(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980190
(24)【登録日】2021年11月19日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】ドライアイス噴射装置
(51)【国際特許分類】
B24C 11/00 20060101AFI20211202BHJP
B24C 5/02 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
B24C11/00 E
B24C5/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-195202(P2017-195202)
(22)【出願日】2017年10月5日
(65)【公開番号】特開2019-63972(P2019-63972A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】506219889
【氏名又は名称】株式会社クールテクノス
(73)【特許権者】
【識別番号】507284813
【氏名又は名称】株式会社協立技術工業
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】和田 嘉之
(72)【発明者】
【氏名】和田 好史
【審査官】
城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−145429(JP,A)
【文献】
特開2003−79641(JP,A)
【文献】
特開2011−167822(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/060043(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0367479(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 11/00
B24C 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化二酸化炭素を供給する液化二酸化炭素供給路と、
前記液化二酸化炭素供給路から供給される液化二酸化炭素を噴出する噴出孔と、
前記噴出孔から噴出された液化二酸化炭素を内部で膨張させてドライアイス粒子を生成するドライアイス生成管と、
前記ドライアイス生成管に向かってキャリアガスを供給するキャリアガス供給路と、
前記キャリアガス供給路から供給されたキャリアガスと、前記ドライアイス生成管で生成されたドライアイス粒子とを合流させる合流空間と、
前記合流空間から噴射口に至るまで形成された噴射路と、
を備えるドライアイス噴射装置において、
前記ドライアイス生成管は、前記噴出孔から噴出された液化二酸化炭素を内部で膨張させてドライアイス粒子を生成する内管と、該内管の外側に隙間を介して設けられた外管とを有する、
ことを特徴とするドライアイス噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載のドライアイス噴射装置において、
前記内管の先端部が前記外管の先端部よりも基端側に位置していることを特徴とするドライアイス噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライアイス粒子を対象物に向けて噴射することで対象物の表面の洗浄等を行うドライアイス噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液化二酸化炭素を断熱膨張させてドライアイス粒子を生成し、生成したドライアイス粒子をキャリアガスの流れに導入して噴射する装置が知られている(例えば特許文献1を参照。)。
【0003】
特許文献1に開示されている装置では、ドライアイス粒子を生成するドライアイス生成管(同文献では「ドライアイス供給管」と称している。)に沿ってキャリアガス(同文献では「加速用ガス」と称している。)が流れる構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4005792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドライアイス生成管にキャリアガスが接するタイプのドライアイス噴射装置では、通常、常温(例えば室温に近い温度)のキャリアガスが使用される。本願発明者は、この場合、ドライアイス生成管がキャリアガスによって暖められることが原因で、ドライアイス生成管内を流れるドライアイス粒子の硬さが低下し、その結果、対象物の表面の洗浄等の効果が低下すると考えた。そこで本願発明者は、ドライアイス生成管がキャリアガスによって暖められ難い構造のドライアイス噴射装置を開発するに至った。
【0006】
本発明は、上記開発の結果得られたものであり、ドライアイス生成管にキャリアガスが接するタイプのドライアイス噴射装置において、従来よりも硬いドライアイス粒子を噴射できるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るドライアイス噴射装置は、液化二酸化炭素を供給する液化二酸化炭素供給路と、前記液化二酸化炭素供給路から供給される液化二酸化炭素を噴出する噴出孔と、前記噴出孔から噴出された液化二酸化炭素を内部で膨張させてドライアイス粒子を生成するドライアイス生成管と、前記ドライアイス生成管に向かってキャリアガスを供給するキャリアガス供給路と、前記キャリアガス供給路から供給されたキャリアガスと、前記ドライアイス生成管で生成されたドライアイス粒子とを合流させる合流空間と、前記合流空間から噴射口に至るまで形成された噴射路と、を備え、前記ドライアイス生成管は、前記噴出孔から噴出された液化二酸化炭素を内部で膨張させてドライアイス粒子を生成する内管と、該内管の外側に隙間を介して設けられた外管とを有する、ことを特徴とする。
【0008】
かかる構成を備えるドライアイス噴射装置によれば、ドライアイス粒子を噴射するとき、キャリアガス供給路から供給されるキャリアガスは、ドライアイス生成管の外管に当たるものの、外管に覆われた内管に直接当たることはない。更に、外管と内管との間には、断熱層として機能する隙間が介在することから、外管の温度がキャリアガスとの接触によって上昇しても内管の温度はそれ程上昇することはない。その結果、ドライアイス生成管の内管内では、硬いドライアイス粒子が生成される。
【0009】
前記内管の先端部は、前記外管の先端部よりも基端側に位置していることが望ましい。
【0010】
かかる構成を備えるドライアイス噴射装置によれば、内管が外管に完全に覆われるので、更に優れた効果が得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るドライアイス噴射装置によれば、従来よりも硬いドライアイス粒子を噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係るドライアイス噴射装置の全体構成例を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るドライアイス噴射装置の要部を示す断面図である。
【
図3】制御ユニットおよびドライアイス噴射ガンの空気配管系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係るドライアイス噴射装置について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、ドライアイス噴射装置1は、ドライアイス噴射ガン2、制御ユニット3、液化炭酸ガスボンベ4、ウォータセパレータ6、コンプレッサ7等を備えている。コンプレッサ7、ウォータセパレータ6、制御ユニット3およびドライアイス噴射ガン2の各間はエアホースHを介して接続されている。液化炭酸ガスボンベ4、制御ユニット3およびドライアイス噴射ガン2の各間は断熱機能を有するフレキシブルホースFによって接続されている。
【0014】
ドライアイス噴射ガン2は、
図1に示すように、本体8、ノズル9、握持部11、空気噴射用トリガー12、ドライアイス粒子噴射用トリガー13等を備えている。
【0015】
ドライアイス噴射ガン2の本体8には、
図2に示すように、2重管からなるドライアイス生成管17が設けられている。ドライアイス生成管17は、基端部がオリフィス板16を介して液化二酸化炭素供給路14を形成する管材に接続されている。
【0016】
ドライアイス噴射ガン2の本体8内には、圧縮空気供給路18を通じてキャリアガスである圧縮空気が供給される。本体8内に供給されたキャリアガスは、合流空間19において、ドライアイス生成管17から流出するドライアイス粒子と合流する。以下、各部について更に詳細に説明する。
【0017】
液化二酸化炭素供給路14は、液化二酸化炭素をドライアイス生成管17内の膨張空間17aに供給する。なお、液化二酸化炭素供給路14は、液化炭酸ガスボンベ4から制御ユニット3、フレキシブルホースF等の内部流路を経由して、オリフィス板16に形成された噴出孔21に至っている。
【0018】
オリフィス板16は、1又は複数の噴出孔21(
図2に示す例では複数の噴出孔21が形成されている。)が形成された薄板(例えば板厚1mmの円板)で構成されている。このオリフィス板16は、液化二酸化炭素供給路14の下流端とドライアイス生成管17との境界に設けられている。
【0019】
オリフィス板16に形成された噴出孔21は、液化二酸化炭素供給路14から供給される液化二酸化炭素を噴出する。
【0020】
ドライアイス生成管17は、内管171と、内管171の外側に隙間を介して設けられた外管172とを備えている。内管171の先端部171aは、外管172の先端部172aより所定寸法(例えば1〜2cm)基端側に位置している。本実施形態では、外管172の基端部は内管171の外周面に固定されている。
【0021】
ドライアイス生成管17の内管171は、その内部が膨張空間17aとして機能する。また、オリフィス板16の噴出孔21から膨張空間17aに噴出された液化二酸化炭素が断熱膨張して固いドライアイス粒子を形成するように、ドライアイス生成管17内の上流部の断面積は、オリフィス板16に形成された噴出孔21の断面積に対してある程度以上大きく設定される。
【0022】
圧縮空気供給路18は、ドライアイス噴射ガン2の内部に形成された内部圧縮空気供給路18aと、コンプレッサ7から制御ユニット3内、エアホースF内に形成された外部圧縮空気供給路18bとで構成されている。
【0023】
内部圧縮空気供給路18aは、ドライアイス生成管17に向かって圧縮空気を供給するように形成されている。本実施形態では、内部圧縮空気供給路18aは直線流路を形成し、直管状のドライアイス生成管17に向かって圧縮空気を所定鋭角で供給する。換言すると、ドライアイス生成管17の中心線に対する、内部圧縮空気供給路18aの中心線の角度が所定鋭角(
図2の例では30°)となっている。なお、上記中心線同士のなす角度は所定鋭角であることが望ましいが、当該なす角度は略90°であってもよい。
【0024】
合流空間19では、圧縮空気供給路18から供給される空気と、ドライアイス生成管17の内管171内で生成されたドライアイス粒子とが合流する。この合流空間19から、ドライアイス噴射ガン2のノズル9の先端の噴射口24に至るまでノズル9内に噴射路26が形成されており、合流空間19で空気に合流したドライアイス粒子は空気の流れに乗って加速され噴射口24から対象物に向かって噴射される。
【0025】
制御ユニット3は、
図3に示すように、外部圧縮空気供給路18bおよび液化二酸化炭素供給路14の途中に介在している。詳細には、外部圧縮空気供給路18bおよび液化二酸化炭素供給路14の途中位置に、それぞれパイロット式開閉弁27,28が設けられている。また、外部圧縮空気供給路18bの途中位置から分岐して分岐管29が設けられ、減圧弁31を介した後、更に2手に分岐して圧縮空気用分岐管32と液化二酸化炭素用分岐管33とを形成している。そして、それぞれの分岐管32,33は、パイロット式開閉弁27,28のパイロットポートに接続されている。また、圧縮空気用分岐管32はその途中に、空気噴射用トリガー12に連動して流路を開閉するトリガー連動バルブ34を設けており、液化二酸化炭素用分岐管33はその途中に、ドライアイス粒子噴射用トリガー13に連動して流路を開閉するトリガー連動バルブ36を設けている。これにより、空気噴射用トリガー13が引かれているときに限り、外部圧縮空気供給路18bに設けられたパイロット式開閉弁27が開放され、ドライアイス噴射ガン2に圧縮空気が供給される。また、ドライアイス粒子噴射用トリガー13が引かれているときに限り、液化二酸化炭素供給路14に設けられたパイロット式開閉弁28が開放され、ドライアイス噴射ガン2内のドライアイス生成管17の内管171内に液化二酸化炭素が供給される。
【0026】
以上の構成を備えるドライアイス噴射装置1において、上記トリガー12,13が引かれると、液化二酸化炭素は所定圧力で、液化炭酸ガスボンベ4からフレキシブルホースF等を介してオリフィス板16の噴出孔21に送液され、該噴出孔21からドライアイス生成管17の内管171内の膨張空間17aに噴出され、膨張空間17a内で断熱膨張してドライアイス粒子が生成される。生成されたドライアイス粒子は、合流空間19で噴射口24に向かって流れる空気に混入し、その空気の流れに乗って噴射路26内で加速された後、噴射口24から対象物に向かって噴射される。
【0027】
本発明の実施の形態に係るドライアイス噴射装置1によれば、ドライアイス生成管17が2重管構造であるため、ドライアイス粒子を噴射するとき、圧縮空気供給路18から供給される圧縮空気が、ドライアイス生成管17の外管172に当たるものの、外管172に覆われた内管171に直接当たることはない。更に、外管172と内管171との間には、断熱層として機能する隙間が介在することから、外管172の温度が圧縮空気との接触によって上昇しても内管171の温度はそれ程上昇することはない。その結果、ドライアイス生成管17の内管171内では、硬いドライアイス粒子が生成され易くなり、対象物の表面の洗浄等の処理効果が向上する。
【0028】
なお、本実施形態のように、2重管構造のドライアイス生成管17を有するドライアイス噴射装置1と、1重管構造のドライアイス生成管を有するドライアイス噴射装置とを比較すると、前者が噴射するドライアイス粒子の方が格段に硬いことを本願発明者は試作機にて確認済である。
【符号の説明】
【0029】
1 ドライアイス噴射装置
14 液化二酸化炭素供給路
17 ドライアイス生成管
18 圧縮空気供給路(キャリアガス供給路)
19 合流空間
21 噴出孔
24 噴射口
26 噴射路
171 内管
172 外管