【文献】
BERS, Karolien,Heat-Transfer Resistance Measurement Method (HTM)-Based Cell detection at Trace Levels Using a Progressive Enrichment Approach with Highly Selective Cell-Binding Surface Imprints,Langmuire,Vol.30, No.12,米国,American Chemical Society,2014年,p.3631-3639,https://core.ac.uk/download/pdf/34624950.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリマー材料は、第2細菌に対する前記ポリマー材料の第2親和性よりも高い第1親和性を有する第1細菌に結合するように調製されたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
前記第1細菌は、生きている細菌を含み、前記第2細菌は、死んだ細菌を含み、前記生きている細菌と、前記死んだ細菌とは、同じ種に属することを特徴とする請求項9に記載の装置。
前記液体中の前記分析物の濃度を計算することは、前記熱伝達要素における前記熱波と、前記液体中の前記減衰した熱波との間の振幅の差を測定することを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
分析物を含む液体を基板のポリマー材料に通すことは、前記分析物を含む前記液体を分子インプリントポリマーに通すことを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
分析物を含む液体を基板のポリマー材料に通すことは、前記分析物を含む前記液体を、DNA、RNA、タンパク質、ならびにそれらの一部および類似体からなる群から選択された材料に通すことを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に示される図は、特定の装置または方法の実際の図ではなく、本開示の例示的な実施形態を記載するために採用された理想化された図にすぎない。図面の間の共通の要素は、同じ参照符号を保持してもよい。
【0011】
本明細書において使用されるように、用語「テンプレート分子」および「テンプレート細菌」は、それぞれ、分子インプリントポリマー(MIP)または表面インプリントポリマー(SIP)を形成するために使用される、分子または細菌を表す。そのようなMIPまたはSIPは、続いて、MIPまたはSIPを形成するために使用されたテンプレート分子に対応する機能性を有する「標的分子」または「結合パートナー」を検出することができる。
【0012】
本明細書において使用されるように、文脈に応じて、用語「してもよい(may)」は、用語「できる(can)」を含み、用語「であってもよい(may be)」は、用語「である(isまたはare)」を含む。さらに、用語「してもよい(may)」の存在は、限定されないが、本開示の実施形態を実行するまたは実施するための選択肢を示すことを意図する。
【0013】
図1は、分析物を検出するための装置100を示す簡略模式図である。いくつかの実施形態において、装置100は、DNAおよび/またはRNAなどの核酸、DNAおよび/またはRNAにおける一塩基多型(SNPs)、小分子、タンパク質、細菌などの標的分子を検出するために構成されてもよい。
【0014】
装置100は、表面に位置したポリマー材料112を有する基板110を含んでもよい。たとえば、ポリマー材料112は、基板110の概して平面状の表面一面に、形成、または配設されてもよく、基板110の反対側の別の平面状表面は、ポリマー材料112を有さなくてもよい。いくつかの実施形態において、基板110は、金属(たとえばアルミニウム)、合金、半導体(たとえば、シリコン、ドープダイヤモンドなど)、電気的絶縁材料(たとえば、非ドープダイヤモンド)を含んでもよい。ポリマー材料112は、結合した分析物の量に基づいて熱伝達特性が変化する任意の材料を含んでもよい。たとえば、ポリマー材料112の、熱導電率、熱拡散率、熱容量、または他の特性は、表面における分析物の濃度によって変化してもよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、ポリマー材料112は、分子インプリントポリマー(MIP)、または表面インプリントポリマー(SIP)などのインプリントポリマーを含んでもよい。MIPおよびSIPは、当該分野において「プラスチック」抗体と表わされてもよい。MIPは、典型的には、特定の結合パートナーについて高い親和性を有するので、そのような結合パートナーがMIPに接触したとき、分子はMIPに結合する。MIPは、それらの各標的分子について高い親和性を有するナノキャビティを含む合成受容体である。インプリンティング(たとえば、ナノキャビティの形成)は、多くの場合、重合工程の一部である。MIPは、細菌、小さなイオンから複合マトリクス中の大きな細胞などの標的に特異的に結合することができる。MIPへの分子の結合は、熱的特性、機械的特性、電気的特性などのMIPのいくつかの特性を変えてもよい。MIPの変化した特性は、したがって、比較的低濃度において、そのような分子の存在を検出するために使用されてもよい。MIPは、たとえば2009年11月12日に公開された米国特許出願公開第2009/0281272号明細書「Monodisperse Molecularly Imprinted Polymer Beads」に記載されており、その全ての開示が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0016】
同様に、SIPは、典型的には、特定の結合パートナーについて高い親和性を有するが、典型的には、MIPの孔を通って迅速には拡散しない比較的大きな物体(たとえば、細胞、細菌など)に結合することができる。SIPは、表面一面に形成され、続いてポリマーを軟化させることによって重合後にインプリントされたポリマー材料であってもよい。
【0017】
ある実施形態において、ポリマー材料112は、DNA、RNA、タンパク質、またはそれらの一部もしくは類似体を含んでもよい。たとえば、装置100は、DNA、RNA、タンパク質、ポリペプチド、核酸ポリマー、プローブ、またはそれらの一部もしくは類似体(たとえば、相補的DNA、抗体)などのポリマー材料112で機能化された基板110(たとえば、ダイヤモンド表面)を含んでもよい。ポリマー材料112は、特定の結合パートナーについて高い親和性を有するように調製されるので、そのような結合パートナーが基板110の表面に接触したとき、分子がポリマー材料112に結合する。ポリマー材料112は、結合パートナーの類似体(たとえば、結合パートナーと同様の機能性を有する材料)に結合してもよいが、結合パートナー自体との結合と同じ親和性を有する必要はない。いくつかの実施形態において、ポリマー材料112は、10以上の繰り返しユニットなどの、少なくとも約7の繰り返しユニットを含んでもよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、ポリマー材料112は、基板110にスクリーンプリントされた材料を含んでもよい。スクリーンプリントされた材料は、他の材料と比較して比較的高い均一性で、効率的に大量に製造されてもよい。
【0019】
装置100は、ポリマー材料112の反対側の表面などの、基板110の表面に熱的に結合したヒートシンク114をさらに含んでもよい。簡略化のためにヒート「シンク」と表わされるが、ヒートシンク114は、基板110に熱を供給するか、当該基板110から熱を除去するように構成されてもよいので、熱伝達要素114として特徴付けられてもよい。ヒートシンク、または熱伝達要素114は、遷移金属(たとえば、銅、銀など)、もしくは合金、またはそれらの混合物などの、高い熱伝導率を有する材料であってもよい。いくつかの実施形態において、ポリマー材料112は、ヒートシンク114自体に塗布されてもよい。ヒートシンク114は、ヒートシンク114の温度を検出するように構成された温度センサ116(たとえば、熱電対、または別の装置)と、ヒートシンク114の温度を維持するように構成された温度調節装置118とに熱的に結合してもよい。温度調節装置118は、たとえば、熱電素子、熱交換機、ファン、抵抗ヒータなどを含んでもよい。温度センサ116は、温度を変える抵抗を有する抵抗器であってもよい。ヒートシンク114の特性が公知である場合(たとえば、調節装置118のコントロール信号とヒートシンク114の温度との間の関係が十分に特徴付けられている場合)、温度センサ116は、省略されてもよい。いくつかの実施形態において、温度センサ116は、温度調節装置118と統合されてもよい。たとえば、温度調節装置118自体の内部抵抗は、その温度を決定するために測定されてもよい。
【0020】
温度センサ116と温度調節装置118とは、ヒートシンク114に、当該ヒートシンク114から発し基板110(その上にポリマー材料112を含む)を通る熱波を生じさせるように温度調節装置118を制御するように構成された(すなわちプログラムされた)制御装置121に結合されてもよい。たとえば、制御装置121と処理装置123とは、コンピュータ120に組み込まれてもよい(たとえば、制御装置121は、電気信号を受信し提供するように構成された入出力カードであってもよく、処理装置123から信号を受信するように構成されてもよい)。いくつかの実施形態において、制御装置121は、比較的短い時間でわずかにヒートシンク114の温度を変化させることができる比例・積分・微分(PID)制御装置であってもよい。たとえば、制御装置121は、約0.5℃以下、約0.2℃以下、または0.05℃以下だけヒートシンク114の温度を変化させてもよい。したがって、熱波は、約1.0℃以下、約0.4℃以下、または約0.10℃以下の振幅を有してもよい。制御装置121は、約0.005〜約0.1Hz、または約0.01〜約0.05Hzなどの、約0.001〜約0.5Hzの周波数を有する熱波を形成するために、温度調節装置118を介してヒートシンク114の温度を一の設定点から他の設定点に、そしてその逆に変化させることが可能であってもよい。いくつかの実施形態において、制御装置121、温度調節装置118、およびヒートシンク114は、可変周波数を有する熱波を共に生じてもよい。(存在するならば)温度センサ116からの測定値、温度調節装置118への既知の入力、または他の手段に基づいて、熱波の特性は、既知であってもよい(たとえば、位相、振幅、特定時間の周波数、周波数変化の速度など)。
【0021】
他の実施形態において、制御装置121は、一定の温度でヒートシンク114を維持するように構成されてもよい。一定の温度でヒートシンクを用いる分析物の検出は、2015年8月6日に公開された米国特許出願公開第2015/0219584号明細書「Biosensor Using Impedimentric Real-Time Monitoring」に記載されており、その全ての開示が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0022】
装置100は、液体124を基板110のポリマー材料112に通すように構成されたフローセル122をさらに含んでもよい。フローセル122は、基板110のポリマー材料112に隣接した空隙126と、液体124が流れる、注入口128および排出口130とを規定してもよい。Oリング131、または別の適切な密封機構は、基板110のポリマー材料112に隣接してフローセル122内に液体124を保持してもよい。
【0023】
液体124は、上述のように、ポリマー材料112に特異的に結合し、その熱特性を変える分析物132を含んでもよい。たとえば、分析物132は、1以上の細菌株を含んでもよい。分析物132(複数の分析物132aおよび132bを含んでもよい)は、上述のように、ポリマー材料112に特異的に結合してもよく、その熱特性を変えてもよい。複数の分析物132aおよび132bが液体124中に存在する場合、分析物132a、132bは、各分析物132a、132bがポリマー材料112に結合するように同様の機能性を有してもよい。分析物132a、132bは、異なる親和性を有するポリマー材料112に結合してもよい。いくつかの実施形態において、第1分析物132aは、生きている細菌を含んでもよく、第2分析物132bは、同じ種類の死んだ細菌を含んでもよい。他の実施形態において、第1分析物132aは、細菌を含んでもよく、第2分析物132bは、類似細菌を含んでもよい。
【0024】
温度センサ134(たとえば、熱電対または別の装置)は、フローセル122内の(たとえば、流れる)液体124の温度を検出するように構成されてもよい。コンピュータ120は、たとえば、制御装置121および/または処理装置123を介して温度センサ134の抵抗を測定し、その抵抗を温度に関連付けることによって、液体124の温度を記録することができる。液体124の温度は、ヒートシンク114の温度とは異なってもよく、分析物132の有無と液体124中のその濃度との少なくとも一部に基づいて変化してもよい。たとえば、分析物の濃度に基づく基板の温度抵抗は、2014年1月9日に公開された米国特許出願公開第2014/0011198号明細書「Heat-Transfer Resistance Based Analysis Bioparticles」に記載されており、その全ての開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0025】
いくつかの実施形態において、処理装置123は、熱波が基板110とポリマー材料112とを通った後、ヒートシンク114によって生じた熱波と、液体124中の減衰した熱波との間の位相シフトの少なくとも一部に基づいて、液体124中の分析物132の濃度を計算するように構成されてもよい。
【0026】
図2は、熱波が、
図1の装置100をどのように伝わるかを示す簡略模式図である。
図2は、
図1に示されるいくつかの構成要素を含むが、構成要素を通り、その間を伝わる熱波を表現するためにそれらを分離して示している。特に、
図2は、コンピュータ120に結合された、温度調節装置118に熱的に結合したヒートシンク114と温度センサ116とを示す。分析物132の濃度は、別の測定工程なしに、ヒートシンク114における熱波と、液体124中の熱波との間の差に基づいて測定されてもよい。
【0027】
ヒートシンク114は、熱波202を生じ、基板110とその上のポリマー材料112とに熱波202を伝達してもよい。たとえば、ヒートシンク114が、37℃の一定の温度で初期に維持される場合、熱波202は、ヒートシンク114を37.1℃に加熱し、続いてヒートシンク114を36.9℃に冷却することによって生成されてもよい。温度調節装置118によるヒートシンク114の加熱および冷却よって、対応する方法で、基板110とポリマー材料112とが加熱および冷却されてもよい。熱波202は、振幅α
1および周波数φ
1を有してもよい。振幅α
1および/または周波数φ
1は、時が経てば変化してもよい。たとえば、熱波202は、継続的に変化する周波数φ
1を有してもよい。
【0028】
上述のように、基板110上の分析物132の有無は、ポリマー材料112の、導電性、熱分散性、熱容量、または他の特性を変化させてもよい。
図2は、ポリマー材料112が、その内のキャビティ136であって、分析物132の少なくとも一部と相互作用するように適応されたキャビティ136を規定することができることを概念的に示す。どのような特定の理論にも拘束されないが、キャビティ136は、分析物132に特異的に結合するように作用するように構成されてもよい。したがって、ポリマー材料112は、液体124中の分析物132の濃度に基づいて、いくつかのキャビティ136中の液体124から分析物132の、粒子または分子を受けてもよい。液体124とポリマー材料112とは、分析物132が、ポリマー材料112に結合し、等しい速度でポリマー材料112から離れるように、所定の温度において平衡に達してもよい。ポリマー材料112の熱特性は、分析物132の、粒子または分子に結合したキャビティ136の画分の一部に依存してもよい。
【0029】
基板110および/またはその上のポリマー材料112は、減衰した熱波204を形成するために、基板110および/またはその上のポリマー材料112を通る熱波202を変化させてもよい。減衰した熱波204は、温度センサ134によって検出されてもよく、コンピュータ120によって記録されてもよい。減衰した熱波204は、振幅α
2と周波数φ
2とを有してもよく、振幅α
2と周波数φ
2とは熱波202の振幅α
1と周波数φ
1とは異なってもよい。振幅α
1、α
2、および/または周波数φ
1、φ
2の差は、ポリマー材料112に結合した分析物132の量に相関してもよく、したがって、液体124中の分析物132の濃度に相関してもよい。振幅α
1、α
2、および/または周波数φ
1、φ
2の差の測定は、定常状態において液体124の温度を測定する従来法に比べて、ポリマー材料112に結合した比較的少ない量の分析物132(液体124中の低濃度の分析物132に対応する)を検出することを可能にする。
【0030】
他の実施形態において、処理装置123は、ヒートシンク114と、液体124との間の定常状態の温度の差に基づいて、分析物132の濃度を計算するように構成されてもよい。
【0031】
ある実施形態において、分析物132は、平坦でない表面に結合してもよい。たとえば、
図3は、分析物132を検出するための別の装置200を示す、簡略模式図である。装置200は、その表面に形成された基材212を有する熱電対210を含んでもよい。たとえば、基材212は、熱電対210の全端部が含まれるように、熱電対210の一般的な円筒状表面にわたって形成されてもよい。熱電対210は、電気接点216,218の間に温度依存性電圧を提供するように調製された2つの材料の間の接合部を含んでもよい。いくつかの実施形態において、熱電対210は、1以上の金属(たとえば、白金、金、イリジウム、パラジウムなど)、または合金(たとえば、ニッケル合金、銅合金、ロジウム合金、レニウム合金、鉄合金、モリブデン合金など)を含んでもよい。
【0032】
基材212は、当該分野においてPLLAと表わされるポリ−(L)−乳酸などのポリマー材料であってもよい。PLLAは、透明で、環境的に再利用可能な源(たとえば、デンプン、または糖含有農産物)から作製する費用がかからず、生分解性で生体親和性である。さらに、PLLAは、クロロホルムに溶解可能であり、熱電対210に塗布することが可能である。PLLAの他の材料は、所望の特性に基づいて、基材212として選択されてもよい。いくつかの実施形態において、基材212は、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、乳酸−グリコール酸共重合体、D,Lラクチド/グリコール酸共重合体、または他の選択されたポリマーを含んでもよい。基材212は、薄く、滑らかに、均一に熱電対210の外部を覆う形態であってもよい。基材212による被覆の均一性は、装置200に再現可能な結果を生じさせることを可能にする。基材212の厚さは、熱電対210に向かって、または熱電対210から離れて流れる熱の速度に影響を与えるために、基材212の熱抵抗を考慮して選択されてもよい。したがって、薄い基材212は、速い応答が望まれるか、または温度の差異が小さい用途に有益であってもよい。
【0033】
基材212は、当該基材212を破壊することなく、熱電対210を曲げることができるように装置200が柔軟であるように、少なくともいくらかの弾性を示すように選択されてもよい。このことは、装置200を、厳しいクリアランス、または屈曲性を必要とする用途(たとえば、カテーテルのin vivo用途)に使用することを可能にする。
【0034】
アッセイポリマー214は、基材212の表面であってもよい。いくつかの実施形態において、アッセイポリマー214は、熱電対210の表面に直接に結合してもよく、基材212は、省略されてもよい。アッセイポリマー214は、当該アッセイポリマーに結合した分析物の量に応じて熱伝達特性が変化する材料を含んでもよい。たとえば、アッセイポリマー214の、熱伝導性、熱拡散率、熱容量、または他の特性は、その表面の分析物の濃度によって変化してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、アッセイポリマー214はインプリントポリマー(MIPまたはSIP)、DNA、RNA、タンパク質、またはそれらの一部もしくは類似体(たとえば、抗体)を含んでもよい。アッセイポリマー214は、特異的結合パートナーに対する高い親和性を有し、そのような結合パートナーが、熱電対210の表面と接触したとき、その分子がアッセイポリマー214に結合するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、アッセイポリマー214は、10以上の繰り返しユニットなどの少なくとも約7の繰り返しユニットを含んでもよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、装置200は、アッセイポリマー214に結合した分析物の量を計算するようにプログラムされた処理装置223を含んでもよい。処理装置223は、アッセイポリマー214に結合した分析物の量の少なくとも一部に基づいて装置200に接触した液体中の分析物の濃度を計算してもよい。たとえば、処理装置223は、2014年1月9日に公開された米国特許出願公開第2014/0011198号明細書「Heat-Transfer Resistance Based Analysis Bioparticles」、または2014年8月28日に公開された米国特許出願公開第2014/0242605号明細書「Heat-Transfer Resistance Based Analysis of Bioparticles」に開示された方法によって分析物の量を計算してもよく、全ての開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、処理装置223は、熱電対210における減衰した熱波と、ヒートシンクにおける、またはヒートシンクから発する熱波との間の位相シフトを検出するために使用されてもよい。処理装置223は、したがって、ヒートシンクにおける熱波と、熱電対210における減衰した熱波との間の振幅の差の少なくとも一部に基づいて、液体中の分析物の濃度を計算してもよい。
【0037】
図1に戻ると、ポリマー材料112は、基板110一面に、形成されるか、または提供されてもよい。たとえば、ポリマー材料112は、金属基板110にスクリーンプリントされてもよい。スクリーンプリンティングは、他の方法に比べて比較的高い均一性で、効率的に実施されてもよく、大量生産に規模を拡大されてもよい。基板のスクリーンプリンティングは、たとえば、2012年7月26日に公開された米国特許出願公開第2012/0186999号明細書「Electrochemical Sensor」に記載されており、その全ての開示が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0038】
ヒートシンク114は、ポリマー材料112の反対側の表面において基板110に熱的に結合してもよい。たとえば、ヒートシンク114は、熱がヒートシンク114から基板110に伝導によって流れることができるように、直接、物理的に基板110に接触するように設置されてもよい。いくつかの実施形態において、熱伝導性材料(たとえば、熱伝導性フィラーを有する重合可能な液体マトリクス)は、ヒートシンク114と基板110との間のエアギャップを除去するために、ヒートシンク114と基板110とに物理的に接触して設置されてもよい。同様に、温度調節装置118は、熱伝導性材料を通して直接の物理的接触によって、または他の適切な手段によってヒートシンク114に熱的に結合してもよい。
【0039】
制御装置121(たとえば、PID制御装置)は、ヒートシンク114の温度を調節するために十分な電力を供給し、温度調節装置118にヒートシンク114の温度を変化させて熱波202を生じさせるように温度調節装置118に電気的に接続されてもよい(
図2)。
【0040】
フローセル122は、液体124が、注入口128を通ってフローセル122に入り、ポリマー材料112に接触し、続いて排出口130を通ってフローセル122から出るように基板110に隣接して固定されてもよい。いくつかの実施形態において、フローセル122は、1以上の留め具138(たとえば、ねじ)によってヒートシンク114に接続されてもよい。他の実施形態において、フローセル122は、統合糸によって、またはスリップ・フィット接合によって、ヒートシンク114に接続されてもよい。Oリング131、または他の密封機構は、ヒートシンク114、温度調節装置118、または基板110の背面に液体124を直接接触させないように構成されてもよい。
【0041】
温度センサ134は、フローセル122を通って流れる液体124の温度を測定するために、フローセル122の空隙126内に配設されてもよい。温度センサ134は、接着剤、または他の適切な手段によって、フローセル122に固定されてもよい。温度センサ134は、抵抗計を含み得る処理装置123に電気的に接続してもよい。処理装置123は、ヒートシンク114によって生じた熱波202(
図2)と、液体124中の減衰した熱波204(
図2)との間の位相シフトの少なくとも一部に基づいて、液体124中の分析物132の濃度を計算するために、温度センサ134における温度を継続して検出するように構成されてもよい。
【0042】
図1に示され、上述された装置100は、細菌などの、任意の選択された分析物132を検出するために使用されてもよい。たとえば、装置100は、液体124中の、生物学的分析物、または他の化学物質を検出、感知、および定量化するために使用されてもよい。装置100は、特定の細菌株を検出、感知、および定量化するために、細菌が生きているか否かのために、または複合混合物中の細菌の種類を判別するために使用することができる。分析物132は、液体124に溶解されたか、または混合された、気体、液体、または固体であってもよい。たとえば、装置100は、特定の配列(たとえば、SNP)を有する核酸、タンパク質、小分子(たとえば、ドーパミン、ヒスタミンなど)、または他の物質などの、分析物、抗体、抗原、核酸(たとえば、DNA、RNAなど)を検出、感知、定量化するために使用することができる。いくつかの実施形態において、装置100は、ヒスタミン、ドーパミン、セロトニン、アドレナリン、メチルフェニデートなどを検出するために使用されてもよい。
【0043】
本明細書に開示されたような分子インプリント法の多くの魅力的な特徴のうちの1つは、多様な分析物に適用可能であることである。小さな有機分子(たとえば、薬剤、殺菌剤、アミノ酸、およびペプチド、核酸塩基、ステロイド、糖など)のインプリンティングは、たとえば、K. HauptおよびK. Mosbachの「Molecularly Imprinted Polymers and Their Use in Biomimetic Sensors」Chem. Rev. 100, 2495-2504 (2000)、およびG. MustafaおよびP. Lieberzeitの「MIP Sensors on the Way to Real-World Applications」Springer Series on Chemical Sensors and Biosensors, vol. 12, pp. 167-187 (Springer, 2012)に記載されている。いくらか大きな有機化合物(たとえば、ペプチド)も同様の手法によってインプリントすることができる。タンパク質、細胞、および無機結晶などの大きな構造体をインプリントするための手順は、たとえば、M. Kempe、M. Glad、およびK. Mosbachの「An Approach Towards Surface Imprinting Using the Enzyme Ribonuclease A」J. Molecular Recognition, 8, 35-39 (1995)、S. Hjertenらの「Gels Mimicking Antibodies in Their Selective Recognition of Proteins」Chromatographia 44, 227-234 (1997)、H. Shiらの「Template-Imprinted Nanostructured Surfaces for Protein Recognition」Nature 398, 593-597 (1999)、A. Aherneらの「Bacteria-Mediated Lithography of Polymer Surfaces」J. Am. Chem. Soc. 118, 8771-8772 (1996)、およびS. M. D’Souzaらの「Directed Nucleation of Calcite at a Crystal-Imprinted Polymer Surface」Nature 398, 312-316 (1999)において提案された。先進薬剤送達への架け橋としての分子インプリンティングは、B. SellergrenおよびC. Allenderの「Molecularly Imprinted Polymers: A Bridge to Advanced Drug Delivery」Advanced Drug Delivery Reviews 57, 1733-1741 (2005)に記載されている。本段落において引用された各文献の全ての開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0044】
分析物132を検出するために、分析物132を含む液体124は、基板110を覆うポリマー材料112に隣接して接触したフローセル122を通ってもよい。分析物132(たとえば、粒子、分子、または細菌)は、ポリマー材料112に結合し、ポリマー材料112の1以上の熱特性を変化させる。液体124は、検出の間にフローセル122を継続的に通って流れてもよく、またはその流れは検出が始まる前に止められてもよい。熱波202(
図2)と減衰した熱波204とは、液体124が流れていようと、停滞していようと液体124を通って伝わってもよい。液体124の熱特性は、流れている液体124と、停滞した液体124とで異なってもよいが、流れ特性に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態において、フローセル122と、その中の液体124とは、分析物132の検出前に試験温度に至ってもよい。上述のように、ポリマー材料112は、目的の特定分析物132に結合するように調製された分子インプリントポリマーであってもよい。
【0045】
熱波202(
図2)は、基板110を通ってヒートシンク114からポリマー材料112に提供されてもよい。制御装置121(たとえば、PID制御装置)は、予め選択された量だけ予め選択された周波数において、ヒートシンク114の温度を上昇させ、温度を低下させることなどによって、温度調節装置118を介してヒートシンク114の温度を変化させてもよい。ヒートシンク114の温度変化は、当該変化が、同時に生じる他の測定値に顕著に影響を与えないように十分に小さくてもよい。たとえば、フローセル122中の液体124の平均温度は、平均温度測定値の時間間隔が周波数の変化よりも長く、および/または温度変化量がポリマー材料112を有する分析物132の相互作用によって誘導される温度変化と比較して小さい場合に限り、ヒートシンク114の温度が変化していても測定することができる。いくつかの実施形態において、ヒートシンク114は、約0.005〜約0.1Hz、または約0.01〜約0.05Hzなどの約0.001〜約0.5Hzの周波数を有する熱波202を供給してもよい。さらに、熱波202の周波数は、試験中変化してもよい(たとえば、周波数は、低周波数から高周波数まで、またはその逆に継続して変化してもよい)。熱波202は、約1.0℃以下、約0.4℃以下、または約0.10℃以下の振幅を有してもよい。
【0046】
フローセル122中の液体124の温度が測定されてもよく、その結果は、ヒートシンク114の温度と比較されてもよい。
【0047】
液体124中の分析物132の濃度は、ヒートシンク114によって生じた熱波202と、液体124中の減衰した熱波204との間の位相シフトの少なくとも一部において計算されてもよい。熱波202と減衰した熱波204との比較は、既知濃度の液体の反応に基づいて処理装置123によって実施されてもよい。いくつかの実施形態において、熱波202と減衰した熱波204との比較は、振幅、位相シフト、または他の特性の少なくとも一部に基づいてもよい。
【0048】
熱波の測定は、ポリマー材料112の全ての温度を顕著に変化させることなく、熱抵抗の測定を可能にする。特定の理論になんら拘束されないが、そのような測定は、電子工学分野におけるキャパシタンスまたはインダクタンスの測定に熱的に類似していると考えられる。たとえば、抵抗の測定は、電子装置、または材料についていくらかの情報を明らかにするが、キャパシタンスまたはインピーダンスの測定は、装置または材料が負荷にどのように応答するかなどの追加の情報を明らかにする。同様に、本明細書に開示された方法による熱抵抗の測定は、定常状態の温度の差を測定することでは可能ではない、さらなる情報を明らかにすることができる。
【0049】
たとえば、熱波を提供するとき、受容体に対する標的の結合によって、液体中の減衰した熱波の、振幅、周波数、および/または位相の変化の形態で、異なる種類の情報が、利用可能である。位相シフトは、入力の周波数に基づいて変化してもよい。熱波によって提供された情報量は、定常分析よりも非常に大きく、情報は、材料の様々な検出、または識別を可能にしてもよい。
【0050】
さらに、なんらの特定の理論にも拘束されないが、ポリマー材料112の熱量は、その受容体(すなわち、キャビティ136)への分析物132の結合によって生じてもよい。分析物132の結合前に、キャビティ136は、液体で満たされてもよい。その受容体への分析物132の結合後、液体は、分析物132によって置換されてもよいので、変換器システム全体の熱量が増加する。
【0051】
いくつかの実施形態において、第1分析物132aは、第2分析物132bをポリマー材料112から取り除くことによって、第2分析物132bと区別されてもよい。たとえば、第1分析物132aが生きている細菌であり、第2分析物132bが死んだ細菌である場合、死んだ細菌は、生きている細菌を残したままポリマー材料112から(たとえば、緩衝液で)洗浄され、またはすすがれてもよい。第1分析物132aと、第2分析物132bとの間の親和性の差は、そのような識別を促進してもよい。いくつかの実施形態において、第1分析物132aは、ポリマー材料112を形成するために使用されたテンプレート分子であってもよく、第2分析物132bは、いくつか同様の機能を有する、分子または細菌であってもよい。したがって、第2分析物132bは、ポリマー材料112に少なくとも弱く結合してもよい。
【0052】
実施例
実施例1〜5は、2014年1月9日に公開された米国特許出願公開第2014/0011198号明細書「Heat-Transfer Resistance Based Analysis Bioparticles」に一般的に記載されたバイオセンサ装置の態様を利用する。
【0053】
実施例1:ドーパミンを検出するためのテンプレートを有するMIPの作製
エチルグリコールジメタクリレート(EGDM)、メタクリル酸(MAA)、ドーパミン塩酸塩(99%)、およびメタノールは、Acros Organics社(ラフバラ、イギリス)から購入された。重合前に、MAA中の安定剤とEGDMとは、アルミナを通る濾過によって取り除かれた。4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)と、セロトニンクレアチニン硫酸塩一水和物(98%)とは、Sigma-Aldrich社(ジリンガム、イギリス)から購入された。熱伝達測定のために、1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液は、Oxoid Limited社(ベイジングストーン、イギリス)から入手したダルベッコタブレットによって作製された。
【0054】
MAA(0.54g、6.6mmol)、EGDM(2.96g、14.9mmol)、および4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(65mg)の混合物は、ドーパミン(0.063g、0.33mmol)、テンプレート分子とともに、メタノール(3.67ml)および水(0.57ml)中に溶解された。この混合物は、N
2で脱ガスされ、重合を開始するために加熱された。反応を完全に終了させるために、混合物は、12時間にわたって65℃で保たれた。重合後、大きいポリマーは、10μmよりも小さな直径を有する微粒子を得るために、砕かれ、篩分けされた。ドーパミンは、メタノールおよび水の50/50混合物を用いる継続的抽出によってMIP粉末から取り除かれた。6時間後、MIPは、Thermo Scientific社(ラフバラ、イギリス)のNICOLET(商標)380FT−IR装置を備えるAT−IR分光器によって確かめられたように、ドーパミンを実質的に含まなかった。その後、MIP粉末は、100℃で12時間にわたってオーブン中で乾燥させられた。非インプリントポリマー(NIP)は、ドーパミンの存在なしに、同じ方法に従ってコントロールとして合成された。
【0055】
実施例2:ドーパミンを検出するためのMIPの試験
MIPおよびNIP粒子の、特異性および結合等温線は、Agilent8453分光器(ストックポート、イギリス)を用いる光学バッチ再結合実験によって測定された。再結合実験について、20mgの、MIPまたはNIP粉末は、0.3〜1.0mMの濃度の、5mlのドーパミン水溶液に添加された。得られた懸濁液は、室温においてロッキングテーブル上で12時間にわたって振とうされた。その後、懸濁液は、濾過され、ドーパミンの遊離濃度(C
f)は、UV−vis分光器によって測定された。ドーパミンの結合濃度(S
b)は、MIPおよびNIPの1グラムごとに計算され、結合等温線は、
図4に示される。結合等温線を調節することによって、テンプレートドーパミンに対するMIPの特異性が測定された。選択性を試験するために、競合分子セロトニンが使用された。なぜなら、その構造は、ドーパミンに非常に類似しているからである。これらの実験のために、20mgのMIP粉末が、5mlのセロトニン水溶液に添加され、結合等温線は、懸濁液の濾過の後に測定された。
【0056】
図4は、MIPと、そのリファレンスであるNIPとの間の結合の顕著な差を示す。特異性を測定するために、選択された濃度におけるリファレンスNIPに結合した量に分割されたMIPに結合した量であるインプリントファクター(IF)が使用された。結合等温線は、特定濃度におけるインプリントファクターを分析するために以下の種類の2パラメータ調節によって調節された(数式1)。
【0058】
数式1は、フリントリッヒ結合等温線に対応し、結合部位と、親和性定数との分布が異質であると評価される場合、MIP結合等温度線の調節のために使用されてもよい。C
f=0.3mMにおいて、IFは、3.1±0.1であったが、より高い濃度は、結合部位の飽和によって、わずかに低いIF値(〜2.5)を生じさせた。結果は、文献における他のドーパミンMIPと比較された。競合するセロトニンに対するMIPの応答は、リファレンスと有意に異ならなかった。このことは、システムの選択性を示す。
【0059】
実施例3 MIP被覆されたスクリーンプリント電極(SPE)の作製
以下の実施例を通して実施された実験は、3mmのグラファイト作業電極、グラファイト対電極、およびAg/AgClリファレンス電極を有する3電極構造を備えるスクリーンプリント電極(SPE)(41mm×7mm)を利用する。
【0060】
SPEは、スクリーンプリント機器(MicroDEK 1760RS、DEK社、ウェイマス、イギリスから入手可能)を用いて、3mm径の作業電極を形成するようにステンシルデザインで作製された。まず、カーボングラファイトインク製剤(C2000802P2、Gwent Electronic Material社、イギリスから入手可能)が、250μmの厚さを有するポリエステル基板上にプリントされた。カーボングラファイトインクは、30分間にわたって60℃で乾熱滅菌器で硬化された。誘電性ペースト(D2070423D5、Gwent Electronic Materials社から入手可能)は、連結部を覆うためにポリエステル基板上にプリントされた。誘電性ペーストは、30分間にわたって60℃で硬化された。センサのこのバッチの再現性は、エッジコネクタを用いてレドックスプローブ、[Ru(NH
3)]
2+/3+/0.1M KClに対して4%RSD未満に対応することが見出された。
【0061】
ここで、MIPは、M
PおよびM
Iの重量%に基づいて、SPEのインクに組み込まれた。M
Pは、微粒子の重量であり、M
Iは、プリント工程において使用されたインク製剤の重量である。これらの例として、M
Pの重量パーセントは、30%であり、M
Iの重量パーセントは、70%であった。
【0062】
実施例4 SPEのサイクリックボルタンメトリー測定
サイクリックボルタンメトリー測定は、3つの電極を用いる電位調整機(Autolab PG-STAT、Metrohm社、ユトレヒト、オランダから入手可能)を用いて実施された。実施例3に記載されたような、グラファイトスクリーンプリント電極とMIP被覆されたSPEとは、規定された作業電極として使用された。白金対電極とリファレンス電極としての飽和カロメル電極(SCE)とは、回路を完成させる。この電気分析手順は、窒素脱ガスされたpH7.4リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中で、5μMごとに0〜50μMの範囲のドーパミン濃度にわたって調べられた。+0.20Vにおける酸化ピークは、分析パラメータとして使用された。この実験手順は、50mV/secのスキャン速度で、−0.2V〜+0.8Vの電位範囲にわたって実施された。得られた検量線は、
図5に示される。ドーパミン濃度に対する酸化ピーク高さの分析は、両方の電極の応答がおおよそ線形であることを示す。
【0063】
ドーパミンに対する両方の電極の応答は、線形フィット(R
2=0.97)で表わすことができ、センサプラットフォームの高感度形態を示す。非被覆SPEについて、勾配は、0.023μA/μMドーパミンであったが、MIP修飾されたSPEについて、勾配は、0.025μA/μMドーパミンであった。検出限界は、信号が標準偏差の3倍である濃度として規定された。検出限界は、MIP被覆されたSPEについて4.7±0.05μMであり、非被覆SPEについて4.0±0.06μMであった。
【0064】
実施例5:熱伝達方法(HTM)
110μlの全内部体積を有する、6mmの内径、4mmの高さのフローセルが、アクリルで作製された(Lucite International社、ランカシア、イギリスから商標PERSPEX(登録商標)として利用可能である)。フローセルは、実施例4に記載された電位調整機システムに結合され、Oリングで密閉された。フローセルと、電位調整機システムとの間の接触面積は、28mm
2であった。MIP被覆されたSPE(実施例3に記載)は、水平に取り付けられ、ヒートシンクとして機能する銅ブロック上に機械的に押し付けられた。銅ブロックの温度T
1は、コントロールパラメータP=8、I=1、およびD=0を有する、比例・積分・微分(PID)コントローラによって積極的にコントロールされ、熱電対によって測定された。銅ブロックの温度T
1は、37.00℃で維持された。
【0065】
第2熱電対は、液体中の温度T
2が測定されたMIP被覆されたSPEの表面上に配設された。熱抵抗は、R
th(℃/W)と省略され、温度の差異(T
1−T
2)を、37.00℃における温度定数を維持する間に消費された供給電力P(ワット)で除算することによって決定された(数式2)。
【0067】
MIP被覆されたSPEは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中で安定化され、続いて溶液中のドーパミン濃度が徐々に増加する(0〜900nM)がフローセルに加えられた。信号の安定後、各濃度においてR
th値が測定された。対応する用量作用曲線が構築され、
図4に示される。
【0068】
フローセルは、20.00±0.02℃の安定な環境温度で環境中に設置された。銅ブロックの温度T
1は、PID制御装置によって37.00±0.02℃で正確に制御された。フローセルは、純粋なPBS溶液で満たされ、T
2の安定化後、徐々に増加する濃度のドーパミンPBS溶液が添加された(0〜1000nM)。
図6に示されるように、フローセルに流れる溶液の濃度変化は、T
2への迅速な低下をもたらす。安定なプラトーレベルに到達後、センサーセルは、少なくとも15分間にわたって安定化されたままである。T
2の減少は、続いてMIP層への標的分子の結合に単独で寄与可能である。
図7は、時間依存性熱抵抗値を示し、
図8は、用量作用曲線の形態で対応するR
thデータを示す。
図8に示される正規化値は、ベースライン信号への各添加後に観察されたR
thの徐算によって計算された。
【0069】
図7は、熱抵抗R
thが、PBS中においてドーパミン濃度が900nMまで徐々に増加するにつれて、6.80±0.10℃/W〜7.92±0.09℃/Wから段階的に増加したことを示す。これは、16.5%の割合増加に対応し、信号のノイズ(1.1%)よりも顕著に高く、このことは、この効果が、MIPのナノキャビティへの標的の結合によるものであることを示す。リファレンスNIP電極において同じ試験が行われたとき、熱抵抗は、ドーパミンの濃度が増加するにつれて顕著に変化しなかった。したがって、MIPは、ドーパミンに特異的であると考えられる。
【0070】
図8における計算された用量作用曲線に示されるように、800nMまでの濃度において、結合効果は、濃度に直線的に増加した。より高い濃度において、飽和に向かう傾向が示され、このことは、結合部位の増加した占有率に寄与してもよい。線形フィットによって、検出限界は、350±30nMに定められ、サイクリックボルタンメトリー(4700±50nMの検出限界を有する、実施例4を参照)に比べて顕著に向上している。
【0071】
実施例6:熱波伝達分析(TWTA)
機能化チップを通る熱伝達の分析に加えて、ヒートシンクに対応する位相シフトは、HTM(実施例5)が行われたのと同じ試料において同時に調べられた。
【0072】
PBS中における4種類の選択されたドーパミン濃度(0、300nM、400nM、および800nM)において、PID制御装置は、熱導電性シリコンペースト(SILCOTHERM SG502、ACC Silicones社、サマセット、イギリスから入手可能)を通って、22Ωラジアルリード型高電力抵抗器(Type MPR Series、TE Connectivity社、シャフハウゼン、スイスから入手可能)によってヒートシンクを通って熱波を伝えた。熱波は、
図9に示されるように、0.1℃の振幅と0.01Hz〜0.05Hzの可変周波数とを有した。ドーパミンがMIP粒子に結合したとき、位相中の遅れ(φ
1 ≠ φ
2)と、熱波出力の振幅(α
1 ≠ α
2)の減少とは、
図10に示されるように、T
2において測定された。なぜなら、熱波は、0.1℃のみの振幅を有し、別個の4つの時点までに加えられたので、熱波は、システムの安定性、または計算された熱抵抗値に影響を与えない。
【0073】
図10において、入力熱波(T
1)と、純粋なPBS緩衝液に暴露されたMIP被覆SPEを通って得られる波との間で観察された位相シフトは、 ヒートシンクから液体コンパートメントの中央に熱を伝えるために必要な時間に依存する。MIP被覆されたSPEが、300nMのドーパミンPBS溶液に暴露されたとき、信号の振幅の低下に付随した位相シフトのわずかな増加が観察された。ドーパミンの濃度が高くなるにつれて、測定された位相シフトは大きくなり、振幅は減少した。なんら特定の理論に拘束されるものではないが、MIP層への神経伝達物質の結合が、固液界面における熱伝達抵抗の上昇をもたらしたと考えられる。このことは、ヒートシンクから液体コンパートメントへのゆっくりとした熱の消失をもたらし、
図10において観察された結果を説明すると考えられる。
【0074】
図11は、加えられた熱波の周波数の関数として観察された位相を示す。
図11に示されるように、0.02Hzと0.03Hzとの間に位相シフトの大きな変化が現れ、0Hzと0.02Hzとの間、および0.03Hzと0.05Hzとの間に小さな変化が現れる。したがって、0.03Hzの周波数が、後の実施例において標的受容体の動態を測定するために選択された。300nMを超える濃度において、熱波出力における顕著な効果は、0.03Hzにおいて測定された。この周波数において、57°±1°の位相シフトがPBS中で観察されたが、800nMにおけるこの増加は、75°±2°に増加し、これは31%±2%の増加に対応する。
【0075】
図8に示されるように、熱伝達法(HTM、実施例5)によるドーパミンの検出限界は、約350mNであった。しかしながら、実施例6に記載されたように位相応答を測定すると、ドーパミンは、300nMにおいて連続的に測定された。800nMの高濃度において、熱伝達法は、16±1%の効果を生じ、これは、位相シフト応答よりほぼ2倍低い。したがって、熱波伝達分析(TWTA、実施例6)は、ドーパミンの検出を向上させることができる。
【0076】
実施例7 バナナにおけるドーパミンの検出
バナナは、蒸し器および混合器(Avent model SCF870/20、Royal Philips社、アイントホーフェン、オランダから入手可能)を組み合わせて4分間粉砕され、続いて5分間にわたって3200rpmで遠心された。上清は、透明な液体を得るために濾過され、徐々に増加する濃度のドーパミン(62.5、125、500、1000、2000nM)を添加された。500nM以上の濃度において、熱抵抗における顕著な効果が観察された。
【0077】
実施例6に記載された試験は、ドーパミンを添加されたバナナ由来の液体を用いて繰り返された。熱波出力の結果は、37.00℃の初期温度に正規化され、対応する位相シフトは、
図12に示される。500nM以上の結果のみが提供される。なぜなら、より低い濃度において有意な差が観察されなかったからである。中程度のフィルタ(10ポイント中央値)は、粘度効果を補正するためにデータに適用された。
図13は、加えられた熱波の周波数の関数として観察された位相を示す。500nMの添加濃度において、55±3Hzの位相シフトが、純粋な無添加溶液中の37±2Hzに比べて測定された。増加率において、46%±2%の差が測定され、これは、添加された濃度のドーパミンの効果と、バナナに存在する初期ドーパミンの効果との組み合わせである。500nMは、依然としてドーパミンが生物学的試料中に存在する濃度範囲であるので、この実施例7は、熱波伝達分析(TWTA)技術が、生物学的に適切なドーパミン濃度を測定するために使用されてもよい。
【0078】
従来法は、高い粘度と、大きなタンパク質などの、食品試料中の他の干渉する化合物の存在とが原因で、食品関連試料を測定するために実施することは困難である。たとえば、特定化合物の検出限界は、(緩衝液中で300nMの濃度が検出可能であった実施例6と、添加されたバナナ流体において500nMの濃度が検出可能であった実施例7とを比べて)非特定結合レベルおよび高いノイズレベルが原因で増加してもよい。
【0079】
以下の表1は、緩衝液中、および食品試料中のドーパミンのMIP修飾されたSPEの検出限界を比較する。表1は、熱的方法が、従来の電気化学的方法を超える利点を提供可能であることを示す。なぜなら、緩衝液における検出限界は、約一桁低いからである。さらに、熱的方法は、複雑な食品試料の測定を可能にする。HTMに比べて、熱波の伝達の分析は、顕著に高い効果量(800nMのドーパミン緩衝液において31%対16%)を有し、厳格な温度制御をあまり必要とすることなく検出限界を向上させた。
【表1】
【0080】
MIP粒子とスクリーンプリンティングインクとの直接混合は、電極作製のいくつかの工程を除き、機能化された電極の大量生産を可能にしてもよい。熱波伝達分析(TWTA)は、緩衝液だけではなく、関連する食品試料についてのナノモル範囲のドーパミンの検出限界をもたらしてもよい。さらなる利点は、この技術が、熱伝達方法と同時に実行可能であり、結果の直接の確認を可能にすることである。記載された方法論は、生物医学研究および臨床研究の分野において使用される神経伝達物質の、迅速かつ費用高率の高い検出のための新たなアプローチを提供する。
【0081】
実施例8 微生物の培養、および試料作製
エシュリヒア・コリ(Escherichia coli)(ATCC(登録商標)8739(商標))と、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(ATCC(登録商標)6538(商標))との特徴付けられた株は、Leibniz Institute DSMZ社、ブラウンシュヴァイク、ドイツから入手した。20mlの普通ブイヨン(商品番号x929.1、Carl Roth社、カールスルーエ、ドイツ)が、E.コリ(E.Coli、大腸菌)の単一コロニーに播種され、20mlのCaso broth(品番x938.1、Carl Roth社)がS.アウレウス(S. aureus)の単一コロニーに播種された。両方のコロニーは、攪拌しながら、37℃で一晩増殖された。
【0082】
1mlの一晩培養物は、それぞれ20mlの普通ブイヨンに希釈され、37℃で3時間、またはOD
600値(すなわち、600nmの波長において測定された光学密度、細菌の濃度に相関する測定値)が1になるまで増殖させられた。その後、細胞は、ペレットを形成するために遠心分離によって回収され、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で一回洗浄され、続いて所望の濃度になるようにPBS中に再懸濁された。
【0083】
実施例9 細菌をインプリントされたポリウレタン層の作製
スピンコーティング溶液は、122mgの4,4’−ジイソシアノジフェニルメタン、222mgのビスフェノールA、および25mgのフロログルシノールを500μLの無水テトラヒドロフラン(THF)に溶解させることによって作製された。全ての試薬は、少なくとも99.9%の純度を有し、ディーゲム、ベルギーのSigma-Aldrich社から受け取ったように使用された。溶液は、穏やかに撹拌しながら65℃で200分間にわたってそのゲル化点まで重合された。溶液は、1:5の比率で無水THFに希釈された。1.2±0.1μmの平均厚さを有するポリウレタン層(Dektak 3ST、Sloan Instruments社、サンタバーバラ、カルフォルニア、アメリカ)は、溶液を2000rpmで60秒間にわたってスピンコートすることによって、1cm
2の表面積を有する各アルミナ基板上に形成された。
【0084】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)スタンプは、スキール、ベルギーのMalvom社から購入されたDow Corning SYLGARD(登録商標)184シリコンエラストマーキットを用いて作製された。細菌で被覆されたPDMSスタンプは、400μLの細菌PBS懸濁液を各スタンプに加えることによって形成された。細菌は、60秒間にわたってスタンプの表面に留められた。過剰の流体は、スタンプ表面に細菌の緻密な単一層を作製するために、60秒間にわたって3000rpmでスタンプをスピンコートすることによって除去された。
【0085】
細菌で被覆されたスタンプは、1つのアルミニウム基板上のポリウレタン層に70Paの圧力で押圧された。ポリウレタンは、スタンプが基板の表面から除去された後、65℃で18時間にわたって不活性雰囲気下において硬化された。テンプレート細菌は、エタノールおよびPBSで洗浄され、基板の表面のキャビティに選択的に結合したまま残される。したがって、表面インプリントポリマー(SIP)は、E.コリおよびS.アウレウスのそれぞれに選択的に作製された。
【0086】
実施例10 熱伝達法(HTM)
6mmの内径と、4mmの高さとを有し、110μlの内部総体積を有するフローセルは、アクリル(ランカスター、イギリスのLucite International社から商標PERSPEX(登録商標)として利用可能)で作製された。フローセルは、電位調整器に結合され、Oリングで密閉された。フローセルと電位調整システムとの間の接触面積は、28mm
2であった。SIP被覆された基板(実施例9に記載された)は、ヒートシンクとして機能する銅ブロックに、水平に取り付けられ、機械的に押し付けられた。銅ブロックの温度T
1は、コントロールパラメータP=8、I=1、およびD=0で比例・積分・微分(PID)制御装置によって積極的に制御され、熱電対によって測定された。銅ブロックの温度T
1は、37.00℃に維持された。
【0087】
第2熱電対は、液体中の温度T
2を測定されたSIP被覆基板の表面上に配設された。熱抵抗は、R
th(℃/W)と省略され、数式2で示されるように、温度を37.00℃で一定に保持している間に消費された入力電力P(ワット)によって温度の差(T
1−T
2)を除算することによって決定された(実施例5を参照)。
【0088】
SIP被覆基板は、各実験の開始時点においてPBS緩衝液(pH=7.4)中で安定化された。細菌は、2.5mL/分の制御された流速で3mlの細菌溶液(1×10
7 CFU/ml PBS)を注入することによってシステムに導入された。SIP被覆基板は、12分間にわたって0.25mL/分の流速(総体積3mL)で、PBSで洗浄された後、SIP層から任意の未結合細菌を取り除くために安定化された。HTM機構は、毎秒1回測定の速度で、固液界面における熱抵抗(R
th)を監視する。
【0089】
実施例11 顕微鏡イメージング
SIP被覆された基板の顕微鏡イメージングは、ディーゲム、ベルギーのLeica Microsystems社から入手可能なDM750光学顕微鏡で実施された。SIP被覆された基板は、640xおよび1000xの倍率で画像化された。ソフトウェア(ImageJ version 1.44p、ベセズダ、メリーランド、アメリカ、国立衛生研究所から入手可能)は、SIP被覆された基板の顕微鏡画像における単位面積毎の細胞インプリントの数を決定するために使用された。細胞インプリントの平均表面範囲は、SIP被覆された基板の各種類について、各SIP被覆された基板上の5つの位置において、3つの異なる試料の細胞インプリント数に基づいて計算された。
【0090】
E.コリでインプリントされたSIP表面の光学顕微鏡分析(
図11)は、細菌の寸法に対応する、1.5〜3μmに変化する長さと0.5〜1.5μmの幅とを有する、桿状インプリントを明確に示す。1.11×10
6±6.62×10
5インプリント/cm
2の計算された表面割合は、6.02±1.6%の総表面割合に対応する。S.アウレウスSIPの光学顕微鏡分析(
図15)は、±500nm〜800nmの直径を有する球状インプリントの不均質な分布を示す。2.91×10
6±8.73×10
5インプリント/cm
2のインプリント表面割合は、9.12±2.1%の総表面割合に対応する。
【0091】
実施例12 生きている細菌と死んだ細菌との識別
SIP被覆された基板は、実施例8および実施例9に記載されたように、PBS中の生きているE.コリ細胞(1×10
7CFU/mLの濃度)で形成され、インプリントされた。SIP被覆された基板は、SIP被覆された基板と銅ブロックとの間の熱的接触を確実にするために、その被覆されていない、研磨された背面を銅ブロックに機械的に押圧された。SIP被覆された基板は、PBSで満たされたフローセル中に配設された。SIP被覆された基板のR
th信号は、60分間にわたって安定化された。死んだ細菌は、2.5mL/分の流速で、72秒間にわたってフローセルに導入された。流れが止められ、R
th信号は60分間にわたって安定化され、細菌はSIP表面に沈殿させられた。任意の未結合細菌は、0.25mL/分の流速で12分間にわたってPBSでフローセルを洗浄することによって除去された。60分間の安定期間後、実験は、生きているE.コリ細胞で繰り返された。この実験の結果は、
図16および
図17に示される。
【0092】
図16は、両方の暴露(すなわち、生きているE.コリ細胞および死んだE.コリ細胞への暴露)が、SIP被覆された基板の固液界面における熱抵抗の増加をもたらすことを示している。死んだ細菌の添加に付随する増加は、PBSで洗浄することによって部分的に可逆性であってもよいが、生きているE.コリ細胞を添加することによって生じた増加は、不可逆的であると考えられる。
図17は、データを要約するボックスプロットである。エラーバーは、信号におけるノイズの標準偏差を示す。
【0093】
図16および
図17は、信号(R
th)が、死んだ細菌のPBS溶液の添加後に0.67±0.15℃/Wだけ増加することを示す。PBSでチャンバを洗浄した後、信号は、ベースライン上の0.36±0.16℃/Wの値に再度低下する。生きている細菌を測定チャンバに注入した後、信号は、0.91±0.21℃/Wの値に再度上昇する。緩衝液を用いる洗浄は、R
thの測定可能な減少を生じず、信号は、ベースラインを超える0.93±0.19℃/Wで留まる。
【0094】
R
thの増加は、死んだ細胞についていくらか低いけれども、実施例12、ならびに
図16および
図17に記載された熱抵抗試験は、死んだ細菌および生きている細菌への最初の暴露後、同等の応答を示す。死んだ細菌細胞の形態は、インプリントポリマー表面上のマイクロキャビティの寸法に一致すると考えられる。また、死んだ細菌は、それらの外膜上にいくつかの細菌特異的な機能基を発現し、死んだ細菌とインプリントされた表面との間の部分的な機能的一致を提供してもよい。生きている細胞と死んだ細胞との両方は、ポリマーのマイクロキャビティを通る熱流動特性を変え、典型的には、固液界面において熱抵抗を増加させる。インプリント表面をすすぐと、インプリント表面上のマイクロキャビティから死んだ細菌を除去するために十分なせん断力を提供することができる。一方、生きているE.コリへのインプリント表面の暴露は、一回の洗浄によって反転できない熱抵抗の増加を生じ得る。インプリントと生きている細菌との間の結合は、インプリントと死んだ細菌との間の結合よりも安定であると考えられる。同じ種類の死んだ細菌と生きている細菌との間の違いは、インプリンティングの間にマイクロキャビティ内に生じる化学的機能化に基づいてもよい。
【0095】
実施例13 E.コリとS.アウレウスとの間の選択性
SIP被覆された基板は、実施例8および実施例9に記載されたように、S.アウレウス細胞(グラム陽性細菌)およびE.コリ細胞(グラム陰性細菌)で形成され、インプリントされた。SIP被覆された基板は、SIP被覆された基板と銅ブロックとの間の熱的接触を確保するために、被覆されていない研磨された背面を銅ブロックに機械的に押し付けられた。SIP被覆された基板は、PBSで満たされたフローセル内に配設された。時間依存性R
thデータは、SIP被覆された基板を、類似体の非標的細菌、および標的細菌に連続的に暴露することによって得られた。フローセルは、両方の暴露の間に、制御された速度で洗浄された。
【0096】
図18は、E.コリ インプリントSIPをS.アウレウス細胞のPBS懸濁液(濃度 1×10
7 CFU/mL)に暴露することが、固液界面における熱抵抗を0.62±0.14℃/Wだけ増加させたことを示す。PBSでフローセルをすすぐと、信号はベースラインに戻った(ΔR
th=0.07±0.21℃/W)。同一の濃度を有するE.コリ溶液を用いるサイクルの繰り返しは、0.96±0.16℃/W(洗浄後のΔR
th=0.94±0.12℃/W)のR
thの不可逆的増加を生じた。
図19に示されるように、S.アウレウス インプリントSIPを、E.コリに、続いてS.アウレウスに暴露したとき、同様の傾向が観察された。E.コリ細胞溶液への暴露は、R
th信号を0.76±0.09℃/W増加させたが、PBSでフローセルをすすぐと、熱抵抗は、ベースラインを超える0.12±0.11℃/Wの値で安定化した。SIPを標的細胞溶液に暴露すると、0.91±0.17℃/Wの熱抵抗の増加がもたらされた。PBSを用いる細胞の洗浄は、信号を顕著に変化させなかった(0.87±0.19℃/W)。
【0097】
したがって、
図18および
図19は、類似非標的細菌、および最終的には標的細菌への連続的な細菌暴露の間に、E.コリ(
図18)、またはS.アウレウス(
図19)でインプリントされたSIPの時間依存性R
th測定を示す。両方の場合、非標的細菌の添加は、熱抵抗の増加をもたらすが、緩衝液によるフローセルの洗浄後、信号は、ベースライン付近まで戻った。SIPへの標的細菌の結合は、R
thの不可逆性上昇をもたらした。これらの実験結果は、
図20のボックスプロットにまとめられている。
【0098】
実施例14 選択性試験および用量反応曲線
1×10
7CFU/mLの濃度を有するE.コリ細胞のPBSストック溶液の一部は、100、50、20、および10倍に希釈され、SIP被覆された基板(実施例8および実施例9に記載されたように、E.コリでインプリントされた)は、フローセル内の増加した濃度の標的E.コリ細胞に連続的に暴露された。各暴露工程の間において、フローセルは、0.25mL/分の速度で12分間にわたってエタノールですすがれ、続いて0.25mL/分の速度で12分間にわたってPBSですすがれた。この実験結果は、
図21に示される。結果は、SIP被覆された基板の検出限界(LoD)を特定する。
【0099】
E.コリ細胞が添加されたとき、熱抵抗が増加し、この増加は、濃度依存性であると考えられる。
図21に示される時間依存性の熱抵抗データは、SIP被覆された基板の1×10
5CFU/mLの濃度への暴露は、R
thの測定可能な増加をもたらさなかった。2×10
5CFU/mLの添加後、信号は増加し始めた。信号は、5×10
5CFU/mLの濃度において飽和し始めるようである。以前の実験からの結果に組み合わされたこれらの結果は、添加された標的細菌濃度の関数として対数目盛でR
thの応答を示す
図22に示される用量作用曲線を確立するために使用された。
【0100】
用量反応曲線は、以下の式に係る、経験的な指数フィット関数に従う。
【0101】
ここで、cは、E.コリの濃度であり、A,BおよびCは、定数である。
図22において得られたデータを通して描かれた指数フィットは、0.9901のR
2値を有する。
【0102】
実施例14と、
図21および
図22とに記載された感度試験は、本明細書に記載されたようなセンサが、試料中の標的細菌の濃度上昇に定性的に応答し、その応答を定量化することができることを示す。比較的低い濃度において、センサの応答は、ノイズレベル内に留まるであろう。しかし、閾値濃度(実施例14における約2×10
5CFU/mL)から始まり、R
th信号は、統計的に識別可能であるベースラインを超えて十分に高い値に増加する(十分な量の細胞が、インプリントポリマーにおけるマイクロキャビティに相互作用し、結合することを示し、ポリマーを流れる熱を防ぎ、それによって熱伝達抵抗を増加させる)。この効果は濃度が増加するにつれて示され始めるが、ポリマーは飽和するようである(実施例14では5×10
5CFU/mLを超える濃度において)。データへの指数フィットを用い、信号対ノイズ比が3よりも大きい濃度として検出限界を定義すると、実施例14における試料についての検出限界(LoD)は、1.5×10
5CFU/mLであった。LoDは、たとえば、沈降時間、スピンコート速度および加速度、テンプレート濃度、ならびにスタンプ表面の表面機能化などの細菌性インプリンティングについての合成手順によって影響され得る。また、信号のノイズは、電子ノイズの低減、遮蔽、遮断などによって向上させることができる。
【0103】
実施例15 半複合マトリクスにおけるE.コリの検出
溶液は、1:99の比率で、E.コリ細胞およびS.アウレウス細胞の両方を含んで作製された。細菌の総濃度は、1×10
7CFU/mLであった。この混合物は、連続的な濃縮実験において使用された。
【0104】
SIP被覆された基板は、実施例9において記載されたように、E.コリでインプリントされた。基板は、混合物に3回連続して暴露され、基板は、各暴露の間に緩衝液で洗浄された。
図23に示される結果は、信号(R
th)が、第1暴露の後、ベースラインに比べて顕著には増加しないことを示す。R
thは、第2暴露工程および第3暴露工程の後に増加する。細菌混合物に暴露した後、R
th信号は、最初に飽和まで増加する。
【0105】
各工程における飽和レベル(
図23の右のスケールを用いて示された)は、それぞれ、混合物に暴露した後、および緩衝液で洗浄した後、ΔR
thの比率として決定された。LoDは、破線として示され、3回の信号の標準偏差として規定され、26.4%に相当する。最初の2回のサイクル後、信号は、検出限界よりも非常に低い0.8±8.1%および11.8±7.8%に到達するのみであった。第3回暴露後、信号は、32.1±8.0%の飽和レベルにおいて検出限界を超える。
【0106】
特定の理論に何ら拘束されるものではないが、標的細胞および類似細胞は、第1暴露において、SIP被覆された基板に結合すると考えられる。洗浄後、信号は、ベースライン値とは顕著には異ならない値に低下した。混合物中の標的細胞(E.コリ)の総濃度は、実施例14において決定されたLoD以下の1×10
5CFU/mLにすぎなかった。さらに、E.コリ細胞は、SIP被覆された基板におけるマイクロキャビティに結合する類似細菌であるS.アウレウス細胞を99:1で上回った。E.コリ細胞は、S.アウレウス細胞によって既に占有されているマイクロキャビティに結合することができない。また、類似細菌は、立体障害が原因で、標的細菌が、SIP被覆された基板と相互作用することを防ぐことができる。
【0107】
これらの問題は、暴露サイクルの数を増やすことによって少なくとも部分的に克服することができる。各サイクルによって、信号は、飽和し、最終的にLoDに達すると考えられ、このことは、濃縮が、SIP被覆された基板の感受性を向上させることができ、複合混合物の増加に伴って低濃度の細菌を検出することができることを示す。
【0108】
実施例16 細菌を検出するための熱波分析
7種類の細菌でインプリントされたポリウレタン層であって、E.コリ、S.アウレウス、K.ニューモニエ(K. pneumoniae)、P.アエルギノーサ(P. aeruginosa)、S.エピデルミディス(S. epidermidis)、A.バウマンニイ(A. baumannii)、およびE.コリ K−12に感受性を有するポリウレタン層は、実施例9に記載されたように形成された。ポリウレタン層は、実施例10に記載されたようにフローセル中においてアルミニウム基質上に配設された。フローセルは、それぞれ時間の関数、銅ブロックの温度T
1を変化させるように構成された。
【0109】
各基板は、緩衝溶液における標的細菌の濃度上昇にさらされた。標的細菌の各濃度について、温度T
1は、一定期間にわたって一定に保たれ、続いて熱波を加えるために変えられた。基板の下の温度は、電力Pを加えることによって37℃で一定に保たれた。液体フローセルの温度T
2は、経時的に観察された。また、熱抵抗(すなわち、R
th=(T
1−T
2)/P)も、経時的に観察された。結果は、
図24〜
図30に示される。
【0110】
これらの結果は、フローセル中の標的細菌の量が増加すると、フローセル中の液体の温度(T
2)が、低下することを示す。このことは、細菌が、基板上のポリウレタンに結合しており、同様にT
2を低下させる固液界面における熱抵抗(R
th)を増加させることを示すと考えられる。
【0111】
各濃度における熱波が分析され、
図31〜
図37に示される。T
2における相対変化は、各波について測定され、その結果は、入力波に関して、時間でプロットされた。
【0112】
図31〜
図37におけるデータは、フローセルにおける標的細菌の濃度上昇が、基板を通って伝わる熱波の位相シフトと、熱波の振幅の低下とをもたらすことを示す。任意の特定の論理に拘束されないが、細菌が基板上のポリウレタンに結合するので、界面における熱抵抗を増加し、熱エネルギーを液体に伝達することを抑制すると考えられる。このことは、波の振幅変化から分かる。また、熱波は、観察された位相シフトをもたらすチップにわたってゆっくりと消散する。位相シフトおよび/または振幅変化は、試料中の細菌濃度に関連付けることができ、試料の特性を明らかにするために使用することができる。
【0113】
実施例17 細菌に対するインプリントSIPの選択性
細菌に感受性を有する7種類の細菌インプリントポリウレタン層、実施例16において試験されたものと同一のものは、交差選択性試験について使用された。また、他のSIPは、9枚全ての基板を試験することができるように、C.ディフィシル(C. difficile)と、E.セコルム(E. cecorum)とでインプリントされた。
【0114】
基板の選択性を決定するために、各SIPは、8種類の類似細菌に連続的に暴露され、最後に、実施例10に記載されたようなフローセルにおける標的(すなわち、インプリントされた細菌)に暴露された。各暴露工程において、細菌のPBS懸濁液(pH7.4、1×10
7CFU/mL)が、フローセルに注入された。各細菌について、温度T
1は、一定の期間にわたって一定に保持され、続いて熱波を適用するために変更された。基板の下の温度は、電力Pを加えることによって37℃で一定に保たれた。液体フローセルの温度T
2は、経時的に観察された。熱抵抗(すなわち、R
th=(T
1−T
2)/P)も、経時的に観察された。信号の安定化後、SIPは、任意の非結合材料を除去するために緩衝溶液で洗浄された。処理は、各細菌が、8種類の類似細菌が試験され、最後に標的が試験されるまで繰り返された。
【0115】
E.コリ SIPについての、時間依存性温度プロファイルと、TWTA分析とは、
図38に示される。これらの結果は、フローセル中の標的細菌量が増加すると、液体フローセルの温度(T
2)が、低下することを示す。このことは、細菌が、基板上のポリウレタンに結合し、固液界面における熱抵抗(R
th)を増加させ、同様にT
2を低下させることを示すと考えられる。基板がPBSで洗浄されたとき、標的以外の細菌は、洗い流される傾向がある。
【0116】
フローセルへの類似細胞の添加は、T
2の減少をもたらし、この減少は、緩衝液で洗浄することによって容易に反転可能であり、実施例13の結果に対応する。しかしながら、E.コリ K−12細胞の添加後、信号は、ベースラインには完全に戻らず、中間値で安定する。標的E.コリ細胞の添加は、信号を最小値までさらに低下させ、その後信号は、緩衝液を用いる洗浄によって一定に留まる。これらの知見は、TWTAによって確認される。
図39は、E.コリ インプリントされたSIP上の各細菌についてのTWTA試験について0.03Hzにおける位相シフトを示す。最初の7種類の類似細菌は、入力波と比べて伝達波における位相シフトを生じないが、類似体E.コリ K−12と、標的E.コリ細胞との両方への暴露は、E.コリ細胞について観察される測定可能な最大の位相シフトをもたらす。
【0117】
E.コリ K−12インプリントSIPにおける同様の実験は、
図40および
図41に示されるように、これらの結果を裏付ける。これらの実験に加えて、SIPは、試験において各細菌についてインプリントされ、標的細菌、および類似細菌に継続的に暴露された。データは、交差選択性が、これらのSIPを用いる同様の実験において観察されなかったことを示している。これらの実験の結果は、表2にまとめられる。
【表2】
実施例17に記載された結果は、1以上のインプリントSIPを有するセンサプラットフォームが、定量的な方法で、緩衝液中の様々な種類の細菌を選択的に識別することができることを示している。
【0118】
実施例18 複合混応物に暴露されたときのインプリントSIPの選択性
現場での細菌検出および同定中に遭遇する試料は、微量の標的に加えて、過剰の競合分子および細胞を含むことが予測され得る。この条件を刺激するために、実施例9に記載されたような、S.アウレウスを用いるインプリントSIPは、SIPを細菌の混合物に暴露する進行性濃縮実験について選択された。S.アウレウスと過剰の8種類の非標的細菌とを含む、実施例19において試験された9種類の細菌の混合物が作製された。各非標的細菌に対するS.アウレウスの比率は、1:99であり、細菌の総濃度は、1×10
7CFU/mLであった。SIPは、混合物に5回連続して暴露され、各暴露の間に緩衝液(PBS)で洗浄された。
【0119】
時間依存性の温度プロファイルは、
図42に示される。SIPに基づく細菌検出のための測定技術としてTWTAを評価するために、HTMは、参照技術として使用された。したがって、熱抵抗R
thは、式2に従って温度プロファイルから計算された(実施例5を参照)。
【0120】
熱抵抗データは、
図43に示され、中程度フィルタを目へのガイドとして利用することによって単純化された。漸進的濃縮の効果をより明確に視覚化するために、R
th応答の飽和レベルは、フローセルへの混合物の添加による最大効果量での洗浄後、正味効果量を除算することによって、(細胞の暴露に続く洗浄からなる)各暴露サイクルについて計算された。これらの結果は、4〜5の暴露サイクル後、検出限界に達するまで、各暴露サイクル正味信号が徐々に増加することを示している。検出限界値は、
図43において破線として示され、測定(すなわち、3σ法)を通じてR
th信号の3倍最大誤差として規定された。
【0121】
図44に示されたTWTAデータは、同様の傾向を示す。各暴露サイクル後、伝達された波において観察された正味位相シフトは、徐々に増加し、第3の暴露サイクル後、信号は、検出限界に到達する。
【0122】
混合物中の過剰な競合細菌が原因で、少量の標的細菌のみしかSIPに結合することができないと考えられる。したがって、熱抵抗R
th(
図43)と位相シフト(
図44)とにおける応答は、標的細菌のみに暴露されたときよりも明確ではないであろう。暴露の数が増加すると、応答は、徐々に増加し、最後に検出限界レベルに達する。なぜなら、非標的細菌は、SIPから洗い流され、次のサイクルにおいて標的細菌を受け入れ可能な結合部位を暴露するからである。HTMについての信号のノイズが顕著に高いので、HTMについてのLoDは、4、または5の連続的サイクル後にのみ到達されるが、一方、側定法としてTWTAを用いると、有意であるとみなすことが可能な測定可能な信号は、2〜3のサイクル後、既に明らかである。熱波のノイズ量が少ないので、TWTA原理の開発は、熱的細菌特定の価値ある進歩と考えることができる。
【0123】
本明細書に記載された方法および装置は、同様の細菌株だけではなく、同一株の、生きている細菌と死んだ細菌とを識別するために使用されてもよいことが思いがけなく見出された。任意の特定の理論に拘束されないが、生きているE.コリと、死んだE.コリとの間の界面化学の相違は、それらの形態学的同一性にも関わらず、それらを識別するために十分であるようである。
【0124】
さらに、非標的分析物(たとえば、標的分析物細菌に似ているが、同一ではない細菌)のすすぎは、他の結合部位から標的分析物を除去することなく、非標的分析物の結合部位を解放することによって、ポリマー材料の検出能力を増加させることができることが予期せず見出された。したがって、標的分析物によって最初に占有された結合部位は、占有されたままであってもよく、非標的(類似体)分析物によって最初に占有された結合部位は、別の分析物との(特に、標的分析物との)再結合のために排除されてもよい。おそらく、インプリント内部のいくつかの機能基に互換可能である細胞膜上の細菌特異的な機能基の存在によって、類似細菌は、いくらかインプリントに結合してもよい。しかしながら、その結合は、洗浄によって提供されるせん断力に耐えるとは考えられない。標的細菌は、一方、熱抵抗が洗浄後に高いレベルで留まるように、ポリマーに固く結合したままであると考えられる。そのような排除および再結合は、同様の、または関連した分析物の複合混合物を特徴付けるために有用であるであろう。なぜなら、関連した分析物は、お互いにインプリントされた部位に弱く結合する傾向があるからである。分析物を排除および再結合することによって、低濃度の標的分析物を検出することができる。
【0125】
本明細書に記載された方法および装置は、定常状態分析法、または熱波分析法と組み合わせて使用されてもよい。様々な形状の基板が使用されてもよく、データ(たとえば、温度)は、ポリマー材料で被覆された基板において、または被覆された熱電対において、分析されるべき液体中などの様々な点で収集されてもよい。
【0126】
本明細書において記載された方法は、従来、複雑な設備と高度に訓練された人員とを有する実験室において実施される、リアルタイム、またはほぼリアルタイムで細菌を特徴付けるために使用されてもよい。したがって、方法および装置は、より早く、安価なデータ収集を可能にし、たとえば、住民に発生した細菌を特定することによって、転帰を向上させることができる。そのような方法は、ヘルスケア、環境安全性、食品安全(たとえば、水中細菌、空中細菌、および食品媒介細菌)、およびテロリズム対策(たとえば、炭そ菌などの検出によって)において有益であろう。