部4dから第2の周波数シフト信号を受けると、第2の周波数シフト信号をパルス変調器5及び信号処理装置15のそれぞれに出力する。
【0058】
パルス変調器5は、スイッチ4eから第2の周波数シフト信号が出力されると、パルス光Pの光周波数f
0を光周波数f
0+f
IF2にシフトすることによって、光周波数f
0+f
IF2を有するパルス光P
2を生成する。
パルス変調器5は、パルス光P
2を送信側光学系7に出力する(
図6のステップST9)。
【0059】
送信側光学系7は、パルス変調器5からパルス光P
2を受けると、パルス光P
2を整形し、整形後のパルス光P
2を送受分離部8に出力する。
送受分離部8は、送信側光学系7から整形後のパルス光P
2を受けると、整形後のパルス光P
2をテレスコープ9に出力する。
テレスコープ9は、送受分離部8から出力された整形後のパルス光P
2を空間に放射する(
図6のステップST10)。
【0060】
テレスコープ9は、第2の観測対象によって散乱された後のパルス光P
1を散乱光R
2として集光し、散乱光R
2を送受分離部8に出力する(
図6のステップST11)。
また、テレスコープ9は、第1の観測対象によって散乱された後のパルス光P
2を散乱光R
3として集光し、散乱光R
3を送受分離部8に出力する(
図6のステップST11)。
図9の例では、第2の観測対象によって散乱された後のパルス光P
1である散乱光R
2と、第1の観測対象によって散乱された後のパルス光P
2である散乱光R
3とが同時にテレスコープ9によって集光されている。
ここでの同時は、散乱光R
2の一部と散乱光R
3の一部とが互いに重なり合っていればよく、散乱光R
2の受信時刻と散乱光R
3の受信時刻とが厳密に同じ時刻であるものに限るものではない。したがって、ここでの同時には、散乱光R
2の受信時刻と散乱光R
3の受信時刻とが多少ずれているものも含まれる。
【0061】
送受分離部8は、テレスコープ9から、第2の観測対象からの散乱光R
2と第1の観測対象からの散乱光R
3とが互いに重なり合っている散乱光R
2,3を受けると、散乱光R
2,3を受信側光学系10に出力する。
受信側光学系10は、送受分離部8から散乱光R
2,3を受けると、散乱光R
2,3を整形し、整形後の散乱光R
2,3を光合波部12に出力する。
【0062】
光合波部12は、受信側光学系10から整形後の散乱光R
2,3を受けると、整形後の散乱光R
2,3と光源1から出力された参照光とを混合することによって、合波光C
2,3をヘテロダイン検波する(
図6のステップST12)。合波光C
2,3が有している光周波数は、f
IF1+f
dp2,f
IF2+f
dp1である。
光合波部12は、合波光C
2,3を受光部13に出力する。
【0063】
受光部13は、光合波部12から合波光C
2,3を受けると、合波光C
2,3を電気信号に変換し、電気信号をA/D変換部14に出力する。
A/D変換部14は、トリガ生成部4のパルス信号生成部4aからパルス幅ΔTのパルス信号が出力されている期間中、受光部13から出力された電気信号を、アナログ信号からデジタル信号Dig(t)に変換する処理を行う。
A/D変換部14は、合波光C
2,3の検波信号D
2,3を含むデジタル信号Dig(t)を信号処理装置15のレンジビン分割部22に出力する。
【0064】
その後、テレスコープ9は、第2の観測対象によって散乱された後のパルス光P
2を散乱光R
4として集光し、散乱光R
4を送受分離部8に出力する(
図6のステップST13)。
送受分離部8は、テレスコープ9から、第2の観測対象からの散乱光R
4を受けると、散乱光R
4を受信側光学系10に出力する。
受信側光学系10は、送受分離部8から散乱光R
4を受けると、散乱光R
4を整形し、整形後の散乱光R
4を光合波部12に出力する。
【0065】
光合波部12は、受信側光学系10から整形後の散乱光R
4を受けると、整形後の散乱光R
4と光源1から出力された参照光とを混合することによって、合波光C
4をヘテロダイン検波する(
図6のステップST14)。合波光C
4が有している光周波数は、f
IF2+f
dp2である。
光合波部12は、合波光C
4を受光部13に出力する。
【0066】
受光部13は、光合波部12から合波光C
4を受けると、合波光C
4を電気信号に変換し、電気信号をA/D変換部14に出力する。
A/D変換部14は、トリガ生成部4のパルス信号生成部4aからパルス幅ΔTのパルス信号が出力されている期間中、受光部13から出力された電気信号を、アナログ信号からデジタル信号Dig(t)に変換する処理を行う。
A/D変換部14は、合波光C
4の検波信号D
4を含むデジタル信号Dig(t)を信号処理装置15のレンジビン分割部22に出力する。
【0067】
レンジビン分割部22は、A/D変換部14からデジタル信号Dig(t)を受けると、デジタル信号Dig(t)を時間方向に分割する(
図7のステップST21)。
デジタル信号Dig(t)における時間方向の分割幅Δtは、レンジビン幅Rbwに対応している。
テレスコープ9が、
図11に示すように、レンジビン(0)に相当するサンプリング時刻t=0のときにパルス光P
1を放射し、レンジビン(6)に相当するサンプリング時刻t=6のときにパルス光P
2を放射した場合を想定する。
そして、ライダ装置から第1の観測対象までの距離L
1が、レンジビン(1)の距離に対応し、ライダ装置から第2の観測対象までの距離L
2が、レンジビン(7)の距離に対応しているものとする。
この場合、分割後のデジタル信号Dig(1)は、合波光C
1の検波信号D
1を含んでおり、分割後のデジタル信号Dig(7)は、合波光C
2,3の検波信号D
2,3を含んでおり、分割後のデジタル信号Dig(13)は、合波光C
4の検波信号D
4を含んでいる。
レンジビン分割部22は、分割後のそれぞれのデジタル信号Dig(t)をレンジビン信号(n)として周波数解析部23に出力する。
【0068】
周波数解析部23は、レンジビン分割部22から出力されたそれぞれのレンジビン信号(n)に対するFFT処理を実施することで、それぞれのレンジビン信号(n)の周波数スペクトルFS(n)を算出する(
図7のステップST22)。
周波数解析部23は、それぞれの周波数スペクトルFS(n)をレンジ補正部24に出力する。
レンジビン信号(7)は、合波光C
2,3の検波信号D
2,3を含んでいる。合波光C
2が有している光周波数f
IF1+f
dp2と、合波光C
3が有している光周波数f
IF2+f
dp1とが異なるため、レンジビン信号(7)は、
図10Aに示すように、2つのピークスペクトルを有している。
レンジビン信号(1)は、合波光C
1の検波信号D
1を含んでいる。このため、レンジビン信号(1)は、1つのピークスペクトルを有している。
レンジビン信号(13)は、合波光C
4の検波信号D
4を含んでいる。このため、レンジビン信号(13)は、1つのピークスペクトルを有している。
レンジビン信号(1),(7),(13)以外のレンジビン信号(n)は、ピークスペクトルを有しておらず、当該レンジビン信号(n)が有している周波数スペクトルは、ほぼ0である。
図10Aは、レンジビン信号(7)が有しているピークスペクトルを示す説明図である。
図10Bは、パルス光P
1が有している光周波数とパルス光P
2が有している光周波数とが同一周波数である場合の、レンジビン信号(7)が有しているピークスペクトルを示す説明図である。
図10Bの場合、合波光C
2と合波光C
3とを識別することができない。
図10A及び
図10Bにおいて、横軸は時間を示し、縦軸はスペクトル強度を示している。
【0069】
レンジ補正部24は、周波数解析部23から、それぞれの周波数スペクトルFS(n)を取得する。
レンジ補正部24は、トリガ生成部4から、第1の周波数シフト信号と第2の周波数シフト信号とを取得する。
レンジ補正部24は、それぞれの周波数スペクトルFS(n)から、複数のピークスペクトルを検出する。
即ち、レンジ補正部24は、周波数スペクトルFS(1)から、ピークスペクトルS
p1を検出する。
レンジ補正部24は、周波数スペクトルFS(7)から、ピークスペクトルS
p2と、ピークスペクトルS
p3とを検出する。
また、レンジ補正部24は、周波数スペクトルFS(13)から、ピークスペクトルS
p4を検出する。
また、レンジ補正部24は、ピークスペクトルS
p1に対応するピーク周波数f
p1を検出し、ピークスペクトルS
p2に対応するピーク周波数f
p2を検出する。
レンジ補正部24は、ピークスペクトルS
p3に対応するピーク周波数f
p3を検出し、ピークスペクトルS
p4に対応するピーク周波数f
p4を検出する。
【0070】
レンジ補正部24は、ピーク周波数f
p1と第1の周波数シフト信号が示す変調周波数f
IF1との差分の絶対値|Δf
1−1|を算出し、ピーク周波数f
p1と第2の周波数シフト信号が示す変調周波数f
IF2との差分の絶対値|Δf
1−2|を算出する。
レンジ補正部24は、差分の絶対値|Δf
1−1|が差分の絶対値|Δf
1−2|以下であれば、ピークスペクトルS
p1を有する合波光が、パルス光P
1に対応する合波光C
1、又は、パルス光P
1に対応する合波光C
2であると判定する。
レンジ補正部24は、差分の絶対値|Δf
1−1|が差分の絶対値|Δf
1−2|よりも大きければ、ピークスペクトルS
p1を有する合波光が、パルス光P
2に対応する合波光C
3、又は、パルス光P
2に対応する合波光C
4であると判定する。
レンジ補正部24は、ピーク周波数f
p2と変調周波数f
IF1との差分の絶対値|Δf
2−1|を算出し、ピーク周波数f
p2と変調周波数f
IF2との差分の絶対値|Δf
2−2|を算出する。
レンジ補正部24は、差分の絶対値|Δf
2−1|が差分の絶対値|Δf
2−2|以下であれば、ピークスペクトルS
p2を有する合波光が、パルス光P
1に対応する合波光C
1、又は、パルス光P
1に対応する合波光C
2であると判定する。
レンジ補正部24は、差分の絶対値|Δf
2−1|が差分の絶対値|Δf
2−2|よりも大きければ、ピークスペクトルS
p2を有する合波光が、パルス光P
2に対応する合波光C
3、又は、パルス光P
2に対応する合波光C
4であると判定する。
【0071】
レンジ補正部24は、ピーク周波数f
p3と変調周波数f
IF1との差分の絶対値|Δf
3−1|を算出し、ピーク周波数f
p3と変調周波数f
IF2との差分の絶対値|Δf
3−2|を算出する。
レンジ補正部24は、差分の絶対値|Δf
3−1|が差分の絶対値|Δf
3−2|以下であれば、ピークスペクトルS
p3を有する合波光が、パルス光P
1に対応する合波光C
1、又は、パルス光P
1に対応する合波光C
2であると判定する。
レンジ補正部24は、差分の絶対値|Δf
3−1|が差分の絶対値|Δf
3−2|よりも大きければ、ピークスペクトルS
p3を有する合波光が、パルス光P
2に対応する合波光C
3、又は、パルス光P
2に対応する合波光C
4であると判定する。
レンジ補正部24は、ピーク周波数f
p4と変調周波数f
IF1との差分の絶対値|Δf
4−1|を算出し、ピーク周波数f
p4と変調周波数f
IF2との差分の絶対値|Δf
4−2|を算出する。
レンジ補正部24は、差分の絶対値|Δf
4−1|が差分の絶対値|Δf
4−2|以下であれば、ピークスペクトルS
p4を有する合波光が、パルス光P
1に対応する合波光C
1、又は、パルス光P
1に対応する合波光C
2であると判定する。
レンジ補正部24は、差分の絶対値|Δf
4−1|が差分の絶対値|Δf
4−2|よりも大きければ、ピークスペクトルS
p4を有する合波光が、パルス光P
2に対応する合波光C
3、又は、パルス光P
2に対応する合波光C
4であると判定する。
【0072】
ここでは、説明の便宜上、ピークスペクトルS
p1を有する合波光及びピークスペクトルS
p2を有する合波光のそれぞれが、パルス光P
1に対応する合波光C
1、又は、パルス光P
1に対応する合波光C
2であるものとする。
また、ピークスペクトルS
p3を有する合波光及びピークスペクトルS
p4を有する合波光のそれぞれが、パルス光P
2に対応する合波光C
3、又は、パルス光P
2に対応する合波光C
4であるものとする。
この場合、レンジ補正部24は、ピークスペクトルS
p1のレンジビンが、ピークスペクトルS
p2のレンジビン以下であれば、ピークスペクトルS
p1を有する合波光が、パルス光P
1に対応する合波光C
1であり、ピークスペクトルS
p2を有する合波光が、パルス光P
1に対応する合波光C
2であると判定する。
レンジ補正部24は、ピークスペクトルS
p1のレンジビンが、ピークスペクトルS
p2のレンジビンよりも大きければ、ピークスペクトルS
p1を有する合波光が、パルス光P
1に対応する合波光C
2であり、ピークスペクトルS
p2を有する合波光が、パルス光P
1に対応する合波光C
1であると判定する。
【0073】
また、レンジ補正部24は、ピークスペクトルS
p3のレンジビンが、ピークスペクトルS
p4のレンジビン以下であれば、ピークスペクトルS
p3を有する合波光が、パルス光P
2に対応する合波光C
3であり、ピークスペクトルS
p4を有する合波光が、パルス光P
2に対応する合波光C
4であると判定する。
レンジ補正部24は、ピークスペクトルS
p3のレンジビンが、ピークスペクトルS
p4のレンジビンよりも大きければ、ピークスペクトルS
p3を有する合波光が、パルス光P
2に対応する合波光C
4であり、ピークスペクトルS
p4を有する合波光が、パルス光P
2に対応する合波光C
3であると判定する。
ここでは、説明の便宜上、ピークスペクトルS
p1を有する合波光が合波光C
1であり、ピークスペクトルS
p2を有する合波光が合波光C
2であるとする。また、ピークスペクトルS
p3を有する合波光が合波光C
3であり、ピークスペクトルS
p4を有する合波光が合波光C
4であるとする。
【0074】
レンジ補正部24は、合波光C
1,C
2がパルス光P
1に対応する合波光であり、合波光C
3,C
4がパルス光P
2に対応する合波光であると判定すると、
図11に示すように、合波光C
3が存在しているレンジビン(7)と、合波光C
4が存在しているレンジビン(13)とを補正する。
即ち、レンジ補正部24は、合波光C
3が存在しているレンジビン(7)から周期Trep(=6)を減算することによって、合波光C
3が存在しているレンジビン(7)をレンジビン(1)に補正する(
図7のステップST23)。
また、レンジ補正部24は、合波光C
4が存在しているレンジビン(13)から周期Trep(=6)を減算することによって、合波光C
4が存在しているレンジビン(13)をレンジビン(7)に補正する(
図7のステップST23)。
【0075】
図11は、合波光C
1に係る散乱光R
1が存在しているレンジビンと、合波光C
2,C
3に係る散乱光R
2,R
3が存在しているレンジビンと、合波光C
4に係る散乱光R
4が存在しているレンジビンとを示す説明図である。
図11において、横軸は時間を示し、縦軸は光強度を示している。
図11では、レンジビンを「レンジ」のように簡略している。
図11の例では、散乱光R
1が存在しているレンジビンがレンジビン(1)、散乱光R
2,R
3が存在しているレンジビンがレンジビン(7)、散乱光R
4が存在しているレンジビンがレンジビン(13)である。
パルス光P
1の放射時刻T
1とパルス光P
2の放射時刻T
2との時刻差がレンジビン(6)に相当しており、周期Trepが6である。このため、合波光C
3に係る散乱光R
3が存在している補正後のレンジビンであるn’は、1(=7−6)となり、合波光C
4に係る散乱光R
4が存在している補正後のレンジビンであるn’は、7(=13−6)となる。
レンジ補正部24は、複数の周波数スペクトルFS(1)〜FS(N)のうち、合波光C
1,C
2に係る散乱光R
1,R
2が存在しているレンジビン(n)についての周波数スペクトルFS(n)を周波数補正処理部25に出力する。
また、レンジ補正部24は、複数の周波数スペクトルFS(1)〜FS(N)のうち、合波光C
3,C
4に係る散乱光R
3,R
4が存在している補正後のレンジビン(n’)についての周波数スペクトルFS(n’)を周波数補正処理部25に出力する。
レンジ補正部24は、合波光C
1が有している光周波数f
IF1+f
dp1(=f
p1)と、合波光C
2が有している光周波数f
IF1+f
dp2(=f
p2)と、合波光C
3が有している光周波数f
IF2+f
dp1(=f
p3)と、合波光C
4が有している光周波数f
IF2+f
dp2(=f
p4)とを周波数補正処理部25に出力する。
レンジ補正部24は、合波光C
1に係る散乱光R
1が存在しているレンジビンと、合波光C
2に係る散乱光R
2が存在しているレンジビンとを距離特性算出部31に出力する。
【0076】
周波数補正処理部25は、トリガ生成部4から、第1の周波数シフト信号と第2の周波数シフト信号とを取得する。
周波数補正処理部25は、第1の周波数シフト信号が示す変調周波数f
IF1と第2の周波数シフト信号が示す変調周波数f
IF2との周波数差Δf(=f
IF2−f
IF1)を算出する。
周波数補正処理部25は、レンジ補正部24から、合波光C
1,C
2に係る散乱光R
1,R
2が存在しているレンジビン(n)についての周波数スペクトルFS(n)と、合波光C
3,C
4に係る散乱光R
3,R
4が存在している補正後のレンジビン(n’)についての周波数スペクトルFS(n’)とを取得する。
周波数補正処理部25は、レンジ補正部24から、合波光C
1が有している光周波数f
IF1+f
dp1と、合波光C
2が有している光周波数f
IF1+f
dp2と、合波光C
3が有している光周波数f
IF2+f
dp1と、合波光C
4が有している光周波数f
IF2+f
dp2とを取得する。
【0077】
周波数補正処理部25は、合波光C
3が有している光周波数f
IF2+f
dp1から周波数差Δfを減算することによって、合波光C
3が有している光周波数を補正する(
図7のステップST24)。合波光C
3が有している補正後の光周波数は、f
IF1+f
dp1であり、合波光C
1が有している光周波数f
IF1+f
dp1と同じ周波数である。
周波数補正処理部25は、合波光C
4が有している光周波数f
IF2+f
dp2から周波数差Δfを減算することによって、合波光C
4が有している光周波数を補正する(
図7のステップST24)。合波光C
4が有している補正後の光周波数は、f
IF1+f
dp2であり、合波光C
2が有している光周波数f
IF1+f
dp2と同じ周波数である。
【0078】
周波数補正処理部25は、合波光C
1に係る散乱光R
1が存在しているレンジビン(n=1)についての周波数スペクトルFS(n=1)をスペクトル積算部26に出力する。
周波数補正処理部25は、合波光C
2に係る散乱光R
2が存在しているレンジビン(n=7)についての周波数スペクトルFS(n=7)をスペクトル積算部26に出力する。
周波数補正処理部25は、合波光C
3に係る散乱光R
3が存在している補正後のレンジビン(n’=1)についての周波数スペクトルFS(n’=1)の光周波数を、合波光C
3が有している補正後の光周波数f
IF1+f
dp1に変更する。
周波数補正処理部25は、光周波数変更後の周波数スペクトルFS(n’=1)をスペクトル積算部26に出力する。
周波数補正処理部25は、合波光C
4に係る散乱光R
4が存在している補正後のレンジビン(n’=7)についての周波数スペクトルFS(n’=7)の光周波数を、合波光C
4が有している補正後の光周波数f
IF1+f
dp2に変更する。
周波数補正処理部25は、光周波数変更後の周波数スペクトルFS(n’=7)をスペクトル積算部26に出力する。
【0079】
スペクトル積算部26は、周波数補正処理部25から、周波数スペクトルFS(n=1)と、周波数スペクトルFS(n=7)と、光周波数変更後の周波数スペクトルFS(n’=1)と、光周波数変更後の周波数スペクトルFS(n’=7)とを取得する。
スペクトル積算部26は、周波数スペクトルFS(n=1)と、周波数スペクトルFS(n=7)と、光周波数変更後の周波数スペクトルFS(n’=1)と、光周波数変更後の周波数スペクトルFS(n’=7)とを積算する(
図7のステップST25)。スペクトル積算部26によって積算されることによって、光周波数f
IF1+f
dp1に対応する周波数スペクトルのスペクトル強度と、光周波数f
IF1+f
dp2に対応する周波数スペクトルのスペクトル強度とが大きくなる。
スペクトル積算部26は、積算後の周波数スペクトルΣHFSをピーク周波数検出部27に出力する。
【0080】
ピーク周波数検出部27は、スペクトル積算部26から、積算後の周波数スペクトルΣHFSを取得する。
ピーク周波数検出部27は、積算後の周波数スペクトルΣHFSに含まれている複数のスペクトル強度の中で、閾値以上のスペクトル強度FS
max1,FS
max2を特定する。第1の観測対象と第2の観測対象とが空間に存在しているので、2つのスペクトル強度FS
max1,FS
max2が特定される。
ピーク周波数検出部27は、スペクトル強度FS
max1に対応するピーク周波数f
peak1と、スペクトル強度FS
max2に対応するピーク周波数f
peak2とを周波数算出処理部28に出力する(
図7のステップST26)。
ピーク周波数f
peak1は、合波光C
1が有している光周波数f
IF1+f
dp1及び光周波数補正後の合波光C
3が有している光周波数f
IF1+f
dp1のそれぞれに対応している。
ピーク周波数f
peak2は、合波光C
2が有している光周波数f
IF1+f
dp2及び光周波数補正後の合波光C
4が有している光周波数f
IF1+f
dp2のそれぞれに対応している。
また、ピーク周波数検出部27は、積算後の周波数スペクトルΣHFSをSNR算出部30に出力する。
【0081】
周波数算出処理部28は、ピーク周波数検出部27から、それぞれのピーク周波数f
peak1,f
peak2を取得する。
周波数算出処理部28は、トリガ生成部4から、第1の周波数シフト信号と第2の周波数シフト信号とを取得する。
周波数算出処理部28は、ピーク周波数f
peak1から第1の周波数シフト信号が示す変調周波数f
IF1を減算することによって、合波光C
1及び光周波数補正後の合波光C
3のそれぞれが有している光周波数f
IF1+f
dp1に含まれているドップラー周波数f
dp1を算出する(
図7のステップST27)。
周波数算出処理部28は、ピーク周波数f
peak2から第2の周波数シフト信号が示す変調周波数f
IF2を減算することによって、合波光C
2及び光周波数補正後の合波光C
4のそれぞれが有している光周波数f
IF1+f
dp2に含まれているドップラー周波数f
dp2を算出する(
図7のステップST27)。
周波数算出処理部28は、それぞれのドップラー周波数f
dp1,f
dp2を速度算出処理部29に出力する。
【0082】
速度算出処理部29は、周波数算出処理部28から、それぞれのドップラー周波数f
dp1,f
dp2を取得する。
速度算出処理部29は、以下の式(1)に示すように、ドップラー周波数f
dp1から、第1の観測対象の相対速度V
1を算出する(
図7のステップST28)。
V
1=λ×f
dp1/2 (1)
式(1)において、λは、それぞれのパルス光P
1,P
2の波長である。
【0083】
速度算出処理部29は、以下の式(2)に示すように、ドップラー周波数f
dp2から、第2の観測対象の相対速度V
2を算出する(
図7のステップST28)。
V
2=λ×f
dp2/2 (2)
速度算出処理部29は、第1の観測対象の相対速度V
1及び第2の観測対象の相対速度V
2のそれぞれを例えば図示せぬ表示装置に表示させる。
【0084】
SNR算出部30は、ピーク周波数検出部27から、積算後の周波数スペクトルΣHFSを取得する。
SNR算出部30は、積算後の周波数スペクトルΣHFSを逆FFT処理することによって、それぞれのレンジビン(n)の信号を算出する。
SNR算出部30は、それぞれのレンジビン(n)の信号を帯域外雑音で除算することで、それぞれのレンジビン(n)のSNRを算出する。
SNR算出部30は、それぞれのレンジビン(n)のSNRを距離特性算出部31に出力する。
【0085】
距離特性算出部31は、レンジ補正部24から、合波光C
1に係る散乱光R
1が存在しているレンジビン(n=1)と、合波光C
2に係る散乱光R
2が存在しているレンジビン(n=7)とを取得する。
距離特性算出部31は、以下の式(3)に示すように、合波光C
1に係る散乱光R
1が存在しているレンジビン(n=1)と、A/D変換部14のA/D変換レートRateと、レンジビン幅Rbwとから、ライダ装置から第1の観測対象までの距離L
1を算出する。
L
1=c×Rate×n/2
=c×Rate×1/2(3)
式(3)において、cは、光速である。
【0086】
距離特性算出部31は、以下の式(4)に示すように、合波光C
2に係る散乱光R
2が存在しているレンジビン(n=7)と、A/D変換部14のA/D変換レートRateと、レンジビン幅Rbwとから、ライダ装置から第2の観測対象までの距離L
2を算出する。
L
2=c×Rate×n/2
=c×Rate×7/2(4)
距離特性算出部31は、
図12に示すように、レンジビン(n)の距離とSNR算出部30により算出されたSNRとの対応関係を示す距離特性(a−scope)を例えば図示せぬ表示装置に表示させる。
図12は、レンジビン(n)の距離とSNRとの対応関係を示す距離特性(a−scope)の説明図である。
図12において、横軸はレンジビン(n)の距離[m]を示し、縦軸はSNR[dB]を示している。
【0087】
以上の実施の形態1では、信号処理装置15が、空間に存在している複数の観測対象におけるそれぞれの移動速度として、ライダ装置に対するそれぞれの観測対象の相対速度を算出するように構成した。光源1から出力されたレーザ光から、光周波数が互いに異なる複数のパルス光が生成されて、それぞれのパルス光が空間に放射され、それぞれの観測対象によって散乱された後のそれぞれのパルス光が散乱光として受信されて、それぞれの散乱光とレーザ光との合波光が検波されている。信号処理装置15は、生成された複数のパルス光が有している光周波数と、それぞれの合波光の検波信号とから、それぞれの散乱光が有している光周波数に含まれている、それぞれの観測対象の移動に伴うドップラー周波数を算出するドップラー周波数算出部16と、ドップラー周波数算出部16により算出されたそれぞれのドップラー周波数から、それぞれの観測対象の相対速度を算出する速度算出部17とを備えている。したがって、信号処理装置15は、遠方散乱光と近傍散乱光とが、互いに重なり合った状態であっても、遠方の観測対象の移動速度と近傍の観測対象の移動速度とが同じ速度であるか否かにかかわらず、それぞれの観測対象の移動速度を算出することができる。
【0088】
図1に示すライダ装置は、光を扱う複数の構成要素を備えており、それぞれの構成要素は、他の構成要素と光ファイバによって接続されている。そして、それぞれの構成要素が、他の構成要素と光ファイバを介して光を送受信している。しかし、これは一例に過ぎず、それぞれの構成要素が、他の構成要素と空間伝搬によって光を送受信するようにしてもよい。複数の構成要素は、光源1、光分割部3、パルス変調器5、送信側光学系7、送受分離部8、テレスコープ9、受信側光学系10、光合波部12及び受光部13である。
【0089】
図3に示す信号処理装置15では、ドップラー周波数算出部16が、光周波数補正部21及び周波数算出処理部28を備えている。また、光周波数補正部21は、それぞれの検波信号D
1,D
2,D
3,D
4のSNRを高めるために、レンジビン分割部22、周波数解析部23、レンジ補正部24、周波数補正処理部25及びスペクトル積算部26を備えている。
しかし、それぞれの検波信号D
1,D
2のSNRを高めなくても、それぞれの観測対象の移動に伴うドップラー周波数V
1,V
2を算出することが可能であれば、光周波数補正部21が、レンジビン分割部22、周波数解析部23、レンジ補正部24、周波数補正処理部25及びスペクトル積算部26を備えていなくてもよい。
光周波数補正部21が、レンジビン分割部22、周波数解析部23、レンジ補正部24、周波数補正処理部25及びスペクトル積算部26を備えていない場合、ピーク周波数検出部27は、それぞれの検波信号D
1,D
2をFFT処理して、それぞれの検波信号D
1,D
2の周波数スペクトルを求める。そして、ピーク周波数検出部27は、それぞれの周波数スペクトルに含まれている複数のスペクトル強度の中で、閾値以上のスペクトル強度FS
max1,FS
max2を特定する。ピーク周波数検出部27は、スペクトル強度FS
max1に対応するピーク周波数f
peak1と、スペクトル強度FS
max2に対応するピーク周波数f
peak2とを周波数算出処理部28に出力する。
【0090】
実施の形態2.
実施の形態2では、パルス変調器5が、光分岐部5a、第1の変調部5b、第2の変調部5c及び光合波部5dを備えているライダ装置について説明する。
【0091】
実施の形態2に係るライダ装置の構成は、実施の形態1に係るライダ装置の構成と同様であり、実施の形態2に係るライダ装置を示す構成図は、
図1である。
図13は、実施の形態2に係るライダ装置のパルス変調器5を示す構成図である。
図13に示すパルス変調器5は、光分岐部5a、第1の変調部5b、第2の変調部5c及び光合波部5dを備えている。
光分岐部5aは、カプラー、又は、光スイッチ等によって実現される。
光分岐部5aは、光分割部3から出力されたレーザ光を2分岐し、2分岐後の一方のレーザ光を第1の変調部5bに出力し、2分岐後の他方のレーザ光を第2の変調部5cに出力する。
図13に示す光分岐部5aは、光分割部3から出力されたレーザ光を2分岐している。しかし、これは一例に過ぎず、光分岐部5aは、光分割部3から出力されたレーザ光の出力先を、第1の変調部5b又は第2の変調部5cに、交互に切り替えるスイッチであってもよい。
【0092】
第1の変調部5bは、例えば、音響光学素子を用いている変調素子又はニオブ酸リチウム結晶を用いている変調素子と、半導体光アンプ等の光増幅器とによって実現される。
第1の変調部5bは、パルス信号生成部4aからパルス幅ΔTのパルス信号を受ける毎に、当該パルス信号に従って、光分岐部5aから出力されたレーザ光をパルス変調することで、当該レーザ光を、パルス幅ΔTを有するパルス光に変換する。
また、第1の変調部5bは、トリガ生成部4のスイッチ4eから出力された第1の周波数シフト信号に従って、当該パルス光の光周波数f
0を光周波数f
0+f
IF1にシフトすることによって、光周波数f
0+f
IF1を有しているパルス光P
1を生成する。
第1の変調部5bは、パルス光P
1を光合波部5dに出力する。
【0093】
第2の変調部5cは、例えば、音響光学素子を用いている変調素子又はニオブ酸リチウム結晶を用いている変調素子と、半導体光アンプ等の光増幅器とによって実現される。
第2の変調部5cは、パルス信号生成部4aからパルス幅ΔTのパルス信号を受ける毎に、当該パルス信号に従って、光分岐部5aから出力されたレーザ光をパルス変調することで、当該レーザ光を、パルス幅ΔTを有するパルス光に変換する。
また、第2の変調部5cは、トリガ生成部4のスイッチ4eから出力された第2の周波数シフト信号に従って、当該パルス光の光周波数f
0を光周波数f
0+f
IF2にシフトすることによって、光周波数f
0+f
IF2を有しているパルス光P
2を生成する。
第2の変調部5cは、パルス光P
2を光合波部5dに出力する。
【0094】
光合波部5dは、第1の変調部5bからパルス光P
1を受けると、パルス光P
1を送信側光学系7に出力する。
光合波部5dは、第2の変調部5cからパルス光P
2を受けると、パルス光P
2を送信側光学系7に出力する。
【0095】
次に、実施の形態2に係るライダ装置の動作について説明する。パルス変調器5以外は、
図1に示すライダ装置と同様であるため、ここでは、主にパルス変調器5の動作について説明する。
光分岐部5aは、光分割部3から、連続光であるレーザ光を受けると、レーザ光を2分岐する。
光分岐部5aは、2分岐後の一方のレーザ光を第1の変調部5bに出力し、2分岐後の他方のレーザ光を第2の変調部5cに出力する。
【0096】
第1の変調部5bは、パルス信号生成部4aからパルス幅ΔTのパルス信号を受ける毎に、当該パルス信号に従って、光分岐部5aから出力されたレーザ光をパルス変調することで、当該レーザ光を、パルス幅ΔTを有するパルス光に変換する。
第1の変調部5bは、トリガ生成部4のスイッチ4eから第1の周波数シフト信号を受けると、第1の周波数シフト信号に従って、当該パルス光の光周波数f
0を光周波数f
0+f
IF1にシフトすることによって、光周波数f
0+f
IF1を有しているパルス光P
1を生成する。
第1の変調部5bは、パルス光P
1を光合波部5dに出力する。
【0097】
第2の変調部5cは、パルス信号生成部4aからパルス幅ΔTのパルス信号を受ける毎に、当該パルス信号に従って、光分岐部5aから出力されたレーザ光をパルス変調することで、当該レーザ光を、パルス幅ΔTを有するパルス光に変換する。
トリガ生成部4のスイッチ4eは、第1の周波数シフト信号を第1の変調部5bに出力してから、周期Trepの時間が経過すると、第2の周波数シフト信号を第2の変調部5cに出力する。
第2の変調部5cは、トリガ生成部4のスイッチ4eから第2の周波数シフト信号を受けると、第2の周波数シフト信号に従って、当該パルス光の光周波数f
0を光周波数f
0+f
IF2にシフトすることによって、光周波数f
0+f
IF2を有しているパルス光P
2を生成する。
第2の変調部5cは、パルス光P
2を光合波部5dに出力する。
【0098】
光合波部5dは、第1の変調部5bからパルス光P
1を受けると、パルス光P
1を送信側光学系7に出力する。
光合波部5dは、第1の変調部5bからパルス光P
1を受けたのち、周期Trepの時間が経過することで、第2の変調部5cからパルス光P
2を受けると、パルス光P
2を送信側光学系7に出力する。
【0099】
パルス変調器5が、光分岐部5a、第1の変調部5b、第2の変調部5c及び光合波部5dを備えているライダ装置は、
図1に示すライダ装置と同様に、遠方散乱光と近傍散乱光とが、互いに重なり合った状態であっても、遠方の観測対象の移動速度と近傍の観測対象の移動速度とが同じ速度であるか否かにかかわらず、それぞれの観測対象の移動速度を算出することができる。
【0100】
実施の形態3.
実施の形態3では、スキャナ61及び切替速度制御部62を備えるライダ装置について説明する。
【0101】
図14は、実施の形態3に係るライダ装置を示す構成図である。
図14において、
図1と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
スキャナ61は、送受信部6のテレスコープ9から放射されるそれぞれのパルス光P
1,P
2の放射方向を切り替えるものである。
即ち、スキャナ61は、テレスコープ9から放射されるそれぞれのパルス光P
1,P
2の光軸を時間的に掃引することで、それぞれのパルス光P
1,P
2の走査範囲をスキャンするものである。
切替速度制御部62は、スキャナ61による放射方向の切替速度を制御する。
即ち、切替速度制御部62は、送受信部6により放射されるそれぞれのパルス光P
1,P
2がアイセーフ条件を満足するように、パルス光P
1とパルス光P
2との繰り返し周波数に応じて切替速度を制御する。
【0102】
次に、
図14に示すライダ装置の動作について説明する。スキャナ61及び切替速度制御部62以外は、
図1に示すライダ装置と同様であるため、ここでは、スキャナ61及び切替速度制御部62の動作についてのみ説明する。
図14に示すライダ装置が、アイセーフ条件を満足するように、それぞれのパルス光P
1,P
2を放射する場合、それぞれのパルス光P
1,P
2のパワーと、それぞれのパルス光P
1,P
2における走査範囲のスキャン速度とが制限される。
したがって、
図14に示すライダ装置から放射されるレーザ光の周期Trepを短くすれば、それぞれのパルス光P
1,P
2における走査範囲のスキャン速度V
scanを速めることが可能である。一方、
図14に示すライダ装置から放射されるレーザ光の周期Trepを長くすれば、それぞれのパルス光P
1,P
2における走査範囲のスキャン速度V
scanを遅くする必要がある。
【0103】
ライダ装置が、アイセーフ条件を満足しているか否かを判定する指標として、パルスレーザの被ばく放出限界AELが用いられることがある(例えば非特許文献1を参照)。
[非特許文献1]
“レーザ安全ガイドブック”、光産業技術振興協会編、2006年、新技術コミュニケーションズ出版
【0104】
図14に示すライダ装置から放射されるそれぞれのパルス光P
1,P
2の波長は、例えば、1.5μm帯である。
波長が1.5μm帯のパルスレーザの場合、単一パルスに対する露光量は、8×10
−3[J]である。
放出持続時間が3秒以下である、波長が1.5μm帯のパルスレーザが、出射するパルスレーザを走査する場合、Φが1[mm]の円形開口絞りを横切る時間によって、時間基準Tが定義される。
時間基準Tは、以下の式(5)のように表される。
【0106】
時間基準Tに含まれるパルスレーザのパルス総数Totalは、Total=frep×Tによって表される。frep=1/Trepである。
また、1パルス当りのエネルギーEpulse=Power×Trepは、以下の式(6)に示すように、パルス総数Totalに依存する補正係数Kが乗算された単一パルスに対する被ばく放出限界AELsを超えてはならない。補正係数Kは既値である。
Epulse < AELs×K (6)
したがって、
図14に示すライダ装置から放射されるそれぞれのパルス光P
1,P
2がアイセーフ条件を満足するには、繰り返し周波数frepとスキャン速度V
scanとが、以下の関係式(7)を満足している必要がある。
【0108】
切替速度制御部62は、繰り返し周波数frepを示す周波数情報を取得し、周波数情報が示す繰り返し周波数frepと補正係数Kとを関係式(7)に代入することによって、アイセーフ条件を満足するスキャン速度V
scanを算出する。
切替速度制御部62は、スキャン速度V
scanを実現するためのスキャナ駆動信号を生成し、スキャナ駆動信号をスキャナ61に出力する。
図14に示すライダ装置から放射されるパルス光の繰り返し周波数frepが下げられれば、切替速度制御部62は、スキャン速度V
scanを速めるためのスキャナ駆動信号を生成する。
図14に示すライダ装置から放射されるパルス光の繰り返し周波数frepが上げられれば、切替速度制御部62は、スキャン速度V
scanを遅くするためのスキャナ駆動信号を生成する。
【0109】
スキャナ61のスキャン速度V
scanは、切替速度制御部62から出力されたスキャナ駆動信号によって制御される。
スキャナ61は、送受信部6のテレスコープ9から放射されるそれぞれのパルス光P
1,P
2の放射方向をスキャン速度V
scanで切り替える。
【0110】
以上の実施の形態3では、送受信部6から放射されるパルス光の放射方向を切り替えるスキャナ61と、送受信部6から放射されるパルス光がアイセーフ条件を満足するように、パルス光の繰り返し周波数に応じて、スキャナ61による放射方向の切替速度を制御する切替速度制御部62とを備えるように、
図14に示すライダ装置を構成した。したがって、
図14に示すライダ装置は、
図1に示すライダ装置と同様に、遠方散乱光と近傍散乱光とが、互いに重なり合った状態であっても、遠方の観測対象の移動速度と近傍の観測対象の移動速度とが同じ速度であるか否かにかかわらず、それぞれの観測対象の移動速度を算出することができる。また、
図14に示すライダ装置は、パルス光がアイセーフ条件を満足する状態で、パルス光の放射方向を切り替えることができる。
【0111】
実施の形態4.
実施の形態4では、観測対象が気体であり、気体の吸収波長帯に含まれる波長を有する第1のレーザ光と、第1のレーザ光よりも気体による吸収率が低い第2のレーザ光とを順番に出力する光源71を備えるライダ装置について説明する。
【0112】
実施の形態4では、ライダ装置を設置している気中内に観測対象の気体であるガス(以下「観測対象ガス」という)が存在しているものものとする。ただし、これは一例に過ぎず、ライダ装置を設置している気中内に観測対象ガスがなく、窓等を介して別空間に観測対象ガスが存在しているものであってもよい。
観測対象ガスとしては、例えば、大気中の構成分子が該当する。大気中の構成分子は、窒素、酸素、二酸化炭素、又は、水蒸気である。大気中の構成分子には、窒素酸化物(NOx)のような大気汚染物質も含まれる。ライダ装置において、気体の吸収波長帯は既値である。観測対象ガスは、散乱体を含んでいる。散乱体としては、雲、煙、塵、エアロゾル、又は、雨滴等が該当する。
実施の形態4に係る信号処理装置15は、光源71が第1のレーザ光を出力したときの検波信号の周波数と、光源71が第2のレーザ光を出力したときの検波信号の周波数とから、気体の密度を算出する密度算出部72を備えている。
【0113】
図15は、実施の形態4に係る信号処理装置15を含むライダ装置を示す構成図である。
図15において、
図1と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
図16は、実施の形態4に係る信号処理装置15を示す構成図である。
図17は、実施の形態4に係る信号処理装置15のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図16及び
図17において、
図3及び
図4と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
光源71は、例えば、単一周波数のレーザ光を発光するレーザであって、発光スペクトルの線幅が数MHz以下の、半導体レーザ、ファイバレーザ、又は、固体レーザによって実現される。あるいは、光源71は、半導体レーザ、ファイバレーザ及び固体レーザのうち、1つ以上のレーザの組み合わせによって実現される。
光源71は、気体の吸収波長帯に含まれる波長を有する第1のレーザ光と、第1のレーザ光よりも気体による吸収率が低い第2のレーザ光とをパルス変調部2の光分割部3に順番に出力する。
【0114】
密度算出部72は、例えば、
図17に示す密度算出回路81によって実現される。
密度算出部72は、光源71から第1のレーザ光が出力されたときに、光検波部11から出力されたそれぞれの検波信号D
1〜D
4の周波数を解析し、光源71から第2のレーザ光が出力されたときに、光検波部11から出力されたそれぞれの検波信号D
1〜D
4の周波数を解析する。
密度算出部72は、それぞれの周波数の解析結果から、気体の密度denを算出する。
【0115】
図16では、信号処理装置15の構成要素であるドップラー周波数算出部16、速度算出部17、SNR算出部30、距離特性算出部31及び密度算出部72のそれぞれが、
図17に示すような専用のハードウェアによって実現されるものを想定している。即ち、信号処理装置15が、ドップラー周波数算出回路41、速度算出回路42、SNR算出回路43、距離特性算出回路44及び密度算出回路81によって実現されるものを想定している。
ドップラー周波数算出回路41、速度算出回路42、SNR算出回路43、距離特性算出回路44及び密度算出回路81のそれぞれは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又は、これらを組み合わせたものが該当する。
【0116】
信号処理装置15の構成要素は、専用のハードウェアによって実現されるものに限るものではなく、信号処理装置15が、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現されるものであってもよい。
信号処理装置15が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合、ドップラー周波数算出部16、速度算出部17、SNR算出部30、距離特性算出部31及び密度算出部72におけるそれぞれの処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムが
図5に示すメモリ51に格納される。そして、
図5に示すプロセッサ52がメモリ51に格納されているプログラムを実行する。
【0117】
また、
図17では、信号処理装置15の構成要素のそれぞれが専用のハードウェアによって実現される例を示し、
図5では、信号処理装置15がソフトウェア又はファームウェア等によって実現される例を示している。しかし、これは一例に過ぎず、信号処理装置15における一部の構成要素が専用のハードウェアによって実現され、残りの構成要素がソフトウェア又はファームウェア等によって実現されるものであってもよい。
【0118】
図15に示すライダ装置の動作について説明する。光源71及び密度算出部72以外は、
図1に示すライダ装置と同様であるため、ここでは、主に、光源71及び密度算出部72の動作について説明する。
まず、光源71は、気体の吸収波長帯に含まれる波長を有する第1のレーザ光をパルス変調部2の光分割部3に出力する。光源71から出力される第1のレーザ光が有する光周波数は、f
0Aである。
光検波部11は、光源71から第1のレーザ光が出力されているとき、実施の形態1と同様に、送受信部6により受信されたそれぞれの散乱光R
1,R
2,R
3,R
4と光源1から出力されたレーザ光である参照光との合波光を検波する。
ここでは、説明の便宜上、光検波部11により検波されるそれぞれの合波光を、C
1A,C
2A,C
3A,C
4Aのように表記する。
光検波部11は、それぞれの合波光C
1A,C
2A,C
3A,C
4Aの検波信号D
1A,D
2A,D
3A,D
4Aを信号処理装置15に出力する。
【0119】
レンジビン分割部22、周波数解析部23、レンジ補正部24、周波数補正処理部25及びスペクトル積算部26のそれぞれは、実施の形態1と同様に動作する。
スペクトル積算部26は、積算後の周波数スペクトルを密度算出部72に出力する。
ここでは、説明の便宜上、スペクトル積算部26から出力される積算後の周波数スペクトルをΣHFS
Aのように表記する。
【0120】
次に、光源71は、第1のレーザ光よりも気体による吸収率が低い第2のレーザ光をパルス変調部2の光分割部3に出力する。光源71から出力される第2のレーザ光が有する光周波数は、f
0Bである。
図18は、気体の吸収波長帯、光源71から出力された第1のレーザ光が有する波長及び光源71から出力された第2のレーザ光が有する波長を示す説明図である。
図18において、横軸は波長であり、縦軸は気体に対するレーザ光の透過率である。
破線は、光源71から出力された第1のレーザ光を示しており、一点鎖線は、光源71から出力された第2のレーザ光を示している。実線は、気体の吸収波長帯を示している。第1の波長は、気体の吸収波長帯に含まれており、第2の波長は、気体の吸収波長帯に含まれていない。気体による第2の波長の透過率が、気体による第1の波長の透過率よりも大きい。即ち、気体による第2の波長の吸収率が、気体による第1の波長の吸収率よりも小さい。
【0121】
光検波部11は、光源71から第2のレーザ光が出力されているとき、実施の形態1と同様に、送受信部6により受信されたそれぞれの散乱光R
1,R
2,R
3,R
4と光源1から出力されたレーザ光である参照光との合波光を検波する。
ここでは、説明の便宜上、光検波部11により検波されるそれぞれの合波光を、C
1B,C
2B,C
3B,C
4Bのように表記する。
光検波部11は、それぞれの合波光C
1B,C
2B,C
3B,C
4Bの検波信号D
1B,D
2B,D
3B,D
4Bを信号処理装置15に出力する。
【0122】
密度算出部72は、光源71から第1のレーザ光が出力されたときに、光検波部11から出力されたそれぞれの検波信号D
1A〜D
4Aの周波数を解析し、光源71から第2のレーザ光が出力されたときに、光検波部11から出力されたそれぞれの検波信号D
1〜D
4の周波数を解析する。
密度算出部72は、それぞれの周波数の解析結果から、気体の密度denを算出する。
以下、密度算出部72による密度denの算出処理を具体的に説明する。
【0123】
密度算出部72は、光周波数補正部21から、光源71から第1のレーザ光が出力されたときの、それぞれのスペクトル強度FS
max1,FS
max2を取得する。ここでは、説明の便宜上、密度算出部72により取得されるそれぞれのスペクトル強度を、FS
max1A(n
1A),FS
max2A(n
2A)のように表記する。n
1Aは、スペクトル強度FS
max1Aのレンジビンを示し、n
2Aは、スペクトル強度FS
max2Aのレンジビンを示している。
また、密度算出部72は、光周波数補正部21から、光源71から第2のレーザ光が出力されたときの、スペクトル強度FS
max1,FS
max2を取得する。ここでは、説明の便宜上、密度算出部72により取得されるそれぞれのスペクトル強度を、FS
max1B(n
1B),FS
max2B(n
2B)のように表記する。n
1Bは、スペクトル強度FS
max1Bのレンジビンを示し、n
2Bは、スペクトル強度FS
max2Bのレンジビンを示している。
【0124】
図16に示す信号処理装置15では、密度算出部72が、光周波数補正部21からスペクトル強度FS
max1A(n
1A),FS
max2A(n
2A),FS
max1B(n
1B),FS
max2B(n
2B)を取得している。しかし、これは一例に過ぎず、密度算出部72が、光周波数補正部21と同様の光周波数補正部を備えていれば、当該光周波数補正部からスペクトル強度FS
max1A(n
1A),FS
max2A(n
2A),FS
max1B(n
1B),FS
max2B(n
2B)を取得するようにしてもよい。
【0125】
密度算出部72は、スペクトル強度FS
max1A(n
1A),FS
max2A(n
2A),FS
max1B(n
1B),FS
max2B(n
2B)を以下の式(8)に代入することによって、気体の密度denを算出する。
【0126】
式(8)において、k
ONは、第1のレーザ光が有している波長の吸収係数であり、既値の係数である。k
OFFは、第2のレーザ光が有している波長の吸収係数であり、既値の係数である。lnは、底がeの対数関数を示す数学記号である。
【0127】
以上の実施の形態4では、観測対象が気体であり、光源71が、気体の吸収波長帯に含まれる波長を有する第1のレーザ光と、第1のレーザ光よりも気体による吸収率が低い第2のレーザ光とを順番に出力する。光源71から第1のレーザ光が出力されたときに、光検波部11から出力されたそれぞれの検波信号の周波数を解析し、光源71から第2のレーザ光が出力されたときに、光検波部11から出力されたそれぞれの検波信号の周波数を解析し、それぞれの周波数の解析結果から、気体の密度を算出する密度算出部72を備えるように、
図15に示すライダ装置を構成した。したがって、
図15に示すライダ装置は、
図1に示すライダ装置と同様に、遠方散乱光と近傍散乱光とが、互いに重なり合った状態であっても、遠方の観測対象の移動速度と近傍の観測対象の移動速度とが同じ速度であるか否かにかかわらず、それぞれの観測対象の移動速度を算出することができる。また、
図15に示すライダ装置は、観測対象である気体の密度を算出することができる。
【0128】
なお、本開示は、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
信号処理装置(15)が、空間に存在している複数の観測対象におけるそれぞれの移動速度として、ライダ装置に対するそれぞれの観測対象の相対速度を算出するように構成した。光源(1)から出力されたレーザ光から、光周波数が互いに異なる複数のパルス光が生成されて、それぞれのパルス光が空間に放射され、それぞれの観測対象によって散乱された後のそれぞれのパルス光が散乱光として受信されて、それぞれの散乱光とレーザ光との合波光が検波されている。信号処理装置(15)は、生成された複数のパルス光が有している光周波数と、それぞれの合波光の検波信号とから、それぞれの散乱光が有している光周波数に含まれている、それぞれの観測対象の移動に伴うドップラー周波数を算出するドップラー周波数算出部(16)と、ドップラー周波数算出部(16)により算出されたそれぞれのドップラー周波数から、それぞれの観測対象の相対速度を算出する速度算出部(17)とを備えている。