特許第6980178号(P6980178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980178
(24)【登録日】2021年11月19日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】シリンダ錠装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 41/00 20060101AFI20211202BHJP
   E05B 15/00 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   E05B41/00 D
   E05B15/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-108254(P2017-108254)
(22)【出願日】2017年5月31日
(65)【公開番号】特開2018-204226(P2018-204226A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000131511
【氏名又は名称】株式会社シブタニ
(72)【発明者】
【氏名】福井 昭浩
(72)【発明者】
【氏名】中 利友
【審査官】 野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−144475(JP,A)
【文献】 独国実用新案第202014104058(DE,U1)
【文献】 国際公開第2015/154122(WO,A1)
【文献】 英国特許出願公開第02305963(GB,A)
【文献】 韓国公開実用新案第20−2010−0004461(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 41/00
E05B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸体の内部に設けられる錠本体と、戸体の表面から突出して取着されるシリンダケースと、該シリンダケースに内装されて、前記錠本体のデッドボルトを鍵孔に挿入したキーによる施解錠操作によって出没可能に連動連結されるシリンダ錠と、該シリンダ錠の施解錠操作に応じて、その施錠・解錠状態を切り替え表示するよう前記シリンダ錠の前面側に設けられる表示体とを備えるシリンダ錠装置であって、
前記表示体を、リング状または円弧状に形成するとともに、前記シリンダケースの前面側からその外周面部を出没させて表示切り替え可能に構成するに、
前記シリンダ錠を、前記錠本体に対して、一端が前記シリンダ錠の後端側に形成されたシリンダテール片に係合され、他端が前記デッドボルトを出没可能に係合される連結体を介して回動可能に連結すると共に、
該連結体の外周縁部に、前記シリンダ錠側に向けて形成されたカム面を有するカム部を設ける一方、
前記表示体には、その後面側から延出して先端部が前記カム面に達する複数の従動軸を設けて、該従動軸を回転するカム面に沿って摺接係合可能に前記シリンダケースに案内支持せしめ、
前記カム面は、複数の前記従動軸を介して前記表示体を突出状態とする複数の山部と、複数の前記従動軸を介して前記表示体を没入状態とする複数の谷部とが形成され、
該表示体を、前記シリンダ錠の施解錠操作に連動連繋される前記従動軸の従動に伴って、その解錠または施錠状態の何れかの状態で、前記シリンダケースの前面から突出表示されるよう出没可能に構成せしめたことを特徴とするシリンダ錠装置。
【請求項2】
請求項1において、前記シリンダ錠の施解錠操作に応じて、前記表示体を解錠状態と施錠状態の何れかの状態で選択的な突出表示が行えるよう、前記連結体を、前記シリンダ錠と前記錠本体との間に介在させるとともに前記シリンダテール片に対する角度を変えてセットすることが可能に構成されていることを特徴とするシリンダ錠装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記表示体は、室内への立ち入りや開戸操作が規制されて、常時閉戸状態に管理される戸体において、前記錠本体の施錠状態で没入され、解錠状態で突出表示されるようセットされていることを特徴とするシリンダ錠装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかにおいて、前記カム面の前記山部と前記谷部とは線対称状に配して円形に形成されていることを特徴とするシリンダ錠装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかにおいて、前記表示体は、前記シリンダケースの前面部に、該前面部よりも面落ちさせて配設した前記シリンダ錠の外周側で、前記従動軸を案内支持可能な円形の凹状部を形成し、該凹状部内に没入させてセットされていることを特徴とするシリンダ錠装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかにおいて、前記表示体には、シリンダケースの前面域を覆う開閉蓋が、表示体の前面部に密接状態で開閉可能に設けられ、該開閉蓋を、表示体と共に一体動作すべく構成してあることを特徴とするシリンダ錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラー室 薬品保管室、電気・機械設備室や設備所など、一般人の立ち入りや、設備器機への接触が規制された場所における室内への出入口やユニットボックス等の点検口などの戸体に対して、常時施錠状態に管理されて設けることのできる施解錠表示機能を備えたシリンダ錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、共用トイレのドアやホテルのドアには、例えば、使用中か否か或いは在室中か否かが視認できるように、スライドラッチやサムターンの施解錠操作に伴って、その施錠状態と解錠状態を室外側で切り替え表示する表示体が設けられている。この表示体は、赤色の施錠表示と青色の解錠表示を片半部つに施した円板形状の回転表示プレート(表示体)を、引き手やシリンダ錠の座板前面に設けた表示窓を介して表示するようにしたもの(例えば、特許文献1、2参照)が知られている。これに対して、かかる回転表示プレートによらず、表示体を、施錠状態では引き手やシリンダ錠の座板前面からその外周面部に施した赤色表示を施錠状態で突出させて視認させ、解錠状態ではこれを前面側に没入させて出没動作するようにしたものが知られている(例えば、特許文献3、4参照)。
【0003】
すなわち、特許文献3のものは、ホテル等の客室の施解錠状態を、室内側に設けられた錠装置の一部をなすサムターンの回転操作に連動して回転伝達するカム手段を介して、表示体(6)を室外側の座板(2)から出没させることで、ホテル従業員が視覚により判別できるようにしたものである。しかしながら、このものは、サムターンの回転を表示体(6)に伝達する手段として、その先端側(52)を座板(2)に軸支し、後端側をサムターンの回転軸に適当な連係部材(10)を介して連係したカム(5)をシリンダ錠から離れた別部位に配設させ、円柱状の表示体(6)に固設した従動片(7)の突片(71)をカム(5)面に摺接係合させて、表示体(6)をサムターンの回転操作により、施錠時には、従動片(7)の突片(71)が圧縮ばね(8)の付勢力に抗してカム(5)のV字状の溝(51)の斜面に沿って押し上げられ、解錠時には、従動片(7)の突片(71)がカム(5)のV字溝(51)に嵌まり合って没入される構成となっている。このため、表示体(6)側のカム手段の構成が複雑なものとなり、表示体(6)を大きく形成することが困難であるばかりか、カム(5)と突片(71)との係合が軸芯位置ズレした片持ち係合であるため、突片(71)側が揺動し従動片(7)を長くすると表示体(6)と突出入孔(23)が噛み合って動作できないという問題があり、しかも、施錠された在室状態をサムターンの回転操作でのみ突出表示することを前提としているため、シリンダ錠と一体となった出没表示装置を構成することはできないばかりか、シリンダ錠の外部からのキー操作に連動して出没動作することができないものであった。
【0004】
一方、特許文献4のものは、トイレの使用状態をスライドラッチの施解錠操作によって、所定ストロークを直進移動するカム手段に連動して、表示体(5)を室外側の引き手(4)から出没させることで、使用状況を利用者に視覚により判別できるようにしたものである。しかしながら、このものは、ラッチ体(32)の操作部(31)の引き手(4)側に向けて形成された直線状のカム面(551)に対して、引き手(4)に設けられた表示体(5)の背面側に、その先端部がカム面(551)に達する長さを有する従動軸(54)を、常時後退方向に弾発付勢させて設け、操作部(31)の施解錠操作に連動連繋してカム面(551)に沿って従動させながら表示体(5)を出没させる構成となっているため、表示体(5)を大きく形成することができるものの、かかる出没構成を、外部からのキー操作に連動して出没動作するようにシリンダ錠に採用することは困難であった。
【0005】
したがって、かかる使用中や在室中であるかを、室内側からスライドラッチやサムターンの施解錠操作すること前提として、表示体を出没する表示機構を用いては、室外側からシリンダ錠を施解錠操作することにより表示体を突出表示させ、戸体が解錠状態であるか施錠状態であるかを管理者に認識させることはできないばかりか、一般人の立ち入りや設備器機の接触が禁止されている出入口や点検口など、常時施錠状態とする維持管理が要求される工場などの施設に設けられた戸体のシリンダ錠に対し、その施解錠操作によって表示体を出没動作するための表示機構として採用することができず、しかも、表示体の突出表示を、取り付け現場の要求に応じて、施錠状態によるか解錠状態によるかの何れかの状態をもって選択的に突出表示させ、確実に視認させることができないという問題点を有していた。また、特許文献1や2のもののように、緊急解錠杆(602)や鍵孔(22a)による外部からの錠操作で回転表プレートの切り替え表示が行えるようにしたものでは、表示窓を大きく形成できないだけでなく、離れた場所や斜めなど立ち位置となる見る角度によって視認することが難しく、出没表示体に比してその視認性が劣るという不都合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−254536号公報(図1〜3)
【特許文献2】特開2015−132098号公報(図1〜3)
【特許文献3】実開平06−078551号公報(図1〜2)
【特許文献4】特開2009−174136号公報(図3図5))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の如き問題点を一掃すべく創案されたものであって、施解錠操作に応じて出没切り替え表示する表示体を備えるものでありながら、戸体の内部側からの施解錠操作によらず、シリンダ錠を外部から施解錠操作することによって、表示体を、シリンダ錠の前面側となるシリンダケースから出没動作させ、その突出表示状態を離れた場所からも管理者に確実に視認させることができ、一般人の立ち入りや、設備器機への接触が規制された場所における室内への出入口やユニットボックス等の点検口など、常時施錠状態とするような管理が要求される戸体に対して、解錠状態での突出表示を可能として採用することができるだけでなく、出没表示機構自体の構造の簡略化と、シリンダ錠装置自体への表示体の組付け構成の簡略化が図られたものとして製作することができ、しかも、戸体に設けられた錠本体に対しても容易に連結取着することのできる表示体を備えるシリンダ錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明のシリンダ錠装置は、戸体の内部に設けられる錠本体と、戸体の表面から突出して取着されるシリンダケースと、該シリンダケースに内装されて、前記錠本体のデッドボルトを鍵孔に挿入したキーによる施解錠操作によって出没可能に連動連結されるシリンダ錠と、該シリンダ錠の施解錠操作に応じて、その施錠・解錠状態を切り替え表示するよう前記シリンダ錠の前面側に設けられる表示体とを備えるシリンダ錠装置であって、前記表示体を、リング状または円弧状に形成するとともに、前記シリンダ錠の前面側からその外周面部を前記シリンダケースから出没させて表示切り替え可能に構成するに、前記シリンダ錠を、前記錠本体に対して、一端が前記シリンダ錠の後端側に形成されたシリンダテール片に係合され、他端が前記デッドボルトを出没可能に係合される連結体を介して回動可能に連結すると共に、該連結体の外周縁部に、前記シリンダ錠側に向けて形成されたカム面を有するカム部を設ける一方、前記表示体には、その後面側から延出して先端部が前記カム面に達する複数の従動軸を設けて、該従動軸を回転するカム面に沿って摺接係合可能に前記シリンダケースに案内支持せしめ、前記カム面は、複数の前記従動軸を介して前記表示体を突出状態とする複数の山部と、複数の前記従動軸を介して前記表示体を没入状態とする複数の谷部とが線対称状に配して形成され、該表示体を、前記シリンダ錠の施解錠操作に連動連繋される前記従動軸の従動に伴って、その解錠または施錠状態の何れかの状態で、前記シリンダケースの前面から突出表示されるよう出没可能に構成せしめたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記のように構成したことにより、施解錠操作に応じて出没切り替え表示する表示体を備えるものでありながら、戸体の内部側からの施解錠操作によらず、シリンダ錠を外部から施解錠操作することによって、表示体を、その外周面部をシリンダ錠の前面側となるシリンダケースから出没動作させることができるので、シリンダ錠のキー操作に邪魔にならない前面域や外周域を利用して、リング形状とするなど表示体を大きく形成し得て、その突出表示状態を離れた場所からも管理者に確実に視認させることができ、一般人の立ち入りや、設備器機への接触が規制された場所における室内への出入口やユニットボックス等の点検口など、常時施錠状態とするような管理が要求される戸体に対して、解錠状態での突出表示を可能として採用することができるだけでなく、表示体の前面部に開閉蓋等を設けて防塵や防水機能を備えることが可能となり、その表示面域を外周面部のみならず、内周面部も開閉蓋が開らかれたキー操作途中であることを知らしめる表示面域として機能させることができる。さらに、カム部は、一端がシリンダテール片に他端が錠本体に、それぞれ回転可能に連結係合される連結体の外周縁部に一体形成されているので、別途カム部材を介在させる必要が無く部品点数と組付け工数を削減することができると共に、表示体は、その先端がカム面に当接された状態で、シリンダケース内に案内支持される従動軸に対して、その外部側からシリンダ錠の前面側に取着するだけで、凹状部内に没入セットすることができ、表示色の異なるものへの変更や、表示体の出没調整も錠本体への組付け前に、スプライン軸部を回転操作することにより容易に行い得て、出没機構自体の構造の簡略化と、シリンダ錠装置自体への表示体の組付け構成の簡略化が図られたものとして製作することができ、しかも、戸体に設けられた錠本体に対しても、シリンダ錠と錠本体との間に離間スペースが存在する場合に用いられる既存の連結体と同様に、スプライン軸部をスプライン係合により連結取着するだけで容易に組付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態にかかる表示体を備えるシリンダ錠装置の戸体への取付け状態を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
図2】本発明の実施形態にかかる表示体を備えるシリンダ錠装置を示し、(A)は開閉蓋を開いた状態の正面図、(B)は開閉蓋を閉じた状態の側面図、(C)は開閉蓋を閉じた状態のA−A断面図、(D)はB−B断面図、(E)は開閉蓋を開いて表示体を突出した状態の側面図、(F)は開閉蓋を閉じて表示体を突出した状態のA−A断面図である。
図3】(A)は開閉蓋を開いて表示体を突出した状態のシリンダ錠装置の斜視図、(B)はカム部を備えた連結体の斜視図である。
図4】シリンダテール片の係合駒への係合状態を示し、(A)は解錠状態からキーセットして施錠状態とする動作説明図、(B)は施錠状態からキーセットして解錠状態とする動作説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を好適な実施の形態として例示するシリンダ錠装置を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、シリンダ錠装置を戸体への取付けした状態を示し、(A)は外部側から視た正面図、(B)は見込み面側から視た側面図である。
これらの図に示されるように、1は戸体であって、該戸体1には、デッドボルト21を備えて戸体1の内部に設けられる錠本体2と、この錠本体2に対して、戸体1の内外から一対の凹凸嵌合をもってスプライン係合させることで、デッドボルト21を出没可能に連動連結されるサムターン22とシリンダ錠装置3が取り付けられ、デッドボルト21の枠体に設けられたストライクへの係脱操作により、戸体1の施錠、解錠が行われるようになっている。
【0012】
図2は、開閉蓋を開いた状態と表示体を突出した状態のシリンダ錠装置の正面図、側面図、断面図をそれぞれ(A)〜(F)において示すものであり、図3(A)は、開閉蓋を開いて表示体を突出した状態のシリンダ錠装置の斜視図、B)はカム部を備えた連結体の斜視図である。
これらの図に示されるように、シリンダ錠装置3は、戸体1に設けられた錠本体2と、戸体1に取着されるシリンダケース31と、該シリンダケース31に内装されて錠本体2のデッドボルト21を施解錠操作によって出没可能に連動連結されるシリンダ錠32と、該シリンダ錠32の施解錠操作に応じて、その施錠・解錠状態を切り替え表示するようシリンダ錠32の前面側に設けられる表示体4と、シリンダケース31の前面部を覆うよう開閉可能に設けられた開閉蓋5を備えて構成される。
【0013】
シリンダケース31は、戸体1の表面から突出する台形部と、戸体1の内部に挿入される部位が円形部とによって略円筒状に形成され、その中央にシリンダ錠32を収容する収容部311と、収容部311(シリンダ錠32)の外周側に後述する従動軸41、41を案内支持するための軸孔312、312が挿通状態で穿設され、後部に円筒状のエンドキャップ31aが設けられている。図中、31bは戸体1の表面版との間に介在されるゴムパッキンであり、特に、シリンダ錠装置3が防塵性や防水性が要求される戸体1に採用された場合に有効である。
【0014】
シリンダ錠32は、その前面に鍵孔321と後端側に突出形成された板状のシリンダテール片322とを備えており、シリンダテール片322は、一端がこのシリンダテール片322に係合されて、他端がデッドボルト21を出没可能に錠本体2に係合される連結体33を介して回動可能に連結されており、鍵孔321へのキー挿入と、サムターン22とによりデッドボルト21を出没させる施解錠操作によってそれぞれ90度往復回動可能になっている。なお、サムターン22は、室内から施解錠操作が必要な戸体1に設けられ、点検口などの戸体1には設けられないものである。つまり、連結体33は、シリンダ錠32と錠本体2との間に、例えば、面付け錠などのように所定の離間スペースが存在する場合に介在セット可能な接続部材として形成されるものであり、その後端側に形成された十字状のスプライン軸部331を、錠本体2の図示しないスプラインボス部に挿入係止されるようエンドキャップ31aにより回転可能に抜け止め軸支されている。
【0015】
また、連結体33の外周縁部には、連結体33と一体回動するようシリンダ錠32側に向けて形成された回転カム面34aを有するカム部34が設けられ、全体が側面視T字状に形成されている。カム面34aは、山部から所定のスロープ面を経て谷部に至る起伏形状を持って線対称状となるように形成されており、その中心部前面にシリンダテール片322を係合するための凹状の接合溝35が形成されている。接合溝35の内周は、90度の角度可変可能なスプラインボスとしての機能する溝孔により形成され、この接合溝35に対して、嵌め合わせ挿入される外径をもって形成された後述する係合駒6が、角度変位可能にスプライン係合させて挿入されるようになっている。なお、カム面34aは、従動軸41を1本のものとした場合には、下半円弧部のみに形成しても良い。
【0016】
表示体4は、予め所定色として赤色に着色された樹脂部材にて、鍵孔321へのキーの挿入操作の邪魔とならないように、シリンダ錠32の前面域や外周域を利用した大きさの外径をもってリング状(リング型円弧状であっても良い)に形成され、その表面に薄板リング状のカバー片43がビス止めされて設けられており、その外周面部と内周面部とが、着色表示が施された態様にて視認(表示)面域として機能するようになっている。なお、表示体4に着色樹脂部材を用いない場合には、その外周面部と内周面部に、赤色や青色といった所定色の着色表示として、シール材の貼付けや塗布剤などで着色を施すようにしても良い。また、表示体4には、その後面側から延出して先端部がカム面34aに達する長さの従動軸41、41がビス止めされて設けられており、表示体4の従動軸41への取り付けは、シリンダケース31内に、シリンダ錠32をセットし、従動軸41を軸孔312に挿入して案内支持せしめ、その先端をカム面34aに当接させて連結体33をセットした状態で、シリンダケース31の前面側から行われ、その前面となる内縁部に形成された円形の凹状部313内に没入セットされる。
【0017】
従動軸41は、先半部が細径で後半部が太径の円柱状に形成され、軸孔312はこの従動軸41の外形に適合した形状に形成され、表示体4を凹状部313内に没入セットした状態で軸孔312に挿入して案内支持せしめ、その基端を表示体4の表面側からネジ止めすることにより、表示体4に取着されている。その際、従動軸41、41の細径部に、表示体4(従動軸41)を常時没入方向(後退方向)に弾圧付勢させるためのコイルバネ42、42が、従動軸41の太径部により抜け止め規制された状態で介在され、これにより、従動軸41の先端部が常時弾圧付勢された状態でカム面34a上を摺接係合し、カム起伏に沿って従動しながら進退移動することで表示体4を出没可能に構成している。
【0018】
つまり、表示体4は、凹状部313内に没入セットした状態では、従動軸41の先端がカム面34aの谷部に位置され、この状態から、サムターン22やシリンダ錠32の施解錠操作に連動連繋されて回転するカム面34aのカム起伏に沿って従動する従動軸41の先端部が、カム面34aの山部に摺接移動した位置において、その解錠または施錠状態の何れかの状態をもって、シリンダケース31の前面から突出表示されるよう出没可能に構成されている。表示体4を、解錠状態で突出表示させるか、施錠状態で突出表示させるかの選択は、後述する連結体33の係合駒6とシリンダテール片322との係合と、スプライン軸部331に対して、錠本体2のデッドボルト21の出没により90度角度変位するスプラインボス部への挿入係合により行われる。
【0019】
一方、カバー片43は、表示体4の外径よりも僅かに大きい外径をもって薄板リング状にて形成されており、表示体4の没入時にシリンダケース31(凹状部313)の前面周縁に密接するように構成され、さらに、このカバー片43と共に、表示体4には、その前面部上端に回転可能に軸支された開閉蓋5が、シリンダケース31の前面部を覆うように設けられており、ちりや埃、雨水、或いは工場施設内の粉塵などが、表示体4の外周と凹状部313との隙間や凹状部313の中央空間内に入り込まない密封構成となっている。つまり、開閉蓋5は、その裏面側が表示体4(カバー片43)の内周側に僅かに突出する台形の膨出部51を有して、全体がその外径をカバー片43の外径よりも僅かに大きい外径となるように円板状に形成されており、図2(D)に示すように、シリンダケース31の凹溝314で支軸52により回転可能に軸支され、当該支軸52に設けられたコイルバネ52aにより、カバー片43の表面に対して常時圧接する方向に付勢されて装着されている。つまり、開閉蓋5は、表示体4と一体となって出没動作されると共に、表示体4の出没動作とは独立して360度回転開閉可能に構成され、その開閉操作は、開閉蓋5の外周端を指で摘んで回動させることで、膨出部51が、その外周傾斜に抗してカバー片43の内周角部を乗り上げて、カバー片43上に圧接された状態となり、鍵孔321へのキーの挿入操作可能な任意位置まで回転操作されて開状態に保持される。カバー片43を密封構成部材として形成したが、単に表示体4の前面の小口隠しとしてのシール材としてもよく、また、この部材を用いることなく前面を露出して表示面域として機能させてもよく、その場合には、開閉蓋5、表示体4の没入時にその外周縁部を表示体4の前面でなく凹状部313の前面周縁に圧接させて密封するようにすれば良い。
【0020】
図4は、縦向きの鍵孔321に対してキーを差し込み挿入したセット位置から、横向きに回動させてデッドボルト21を出没する施解錠操作を行い、再び鍵孔321を縦向きに復帰してキーを抜き取り操作する際の、係合駒6とシリンダテール片322との係合状態を示したものであり、(A)は解錠状態からキーセットして施錠状態とする動作説明図、(B)は施錠状態からキーセットして解錠状態とする動作説明図である。これら図に示すように、係合駒6は、その外周面が接合溝35に対して、角度変位可能にスプライン係合させて挿入されるよう形成され、その中央部に分銅状のテール片係合孔61が打ち抜き形成されおり、主として錠本体2が戸体1の左右開き勝手に応じて取り付けされた場合に、デッドボルト21の施解錠操作をする際、サムターン22の操作とシリンダ錠32のキー操作とに勝手違いが生じ、表示体4の突出表示状態も勝手違いが生じるため、接合溝35に対しての挿入角度を換えて背反状にセットすることで対応可能な部材として機能する。つまり、シリンダテール片322は、キーの抜き差し操作が可能な鍵孔321が縦向きとなった状態では常に横向きの状態となっており、施錠または解錠操作された鍵孔321が横向きとなった状態では常に縦向きの状態となっており、テール片係合孔61は、施錠または解錠状態からキーの抜き差し操作する際に、表示体4との連動(回転伝達)が断たれてシリンダテール片322が空回りする空域に形成されている。なお、この係合駒6は、連結体33の回転調整によらず、接合溝35に対して角度調整して挿入セットすることによっても、表示体4を解錠と施錠状態の何れかの状態で突出表示させるかを選択的に行うことができ、また、係合駒6を単体部材として設けることなく、テール片係合孔61を連結体33に直接形成しても良いことは勿論である。
【0021】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、ボイラー室 薬品保管室、電気・機械設備室や設備所など、一般人の立ち入りや、設備器機への接触が規制された場所における室内への出入口やユニットボックス等の点検口など、常時施錠状態に管理される戸体1に対して、その解錠状態を戸体1の外部で出没動作する表示体4によって管理者に認識表示するのであるが、本発明におけるシリンダ錠装置3は、シリンダ錠32の施解錠操作に応じて、シリンダケース31の前面側からその外周面部を出没させて、施錠状態と解錠状態を表示切り替え可能な表示体4を備えており、シリンダ錠32を、錠本体2に対して、一端が前記シリンダ錠の後端側に形成されたシリンダテール片322に係合され、他端がデッドボルト21を出没可能に係合される連結体33を介して回動可能に連結すると共に、この連結体33の外周縁部に、シリンダ錠32側に向けて形成されたカム面34aを有するカム部34を設ける一方、表示体4には、その後面側から延出して先端部がカム面34aに達する長さの従動軸41を設けて、該従動軸41を回転するカム面34aに沿って摺接係合可能にシリンダケース31に案内支持せしめ、該表示体4を、シリンダ錠32の施解錠操作に連動連繋される従動軸41の従動に伴って、その解錠または施錠状態の何れかの状態で、シリンダケース31の前面から突出表示されるよう出没可能に構成してある。
【0022】
この様に構成すると、施解錠操作に応じて出没切り替え表示する表示体4を備えるものでありながら、戸体1の内部側からサムターン22による施解錠操作によらず、シリンダ錠32を外部から施解錠操作することによって、表示体4を、その外周面部をシリンダ錠32の前面側となるシリンダケース31から出没動作させることができるので、シリンダ錠32のキー操作に邪魔にならない前面域や外周域を利用して、リング形状とするなど表示体4を大きく形成し得て、その突出表示状態を離れた場所や異なる立ち位置からも管理者に確実に視認させることができ、一般人の立ち入りや、設備器機への接触が規制された場所における室内への出入口やユニットボックス等の点検口など、常時施錠状態とするような管理が要求される戸体1に対して、解錠状態での突出表示を可能として採用することができるだけでなく、表示体4の前面部にカバー片43や開閉蓋5を設けて防塵や防水機能を備えることが可能となり、その表示面域を外周面部のみならず、内周面部も開閉蓋5が開らかれたキー操作途中であることを知らしめる表示面域として機能させることができる。
【0023】
さらに、カム部34は、一端がシリンダテール片322に他端が錠本体2に、それぞれ回転可能に連結係合される連結体33の外周縁部に形成されているので、別途カム部材を介在させる必要が無く部品点数と組付け工数を削減することができると共に、表示体4は、その先端がカム面34aに当接された状態で、シリンダケース31内に案内支持される従動軸41に対して、その外部側からシリンダ錠32の前面側に取着するだけで、凹状部313内に没入セットすることができ、表示色の異なるものの変更や、表示体4の出没調整も錠本体2への組付け前に、スプライン軸部331を回転操作することによって容易に行い得て、出没機構自体の構造を簡略化と、シリンダ錠装置3自体への表示体4の組付け構成の簡略化が図られたものとして製作することができ、しかも、戸体1に設けられた錠本体2に対しても、シリンダ錠32と錠本体2との間に離間スペースが存在する場合に用いられる既存の連結体と同様に、スプライン軸部331をスプライン係合により連結取着するだけで容易に組付けることことができる。
【0024】
また、連結体33は、シリンダ錠32の施解錠操作に応じて、表示体4を、解錠状態と施錠状態の何れかの状態で選択的な突出表示が行えるよう、シリンダ錠32と錠本体2との間に介在セット可能に構成されているので、従動軸41の先端をカム面34aの谷部に位置させ、表示体4を、シリンダケース31の凹状部313内に没入セットする作業工程において、係合駒6とシリンダテール片322との係合関係を、例えば、解錠状態で突出表示させたい場合には、シリンダ錠32を図4(A)示す施錠状態にして連結体33を組付けセットし、また、この状態から表示体4を施錠状態で突出表示させたい場合には、連結体33を180度回転させてシリンダ錠32を図4(B)に示す解錠状態にして組付けセットした後に、エンドキャップ31aにより抜け止めすれば良く、表示体4の突出表示状態の選択切り替えを行う際に、部材や組付け手順を何ら変更することなく容易に行うことができ、コスト高となることなく取り付け現場の要求に応じて迅速に対処することができる。この表示体4の突出表示状態の選択切り替えは、組付け後であっても、ネジ止めされたエンドキャップ31aを取り外せば現場にて行うことも可能である。
なお、錠本体2への組付けは、表示体4の突出表示状態に応じて、デッドボルト21を突出または没入状態として、スプライン軸部331を係合連結すれば良い。
【0025】
また、表示体4は、室内への立ち入りや開戸操作が規制されて、常時閉戸状態に管理される戸体において、錠本体2の施錠状態で没入され、解錠状態で突出表示されるようセットされている。例えば、一般人の立ち入りや、設備器機への接触が規制された場所における室内への出入口やユニットボックス等の点検口などの戸体1は、常時閉戸状態に管理され、例えば、数日間の間隔や1日の数時間の間隔をもって、比較的短い時間帯が割り当てられて、管理者や作業者による室内への出入りや点検作業などが行われる間だけ解錠状態する場合が多い。この解錠状態とする操作は、シリンダ錠32の施解錠操作によって行われるが、本実施形態においては、開閉蓋5を開いた状態で鍵孔321にキーを差し込んで解錠操作した後、キーを抜いて開閉蓋5を閉じる手順によって操作される。その際、表示体4が突出表示され、管理者や作業者に対してシリンダ錠32が解錠状態であることを認識させることができるので、施錠忘れを未然に防止して施錠操作による戸締まり管理を容易に行うことができる。
【0026】
また、カム面34aは、従動軸41を介して、表示体4を突出状態とする山部と没入状態とする谷部とが線対称状に配して円形に形成されているので、シリンダケース31に組付けする際に左右勝手違いが生じることが無くセットすることができ、表示体4を、解錠状態と施錠状態の何れかの状態をもって選択的なセットが行え、連結体33と一体回動するカム面34aによって突出表示することができる。
【0027】
また、表示体4は、リング状または円弧状に形成され、シリンダケース31の前面部に、該前面部よりも面落ちさせて配設したシリンダ錠32の外周側で、従動軸41を案内支持可能な円形の凹状部313を形成し、該凹状部313内に没入させてセットされているので、鍵孔321へのキーの挿入操作の邪魔とならないように、シリンダ錠32の前面域や外周域を利用した大きさの外径をもって形成することができ、突出状態における視認性を高めることができる。
【0028】
また、表示体4には、その前面部を覆ってシリンダケース31の前面周縁に密接するカバー片43が設けられており、さらに、表示体4には、シリンダケース31の前面域を覆う開閉蓋5が、表示体4の前面部に密接状態で開閉可能に設けられ、該開閉蓋5を、表示体4と共に一体動作すべく構成してある。
この様に構成すると、図2(B)、(C)、(D)に示す如く、開閉蓋5を閉じた状態では、開閉蓋5の外周裏面がカバー片43の表面に密接した状態となって、表示体4が凹状部313内に没入された状態では、カバー片43の外周端部が、シリンダケース31(凹状部313)の前面周縁に密接した状態、即ち、凹状部313内を密封状態に保持することができるので、ちりや埃、粉塵、蒸気や雨水などが、凹状部313内(表示体4の外周との隙間や鍵孔321の中央空域)に侵入することを防止することができるので、例えば、戸体1から突出するシリンダケース31の外観が、施錠状態が長時間続き埃などにより汚れていたとしても、表示体4を常にクリーンな状態を保ちつつ突出表示することが可能となり、長期使用によって視認性が減退することが防止され、屋外や工場施設内などの設置個所における環境に影響を受けることなく採用することができる。
【0029】
一方、図2(A)、(E)、(D)、図3(A)に示す如く、開閉蓋5を開けた状態では、鍵孔321が露出してキーの抜き差しが行えると共に、表示体4の内周面部も視認可能な状態となり、シリンダ錠32の施解錠操作により表示体4が出没動作されて表示切り替えが行われる。つまり、カバー片43の存在によって、表示体4を着色樹脂材にて成形しても、その外周面部を表示面域とすることができると共に、開閉蓋5との有機的な組合せ関係により、内周面部をも表示面域として利用することができ、例えば、施錠状態とする操作が行われて表示体4が没入された状態で、開閉蓋5を開けたままの状態とした際に、キー操作途中であることを知らしめる表示面域として機能させることができ、防塵性や防水性が要求される戸体1にシリンダ錠装置3が採用された場合には、注意を促すための表示面域として有効に作用する。
【符号の説明】
【0030】
1 戸体
2 錠本体
21 デッドボルト
22 サムターン
3 シリンダ錠装置
31 シリンダケース
31a エンドキャップ
31b ゴムパッキン
311 収容部
312 軸孔
313 凹状部
314 凹溝
32 シリンダ錠
321 鍵孔
322 シリンダテール片
33 連結体
331 スプライン軸部
34 カム部
34a カム面
35 接合溝
4 表示体
41 従動軸
42 コイルバネ
43 カバー片
5 開閉蓋
51 膨出部
52 支軸
52a コイルバネ
6 係合駒
61 テール片係合孔
図1
図2
図3
図4