(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電子機器の普及に伴い、回路を構成する電子部品同士を接続する配線や、各電子部品に信号を伝送する配線や、電力を供給する配線が配設されたプリント配線基板が広く使用されている。
このプリント配線基板では、プリント配線基板上に配置する他の回路配線との干渉を避けるために、配線層を多層化することで配線層を変更している。異なる層に形成された配線を電気的に接続する場合には、ビア接続が使用されている。
例えば、多層化したプリント配線基板において、電源生成回路と電源供給先回路とを、各層を貫通する電源ビアとグランドビアで接続する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
図4は、従来のプリント配線基板における電源ビアとグランドビアの配置状態を表した説明図である。
図4(a)は、プリント配線基板100の断面を、(b)は第5層目の電源配線の平面を表したものである。
プリント配線基板100は、コア層110の両側面に第1から第3層の配線層111〜113と、第4から第6層の配線層114〜116が形成され、第1配線層111には電源供給元回路150と電源供給先回路160とが配置されている。また第5配線層115には、干渉回避のために配線層を変更した電源配線125が配置されている。
【0004】
図4(a)に示すように、プリント配線基板100には、電源供給元回路150側と電源供給先回路160側に、第1配線層111から第6配線層116までを貫通する電源ビア120が形成され、電源ビア120は第5配線層115の電源配線125と接続されている。
図4(a)では示されていないが、各電源ビア120は複数形成されている。
また、基板全体を貫通する複数のグランドビア(以下GNDビアという)130が、電源ビア120に対し交互に並べて近接配置されている。
このように、電源ビア120とGNDビア130とを、全層にわたって交互に並べて近接配置しているので、点線領域Aで示すように、電源ビア120とGNDビア130とを流れる電流が並走し、これにより電源供給用の電源ビア120の配線インダクタンスを低減させることができる。
【0005】
しかし、電源ビア120とGNDビア130とを全層並べて近接配置しているため、
図4(b)に示すように、配線層における電源配線125にもGNDビア130用の貫通孔(ビア孔)が形成されることになる。その結果、電源供給用の配線面積(パターン領域の面積)が減少することになり、配線インピーダンスが増加するという問題がある。
また、図示しないが、第3配線層や第4配線層以外の層に設けられるGND配線においてもGNDビア130が電源ビア120と交互に配置されて貫通する。GNDビア130はビア孔の内周面をめっきにより形成されている。このため、電源ビア120とGNDビア130が交互に配置された領域において、複数のGNDビア130の内側の面積分が減少することになり、GND配線での配線インピーダンスも増加している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電源供給用の電源ビアの配線インダクタンスを低減すると共に、配線層における配線インピーダンスの増加を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)請求項1に記載の発明では、コア層と、前記コア層の一方の面側に形成された第1配線層から第m配線層と、前記コア層の他方の面側に形成された第m+1配線層から第n配線層と、前記第1配線層に形成された、電源供給元回路が接続される第1電源配線と、前記第1配線層に形成された、電源供給先回路が接続される第2電源配線と、前記第2配線層から第n配線層のうちのいずれかの配線層に形成され、前記第1電源配線の投影領域と前記第2電源配線の投影領域を含み、両投影領域を接続する第3電源配線と、前記第1電源配線から、少なくとも前記コア層を貫通し、前記第m+1配線層と前記第3電源配線のうち前記第n配線層側に位置する配線層まで貫通する複数の第1電源ビアと、前記第2電源配線から、少なくとも前記コア層を貫通し、前記第m+1配線層と前記第3電源配線のうち前記第n配線層側に位置する配線層まで貫通する複数の第2電源ビア
と、前記コア層を貫通する複数の第1GNDビアと、前記コア層を貫通する複数の第2GNDビアと、前記第1電源配線の投影領域を含む領域に対応して、前記第1GNDビアの両端が位置する配線層に形成された第1GND配線、第2GND配線と、前記第2電源配線の投影領域を含む領域に対応して、前記第2GNDビアの両端が位置する配線層に形成された第3GND配線、第4GND配線と、を備え、前記第1電源ビアと前記第1GNDビア、及び、前記第2電源ビアと前記第2GNDビアは、少なくとも前記コア層を含む第m配線層と第m+1配線層間において近接配置され、前記第1GNDビアと前記第2GNDビアは、前記第3電源配線が形成されている配線層を貫通しておらず、前記第1GNDビアと前記第2GNDビアとは異なるGNDビアが、前記第1GNDビアと前記第2GNDビアが貫通していない配線層間において、前記第1電源ビアと前記第2電源ビアと隔離配置されている、ことを特徴とするプリント配線基板を提供する。
(2)請求項2に記載の発明では、コア層と、前記コア層の一方の面側に形成された第1配線層から第m配線層と、前記コア層の他方の面側に形成された第m+1配線層から第n配線層と、前記第1配線層に形成された、電源供給元回路が接続される第1電源配線と、前記第1配線層に形成された、電源供給先回路が接続される第2電源配線と、前記第2配線層から第n配線層のうちのいずれかの配線層に形成され、前記第1電源配線の投影領域と前記第2電源配線の投影領域を含み、両投影領域を接続する第3電源配線と、前記第1電源配線から、少なくとも前記コア層を貫通し、前記第m+1配線層と前記第3電源配線のうち前記第n配線層側に位置する配線層まで貫通する複数の第1電源ビアと、前記第2電源配線から、少なくとも前記コア層を貫通し、前記第m+1配線層と前記第3電源配線のうち前記第n配線層側に位置する配線層まで貫通する複数の第2電源ビアと、前記コア層を貫通する複数の第1GNDビアと、前記コア層を貫通する複数の第2GNDビアと、前記第1電源配線の投影領域を含む領域に対応して、前記第1GNDビアの両端が位置する配線層に形成された第1GND配線、第2GND配線と、前記第2電源配線の投影領域を含む領域に対応して、前記第2GNDビアの両端が位置する配線層に形成された第3GND配線、第4GND配線と、を備え、前記第1電源ビアと前記第1GNDビア、及び、前記第2電源ビアと前記第2GNDビアは、少なくとも前記コア層を含む第m配線層と第m+1配線層間において近接配置され、他の配線層間において前記第1GNDビアと前記第2GNDビアとは異なるGNDビアが、前記第1電源ビアと前記第2電源ビアとは隔離配置されており、前記第1GNDビアと前記第2GNDビアは、前記コア層を含む第m配線層と第m+1配線層間にだけ形成されている、ことを特徴とするプリント配線基板を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、コア層と、前記コア層の一方の面側に形成された第1配線層から第m配線層と、前記コア層の他方の面側に形成された第m+1配線層から第n配線層と、前記第1配線層に形成された、電源供給元回路が接続される第1電源配線と、前記第1配線層に形成された、電源供給先回路が接続される第2電源配線と、前記第2配線層から第n配線層のうちのいずれかの配線層に形成され、前記第1電源配線の投影領域と前記第2電源配線の投影領域を含み、両投影領域を接続する第3電源配線と、前記第1電源配線から、少なくとも前記コア層を貫通し、前記第m+1配線層と前記第3電源配線のうち前記第n配線層側に位置する配線層まで貫通する複数の第1電源ビアと、前記第2電源配線から、少なくとも前記コア層を貫通し、前記第m+1配線層と前記第3電源配線のうち前記第n配線層側に位置する配線層まで貫通する複数の第2電源ビアと、前記コア層を貫通する複数の第1GNDビアと、前記コア層を貫通する複数の第2GNDビアと、前記第1電源配線の投影領域を含む領域に対応して、前記第1GNDビアの両端が位置する配線層に形成された第1GND配線、第2GND配線と、前記第2電源配線の投影領域を含む領域に対応して、前記第2GNDビアの両端が位置する配線層に形成された第3GND配線、第4GND配線と、を備え、前記第1電源ビアと前記第1GNDビア、及び、前記第2電源ビアと前記第2GNDビアは、少なくとも前記コア層を含む第m配線層と第m+1配線層間において近接配置され、前記第1GNDビアと前記第2GNDビアは、前記第3電源配線が形成されている配線層の、前記コア層から見て一つ内側の配線層まで貫通しており、前記第1GNDビアと前記第2GNDビアとは異なるGNDビアが、前記第1GNDビアと前記第2GNDビアが貫通していない配線層間において、前記第1電源ビアと前記第2電源ビアと隔離配置されている、ことを特徴とするプリント配線基板を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、前記プリント配線基板は、複数の素子が配置され、前記配線層には各素子間を接続する配線が形成されている、ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のプリント配線基板を提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、前記第1電源ビアと前記第1GNDビアとは、交互に並んで近接配置され、前記第2電源ビアと前記第2GNDビアとは、交互に並んで近接配置されている、ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちの何れか1の請求項に記載のプリント配線基板を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1電源ビアと第1GNDビア、及び、第2電源ビアと第2GNDビアは、少なくともコア層を含む第m配線層と第m+1配線層間において近接配置されているので、電源供給用の電源ビアの配線インダクタンスを低減し、他の配線層間において隔離配置されているので、配線層における配線インピーダンスの増加を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のプリント配線基板における好適な実施の形態について、
図1から
図3を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態のプリント配線基板は、コア層の一方の面側に第1配線層〜第m配線層が、他方の面側に第m+1配線層〜第n配線層が配置される。
コア層の両面に配置される第m配線層と第m+1配線層間において、複数の電源ビアとGNDビアを近接配置する。複数の電源ビアとGNDビアの近接配置は、両者を交互に並立させることが好ましい。ここで近接配置とは、両ビア間の距離(中心間ではなく、外周面間の距離をいう、以下同じ)が1mm以下、好ましくは0.8mm以下であることをいう。
【0012】
そして、第m−1配線層と第m配線層間、及び、第m配線層と第m+1配線層間において、電源ビアは、コア層から他の配線層まで同軸上に延長形成されている。
一方、GNDビアは、電源配線及び/又はGND配線(第m配線と第m+1配線を除く)が形成された配線層までは、コア層のGNDビアが同軸上に延長されることはない。すなわち、GNDビアについては、電源配線、GND配線が形成されている配線層の1つ内側(コア層側)の配線層まで、コア層のGNDビアと同軸上に延長形成することが可能である。ただし、本実施形態のGNDビアは第m配線層と第m+1配線層間だけに形成されている。
第1配線層〜第m配線層と、第m+1配線層〜第n配線層の各配線層間のうち、コア層を貫通するGNDビアが形成されていない、当該各配線層間に対し、GNDビアは電源ビアと近接配置せずに、離れた位置に隔離配置して形成される。
ここで、隔離配置とは両ビア間の距離がビア孔の径をsmmとした場合、径を10×smm以上離れている場合、又は、2mm以上離れている場合の少なくとも一方を満たす場合をいう。
なお、電源ビアについては、第1配線層から第n配線層まで貫通形成されることが好ましい。
【0013】
本実施形態によれば、電源ビアに対し、GNDビアを、コア層を含む第m配線層と第m+1配線層間のみで近接配置することで、配線インダクタンスを抑えつつ、配線層の配線インピーダンスを低減することができる。
【0014】
(2)実施形態の詳細
図1は本実施形態において配置される各回路の状態を表したプリント配線基板1全体の平面図である。
図1はプリント配線基板の1例であり、プリント配線基板が使用される各種電子機器を構成する、DRAM、Flashメモリなどの他、USB等の外部接続端子などの各種素子が配置されている。プリント配線基板には、後述する配線層(図示しない)が絶縁体を介して複数層配設され、各配線層に形成された配線によって各素子間が接続されている。
またプリント配線基板1には、電源供給元回路50と、電源供給先回路60が配置されている。
本実施形態では、電源供給元回路50から電源供給先回路60に電力を供給するための電源ビアとGNDビアの配置に特徴がある。そのため、以下の説明では、
図1において電源供給元回路50と電源供給先回路60を含む、点線領域Pを中心に説明する。
【0015】
図2は、本実施形態のプリント配線基板1における電源ビア20とGNDビア30の配置状態を表した断面図(a)と、平面を表した説明図(b)である。
図2(a)に示すように、プリント配線基板1の最上層である第1配線層11には電源供給元回路50と電源供給先回路60が配設されている。
本実施形態のプリント配線基板1は、コア層10を挟んでその一方の面側に第1配線層11〜第3配線層13が形成され、他方の面側に第4配線層14〜第6配線層16が形成されている。すなわち、本実施形態では第m配線層として第3配線層13が形成され、第n配線層として第6配線層16が形成されている。
【0016】
コア層10は、プリント配線基板1内でコア材を使用している層であり、本実施形態ではガラス・エポキシ樹脂(FR−4)が使用されているが、グリーンシート(セラミック基板)等の各種公知の材料を使用することができる。
本実施形態のコア層の一方の面には第3配線層が形成され、他方の面には第4配線層が形成されている。
【0017】
第1配線層11から第3配線層13の各層間、及び、第4配線層14から第6配線層16の各層間には、絶縁材が配設されている。絶縁材としては、多層基板かビルドアップ基板かにより、プリプレグという接着シートを使用する等の各製造方法に応じた絶縁材が使用される。
第1配線層11〜第6配線層16には各素子を接続するための配線が形成されている。配線は銅箔で形成されている。
【0018】
本実施形態は、プリント配線基板1を構成する各層の中で配線インダクタンスへの影響度が高いのがコア層10である点に着目して電源ビア20とGNDビア30を配設している。
すなわち、
図2(a)に示すように、本実施形態のプリント配線基板1には、第1配線層11から第6配線層16までを貫通する、電源供給元回路50側の電源ビア20(第1電源ビア)と、電源供給先回路60側の電源ビア20(第2電源ビア)が形成されている。また、コア層10を含む第3配線層13と第4配線層14とを貫通する、電源供給元回路50側のGNDビア30(第1GNDビア)と、電源供給先回路60側のGNDビア30(第2GNDビア)が形成されている。電源ビア20とGNDビア30はともに、銅メッキにより形成されている。
なお、
図2(a)では、電源ビア20とGNDビア30が1本ずつ表示されているが、実際は後述するように、複数の電源ビア20と複数のGNDビア30が交互に並べて近接配置されている。
【0019】
一方詳細は後述するが、第3配線層13と第4配線層14間以外の他の配線層間では、GNDビア30を、電源ビア20と交互に並べて近接配置せず、電源ビア20から所定距離だけ離れた位置に隔離配置して形成している。
【0020】
また、
図2に示すように、電源供給元回路50側の電源ビア20と、電源供給先回路60側の電源ビア20とを接続する電源配線25(第3電源配線)が、第5配線層15に形成されている。これにより、電源供給元回路50と電源供給先回路60とが、両側の電源ビア20と第5配線層15の電源配線25を介して接続され、図中に矢印で示すように電流Iが流れる。
【0021】
本実施形態によれば、複数の電源ビア20に対し、複数のGNDビア30を、コア層10を挟む第3配線層13と第4配線層14の間で近接配置することで、配線インダクタンスを従来と同様に抑制することができる。配線インダクタンスへの影響が高いコア層10において、点線領域Aで示すように、電源ビア20とGNDビア30とを流れる電流が並走し、これにより電源供給用の電源ビア20の配線インダクタンスが低減されるためである。
【0022】
さらに、他の配線層である第1配線層11、第2配線層12、第5配線層15、第6配線層16には、電源ビア20の近傍にはGNDビア30が配置されていないので、GNDビア30用のビア孔が存在しないため、配線面積の減少による配線インピーダンスの増加を抑制することができる。
すなわち、
図2(b)に示されるように、第5配線層15に形成された電源配線25には、GNDビア30による面積減少がないため、
図4(b)に示した従来の電源配線125に比べて配線インピーダンスを低減することができる。また、GNDビア30が形成されないため、配線インピーダンスの低減効果に代えて、電源配線25の形成面積を小さくすることも可能である。
なお、GNDビア30による面積減少としては、各GNDビア30には電源配線25との短絡を回避するために、ビア径よりも大きな径のクリアランス29(後述する)が形成されているため、クリアランス29の面積分である。
【0023】
図3はプリント配線基板1の一部における各層を分解して表した斜視図である。
なお、
図3では電源ビア20とGNDビア30を複数配置した場合について示しているが、1例であり実際の数は、供給する電力によって設計される。また、第1〜第6の配線層11〜16及びコア層10を示す領域は、
図1で示した点線領域Pに対応した範囲を切り取って表したもので、実際にはより大きな広がりをもって形成されている。
第2配線層12には、
図3に示した領域内において、配線は形成されていない。
【0024】
最初に各配線層に形成される配線について説明する。
第1配線層11には、電源供給元回路50に接続された電源配線21(第1電源配線)と、電源供給先回路60に接続された電源配線22(第2電源配線)が形成されている。
【0025】
第3配線層13と第4配線層14のそれぞれには、電源供給元回路50側にGND配線32(第1GND配線)とGND配線34(第2GND配線)が形成され、電源供給先回路60側にGND配線33(第3GND配線)とGND配線35(第4GND配線)が形成されている。
各GND配線32〜35は、同一サイズに形成されると共に、矢印mで示すように、
図3に示す領域外まで延長形成されている。但し、
図3では同一方向に延長する場合について示しているが、実際には他の配線との関係で別々の方向に形成される場合もある。
各GND配線32〜35は、後述するようにコア層10を貫通する電源ビア20とGNDビア30が形成されるので、当該ビアの形成領域よりも広く形成されている。
【0026】
第5配線層15には、
図2(a)でも説明した電源配線25が、電源ビア20側からGNDビア30側にわたって形成されている。
この電源配線25は、電源供給元回路50側の電源配線21を第5配線層15に投影した投影領域と、電源供給先回路60側の電源配線22を第5配線層15に投影した投影領域の両投影領域以上の領域を含み、両投影領域を接続する配線である。
なお、電源配線25は、
図3の表示領域内に形成されているが、この領域外に電力供給対象が存在する場合には、当該領域外まで延長形成するようにしてもよい。
本実施形態の第6配線層16には、
図3に示した領域内において配線は形成されていない。
【0027】
図3に示すように、複数の電源ビア20は、電源配線21と電源配線22のそれぞれから、第6配線層16まで貫通して形成されている。
なお、電源ビア20は、第3配線層13と第4配線層14に形成された各グランド配線32〜35を貫通するが、両者が短絡しないようにするためのクリアランス29が設けられている。
クリアランス29は、ビア孔の直径がR(例えば0.3mm)である場合に、これよりも僅かに大きい直径R+α(例えば0.5mm)の無配線領域がGND配線32〜35に形成される。
無配線領域は、例えば第3配線層13のGND配線32、33について説明すると次のように形成される。すなわち、GND配線32、33の対象領域外の領域と、対象領域内で各電源ビア20に対応する直径R+αの円形領域にマスクパターンを形成した後、銅めっきにより配線を形成する。その後、マスクパターンをリフトアップすることで、GND配線32、33とクリアランス29が形成される。
【0028】
一方、複数のGNDビア30は、第3層のGND配線32とGND配線33のそれぞれから、コア層10を貫通して第4層のGND配線34とGND配線35まで貫通して形成されている。
図3に示すように、複数のGNDビア30のそれぞれは、複数の電源ビア20に対して交互に並べて近接配置されている。
【0029】
本実施形態のプリント配線基板1によれば、電源供給元回路50からの電流Iは、電源配線21から電源ビア20を通り、第5配線層15に形成された電源配線25を経由して、電源ビア20を通り、電源配線22から電源供給先回路60に供給される。
この電流Iの流れにおいて、コア層10を挟む第3配線層13と第4配線層14の間で電源ビア20とGNDビア30が近接配置されることで、
図2で説明したように、配線インダクタンスが低減される。
また、GNDビア30の形成がコア層10を含む(挟む)第3配線層13と第4配線層14間に限定されているので、第5層の電源配線25の面積が狭くならず、その結果配線インピーダンスを下げることができる。なお、配線インピーダンスをそのままとし、その代わりに電源配線の面積を小さくすることで、他の配線用の領域を広く確保するようにしてもよい。
【0030】
以上本実施形態のプリント配線基板1について説明したが、本発明は本実施形態に限定されず各種変形することが可能である。
例えば、説明した実施形態では、配線層を6層としたが、8層としてもよい。すなわち、第1配線層から第m配線層と、第m+1から第n配線層において、m=3、n=6としたが、m=4、n=8としてもよく、それ以上であってもよい。層数nとmの関係については、ビルドアップ法によるプリント配線基板である場合にはm=n/2であるが、配線が形成された絶縁層をプリプレグで接着することで配線を積層したプリント配線基板の場合には、m≠n/2であってもよい。
【0031】
また説明した実施形態では、第5配線層15に電源配線25を形成する場合を一例として説明したが、これらの配線は、第1配線層11、第3配線層13と第4配線層14を除く他の配線層に配置するようにしてもよい。
【0032】
また、説明した実施形態では、コア層10を挟む第3配線層13と第4配線層14の間で電源ビア20とGNDビア30を近接配置し、他の配線層間では隔離配置される場合について説明した。
これに対して、コア層10に形成したGNDビア30を、同軸上で更に、第3配線層13、第4配線層14以外の配線層まで延長形成するようにしてもよい。この場合、GNDビア30を延長形成するための条件としては、延長した途中や端部の配線層において、電源ビア20とGNDビア30が形成される領域内に、他のGND配線や電源配線が存在しないことが条件である。
すなわち、第q配線層(2≦q≦m−2、又は、m+2≦q≦n)に電源配線又はGND配線が形成されている場合、第q+1(q≦m−2の場合)配線層まで、又は、第q−1(m+3≦qの場合)配線層まで、GNDビア30を延長形成する。そして、GNDビア30用のGND配線を、第m配線層、第m+1配線層ではなく、延長形成したGNDビア30の両端が位置する配線層(第q+1配線層、又は/及び、第q−1配線層)に形成する。
これにより、電源配線やGND配線の配線インピーダンスを下げると共に、配線インダクタンスをより下げることができる。
【0033】
例えば、
図3において、電源配線25を、第5配線層15ではなく第6配線層16に形成した場合(q=6の場合)、GNDビア30を第3配線層13から第5配線層(=q−1配線層)15まで貫通形成する。すなわち、GNDビア30を、第4配線層14から第5配線層15まで延長形成する。
そして、第4配線層に形成したGND配線34、35を延長先の第5配線層15に形成する。
これにより、電源配線25の配線インピーダンスを実施形態と同様に下げると共に、配線インダクタンスを実施形態よりも下げることができる。
【0034】
また、
図3において、第1配線層11に電源配線21が形成され、第2配線層12には配線(電源配線、GND配線を含む)が形成されていないので、GNDビア30を第3配線層13から第2配線層12まで延長形成するようにしてもよい。
そして、GND配線32、33を第3配線層13ではなく、第2配線層12に形成する。
この場合にも、電源配線25の配線インピーダンスを実施形態と同様に下げると共に、配線インダクタンスを実施形態よりも下げることができる。