特許第6980188号(P6980188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980188
(24)【登録日】2021年11月19日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】火災識別装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/12 20060101AFI20211202BHJP
【FI】
   G08B17/12 B
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-151237(P2017-151237)
(22)【出願日】2017年8月4日
(65)【公開番号】特開2019-28957(P2019-28957A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年7月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】515088898
【氏名又は名称】モリタ宮田工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500343599
【氏名又は名称】武藤 佳恭
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】井塚 加流慮
(72)【発明者】
【氏名】北 友也
(72)【発明者】
【氏名】栗岡 進
(72)【発明者】
【氏名】谷川 博明
(72)【発明者】
【氏名】山村 太一
(72)【発明者】
【氏名】武藤 佳恭
【審査官】 倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6166650(JP,B2)
【文献】 実開昭60−082388(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0117839(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0061777(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 25/00
G08B 17/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
警戒区域内における燃焼又は炎による火点の発生を判定する第1判定部と、
前記第1判定部で前記火点の発生を判定すると、前記火点の成長を判定する第2判定部と
を備え、
前記警戒区域内を撮影する撮影部と、
前記撮影部で撮影される画像を時系列情報とともに記憶する画像記憶部と
前記火点が成長していると判定する、前記炎要素の時系列的変化パターンを記憶する時系列的変化パターン記憶部と
を有
前記時系列的変化パターン記憶部には、あらかじめ機械学習によってパターン化された前記炎要素の前記時系列的変化パターンとして、時系列的な変化情報である時系列的な成長曲線、変化曲線、又は近似式に関するデータが記憶されており、
前記第2判定部では、
前記画像記憶部に記憶された複数の前記画像に含まれる前記炎要素の時系列的変化を、前記時系列的変化パターン記憶部に記憶している前記時系列的変化パターンと比較し、
前記画像に含まれる、前記火点の形状、大きさ、色、輝度、及び揺らぎの内の少なくとも一つを含む炎要素の時系列的変化から前記火点の成長を判定する
ことを特徴とする火災識別装置。
【請求項2】
前記警戒区域内の温度分布を検出するサーモセンサを有し、
前記第1判定部では、
前記温度分布の中で最高温度の位置を前記火点と仮決定し、
仮決定した前記火点での温度が閾値以上の場合に前記火点の前記発生と判定し、
前記第1判定部で前記火点の前記発生を判定すると、前記撮影部で撮影を開始する
ことを特徴とする請求項1に記載の火災識別装置。
【請求項3】
前記火点が発生したと判定する前記炎要素の火点パターンを記憶する火点パターン記憶部を有し、
前記第1判定部では、
前記画像記憶部に記憶された前記画像に含まれる前記炎要素を、前記火点パターン記憶部に記憶している前記火点パターンと比較して判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の火災識別装置。
【請求項4】
前記火点が発生したと判定する前記炎要素の火点パターンを記憶する火点パターン記憶部を有し、
前記第1判定部では、
前記画像記憶部に記憶された、第1画像に含まれる前記炎要素、及び前記第1画像の後に撮影された第2画像に含まれる前記炎要素を、前記火点パターン記憶部に記憶している前記火点パターンと比較して判定し、
前記第2判定部では、
前記画像記憶部に記憶された、前記第2画像の後に撮影された第3画像を含む、少なくとも3つの前記画像に含まれる前記炎の前記時系列的変化を、前記時系列的変化パターン記憶部に記憶している前記時系列的変化パターンと比較して判定する
ことを特徴とする請求項に記載の火災識別装置。
【請求項5】
前記撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、
前記画像記憶部として、第1画像記憶部と第2画像記憶部とを有し、
前記第1画像記憶部では、前記第1撮影部で撮影される前記画像を前記時系列情報とともに記憶し、
前記第2画像記憶部では、前記第2撮影部で撮影される前記画像を前記時系列情報とともに記憶し、
前記第2判定部では、
前記第1画像記憶部に記憶された複数の前記画像に含まれる前記炎要素の時系列的変化を、前記時系列的変化パターン記憶部に記憶している前記時系列的変化パターンと比較し、前記炎要素の時系列的変化から前記火点の成長を仮判定し、
前記第2画像記憶部に記憶された複数の前記画像に含まれる前記炎要素の時系列的変化を、前記時系列的変化パターン記憶部に記憶している前記時系列的変化パターンと比較し、前記炎要素の時系列的変化から前記火点の成長を仮判定し、
前記第1画像記憶部に記憶された前記画像による仮判定した結果、及び前記第2画像記憶部に記憶された前記画像による仮判定した結果、少なくともいずれかの仮判定があれば前記火点が成長していると判定する
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の火災識別装置。
【請求項6】
前記撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、
前記画像記憶部として、第1画像記憶部と第2画像記憶部とを有し、
前記第1画像記憶部では、前記第1撮影部で撮影される前記画像を前記時系列情報とともに記憶し、
前記第2画像記憶部では、前記第2撮影部で撮影される前記画像を前記時系列情報とともに記憶し、
前記第2判定部では、
前記第1画像記憶部に記憶された複数の前記画像に含まれる前記炎要素の時系列的変化を、前記時系列的変化パターン記憶部に記憶している前記時系列的変化パターンと比較し、前記炎要素の時系列的変化から前記火点の成長を仮判定し、
前記第2画像記憶部に記憶された複数の前記画像に含まれる前記炎要素の時系列的変化を、前記時系列的変化パターン記憶部に記憶している前記時系列的変化パターンと比較し、前記炎要素の時系列的変化から前記火点の成長を仮判定し、
前記第1画像記憶部に記憶された前記画像による仮判定した結果、前記第2画像記憶部に記憶された前記画像による仮判定した結果、双方の仮判定によって前記火点が成長していると判定する
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の火災識別装置。
【請求項7】
前記撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、
前記画像記憶部として、第1画像記憶部と第2画像記憶部とを有し、
前記第1画像記憶部では、前記第1撮影部で撮影される前記画像を前記時系列情報とともに記憶し、
前記第2画像記憶部では、前記第2撮影部で撮影される前記画像を前記時系列情報とともに記憶し、
前記第1判定部では、
前記第1画像記憶部に記憶された前記画像に含まれる前記炎要素を、前記火点パターンと比較して仮判定し、
前記第2画像記憶部に記憶された前記画像に含まれる前記炎要素を、前記火点パターンと比較して仮判定し、
前記第1画像記憶部に記憶された前記画像による仮判定した結果、及び前記第2画像記憶部に記憶された前記画像による仮判定した結果、少なくともいずれかの仮判定があれば前記火点が発生していると判定する
ことを特徴とする請求項に記載の火災識別装置。
【請求項8】
前記撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、
前記画像記憶部として、第1画像記憶部と第2画像記憶部とを有し、
前記第1画像記憶部では、前記第1撮影部で撮影される前記画像を前記時系列情報とともに記憶し、
前記第2画像記憶部では、前記第2撮影部で撮影される前記画像を前記時系列情報とともに記憶し、
前記第1判定部では、
前記第1画像記憶部に記憶された前記画像に含まれる前記炎要素を、前記火点パターンと比較して仮判定し、
前記第2画像記憶部に記憶された前記画像に含まれる前記炎要素を、前記火点パターンと比較して仮判定し、
前記第1画像記憶部に記憶された前記画像による仮判定した結果、前記第2画像記憶部に記憶された前記画像による仮判定した結果、双方の仮判定によって前記火点が発生していると判定する
ことを特徴とする請求項に記載の火災識別装置。
【請求項9】
前記撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、
前記画像記憶部には、前記第1撮影部及び前記第2撮影部で撮影される画像を前記時系列情報とともに記憶し、
前記第2判定部では、前記第1撮影部及び前記第2撮影部で撮影される前記画像を元に生成した三次元画像を用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の火災識別装置。
【請求項10】
前記撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、
前記画像記憶部には、前記第1撮影部及び前記第2撮影部で撮影される画像を前記時系列情報とともに記憶し、
前記第1判定部では、前記第1撮影部及び前記第2撮影部で撮影される前記画像を元に生成した三次元画像を用いる
ことを特徴とする請求項に記載の火災識別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火設備に用いる火災識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に炎の検出装置として、炎特有の波長光である4.5μmを中心としたCO共鳴放射帯を用いるものが知られている。
また特許文献1では、時系列の画像を二値化処理し、連続する前後の画像を比較することで炎候補領域を特定し、その後、楕円一致率や平均輝度の変化量等の五つの特徴量から炎判別する炎検出装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6140599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、CO共鳴放射帯を撮影する赤外線撮像素子は、冷却構造に複雑な構成を要し、且つ大型で高価であるという課題があった。
また特許文献1では、上記の課題を解決するが、炎候補領域の特定ならびに炎判定の工程が煩雑である。
またいずれも、そのまま放っておけば自消し火災には繋がらないような、危険性の小さな火炎も抽出する可能性がある。このような危険性の小さな火炎も検知してしまうことは、建物使用者のみならず、当該建物の存する地域を管轄する消防職員にとっても、現場駆けつけや火災原因調査ならびに報告などの業務の負担を増す可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、危険性の小さな火点を除外し、火災に繋がるような危険性の高い火点を識別できる火災識別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の火災識別装置は、警戒区域内における燃焼又は炎による火点の発生を判定する第1判定部と、前記第1判定部で前記火点の発生を判定すると、前記火点の成長を判定する第2判定部とを備え、前記警戒区域内を撮影する撮影部と、前記撮影部で撮影される画像を時系列情報とともに記憶する画像記憶部と、前記火点が成長していると判定する、前記炎要素の時系列的変化パターンを記憶する時系列的変化パターン記憶部とを有前記時系列的変化パターン記憶部には、あらかじめ機械学習によってパターン化された前記炎要素の前記時系列的変化パターンとして、時系列的な変化情報である時系列的な成長曲線、変化曲線、又は近似式に関するデータが記憶されており、前記第2判定部では、前記画像記憶部に記憶された複数の前記画像に含まれる前記炎要素の時系列的変化を、前記時系列的変化パターン記憶部に記憶している前記時系列的変化パターンと比較し、前記画像に含まれる、前記火点の形状、大きさ、色、輝度、及び揺らぎの内の少なくとも一つを含む炎要素の時系列的変化から前記火点の成長を判定することを特徴とする
求項記載の本発明は、請求項1に記載の火災識別装置において、前記警戒区域内の温度分布を検出するサーモセンサを有し、前記第1判定部では、前記温度分布の中で最高温度の位置を前記火点と仮決定し、仮決定した前記火点での温度が閾値以上の場合に前記火点の前記発生と判定し、前記第1判定部で前記火点の前記発生を判定すると、前記撮影部で撮影を開始することを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項1に記載の火災識別装置において、前記火点が発生したと判定する前記炎要素の火点パターンを記憶する火点パターン記憶部を有し、前記第1判定部では、前記画像記憶部に記憶された前記画像に含まれる前記炎要素を、前記火点パターン記憶部に記憶している前記火点パターンと比較して判定することを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項に記載の火災識別装置において、前記火点が発生したと判定する前記炎要素の火点パターンを記憶する火点パターン記憶部を有し、前記第1判定部では、前記画像記憶部に記憶された、第1画像に含まれる前記炎要素、及び前記第1画像の後に撮影された第2画像に含まれる前記炎要素を、前記火点パターン記憶部に記憶している前記火点パターンと比較して判定し、前記第2判定部では、前記画像記憶部に記憶された、前記第2画像の後に撮影された第3画像を含む、少なくとも3つの前記画像に含まれる前記炎の前記時系列的変化を、前記時系列的変化パターン記憶部に記憶している前記時系列的変化パターンと比較して判定することを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の火災識別装置において、前記撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、前記画像記憶部として、第1画像記憶部と第2画像記憶部とを有し、前記第1画像記憶部では、前記第1撮影部で撮影される前記画像を前記時系列情報とともに記憶し、前記第2画像記憶部では、前記第2撮影部で撮影される前記画像を前記時系列情報とともに記憶し、前記第2判定部では、前記第1画像記憶部に記憶された複数の前記画像に含まれる前記炎要素の時系列的変化を、前記時系列的変化パターン記憶部に記憶している前記時系列的変化パターンと比較し、前記炎要素の時系列的変化から前記火点の成長を仮判定し、前記第2画像記憶部に記憶された複数の前記画像に含まれる前記炎要素の時系列的変化を、前記時系列的変化パターン記憶部に記憶している前記時系列的変化パターンと比較し、前記炎要素の時系列的変化から前記火点の成長を仮判定し、前記第1画像記憶部に記憶された前記画像による仮判定した結果、及び前記第2画像記憶部に記憶された前記画像による仮判定した結果、少なくともいずれかの仮判定があれば前記火点が成長していると判定することを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の火災識別装置において、前記撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、前記画像記憶部として、第1画像記憶部と第2画像記憶部とを有し、前記第1画像記憶部では、前記第1撮影部で撮影される前記画像を前記時系列情報とともに記憶し、前記第2画像記憶部では、前記第2撮影部で撮影される前記画像を前記時系列情報とともに記憶し、前記第2判定部では、前記第1画像記憶部に記憶された複数の前記画像に含まれる前記炎要素の時系列的変化を、前記時系列的変化パターン記憶部に記憶している前記時系列的変化パターンと比較し、前記炎要素の時系列的変化から前記火点の成長を仮判定し、前記第2画像記憶部に記憶された複数の前記画像に含まれる前記炎要素の時系列的変化を、前記時系列的変化パターン記憶部に記憶している前記時系列的変化パターンと比較し、前記炎要素の時系列的変化から前記火点の成長を仮判定し、前記第1画像記憶部に記憶された前記画像による仮判定した結果、前記第2画像記憶部に記憶された前記画像による仮判定した結果、双方の仮判定によって前記火点が成長していると判定することを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項に記載の火災識別装置において、前記撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、前記画像記憶部として、第1画像記憶部と第2画像記憶部とを有し、前記第1画像記憶部では、前記第1撮影部で撮影される前記画像を前記時系列情報とともに記憶し、前記第2画像記憶部では、前記第2撮影部で撮影される前記画像を前記時系列情報とともに記憶し、前記第1判定部では、前記第1画像記憶部に記憶された前記画像に含まれる前記炎要素を、前記火点パターンと比較して仮判定し、前記第2画像記憶部に記憶された前記画像に含まれる前記炎要素を、前記火点パターンと比較して仮判定し、前記第1画像記憶部に記憶された前記画像による仮判定した結果、及び前記第2画像記憶部に記憶された前記画像による仮判定した結果、少なくともいずれかの仮判定があれば前記火点が発生していると判定することを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項に記載の火災識別装置において、前記撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、前記画像記憶部として、第1画像記憶部と第2画像記憶部とを有し、前記第1画像記憶部では、前記第1撮影部で撮影される前記画像を前記時系列情報とともに記憶し、前記第2画像記憶部では、前記第2撮影部で撮影される前記画像を前記時系列情報とともに記憶し、前記第1判定部では、前記第1画像記憶部に記憶された前記画像に含まれる前記炎要素を、前記火点パターンと比較して仮判定し、前記第2画像記憶部に記憶された前記画像に含まれる前記炎要素を、前記火点パターンと比較して仮判定し、前記第1画像記憶部に記憶された前記画像による仮判定した結果、前記第2画像記憶部に記憶された前記画像による仮判定した結果、双方の仮判定によって前記火点が発生していると判定することを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項1に記載の火災識別装置において、前記撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、前記画像記憶部には、前記第1撮影部及び前記第2撮影部で撮影される画像を前記時系列情報とともに記憶し、前記第2判定部では、前記第1撮影部及び前記第2撮影部で撮影される前記画像を元に生成した三次元画像を用いることを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項に記載の火災識別装置において、前記撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、前記画像記憶部には、前記第1撮影部及び前記第2撮影部で撮影される画像を前記時系列情報とともに記憶し、前記第1判定部では、前記第1撮影部及び前記第2撮影部で撮影される前記画像を元に生成した三次元画像を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の火災識別装置によれば、火点の発生の判定の後に、火点の成長を炎要素の時系列的変化から判定することで、危険性の小さな火点を除外し、火災に繋がるような危険性の高い火点を識別できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施例による火災識別装置を機能実現手段で現したブロック図
図2】同火災識別装置の動作を示すフローチャート
図3】本発明の第2実施例による火災識別装置を機能実現手段で現したブロック図
図4】同火災識別装置の動作を示すフローチャート
図5】本発明の第3実施例による火災識別装置を機能実現手段で現したブロック図
図6】同火災識別装置の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による火災識別装置は、警戒区域内における燃焼又は炎による火点の発生を判定する第1判定部と、第1判定部で火点の発生を判定すると、火点の成長を判定する第2判定部とを備え、警戒区域内を撮影する撮影部と、撮影部で撮影される画像を時系列情報とともに記憶する画像記憶部と、火点が成長していると判定する、炎要素の時系列的変化パターンを記憶する時系列的変化パターン記憶部とを有し、時系列的変化パターン記憶部には、あらかじめ機械学習によってパターン化された炎要素の時系列的変化パターンとして、時系列的な変化情報である時系列的な成長曲線、変化曲線、又は近似式に関するデータが記憶されており、第2判定部では、画像記憶部に記憶された複数の画像に含まれる炎要素の時系列的変化を、時系列的変化パターン記憶部に記憶している時系列的変化パターンと比較し、画像に含まれる、火点の形状、大きさ、色、輝度、及び揺らぎの内の少なくとも一つを含む炎要素の時系列的変化から火点の成長を判定するものである。
本実施の形態によれば、火点の発生の判定の後に、火点の成長を炎要素の時系列的変化から判定することで、危険性の小さな火点を除外し、火災に繋がるような危険性の高い火点を識別できる。また、機械学習を用いてパターン化した、火災に繋がるような危険性の高い時系列的変化パターンをあらかじめ記憶しておくことで、より精度の高い判別を瞬時に行うことができる。
【0010】
本発明の第の実施の形態は、第1の実施の形態による火災識別装置において、警戒区域内の温度分布を検出するサーモセンサを有し、第1判定部では、温度分布の中で最高温度の位置を火点と仮決定し、仮決定した火点での温度が閾値以上の場合に火点の発生と判定し、第1判定部で火点の発生を判定すると、撮影部で撮影を開始するものである。
本実施の形態によれば、サーモセンサを用いることで、火点の発生を早期に行える。
【0011】
本発明の第の実施の形態は、第1の実施の形態による火災識別装置において、火点が発生したと判定する炎要素の火点パターンを記憶する火点パターン記憶部を有し、第1判定部では、画像記憶部に記憶された画像に含まれる炎要素を、火点パターン記憶部に記憶している火点パターンと比較して判定するものである。
本実施の形態によれば、例えば機械学習を用いてパターン化した火点パターンをあらかじめ記憶しておくことで、より精度の高い火点の発生の判別を瞬時に行うことができる。
【0012】
本発明の第の実施の形態は、第の実施の形態による火災識別装置であって、火点が発生したと判定する炎要素の火点パターンを記憶する火点パターン記憶部を有し、第1判定部では、画像記憶部に記憶された、第1画像に含まれる炎要素、及び第1画像の後に撮影された第2画像に含まれる炎要素を、火点パターン記憶部に記憶している火点パターンと比較して判定し、第2判定部では、画像記憶部に記憶された、第2画像の後に撮影された第3画像を含む、少なくとも3つの画像に含まれる炎の時系列的変化を、時系列的変化パターン記憶部に記憶している時系列的変化パターンと比較して判定するものである。
本実施の形態によれば、火点の発生と火点の成長を分けて判定し、また火点の発生の判定より火点の成長の判定を多くの画像によって判定し、更には火点の発生と火点の成長との判定に、例えば機械学習を用いてパターン化した火点パターン及び時系列的変化パターンを用いることで、火災に繋がるような危険性の高い火点を高い精度で識別できる。
【0013】
本発明の第の実施の形態は、第1から第のいずれかの実施の形態による火災識別装置であって、撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、画像記憶部として、第1画像記憶部と第2画像記憶部とを有し、第1画像記憶部では、第1撮影部で撮影される画像を時系列情報とともに記憶し、第2画像記憶部では、第2撮影部で撮影される画像を時系列情報とともに記憶し、第2判定部では、第1画像記憶部に記憶された複数の画像に含まれる炎要素の時系列的変化を、時系列的変化パターン記憶部に記憶している時系列的変化パターンと比較し、炎要素の時系列的変化から火点の成長を仮判定し、第2画像記憶部に記憶された複数の画像に含まれる炎要素の時系列的変化を、時系列的変化パターン記憶部に記憶している時系列的変化パターンと比較し、炎要素の時系列的変化から火点の成長を仮判定し、第1画像記憶部に記憶された画像による仮判定した結果、及び第2画像記憶部に記憶された画像による仮判定した結果、少なくともいずれかの仮判定があれば火点が成長していると判定するものである。
本実施の形態によれば、火点の成長を早い段階で識別できる。
【0014】
本発明の第の実施の形態は、第1から第のいずれかの実施の形態による火災識別装置であって、撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、画像記憶部として、第1画像記憶部と第2画像記憶部とを有し、第1画像記憶部では、第1撮影部で撮影される画像を時系列情報とともに記憶し、第2画像記憶部では、第2撮影部で撮影される画像を時系列情報とともに記憶し、第2判定部では、第1画像記憶部に記憶された複数の画像に含まれる炎要素の時系列的変化を、時系列的変化パターン記憶部に記憶している時系列的変化パターンと比較し、炎要素の時系列的変化から火点の成長を仮判定し、第2画像記憶部に記憶された複数の画像に含まれる炎要素の時系列的変化を、時系列的変化パターン記憶部に記憶している時系列的変化パターンと比較し、炎要素の時系列的変化から火点の成長を仮判定し、第1画像記憶部に記憶された画像による仮判定した結果、第2画像記憶部に記憶された画像による仮判定した結果、双方の仮判定によって火点が成長していると判定するものである。
本実施の形態によれば、危険性の高い火点の成長を高い精度で識別できる。
【0015】
本発明の第の実施の形態は、第の実施の形態による火災識別装置であって、撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、画像記憶部として、第1画像記憶部と第2画像記憶部とを有し、第1画像記憶部では、第1撮影部で撮影される画像を時系列情報とともに記憶し、第2画像記憶部では、第2撮影部で撮影される画像を時系列情報とともに記憶し、第1判定部では、第1画像記憶部に記憶された画像に含まれる炎要素を、火点パターンと比較して仮判定し、第2画像記憶部に記憶された画像に含まれる炎要素を、火点パターンと比較して仮判定し、第1画像記憶部に記憶された画像による仮判定した結果、及び第2画像記憶部に記憶された画像による仮判定した結果、少なくともいずれかの仮判定があれば火点が発生していると判定するものである。
本実施の形態によれば、火点の発生を早い段階で識別できる。
【0016】
本発明の第の実施の形態は、第の実施の形態による火災識別装置であって、撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、画像記憶部として、第1画像記憶部と第2画像記憶部とを有し、第1画像記憶部では、第1撮影部で撮影される画像を時系列情報とともに記憶し、第2画像記憶部では、第2撮影部で撮影される画像を時系列情報とともに記憶し、第1判定部では、第1画像記憶部に記憶された画像に含まれる炎要素を、火点パターンと比較して仮判定し、第2画像記憶部に記憶された画像に含まれる炎要素を、火点パターンと比較して仮判定し、第1画像記憶部に記憶された画像による仮判定した結果、第2画像記憶部に記憶された画像による仮判定した結果、双方の仮判定によって火点が発生していると判定するものである。
本実施の形態によれば、危険性の高い火点の発生を高い精度で識別できる。
【0017】
本発明の第の実施の形態は、第1の実施の形態による火災識別装置において、撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、画像記憶部には、第1撮影部及び第2撮影部で撮影される画像を時系列情報とともに記憶し、第2判定部では、第1撮影部及び第2撮影部で撮影される画像を元に生成した三次元画像を用いるものである。
本実施の形態によれば、三次元画像を用いることで判定精度を更に高めることができる。
【0018】
本発明の第10の実施の形態は、第の実施の形態による火災識別装置であって、撮影部として、第1撮影部と第2撮影部とを有し、画像記憶部には、第1撮影部及び第2撮影部で撮影される画像を時系列情報とともに記憶し、第1判定部では、第1撮影部及び第2撮影部で撮影される画像を元に生成した三次元画像を用いるものである。
本実施の形態によれば、三次元画像を用いることで判定精度を更に高めることができる。
【実施例】
【0019】
以下本発明の第1実施例による火災識別装置について説明する。
図1は本実施例による火災識別装置を機能実現手段で現したブロック図である。
本実施例による火災識別装置は、警戒区域内を撮影する撮影部10と、警戒区域内の温度分布を検出するサーモセンサ20と、制御部30とを備えている。
制御部30は、警戒区域内における燃焼又は炎による火点の発生を判定する第1判定部31と、火点の成長を判定する第2判定部32と、火点と判断する温度の閾値を記憶する閾値記憶部33と、撮影部10で撮影される画像を時系列情報とともに記憶する画像記憶部34と、火点が成長していると判定する、炎要素の時系列的変化パターンを記憶する時系列的変化パターン記憶部35とを備えている。時系列情報は撮影時刻でもよいが、画像の撮影順が判別できる情報であればよい。
【0020】
第1判定部31では、サーモセンサ20で検出する温度分布の中で最高温度の位置を火点と仮決定し、仮決定した火点での温度が閾値記憶部33に記憶した閾値以上の場合に火点の発生と判定する。なお、サーモセンサ20で検出される温度は、平均化することなくマトリックス状に区分されている。第1判定部31では、マトリックス状に区分されて検出される全ての温度を閾値と比較し、閾値以上の温度を検出した場合に、検出した温度の位置を特定することで火点の発生と判定してもよい。
第2判定部32では、画像記憶部34に記憶された複数の画像を、時系列情報を元に比較し、画像に含まれる、火点の形状、大きさ、色、輝度、及び揺らぎの内の少なくとも一つを含む炎要素の時系列的変化から火点の成長を判定する。
なお、第2判定部32では、画像に含まれる炎の時系列的変化を、時系列的変化パターン記憶部35に記憶している時系列的変化パターンと比較して判定することが好ましい。時系列的変化パターン記憶部35に記憶する時系列的変化パターンは、あらかじめ機械学習によってパターン化されたものが好ましい。あらかじめ機械学習によってパターン化された炎要素の時系列的変化パターンは、時系列的な変化情報であり、時系列的な成長曲線若しくは変化曲線、又は近似式に関するデータである。
【0021】
図2は同火災識別装置の動作を示すフローチャートである。
サーモセンサ20によって常時警戒区域内の温度分布を検出する(ステップ1)。
ステップ1によって検出される温度分布の中で最高温度の位置を特定して火点と仮決定する(ステップ2)。
ステップ2で、仮決定された火点について、仮決定した火点での温度が閾値記憶部33に記憶した閾値以上か否かを判定し、仮決定された火点の温度が閾値以上であると火点が発生したと判定する(ステップ3)。
ステップ3において、火点が発生していると判定されると、撮影部10での撮影を開始する(ステップ4)。
ステップ4で撮影される画像は画像記憶部34に記憶される(ステップ5)。
ステップ5で記憶された複数の画像は、第2判定部32において、時系列情報を元に比較し、炎要素の時系列的変化から火点の成長を判定する(ステップ6)。
ステップ6における判定では、画像に含まれる炎の時系列的変化を、時系列的変化パターン記憶部35に記憶している時系列的変化パターンと比較して判定することが好ましい。
ステップ6において、火点が成長していると判定すると、火災として判定し(ステップ7)、警報や消火のための出力を行う。
ステップ6において、火点が成長していないと判定すると、撮影部10での撮影を終了し(ステップ8)、ステップ1に戻ってサーモセンサ20による温度検出を行う。
【0022】
本実施例によれば、サーモセンサ20を用いることで、火点の発生を早期に行える。
また本実施例によれば、火点の発生の判定の後に、火点の成長を炎要素の時系列的変化から判定することで、危険性の小さな火点を除外し、火災に繋がるような危険性の高い火点を識別できる。
また本実施例によれば、機械学習を用いてパターン化した、火災に繋がるような危険性の高い時系列的変化パターンをあらかじめ記憶しておくことで、より精度の高い判別を瞬時に行うことができる。
【0023】
以下本発明の第2実施例による火災識別装置について説明する。
図3は本実施例による火災識別装置を機能実現手段で現したブロック図である。
本実施例による火災識別装置は、警戒区域内を撮影する撮影部10と、制御部30とを備えている。
制御部30は、警戒区域内における燃焼又は炎による火点の発生を判定する第1判定部31と、火点の成長を判定する第2判定部32と、火点が発生したと判定する炎要素の火点パターンを記憶する火点パターン記憶部36と、撮影部10で撮影される画像を時系列情報とともに記憶する画像記憶部34と、火点が成長していると判定する、炎要素の時系列的変化パターンを記憶する時系列的変化パターン記憶部35とを備えている。時系列情報は撮影時刻でもよいが、画像の撮影順が判別できる情報であればよい。
【0024】
第1判定部31では、画像記憶部34に記憶された画像に含まれる炎要素を、火点パターン記憶部36に記憶している火点パターンと比較して火点の発生を判定する。火点パターン記憶部36に記憶する火点パターンは、あらかじめ機械学習によってパターン化されたものが好ましい。あらかじめ機械学習によってパターン化された炎要素の火点パターンは、少なくとも2つの画像による時系列的な変化情報であることが好ましく、時系列的な変化情報としては、時系列的な発生曲線若しくは変化曲線、又は近似式に関するデータである。
第2判定部32では、画像記憶部34に記憶された複数の画像を、時系列情報を元に比較し、画像に含まれる、火点の形状、大きさ、色、輝度、及び揺らぎの内の少なくとも一つを含む炎要素の時系列的変化から火点の成長を判定する。
なお、第2判定部32では、画像に含まれる炎の時系列的変化を、時系列的変化パターン記憶部35に記憶している時系列的変化パターンと比較して判定することが好ましい。時系列的変化パターン記憶部35に記憶する時系列的変化パターンは、あらかじめ機械学習によってパターン化されたものが好ましい。あらかじめ機械学習によってパターン化された炎要素の時系列的変化パターンは、時系列的な変化情報であり、時系列的な成長曲線若しくは変化曲線、又は近似式に関するデータである。
また、第1判定部31では、画像記憶部34に記憶された、第1画像に含まれる炎要素、及び第1画像の後に撮影された第2画像に含まれる炎要素を、火点パターン記憶部36に記憶している火点パターンと比較して判定し、第2判定部32では、画像記憶部34に記憶された、第2画像の後に撮影された第3画像を含む、少なくとも3つの画像に含まれる炎の時系列的変化を、時系列的変化パターン記憶部35に記憶している時系列的変化パターンと比較して判定することが更に好ましい。
【0025】
図4は同火災識別装置の動作を示すフローチャートである。
撮影部10によって常時警戒区域内を撮影する(ステップ4)。
ステップ4で撮影される画像は画像記憶部34に記憶される(ステップ5)。
ステップ5で記憶された画像は、第1判定部31において、画像に含まれる炎要素が、火点パターン記憶部36に記憶している火点パターンと比較され、火点の発生を判定する(ステップ3)。
ステップ3における判定では、第1画像に含まれる炎要素、及び第1画像の後に撮影された第2画像に含まれる炎要素を、火点パターン記憶部36に記憶している火点パターンと比較して判定することが好ましい。
ステップ3において、火点が発生していると判定されると、ステップ5で記憶された複数の画像は、時系列情報を元に比較し、炎要素の時系列的変化から火点の成長を判定する(ステップ6)。
ステップ3において、火点が発生していないと判定されると、ステップ4に戻って撮影部10による撮影を行う。
ステップ6における判定では、画像に含まれる炎の時系列的変化を、時系列的変化パターン記憶部35に記憶している時系列的変化パターンと比較して判定することが好ましい。
またステップ6における判定では、画像記憶部34に記憶された、第2画像の後に撮影された第3画像を含む、少なくとも3つの画像に含まれる炎の時系列的変化を、時系列的変化パターン記憶部35に記憶している時系列的変化パターンと比較して判定することが更に好ましい。
ステップ6において、火点が成長していると判定すると、火災として判定し(ステップ7)、警報や消火のための出力を行う。
ステップ6において、火点が成長していないと判定すると、ステップ4に戻って撮影部10による撮影を行う。
【0026】
本実施例によれば、機械学習を用いてパターン化した火点パターンをあらかじめ記憶しておくことで、より精度の高い火点の発生の判別を瞬時に行うことができる。
また本実施例によれば、火点の発生の判定の後に、火点の成長を炎要素の時系列的変化から判定することで、危険性の小さな火点を除外し、火災に繋がるような危険性の高い火点を識別できる。
また本実施例によれば、機械学習を用いてパターン化した、火災に繋がるような危険性の高い時系列的変化パターンをあらかじめ記憶しておくことで、より精度の高い判別を瞬時に行うことができる。
【0027】
以下本発明の第3実施例による火災識別装置について説明する。
図5は本実施例による火災識別装置を機能実現手段で現したブロック図である。
本実施例による火災識別装置は、警戒区域内を撮影する撮影部10と、制御部30とを備え、撮影部10として、第1撮影部10aと第2撮影部10bとを有している。
制御部30は、警戒区域内における燃焼又は炎による火点の発生を判定する第1判定部31と、火点の成長を判定する第2判定部32と、火点が発生したと判定する炎要素の火点パターンを記憶する火点パターン記憶部36と、撮影部10で撮影される画像を時系列情報とともに記憶する画像記憶部34と、火点が成長していると判定する、炎要素の時系列的変化パターンを記憶する時系列的変化パターン記憶部35とを備えている。時系列情報は撮影時刻でもよいが、画像の撮影順が判別できる情報であればよい。
画像記憶部34として、第1画像記憶部34aと第2画像記憶部34bとを有し、第1画像記憶部34aでは、第1撮影部10aで撮影される画像を時系列情報とともに記憶し、第2画像記憶部34bでは、第2撮影部10bで撮影される画像を時系列情報とともに記憶する。
【0028】
第1判定部31では、第1画像記憶部34aに記憶された画像に含まれる炎要素を、火点パターンと比較して仮判定し、第2画像記憶部34bに記憶された画像に含まれる炎要素を、火点パターンと比較して仮判定し、第1画像記憶部34aに記憶された画像による仮判定、及び第2画像記憶部34bに記憶された画像による仮判定の少なくともいずれかの仮判定があれば火点が発生していると判定する。
第1判定部31において、少なくともいずれかの仮判定があれば火点が発生していると判定することで、火点の発生を早い段階で識別できる。
なお、第1判定部31では、第1画像記憶部34aに記憶された画像に含まれる炎要素を、火点パターンと比較して仮判定し、第2画像記憶部34bに記憶された画像に含まれる炎要素を、火点パターンと比較して仮判定し、第1画像記憶部34aに記憶された画像による仮判定と、第2画像記憶部34bに記憶された画像による仮判定との双方の仮判定によって火点が発生していると判定することもできる。
第1判定部31において、双方の仮判定によって火点が発生していると判定することで、危険性の高い火点の発生を高い精度で識別できる。
火点パターン記憶部36に記憶する火点パターンは、あらかじめ機械学習によってパターン化されたものが好ましい。あらかじめ機械学習によってパターン化された炎要素の火点パターンは、少なくとも2つの画像による時系列的な変化情報であることが好ましく、時系列的な変化情報としては、時系列的な発生曲線若しくは変化曲線、又は近似式に関するデータである。
【0029】
第2判定部32では、第1画像記憶部34a及び第2画像記憶部34bに記憶された複数の画像を、時系列情報を元に比較し、画像に含まれる、火点の形状、大きさ、色、輝度、及び揺らぎの内の少なくとも一つを含む炎要素の時系列的変化から火点の成長を判定する。
第2判定部32では、第1画像記憶部34aに記憶された複数の画像に含まれる炎要素の時系列的変化から火点の成長を仮判定し、第2画像記憶部34bに記憶された複数の画像に含まれる炎要素の時系列的変化から火点の成長を仮判定し、第1画像記憶部34aに記憶された画像による仮判定、及び第2画像記憶部34bに記憶された画像による仮判定の少なくともいずれかの仮判定があれば火点が成長していると判定する。
第2判定部32において、少なくともいずれかの仮判定があれば火点が成長していると判定することで、火点の成長を早い段階で識別できる。
なお、第2判定部32では、第1画像記憶部34aに記憶された複数の画像に含まれる炎要素の時系列的変化から火点の成長を仮判定し、第2画像記憶部34bに記憶された複数の画像に含まれる炎要素の時系列的変化から火点の成長を仮判定し、第1画像記憶部34aに記憶された画像による仮判定と、第2画像記憶部34bに記憶された画像による仮判定との双方の仮判定によって火点が成長していると判定することもできる。
第2判定部32において、双方の仮判定によって火点が成長していると判定することで、危険性の高い火点の成長を高い精度で識別できる。
【0030】
本実施例においても、第2判定部32では、画像に含まれる炎の時系列的変化を、時系列的変化パターン記憶部35に記憶している時系列的変化パターンと比較して判定することが好ましい。時系列的変化パターン記憶部35に記憶する時系列的変化パターンは、あらかじめ機械学習によってパターン化されたものが好ましい。あらかじめ機械学習によってパターン化された炎要素の時系列的変化パターンは、時系列的な変化情報であり、時系列的な成長曲線若しくは変化曲線、又は近似式に関するデータである。
また、第1判定部31では、第1画像記憶部34a及び第2画像記憶部34bに記憶された、第1画像に含まれる炎要素、及び第1画像の後に撮影された第2画像に含まれる炎要素を、火点パターン記憶部36に記憶している火点パターンと比較して判定し、第2判定部32では、第1画像記憶部34a及び第2画像記憶部34bに記憶された、第2画像の後に撮影された第3画像を含む、少なくとも3つの画像に含まれる炎の時系列的変化を、時系列的変化パターン記憶部35に記憶している時系列的変化パターンと比較して判定することが更に好ましい。
【0031】
図6は同火災識別装置の動作を示すフローチャートである。
第1撮影部10aによって常時警戒区域内を撮影し(ステップ4a)、第2撮影部10bによって常時警戒区域内を撮影する(ステップ4b)。
ステップ4aで撮影される画像は画像記憶部34aに記憶され(ステップ5a)、ステップ4bで撮影される画像は画像記憶部34bに記憶される(ステップ5b)。
ステップ5aで記憶された画像は、第1判定部31において、画像に含まれる炎要素が、火点パターン記憶部36に記憶している火点パターンと比較され、ステップ5bで記憶された画像は、第1判定部31において、画像に含まれる炎要素が、火点パターン記憶部36に記憶している火点パターンと比較され、火点の発生を判定する(ステップ3)。
ステップ3における判定では、第1画像に含まれる炎要素、及び第1画像の後に撮影された第2画像に含まれる炎要素を、火点パターン記憶部36に記憶している火点パターンと比較して判定することが好ましい。
ステップ3では、第1画像記憶部34aに記憶された画像に含まれる炎要素を、火点パターンと比較して仮判定し、第2画像記憶部34bに記憶された画像に含まれる炎要素を、火点パターンと比較して仮判定し、第1画像記憶部34aに記憶された画像による仮判定、及び第2画像記憶部34bに記憶された画像による仮判定の少なくともいずれかの仮判定があれば火点が発生していると判定する。
またステップ3では、第1画像記憶部34aに記憶された画像に含まれる炎要素を、火点パターンと比較して仮判定し、第2画像記憶部34bに記憶された画像に含まれる炎要素を、火点パターンと比較して仮判定し、第1画像記憶部34aに記憶された画像による仮判定と、第2画像記憶部34bに記憶された画像による仮判定との双方の仮判定によって火点が発生していると判定することもできる。
【0032】
ステップ3において、火点が発生していると判定されると、ステップ5で記憶された複数の画像は、時系列情報を元に比較し、炎要素の時系列的変化から火点の成長を判定する(ステップ6)。
ステップ3において、火点が発生していないと判定されると、ステップ4に戻って撮影部10による撮影を行う。
ステップ6における判定では、画像に含まれる炎の時系列的変化を、時系列的変化パターン記憶部35に記憶している時系列的変化パターンと比較して判定することが好ましい。
またステップ6における判定では、画像記憶部34に記憶された、第2画像の後に撮影された第3画像を含む、少なくとも3つの画像に含まれる炎の時系列的変化を、時系列的変化パターン記憶部35に記憶している時系列的変化パターンと比較して判定することが更に好ましい。
ステップ6では、第1画像記憶部34aに記憶された複数の画像に含まれる炎要素の時系列的変化から火点の成長を仮判定し、第2画像記憶部34bに記憶された複数の画像に含まれる炎要素の時系列的変化から火点の成長を仮判定し、第1画像記憶部34aに記憶された画像による仮判定、及び第2画像記憶部34bに記憶された画像による仮判定の少なくともいずれかの仮判定があれば火点が成長していると判定する。
またステップ6では、第1画像記憶部34aに記憶された複数の画像に含まれる炎要素の時系列的変化から火点の成長を仮判定し、第2画像記憶部34bに記憶された複数の画像に含まれる炎要素の時系列的変化から火点の成長を仮判定し、第1画像記憶部34aに記憶された画像による仮判定と、第2画像記憶部34bに記憶された画像による仮判定との双方の仮判定によって火点が成長していると判定することもできる。
【0033】
ステップ6において、火点が成長していると判定すると、火災として判定し(ステップ7)、警報や消火のための出力を行う。
ステップ6において、火点が成長していないと判定すると、ステップ4a及びステップ4bに戻って第1撮影部10a及び第2撮影部10bによる撮影を行う。
【0034】
本実施例によれば、機械学習を用いてパターン化した火点パターンをあらかじめ記憶しておくことで、より精度の高い火点の発生の判別を瞬時に行うことができる。
また本実施例によれば、火点の発生の判定の後に、火点の成長を炎要素の時系列的変化から判定することで、危険性の小さな火点を除外し、火災に繋がるような危険性の高い火点を識別できる。
また本実施例によれば、機械学習を用いてパターン化した、火災に繋がるような危険性の高い時系列的変化パターンをあらかじめ記憶しておくことで、より精度の高い判別を瞬時に行うことができる。
また本実施例によれば、第1判定部31において、少なくともいずれかの仮判定があれば火点が発生していると判定することで、火点の発生を早い段階で識別できる。
また本実施例によれば、第1判定部31において、双方の仮判定によって火点が発生していると判定することで、危険性の高い火点の発生を高い精度で識別できる。
また本実施例によれば、第2判定部32において、少なくともいずれかの仮判定があれば火点が成長していると判定することで、火点の成長を早い段階で識別できる。
また本実施例によれば、第2判定部32において、双方の仮判定によって火点が成長していると判定することで、危険性の高い火点の成長を高い精度で識別できる。
【0035】
なお、本実施例のように、撮影部10として、第1撮影部10aと第2撮影部10bとを有することで、第1判定部31及び第2判定部32では、第1撮影部10a及び第2撮影部10bで撮影される画像を元に生成した三次元画像を用いることができる。このように、三次元画像を用いることで判定精度を更に高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、消火剤貯蔵容器に充填された消火剤を用いる消火設備における火災識別装置に最適であるが、スプリンクラーなどの消火水を用いる消火設備における火災識別装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0037】
10 撮影部
10a 第1撮影部
10b 第2撮影部
20 サーモセンサ
30 制御部
31 第1判定部
32 第2判定部
33 閾値記憶部
34 画像記憶部
34a 第1画像記憶部
34b 第2画像記憶部
35 時系列的変化パターン記憶部
36 火点パターン記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6