(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記オペアンプは、パケット信号の入力が終了したことを示すリセット信号の入力があると、前記変換利得の値を保持する状態から前記変換利得を光受信信号の強度に応じて変更する状態へと変化する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光受信器。
【背景技術】
【0002】
近年、一本の光ファイバを複数の利用者で共有できるPON(Passive Optical Network)システムと呼ばれる一対多数のアクセス系光通信システムが広く用いられている。PONシステムは、局側装置である1台のOLT(Optical Line Terminal:光加入者線終端装置)と、複数の加入者側端末装置であるONU(Optical Network Unit:光ネットワーク装置)と、OLTとONUとを接続する受動素子である光スターカプラと、OLT、ONU、および光スターカプラを接続する光ファイバとで構成される。
【0003】
このようなPONシステムにおいて、各ONUはOLTからの距離が異なる位置に設置されるため、各ONUが送信した光信号のOLTにおける受光レベルは、各ONUからOLTが受信する受信パケット毎に異なる。よって、OLTの光受信器には異なる受光レベルのパケットを安定、かつ、高速に再生する広ダイナミックレンジ特性(Wide Dynamic Range)が求められる。このため、OLTの光受信器には、受光素子から出力される光電流を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプの変換利得を受光レベルに応じた適切な利得に高速変化させるAGC(Automatic Gain Control:自動利得調整)回路が備えられている。
【0004】
AGC回路は、パケット信号の受信開始に伴い変換利得の調整を開始してから変換利得が収束するまでの時定数を有している。そのため、OLT用の光受信器は、パケット信号の受信を開始してから安定的にデータ再生を行うようになるまでに所定の時間を必要とする。ここで、変換利得が収束するまでに要する時間には、システムの伝送速度に応じた制限がある。例えば、ITU-T G.984シリーズで規格化されている上り1.25Gbit/sのG−PONシステム、ITU−T G.987シリーズで規格化されている上り2.5Gbit/sのXG−PONシステム、および、ITU−T G.9807シリーズで規格化されている上り10Gbit/sのXGS−PONシステムの場合には、数十ns以下で変換利得を収束させる必要があり、高速のAGC機能が要求される。
【0005】
ここで、各パケット信号は、オーバヘッド領域とデータ領域とによって構成され、オーバヘッド領域は“01”交番の固定符号列、データ領域はランダムな符号列である。OLT用の光受信器のAGC機能は、オーバヘッド領域で高速に収束し、かつ、データ領域では固定の利得を保持することが理想的な動作である。本機能を実現するAGC機能は様々な方式が提案されている。例えば、特許文献1に記載の発明は、トランスインピーダンスアンプが出力する電圧信号のボトム電圧に基づいて変換利得を制御する利得制御回路と、利得制御回路が収束状態であるかを判定する収束判定回路とを備え、収束判定回路が収束状態への遷移を検出すると、利得制御回路は、収束状態に遷移したときの変換利得を保持する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態にかかる光受信器および局側装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる光受信器を適用して実現される光通信システムの構成例を示す図である。
【0015】
本実施の形態にかかる光通信システム300は、1対多光通信の形式を採ったPONシステムである。光通信システム300は、
図1に示すように、局側装置である1台のOLT100と、複数の加入者側端末装置であるONU200と、光信号を受動的に分岐および合流する光スターカプラ3と、を備えている。なお、局側装置は親局装置とも呼ばれ、加入者側端末装置は子局装置とも呼ばれる。全てのONU200は、光スターカプラ3と、光ファイバ2とを介して、OLT100に接続されている。各ONU200とOLT100との距離はそれぞれ異なる。なお、
図1ではOLT100と各ONU200との間に1つの光スターカプラ3が存在する構成例としているが、OLT100と一部のONU200またはすべてのONU200との間に2つ以上の光スターカプラ3が存在する構成の場合もある。
【0016】
OLT100は、光受信器1を備える。
図1ではOLT100の光受信器1以外の構成要素については記載を省略している。
【0017】
光通信システム300において、各ONU200からOLT100に向けた上り方向の通信は時分割多重方式で行われる。すなわち、OLT100は、各ONU200が送信を予定しているデータのデータ量などに基づいて、各ONU200が送信する光信号が衝突しないように、各ONU200にデータ送信を許可する時間を割り当て、各ONU200は割り当てられた時間にデータ送信を行う。
【0018】
図2は、実施の形態1にかかる光受信器1の構成例を示す図である。光受信器1は、受光した光の強度に対応する電流信号を出力する受光素子であるアバランシェフォトダイオード11と、アバランシェフォトダイオード11が出力する電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプ(TIA:Trance Impedance Amplifier)12と、トランスインピーダンスアンプ12が電流信号を電圧信号に変換する際の変換利得を受信パケットごとに決定する利得制御回路13と、外部から入力されるリセット信号(Reset)および後述する信号検出信号に基づいて利得制御回路13の動作停止を決定する判定回路14と、トランスインピーダンスアンプ12が出力する電圧信号を増幅する後段アンプ15と、後段アンプ15内に流れる信号に基づいて信号検出信号を生成する信号検出(SD:Signal Detect)回路16とを備える。なお、
図2では信号検出回路16が後段アンプ15内の信号を用いて信号を検出する構成を示したが、トランスインピーダンスアンプ12の出力信号を用いて信号を検出してもよいし、後段アンプ15の出力信号を用いて信号を検出してもよい。信号検出信号は、光受信器1が光信号を受信している状態か否かを示す信号であり、例えば、光信号を受信していると信号検出回路16が判定した場合にHigh電圧となる。
【0019】
トランスインピーダンスアンプ12は、オペアンプ121、固定抵抗122および抵抗可変素子123で構成される。トランスインピーダンスアンプ12では、オペアンプ121に対して並列に接続された固定抵抗122および抵抗可変素子123の抵抗値によって、電流信号を電圧信号に変換する際の変換利得が決まる。抵抗可変素子123は、例えばFET(Field Effect Transistor)等で構成され、入力電圧により抵抗値を制御することが可能な回路素子である。抵抗可変素子123には、利得制御回路13が電圧信号のボトム電圧に基づいて生成した利得制御信号が入力される。これにより、トランスインピーダンスアンプ12は、ボトム電圧に基づいて制御された変換利得で電流電圧変換された電圧信号を出力することができる。
【0020】
利得制御回路13は、オペアンプ131と、オペアンプ131の出力端子にカソード端子が接続されたダイオード132と、ダイオード132のアノード端子に一端が接続されたキャパシタ133と、キャパシタ133に並列に接続されたスイッチ134と、を備える。オペアンプ131の非反転入力端子にはトランスインピーダンスアンプ12の出力端子が接続され、オペアンプ131の反転入力端子にはダイオード132のアノード端子が接続される。キャパシタ133は、ダイオード132のアノード端子の電圧により充電される。スイッチ134は、外部から入力するリセット信号(以下、外部リセット信号と称する)の状態に応じて動作し、キャパシタ133に充電された電荷を放電する。ここで、外部リセット信号は、パケット信号の終わりを検出する任意の回路から出力されるパルス信号であり、パケット信号の終わりが検出されるとスイッチ134にパルス信号が入力する。外部リセット信号は、パケット信号の入力が終了したことを示す信号である。スイッチ134は、外部リセット信号の入力があると、すなわち、パケット信号の入力が終了すると、ON状態となり、キャパシタ133に充電されている電荷を放電させる。
【0021】
信号検出回路16は、受信パケット信号が存在する場合にHigh電圧を、存在しない場合にLow電圧を信号検出信号として出力する回路である。信号検出回路16は、例えば、入力信号の振幅が予め定められた値になると、受信パケット信号が存在すると判断する。このとき、誤検出を防止するため、信号検出回路16は、振幅が定められた値となった状態が一定時間継続した場合に受信パケットが存在すると判断してもよいし、瞬時的な信号検出を実現するために振幅が定められた値となった状態に一度でも遷移すると受信パケットが存在すると判断してもよい。なお、信号検出回路16は、High電圧の出力を開始後、受信パケット信号が存在しなくなってもリセット信号が入力されるまではHigh信号を出力しつづけるような回路であってもよい。この場合、光受信器1は、外部リセット信号が信号検出回路16にも入力される構成とする。また、信号検出回路16は、出力電圧のHighとLowの関係が入れ替わっていても、すなわち、受信パケット信号が存在する場合にLow電圧を出力するものであっても、後段の判定回路14が後述の動作をするのであれば問題ない。
【0022】
判定回路14は、外部リセット信号の立ち上がりエッジでLow電圧の出力を開始し、信号検出信号の立ち上がりエッジでHigh電圧の出力を開始する。すなわち、判定回路14は、信号検出回路16が信号を検出するとHigh電圧となり、外部リセット信号の立ち上がりエッジを検出するとLow電圧となる信号を出力するロジック回路である。なお、ここでのLow電圧とはオペアンプ131の動作開始信号を意味し、High電圧とはオペアンプ131の動作停止信号を意味する。判定回路14が出力する信号はオペアンプ131のシャットダウン端子に入力される。これ以降の説明では、判定回路14が出力する信号を収束判定信号と称する。なお、信号検出回路16が受信パケットの存在時にLow電圧を出力する構成の場合、判定回路14は、信号検出信号の立ち下がりエッジでHigh電圧の出力を開始するように動作する。
【0023】
利得制御回路13は、判定回路14から入力される収束判定信号に基づいて、非収束状態時には、すなわち、収束判定信号がLow電圧の場合には、入力電圧波形に追従してボトム電圧を検出するように動作する。一方、収束状態時には、すなわち、収束判定信号がHigh電圧の場合には、利得制御回路13は、入力電圧波形の追従動作を停止して、入力電圧波形によらず、非収束状態から収束状態へ遷移した時点のトランスインピーダンスアンプ12の変換利得を保持するよう動作する。
【0024】
以上のように構成された光受信器1の各部の動作について、
図3のタイミングチャートを用いて説明する。
図3は、実施の形態1にかかる光受信器1の動作例を示すタイミングチャートである。
図3において、(a)は光受信器1への入力パケット信号を示し、(b)は外部リセット信号を示す。(c)は
図2に示すA〜C点の電圧を示す。(c)では、AがA点の電圧を、BがB点の電圧を、CがC点の電圧をそれぞれ示す。また、(d)は
図2に示すD点の電圧を示し、(e)は
図2に示すE点の電圧を示す。
【0025】
光受信器1が受信するパケット信号は、
図3(a)に示すように、“01”交番の固定符号列から成るプリアンブル領域と、同符号連続パターンを含むランダムパターンから成るデータ領域とで構成されている。
【0026】
各ONU200からOLT100に入力されるパケット信号は時分割多重によりそれぞれが衝突しないよう送信されるが、
図3(b)に示すような外部リセット信号がそれぞれのパケット信号間に挿入される。この外部リセット信号により、利得制御回路13のスイッチ134がON状態となり、キャパシタ133に充電された電荷が放電される。これにより、
図3(c)に示すように、利得制御回路13の出力電圧であるC点の電圧は初期化されてHighとなり、この結果、トランスインピーダンスアンプ12の抵抗可変素子123の抵抗値は最大となる。つまり、光受信器1は、トランスインピーダンスアンプ12の変換利得が最大利得の状態で、次に入力されるパケット信号に備える。
【0027】
光受信器1が次のパケット信号を受光すると、
図3(c)に示すように、プリアンブル領域の先頭では、反転アンプであるトランスインピーダンスアンプ12が出力する電圧を示すA点の電圧は、最大利得で増幅された電圧となる。すなわち、トランスインピーダンスアンプ12は、最大利得で増幅された電圧信号を出力する。同時に、利得制御回路13が出力する電圧、すなわちC点の電圧は下がり始め、A点の電圧波形のボトム電圧と同一電圧になるように利得制御回路13はAGC動作を開始する。
【0028】
C点の電圧が下がると、抵抗可変素子123の抵抗値が下がり、トランスインピーダンスアンプ12の変換利得も低下するため、A点における電圧波形の振幅は過渡的に小さくなるよう動作する。C点の電圧がA点のボトム電圧と同等になると、ダイオード132に電流が流れずに利得制御回路13のキャパシタ133に電荷が充電されなくなるため、C点の電圧はそれ以上下がらなくなる。
【0029】
また、ダイオード132のアノード端子がオペアンプ131の反転入力端子に接続されている。すなわち、C点の電圧がオペアンプ131の反転入力端子に入力する。そのため、オペアンプ131が出力する電圧を示すB点の電圧は、C点の電圧と同様にパケット信号受光後に低下する。そして、C点の電圧とA点のボトム電圧値とが同等になると、オペアンプ131が通常通りの動作をしていればB点の電圧は上昇を始める。しかしながら、温度および電源電圧といった動作条件、トランスインピーダンスアンプ12の出力電圧とバイアス電圧との組合せによっては、
図3(c)に示すようにオペアンプ131の利得が下がり、C点の電圧とA点のボトム電圧値が同等になったにも関わらず、B点の電圧が上昇しないという場合がある。
【0030】
一方、信号検出回路16はトランスインピーダンスアンプ12の出力信号の振幅、または、トランスインピーダンスアンプ12の出力信号が増幅された後の振幅に基づいて、信号が存在するか否かを判定し、信号が存在すると判定すると、High電圧を出力する。例えば、信号検出回路16は、上記信号の振幅が予め定められた値になり、その状態が定められた時間にわたって継続すると、信号が存在すると判定してHigh電圧を出力する。
図3(d)に示すように信号検出回路16がプリアンブル領域中でHigh電圧を出力すれば、
図3(e)に示すように判定回路14がオペアンプ131の動作を停止するHigh電圧を出力するため、利得制御回路13によるAGC動作を強制停止できる。
【0031】
以上のように、本実施の形態にかかる光受信器1は、トランスインピーダンスアンプ12が出力する信号に基づいて、所望の振幅の信号が存在するかを判定し、信号が存在する場合、利得制御回路13によるトランスインピーダンスアンプ12の変換利得の調整動作を停止し、その時点の変換利得をトランスインピーダンスアンプ12が使用し続けるようにする。これにより、トランスインピーダンスアンプ12の変換利得の制御が収束した後も利得制御回路13のオペアンプ131の出力電圧が上昇しない条件下での動作となった場合でも、利得制御回路13の動作を停止させることができる。よって、トランスインピーダンスアンプ12の変換利得の制御が収束した後に変換利得が不要に変更されるのを防止でき、その結果、符号誤り率が増加するのを防止できる。
【0032】
実施の形態2.
以上の実施の形態1では、信号検出回路16の出力信号の立ち上がりエッジを検出すると利得制御回路13の動作を停止する光受信器1について説明したが、次に、信号検出回路16の出力信号を適切な時間だけ遅延させることでAGC動作終了前に信号が検出されたとしても実施の形態1と同様の効果が得られる光受信器について説明する。
【0033】
図4は、実施の形態2にかかる光受信器の構成例を示す図である。
図4に示すように、実施の形態2にかかる光受信器1aは、
図2に示した実施の形態1にかかる光受信器1の信号検出回路16と判定回路14との間に遅延回路17を追加した構成である。すなわち、光受信器1aは、実施の形態1で説明した光受信器1に遅延回路17を追加し、信号検出回路16が出力する信号検出信号に遅延回路17が遅延を与えることで、判定回路14への信号検出信号の入力タイミングを遅延させる構成である。遅延回路17以外の構成は実施の形態1と同じであるため、遅延回路17以外の構成については説明を省略する。
【0034】
図5は、実施の形態2にかかる光受信器1aの動作例を示すタイミングチャートである。
図5において、(a)〜(c)は
図3の(a)〜(c)と同じ信号を示す。また、(d)は
図4に示すD点の電圧を示し、(e)は
図4に示すF点の電圧を示す。(f)は
図4に示すE点の電圧を示す。
【0035】
図5(d)に示すように信号検出回路16がAGC動作の終了前、すなわち
図5(c)に示すC点の電圧が完全にA点の電圧のボトム値と同一になる前にHigh電圧を出力してしまう場合を考える。この場合、実施の形態1の光受信器1ではトランスインピーダンスアンプ12の変換利得が適切ではない位置でAGC強制停止状態へと遷移してしまう。
【0036】
これを回避するために、信号検出回路16が出力する信号検出信号の立ち上がりのタイミングおよび立ち下がりのタイミングを遅延させる遅延回路17を加えることで、
図5(e)に示す通りF点の電圧の立ち上がりのタイミングを利得制御回路13の動作後、すなわち、トランスインピーダンスアンプ12の変換利得の制御が収束した後とすることができる。
【0037】
遅延回路17は、例えば、抵抗およびキャパシタからなるRCフィルタと、その出力端子に接続されるバッファ回路によって構成できる。これにより、RCフィルタで入力信号の立ち上がりの波形および立ち下がりの波形がなまる時間分だけ、信号検出信号の立ち上がりのタイミングおよび立ち下がりのタイミングを遅延させることができる。また、一段のRCフィルタおよびバッファ回路では所望の遅延量を実現できないときは、この回路を複数段縦列接続することで遅延量を増加して所望の遅延量を実現すればよい。また、遅延量を固定とせずに、遅延量がそれぞれ異なる複数の遅延回路を並列に準備し、スイッチなどで選択することで可変とすることも出来る。
【0038】
このように、本実施の形態にかかる光受信器1aは、信号検出回路16が出力する信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを遅延させて判定回路14に入力する遅延回路17を備えることとした。これにより、トランスインピーダンスアンプ12の変換利得の制御が収束した後に利得制御回路13によるAGC動作を停止させることができ、トランスインピーダンスアンプ12の変換利得が不適切な値で固定されてしまうのを防止できる。
【0039】
実施の形態3.
以上の実施の形態1および実施の形態2では、信号検出信号のみをトリガとして利得制御回路13の動作を停止する構成について示したが、利得制御回路13のオペアンプ131の出力電圧または信号検出回路16の出力電圧のいずれかをトリガとして実施の形態1と同様の効果が得られる光受信器について説明する。
【0040】
図6は、実施の形態3にかかる光受信器の構成例を示す図である。
図6に示すように、実施の形態3にかかる光受信器1bは、
図2に示した実施の形態1にかかる光受信器1に収束判定回路18を追加した構成である。収束判定回路18以外の構成は実施の形態1と同じであるため、収束判定回路18以外の構成については説明を省略する。
【0041】
収束判定回路18は、利得制御回路13のオペアンプ131の出力電圧と予め設定しておいた閾値電圧である収束判定閾値とを比較して、比較結果をHighまたはLowの電圧で出力する比較器181と、比較器181の出力信号および外部リセット信号に基づいて収束判定信号を生成するロジック回路182と、信号検出回路16が出力する信号の立ち上がりエッジまたはロジック回路182が出力する信号の立ち上がりエッジを検出するとオペアンプ131の動作を停止させる判定回路183とを備える。
【0042】
ロジック回路182は、外部リセット信号の立ち上がりエッジでLow電圧の出力を開始し、比較器181の出力信号の立ち上がりエッジでHigh電圧の出力を開始する。すなわち、ロジック回路182は、利得制御回路13による変換利得の制御が収束し、これに伴いオペアンプ131の出力電圧が閾値電圧を超えたことを比較器181が検出するとHigh電圧となり、外部リセット信号の立ち上がりエッジを検出するとLow電圧となる信号を出力する。
【0043】
実施の形態3にかかる光受信器1bの動作について
図7および
図8のタイミングチャートを用いて説明する。
図7は、実施の形態3にかかる光受信器1bの第1の動作例を示すタイミングチャート、
図8は、実施の形態3にかかる光受信器1bの第2の動作例を示すタイミングチャートである。
【0044】
まず、
図7に示す第1の動作例について説明する。第1の動作例は、利得制御回路13のオペアンプ131の出力電圧が、トランスインピーダンスアンプ12の変換利得が収束した後も増加しない場合の動作例である。
図7において、(a)、(b)および(d)は
図3の(a)、(b)および(d)と同じ信号を示す。また、(c)は
図6に示すA〜C点およびG点の電圧を示す。
図7の(c)は
図3の(c)にG点の電圧を追記したものでありA〜C点の電圧は
図3の(c)に示したものと同一である。GがG点の電圧を示す。(e)は
図6に示すH点の電圧を示す。(f)は
図6に示すI点の電圧を示す。(g)は
図6に示すE点の電圧を示す。
【0045】
図7の(c)および(e)に示すように、B点の電圧がG点の電圧を下回ると比較器181がLow信号を出力する。すなわち、H点の電圧がLowとなる。この第1の動作例では、
図7の(c)、(e)および(f)に示す通り、利得制御回路13のオペアンプ131の出力電圧を示すB点の電圧が、トランスインピーダンスアンプ12の変換利得が収束した後に増加しない。この場合、H点の電圧がLowに遷移した後はHighに遷移しないため、外部リセット信号の立ち上がりエッジの検出に伴いLowに遷移したI点の電圧は、Lowの状態を維持しつづける。
【0046】
一方、
図7の(d)および(g)に示すように、信号検出回路16が出力する信号検出信号の状態を示すD点の電圧は、信号検出回路16が信号を検出するとHighに遷移する。この結果、E点の電圧がプリアンブル領域でHighに遷移し、利得制御回路13のオペアンプ131が動作を停止する。すなわち、光受信器1bは、利得制御回路13によるAGC動作を強制的に停止させることができる。
【0047】
次に、
図8に示す第2の動作例について説明する。第2の動作例は、利得制御回路13のオペアンプ131の出力電圧が、トランスインピーダンスアンプ12の変換利得が収束した後は通常通りに増加する場合の動作例である。
図8の(a)〜(g)は、
図7の(a)〜(g)と同じ信号を示す。
【0048】
図8では、(c)に示すB点の電圧、すなわち、オペアンプ131の出力電圧が、プリアンブル途中でトランスインピーダンスアンプ12の変換利得が収束した後に増加している。そのため、
図8の(c)および(e)に示す通り、H点の電圧は、B点の電圧がG点の電圧を下回ったタイミングでLowに遷移し、次にG点の電圧を上回ったタイミングでHighに再び遷移する。このとき、
図8の(b)および(e)〜(g)に示す通り、I点の電圧は、外部リセット信号の立ち上がりエッジの検出に伴いLowに遷移し、その後、H点の電圧がLowに遷移し再びHighに遷移するタイミングでHighに遷移する。この結果、E点の電圧がプリアンブル領域でHighに遷移し、利得制御回路13のオペアンプ131が動作を停止する。すなわち、光受信器1bは、利得制御回路13によるAGC動作を強制的に停止させることができる。
【0049】
このように、本実施の形態にかかる光受信器1bは、トランスインピーダンスアンプ12の変換利得が収束して利得制御回路13のオペアンプ131の出力電圧が上昇するか、信号検出回路16が出力する信号検出信号の立ち上がりエッジを検出した場合に利得制御回路13のオペアンプ131の動作を停止させる収束判定回路18を備える。これにより、トランスインピーダンスアンプ12の変換利得が収束した後に利得制御回路13のオペアンプ131の出力電圧が増加しない場合であっても、利得制御回路13によるAGC動作を停止させることができる。
【0050】
実施の形態4.
以上の実施の形態3では、信号検出回路16が出力する信号検出信号の立ち上がりエッジ、および、収束判定信号の立ち上がりエッジをトリガとして利得制御回路13のオペアンプ131の動作を停止する光受信器1bを示したが、本実施の形態では、信号検出信号の立ち上がりエッジを遅延させて、遅延後の信号検出信号の立ち上がりエッジ、または、収束判定信号の立ち上がりエッジのいずれかを検出した場合にオペアンプ131の動作を停止する光受信器について説明する。
【0051】
図9は、実施の形態4にかかる光受信器の構成例を示す図である。
図9に示すように、実施の形態4にかかる光受信器1cは、
図6に示した実施の形態3にかかる光受信器1bの信号検出回路16と収束判定回路18との間に遅延回路17を追加した構成である。すなわち、光受信器1cは、実施の形態3で説明した光受信器1bに遅延回路17を加えることで、収束判定回路18への信号検出信号の入力タイミングを遅延させる構成である。遅延回路17は、実施の形態2にかかる光受信器1aが備える遅延回路17と同様の回路である。
【0052】
光受信器1cの動作は、遅延回路17が収束判定回路18への信号検出信号の入力タイミングを遅延させる以外は実施の形態3にかかる光受信器1bと同様である。
【0053】
本実施の形態にかかる光受信器1cによれば、実施の形態2にかかる光受信器1aと同様に、F点の電圧が立ち上がるタイミングを利得制御回路13によるトランスインピーダンスアンプ12の変換利得の調整動作が終了した後とすることができる。
【0054】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。