特許第6980184号(P6980184)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6980184分離膜複合体およびレドックスフロー電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980184
(24)【登録日】2021年11月19日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】分離膜複合体およびレドックスフロー電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/18 20060101AFI20211202BHJP
   H01M 8/1016 20160101ALI20211202BHJP
   H01M 8/1053 20160101ALI20211202BHJP
   H01M 8/1065 20160101ALI20211202BHJP
【FI】
   H01M8/18
   H01M8/1016
   H01M8/1053
   H01M8/1065
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-513624(P2020-513624)
(86)(22)【出願日】2018年9月12日
(65)【公表番号】特表2020-532844(P2020-532844A)
(43)【公表日】2020年11月12日
(86)【国際出願番号】KR2018010708
(87)【国際公開番号】WO2019054759
(87)【国際公開日】20190321
【審査請求日】2020年3月5日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0119832
(32)【優先日】2017年9月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511123485
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】515238703
【氏名又は名称】コリア アドヴァンスド インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ミン ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヘ ソン
(72)【発明者】
【氏名】パク、サン ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒ−タク
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジェホ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、チャニョン
(72)【発明者】
【氏名】カン、テヒョク
【審査官】 上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0178000(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0028736(US,A1)
【文献】 特開平04−228591(JP,A)
【文献】 特開2010−132829(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0263990(US,A1)
【文献】 特開昭59−205165(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/168360(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第107171010(CN,A)
【文献】 特開2001−167787(JP,A)
【文献】 特表2016−532242(JP,A)
【文献】 特開平06−223858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/18
H01M 8/1016
H01M 8/1053
H01M 8/1065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰イオン交換膜および陽イオン交換膜が互いに対面して接触しており、それぞれの陽イオン交換膜と陰イオン交換膜は、互いに逆相で噛み合う2以上の凹凸を有し、
前記陰イオン交換膜の凹凸の高さが1μm〜200μmである、分離膜複合体。
【請求項2】
前記陰イオン交換膜の凹凸の幅が1μm〜200μmである、請求項1に記載の分離膜複合体。
【請求項3】
前記陰イオン交換膜で互いに隣り合う凹凸間の距離が1μm〜200μmである、請求項1に記載の分離膜複合体。
【請求項4】
前記分離膜複合体は、レドックスフロー電池に使用される、請求項1に記載の分離膜複合体。
【請求項5】
前記陰イオン交換膜は、アンモニウム、ホスホニウム(phosphonium)およびスルホニウム(sulfonium)からなる群より選ばれた1種の陰イオン交換官能基が1以上置換された陰イオン高分子を含む、請求項1に記載の分離膜複合体。
【請求項6】
前記陽イオン交換膜は、スルホン酸基、カルボキシル基およびリン酸基からなる群より選ばれた1種の陽イオン交換官能基が1以上置換された陽イオン高分子を含む、請求項1に記載の分離膜複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2017年9月18日付韓国特許出願第10−2017−0119832号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれている。
【0002】
本発明は、分離膜複合体およびレドックスフロー電池に関する。より詳細には、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を同時に用いてレドックスフロー電池に適用時、耐久性が向上して陽極と陰極の電解液間の充電された活物質のクロスオーバー現象を防止し、陽イオン/陰イオンの移動を制御して電池効率を向上させることができる分離膜複合体およびそれを含むレドックスフロー電池に関する。
【背景技術】
【0003】
化石燃料を使用して大量の温室ガスおよび環境汚染の問題を引き起こす火力発電や施設自体の安定性、廃棄物処理の問題を有する原子力発電などの従来の発電システムが多様な限界を表すことにより、より環境にやさしくかつ高い効率を有するエネルギの開発とそれを用いた電力供給システムの開発に対する研究が大きく増加している。
【0004】
特に、電力貯蔵技術は外部条件に大きい影響を受ける再生エネルギをより多様で広く用いることができるようにし、電力利用の効率をより高めることができるため、このような技術分野に対する開発が集中しており、その中でも2次電池に対する関心および研究開発が大きく増加しているのが実情である。
【0005】
レドックスフロー電池は、活性物質の化学的エネルギを直接電気エネルギに転換できる酸化/還元電池を意味し、太陽光、風力など外部環境に応じて出力変動性が激しい新再生エネルギを貯蔵して高品質電力に変換できるエネルギ貯蔵システムである。具体的には、レドックスフロー電池では酸化/還元反応を起こす活物質を含む電解液が反対電極と貯蔵タンクとの間を循環して充放電が行われる。
【0006】
このようなレドックスフロー電池は、基本的に酸化状態がそれぞれ異なる活物質が貯蔵されたタンクと充/放電時の活物質を循環させるポンプ、そして分離膜で分画される単位セルを含み、前記単位セルは電極、電解質および分離膜を含む。
【0007】
レドックスフロー電池の分離膜は、充電放電時に陽極と陰極電解質に反応して生成されるイオン移動により電流の流れを発生させる核心素材である。現在のレドックスフロー電池にはリチウム電池、鉛蓄電池、燃料電池などの他の2次電池用多孔性分離膜あるいはイオン交換膜を使用することが一般的であるが、このような従来の分離膜は陽極と陰極の電解液間の充電された活物質の高いクロスオーバーを発生させて電池のエネルギ密度を低下させてoxidative stabilityが充分でないため、電池の寿命を十分に確保することが難しい限界を有している。
【0008】
米国登録特許第4190707号や韓国登録特許第1042931号にはアルカリ電池または二次電池用微細多孔性分離膜が開示されているが、このような従来の多孔性分離膜はレドックスフロー電池で求められる陽極と陰極の電解液間のイオンのクロスオーバーを防止できる特性や臭素に対する耐性を確保できる方法については提示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4190707号明細書
【特許文献2】韓国登録特許第1042931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を同時に使用してレドックスフロー電池に適用時、耐久性が向上して陽極と陰極の電解液間の充電された活物質のクロスオーバー現象を防止し、陽イオン/陰イオンの移動を制御して電池効率を向上させ得る分離膜複合体を提供する。
【0011】
また、本発明は、前記分離膜複合体を含むレドックスフロー電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書においては、陰イオン交換膜および陽イオン交換膜が互いに対面して接触しており、それぞれの陽イオン交換膜と陰イオン交換膜は、互いに逆相で噛み合う2以上の凹凸を有する分離膜複合体が提供される。
【0013】
また、本明細書においては、前記分離膜複合体を含むレドックスフロー電池が提供される。
【0014】
以下発明の具体的な実施形態による分離膜複合体およびレドックスフロー電池についてより詳細に説明する。
【0015】
発明の一実施形態によれば、陰イオン交換膜および陽イオン交換膜が互いに対面して接触しており、それぞれの陽イオン交換膜と陰イオン交換膜は、互いに逆相で噛み合う2以上の凹凸を有する分離膜複合体が提供され得る。
【0016】
本発明者らは電池の分離膜に関する研究を行い、陰イオン交換膜(または陽イオン交換膜)の基材面上に形成された2以上の凹凸を形成し、陽イオン交換膜(または陰イオン交換膜)の一面に前記陰イオン交換膜の凹凸と逆相である凹凸が形成してこれらを結合して提供される分離膜複合体を製造し、このような分離膜複合体が充電時生成される活物質のクロスオーバーを効果的に制御することができ、陽イオンおよび陰イオン移動の制御によりエネルギ効率、電圧効率および電荷量効率を大きく向上させ得ることを実験により確認して発明を完成した。
【0017】
前記分離膜複合体は、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜のうち一つが機械的強度あるいは化学的安定性が低下する場合にも他の一つの交換膜がそれを補完する役割をすることができる。また、前記凹凸が噛み合っている形状による構造によって前記2種類の交換膜の結合力を大きく強化させることになり、前記分離膜複合体は堅固な内部構造を有することができる。
【0018】
前記凹凸の「逆相」は、陰イオン交換膜または陽イオン交換膜のうちいずれか一つに形成された凹凸に対応する形状を意味し、例えば所定の凹凸とその逆相はそれぞれの凹部と凸部が接して重なり得る。
【0019】
すなわち、前記分離膜複合体において陰イオン交換膜と陽イオン交換膜は凹凸を媒介として結合されており、前記陰イオン交換膜の凹部と陽イオン交換膜の凸部が接して結合され得、前記陰イオン交換膜の凸部と陽イオン交換膜の凹部が接して結合され得る。
【0020】
前記分離膜複合体はレドックスフロー電池に使用されることができる。前記レドックスフロー電池の具体的な種類は限定されるものではないが、例えば、亜鉛−臭素(zinc−bromine)レドックスフロー電池またはバナジウム(vanadium)レドックスフロー電池であり得る。
【0021】
前記分離膜複合体の厚さは、使用する電池の容量や大きさなどに応じて変わり、例えば10μm〜200μm、30μm〜100μm、40μm〜80μmの範囲であり得る。
【0022】
前記陰イオン交換膜の表面に形成される凹凸は、マイクロ単位の高さおよび幅を有することができる。
【0023】
例えば、前記陰イオン交換膜の基材面から定義される前記凹凸の高さが1μm〜200μm、または20μm〜80μmであり得る。
【0024】
また、前記陰イオン交換膜の基材面に平行方向に定義される微細凹凸の幅が1μm〜200μm、または20μm〜80μmであり得る。
【0025】
前記陰イオン交換膜の表面に形成される凹凸の具体的な形状は、大きく限定されるものではなく、線状、微細突起型、連続相パターンなどの形態であり得る。
【0026】
前記凹凸が微細突起型である場合、円柱、円錐台、多角柱、多角錐台、逆円錐台または逆多角錐台の形状を有する柱部を有し得る。
【0027】
また、前記凹凸が線状である場合、前記陰イオン交換膜の基材面で外部に導き出された微細凹凸が連結されてなる線状のパターンであり得る。
【0028】
また、前記凹凸が前記連続相パターンの形状である場合、前記陰イオン交換膜の基材面で外部に導き出された微細凹凸がフィルムの外部に突出して形成された立体形状全体が連結されて一つの立体をなすパターンであり得る。前記連続相パターンに前記微細パターンの側壁と前記陰イオン交換膜の基材面で定義される凹部が形成され得る。前記陰イオン交換膜の基材面方向に対する前記凹部の断面が円形、楕円形または多角形であり得る。
【0029】
前記陰イオン交換膜の表面に凹凸が形成されることによって、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜の噛み合う界面構造により陰イオン交換膜と陽イオン交換膜の結合力を高めることができ、これにより、前記分離膜複合体は堅固な内部構造を有することができる。
【0030】
前記凹凸は、マイクロ単位の高さおよび幅が小さすぎると、前記陽イオン交換膜と陰イオン交換膜との間の界面結着力が低くなり、前記分離膜複合体の構造の安定性が低下し得る。
【0031】
また、前記凹凸は、マイクロ単位の高さおよび幅が大きすぎると、前記分離膜複合体全体または陽イオン交換膜と陰イオン交換膜それぞれの厚さが増加し、これにより、前記分離膜複合体の抵抗が大きくなる。
【0032】
前記陰イオン交換膜の基材面の厚さが、1μm〜200μmである、または2μm〜80μm、または5μm〜50μmであり得る。前記陰イオン交換膜の基材面は、レドックス物質のクロスオーバーを遮断する役割と凹凸構造の支持層の役割をすることができ、前記厚さを有することによってクロスオーバーの抑制機能を示すか凹凸構造を堅固に維持することができる。
【0033】
前記陰イオン交換膜で互いに隣り合う凹凸間の距離が1μm〜200μm、または20μm〜80μmであり得る。前記互いに隣り合う凹凸間の距離が小さすぎると、凹凸の機械的強度が大きく低下し得る。また、前記互いに隣り合う凹凸間の距離が大きすぎると、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜の接触面が減少して界面結着力が低くなり、前記分離膜複合体の構造の安定性が低下し得る。
【0034】
前記陰イオン交換膜で凹凸が形成されていない他の一面は、平膜であるか前記凹凸と同一であるか相異する形状を有する凹凸が形成され得る。
【0035】
一方、前記陽イオン交換膜には前記陰イオン交換膜の凹凸と逆相である凹凸が形成されることによって、前記陽イオン交換膜は基材面および前記陰イオン交換膜の凹凸と逆相である凹凸を2以上含み得る。
【0036】
前記陽イオン交換膜に形成される凹凸の大きさなどは前記陰イオン交換膜の凹凸の大きさなどによって定義することができる。
【0037】
前記分離膜複合体は、前記陰イオン交換膜上に前記陽イオン交換膜を圧搾して製造されることができる。また、前記分離膜複合体は前記陰イオン交換膜上に前記陽イオン交換膜の原料をコートして製造することができる。
【0038】
このように、製造する方法や適用される電池に応じて前記陽イオン交換膜の特徴は変わる。例えば、前記陰イオン交換膜と接していない前記陽イオン交換膜の基材面の他の一面は平膜であるか凹凸が形成され得る。
【0039】
前記陽イオン交換膜の基材面の他の一面に形成される平膜であるか、凹凸の高さ、幅、間隔は、前記陰イオン交換膜に形成された微細凹凸の高さ、幅、間隔の10%〜200%であり得る。
【0040】
前記陰イオン交換膜は通常知られている陰イオン高分子を含み得る。具体的には、前記陰イオン交換膜はアンモニウム、ホスホニウム(phosphonium)およびスルホニウム(sulfonium)からなる群より選ばれた1種陰イオン交換官能基が1以上置換された陰イオン高分子を含み得る。例えば、前記アンモニウム、ホスホニウム(phosphonium)およびスルホニウム(sulfonium)それぞれは炭素数1〜10のアルキル基が1〜4個置換され得、より具体的にはトリ(C1〜C10のアルキル)アンモニウム、テトラ(C1〜C10のアルキル)ホスホニウム、トリ(C1〜C10のアルキル)スルホニウムに由来し得る。
【0041】
このような陰イオン高分子は、10,000〜500,000の重量平均分子量を有し得る。前記重量平均分子量はGPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
【0042】
前記陰イオン高分子のより具体的な例としては、アンモニウム、ホスホニウム(phosphonium)およびスルホニウム(sulfonium)からなる群より選ばれた1種の陰イオン交換官能基が1以上置換され、パーフルオロ系高分子、ベンズイミダゾール系高分子、ポリイミド系高分子、ポリエーテルイミド系高分子、ポリフェニレンスルフィド系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリエーテル−エーテルケトン系高分子、およびポリテリルキノキサリン系高分子からなる群より選ばれた1種以上の高分子が挙げられる。
【0043】
前記陽イオン交換膜は、通常知られている陽イオン高分子を含み得る。具体的には前記陽イオン交換膜はスルホン酸基、カルボキシル基およびリン酸基からなる群より選ばれた1種の陽イオン交換官能基が1以上置換された陽イオン高分子を含み得る。
【0044】
このような陽イオン高分子も10,000〜500,000の重量平均分子量を有し得る。前記重量平均分子量はGPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
【0045】
より具体的には、前記陽イオン交換膜は、スルホン化テトラフルオロエチレン系高分子(sulfonated tetrafluoroethylene−based polymer)、スルホン化ポリイミド(sulfonated polyimide,sPI)、スルホン化ポリアリーレンエーテルスルホン(sulfonated poly(arylene ether sulfone)、sPAES)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(sulfonated polyetheretherketone,sPEEK)、スルホン化ポリエーテルケトン(sulfonated polyetherketone,sPEK)、ポリビニリデンフルオライド−グラフト−ポリスチレンスルホン酸(poly(vinylidene fluoride)−graft−poly(styrene sulfonic acid)、PVDF−g−PSSA)およびスルホン化ポリフルオレニルエーテルケトン(sulfonated poly(fluorenyl ether ketone))からなる群より選ばれた一つ以上の高分子を含み得る。
【0046】
前記陽イオン交換膜はスルホン化テトラフルオロエチレン系高分子を含み得、その中でもデュポン(Dupont)社で市販するナフィオン(NafionTM)を使用することができる。
【0047】
一方、本発明のまた他の実施形態によれば、前記分離膜複合体を含むレドックスフロー電池が提供されることができる。
【0048】
前記レドックスフロー電池は、亜鉛−臭素(zinc−bromine)レドックスフロー電池またはバナジウム(vanadium)レドックスフロー電池であり得る。
【0049】
前記レドックスフロー電池は、前記分離膜複合体(分離膜)と電極を含む単位セル、酸化状態がそれぞれ他の活物質が貯蔵されたタンク、および充電および放電時に前記単位セルとタンクとの間で活物質を循環させるポンプを含み得る。
【0050】
前記分離膜に関する内容は、前記一実施例について上述した内容を含む。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を同時に使用してレドックスフロー電池に適用時、耐久性が向上して陽極と陰極の電解液間の充電された活物質のクロスオーバー現象を防止し、陽イオン/陰イオンの移動を制御して電池効率を向上させ得る分離膜複合体およびそれを含むレドックスフロー電池が提供されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】実施例1および比較例1の分離膜複合体を含む端電池の充放電性能の評価結果を示すグラフである。
図2】実施例1および比較例1の分離膜複合体の性能を確認するための端電池の模式図に関する図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の内容は下記の実施例によって限定されない。
【0054】
<実施例1>
プラズマなどの工程によって水と親水化処理されたシリカモールド上に陰イオン交換樹脂(Trimethylammonium functionalized polysulfone)を3000rpm、60秒の条件でスピンコートした。80℃の温度で3時間乾燥し、前記陰イオン交換樹脂がコートされたシリコンモールドを脱イオン数に含浸させて陰イオン交換樹脂膜を得た。この時、前記陰イオン交換樹脂膜の厚さは、約10μmの厚さを有する基材面上に約40μmの高さおよび約20μmの間隔を有して複数の凹凸が形成された。そして、前記凹凸が形成された陰イオン交換樹脂膜に25μm厚さのナフィオン(Nafion D520,デュポン社)を載せ、130℃の温度で5atmの圧力で熱圧搾して分離膜複合体を製造した。
【0055】
<比較例1>
50μm厚さのナフィオン(Nafion 212,デュポン社)分離膜を使用した。
【0056】
[実験例:充放電性能の評価]
実施例1および比較例1の分離膜の性能を確認するために端電池を図2のように製作した。前記端電池は分離膜60に対称に電解液が移動できるように流路を形成するフローフレーム50、電子を移動させる電極40、端電池の形状維持および支持台の役割をするエンドプレート30で構成されている。電解液容器の電解液はポンプを介して停電支路供給され、充放電器70を介して電流を加えて充電および放電が行われるように製作した。
【0057】
電解質容器に貯蔵された電解液は1.5M VOSOを3M HSO水溶液に溶解させた溶液を使用した。電解液は陽極および陰極それぞれ40mlを使用し、電解質循環ポンプで供給される電解液供給速度は分当り40mlの速度で供給した。また、陽極電解質をV(+4)/V(+5)レドックスカップルとして使用し、陰極電解質をV(+2)/V(+3)レドックスカップルとして使用した。
【0058】
実施例1および比較例1の分離膜で製造された端電池に対し、充放電を1回行った後1回ストリッピングを1 Cycleに設定し、エネルギ効率、電圧効率および電荷量効率を測定し、その結果を下記表1に記載した。この時、充電平均電圧と放電平均電圧を割った値で電圧効率[Voltage Efficiency,VE、計算方法は放電平均電圧(V)/充電平均電圧(V)]を測定し、充電出力量および放電出力量を割った値でエネルギ効率(Energy Efficiency,EE、計算方法は充電出力量(Wh)/放電出力量(Wh))を測定した。
【0059】
この時、充放電器はWonatec製品を用い、常温条件下でシステム総充電量1.6Ah充放電電圧範囲0.8〜1.65V、充電80mA/cm、放電80mA/cm、0.01V未満の電圧条件で測定した。
【0060】
【表1】
【0061】
表1および図1に記載されたように、実施例1の分離膜を含む端電池は、比較例1の分離膜を含む端電池に比べてエネルギ効率、電圧効率および電荷量効率が顕著に優れることを確認した。
【符号の説明】
【0062】
30:エンドプレート
40:電極
50:フローフレーム
60:分離膜
70:充放電器
図1
図2