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特許6980167印刷方法、電子機器、プログラム、サーバ及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6980167
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】印刷方法、電子機器、プログラム、サーバ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20211202BHJP
【FI】
   G06F3/12 343
   G06F3/12 305
【請求項の数】17
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2021-549640(P2021-549640)
(86)(22)【出願日】2021年1月29日
(86)【国際出願番号】JP2021003227
【審査請求日】2021年8月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135828
【弁理士】
【氏名又は名称】飯島 康弘
(72)【発明者】
【氏名】鹿子木 将明
(72)【発明者】
【氏名】加来 諒太
(72)【発明者】
【氏名】金子 嗣弘
(72)【発明者】
【氏名】金子 真也
【審査官】 佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−146025(JP,A)
【文献】 特開2006−205602(JP,A)
【文献】 特開2020−067732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09− 3/12
B41J 29/00− 29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器が、該電子機器の外部からフォーマットの情報を取得するフォーマット取得ステップと、
前記電子機器が、該電子機器の操作部に対する操作に応じて記録事項の内容を特定する内容特定ステップと、
前記電子機器が、前記内容特定ステップによって特定した前記記録事項の内容を前記フォーマット取得ステップによって取得した前記フォーマットの情報に基づいて印刷する印刷ジョブを、前記操作部に対する操作に応じて送信するジョブ送信ステップと、
を有しており、
前記電子機器が、前記内容特定ステップによって特定した前記記録事項の内容の配置位置を、前記フォーマット取得ステップによって取得した前記フォーマットの情報に基づいて、前記操作部に対する配置位置の指定を受け付けずに決定する配置ステップを更に有し、
前記ジョブ送信ステップでは、前記電子機器が、前記配置ステップによって決定された配置位置で前記記録事項の内容を印刷するための前記印刷ジョブを送信する
印刷方法。
【請求項2】
前記フォーマットの情報は、前記フォーマットを反映している印刷媒体を撮像して得られた画像データを含む
請求項1に記載の印刷方法。
【請求項3】
前記配置ステップでは、前記電子機器が、前記画像データに基づいて前記記録事項の内容の配置位置を決定す
請求項2に記載の印刷方法。
【請求項4】
前記配置ステップでは、前記電子機器が、光学文字認識によって、前記画像データに基づく画像に含まれる1以上の文字を読み取り、読み取った文字に基づいて、前記記録事項の内容の配置を決定する
請求項3に記載の印刷方法。
【請求項5】
前記電子機器が、記録事項名の1以上の候補を記憶しており、
前記配置ステップでは、前記電子機器が、
光学文字認識によって、前記画像データに基づく画像内に位置する、それぞれ1以上の文字によって構成される1以上の記録事項名を検出し、
検出した1以上の記録事項名のうち、前記1以上の候補のいずれかと一致する記録事項名の位置に隣接する位置に前記一致する記録事項名と関連する前記記録事項の内容が記録されるように前記記録事項の内容の配置を決定する
請求項4に記載の印刷方法。
【請求項6】
前記配置ステップでは、前記電子機器が、画像特徴抽出処理を実行し、該処理の結果に基づいて前記記録事項の内容の配置を決定する
請求項3〜5のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項7】
前記配置ステップでは、前記画像データに基づく画像内に位置する、枠線、下線及び括弧の少なくとも1つによって示された空欄を検出し、検出した1以上の空欄のいずれかに前記記録事項の内容が印刷されるように前記記録事項の内容の配置を決定する
請求項6に記載の印刷方法。
【請求項8】
前記配置ステップでは、複数種類のフォーマットを反映している複数種類の印刷媒体を撮像して得られた複数の画像データを入力とし、所定の記録事項が記録される位置として前記複数種類のフォーマットが規定している記録位置を出力とする学習済みモデルに、前記フォーマット取得ステップによって取得した前記画像データを入力することにより、前記内容特定ステップによって特定した前記記録事項の内容の配置を決定する
請求項3〜7のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項9】
前記フォーマットは、複数種類の記録事項が記録される位置として複数の記録位置を規定しており、
前記内容特定ステップでは、前記電子機器が、前記複数の記録事項の内容をそれぞれ特定し、
前記配置ステップでは、前記電子機器が、前記内容特定ステップで特定された前記複数の記録事項の内容の、前記複数の記録位置への割り当てを、前記操作部に対する割り当ての指定を受け付けずに行う
請求項1〜8のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項10】
前記フォーマットの情報は、印刷媒体に記録されることによって前記記録事項が記録される記録位置を示すオブジェクトの情報を含み、
前記印刷ジョブは、前記オブジェクト及び前記記録事項の内容のうち前記記録事項の内容のみの印刷を要求する
請求項1〜のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項11】
前記フォーマットの情報は、印刷媒体に記録されることによって前記記録事項が記録される記録位置を示すオブジェクトの情報を含み、
前記印刷ジョブは、前記オブジェクト及び前記記録事項の内容の双方の印刷を要求する
請求項1〜のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項12】
前記電子機器が、前記オブジェクトの情報の少なくとも一部を変更する変更ステップを更に有しており、
前記印刷ジョブが印刷を要求する前記オブジェクトが、前記変更ステップによって変更された後の前記オブジェクトの情報に基づくものである
請求項11に記載の印刷方法。
【請求項13】
前記電子機器は、複数の住所の情報を記憶可能な住所データベースを有しており、
前記内容特定ステップでは、前記電子機器が、前記住所データベースに記憶されている1以上の住所の情報のうちの少なくとも1つを前記記録事項の内容として特定する
請求項1〜12のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項14】
記電子機器が、前記フォーマット取得ステップによって取得した複数のフォーマットの情報と、複数の配送業者の情報と、を互いに対応付けて配送データベースに記憶させる記憶ステップと、
前記電子機器が、前記操作部を介して配送業者の情報の入力を受け付け、前記配送データベースに基づいて、入力された前記配送業者の情報に対応付けられているフォーマットの情報を特定する選択ステップと、
を更に有しており、
前記配置ステップでは、前記選択ステップによって特定された前記フォーマットの情報に基づいて前記記録事項の内容の配置を決定する
請求項1〜13のいずれか1項に記載の印刷方法。
【請求項15】
電子機器であって、
操作部と、
該電子機器の外部からフォーマットの情報を取得するフォーマット取得部と、
前記操作部に対する操作に応じて記録事項の内容を特定する内容特定部と、
前記内容特定部が特定した前記記録事項の内容を、前記フォーマット取得部が取得した前記フォーマットの情報に基づいて印刷する印刷ジョブを、前記操作部に対する操作に応じて送信するジョブ送信部と、
を有しており、
前記内容特定部によって特定した前記記録事項の内容の配置位置を、前記フォーマット取得部によって取得した前記フォーマットの情報に基づいて、前記操作部に対する配置位置の指定を受け付けずに決定する配置部を更に有しており、
前記ジョブ送信部は、前記配置部によって決定された配置位置で前記記録事項の内容を印刷するための前記印刷ジョブを送信する
電子機器。
【請求項16】
操作部を有する電子機器のコンピュータを、
前記電子機器の外部からフォーマットの情報を取得するフォーマット取得部、
前記操作部に対する操作に応じて記録事項の内容を特定する内容特定部、及び
前記内容特定部が特定した前記記録事項の内容を、前記フォーマット取得部が取得した前記フォーマットの情報に基づいて印刷する印刷ジョブを、前記操作部に対する操作に応じて送信するジョブ送信部、
として機能させ
更に、前記内容特定部によって特定した前記記録事項の内容の配置位置を、前記フォーマット取得部によって取得した前記フォーマットの情報に基づいて、前記操作部に対する配置位置の指定を受け付けずに決定する配置部として機能させ、
前記ジョブ送信部は、前記配置部によって決定された配置位置で前記記録事項の内容を印刷するための前記印刷ジョブを送信する
プログラム。
【請求項17】
画像形成装置であって、
操作部と、
該画像形成装置の外部からフォーマットの情報を取得するフォーマット取得部と、
前記操作部に対する操作に応じて記録事項の内容を特定する内容特定部と、
前記フォーマット取得部が取得した前記フォーマットの情報に基づいて、前記内容特定部が特定した前記記録事項の内容を印刷する印刷部と、
を有しており、
前記内容特定部によって特定した前記記録事項の内容の配置位置を、前記フォーマット取得部によって取得した前記フォーマットの情報に基づいて、前記操作部に対する配置位置の指定を受け付けずに決定する配置部を更に有しており、
前記印刷部は、前記配置部によって決定された配置位置で前記記録事項の内容を印刷する
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷方法、電子機器、プログラム、サーバ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォーマットに従って必要事項が記入される印刷媒体(例えば紙)が知られている。例えば、宅配便の送り状では、荷物の送り先の住所及び氏名、並びに荷物の送り主の住所及び氏名を記載する欄が設けられている。上記のような印刷媒体に対して、ユーザが必要事項を手書きで記載するのではなく、プリンタが必要事項を印刷することを可能とした技術が知られている(例えば特開2006−79399号公報)。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一態様に係る印刷方法は、フォーマット取得ステップと、内容特定ステップと、ジョブ送信ステップと、を有している。前記フォーマット取得ステップでは、電子機器が、該電子機器の外部からフォーマットの情報を取得する。前記内容特定ステップでは、前記電子機器が、該電子機器の操作部に対する操作に応じて記録事項の内容を特定する。前記ジョブ送信ステップでは、前記電子機器が、前記内容特定ステップによって特定した前記記録事項の内容を前記フォーマット取得ステップによって取得した前記フォーマットの情報に基づいて印刷する印刷ジョブを、前記操作部に対する操作に応じて送信する。
【0004】
本開示の一態様に係る電子機器は、操作部と、フォーマット取得部と、内容特定部と、ジョブ送信部と、を有している。前記フォーマット取得部は、該電子機器の外部からフォーマットの情報を取得する。前記内容特定部は、前記操作部に対する操作に応じて記録事項の内容を特定する。前記ジョブ送信部は、前記内容特定部が特定した前記記録事項の内容を、前記フォーマット取得部が取得した前記フォーマットの情報に基づいて印刷する印刷ジョブを、前記操作部に対する操作に応じて送信する。
【0005】
本開示の一態様に係るプログラムは、操作部を有する電子機器のコンピュータを、上記フォーマット取得部と、上記内容特定部と、上記ジョブ送信部と、として機能させる。
【0006】
本開示の一態様に係るプログラムサーバは、フォーマット取得部と、位置特定部と、配置情報送信部と、を有している。前記フォーマット取得部は、所定のフォーマットを反映している印刷媒体を撮像して得られた画像データを端末から取得する。前記位置特定部は、前記フォーマット取得部が取得した前記画像データに基づいて、所定の記録事項が記録される位置として前記フォーマットが規定している記録位置を特定する。前記配置情報送信部は、前記位置特定部によって特定した前記記録位置に基づく情報を前記端末又はプリンタへ送信する。
【0007】
本開示の一態様に係る画像形成装置は、操作部と、フォーマット取得部と、内容特定部と、印刷部と、を有している。前記フォーマット取得部は、該画像形成装置の外部からフォーマットの情報を取得する。前記内容特定部は、前記操作部に対する操作に応じて記録事項の内容を特定する。前記印刷部は、前記フォーマット取得部が取得した前記フォーマットの情報に基づいて、前記内容特定部が特定した前記記録事項の内容を印刷する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る印刷方法の一例の概要を説明する模式図。
図2A】第1実施形態に係る印刷態様の一例を示す模式図。
図2B】第1実施形態に係る印刷態様の他の例を示す模式図。
図3】フォーマットの一例を示す模式図。
図4】第1実施形態に係る電子機器の構成を示す模式図。
図5】第1実施形態に係る電子機器の構成を示すブロック図。
図6】第2実施形態に係る電子機器の構成を示すブロック図。
図7】第3実施形態に係る電子機器及びサーバの構成を示すブロック図。
図8】第4実施形態に係る電子機器及びサーバの構成を示すブロック図。
図9】第5実施形態に係る電子機器及びサーバの構成を示すブロック図。
図10】第6実施形態に係る電子機器及びサーバの構成を示すブロック図。
図11】第7実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図。
図12】実施形態に係る配置部の構成の一例を示すブロック図。
図13】実施形態に係る配置部の構成の他の例を示すブロック図。
図14】実施形態に係る配置処理の手順の一例を説明するフローチャート。
図15】実施形態に係る内容特定部の動作の一例を説明するためのブロック図。
図16】実施形態に係るフォーマットの利用態様の一例を説明するためのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。第1実施形態の説明の後、各種の実施形態の説明においては、基本的に、先に説明された実施形態との相違点についてのみ述べる。特に言及が無い事項は、先に説明された実施形態と同様とされたり、先に説明された実施形態から類推されたりしてよい。
【0010】
<第1実施形態>
(印刷方法の一例の概要)
図1は、実施形態に係る印刷方法の一例の概要を説明する模式図である。
【0011】
実施形態に係る印刷方法では、例えば、図1の左上に示すように、所定のフォーマットを反映した印刷媒体1が複合機3によってスキャンされる。印刷媒体1は、例えば、宅配便の送り状(図3参照)である。送り状のフォーマットは、例えば、1以上の送信先の住所及び氏名並びに送信元の住所及び氏名等の項目(換言すれば記録事項。以下、同様。)の記録位置(換言すれば記入位置又は空欄)を定めている。記録位置は、例えば、印刷媒体1に印刷されているオブジェクト1aによって示されている。図1の例では、オブジェクト1aとして、1以上(図示の例では3つ)の記録位置(領域)を個別に囲む記録位置の数と同数の枠線が示されている。なお、以下の説明において、特に断りが無い限り、印刷媒体1の項目は、ユーザによって内容が記録される項目を指す(印刷媒体1に当初から内容が記録されている項目等は指さず)、記録位置は、当該項目の内容が記録される位置を指す。
【0012】
上記のスキャンと並行して、図1の右上に示すように、電子機器5(図示の例ではスマートフォン)において、印刷媒体1に記録される項目の内容が特定される。例えば、ユーザの操作によって、送信先の住所及び氏名並びに送信元の住所及び氏名が電子機器5に入力される。図示の例では、特定された項目の内容Ctを示す文字列(黒丸によって模式的に示されている)が電子機器5の画面に表示されている。ここでは、3つの枠線で囲まれることによって示されているように、3つの項目の内容Ctが特定されている。
【0013】
上記のスキャンによって、印刷媒体1のフォーマットの情報が取得される。このフォーマットの情報は、図1の左下に示すように、電子機器5へ送信される。電子機器5は、取得したフォーマットに従って、図1の右上において特定された項目の内容に対して、印刷されるときの配置を決定する。例えば、図1の左上の印刷媒体1と、図1の左下の電子機器5の画面に表示された印刷イメージとしての印刷媒体1との比較から理解されるように、電子機器5は、フォーマットによって定められている複数の記録位置(図示の例では3つの枠内)へ、図1の右上で特定した複数(3つ)の項目の内容Ctを割り当てる。
【0014】
その後、図1の右下に示すように、電子機器5は、上記のように決定された配置で項目の内容が印刷されるように、印刷ジョブを複合機3へ送信する。複合機3は、印刷ジョブに含まれる画像データに基づいて印刷を行う。これにより、記録項目の内容Ctがフォーマットに従って印刷された印刷媒体1が得られる。印刷によって項目が埋められることから、例えば、ユーザが手書きする手間が省け、ユーザの負担が低減される。また、電子機器5は、該電子機器5の外部からフォーマットの情報を取得するから、例えば、任意のフォーマットに対応することができる。
【0015】
スキャンされる印刷媒体1(図1の左上の印刷媒体1)と、項目の内容が印刷される印刷媒体1(図1の右下の印刷媒体1)とは、同一の個体であってもよいし、別の個体であってもよい。以下の説明では、スキャンされる印刷媒体1を印刷媒体1Aといい、項目の内容の印刷がなされる印刷媒体1を印刷媒体1Bということがある。単に印刷媒体1という場合は、矛盾等が生じない限り、印刷媒体1A及び/又は1Bと読み替えられてよい。
【0016】
印刷媒体1Aと1Bとが別の個体である場合、印刷媒体1Aは、使用前のもの(別の観点では項目の内容が記録されていないもの)であってもよいし、使用後のもの(別の観点では項目の内容が記録されているもの)であってもよい。以下の説明では、便宜上、印刷媒体1Aが使用前のものであることを前提とした説明を行うことがある。
【0017】
図2A及び図2Bは、図1の右下における印刷について印刷態様の例を示す図である。各図において、上段は、図1の右下の印刷がなされる前の印刷媒体1Bを示し、下段は、図1の右下の印刷がなされた後の印刷媒体1Bを示している。
【0018】
図2Aの印刷態様では、オブジェクト1aが予め印刷されている印刷媒体1Bに対して項目の内容Ctが印刷される。この態様において、スキャンされる印刷媒体1Aと、項目の内容の印刷がなされる印刷媒体1Bとは、同一の個体であってもよいし、別の個体であってもよい。
【0019】
図2Bの印刷態様は、スキャンされる印刷媒体1Aと、項目の内容の印刷がなされる印刷媒体1Bとが別の個体である場合に適用される態様である。この態様では、図1の右下の印刷において、オブジェクト1aが印刷されていない(例えば無地の)印刷媒体1Bに対してオブジェクト1a及び項目の内容Ctの双方が印刷される。
【0020】
なお、電子機器5は、上記の2種の印刷態様のいずれか一方のみを実行可能であってもよいし、双方を選択的に実行可能であってもよい。後者の場合、例えば、印刷態様は、ユーザの電子機器5に対する操作によって選択されてよい。
【0021】
(印刷媒体)
印刷媒体1(別の観点ではフォーマット)は、種々のものとされてよい。例えば、印刷媒体1としては、既述の送り状以外に、種々の伝票(送り状以外)、はがき、封筒、加入申込書及び購入申込書を挙げることができる。ただし、以下の説明では、印刷媒体1として、主として送り状を例に取る。また、便宜上、印刷媒体1が送り状であることを前提とした説明を行うことがある。
【0022】
印刷媒体1は、例えば、項目の内容の記録に関して、手書きによる記入と、実施形態による印刷との双方に供されることが可能である。ただし、印刷媒体1は、印刷のみが前提とされてもよい。この場合、印刷媒体1で記録が予定されている項目は、手書きでは現実的に不可能なもの(例えば2次元バーコード)であってもよい。
【0023】
印刷媒体1で記録が予定されている項目は、1つのみであってもよいし、2以上であってもよい。また、項目の内容は、住所及び氏名のように名詞であってもよいし、プロフィールのように文章であってもよい。また、項目の内容は、文字によって示される情報であってもよいし、1次元又は2次元バーコードのように記号(バーコードは画像と捉えられてもよい。)によって示される情報であってもいし、写真のように画像によって示される情報であってもよい。
【0024】
図3は、印刷媒体1の一例としての送り状を示す模式図である。
【0025】
印刷媒体1は、例えば、紙によって構成されている。印刷媒体1は、1枚の紙によって構成されていてもよいし、2枚以上の紙が重ねられて構成されていてもよい。後者としては、複写式の伝票を例示することができる。このような印刷媒体1の材質及び枚数等の構成に関して、スキャンされる印刷媒体1Aと、項目の内容が印刷される印刷媒体1Bとは、互いに同一の構成を有していてもよいし、互いに異なる構成を有していてもよい。例えば、印刷媒体1Aは、複写式の伝票である一方で、印刷媒体1Bは、通常の1枚の紙であってもよい。
【0026】
スキャンされる印刷媒体1Aは、一般に、フォーマットに従ったサイズを有している。別の観点では、印刷媒体1Aのサイズは、フォーマットの一部として捉えられてよい。項目の内容が印刷される印刷媒体1Bのサイズは、印刷媒体1Aのサイズに対して、同一であってもよいし、異なっていてもよい。後者については、別の観点では、印刷媒体1Bのサイズは、フォーマットに従っていないものであってもよい。
【0027】
印刷媒体1Bのサイズが印刷媒体1Aのサイズと異なり、かつ、オブジェクト1a及び項目の内容Ctの双方が共に印刷される態様(図2B)では、印刷媒体1Bにおけるオブジェクト1aのサイズは、印刷媒体1Aにおけるオブジェクト1aのサイズに対して、同一であってもよいし、異なっていてもよい。後者としては、印刷媒体1Bにおけるオブジェクト1aが、印刷媒体1Aにおけるオブジェクト1aに対して、拡大若しくは縮小、及び/又は縦横比の変更がなされる態様を挙げることができる。
【0028】
オブジェクト1aは、例えば、印刷媒体1に記録(例えば印刷)され、ユーザによって埋められる項目の記録位置を示す。オブジェクト1aは、この他、ユーザではない者(例えば宅配業者)によって埋められる項目の記録位置を示すもの、又は記録位置とは無関係なもの(例えば説明文)を含んでよい。ただし、実施形態の説明では、便宜上、特に断りが無い限り、オブジェクト1aの語は、ユーザによって埋められる項目の記録位置を指すオブジェクトに用いる。
【0029】
オブジェクト1aの形状、大きさ及び配置等は、印刷媒体1の種別等に応じて適宜なものとされてよい。オブジェクト1aの典型的なものとしては、例えば、項目名を示す文字列、及び項目の内容が記録される空欄を示す図形が挙げられる。空欄を示す図形としては、例えば、記録位置(領域)を囲む枠線、記録位置の下限を示す下線、及び記録位置を所定方向(例えば左右方向)の両側から囲む括弧を挙げることができる。この他、オブジェクト1aとして、記録に関する注意書き(例えば文章的なもの)、ユーザがペンでなぞる空欄内の点線(例えば8の字状のもの)を挙げることができる。なお、実施形態の説明では、便宜上、主として、典型的なものを例に取る。
【0030】
項目名が印刷媒体1の種別等に応じて適宜に設定されてよいことはもちろんである。図示の例では、項目名(換言すれば項目名を示す文字列)として、「お届け先」、「ご依頼主」、「Postcode」、「住所」、「氏名」及び「TEL」が示されている。項目は、大項目(「お届け先」及び「ご依頼主」)と、小項目(「Postcode」、「住所」、「氏名」及び「TEL」)を含んでよい。
【0031】
枠線、下線及び括弧等の図形は、2文字以上の文字列に対応するものであってもよいし(例えば「住所」の欄を参照)、1文字に対応するものであってもよい(例えば「Postcode」の文字列に続く枠線を参照)。枠線内に、1以上の下線、1以上の他の枠、及び/又は1以上の括弧が設けられるなど、1つの図形内に他の図形が配置されてもよい。なお、このことから理解されるように、空欄は、内部にオブジェクト1aが配置されないことを意味せず、ユーザによって内部に項目の内容が記録されることが予定されている領域を指してよい。
【0032】
オブジェクト1aは、適宜に記録位置を示してよい。空欄を示す図形(枠線、下線及び括弧等)が示す記録位置は、説明するまでもなく明らかである。項目名は、例えば、記録位置に隣接して配置されることによって、記録位置を示してよい。項目名は、空欄を示す図形の内部又は隣に位置することによって記録位置を示してもよい。矢印によって項目名と空欄とを結びつけるなど、空欄を示す図形以外の図形によって項目名に対応する記録位置が示されてもよい。
【0033】
上記において、項目名と記録位置(又は図形等)との隣接等は、例えば、項目名と記録位置との間に他の項目に係るオブジェクト1a又は空欄が位置していないこととされてよい。ただし、「お届け先」と、「氏名」と、当該氏名の空欄とが順に並んでいることから理解されるように、ここでいう隣接では、大項目の項目名と空欄との間に、大項目の下位の小項目に係るオブジェクト1aが介在してもよい。
【0034】
また、互いに隣接する項目名と記録位置との上下左右方向の位置関係は適宜に設定されてよい。一般には、項目名は、空欄に対して左側及び/又は上側に示される。ただし、項目名と記録位置とが枠線によって共に囲まれることなどによって、記録位置が明らかであれば、必ずしもそのような態様でなくてもよい。
【0035】
なお、複数の項目に個別に対応する複数のオブジェクト1aが設けられている場合、当該複数のオブジェクト1aの全体が1つのオブジェクト1aとして概念されてもよい。本開示の説明においては、オブジェクト1aは、個々のオブジェクト1aを指す場合と、全体としてのオブジェクト1aとを指す場合とがある。文脈に応じて適宜に解釈されたい。
【0036】
ユーザが手書きによって空欄を埋める場合、文字列が枠又は括弧から食み出したり、文字列が下線に重なったりする。枠内の下線が無視されることもある。また、空欄のうち一部(例えば郵便番号及び電話番号)が埋められていないこともある。すなわち、印刷媒体1は、必ずしもフォーマットに完全に従って記入されるとは限らない。しかし、印刷媒体1の利用に支障がなければ、そのようなフォーマットに対する違反は許容される。
【0037】
同様に、実施形態の印刷方法も、フォーマットに完全に従っている必要は無い。例えば、社会的な常識に照らして許容される範囲で、印刷された印刷媒体1がフォーマットに違反していても構わない。また、例えば、複数の項目のうち、一部については手書きで行われることが想定され、残りの一部についてのみ印刷が行われてもよい。従って、本開示において、フォーマットに従う等という場合、完全にフォーマットに従っている必要は無く、フォーマットの少なくとも一部に従うことをいう。
【0038】
技術的な観点から言えば、例えば、複数の項目の内容の位置の相対関係がフォーマットに従っていれば、フォーマットに従っていると捉えられてよい。例えば、図3の例では、「お届け先」の内容が「ご依頼主」の内容に対して上側に印刷され、「お届け先」及び「ご依頼主」のそれぞれにおいて、「住所」の内容に対して「氏名」の内容が下に印刷されている場合、項目の内容とオブジェクト1aとの位置関係が本来の位置関係から多少ずれていても、フォーマットに従っていると捉えられてよい(送り状の使用上問題ない。)。
【0039】
項目の内容の印刷について、フォーマットに完全に従う必要がないことを述べた。他の事項についても同様である。例えば、図2Bに示したように、ユーザによってオブジェクト1aが印刷される場合、既に述べたように、オブジェクト1aは、拡大若しくは縮小、又は縦横比の変更がなされてよい。
【0040】
なお、上記のフォーマットに従うという用語の説明は、スキャンされる印刷媒体1Aに表れているフォーマットの全てを、フォーマットの語が指す範囲として捉える考え方に基づく。ただし、印刷媒体1Aに表れているフォーマットの一部のみをフォーマットの語が示す範囲として捉えてもよい。例えば、電子機器5が外部からフォーマットの情報を取得するという場合、複数の項目の記録位置の相対関係のみを、上記フォーマットの語が指す範囲に含め、記録位置とオブジェクト1aとの相対関係を、上記フォーマットの語が指す範囲から除外してもよい。
【0041】
(印刷に利用される機器)
図1に戻る。スキャンを行う複合機3と、印刷を行う複合機3とは、同一の個体であってもよいし、別の個体であってもよい。別の個体の場合、両者の機種は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0042】
複合機3に代えて、スキャナ7(図5参照)及びプリンタ9(図5参照)が用いられてもよい。また、複合機3は、スキャナ7及びプリンタ9として捉えられてもよい。実施形態の説明において、複合機3の語と、スキャナ7又はプリンタ9の語とは、矛盾等が生じない限り、相互に置換されてよい。スキャナ7によるスキャンに代えて、カメラ11(図6参照)による撮像によって、印刷媒体1Aのフォーマットの情報が取得されてもよい。
【0043】
スキャナ7及びカメラ11は、いずれもイメージャを含み、イメージャによって撮像を行う。従って、スキャナ7及びカメラ11は、撮像によってフォーマットの情報を取得する撮像装置として上位概念化して捉えられてよい。実施形態の説明において、スキャナ7、カメラ11及び撮像装置の語は、矛盾等が生じない限り、相互に置換されてよく、スキャン及び撮像の語も相互に置換されてよい。
【0044】
撮像装置によって得られるフォーマットの情報は、フォーマットを反映した印刷媒体1Aの画像データである。撮像によって得られた画像データは、通常、ラスタ形式である。なお、ラスタ形式の画像データは、適宜な時期にベクタ形式の画像データに変換され、ベクタ形式の画像データがフォーマットの情報として用いられてもよい。
【0045】
複合機3、スキャナ7、プリンタ9及びカメラ11は、種々の構成とされてよい。例えば、これらの機器は、公知の構成と同様の構成とされても構わない。また、例えば、これらの機器は、家庭用の比較的小型なものであってもよいし、業務用の比較的大型なものであってもよい。
【0046】
電子機器5は、例えば、通信と印刷ジョブの生成及び送信とを行うことができる種々の機器とされてよい。電子機器5としては、例えば、スマートフォン及びPC(パーソナルコンピュータ)を挙げることができる。PCの形式としては、タブレット型、ノート型及びデスクトップ型を挙げることができる。電子機器5の構成の詳細については後述する。
【0047】
電子機器5と、他の機器(複合機3、スキャナ7、プリンタ9及び/又はカメラ11)との通信は、有線、無線又は両者の組み合わせによって実現されてよい。また、電子機器5と他の機器との通信は、ネットワークを介さない直接的なものであってもよいし、ネットワークを介したものであってよい。ネットワークとしては、LAN(Local Area Network)、プライベートネットワーク、パブリックネットワーク(例えばインターネット)及びこれらの組み合わせを挙げることができる。パブリックネットワークが介在する場合、VPN(Virtual Private Network)が利用されたり、クラウドサービスが利用されたりしてもよい(しなくてもよい。)。
【0048】
スキャナ7と電子機器5との間にクラウドサービスが介在してよいことから理解されるように、電子機器5が取得するフォーマットの情報は、画像データのままであってもよいし、画像データから抽出された情報(例えば数値データ)であってもよい。ただし、実施形態の説明では、便宜上、フォーマットの情報が画像データである態様を前提とした説明を行うことがある。
【0049】
電子機器5とプリンタ9との間にクラウドサービスが介在してよいことから理解されるように、印刷ジョブは、一般にPCからプリンタ9へ出力されるものに限定されず、広く解釈されてよい。換言すれば、印刷ジョブに含まれる情報は、適宜な形式とされてよい。例えば、一般に、PCのプリンタドライバは、プリンタ9の機種に応じたラスタ形式の画像データを含む印刷ジョブを生成して出力する。電子機器5は、そのような機種に応じた印刷ジョブを出力してもよいし、機種に応じていない一般的な形式の画像データを含む印刷ジョブを出力してもよい。後者の場合、クラウドサービスのサーバがプリンタドライバの機能を果たしてよい。さらに、印刷ジョブは、画像データを含まず、テキストデータと、当該テキストデータの配置位置(座標データ)とを含み、クラウドサービスのサーバが画像データを生成してもよい。ただし、実施形態の説明では、便宜上、印刷ジョブが画像データを含む態様を前提とした説明を行うことがある。
【0050】
実施形態の印刷方法に係る社会的な利用方法は、適宜なものとされてよい。例えば、電子機器5及び他の機器(複合機3、スキャナ7、プリンタ9及び/又はカメラ11)の所有者(又はユーザ)は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。所有者又はユーザは、個人であってもよいし、団体であってもよく、また、サービス利用者であってもよいし、サービス提供者であってもよい。電子機器5と他の機器とは、比較的近く(例えば同一フロア)に位置していてもよいし、比較的遠く(例えば異なる地域)に位置していてもよい。
【0051】
社会的な利用方法の具体例を挙げる。印刷媒体1Aが送り状の場合、サービス利用者は、自己又は他者が所有する、自己の近くにある機器(複合機3及び電子機器5)を用いて、印刷媒体1Aのスキャン、項目の内容Ctの特定、及び印刷媒体1Bの印刷を行う。そして、ユーザは、印刷後の印刷媒体1Bが貼付された荷物を宅配業者(サービス提供者)に渡す。又は、ユーザは、印刷後かつ貼付されていない印刷媒体1Bと、荷物とを宅配業者に渡す。
【0052】
また、例えば、上記において、印刷媒体1Bの印刷を行う複合機3が宅配業者の営業所に配置されてもよい。そして、サービス利用者は、上記営業所から離れた位置又は上記営業所にて電子機器5から印刷ジョブを送信する。荷物は、印刷ジョブの送信の前後にサービス利用者によって営業所に持ち込まれる、又は印刷媒体1Bの印刷後に、印刷媒体1Bの「ご依頼主」に印刷された住所に向かった宅配業者によって回収される。
【0053】
(電子機器の構成)
図4は、電子機器5の構成(主としてハードウェア構成)を示す模式図である。
【0054】
電子機器5は、例えば、種々の演算を行う制御部13、ユーザの操作を受け付ける操作部15、ユーザに視覚的に情報を提供する表示部17、及び電子機器5の外部と通信を行う通信部19を有している。
【0055】
制御部13は、例えば、コンピュータと同様の構成を有している。具体的には、例えば、制御部13は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)23、RAM(Random Access Memory)25及び補助記憶装置27を有している。CPU21がROM23及び/又は補助記憶装置27に記憶されているプログラムを実行することによって制御部13が構築される。なお、制御部13は、上記のように構築される部分の他、一定の動作のみを行うように構成された論理回路を含んでいてもよい。
【0056】
図4では、CPU21が実行するプログラムとして、補助記憶装置27に記憶されているプログラムD1が例示されている。プログラムD1は、実施形態に係る印刷方法を実現するためのものである。プログラムD1は、例えば、電子機器5(ハードウェア及びOS(Operating System))の販売時に既に補助記憶装置27に記憶(換言すればインストール)されていてもよいし、電子機器5の販売後、ユーザによって補助記憶装置27に記憶(インストール)されてもよい。プログラムD1の配布は、記憶媒体又は通信を介して行われてよい。実施形態に係る印刷方法を実現するためのプログラムの一部又は全部は、ROM23に記憶されていてもよい。
【0057】
操作部15の構成は任意である。操作部15は、例えば、ユーザの接触による操作を受け付ける。このような操作部15としては、例えば、タッチパネル及び/又は1以上の押しボタンを含むものを挙げることができる。なお、操作部15は、音声操作などの他の方式の操作を受け付けるものであってもよい。
【0058】
表示部17の構成は任意である。例えば、表示部17としては、任意の画像を表示可能なディスプレイを挙げることができる。このようなディスプレイとしては、液晶ディスプレイ及び有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイを挙げることができる。なお、電子機器5は、視覚以外の感覚(例えば聴覚)を介してユーザに情報を提供する装置を有していてもよい。
【0059】
通信部19は、電子機器5が外部と通信を行うためのインターフェースのうち、制御部13に含まれない部分である。通信部19は、ハードウェア的な構成要素のみを含んでいてもよいし、ハードウェア的な構成要素に加えて、ソフトウェアによって実現される部分を含んでいてもよい。後者の場合、通信部19は、制御部13と明瞭に区別できなくてもよい。
【0060】
具体的には、例えば、電子機器5が有線で外部と接続される場合においては、通信部19は、ケーブルが接続されるコネクタ又はポートを有してよい。ここでのポートは、コネクタに加えてソフトウェア的なものを含む概念である。また、例えば、電子機器5が無線(例えば電波)で外部と接続される場合においては、通信部19は、ベースバンドの信号を高周波信号に変換するRF(Radio Frequency)回路と、高周波信号を無線信号に変換するアンテナとを有してよい。また、有線及び無線のいずれにおいても、通信部19は、例えば、増幅器及び/又はフィルタを含んでよい。
【0061】
上述した種々の構成要素(15、17、19、21、23、25及び27)は、例えば、バス29によって接続されている。図4では、模式的に1本のバス29に全ての構成要素が接続されている。実際の製品においては、複数のバスが適宜な形式で接続されていてよい。例えば、アドレスバス、データバス及びコントロールバスが設けられてよい。また、クロスバースイッチ及び/又はリンクバスが適用されてもよい。
【0062】
図4は、あくまで模式図である。従って、例えば、実際には、各種のデバイス(例えばCPU)は、分散して複数設けられていてよい。バス29と各種のデバイス(例えば操作部15又は表示部17)との間には不図示のインターフェースが介在してよい。
【0063】
(電子機器の機能ブロック図)
図5は、電子機器5(5A)の構成(特に制御部13)を示す機能ブロック図である。
【0064】
種々の実施形態において、電子機器5のハードウェア構成は共通してよい。一方で、種々の実施形態は、プログラムD1の実行によって構築される制御部13の各種の機能部の構成が異なってよい。そこで、実施形態の説明では、電子機器5に大文字のアルファベットを付して、実施形態間で電子機器5を区別することがある。例えば、第1実施形態の電子機器5を電子機器5Aということがある。
【0065】
既述のように、電子機器5Aは、制御部13と、操作部15とを有している。また、電子機器5Aは、スキャナ7及びプリンタ9と通信可能である。制御部13においては、CPU21がプログラムD1を実行することによって、種々の機能部(31、33、35、37及び39)が構築される。各機能部の動作等は、以下のとおりである。
【0066】
フォーマット取得部31は、電子機器5の外部からフォーマットの情報を取得する(図1の左上から左下への通信を参照)。内容特定部33は、印刷媒体1に印刷される予定の項目の内容を特定する(図1の右上の動作を参照)。配置部35は、フォーマット取得部31が取得したフォーマットの情報に基づいて、内容特定部33が特定した項目の内容の配置を決定する(図1の左下の動作を参照)。ジョブ生成部37は、配置部35が決定した配置で、内容特定部33が特定した項目の内容が印刷されるように印刷ジョブを生成する。ジョブ送信部39は、ジョブ生成部37が生成した印刷ジョブを通信部19を介してプリンタ9へ送信する(図1の左下から右下への通信を参照)。
【0067】
なお、電子機器5のコンピュータを上記のような種々の機能部として機能させるプログラムD1は、各機能部の全部の構築に係る部分を有している必要は無い。例えば、プログラムD1は、ジョブ送信部39の基本動作を規定している下位のプログラムを呼び出すことによって、コンピュータをジョブ送信部39として機能させてよい。
【0068】
フォーマット取得部31の具体的な態様は種々のものとされてよい。例えば、フォーマット取得部31は、既述のように、スキャナ7から画像データを取得する。換言すれば、フォーマット取得部31は、通信を介して、他の機器からフォーマットの情報を取得する。フォーマット取得部31は、画像データに代えて、画像データの形式とはなっていない、項目の内容の記録位置を示す座標データ(換言すれば数値データ)を取得してもよい。
【0069】
内容特定部33の具体的な態様は種々のものとされてよい。以下に例を示す。
【0070】
例えば、内容特定部33は、操作部15を介して1以上の文字の入力を受け付け(1以上の文字の情報を取得し)、入力された1以上の文字を項目の内容として特定してよい。具体的には、例えば、内容特定部33は、項目毎に設けられた空欄が設けられた入力フォームを表示部17に表示させてよい。この入力フォームの外縁の形状、外縁に対する1以上の空欄の位置及び/又は複数の空欄同士の相対位置は、例えば、印刷媒体1の外縁の形状、外縁に対する1以上の空欄の位置及び/又は空欄同士の位置とは異なっていてよい。そして、内容特定部33は、1以上の空欄のいずれか1つを指定する操作と、空欄に文字を入力する操作とを受け付けてよい。
【0071】
また、例えば、内容特定部33は、操作部15を介して、RAM25及び/又は補助記憶装置27に記憶されている種々の情報(すなわち電子機器5が保持している情報)から項目の内容として利用する情報を選択する操作を受け付けてもよい。このような操作としては、例えば、予め記憶されているテキストファイルからテキストをコピーして上記入力フォームの空欄に貼り付ける操作、及びデータベースから所定の情報を選択する操作を挙げることができる。
【0072】
上記の例示から理解されるように、項目の内容の特定は、電子機器5の外部からの情報の取得(例えば、入力フォームに対する操作部15を介した文字入力)を伴っていてもよいし、伴っていなくてもよい。換言すれば、項目の内容の特定は、項目の内容の取得とは別の概念である。なお、電子機器5の立場ではなく、内容特定部33の立場においては、取得の概念が用いられてもよい。
【0073】
複数の項目が存在する場合、内容特定部33は、項目の内容を分類する処理を行ってよい。例えば、印刷媒体1が送り状である場合において、内容特定部33は、特定した内容が、送り先、送り元、住所及び氏名等のいずれに係る情報であるかを特定してよい。特定方法は、種々のものとされてよい。例えば、内容特定部33は、上記の入力フォームにおける項目別に設けられた複数の空欄のいずれか1つを指定して文字を入力又は貼り付ける操作を受け付けることによって、項目の内容を分類しつつ、項目の内容を特定してよい。換言すれば、内容特定部33は、操作部15を介して、項目の内容を特定する操作を受け付けるときに、併せて、その内容がいずれの項目に対応するものであるのかを特定する操作を受け付けてよい。また、内容特定部33は、例えば、ユーザの操作に基づくのではなく、特定された項目の内容を解析して、項目の内容を分類してもよい。
【0074】
配置部35の具体的な態様は種々のものとされてよい。図示の例では、配置部35は、位置特定部35aと、配置決定部35bとを有している。
【0075】
位置特定部35aは、フォーマット取得部31が取得したフォーマットの情報に基づいて、1以上の項目に関して、フォーマットが規定している記録位置を特定する。例えば、位置特定部35aは、印刷媒体1内のいずれの位置に空欄が位置しているかを特定する。また、例えば、複数の項目がある場合において、位置特定部35aは、複数の項目と複数の空欄との対応関係を特定する。
【0076】
位置特定部35aが特定した記録位置に係る情報は、適宜な形式のものとされてよい。例えば、記録位置に係る情報は、画像データの外縁の座標(画像データに基づく画像全体のサイズ)の情報と、記録位置の座標の情報とを含む。記録位置に係る情報は、必要に応じて、オブジェクト1aの座標の情報を含んでよい。1つの記録位置(空欄)に係る座標の情報は、座標系内の1点の情報であってもよいし、座標系内の範囲を示す情報(例えば空欄の4隅又は対角の2点の座標の情報)であってもよい。座標系は、画素単位のものであってもよいし、m単位(又はこれに準ずるもの。以下、同様。)のものであってもよい。
【0077】
配置決定部35bは、位置特定部35aが特定した記録位置に基づいて、内容特定部33が特定した項目の内容の配置を決定する。この決定は、ユーザの操作を受け付けずに自動で行われてもよいし、ユーザの操作を受け付けて行われてもよい。
【0078】
配置の決定が自動で行われる場合、例えば、配置決定部35bは、所定のアルゴリズムに従って、空欄内における項目の内容の具体的な位置(例えば空欄内の上側の位置又は左側の位置等)を決定する。また、例えば、複数の項目がある場合において、配置決定部35bは、位置特定部35aが特定した複数の項目と複数の空欄との対応関係と、内容特定部33による項目の内容の分類結果とに基づいて、複数の項目の内容を複数の空欄に割り当てる。自動で行われる配置を行うトリガは適宜なものとされてよい。例えば、トリガは、自動での配置を指示するユーザの操作であってもよいし、フォーマットの情報の取得及び項目の内容の特定がなされたことがトリガとされてもよい。なお、上記から理解されるように、ユーザの操作を受け付けずに自動で配置を決定するといっても、そのトリガは操作であって構わない。
【0079】
ユーザの操作を受け付ける場合、例えば、配置決定部35bは、印刷媒体1Aの画像又はこれを模した画像を表示部17に表示する。この画像内において、位置特定部35aが特定した空欄の位置は、項目の内容の入力が文字入力及び/又は貼り付けによって可能となっている。すなわち、配置決定部35bは、印刷媒体1Aを模した入力フォームを表示部17に表示する。入力フォームは、プログラムD1によって表示されるものであってもよいし、所定の形式のファイルがプログラムD1とは別のソフトウェアによって読み出されることによって表示されてもよい。そして、ユーザは、2以上の空欄のいずれかを指定して項目の内容を入力する。なお、この例から理解されるように、項目の内容の特定は、図1を参照して説明した例とは異なり、配置部35の処理に先立って行われるのではなく、配置部35の処理と並行して行われてもよい。
【0080】
また、例えば、配置決定部35bは、項目の内容の配置を自動で決定した後、その決定後の配置の印刷イメージを表示部17に表示して、配置を修正するユーザの操作を受け付けてもよい。なお、本開示において、何らかの事柄についてユーザの操作を受け付けずに自動で決定すると説明される態様は、上記のように決定後にユーザの操作による修正が可能な態様を含んでよい。
【0081】
配置部35の決定した配置に係る情報は、適宜な形式のものとされてよい。例えば、配置に係る情報は、画像データの座標系において、画像データの外縁の座標(画像データに基づく画像全体のサイズ)の情報と、項目の内容(及びオブジェクト1a)の座標の情報とを含む。画像データの座標系は、単位が画素である(m単位ではない)。さらに、配置に係る情報は、画像データが印刷されるときの印刷媒体1Bにおける画像全体のサイズ(m単位)の情報を含んでよい。このm単位のサイズは、例えば、フォーマット取得部31によって取得された印刷媒体1Bのサイズの情報(換言すればフォーマット)に従っていてもよいし、ユーザが操作部15を介して設定したサイズであってもよい。
【0082】
なお、ユーザが操作部15を介してm単位のサイズを設定する場合、このサイズの設定は、上記の説明とは異なり、配置部35の動作外の動作として捉えられてもよい。別の観点では、配置部35が決定する配置は、画像データの座標系における配置であってもよいし(そのように配置部35が捉えられてもよいし)、印刷媒体1Bにおける配置であってもよい(そのように配置部35が捉えられてもよい。)。ただし、いずれにせよ、フォーマットに基づいてフォーマットが規定する領域に対する項目の内容の配置が決定されていることに変わりはない。
【0083】
ジョブ生成部37の具体的な態様は種々のものとされてよい。例えば、既に触れたように、印刷ジョブは、一般的なPCにおけるプリンタドライバと同様に、プリンタ9の機種に応じた形式の印刷ジョブを生成してもよいし、クラウドサービスのサーバが受け入れ可能な形式の印刷ジョブを生成してもよい。ジョブ生成部37が生成する印刷ジョブは、既述のように、ラスタ形式又はベクタ形式の画像データを含んでよい。図2Bの態様では、印刷ジョブ(画像データ)は、項目の内容に加え、オブジェクト1aの情報を含んでいる。
【0084】
ジョブ送信部39の具体的な態様は種々のものとされてよい。例えば、既に触れたように、ジョブ送信部39は、無線及び有線のいずれによって印刷ジョブを送信してもよいし、印刷ジョブを直接的にプリンタ9に送信してもよいし、ネットワークへ印刷ジョブを送信してもよい。ジョブ送信部39から直接に又は間接に印刷ジョブを受信したプリンタ9は、受信した印刷ジョブに基づく印刷を行う。
【0085】
各機能部の動作は、それぞれ操作部15に対する操作に応じて行われてもよいし、操作部15に対する1つの操作に応じて2以上の機能部の動作が一連の動作として行われてもよい。後者の例を挙げると、例えば、ジョブ生成部37による印刷ジョブの生成と、ジョブ送信部39による印刷ジョブの送信とは、1つの操作に応じて、一連の動作として行われてよい。換言すれば、ユーザは、印刷ジョブの生成と、印刷ジョブの送信とを別個に指示しなくてもよい(指示するようにしてもよい。)。また、例えば、配置部35の動作以降の動作が一連の動作とされてもよい。
【0086】
ジョブ送信部39による印刷ジョブの送信は、上記のように、それ以前の他の機能部の動作を含む一連の動作に含まれ得るが、この場合においても、操作部15に対する印刷を指示する操作に応じてなされているといえる。別の観点では、電子機器5は、クラウドサービスのサーバのように通信を介して印刷指示を受けるのではない。後述する他の実施形態では、操作部15に対する印刷を指示する操作に応じて、電子機器5からサーバへ信号が送信され、当該サーバから電子機器5へ信号が送信される。そして、サーバからの信号の受信に応じて、ジョブ送信部39が印刷ジョブを送信し得る。この場合においても、印刷を指示する操作から印刷ジョブの送信までが一連の動作として自動的に行われている場合においては、ジョブ送信部39による印刷ジョブの送信は、ユーザの操作部15に対する印刷を指示する操作に応じてなされているといえる。
【0087】
上記の種々の機能部の区別は明確でなくてもよい。例えば、図示の例では、位置特定部35aと配置決定部35bとを区別したが、後述する配置部35の具体例から理解されるように、必ずしも両者を区別できないことがある。また、例えば、画像全体のm単位のサイズの情報を含む印刷ジョブが生成されたときに、印刷媒体1Bにおける項目の配置が最終決定される。従って、ジョブ生成部37の一部は配置部35を構成していると捉えられてもよい。
【0088】
実施形態に係る印刷方法を示すフローチャートを作成すると、図5と類似した図となることから、そのようなフローチャートの図示は省略する。例えば、図5において、制御部13内の機能部の「部」をステップと置き換えると、制御部13内の図はフローチャートとして捉えることができる。このとき、フォーマット取得部31はフォーマット取得ステップに相当する。内容特定部33は内容特定ステップに相当する。配置部35は配置ステップに相当する。ジョブ生成部37はジョブ生成ステップに相当する。ジョブ送信部39はジョブ送信ステップに相当する。
【0089】
以上のとおり、本実施形態に係る印刷方法は、フォーマット取得ステップと、内容特定ステップと、ジョブ送信ステップと、を有している。フォーマット取得ステップでは、電子機器5が、該電子機器5の外部からフォーマットの情報を取得する。内容特定ステップでは、電子機器5が、該電子機器5の操作部15に対する操作に応じて記録事項(項目)の内容を特定する。ジョブ送信ステップでは、電子機器5が、内容特定ステップによって特定した項目の内容をフォーマット取得ステップによって取得したフォーマットの情報に基づいて印刷する印刷ジョブを、操作部15に対する操作に応じて送信する。
【0090】
別の観点では、本実施形態に係る電子機器5は、操作部15と、フォーマット取得部31と、内容特定部33と、ジョブ送信部39とを有している。フォーマット取得部31は、電子機器5の外部からフォーマットの情報を取得する。内容特定部33は、操作部15に対する操作に応じて項目の内容を特定する。ジョブ送信部39は、内容特定部33が特定した項目の内容をフォーマット取得部31が取得したフォーマットの情報に基づいて印刷する印刷ジョブを、操作部15に対する操作に応じて送信する。
【0091】
さらに別の観点では、本実施形態に係るプログラムD1は、操作部15を有する電子機器5のコンピュータ(制御部13)を、フォーマット取得部31、内容特定部33及びジョブ送信部39として機能させるものである。フォーマット取得部31、内容特定部33及びジョブ送信部39は、上述のような動作を行う。
【0092】
従って、例えば、電子機器5は、任意のフォーマットに従って項目の内容を印刷することができる。別の観点では、フォーマットの情報は、プログラムD1に含まれていなくてよい。さらに別の観点では、制御部13の種々の機能部が構築されたとき、フォーマットの情報は電子機器5によって記憶されていなくてもよい。その結果、例えば、ユーザにとっての利便性が向上する。具体的には、例えば、送り状に項目の内容をプリンタで印刷するアプリケーション又はクラウドサービスを提供していない宅配業者のフォーマットに従って印刷を行うことができる。
【0093】
フォーマットの情報は、フォーマットを反映している印刷媒体1Aを撮像して得られた画像データを含んでよい。
【0094】
この場合、例えば、印刷媒体1Aの撮像(スキャン)によってフォーマットの情報を取得することができる。従って、例えば、ユーザは、手元にある送り状をスキャンしてフォーマットの情報を取得することができる。その結果、例えば、インターネットを介してフォーマットの情報があるか否かを調べる必要性が低減され、また、フォーマットの情報がインターネットにおいて開示されていない場合においてもフォーマットに従って印刷を行うことができる。
【0095】
印刷方法は、電子機器5が、画像データに基づいて項目の内容の配置位置を決定する配置ステップ(配置部35を参照)を更に有してよい。ジョブ送信ステップ(ジョブ送信部39を参照)では、電子機器5が、配置ステップによって決定された配置位置で項目の内容を印刷する印刷ジョブを送信してよい。ここでいう配置の決定は、広く解釈されてよく、例えば、既述のように、1つ以上の空欄の位置を特定して空欄へ項目の内容を配置する動作、空欄内における項目の内容の位置を決定する動作、及び複数の空欄に対して複数の項目の内容を割り当てる動作のいずれかであってよい。また、配置の決定に際してユーザの操作が介在してもよい。
【0096】
この場合、例えば、電子機器5が画像データに基づいて項目の内容の配置を決定するから、ユーザが項目の内容の配置を決定する態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、ユーザの負担が低減される。なお、ユーザが項目の内容の配置を決定する態様としては、例えば、画像データに基づく印刷媒体1Aの画像(入力フォームの機能を有していないもの)が表示部17に表示され、ユーザが項目の内容を含む画像を印刷媒体1Aの画像上にドラッグ及びドロップする態様(単に画像データに基づく画像同士が重ねられるもの)が挙げられる。このような態様は、例えば、公知の図面作成ソフトを応用して実現されてよい。
【0097】
配置ステップでは、電子機器5が、内容特定ステップによって特定した記録事項(項目)の内容の配置位置を、フォーマット取得ステップによって取得したフォーマットの情報に基づいて、操作部15に対する配置位置の指定を受け付けずに決定してよい。なお、既述のように、電子機器5が配置位置を自動で決定した後、ユーザの修正操作が可能であってもよい。
【0098】
このように自動で配置が決定される場合、自動で配置が決定されない態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、ユーザの負担が低減される。なお、自動で配置が決定されない態様としては、例えば、上述のように、ユーザがドラッグ及びドロップを行う態様を挙げることができる。
【0099】
フォーマットは、複数の項目の記録位置を規定していてよい。内容特定ステップ(内容特定部33を参照)では、電子機器5が、複数の項目の内容をそれぞれ特定してよい。配置ステップ(配置部35を参照)では、電子機器5が、内容特定ステップで特定された複数の項目の内容の、複数の項目の記録位置への割り当てを、操作部15に対する割り当ての指定を受け付けずに行ってよい。すなわち、割り当ては、配置部35によって自動で行われてよい。なお、既述のように、割り当てが自動で行われた後、ユーザの修正操作が可能であってもよい。
【0100】
このように自動で割り当てが行われる場合、ユーザが複数の項目の内容を複数項目の記録位置へ割り当てる態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、ユーザの負担が低減される。なお、ユーザが割り当てを行う態様としては、例えば、上述のように、ユーザがドラッグ及びドロップを行う態様を挙げることができる。
【0101】
フォーマットの情報は、印刷媒体1に記録されることによって記録事項(項目)が記録される記録位置を示す(例えば記録位置と所定の位置関係を有する)オブジェクト1aの情報を含んでよい。印刷ジョブは、オブジェクト1a及び項目の内容のうち項目の内容のみの印刷を要求してよい(図2A)。
【0102】
この場合、例えば、フォーマットの情報の取得に用いられた印刷媒体1Aに対して印刷を行うことができる(印刷媒体1Aを印刷媒体1Bとすることができる。)。その結果、例えば、ユーザは、印刷媒体1Aとは別個に印刷媒体1Bを用意する必要がない。また、例えば、宅配業者は、自らの業務の拡大のために、オブジェクト1aが印刷済みで、かつ項目の内容が未記入の印刷媒体1を大量に顧客に提供することがある。このような業者によって提供された印刷媒体1を活用することができる。
【0103】
上記とは逆に、印刷ジョブは、オブジェクト1a及び項目の内容の双方の印刷を要求してもよい(図2B)。
【0104】
この場合、例えば、ユーザは、オブジェクト1aが印刷済みで、かつ項目の内容が未記入の印刷媒体1が手元にない場合においても、自己が有している無地の印刷媒体1に対する印刷によって、オブジェクト1a及び項目の内容が印刷された印刷媒体1を作成することができる。すなわち、必要な量の印刷媒体1Bを予め用意する必要がないという点でユーザの利便性が向上する。
【0105】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る電子機器5(5B)の構成を示す機能ブロック図であり、第1実施形態の図5に対応している。
【0106】
第1実施形態では、電子機器5Aは、該電子機器5Aの外部の撮像装置(スキャナ7)と通信可能に接続された。一方、第2実施形態では、電子機器5Bは、撮像装置(カメラ11)を有している。別の観点では、第1実施形態の電子機器5Aは、通信によって該電子機器5Aの外部からフォーマットの情報を取得した。これに対して、第2実施形態の電子機器5Bは、撮像によって該電子機器5Bの外部からフォーマットの情報を取得する。
【0107】
カメラ11が電子機器5Bの一部であるか否かは、適宜に判断されてよい。例えば、筐体41によって制御部13及びカメラ11が共に保持されていれば、カメラ11は、電子機器5Bの一部として捉えられてよい。また、カメラ11と、制御部13を保持している筐体とがケーブルを介して接続されているような態様においても、ケーブルが着脱を前提とされていないもの(例えば筐体及び/又はカメラ11を分解しない限りケーブルを取り外せないもの)である場合においては、カメラ11は、電子機器5Bの一部として捉えられてよい。
【0108】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、電子機器5の外部からフォーマットの情報が取得されることから、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、任意のフォーマットに対応した印刷が可能であり、ユーザの利便性が向上する。
【0109】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態に係る電子機器5(5C)及びサーバ43(43C)の構成を示す機能ブロック図であり、第1実施形態の図5に対応している。なお、サーバ43についても、電子機器5と同様に、実施形態間でサーバ43を区別するために、大文字のアルファベットを付すことがある。
【0110】
第3実施形態は、第1実施形態の電子機器5Aが実行した処理の一部をサーバ43に実行させる態様である。具体的には、以下のとおりである。
【0111】
サーバ43は、コンピュータを含んで構成されている。図4を参照して説明した電子機器5の構成の説明は、適宜にサーバ43の構成に援用されてよい。図4は、サーバ43の構成を示す図として捉えられてもよい。サーバ43においても、CPUがROM及び/又は補助記憶装置に記憶されているプログラムを実行することによって、種々の機能部(47及び49)が構築される。
【0112】
サーバ43は、電子機器5Cと通信可能とされている。当該通信は、電子機器5とスキャナ7等との通信と同様に、種々の態様とされてよい。第1実施形態における電子機器5とスキャナ7等との通信に係る説明は、電子機器5Cとサーバ43との通信に援用されてよい。例えば、有線、無線、ネットワークの介在の有無、ネットワークの種類、VPN等の技術の利用の有無は、適宜に設定されてよい。図7では、ネットワーク45が介在している態様が例示されている。ネットワーク45は、既述のように、LAN及び/又はプライベートネットワークであってもよいし、パブリックネットワークであってもよい。
【0113】
別の観点では、サーバ43は、例えば、電子機器5のユーザとしての団体がLAN内及び/又はプライベートネットワーク内に有しているサーバであってもよいし、クラウドサービスを構成するサーバであってもよい。また、サーバ43は、電子機器5(例えばスマートフォン)のユーザとしての個人が有するPCであってもよい。この例示から理解されるように、ここでのサーバは、電子機器5の要求に応じて処理の実行を行うコンピュータを指し、社会的にサービスを提供するもの、及び複数の端末から処理の要求を受け付けるもの等に限定されない。サーバ43の処理能力は、例えば、電子機器5の処理能力よりも高くされてよい。
【0114】
本実施形態において、サーバ43が電子機器5Cに代わって実行する処理は、フォーマットの情報に基づいて、1以上の項目について、フォーマットが規定している記録位置を特定する処理である。具体的には、以下のとおりである。
【0115】
電子機器5Cのフォーマット取得部31は、スキャナ7から取得したフォーマットの情報をサーバ43に送信する。サーバ43では、電子機器5から送信されたフォーマットの情報をフォーマット取得部47が受信する。電子機器5Cのフォーマット取得部31は、例えば、スキャナ7から取得したフォーマットの情報(付帯情報を除く本体)に対して、特段の処理を実行しない。換言すれば、フォーマット取得部31は、電子機器5Cの外部から取得したフォーマットの情報をサーバ43へ転送する。従って、サーバ43によって受信されるフォーマットの情報は、例えば、ラスタ形式の画像データである。
【0116】
フォーマットの情報を受信したサーバ43では、配置部49の位置特定部49aが、フォーマット取得部47が取得したフォーマットの情報に基づいて、1以上の項目についてフォーマットが規定している記録位置を特定する。この処理は、第1実施形態に係る電子機器5Aの位置特定部35aの処理と同様とされてよい。そして、位置特定部49aは、特定した記録位置の情報を電子機器5Cへ送信する。
【0117】
記録位置の情報を受信した電子機器5Cでは、第1実施形態と同様に、配置決定部35bが、記録位置の情報に基づいて項目の内容の配置を決定する。なお、電子機器5Cの配置部35は、第1実施形態の配置部35(便宜上同じ符号を用いている)とは異なり、位置特定部35aを有していない。
【0118】
配置決定部35bは、第1実施形態と同様に、自動で配置を決定してもよいし、ユーザの操作を受け付けてもよい。位置特定部49aが送信する情報は、配置決定部35bの処理態様に応じた内容及び/又は形式とされていてもよいし、されていなくてもよい。例えば、既述のように、配置決定ステップ及び内容特定ステップが並行して行われる態様において、所定の形式のファイルがプログラムD1又は他のプログラムによって読み出されることによって、項目の内容を入力するための入力フォームが表示されてよい。この態様において、位置特定部49aが送信するデータは、上記ファイルであってもよいし、上記ファイルでなくてもよい(ファイルへの変換は配置決定部35bによってなされてよい。)。
【0119】
第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、電子機器5の外部からフォーマットの情報が取得されることから、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、任意のフォーマットに対応した印刷が可能であり、ユーザの利便性が向上する。
【0120】
別の観点では、本実施形態に係るサーバ43は、フォーマット取得部47と、位置特定部49aと、配置情報送信部(本実施形態では位置特定部49aの一部)とを有している。フォーマット取得部47は、所定のフォーマットを反映している印刷媒体1Aを撮像して得られた画像データを端末(電子機器5)から取得する。位置特定部49aは、フォーマット取得部47が取得した画像データに基づいて、所定の記録事項(項目)が記録される位置としてフォーマットが規定している記録位置を特定する。配置情報送信部は、位置特定部49aによって特定した記録位置に基づく情報(本実施形態では記録位置)を電子機器5又はプリンタ9(本実施形態では電子機器5)へ送信する。
【0121】
この場合、例えば、画像データから記録位置を特定する処理がサーバ43で行われることから、電子機器5Cの処理の負担が低減される。換言すれば、電子機器5Cの処理能力を低くすることができる。従って、例えば、本開示に係る技術の汎用性が向上する。
【0122】
<第4実施形態>
図8は、第4実施形態に係る電子機器5(5D)及びサーバ43(43D)の構成を示す機能ブロック図であり、第1実施形態の図5に対応している。
【0123】
第4実施形態は、電子機器5に代わってサーバ43が実行する処理を第3実施形態よりも多くした態様である。第4実施形態のサーバ43Dは、第3実施形態のサーバ43Cが実行した処理に加えて、位置特定部49aが特定した記録位置に基づいて項目の内容の配置を決定する処理を行う(配置決定部49bを有している。)。具体的には、以下のとおりである。
【0124】
電子機器5Dの内容特定部33は、特定した項目の内容をサーバ43に送信する。サーバ43では、電子機器5から送信された項目の内容を内容特定部51が受信する。サーバ43の配置部49は、第1実施形態の配置部35と同様に、配置決定部49bを有している。配置決定部49bは、第1実施形態の配置決定部35bと同様に、フォーマット取得部47が取得したフォーマットの情報に基づいて、内容特定部51が取得した項目の内容の配置を決定する。
【0125】
電子機器5Dの内容特定部33は、自ら能動的に処理を行って項目の内容を特定してもよいし、サーバ43の内容特定部51からの指令に応じて、ユーザの操作部15に対する操作を受け付けたり、入力フォームを表示部17に表示したりして、項目の内容を特定してもよい。後者について、換言すれば、内容特定部33は、内容特定部51とユーザとのインターフェースを担う機能部として機能してよい。ただし、いずれにせよ、内容特定部33は、操作部15の操作に応じて項目の内容を特定しているといえる。
【0126】
配置決定部49bは、第1実施形態と同様に、ユーザの操作部15に対する操作を受け付けずに自動で配置を決定してもよいし、ユーザの操作部15に対する操作を受け付けて配置を決定してもよいし、入力フォーム及び/又は印刷イメージを表示部17に表示してもよい。ただし、操作部15に対する操作の受け付け、及び表示部17における表示は、電子機器5との通信を介して実現される。
【0127】
配置決定部49bは、決定した配置の情報を電子機器5Dへ送信する。当該情報を受信した電子機器5Dでは、第1実施形態と同様に、ジョブ生成部37が印刷ジョブを生成する。なお、電子機器5Dの制御部13は、第1実施形態の制御部13(便宜上、同じ符号を用いている)とは異なり、配置部35を有していない。ただし、制御部13のうち、ユーザの操作部15に対する操作を受け付けたり、入力フォーム及び/又は印刷イメージを表示部17に表示したりする処理(インターフェースを構築する処理)を実行する部分は、配置部35の一種として捉えられてもよい。
【0128】
第4実施形態においても、第1実施形態と同様に、電子機器5の外部からフォーマットの情報が取得されることから、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、任意のフォーマットに対応した印刷が可能であり、ユーザの利便性が向上する。
【0129】
別の観点では、本実施形態に係るサーバ43Dは、第3実施形態に係るサーバ43Cと同様に、フォーマット取得部47と、位置特定部49aと、配置情報送信部(本実施形態では配置決定部49bの一部)とを有している。配置情報送信部は、位置特定部49aによって特定した記録位置に基づく情報(本実施形態では項目の内容の配置に係る情報)を電子機器5又はプリンタ9(本実施形態では電子機器5)へ送信する。
【0130】
従って、例えば、第3実施形態と同様に、電子機器5の負担が低減される。さらに、電子機器5に代わってサーバ43が実行する処理が第3実施形態よりも多くなっていることから、電子機器5の処理の負担を低減する効果が向上する。
【0131】
なお、本実施形態から理解されるように、電子機器5が、内容特定ステップによって特定した記録事項(項目)の内容をフォーマット取得ステップによって取得したフォーマットの情報に基づいて印刷する印刷ジョブを、操作部15に対する操作に応じて送信する、というとき、項目の内容をフォーマットに従って配置する処理等は、電子機器5自身が行う必要は無い。
【0132】
<第5実施形態>
図9は、第5実施形態に係る電子機器5(5E)及びサーバ43(43E)の構成を示す機能ブロック図であり、第1実施形態の図5に対応している。
【0133】
第5実施形態は、電子機器5に代わってサーバ43が実行する処理を第4実施形態よりも多くした態様である。第5実施形態のサーバ43Eは、第4実施形態のサーバ43Dが実行した処理に加えて、印刷ジョブの生成及び送信を行う(ジョブ生成部53及びジョブ送信部55を有している。)。ジョブ生成部53及びジョブ送信部55は、サーバ43Eに構築されていることを除いて、第1実施形態の電子機器5Aに構築されたジョブ生成部37及びジョブ送信部39と基本的に同様の構成とされてよい。
【0134】
第5実施形態においても、第1実施形態と同様に、電子機器5の外部からフォーマットの情報が取得されることから、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、任意のフォーマットに対応した印刷が可能であり、ユーザの利便性が向上する。
【0135】
別の観点では、本実施形態に係るサーバ43Eは、第3実施形態に係るサーバ43Cと同様に、フォーマット取得部47と、位置特定部49aと、配置情報送信部(本実施形態ではジョブ送信部55)とを有している。ジョブ送信部55は、位置特定部49aによって特定した記録位置に基づく情報(本実施形態では印刷ジョブ)を電子機器5又はプリンタ9(本実施形態ではプリンタ9)へ送信する。
【0136】
この場合、例えば、第3及び第4実施形態と同様に、電子機器5の負担が低減される。さらに、電子機器5に代わってサーバ43が実行する処理が第4実施形態よりも多くなっていることから、電子機器5の処理の負担を低減する効果が向上する。
【0137】
<第6実施形態>
図10は、第6実施形態に係る電子機器5(5F)及びサーバ43(43F)の構成を示す機能ブロック図であり、第1実施形態の図5に対応している。
【0138】
第1実施形態の説明では、電子機器5と、他の機器(スキャナ7及びプリンタ9等)との間にネットワーク及び/又は他の機器が介在してよいことを述べた。図示の例では、スキャナ7と、電子機器5Fのフォーマット取得部31との間に、他の機器57と、サーバ43Fとが介在している。具体的には、以下のとおりである。
【0139】
他の機器57は、電子機器5と同様に、適宜な構成とされてよい。プログラムD1の実行によって構築される種々の機能部の説明を除いて、電子機器5の説明は、他の機器57に援用されてよい。図示の例では、他の機器57として、スキャナ7と通信を行うものが例示されているが、他の機器57は、第2実施形態の電子機器5B(図6)のようにカメラ11を有する機器であってもよい。
【0140】
また、他の機器57とサーバ43Fとの間の通信についても、電子機器5とサーバ43との間の通信の説明が援用されてよい。図示の例では、他の機器57とサーバ43Fとの通信と、電子機器5Fとサーバ43Fとの通信は、同じネットワーク45を介してなされている。ただし、前者の通信と後者の通信とは、ネットワークの介在の有無が異なっていてもよいし、互いに異なるネットワークを介してなされていてもよい。互いに異なるネットワークが利用されている場合において、ネットワークの種類(プライベートか否か等)は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0141】
他の機器57は、スキャナ7からフォーマットの情報を取得するフォーマット取得部59を有している。フォーマット取得部59は、例えば、第3実施形態(図7)に係る電子機器5Cのフォーマット取得部31の構成と同様の構成を有してよく、取得したフォーマットの情報(ラスタ形式の画像データ)をサーバ43Fに転送する。
【0142】
サーバ43Fは、例えば、第3実施形態(図7)に係るサーバ43Cの構成と同様の構成を有してよく、取得したフォーマットの情報に基づいて、1以上の項目についてフォーマットが規定している記録位置を特定し、その特定した記録位置に係る情報を電子機器5Fに送信する。
【0143】
電子機器5Fは、例えば、スキャナ7から取得したフォーマットの情報をサーバ43へ転送するフォーマット取得部31を有さない点を除いて、第3実施形態(図7)に係る電子機器5Cの構成と同様の構成を有している。なお、図10では、図示を省略しているが、配置部35は、例えば、電子機器5Cと同様に、位置特定部35aを有さず、配置決定部35bを有している。
【0144】
図10は、機能部の捉え方が図7と異なっている。具体的には、図7では、サーバ43の位置特定部49aからの情報は、配置決定部35bに入力されるものとして説明した。図10では、サーバ43の位置特定部49aからの情報は、フォーマット取得部31Fを経由して配置部35(配置決定部35b)に入力されるものとしている。これは、説明の便宜上のものであり、電子機器5Cにおいてもフォーマット取得部31Fは構築されている。
【0145】
また、説明の便宜上、フォーマット取得部31Fには、フォーマット取得部31と異なる符号が付されている。ただし、既述のように、フォーマット取得部31は、スキャナ7が撮像した画像データをネットワーク及び/又はサーバを介して取得してよいから、フォーマット取得部31Fは、フォーマット取得部31の一種として捉えられて構わない。
【0146】
なお、図示の例では、サーバ43は、他の機器57からのフォーマットの情報を加工して電子機器5に提供しているが、他の機器57からのフォーマットの情報を加工せずに電子機器5に送信してもよい。すなわち、サーバ43は、フォーマットの情報を転送するだけであってもよい。
【0147】
第6実施形態においても、第1実施形態と同様に、電子機器5の外部からフォーマットの情報が取得されることから、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、任意のフォーマットに対応した印刷が可能であり、ユーザの利便性が向上する。
【0148】
また、撮像によってフォーマットの情報を取得する機器(他の機器57)と、印刷を指示する電子機器5Fとが別の個体であることから、状況によっては利便性が向上する。例えば、他の機器57が第2実施形態の電子機器5B(図6)のようにカメラ11を有する機器である場合において、他の機器57としては携帯性に優れた機器を用い、電子機器5Fとしては処理能力が高い機器を用いることができる。
【0149】
<第7実施形態>
図11は、第7実施形態に係る画像形成装置61の構成を示す機能ブロック図であり、第1実施形態の図5に対応している。
【0150】
画像形成装置61は、第1実施形態における電子機器5A、撮像装置(スキャナ7)及プリンタ9の組み合わせを1つの装置として構成したものである。例えば、画像形成装置61は、制御部13、操作部15、表示部17(図5参照)、スキャナ7及びプリンタ9を有している。画像形成装置61の印刷媒体1に対する印刷に係る動作は、機器間の通信が行われない点を除いて、基本的に、電子機器5A、撮像装置(スキャナ7)及びプリンタ9の組み合わせの動作と同様とされてよい。
【0151】
なお、種々の装置(例えば7、9、13、15及び17)が1つの画像形成装置61を構成しているか否かは、適宜に判断されてよい。例えば、筐体63によって制御部13と共に保持されている装置(7、9、15及び/又は17)は、画像形成装置61の一部として捉えられてよい。また、制御部13を保持している筐体とケーブルを介して接続されている装置(7、9、15及び/又は17)は、ケーブルが着脱を前提とされていないものである場合においては、画像形成装置61の一部として捉えられてよい。
【0152】
以上のとおり、本実施形態に係る画像形成装置61は、操作部15と、フォーマット取得部31と、内容特定部33と、印刷部(プリンタ9)と、を有している。フォーマット取得部31は、画像形成装置61の外部からフォーマットの情報を取得する。内容特定部33は、操作部15に対する操作に応じて記録事項の内容を特定する。プリンタ9は、フォーマット取得部31が取得した前記フォーマットの情報に基づいて、内容特定部33が特定した記録事項の内容を印刷する。
【0153】
従って、第1実施形態と同様に、画像形成装置61の外部からフォーマットの情報が取得されることから、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、任意のフォーマットに対応した印刷が可能であり、ユーザの利便性が向上する。
【0154】
<機能部の構成の具体例>
以下では、上述した実施形態における制御部13の機能部について具体例を示す。以下の例は、いずれの実施形態に適用されてもよい。ただし、便宜上、第1実施形態を前提とした説明を行うことがある。以下の説明における電子機器5における機能部の説明は、適宜にサーバ43又は画像形成装置61の機能部に援用されてよい。例えば、以下の説明において、電子機器5の語は、サーバ43又は画像形成装置61の語に読み替えられてよい。また、フォーマット取得部31、内容特定部33、配置部35、ジョブ生成部37、ジョブ送信部39、位置特定部35a及び/又は配置決定部35bの語は、それぞれ、フォーマット取得部47、内容特定部51、配置部49、ジョブ生成部53、ジョブ送信部55、位置特定部49a及び/又は配置決定部49bの語に読み替えられてよい。
【0155】
(配置部の例)
図12は、配置部35及び内容特定部33の構成の一例を示すブロック図である。なお、図示の例では、主として項目の数が2以上である態様を想定している。以下の説明では、便宜上、項目の数が2以上であることを前提とした説明をすることがある。
【0156】
内容特定部33は、例えば、分類部65を有している。分類部65は、複数の項目について入力が予定されている場合において、ユーザによって指定された内容D3が、いずれの項目に対応するものであるのか特定する。第1実施形態の説明で言及したように、分類部65は、例えば、指定された内容D3がいずれの項目に対応するものであるかを指定するユーザの操作部15に対する操作を受け付け、その操作に基づいて分類を行ってよい。また、例えば、分類部65は、指定された内容D3を解析することによって分類を行ってもよい。分類部65(プログラムD1)は、分類すべき項目の種類を予め保持していてもよいし、画像データD2を解析して分類すべき項目の種類を特定してもよい。
【0157】
配置部35の位置特定部35aは、例えば、光学文字認識(OCR:Optical Character Recognition)及び/又は画像特徴抽出処理によって、フォーマットの情報としての画像データD2に含まれる、記録位置を指定する情報を取得する。そのために、位置特定部35aは、例えば、OCR部67、比較部69、抽出部71及び座標特定部73を有している。
【0158】
OCR部67は、光学文字認識によって、画像データD2に含まれる1以上の文字(オブジェクト1aを構成している文字)を読み取る。比較部69は、項目名が記録されているデータベースDB1を参照して、OCR部67が読み取った1以上の文字と一致する項目名を特定する。すなわち、比較部69は、1以上の文字が示す項目を特定する。一方、既述のように、印刷媒体1Aにおいて、1つの項目に関して、項目名の位置と、項目の内容が記録される記録位置とは一定の位置関係を有している(例えば互いに隣接している。)。従って、項目名に一致する文字の位置に基づいて記録位置を特定することができる。また、2以上の項目がある場合においては、各項目の記録位置が特定される。
【0159】
データベースDB1は、位置特定部35aが構築されるハードウェア(電子機器5、サーバ43又は画像形成装置61)が有していてもよいし、当該ハードウェアとは別のハードウェアが有していてもよい。後者の例としては、例えば、電子機器5において位置特定部35aが構築され、サーバ43がデータベースDB1を有している態様を挙げることができる。
【0160】
互いに異なるフォーマットにおいては、同一の項目について、互いに異なる項目名(類義語)が用いられることがある。例えば、日本語において、「配送先」、「お届け先」、「送り先」及び「宛先」は、送り状において同一の項目を指し得る。そこで、図示のデータベースDB1は、1つの項目について、項目名の複数の候補を記憶している。例えば、「送り先」という項目については、複数の類義語(便宜的に「syn.a1」等の記号で示す。)が対応付けられている。そして、比較部69は、読み取った1以上の文字が、データベースDB1の複数の候補のいずれかに一致するか否かによって、1以上の文字が示す項目を特定する。これにより、任意のフォーマットに対する適応性が向上する。
【0161】
なお、図示の例では、データベースDB1は、複数の項目について、かつ各項目について複数の候補を記憶している。ただし、ユーザによって印刷されるべき項目が1つの場合は、データベースDB1は、1つの項目のみについて項目名の候補を記憶していてよい。また、各項目においては、1つの候補のみが記憶されていてもよい(類義語が想定されていなくてもよい。)。
【0162】
抽出部71は、画像データD2に対して画像特徴抽出処理を行う。これにより、例えば、抽出部71は、画像データD2に含まれる図形(オブジェクト1aを構成している図形)の情報を抽出する。図形は、例えば、既述のように、枠線、下線及び括弧等の空欄を示す図形である。このような画像特徴抽出処理は、公知の方法によってなされてよい。一方、これらの図形と、項目の内容が記録されるべき記録位置とは一定の位置関係を有している。従って、抽出した図形に基づいて記録位置が特定される。
【0163】
座標特定部73は、例えば、比較部69の特定した項目の位置、及び/又は抽出部71が特定した図形の位置に基づいて、フォーマットが規定している記録位置の座標を特定する。例えば、座標特定部73は、項目名の座標と隣接している座標を特定したり、図形(例えば枠)の内部又は図形(例えば下線)の上部の座標を特定したりしてよい。また、例えば、座標特定部73は、項目名と図形とが隣接している場合は、その図形の内部又は上部の座標を、項目名に対応する記録位置の座標として特定してよい。なお、座標の情報は、既述のように、記録位置の1つの代表点の位置を示す情報であってもよいし、記録位置の範囲を示す情報であってもよい。
【0164】
配置部35の配置決定部35bは、例えば、割当て部75を有している。割当て部75は、座標特定部73が特定した2以上の記録位置に対して、分類部65が分類した2以上の項目の内容を割り当てる。例えば、分類部65は、項目の内容毎に項目の種類の情報を付加し、座標特定部73は、記録位置毎に項目の種類の情報を付加する。そして、割当て部75は、各記録位置に対して、項目の種類の情報が一致する項目の内容を割り当てる。そして、割当て部75は、割り当てた結果の情報(配置の情報D4)を出力する。
【0165】
なお、項目の数が1つである場合においては、そのような割り当ての処理は不要である。特に図示しないが、配置決定部35bは、上記のような割り当て後(又は前)、既述のように、位置特定部35a(座標特定部73)が特定した記録位置に対する項目の内容の具体的な位置(例えば空欄の上側又は下側等)を設定する処理を行ってよい。また、配置部35は、既述のように、自動的に割り当てが行われた後、割り当てに関するユーザの修正の操作を受け付けてもよいし、記録位置に対する項目の内容の位置を微調整する操作を受け付けてもよい。
【0166】
以上のとおり、配置ステップでは、電子機器5が、光学文字認識によって、画像データに基づく画像に含まれる1以上の文字を読み取り、読み取った文字に基づいて、記録事項(項目)の内容の配置を決定してよい。
【0167】
この場合、例えば、図形のみに基づいて記録位置を特定する態様(そのような態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、配置部35(位置特定部35a)が自動で記録位置を特定するときの精度が向上する。また、例えば、オブジェクト1aに含まれている項目名がユーザの母国語によるものでない場合において、ユーザによるフォーマットの理解を支援することができる。
【0168】
電子機器5(データベースDB1)は、記録事項名(項目名)の1以上の候補を記憶してよい。配置ステップでは、電子機器5が、光学文字認識によって、画像データに基づく画像内に位置する、それぞれ1以上の文字によって構成される1以上の項目名を検出してよい。また、配置ステップでは、電子機器5が、検出した1以上の項目名のうち、1以上の候補のいずれかと一致する項目名の位置に隣接する位置に、前記一致する項目名と関連する項目の内容が記録されるように項目の内容の配置を決定してよい。
【0169】
この場合、例えば、読み取った1以上の文字と、予め記憶している項目名との比較という簡単なアルゴリズムによって、1以上の文字が示す項目を特定することができる。また、項目名として、2以上の候補(類義語)をデータベースDB1に記憶させておくことによって、既述のように、互いに異なるフォーマットが用いる互いに異なる項目名に対応することができる。すなわち、任意のフォーマットに対する適応性が向上する。
【0170】
配置ステップでは、電子機器5が、画像特徴抽出処理を実行し、該処理の結果に基づいて記録事項(項目)の内容の配置を決定してよい。具体的には、例えば、配置ステップでは、画像データに基づく画像内に位置する、枠線、下線及び括弧の少なくとも1つによって示された空欄を検出し、検出した1以上の空欄のいずれかに項目の内容が印刷されるように項目の内容の配置を決定してよい。
【0171】
この場合、例えば、文字列(項目名)のみに基づいて記録位置を特定する態様(そのような態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、配置部35(位置特定部35a)が自動で記録位置を特定するときの精度が向上する。
【0172】
(配置部の他の例)
図13は、配置部35の構成の他の例を示すブロック図である。なお、図示の例では、主として項目の数が2以上である態様を想定している。以下の説明では、便宜上、項目の数が2以上であることを前提とした説明をすることがある。
【0173】
図12の配置部35の例は、基本的に所定のアルゴリズムに従って記録事項の内容の配置が決定された。一方、そのようなアルゴリズムによるのではなく、AI(Artificial Intelligence)の技術を利用して配置が決定されてもよい。例えば、配置部35は、モデル77を有している。モデル77は、AIの技術における、いわゆる学習済みモデルである。
【0174】
モデル77において、教師データにおける入力は、例えば、複数種類のフォーマットを反映している複数種類の印刷媒体を撮像して得られた複数の画像データとされてよい。項目の内容に応じて(例えば文字列の長さに応じて)、フォーマットによって指定されている記録位置に対する項目の内容の具体的な配置(例えば空欄内の文字列の位置)を変化させたい場合においては、項目の内容も教師データの入力とされてよい。また、項目の数が2以上であり、2以上の項目に対する2以上の内容の割り当てを行う場合においては、分類後の2以上の項目の内容(図示の例)、又は分類前の2以上の項目の内容も教師データの入力とされてよい。
【0175】
モデル77において、教師データにおける出力は、例えば、上記の複数種類のフォーマット(複数種類の印刷媒体)における記録事項(項目)の記録位置(その情報)とされてよい。記録位置の情報は、例えば、記録位置を示す座標データ、又は項目の内容が印刷された印刷媒体を撮像して得られた画像データとされてよい。ここでいう記録位置の情報は、空欄の位置(代表点又は範囲)であってもよいし、印刷媒体に実際に記録された項目の内容の位置であってもよい。項目の内容に応じて、フォーマットによって指定されている記録位置に対する項目の内容の具体的な配置を変化させたい場合においては、例えば、項目の内容の位置のより詳細な情報(例えば文字列の始点及び終点)が用いられてもよいし、上記の画像データが用いられてもよい。項目の数が2以上であり、2以上の項目に対する2以上の内容の割り当てを行う場合においては、2以上の項目のそれぞれについて項目の種類と対応付けられた座標データが用いられてもよいし、上記の画像データが用いられてもよい。
【0176】
上記のような教師データによって学習済みのモデル77に対して、フォーマット取得部31によって取得した画像データD2を入力する。換言すれば、項目の内容の印刷を希望する印刷媒体1Aを撮像した画像データD2を入力する。また、内容特定部33が特定した項目の内容をモデル77に入力する。これにより、項目の内容の配置に係る情報D4が出力される。すなわち、項目の内容の配置が決定される。
【0177】
AIを利用する態様は、種々変形されてよい。例えば、図示の例では、項目の内容の分類を分類部65が行っているが、モデル77によって分類が行われてもよい。また、例えば、画像データD2を入力とするのではなく、OCR部67が読み取った1以上の文字(及びその位置)、及び/又は抽出部71が抽出した図形を入力としてもよい。これらの態様も、画像データが入力とされていると捉えられてよい。
【0178】
本例から理解されるように、また、既述のように、配置部35は、位置特定部35aと配置決定部35bとを概念できる構成でなくてよい。また、モデル77が項目の内容の分類をしてよいことから理解されるように、配置部35と、内容特定部33との区別は、必ずしも明瞭でなくてよい。
【0179】
以上のとおり、配置ステップでは、モデル77に対して、フォーマット取得ステップによって取得した画像データD2を入力することにより、内容特定ステップによって特定した項目の内容の配置を決定してよい。モデル77は、複数種類のフォーマットを反映している複数種類の印刷媒体を撮像して得られた複数の画像データを入力とし、複数種類の印刷媒体における記録事項(項目)の記録位置を出力とする学習済みモデルであってよい。
【0180】
この場合、例えば、プログラムD1の作成時において予期することが困難であったフォーマットに関しても、フォーマットが指定している記録位置と、配置部35が決定した配置位置とがずれる蓋然性を低減できる。その結果、例えば、新たなフォーマットに対する適応性が向上する。
【0181】
(配置部の更に他の例)
既述のように、項目の内容の配置の決定においては、ユーザの操作を受け付けなくてもよいし、ユーザの操作を受け付けてもよい。以下では、ユーザの操作を受け付ける態様の一例を示す。
【0182】
図14は、制御部13(配置部35)が実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0183】
ステップST1では、配置部35(位置特定部35a)は、フォーマット取得部31が取得したフォーマットの情報に基づいて、項目の内容を配置可能な領域を特定(設定)する。例えば、配置部35は、オブジェクト1aとしての枠又は括弧の内部の領域を配置可能領域として設定する。項目の数が2以上の場合は、各項目について配置可能領域が設定される。なお、以下の説明では、便宜上、項目の数についての言及は省略することがある。
【0184】
ステップST2では、配置部35(配置決定部35b)は、印刷媒体1Aを模した入力フォームを表示部17に表示する。これにより、ステップST1によって特定した項目の内容を配置可能な領域がユーザに示される。
【0185】
ステップST3では、配置部35(配置決定部35b)は、ユーザの操作部15に対する項目の内容の配置を指定する操作を受け付ける。この操作は、例えば、ユーザがテキストをドラッグ及びドロップによって入力フォームに貼り付ける操作、及び/又は入力フォームの所定位置を指定した後に文字列を入力する操作とされてよい。上記の例示から理解されるように、ここでの操作は、項目の内容自体を指定する操作(内容特定部33が受け付ける操作)を兼ねてよい。
【0186】
ステップST4では、配置部35(配置決定部35b)は、ステップST3で指定された配置が適正か否か判定する。例えば、配置部35は、項目の内容がステップST1で設定した領域に収まるか否かを判定する。そして、配置部35は、肯定判定のときはステップST6に進み、否定判定のときはステップST5に進む。
【0187】
ステップST5では、配置部35(配置決定部35b)は、項目の内容がステップST1で設定した領域に収まるようにステップST3で指定された配置を修正する。及び/又は、配置部35は、ユーザに警告するための所定のメッセージを表示部17に表示させる。そして、配置部35は、ステップST6に進む。
【0188】
ステップST6では、配置部35(配置決定部35b)は、ステップST3で受け付けた配置(ステップST4で肯定判定の場合、又はステップST5で修正しない場合)、又はステップST5で修正した配置で、印刷イメージを表示部17に表示させる。なお、印刷イメージの表示は、ステップST2での入力フォームの表示と同じ処理であってもよいし(図示の例では当該態様が想定されている。)、異なる処理であってもよい。
【0189】
ステップST7では、配置部35(配置決定部35b)は、ステップST6で表示している配置で印刷してよいか否か、ユーザの確定操作を受け付ける。配置部35は、肯定判定の場合は、配置に係る情報をジョブ生成部37に出力して処理を終了する。一方、否定判定の場合は、配置部35は、ステップST8に進む。
【0190】
ステップST8では、配置部35(配置決定部35b)は、項目の内容の配置を修正する操作を受け付け、当該操作がなされたか否か判定する。そして、配置部35は、肯定判定の場合は、ステップST4に戻り、否定判定の場合は、ステップST7に戻る。ステップST8における操作は、例えば、項目の内容をドラッグ及びドロップする操作とされてよい。また、配置の修正の操作に加えて、項目の内容の修正の操作が可能であってもよい。これらの処理は、ステップST3の処理と同様とされてもよい。
【0191】
以上のとおり、配置ステップでは、電子機器5は、フォーマットの情報に基づいて、フォーマットに対して1以上の配置可能領域を設定してよい(ステップST1)。電子機器5は、操作部15を介して記録事項(項目)の内容を印刷する位置の指定を受け付けてよい(ステップST3)。電子機器5は、指定された位置が1以上の配置可能領域に位置するときは、その指定された位置を項目の内容の位置として決定してよい。電子機器5は、指定された位置が1以上の配置可能領域に位置しないときは、1以上の配置可能領域に位置するように指定された位置を補正し、補正後の位置を項目の内容の位置として決定する処理、及びユーザに警告を行うための処理、の少なくとも一方を行ってよい(ステップST5)。
【0192】
この場合、例えば、ユーザは、自ら項目の内容の配置を決定しつつも、その過程で配置部35の支援を受けることができる。その結果、ユーザの利便性が向上する。また、別の観点では、例えば、配置部35が自動で配置を決定する精度を高くする必要性が低減されるから、種々のフォーマットに対する適応性が向上する。
【0193】
(内容特定部の例)
既述のように、内容特定部33は、項目の内容の入力を受け付けてもよいし、データベースから項目の内容を特定してもよい。以下では、データベースを利用する態様の一例について述べる。
【0194】
電子機器5は、データベースDB2を有している。データベースDB2は、例えば、電子機器5のユーザ(個人又は団体)に関する情報であるユーザ情報D5を保持することが可能であり、また、ユーザ以外の個人又は団体(以下、「他者」ということがある。)に関する情報のデータベースであるアドレス帳DB3を有している。
【0195】
ユーザ情報D5は、例えば、「氏名」、「住所」及び「TEL」の情報を含むことが可能である。また、アドレス帳DB3は、例えば、1以上の他者の情報を含むことが可能であり、他者のそれぞれについて、「氏名」、「住所」及び「TEL」の情報を含むことが可能である。アドレス帳DB3は、例えば、携帯電話機のアドレス帳機能におけるデータベースと同様のものとされてよい。
【0196】
データベースDB2は、上記の情報を保持していない状態とされることも可能であるが、以下の説明では、基本的に、各種の情報が保持されていることを前提とする。ユーザ情報D5と、アドレス帳DB3とは、データ構造が同一であってもよいし、異なっていてもよい。換言すれば、両者は、データベースの語を狭義に解釈したときに、1つのデータベースDB2を構成してもよいし、構成しなくてもよい。
【0197】
内容特定部33は、例えば、自動的に、又はユーザの操作部15に対する操作に応じて、データベースDB2に保持されている情報を項目の内容として特定してよい。例えば、印刷媒体1が送り状である場合において、内容特定部33は、自動的にユーザ情報D5を送信元の情報(項目の内容D3)として特定してよい。また、内容特定部33は、操作部15に対する操作に応じて、アドレス帳DB3内のいずれかの他者の情報を送信先の情報(項目の内容D3)として特定してよい。もちろん、内容特定部33は、操作に応じて、アドレス帳DB内の他者の情報を送信元の情報として特定したり、ユーザ情報D5を送信先の情報として特定したりしてもよい。
【0198】
データベースDB2は、項目の種類別に項目の内容を保持している。従って、内容特定部33(例えば分類部65)は、データベースDB2に含まれる情報に基づいて、1以上の項目の内容の種類を特定してよい。
【0199】
なお、ここでは、携帯電話機のアドレス帳機能のように、電子機器5(別の観点では内容特定部33が構築されているハードウェア)がデータベースDB2又はDB3を有する態様を例示した。ただし、データベースDB2又はDB3は、サーバ43に設けられてもよいし、内容特定部33が構築されているハードウェアとは別のハードウェアが有していてもよい。後者の例としては、例えば、電子機器5において内容特定部33が構築され、サーバ43がデータベースDB2又はDB3を有している態様を挙げることができる。
【0200】
以上のとおり、電子機器5は、複数の住所の情報を記憶可能な住所データベース(アドレス帳DB3)を有してよい。内容特定ステップでは、電子機器5が、アドレス帳DB3に記憶されている1以上の住所の情報のうちの少なくとも1つを記録事項(項目)の内容として特定してよい。
【0201】
この場合、操作部15に対して文字入力を行って住所の情報を項目の内容として特定する態様に比較してユーザの負担が低減される。また、別の観点では、公知のアドレス帳が有効利用されることになり、電子機器5の付加価値が向上する。
【0202】
(フォーマットの選択)
これまでに述べたように、電子機器5は、該電子機器5の外部からフォーマットの情報を取得する。このフォーマットの情報は、蓄積されてデータベースを構築し、後に利用されてもよい。
【0203】
図16は、フォーマットの情報のデータベースの利用態様の一例を示すブロック図である。
【0204】
ここでは、印刷媒体1が送り状である態様を例に取る。図示された制御部13の種々の機能部(31、35、79、81及び83)は、例えば、電子機器5のCPUがプログラムD1を実行することによって構築される。
【0205】
フォーマット取得部31がフォーマットの情報を取得したとき、データベース作成部79は、そのフォーマットの情報をデータベースDB4に記憶させる。データベースDB4は、フォーマットの情報と、そのフォーマットを規定している配送業者の情報(例えば配送業者名)とを対応付けて記憶する。そして、フォーマット取得部31によるフォーマットの情報の取得が繰り返されることによって、複数のフォーマットの情報を保持するデータベースDB4が構築される。
【0206】
フォーマットと配送業者との対応付けは、データベース作成部79がユーザの操作部15に対する操作を受け付けることによって行われてもよいし、データベース作成部79によって自動で行われてもよい。操作を受け付ける場合、例えば、データベース作成部79は、配送業者名の文字入力を受け付ける。自動で行う場合、例えば、データベース作成部79は、フォーマットの情報に含まれる配送業者に係る情報を抽出する。例えば、印刷媒体1Aとしての送り状は、通常、その送り状を扱っている配送業者名等が印刷されている。従って、データベース作成部79は、フォーマット取得部31が取得した画像データからOCRによって配送業者名を特定してよい。
【0207】
その後、印刷媒体1に対する項目の内容の印刷が必要になったとき、選択部81は、ユーザの操作部15に対する操作を受け付け、当該操作に基づいて、ユーザが利用を希望する配送業者(業者の情報D6)を特定する。この操作の受け付けは、例えば、任意の文字入力を受け付けるものであってもよいし、データベースDB4に記憶されている配送業者の一覧を表示部17に表示し、その中から任意の配送業者を選択する操作を受け付けるものであってもよい。
【0208】
選択部81は、業者の情報D6を特定すると、データベースDB4を参照して、その業者に対応するフォーマットの情報D7を取得する。以降の処理は、これまでに述べた印刷のための処理と同様である。なお、図16では、便宜上、内容特定部33及びジョブ生成部37等の図示を省略し、フォーマットの情報が入力される配置部35を図示している。
【0209】
データベースDB4に記憶されるフォーマットの情報は、種々の態様とされてよい。例えば、これまでに説明したように、フォーマットの情報は、フォーマット取得部31によって取得されてから配置部35(位置特定部35aを含んでもよいし、含まなくてもよい)に入力されるまでの間に適宜に加工されてよい。そのいずれの段階の情報が記録されてもよい。例えば、フォーマットの情報は、撮像されたままの情報(ラスタ形式の画像データ)を含んでもよいし、位置特定部35aによって記録位置が特定されて取得された座標データ(画像データの形式でないもの)を含んでもよい。
【0210】
1つの配送業者は、複数のフォーマットを規定している場合がある。例えば、荷物の内容(例えば保冷の要否)、送り先(例えば外国か否か)及び/又は時間指定の有無等によって、フォーマットが異なる場合がある。この場合、例えば、配送業者の情報は、配送業者名だけでなく、フォーマットの種別を示す情報を含んでもよい。配送業者名と、フォーマットの種別名とは、1つのデータ項目として記憶されてもよいし(配送業者名と種別名とが一連の文字列として扱われてもよいし)、配送業者という大項目のデータ項目の下位のデータ項目としてフォーマットの種別が記憶されてもよい。
【0211】
データベースDB4を利用した印刷の処理は、フォーマット取得部31によってフォーマットの情報を取得してからジョブ送信部39によって印刷ジョブを送信するまでを一連の動作とする処理(データベースDB4を利用しない印刷)の後に、任意に行われる処理であってもよいし、データベースDB4を利用しない印刷を前提としない処理であってもよい。後者は、換言すれば、印刷媒体1に対する項目の内容の印刷において常にデータベースDB4が利用される態様である。
【0212】
以上のとおり、印刷方法は、記憶ステップ(データベース作成部79を参照)を有してよい。記憶ステップでは、電子機器5が、フォーマット取得ステップによって取得した複数のフォーマットの情報と、複数の配送業者の情報と、を互いに対応付けて配送データベース(データベースDB4)に記憶させてよい。配置ステップでは、電子機器5が、操作部15を介して配送業者の情報の入力を受け付け、データベースDB4に基づいて、入力された配送業者の情報に対応付けられているフォーマットの情報を特定し、特定したフォーマットの情報に基づいて記録事項(項目)の内容の配置を決定してよい。
【0213】
この場合、例えば、以前に電子機器5の外部から取得したフォーマットの情報を利用及び/又は再利用できるから、印刷の度に電子機器5の外部からフォーマットの情報を取得する必要性が低減され、ユーザの利便性が向上する。また、複数のフォーマットの情報が記憶されることによって、ユーザが利用を希望する配送業者が状況に応じて異なる場合に対しても対応できる。配送業者の指定によってフォーマットが特定されることから、ユーザの負担が低減される。
【0214】
(オブジェクトの変更)
図2Bを参照して説明したように、実施形態に係る印刷方法では、項目の内容だけでなく、オブジェクト1aが印刷されてよい。この場合において、オブジェクト1aは、印刷媒体1Aにおいて印刷されている態様のまま(換言すればフォーマットの情報が規定している態様まま)で印刷されてもよいし、変更が加えられて印刷されてもよい。
【0215】
変更の一例を挙げる。印刷媒体1が送り状の場合において、送り元の氏名の欄及び送り先の氏名の欄のそれぞれに、敬称(例えば日本語の「様」)を示すオブジェクト1aが印刷されていることがある。ユーザによっては、送り元が自身である場合において、送り元の欄における敬称を削除することを希望する。そこで、電子機器5は、送り元の敬称を削除するようにオブジェクト1aの内容を変更してよい。
【0216】
図16では、オブジェクト1aの内容を変更するために制御部13が有する機能部として、変更部83(別の観点では変更ステップ)が示されている。変更部83は、フォーマットの情報の取得後、印刷ジョブの送信前までの適宜な時期においてオブジェクト1a(オブジェクト1aに係る画像データ)を変更してよい。図16では、便宜上、配置部35による配置の決定後に変更部が処理を行っている態様が示されている。
【0217】
変更部83は、一律に送信元の敬称を削除してもよいし、所定の条件が満たされたときに送信元の敬称を削除してもよい。所定の条件は、例えば、送信元の情報として、図15に示したユーザ情報D5が用いられたこととされてよい。また、例えば、変更部83は、ユーザが削除を指示する操作を操作部15に対して行ったときに、所定の条件が満たされたと判定してよい。ユーザの操作の受け付けは、上記のようにユーザ情報D5が用いられた場合に、又は一律に、敬称を削除するか否かを問い合わせる画像を表示部17に表示した上で行ってもよいし、そのような表示を前提とせずに行ってもよい。なお、一律に送信元の敬称を削除する態様、及びユーザ情報D5が送信元の情報として用いられたときに送信元の敬称を削除する態様は、オブジェクト1aの変更が自動で行われる態様として捉えられてよい。
【0218】
オブジェクト1aの変更は、上記以外に種々可能である。例えば、ユーザがペンによってなぞることが想定されている点線(例えば8の字)は、印刷後の印刷媒体1Bにおいては基本的に不要であるから、削除されてよい。また、例えば、記入に際しての注意書きも印刷媒体1Bにおいては基本的に不要であるから、削除されてよい。また、敬称の削除について述べたが、逆に、送信先に敬称を付加するようにオブジェクト1aが変更されてもよい。
【0219】
以上のとおり、電子機器5は、オブジェクト1aの情報の少なくとも一部を変更する変更ステップ(変更部83を参照)を更に有してよい。ジョブ送信部39によって送信される印刷ジョブが印刷を要求するオブジェクト1aは、変更ステップによって変更された後のオブジェクトの情報に基づくものとされてよい。
【0220】
この場合、例えば、ユーザが送信元の敬称に対して取り消し線を重ね書きするような手間が低減される。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0221】
本開示に係る技術は、以上に説明した態様に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0222】
例えば、以上に述べた種々の態様は、適宜に組み合わされてよい。例えば、第2実施形態における電子機器が撮像装置(例えばスキャナ又はカメラ)を有する構成は。第3実施形態〜第5実施形態に適用されてよい。
【0223】
電子機器、サーバ又は画像形成装置は、印刷部数を指定可能であってよい。すなわち、実施形態に係る印刷方法は、同一の項目の内容を複数の印刷媒体に印刷してよい。また、電子機器、サーバ又は画像形成装置は、同一の項目について複数の内容を特定し、複数の印刷媒体に複数の内容を割り当てて印刷を行ってもよい。この場合、例えば、複数の送り先それぞれに荷物を送るための送り状を作成することが容易化される。
【符号の説明】
【0224】
1、1A及び1B…印刷媒体、3…複合機(スキャナ及び/又はプリンタ)、5及び5A〜5F…電子機器、7…スキャナ(撮像装置)、9…プリンタ(印刷部)、11…カメラ(撮像装置)、13…制御部、15…操作部、13…表示部、31…フォーマット取得部、33…内容特定部、35…配置部、37…ジョブ生成部、39…ジョブ送信部、D1…プログラム。
【要約】
印刷方法は、フォーマット取得ステップと、内容特定ステップと、ジョブ送信ステップと、を有している。フォーマット取得ステップでは、電子機器が、該電子機器の外部からフォーマットの情報を取得する。内容特定ステップでは、電子機器が、該電子機器の操作部に対する操作に応じて記録事項の内容を特定する。ジョブ送信ステップでは、電子機器が、内容特定ステップによって特定した記録事項の内容をフォーマット取得ステップによって取得したフォーマットの情報に基づいて印刷する印刷ジョブを、操作部に対する操作に応じて送信する。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16