【実施例】
【0093】
驚くべきことに、本発明者らは、HLA−B57オープンコンフォーマーが、NK細胞、T細胞、骨髄由来細胞(マクロファージ及びMDSC)に存在する種々の免疫調節表面受容体と相互作用し、インビトロでTregの分化及び抑制機能を調節することを見出した。
【0094】
本発明者らは、驚くべきことに、特にFc免疫グロブリン断片を含む融合タンパク質として存在する場合、HLA−B57オープンコンフォーマーが癌治療において有用であり得ることを見出した。HLA−B57−Fc分子は、単独で、又は他の癌治療剤と併用して使用することができる。
【0095】
さらに、彼らは、チェックポイント阻害剤又はアゴニスト抗体を用いた単独療法的又は併用的アプローチとしてB57
2−Fcの注射による新規のインビボ作用様式を発見した。B57
2−Fc単独又は併用治療は、M1/M2細胞の増加の割合、NK細胞の浸潤の増加、CD8
+T細胞/Treg比の増加、及びMDSC浸潤の減少により特定されたとおり、腫瘍への多様な白血球の集合の浸潤を調節することができる。全体的に、B57
2−Fcの単独又はアンタゴニスト/アゴニスト抗体を用いた併用的アプローチの作用様式は、癌の治療に関連することは疑いがなく、癌免疫療法における現在の臨床的必要性と相関する。
【0096】
HLA−B57Fcオープンコンフォーマーは、癌及び感染性疾患の場合のように、免疫調節が治療的アプローチである疾患を標的とするための治療剤として使用することができる。
【0097】
インビトロ試験
B57
2−Fc分子は、iTreg分化をブロックし、Treg抑制に負の影響を及ぼすことによって免疫応答を調節することができる(
図2〜3)
【0098】
B57
2−FcはネズミCD4
+T細胞のiTregへの変換をブロックする
iTreg変換のためのナイーブCD4
+T細胞に対するHLA分子の影響に関し、iTreg変換のための最適培養条件において、ナイーブCD4
+T細胞と共にインキュベートしたB57
2−Fc、B57−β2m−Fc、アイソタイプ及PBSの用量依存性(μg/mL)を分析した。B57
2−Fcは、CD25(
図2A、C)及びFoxP3(
図2B、D)の誘導をダウンモジュレーションすることを実証した。
【0099】
B57
2−Fcは、TregによるマウスCD8
+T細胞の抑制を損なう
応答細胞としてバイオレット標識されたナイーブCD8
+T細胞を用いてネズミTregの抑制機能を測定した(
図3)。TregをB57
2−Fc及び対照B57−β2m−Fc、及びアイソタイプ抗体と共培養し、そして96時間後にCD8
+T細胞の増殖を測定した。CD8
+T細胞単独が強力な増殖を示し、予想通り、Treg細胞は、対照(B57−β2m−Fc及びアイソタイプ)と共にインキュベートした場合、CD8
+T細胞の増殖を抑制した。驚くべきことに、Tregの抑制機能は、CD8
+T細胞の強い増殖により示されるB57
2−Fcの存在下で大きく損なわれた(
図3A)。B57
2−Fcの効果は用量依存的であった(
図3B)。
【0100】
B57
2−Fcは、白血病T細胞の増殖を阻害する
異なる癌細胞株におけるB57
2−Fc増殖効果の効果を測定した(
図4)。結果は、B57
2−Fcが対照対応物B57−β2m−Fc又はアイソタイプIgG4と比較してリンパ腫T細胞株の増殖を調節し、標的治療としてのリンパ腫の治療への潜在的適用を示していることが実証された。
【0101】
B57
2−Fcは、白血球の様々な型で発現される免疫調節受容体に結合する
本発明者らは、B57
2−Fcが酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により特定の免疫調節受容体と相互作用するかどうかを測定した。結果は、B57
2−Fcが、そのB57−β2m−Fc対照対応物とは異なり、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR3DL3、LILRB1、LILRB2及びPirb受容体と相互作用することを実証した(
図5A〜D)。さらに、類似のHLAオープンコンフォーマー分子が同じ受容体と相互作用するが、異なる親和性を有するかを実証するために、B27
2−Fc及びB27−β2m−Fcもまた比較した。
【0102】
CHO細胞におけるヒトFc融合タンパク質としてのB57オープンコンフォーマーの産生
治療上の観点からの有効な戦略とは、溶解性、安定性、結合活性、半減期の増加、及び哺乳動物系での技術的観点、費用対効果の高い生産及び精製のために安定な型(Fc融合)においてHLA−B57オープンコンフォーマー分子を産生することである。B57−β2m−Fc複合体は、HLA−B57のα1,2及び3ドメインを、ヒトIgG4−Fcベクターカセット(
図6A)に、B57−β2m−Fcタンパク質の細胞外産生に必要なヒト−β2mベクターと共に挿入することにより産生される(
図6A、B)。チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)細胞におけるトランスフェクションは、B57−Fcベクター+β2mベクターの両方を1:1の比率で用いて行った。上清を回収し、標準的な抗体精製手順(組換えタンパク質精製ハンドブック(Recombinant Protein Purification Handbook)、原則及び方法、2009.GEヘルスケア(GE Healthcare)、18−1142−75)を用いてB57−β2m−Fcを精製した(
図6B)。B57−Fc遊離重鎖からのβ2mの分離は、SEC又は透析法を用いて変性状態を利用し行った。リフォールディング緩衝液において希釈法を用いてB57
2−Fcのリフォールディングを評価し、ウエスタンブロットにより分析した(データは示さず)。
【0103】
多様な同系結腸癌マウスモデルにおけるPD−1、PD−L1及び4−1BB抗体を用いたB57
2−Fcの前臨床併用療法試験
免疫調節治療分子としてのB57
2−Fcのインビボでの概念実証試験(proof of concept study)は、単剤として及びPD−1、PD−L1又は4−1BB抗体との併用療法としてネズミ結腸癌(C38)、膵臓癌(Pan02)及びメラノーマ(B16−F10)同系マウスモデルにおいて実証された。
【0104】
結腸癌モデルについては、確立された手順に従って、同系マウスの脇腹にC38断片腫瘍を皮下注射した。腫瘍が約80mm
3(腫瘍の移植後1〜2週間)に達すると、マウスを腫瘍体積に従って統計的に区分した。B57
2−Fcを3日ごとに7回(Q3D×7)腹腔内注射し、PD−1は週2回(biwk×2回)、4回注射した(
図7A)。
【0105】
結腸癌(C38)においてB57
2−FcとPD−1抗体の併用が腫瘍を有意に減少させることをデータにより実証した(
図7B)。併用療法B57
2−Fc+PD−1は、アイソタイプ対照抗体に対し、腫瘍体積を著しく減少させた(333mm
3対2120mm
3、それぞれp<0.01)。さらに、併用療法B57
2−Fc+PD−1は、PD−1単独療法に対し、有意な腫瘍サイズの減少を示した(333mm
3対1423mm
3、それぞれp<0.01)(
図7B)。B57
2−Fc単独療法又はPD−1単独療法は、実験終了時のアイソタイプ対照との差異を示さなかったが、24日目に、PD−1対アイソタイプ(151mm
3対652mm
3、p<0.01)と同様に、B57
2−Fc処置マウスはアイソタイプと有意に異なり(384mm
3対652mm
3、p<0.05)(
図7B)、これはB57
2−Fc単独療法も結腸癌マウスの腫瘍進行において免疫調節効果も有することを示す。
【0106】
膵臓(Pan02)及びメラノーマ(B16F10)マウスモデルについては、確立された手順に従って、同系マウスの右脇腹にそれぞれ1×10
5の細胞を注射した。腫瘍が約80mm
3(細胞注入後1〜2週間)に達すると、マウスを腫瘍体積に従って統計的に区分した(
図8A、14A)
【0107】
膵臓(Pan02)においてB57
2−Fc単独療法及びPD−1抗体との併用が腫瘍を有意に低減し得ることをデータにより実証した(
図8B、9B)。併用療法B57
2−Fc+PD−1はアイソタイプ対照抗体に対し、腫瘍容積の著しい有意な減少を示した(216mm
3対799mm
3、それぞれp<0.0001)(
図8B)。さらに、併用療法B57
2−Fc+PD−1はPD−1単独療法に対しても有意な腫瘍サイズの減少を示した(216mm
3対445mm
3、それぞれp<0.01)(
図8B)。B57
2−Fc単独療法は、アイソタイプと比較して有意に異なっていた(545mm
3対799mm
3、それぞれp<0.05)。PD−1単独療法は、アイソタイプと比較して有意に異なっていた(445mm
3対799mm
3、それぞれp<0.0001)(
図8B)。
【0108】
膵臓(Pan02)において、PD−L1抗体と併用のB57
2−Fc研究は、腫瘍を有意に減少させた(
図9A〜B)。併用B57
2−Fc+PD−L1はアイソタイプに対し、有意な腫瘍サイズの減少を示した(それぞれ397mm
3対799mm
3、p<0.0001)(
図9A)。PD−L1単独療法は、アイソタイプと比較して有意に異なっていた(531mm
3対799mm
3、それぞれp<0.01)(
図9A)。
【0109】
膵臓(Pan02)マウスの腫瘍免疫組織は、B57
2−Fc療法が腫瘍浸潤白血球の多様な集団に及ぼす影響を示した(
図10〜13)。B57
2−Fc単独療法は、対照アイソタイプと比較し、NK細胞の浸潤を増加させ(p<0.05)(
図10A)、腫瘍中のM1型マクロファージの存在が助けとなりマクロファージM1/M2細胞比を有意に改良した(p<0.05)(
図11B)。PD−1単独療法と比較して、PD−1とのB57
2−Fc併用療法は、腫瘍におけるMDSC細胞の浸潤を有意に減少させ(p<0.05)(
図10C)、マクロファージの浸潤を減少させ(p<0.05)(
図11A)、アイソタイプ及びPD−1単独療法と比較した場合にマクロファージM1/M2比を有意に改良した(p<0.001)(
図11B)。PD−L1とB57
2−Fc併用療法(
図12〜13)は、アイソタイプ(p<0.01)及びPD−L1(p<0.05)と比較してマクロファージM1/M2細胞比を有意に改良した(
図13E)。
【0110】
メラノーマ(B16F10)において、4−1BBアゴニスト抗体とのB57
2−Fc併用が腫瘍を有意に減少させることをデータにより実証した(
図14〜15)。併用療法B57
2−Fc+4−1BBはアイソタイプ対照抗体に対し腫瘍体積の減少において顕著な差を示した(756mm
3対1424mm
3、それぞれp<0.0001)(
図14B)。さらに、併用療法B57
2−Fc+4−1BBは4−1BB単独療法に対しても、有意な腫瘍サイズの減少を示した(756mm
3対1199mm
3、それぞれp<0.01)(
図14B)。4−1BB単独療法は、アイソタイプと比較して有意に異ならなかった(1199mm
3対1424mm
3)。PD−1単独及び併用療法は、群間で有意性を示さなかった(
図15A)。しかしながら、三剤併用治療(B57
2−Fc+4−1BB+PD−1)はアイソタイプと比較して有意差が高かったが(p<0.0001)、併用療法B57
2−Fc+4−1BBよりも優れてはいなかった(
図15A〜B)。
【0111】
メラノーマ(B16F10)処置動物の腫瘍免疫組織は、B57
2−Fc治療の腫瘍浸潤白血球の多様な集団による影響を実証した(
図16〜17)。B57
2−Fc単独療法は、アイソタイプと比較した場合、腫瘍内部のMDSC細胞の存在を有意に減少させた(p<0.05)(
図16C)。4−1BB抗体を用いたB57
2−Fc併用療法は、アイソタイプ及び4−1BB単独療法と比較して、CD8
+T細胞/Tregの比(p<0.05)で測定したとおりCD8
+T細胞対Treg細胞の存在を有意に改良し(
図16B)、MDSCの存在を有意に減少させ(p<0.05)(
図16C)、マクロファージM1/M2細胞比を有意に改良した(p<0.05)(
図17B)。4−1BB及びPD−1抗体を用いたB57
2−Fc三剤併用療法は、NK細胞の腫瘍への浸潤を有意に誘導し(p<0.05)(
図16A)、アイソタイプと比較してCD8
+T細胞/Treg比を著しく改良し(158%対23%、それぞれp<0.0001)、そして他のすべての群とも比較し改良した(
図16B)。さらに、腫瘍内のMDSC細胞の存在を有意に減少させ(
図16C)、他のすべての群と比較してマクロファージM1/M2細胞比を有意に改良した(
図17B)。
【0112】
結論
結腸、膵臓及びメラノーマの前臨床同系マウスモデルを用いて、癌と戦うためのB57
2−Fc分子を使用する原理証明が実証された。本データは、PD−1、PD−L1又は4−1BB抗体のようなチェックポイント阻害剤及び/又はチェックポイントアゴニスト剤のセットとの併用療法及び/又は単独療法のいずれかとしてのB57
2−Fcの治療的可能性を実証する。
【0113】
B57
2−Fcの作用様式もまた、インビボにおいて白血球の腫瘍浸潤を立証することにより、膵臓及びメラノーママウスモデルを評価した。B57
2−Fc治療は、マクロファージM1/M2細胞比の増加、MDSCの浸潤の減少、CD8
+T細胞/Treg比の浸潤率の増加、及びNK細胞の浸潤の増加により測定されるとおり、マウスの腫瘍への多様な白血球の集団の浸潤を調節することができる。全体的に、B57
2−Fcの単独又はアンタゴニスト/アゴニスト抗体を用いた併用アプローチの作用様式は、癌の治療に関連することは疑いがなく、かつ癌免疫療法における現在の臨床的必要性と相関する。
【0114】
B57
2−Fcは免疫調節薬の新規クラスとして出現する。インビトロ及びインビボのデータは、B57
2−Fc分子が抗腫瘍免疫の活性化のためのスイッチオン機構として作用するメカニズムを示す。本発明者らは、理論に縛られることなく、骨髄細胞(マクロファージ、MDSC)、T細胞及びNK細胞に存在する多様な免疫調節受容体に結合するHLA−B57オープンコンフォーマーの相互作用が相乗的に関与し、免疫応答を悪化させると仮定する。
【0115】
材料及び方法
動物及び細胞株
インビボ実験は、マウス由来結腸癌C38細胞株、膵管腺癌Pan02マウス細胞株、及びメラノーマB16F10マウス細胞株を用いてC57Bl/6マウスで実施した。
【0116】
インビトロ実験細胞株:EG.7、マウスT細胞リンパ腫;Jurkat、ヒトT細胞リンパ腫;L428、ヒトホジキンリンパ腫;L540、ヒトホジキンリンパ腫;L1236、ヒトホジキンリンパ腫;Daudi、B細胞リンパ腫;IMR−5、神経芽細胞腫;SK−N−AS、神経芽細胞腫;M130428、メラノーマ。
【0117】
インビボ治療
C38腫瘍断片を6週目に同系雌性C57BL/6マウスの右側腹部に皮下注射した。Pan02及びB16F10細胞株を6週目に同系マウスの右側腹部に1×10
5で注射した。結腸(C38)、膵臓(Pan02)及びメラノーマ(B16F10)において腫瘍が結腸で±80mm
3に達したら、個々の腫瘍体積の大きさに従って動物を区分し、それらの間に統計的差異を示さない群に分けた。腫瘍直径はカリパスを用いて測定し、D/2×d
2式に従って体積を計算した。ここで、D及びdはそれぞれ腫瘍の最長及び最短直径(mm)である。
【0118】
結腸(C38)については、細胞の注入時点及び物質の注射の実験設計は次の通り確立した:ビヒクル(PBS200μL);アイソタイプ(10mg/kg)Q3D×7;B57
2−Fc(10mg/kg);PD−1 biwk×2(200μg);B57
2−Fc+PD−1(それぞれQ3D×7及びbiwk×2);B27
2−Fc+PD−1(それぞれQ3D×7及びbiwk×2)。膵臓(Pan02)については、物質の注射の実験設計は次の通りであった:アイソタイプ(5mg/Kg)biwk×3;B57
2−Fc(5mg/kg)biwk×3;PD−1 biwk×3(5mg/Kg);PD−L1 biwk×3(5mg/Kg);B57
2−Fc+PD−1(biwk×3)及びB57
2−Fc+PD−L1(biwk×3)。メラノーマ(B16F10)について、物質の注射の実験設計は次の通りであった:アイソタイプ(5mg/Kg)biwk3回注射;B57
2−Fc(5mg/Kg)biwk3回注射;4−1BB抗体(1mg/kg)biwk3回注射;PD−1 biwk3回注射(5mg/kg);B57
2−Fc+4−1BB biwk3回注射、B57
2−Fc+PD−1 biwk3回注射、PD−1+4−1BB biwk3回注射、及びB57
2−Fc+4−1BB+PD−1 biwk3回注射。
【0119】
フローサイトメトリーのための腫瘍試料の調製は、イーバイオサイエンス(eBioscience)により記載された手順を用いて行った(https://www.ebioscience.com/media/pdf/best−protocols/cell−preparation−for−flow−cytometry.pdf、2017年2月21日にアクセスした)。
【0120】
抗体
インビトロ試験のための白血球マウス集団を以下のもので染色した:CD3(PE−Cy7−イーバイオサイエンス(eBioscience))、CD4(FITC−BD バイオサイエンス(Bioscience))、FoxP3+(efluor450−イーバイオサイエンス)、CD45(PerCP−イーバイオサイエンス)、CD3(PE−イーバイオサイエンス)、NK1.1(BV421−イーバイオサイエンス)、CD11b(FITC−イーバイオサイエンス)、CD11c(FITC−イーバイオサイエンス)、CD25(PE−Cy7−バイオレジェンド(Biolegend))。
【0121】
HLA−B及び−C対立遺伝子のβ2m遊離重鎖及びB57
2に結合するHC10mAb(IgG2a)は、Hidde Ploegh博士(マサチューセッツ工科大学(MIT)、マサチューセッツ州)からの贈与であった。
【0122】
腫瘍サンプル由来のフローサイトメトリー抗体を以下のもので染色した:CD45(FITC;クローン30−F11;バイオレジェンド(Biolegend))、CD3(PerCP/Cy5.5;クローン17A2;バイオレジェンド)、CD4(BV510;クローンGK1.5;バイオレジェンド)、CD8(APC−H7;クローン53−6.7;BD)、FoxP3(PE;クローンFJK−16S;イーバイオサイエンス)、CD11b(BV650;クローンM1/70;バイオレジェンド)、F4/80(PE/Cy7;クローンBM8;バイオレジェンド)、Gr−1(APC−R700;クローンRB6−8C5;BD)、NK1.1(BV605;クローンPK136;バイオレジェンド)、CD206(APC;クローンC068C2;バイオレジェンド)、CD86(BV421;クローンGL−1;バイオレジェンド)、L/D染色(BUV395;インビトロジェン(Invitrogen))。
【0123】
チェックポイント阻害剤抗体抗マウスPD−1クローンRMP1−14はBio×Cellから得た。チェックポイント阻害剤抗体抗マウスPD−L1クローン:10F.9G2をBio×Cellから得た。アゴニスト抗体抗マウス4−1BBクローン3H3はBio×Cellから得た。
【0124】
白血球のフローサイトメトリー
フローサイトメトリー分析はFACScantoII(BDバイオサイエンス(BD Bioscience))を用いて行い、データはFlowJoバージョン7.6.4を用いて分析した。
【0125】
Tregの生成
ネズミCD4
+T細胞におけるFoxP3の発現を誘導するために、C57BL/6脾細胞からの脾臓細胞を採取し、精製(マウスナイーブCD4
+T細胞単離キット−EasySep)したCD4
+Tナイーブ細胞を得た。次いで、細胞を、5μg/mL抗CD3mAb(イーバイオサイエンス)、可溶性2μg/mL抗CD28mAb(バイオレジェンド)、10μg/mLのTGF−β1(R&Dシステムズ)及び100IU/mLのIL−2(R&Dシステム)で被覆した96ウェルプレートにおいて、10
5細胞/200μL/ウェルで96時間培養した。
【0126】
B57
2−Fcの存在下でのiTreg変換
iTreg変換のための最適培養条件におけるマウスナイーブCD4
+T細胞を、B57
2−Fc、B57−β2m−Fc、B27−β2m−Fc、アイソタイプIgG4及びPBSの異なる用量濃度(μg/200μL)の存在下で72時間インキュベートした。iTreg変換をフローサイトメトリーにより測定した。
【0127】
抑制アッセイ
CD4
+又はCD8
+T−エフェクター細胞は、マウス又はヒト(マウスナイーブCD4
+T細胞単離キット−EasySep;ダイナビーズ(Dynabeads)(登録商標)FlowComp
TMマウスCD8−ライフテクノロジーズ(Life Technologies);ダイナビーズ(登録商標)CD8ヒト−ライフテクノロジーズ)のいずれかから精製し、10μM細胞トレースバイオレット増殖染色(Molecular Probes)でラベル付けした。CD3(イーバイオサイエンス)(3μg/mL)及び可溶性CD28(イーバイオサイエンス)(1μg/mL)を被覆した96ウェルU底プレートにおいて、Tregs(2.5×10
4)細胞及びT−エフェクター細胞(2.5×10
4)を96時間インキュベートした。FACScantoIIを用いてT−エフェクター細胞の増殖を測定し、FlowJoバージョン7.6.4の増殖分析ソフトウェアを用いてデータを分析した。
【0128】
増殖アッセイ
細胞を5×10
5細胞/ウェルの密度で円形96ウェルプレートに播種し、続いて異なる濃度(10、5、及び2μg/ウェル)の薬物を1日間添加した。XTT増殖アッセイをマニュアルの指示(細胞増殖キットII、ロシュ(Roche))に従って実施した。マイクロタイタプレートリーダーを用いて450nmでのウェルの吸光度の結果を得た。
【0129】
ELISAアッセイ
競合ELISAアッセイは、10μg/mLの選択された組換え白血球受容体(ヒトKIR3DL1、ヒトKIR3DL2、ヒトKIR3DL3、ヒトLILRB1、ヒトLILRB2、及びマウスPirb)で被覆したMaxisorp(ヌンク(Nunc)、スイス)96ウェルプレートを用いて行った。受容体を終夜4℃でインキュベートし、5%粉乳−PBSで2時間ブロックした。B57
2−Fc、B57−β2m−Fc、B27
2−Fc、B27−β2m−Fc、及びアイソタイプIgG4を2μg/mLで2時間室温にて添加した。ヒトFcに対するHRP結合抗体を検出器として使用した。
【0130】
B57
2−Fcの産生、精製及びリフォールディング
B57−β2m−Fcの組換え産生は、HLA−B57のα1、2及び3ドメインをヒトIgG4−Fcベクターに挿入し、ヒトβ2−ミクログロブリン(β2m)を別個のベクターに挿入することによって達成された。組換えB57−β2m−Fcの産生は、B57−Fcベクターとβ2mベクターとをチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞への同時トランスフェクションすることにより行った。B57−β2m−Fcの産生は、Evitria AGに外注した。
【0131】
B57−β2m−Fcの精製は、抗体精製のための従来の手順を用いて行った。B57
2−Fcの産生は、B57−β2m−Fc複合体からβ2mを除去するために変性工程を加えて行った。
【0132】
簡潔には、B57−β2m−Fcの捕捉ステップは、プロテインGカラム(アマシャム ファルマシア(Amersham Pharmacia))を介して上清(5mL/分)を流した後に行った。中間精製工程は、溶出緩衝液(100mMグリシン、pH2.0)を用いてプロテインG−カラムからB57−β2m−Fcを溶出し、8M尿素、100mMトリス−HCl pH8.0において画分を回収することにより実施した。第一の洗練工程は、AKTAシステム(GE ライフサイエンス)を有するスーパーデックス200プレップグレード又はセファクリルS−100HR(GE ライフサイエンス(GE Lifescience))を用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、又は30KDa又は50KDaの細孔サイズ(ミリポア(Millipore))の膜を使用した透析によりB57−Fc単量体画分をβ2mから分離することであった。両方の手順から回収したB57−Fc単量体を、100倍体積のリフォールディング緩衝液(50mMトリス−HCl pH8.5、500mMのL−アルギニン、1mMのEDTA、0.15mMのNaCl、1%スクロース、0.01%のTween−20)中、8時間間隔で3回、B57−Fc単量体を振動させた後、希釈法によりリフォールディングした。SECによる第二の洗練工程では、さらなる不純物を除去し、B57
2−Fc分子の新たに回収された画分を希釈緩衝液(PBS、1%シスクロース及び0.01%Tween−20)に交換することを行った。B57
2−Fcの精製溶液を、0.2μm膜(ミリポア)を用いて濾過滅菌した。
【0133】
画分B57−β2m−Fc複合体及びB57
2−Fcを、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)及びHC10(HLA遊離重鎖に特異的)抗体を用いたウエスタンブロットによって分析した。β2mウエスタンブロットを、変性条件(10mM DTT)の有無にかかわらず実施した(データは示さず)。
【0134】
HLA−B57対立遺伝子の完全及び部分配列
N末端からC末端までの全長HLA−B57α鎖の機能的ドメインは、シグナルペプチド、α1、α2、α3、膜貫通ドメイン及び細胞質尾部である。
【0135】