(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置が、前記加熱および冷却システムが前記流体タンクを加熱することを可能にすること、ならびに、前記超音波処理器を作動させて、前記流体タンクを超音波処理することにより、前記流体タンク中の前記液体を脱ガスするようさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
前記制御装置が、前記加熱および冷却システムが前記流体タンクを冷却することを可能にすること、ならびに、前記超音波処理器を作動させて、前記流体タンクを超音波処理することにより、前記流体タンク中の前記脱ガスされた液体を再ガス化するようさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
前記第1の流体ラインおよび前記第2の流体ラインを、代謝可能であり、溶解可能でありかつ無毒性であるガスで洗い流す装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
プログラマブルプロセッサにより実行されるとき、ガスを含む医療用液体を輸液する方法の実行を引き起こすプログラムコードを含む、非一時的コンピューター可読媒体であって、
ヘムを含有しない液体が所定の温度に到達するまで前記液体を加熱すること、および、前記加熱した液体を脱ガスしつつ、真空ポンプを作動することにより、流体タンク中の前記液体を脱ガスするためのコンピュータープログラムコードであって、前記流体タンクは、ガス源および前記真空ポンプに連結されるとともに、加熱および冷却システムならびに超音波処理器を含む、温度制御される容器に備えられる、コンピュータープログラムコードと、
前記液体が所定の温度に到達するまで前記液体を冷却すること、前記冷却した液体の圧力を増加させつつ、第1の流体ラインを介して前記ガス源から前記流体タンクにガスを放出すること、および、前記ガスで前記液体を飽和させるための時間で、増加した圧力で前記ガスに前記液体をさらすことにより、前記流体タンク中の前記脱ガスされた液体を再ガス化するためのコンピュータープログラムコードと、
第2の流体ラインを介して前記流体タンクからカテーテルに前記再ガス化された液体を送達するためのコンピュータープログラムコードと、を含む、非一時的コンピューター可読媒体。
前記加熱および冷却システムが前記流体タンクを加熱することを可能にすること、ならびに、前記超音波処理器を作動させて前記流体タンクを超音波処理することにより、前記流体タンク中の前記液体を脱ガスするためのコンピュータープログラムコードをさらに含む、請求項9に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
前記加熱および冷却システムが前記流体タンクを冷却することを可能にすること、ならびに、前記超音波処理器を作動させて前記流体タンクを超音波処理することにより、前記流体タンク中の前記脱ガスされた液体を再ガス化するためのコンピュータープログラムコードをさらに含む、請求項9に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【発明を実施するための形態】
【0016】
主題は、ここで、本明細書の一部をなし、説明の目的で、本発明が実施され得る典型的な実施形態を示す、添付の図面を参照して本明細書において以下でより完全に記載されるだろう。しかしながら、主題は、様々な異なる形態で具体化され得、故に、カバーされるか、または請求される主題は、本明細書において説明される任意の例示実施形態に制限されないとみなされることを意図し、例示実施形態は、単に実例であるよう提供される。他の実施形態が利用され得ること、および構造上の変更が、本発明の範囲を逸脱することなくなされ得ることは理解されるべきである。同様に、請求されるか、またはカバーされる主題について合理的な広い範囲が意図される。数ある中でも、例えば、主題は、方法、装置、構成要素、またはシステムとして具体化されてもよい。したがって、実施形態は、例えば、ハードウェア、ソフトウエア、ファームウェア、またはその任意の組み合わせ(ソフトウエア自体以外)の形態をとってもよい。それ故、以下の詳細な説明は、制限する意味でとられることを意図しない。
【0017】
明細書および請求項を通じて、用語は、明確に述べられた意味を超え、文脈において示唆されるか、または暗示される微妙な意味を有してもよい。同様に、本明細書において使用される語句「1つの実施形態において」は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではなく、本明細書において使用される語句「別の実施形態において」は、必ずしも異なる実施形態を指すわけではない。例えば、請求される主題は、典型的な実施形態の組み合わせを全体または一部で含むことが意図される。
【0018】
本出願は、組織の範囲を灌流する動脈中のカテーテルを介してヒト組織に、溶存状態かつ公知の濃度の医療用ガスを送達することができるという医療上の要求に取り組む。酸素(O
2)、二酸化炭素(CO
2)、および、一酸化窒素(NO)のような非常に短い半減期のバイオメッセンジャー分子ガスなどの鍵となる代謝上活性なガスが、かかる手段により送達され得る。1つの実施形態は、濃縮した量の低粘度の流体中のO
2を、低い血流状態(心筋梗塞、脳虚血など)を有する虚血組織において高い分圧にて送達することによる、動脈内(IA)療法中の虚血組織への顕著に増大するO
2送達を含む。
【0019】
したがって、流体送達装置は、患者の動脈に送達され得る流体中に溶解したO
2の量を顕著に増大させるために提供され得る。装置は、注射用流体/液体保存液をまず脱ガスして、それから、その、例えば、窒素(N
2)およびO
2ガスを取り除き得る。これは、好ましくは、撹拌(例えば、超音波処理など)ありもしくは撹拌なしでの、加熱、真空(例えば、ヘンリーの法則)または2つの組み合わせで行われる。次に、流体/液体は、例えば、100%酸素で再ガス化され得る。この流体とガスの混合物は、その温度および圧力における流体の潜在的ガス溶解度の全てが単一のガスによって取り込まれるので、モノ飽和流体とみなすことができる。さらなるO
2を、増大した圧力および冷却で溶解させることができる。プロセスを繰り返して、液体に含有されるO
2の総量を増すことが可能である。血液中で、通常
、ヘム
を含有
しない流体は、たった3%の酸素を保有し、それは、生活を支えるのに十分ではない。しかしながら、本出願において記載される方法を使用して
、ヘム
を含有しない流体/液体により保有されるO
2の量を顕著に増大させて、組織バイアビリティーを支えるのに有意義に貢献することができる。加えて、O
2要求を低下させる低体温処置、および、血液粘度を低下させるさらなる流体の効果と併せて使用されるこれらの方法はまた、送達されるO
2を増大する。これらの要因が一致協力して働いて、臨床上有用な量での3%のベースラインから、組織に必要なO
2の50%〜100%超までで注入され得る水(H
2O)または他の流体/液体のO
2含有量を増大させる。
【0020】
代わりの実施形態において、流体送達装置は、患者の動脈に送達され得る流体中に溶解するNOの量を顕著に増大させるために提供され得る。
【0021】
本発明の別の実施形態において、注入するのに安全であり、例えば、80%窒素である大気と置き換わる迅速に代謝されるO
2である酸素(O
2)で、流体送達装置を効率的に洗い流すための洗浄装置である。洗浄装置は、流体の輸液に先立ち、患者に繋げられようとしている遠位ラインをO
2またはCO
2で洗い流すことができる。洗浄装置はまた、流体送達装置と分けて使用することができる。かかる構成において、洗浄装置は、コネクタ、ガスミクロポアフィルター、およびラインにおける全ての先の室内の空気と関連するN
2のO
2での安全、完全かつ効率的な置換を確実にする弁を含んでもよい。次に、ラインは、患者に挿入する前に、流体ラインに連結され得る。
【0022】
本発明のいっそう別の実施形態において、注入するのに安全であり、且つ、例えば80%窒素である大気と置き換わる高溶解性CO
2であるCO
2で、流体送達装置を効率的に洗い流すための洗浄装置である。洗浄装置は、コネクタ、ガスミクロポアフィルター、および全てのN
2ガスのO
2またはCO
2ガスでの安全、完全かつ効率的な置換を確実にする弁を含む。開示される実施形態の1つまたは複数は、水ラインから空気を取り除くことのような非医療上の使用にも適用可能である。
【0023】
図1を参照すると、一実施形態において、システムは、溶液の種類、ガスの種類、温度および圧力、ならびに、可能な限りの組織血流特徴および要求を考慮しながら、医療用溶液(流体/液体)を脱ガスし、溶液を標的ガスで再ガス化することができる装置を備える。次に、このガス飽和溶液は、医療上の処置のため動脈に植え付けられ得る。流体の脱ガス化は、A)熱撹拌、B)吸引器を使用した真空脱ガス、C)ガスと液体の分離膜を使用した真空脱ガス、D)ヘリウム浄化による脱ガス、および、E)凍結とポンプと解凍の繰り返しを含む様々な方法で行うことができる。これらの方法のうち全てが、使用されるガスおよび溶液に依存して、具体的な臨床症状において使用され得るし、使用されてもよい。冷却および加圧なしまたはありでの脱ガスならびに再ガス化の使用は、
図2において示される通り、溶存ガスの量を増大させるために使用され得る。
【0024】
図1において説明される実施形態において、調整器(レギュレータ)102を有する医療用ガスシリンダー、真空ポンプ104、ソレノイド106を備えた3方向弁、ソレノイド108A、108B、108Cへの制御装置連結部、熱絶縁容器110、ガス/生理学的な層を備えた折り畳み可能な流体タンク112、3方向弁114(流体タンク112からの連結部、ならびにガス/真空および流体経路をソレノイドと共に含む)、流体インラインセンサー116(気泡検出器、ガス測定、および温度)であって、例えば、一方が114に隣接する(流体タンク112に近接する)ラインと結びつき、且つ、第2の部分が流体タンク112にとって遠位である124に隣接するライン(カテーテルへの流体経路)と結びついた流体インラインセンサー116、制御装置122(電力供給源を含む)、制御装置122に接続している超音波処理器118、温度センサーおよびソレノイドから制御装置122への連結部を介したコンピューターへの連結部を含む加熱器/冷却器120、ソレノイドを備えた3方向弁126、ならびに、カテーテルシステムへのコネクタを含み得るカテーテル124への流体経路124の組み合わせを備える、自動(プログラム化された制御装置またはコンピューター)脱ガス装置および医療用ガス再ガス化装置が提供される。
【0025】
制御装置122は、流体タンク112中の医療用溶液の脱ガス、再ガス化、加熱/冷却、および超音波処置を制御するようプログラム化することができるマイクロコントローラまたはプロセッサであり得る。制御装置122は、真空ポンプ104(脱ガスする)および調整器102を備えた医療用ガスシリンダー(再ガス化する)から流体タンク112への経路を確立するように、ソレノイド108Aおよび108Bへの制御装置連結部を介して弁106および114と関連するソレノイドを制御するよう構成可能である。医療用ガスシリンダーの調整器102は、流体タンク112において可能なガスの圧力の量を制限し得る。流体タンク112は、加熱/冷却チャンバーを含み、流体経路(調整器102を備えた医療用ガスシリンダーからカテーテルまで)および超音波処理器118に連結した熱絶縁容器110内に含まれる。流体インラインセンサー116からの読み取りに基づき、超音波処理器118および加熱器/冷却器120を、調整器102を備えた医療用ガスシリンダーと併せて作動させて、流体タンク112中の医療用溶液に所望のガス濃度までガスを供給し得る。医療用溶液が所望のガス濃度に達すると、制御装置122は、弁126を連結部108Cと共に制御して、ガス飽和溶液をカテーテル124への流体経路に送達し得る。
【0026】
図3は、カテーテルラインへの送達のための医療用液体の医療用ガスでの濃縮を制御するためのマイクロコントローラにより行われる方法のフローチャートを提示する。マイクロコントローラは、流体タンクとの連結部の代表的な信号を受信し得る(工程202)。流体タンクは、無菌の食塩水のような医療用溶液または液体を含有し得る。
【0027】
次に、マイクロコントローラは、自己診断を開始し得る(工程204)。自己診断は、流体タンクへのもしくは流体タンクからの流体経路弁のソレノイドとの、および流体タンクの流体経路に連結したセンサーとの通信または電子シグナル伝達を確立することを含み得る。脱ガス手段が開始される(工程206)。脱ガス手段は、ガスを取り除くこと、医療用液体を温めること、および、超音波処理することを含み得る。マイクロコントローラは、流体タンクと真空ポンプの間の経路を開くことができる。次に、マイクロコントローラは、真空ポンプが、流体タンクから空気を取り除くことを可能にし得る。制御装置は、それが、一連の流体または医療用液体が気泡センサーを介して気泡がないことを検出するとき、真空を止め得る。加熱器および超音波処理装置は、医療用液体が、予め決められた時間(例えば、90分またはそれ以上)で、50℃のような所定の温度に達するまで、制御装置により作動され得る。制御装置は、気泡センサーが一連の流体を同定するまで、流体タンクと真空ポンプの間の経路を再度開けて、さらなる空気を流体タンクから取り除き得る。
【0028】
医療用液体は、医療用ガスで再ガス化される(工程208)。マイクロコントローラは、流体タンクと医療用ガス源の間の経路を開けて、医療用ガスを流体タンクに、調整器により決定した圧力(例えば、1.25atm)まで膨張させるか、ポンプで注入するか、または放出し得る。冷却器および超音波処理装置は、医療用液体の温度が、予め決められた時間(例えば、3時間またはそれ以上)で、−2℃のような所定の温度であるまで、マイクロコントローラにより作動され得る。マイクロコントローラは、気泡検出器が一連の流体を同定するまで、流体タンクと真空ポンプの間の経路を再度開けて、いずれかの溶解していないさらなるガスを流体タンクから取り除き得る。
【0029】
インラインセンサーを、流体タンクに連結して、医療用液体中の医療用ガス濃度を測定し得る。マイクロコントローラは、医療用液体中の医療用ガスの標的濃度が達成されたかどうかを決定する(工程210)。標的濃度が達成されないなら、インラインセンサーが標的濃度のガス濃度を示すまで、工程206および208が繰り返され得る。
【0030】
マイクロコントローラが、標的濃度が達成されたことを決定するとき、マイクロコントローラは、経路を繋げて、ガス飽和医療用液体が流体タンクからカテーテルまで流れることを可能にする(工程212)。マイクロコントローラは、医療用液体を予め決定された冷却温度にて継続して冷却するか、または維持し得る。液体がカテーテルに移動することを可能にすることに先立ち、マイクロコントローラは、流体タンクに連結した流体経路に連結したセンサーからのデータ読み取りを回収して、医療用液体中に空気の気泡が存在しないこと、および液体の温度が予め決められた冷却温度にあることを確実にしてもよい(工程214)。流体が用意されると、調製された医療用液体を使用した輸液を開始し得る。
【0031】
本明細書において開示されるシステムは、参照により本明細書に取り込まれる、米国特許第8,343,097号において開示される、Hyberniaのカテーテル冷却システムと組み合わせて使用されるか、または組み合わされてもよい。それはまた、所定のカテーテルと共に、または幾つかの異なる方法で血流を測定するカテーテルと共に使用することができる。加えて、それは、動脈循環において使用されることが当初想定されるが、それが、静脈循環において使用され得る(例えば、肺、右心への、もしくは逆行性静脈灌流(冠静脈洞逆行性灌流)中のO
2または薬物送達)ことは理解される。
【0032】
IA注射のため食塩水に酸素を溶解する好ましい方法は、本明細書で開示される。注射された生理的溶液により運搬されるO
2の関与は、大抵の流体の極めて低いO
2含有量のため、臨床上重要ではないとみなされ、もしあっても、それは、ヘモグロビンの非常に効率的なO
2運搬能(体積対体積で、ヘモグロビンは、残りの血液含有物より33倍多くO
2を運搬する)を弱めるので、有害であるとみなされてきた。開始時の、空気中の21%O
2は、海面でのO
2159mmHgと等しい。しかしながら、それが肺に達し、血液と平衡状態になるときまでに、H
2O気化ガスおよびCO
2の分圧は、酸素の血液分圧(PaO
2)が95〜100mmHgしかないように、O
2含有量の一部と置き換わる。このうち、O
2の圧倒的多数、例えば、97%が、3%(この3%は、考察をしやすくするため以下の考察において言及され得、O
20.6cc/血液100ccを表す)のみを運搬する血中の「水」と共に、血中のヘモグロビンにより運搬される。開示される考察のため、ヘモグロビン以外の全ての物質が「水」として言及され得、赤血球の70%でさえ水である。開示される計算の目的で、他
のヘム
を含有しない血液成分のO
2溶解度は、H
2Oのものと等しいとみなされてもよい。H
2O中のO
2の低い溶解度は、O
2の低い分圧と相まって、高圧処置中のような高分圧下を除き、通常の食塩水を酸素の不十分な運搬体にする。加えて、非常に効率的なヘモグロビンO
2運搬体の任意の希釈は、同等に効率的な何かにより、および通常の条件下で埋め合わされなければならないだろうし、これは難問ではない。それ故、H
2O、または他の生理学的溶液において運搬されるO
2の関与は、稀な条件下を除き、臨床上重要ではないとみなされる。組織虚血を有する患者は、しばしば、挿管を介して100%O
2で処置されるが、それを肺に送達する有益な効果は、高い分圧のH
2O、およびCO
2、肺胞での不十分な移動、循環系による不十分な送達、高いO
2濃度に対する肺胞の局所毒性を含む、多数の実際の要因により、大いに鈍らされる。しかしながら、これらの問題点は、本明細書において開示されるシステムにより軽減される。
【0033】
図4は、O
2含有量(ml/100cc)に対するO
2分圧(mmHG)を説明し、ここで、
・A−O
220ml/血液100cc=O
2圧100mmHgでの正常な動脈O
2含有量
・B−O
215ml/血液100cc=O
2圧60mmHgでの正常な静脈O
2含有量
・C−O
25ml/血液100cc=O
2圧30mmHgでの静脈O
2含有量の最低点
・D−O
20.33ml/血漿(血液)100cc=O
2100mmHgでのO
2含有量
・E−O
25ml/通常の食塩水100cc=O
2圧750mmHgかつ0℃でのO
2含有量。
【0034】
有用量の溶存O
2ガス:A)約100%O
2下での通常の食塩水(NS)の脱ガスおよび再ガス化は、およそ750mmHgまでのO
2圧上昇、または約3%から約22.5%までの約7.5×の効率的O
2上昇をもたらすだろう、B)再ガス化中、約38℃から約0℃まで温度を下げることは、およそ2つの要因によりH
2O中のO
2の溶解度を増大し、これにより、血液により通常運搬されるO
2含有量の約22.5%から約45%まで溶存O
2を増大する、C)溶存ガスの量は、それが置かれたところの圧力に直接比例する(理想気体の法則)。上で参照されたHyberniaのカテーテルシステムにおいて使用される高圧流体回路は、大気圧の約3〜15倍で実行する。
【0035】
表Aは、全ての他の溶存ガスをO
2で置き換え、冷却し、これにより、O
20.34cc/流体100ccからO
25.1cc/流体100までO
2運搬を増大させるときの、液体に対する効果を提示する。低下した温度または増大する圧力のいずれかにより溶解させたガスは、圧力が低減されるとき、溶液から直ぐに現れ得る(気泡)。
【0037】
十分なO
2の送達:
通常の休止状態下で、ヒト組織は、送達されるO
2の約21〜32%の範囲内で血液により送達されるO
2の約1/3未満を使用することは注意されるべきである。これは、利用可能な動脈血中の血液/分O
2約19〜20cc/血液100cc/分から、組織により使用されるO
2約4〜6cc/血液100cc/分と解釈する。短期組織バイアビリティーは、有意に少ない、このおよそ1/2、通常送達されるO
2の約10〜15%、またはO
2約2〜3ml/組織100cc/分を要求する。血液は、動脈においてO
219〜20cc/血液100ccを通常運搬する。組織は、O
24〜6ccを抽出し、静脈血中にO
216〜13ccを残す。O
2送達は、運搬される血液の量に基づき、血流速度と、組織により抽出される酸素を掛けたものである。
【0038】
上の計算および
図4におけるグラフから見ることができる通り、この量は、開示される装置および方法の十分範囲内である。そしてより重要なことに、限界状況において、O
2送達のわずかな増加でさえも組織温存であり得る。ヘモグロビンは、O
2の高い運搬能を有するが、それは、これをコストをかけて行う。O
2は、ヘモグロビンに強固に保持され、多くが、非常に低いO
2圧においてでさえ利用可能でない。加えて、多いヘモグロビンO
2含有量は、高い分圧と関連せず、O
2の組織、特に、毛細血管床の末端にある虚血組織への拡散をもたらすことができない。
【0039】
血液の代わりに飽和した通常の食塩水で効率的なO
2送達を増大する他の有益な結果:
血管系における閉塞により引き起こされる、本出願のシステムで処置されることが想定される疾患において、この閉塞の遠位の血流は、組織灌流圧の通常の降下を有する側副に依存性であり、血管拡張の局所代償性機序および増大した酸素抽出にもかかわらず、効率的な酸素送達は不十分である。有用なO
2は、血液のO
2含有量によってばかりでなく、血液の組織への送達の速度によっても決定される。注入される流体はまた、全血を希釈し、所定の圧力での流れを増大するであろう粘度を下げ得る。これは、灌流圧が低く、流れが流体の有効粘度と直接関連する虚血組織において特に当てはまる。全血は、通常の食塩水のものの約8倍である粘度を有する。血液の見かけ上より低い粘度は、大部分、直径300ミクロンより小さい血管においてより小さいヘマトクリット値を有することによる。連続性の法則のこの明らかな隙は、循環を通じてほぼ33%速く循環する血漿を有することにより、行われる(ファーレウス効果)。したがって、この飽和したO
2の通常食塩水に溶解させた任意のO
2は、それが希釈する全血よりもずっと高い速度で送達され得る。虚血組織において、局所灌流圧は低く、血管は最大限拡張され、流体の粘度は、主要な速度制限要因である。この装置および方法は、粘度を修正し、これにより、循環流量を好ましい方向に修正する。
【0040】
Hyberniaのシステムと併せたこの方法および装置の使用:
開示される装置は、好ましい実施形態において、Hyberniaのカテーテル冷却システムの一部として使用されることが想定される。これらの例において、組織の温度は、約5〜7℃、低下してもよい。低減した組織代謝率で、O
2の要求は、ベースラインから約8〜14%/℃または少なくとも約40%低下する。Hyberniaのカテーテルシステムは、最適かつ安全なガス含有量および流速を決定する際に有用な、標的組織温度、代謝、ならびに血流と関連する情報を与える。
【0041】
前兆となる気泡の回避:
流体が、ただ計750mmHg(すなわち、患者が置かれる局所気圧)まで、37.8℃(すなわち、患者中核体温)にて飽和されるなら、気泡の発生が遅延され、装置および方法が、通常のカテーテルにおいてこのやり方で安全に使用され得る。N
2の浪費は、最小である可能性が高い。
図4において見られる通り、送達され得るO
2の量は制限されるが、臨床上重要な、この適応において提案される、カテーテル中のO
2飽和流体をより高い温度(0℃から33℃対37℃)である血流中の流体に戻すことは、脱飽和を生じ、過剰O
2を気泡に生じさせ得る。加えて、流体が大気圧より高い圧力下で再ガス化されるなら、過剰のO
2が存在し得る。これを軽減する要因に対処することができる。
【0042】
これらの要因は、以下を含む。1)O
2代謝は極めて活性であり、血流からまず奪われるO
2は、血漿中の溶存O
2であり、ヘモグロビン上で運搬されるものではない。血流中の窒素の気泡が血管においてしぼむと、減圧症をほぼ無限に引き起こす。しかしながら、ここで論じられるものより5〜10倍高いO
2分圧での高圧処理後の前兆となるO
2塞栓は、減圧中に混合されたガス転移のような稀な実験条件下(非常に高圧からの不活性な混合されたガス転移減圧のような、例外的な実験条件下で報告されたケース)を除き知られていない。それは恐らく、O
2の気泡が生じ、優先的に代謝されること、および、それらの低い粘度が、何らかの形で循環を遅延させないか、または妨害しないことである。2)開示されるシステムは、送達されるO
2を、代謝され得るものに制限するように構成されてもよい。この制限は、事前に設定され、組織O
2送達要求より下で維持することができる。加えて、これは、注入速度アルゴリズムの一部として、制御装置により計算され得る。3)O
2過飽和食塩水点滴は、全血と混合されてもよい。全血は、さらなるO
2運搬能を、a)溶存ガスのわずかなCO
2およびH
2O気化ガス圧、b)未結合のヘモグロビン、ならびに、c)i.血漿および組織中のO
2の溶解度を増大する状態、およびii.より低い温度でのヘモグロビン解離曲線の左シフトの状態に対するより低い温度[30〜33℃]のさらなる効果の形態で有する(ホールデンの効果)。4)脱ガスはまた、ある場合では、O
2とN
2気泡両方の形成に通じ得るN
2を脱ガスすることなく、さらなるO
2を溶解させるとして重要である。N
2気泡は、毒性であり、危険である。5)O
2気泡が生じるべきであり、これらの気泡の分圧は、大気または750mmHgであり得、それらと組織の間で大規模な勾配を作り出し、ガスの組織への通り道を大いに増大し、気泡を迅速に消散させる。O
2は、静脈血のO
2を奪われたヘモグロビンにより取り込まれるだろうから、減圧障害に共通する静脈還流気泡は、恐らく、開示される装置を使用していない。
【0043】
酸素毒性および腐食のような有害な意図されない結果の回避:
O
2毒性は、O
2代謝中に、免疫細胞により作り出されるフリーラジカルまたは活性酸素種(ROS)に関連する複雑な現象である。装置は、ROSスカベンジャーと酵素の同時注入、およびROSにより除去されたNOのような鍵となる生体信号を可能にするよう操作可能である。加えて、過飽和O
2溶液は、特に、高圧および高い流速にて、金属ならびに幾つかのプラスチックに対して高度に腐食性であることができ、ポリイミドのような生体適合耐食材料を使用することを必要とし得ることは注意されるべきである。
【0044】
CO
2は、酸素およびグルコース代謝の産物である。ヒトにおいて、血液のCO
2含有量は、40mmHgにておよそ2.7mmol/100mlである(血中の溶解度は、CO
20.06ml/血液100ml/mmHgである)。総血液CO
2の5%(0.135mmol/100ml)のみが物理的に溶解し、一方、大多数は、タンパク質-カルバミノ化合物と結合するか、または重炭酸塩の形態で輸送されるかのいずれかである。過剰のCO
2は、通常、肺において取り除かれ、ここで、CO
2は、毛細血管から肺胞腔に拡散し、吐き出される。CO
2は、血液の酸-塩基ホメオスタシスの調節に関与し、強力な血管拡張剤である(細胞外のプロトンにおいて増大し、局所pHにおいて低下させる)。脳自動調節が無傷であるとき、血液のCO
2レベルにおける増大は、脳血管の拡張を導き、これにより、脳組織の連続して十分な酸素化を維持するための脳血流の増大に通じる。脳血管または血管運動の反応性とも呼ばれる、この生理学的カップリングを臨床上利用して、CO
2負荷の下で、通常、経頭蓋ドップラーと併せて、脳血管の拡張させる天然の能力(またはその病理学的不足)が測定され得る。これにより、室内の空気は、より高い肺胞のCO
2分圧(PACO
2)に通じる5〜10%CO
2で濃縮され、これが、CO
2の毛細血管への反対向きの拡散をもたらし、これにより、動脈のCO
2分圧を、例えば、>40mmHgに増大する。PaCO
2におけるこの増大は全身性であり、これが全身に関与することを意味する。
【0045】
本発明により、脳のような標的器官の動脈のCO
2含有量を選択的に操作することが可能になる。水中のガス、例えば、CO
2の溶解度は、温度および圧力に依存する。以下の表は、1atm(760mmHg)にて温度0℃〜37℃における水中のCO
2溶解度を挙げる:(CO
2のモル質量は44.01gである)。
【0047】
提示される値は、1atmにて注入液に溶解させたCO
2の理論的最大値を表す。動脈器官床に選択的に与えられるとき、これらの量を、ベースラインの動脈のCO
2含有量に加えて、標的器官においてPaCO
2を増大することができる。CO
2についてより低い圧力にて、さらなるガス、例えば、酸素での調製は、注入液中の制御された、より少ない量のCO
2をもたらし得る(pO
2>>pCO
2)。実際、挙げられたCO
2量の分画は、器官血流を増大する所望の効果、例えば、動脈の血管拡張を達成するか、または血管運動反応性について試験することを必要とする。
【0048】
ここで開示されるシステムはまた、空気中のN
2を、あまり有害でない他のガスで置き換えることにより、医原性空気塞栓の問題を軽減し得る。医療手当のための動脈内注射中の空気の不注意による注入は、高度な訓練を受けた専門家が回避するために手技上警戒する重大な問題である。加えて、右心から左心へのシャントを有する患者において、不注意による静脈の空気は、動脈循環に入り、空気塞栓の損傷に通じ得る。ラインが流体で洗い流され、後の医療手当中に取り除かれ、動脈に注入されるとき、注射管類の壁上に初めに保持された小さな気泡が、特に問題である。これらの付着した空気の気泡は、少量のCO
2および水蒸気と共に、窒素およそ80%、酸素20%からなる。大抵の空気の塞栓は、サイズが小さく、直径0.05〜5mmの範囲にあるが、多数であり得る。血流に注入されたとき、O
2成分は迅速に代謝され、CO
2および水蒸気成分は、それらの非常に高い溶解度のため、迅速に溶解する。主要な体積の気泡であるN
2成分は、吸着されるのが非常に遅く、医原性動脈内「湾曲(bends)」のケースとして本質的に作動する。
【0049】
図5は、O
2またはCO
2のようなガス源が提供されるコネクタ310に連結したガス源管類(示されていない)を備える別の実施形態によるシステムを提示する。コネクタ310は、ミクロポアフィルター312および前方向のみの弁314を通過し得る。前方向のみの弁314は、T字弁316に繋げられ得る。T字弁は、シリンジ318に繋げられた近位アーム324を含む。シリンジ318は、洗い流されるべきラインに対応する体積を含むチャンバーを含み得る。T字弁316は、流体ライン(示されていない)への連結のためのコネクタ322に通じる第2の前方向のみの弁320に連結され得る。加えて、1方向の前方向弁は、流体ラインに組み込まれ得る。
【0050】
ガス源は、コネクタ310にある装置に繋げることができる。ガス源は、医療グレードのガスを供給し、O
2について、タンクまたは壁源のいずれか、およびCO
2について、タンクからもたらすことができる。1つの実施形態によると、ガスは、低い圧力(例えば、1.2atm)で、2〜4L/分のような低い流速にて提供され得る。洗い流されるべき流体ラインは、コネクタ322のシステムに安全かつ都合よく結び付けることができる。開示されるシステムは、ガスにより置き換えられるべき流体ライン中の室内の空気を洗い流し得る。ガスが流れていることの確認は、シリンジ318の動きにより示され得る。洗い流されるべき流体ラインが、ガス源から幾分かの距離にある(すなわち、延長された流体ライン)なら、シリンジは、アスピレーションおよび注入を介して、繰り返し循環され得る。
【0051】
ガス20ccが、最長かつ最大の管が使用されるときでさえ因子6.8で、空気を選択されたガスで置き換え、一般に使用される洗浄ラインを洗い流すことができることは、以下の表Cから見ることができる。
【0053】
別の実施形態により、流体ラインは、
図1の記載に関して記載されるシステムにより産生される脱ガスされた流体で洗い流され得る。脱ガス化された流体は、幾つかの故意でなく保持されたガスを吸収し、これにより、軽減することができる。
【0054】
図1ないし
図5は、本発明の説明を可能にする概念図である。特に、他の実施形態が、記載されるかもしくは説明される要素の幾つかまたは全ての交換の目的で可能であるので、図および上の実施例は、本発明の範囲を単一の実施形態に制限することを意味しない。さらに、本発明のある種の要素を、公知の構成要素を使用して部分的または完全に実施することができる場合、本発明の理解に必要であるかかる公知の構成要素のその部分のみが記載され、かかる公知の構成要素の他の部分の詳細な説明は、本発明を曖昧にしないように除外される。本明細書において、唯一の構成要素を示す実施形態は、多数の同じ構成要素を含む他の実施形態に必ずしも制限されるべきではなく、本明細書において別段明白に述べられない限り、逆もまた同じである。さらに、出願人は、起因されるべき明細書または請求項における任意の用語について、そのようなものとして明白に説明されない限り、まれな意味または特別な意味を意図しない。さらに、本発明は、説明の目的で本明細書において言及される公知の構成要素の、現在および将来的な公知の均等物を包含する。
【0055】
本発明の実施形態の様々な態様は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウエア、またはその組み合わせに実装され得ることは理解されるべきである。かかる実施形態において、様々な構成要素および/または工程は、ハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウエアに実装されて、本発明の機能が実施されるだろう。すなわち、ハードウェアの同じ部品、ファームウェア、またはソフトウエアのモジュールは、説明されるブロック(構成要素もしくは工程)の1つまたは複数を実施することができた。ソフトウエア実装において、コンピューターソフトウエア(例えば、プログラムもしくは他の指示)、および/またはデータは、機械可読媒体上にコンピュータープログラム製品の一部として保存され、コンピューターシステムまたは他の装置もしくは機械に取り外し可能なストレージドライブ、ハードドライブ、または通信用インターフェースを介して読み込まれる。コンピュータープログラム(コンピューター制御論理またはコンピューター可読プログラムコードとも呼ばれる)は、主なおよび/または第2のメモリーに保存され、1つもしくは複数のプロセッサ(コントローラーなど)により実行されて、1つまたは複数のプロセッサが、本明細書において記載される本発明の機能を実施させる。この書類において、用語「機械可読媒体」、「コンピューター可読媒体」、「コンピュータープログラム媒体」、および「コンピューター使用可能媒体」は、ランダムアクセスメモリ(RAM);読み取り専用メモリー(ROM);取り外し可能な記憶装置(例えば、磁気または光ディスク、フラッシュメモリー素子など);ハードディスクなどのような媒体を一般的に指すように使用される。
【0056】
具体的な実施形態の前述の記載は、他者が、当業者の知識(本明細書において参照により引用および取り込まれる書類の内容を含む)を適用することにより、様々な出願について、かかる具外的な実施形態を、過度の実験なしに、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、容易に修飾し、ならびに/または適応させることができる。それ故、かかる適応および修飾は、本明細書において提示される教示およびガイダンスに基づき、開示される実施形態の均等物の意味ならびに範囲内であることが意図される。本明細書の専門用語または用語は、説明を目的としたものであって、制限を意図したものではなく、本明細書における用語または専門用語は、本明細書において提示される教示およびガイダンスに照らして、当業者の知識と組み合わせて、当業者により解釈されるべきであることを理解されたい。