【実施例1】
【0020】
本発明の薬剤分包機の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図1(a)は、前方の右上から見下ろした薬剤分包機10の斜視図である。
図1(b)と
図2は、後方の左上から見下ろした薬剤分包機10の斜視図であり、覗き窓30が窓閉塞部材40にて閉じられている状態を示している。
【0021】
図1(c)と
図3は、これも後方の左上から見下ろした薬剤分包機10の斜視図であるが、覗き窓30から閉塞部材40を取り外した状態を示している。
図1(d)と
図4は、背板兼用の板状蓋体部分25を薬剤分包機10から取り外した状態を示しており、
図1(d)が後方の左上から見下ろした薬剤分包機10の斜視図であり、
図4が後方の左下から見上げた薬剤分包機10の斜視図である。
図5は、(a)が窓閉塞部材40の斜視図、(b)が覗き窓30とその周辺の斜視図であり、開口31が視認し易いように物体部分には散点模様を付している。
【0022】
例示した薬剤分包機10は(
図1(a)参照)、錠剤と散薬とを混合でも個別でも分包しうる散薬錠剤分包機であり(例えば特許文献4〜6参照)、上段から下段へ薬品庫部11と薬剤手撒き装置13と散薬分配分割装置14と包装装置15と図示しない制御装置とを備えている。薬品庫部11には、錠剤等の薬剤を収容して逐次排出しうる薬剤フィーダ12が多数装備されており、制御装置の制御に従って、薬剤フィーダ12と薬剤手撒き装置13と散薬分配分割装置14とが夫々担当の薬剤を逐次排出し、それらの薬剤を包装装置15が受け入れて図示しない分包紙等に区分封入するようになっている。
【0023】
また、薬剤分包機10は(
図1(b)〜(d)参照)、各薬剤排出部12,13,14から排出された薬剤を自重にて落下させながら収集して包装装置15の投入ホッパへ投入する薬剤収集機構20を具備している。薬剤収集機構20は、薬品庫部11に組み込まれた上部薬剤収集機構21と、その下方の薬剤手撒き装置13の後方等に配置された下部薬剤収集機構26とからなり、何れも従来通りステンレス鋼で作られている。
そのうち上部薬剤収集機構21は、多数の薬剤フィーダ12から排出された薬剤を受け入れて収集するために、多数の薬剤フィーダ12の横に位置している。
【0024】
さらに、薬剤分包機10は(
図1参照)、薬剤フィーダ12の実装数が少なめなものであり(例えば特許文献5〜7参照)、薬品庫部11における薬剤フィーダ12の配列が三次元でなく二次元にとどまっている(例えば特許文献6,7参照)。
そして、高い頻度で実行される薬剤フィーダ12に係るカセット脱着作業が前から出来るように(
図1(a)参照)、上部薬剤収集機構21は、薬品庫部11の中で薬剤フィーダ12より後方の所に配置されて、薬品庫部11の背面(外側面)寄りに位置している(
図1(b)〜(d)参照)。
【0025】
また、上部薬剤収集機構21は、薬剤フィーダ12の実装範囲をカバーするために薬品庫部11より一回り小さい程度の比較的大きなものであるが、前後には薄く、扁平な錐台状管体を逆さにしたような下窄み中空体になっており(
図1(b)〜(d)参照)、多数の薬剤フィーダ12の後方に固定された本体部分22と、それに背後から着脱される板状蓋体部分25とを具備している。この例では、板状蓋体部分25が薬剤分包機10の背板のうち薬品庫部11に該当する部分を兼ねている。そして、常態では、落下薬剤の収集経路となる内部24の空間の側周面部分を囲うために板状蓋体部分25が本体部分22に取り付けられるようになっている(
図1(b),
図2参照)。
【0026】
しかも、上部薬剤収集機構21は、清掃時や修理時などには、内部24を大きく露出させるために、板状蓋体部分25を本体部分22から取り外すことができるようになっている(
図1(d),
図4参照)。そして、内部24を露出させると、薬剤フィーダ12の棚が多段なのに対応して本体部分22と内部放出口23とが交互で上下に並んだ横縞状の模様のように見えるとともに、その下端の収集薬剤落下放出用の開口から下方を覗き込むと下部薬剤収集機構26の上端部が見えるようになっている(
図1(d)参照)。薬剤フィーダ12の薬剤排出口に繋がる内部放出口23は(
図4参照)、薬剤フィーダ12から受け入れた薬剤を内部空間(24)へ放出するものなので、薬品庫部11に実装されて自動排出を行いうる薬剤フィーダ12に対応した配置で多数個が設けられている。
【0027】
さらに、薬剤分包機10は、板状蓋体部分25に覗き窓30が一個だけ形成されており(
図1(c),
図3参照)、そこに窓閉塞部材40が装着されるようになっている(
図1(b),
図2参照)。
覗き窓30は(
図1(c),
図3,
図5(b)参照)、上部薬剤収集機構21の内部24の一部を露出させうる開口31を主体としたものであり、窓閉塞部材40を着脱容易に保持する擦合部32と係合部33も設けられている。
【0028】
例示した覗き窓30では(
図5(b)参照)、開口31が縦に長い小さな四角形になっており、擦合部32が開口31の左右から折り曲げ等にて後方へ向けられた突出片になっており、係合部33が擦合部32を斜め下方へ削り込んだ切欠になっている。
このような覗き窓30は、板状蓋体部分25のうち、それが本体部分22に装着されたときに開口31が何れかの内部放出口23とその下の部分との双方に対して直面するような部位に、設けられている。そして、開口31を開けると(
図1(c),
図3参照)、上部薬剤収集機構21の内部24のうち開口31の向こうに位置している内部放出口23や本体部分22を露見させるようになっている。
【0029】
窓閉塞部材40は(
図5(a)参照)、覗き窓30に装着されて開口31を塞ぐためのものであり(
図1(b),
図2参照)、板状蓋体部分25と同様に薬剤が当接する可能性があることから、板状蓋体部分25と同じ素材のステンレス鋼から作られて不透明なものとなっているので、覗き窓30から上部薬剤収集機構21の内部24を覗きたいときには覗き窓30の開口31を速やかに開けられるよう、覗き窓30に対して簡便に着脱することができるようになっている。
【0030】
具体的には(
図5(a)参照)、例示の窓閉塞部材40は、開口31にピッタリ且つスムーズに嵌まる平板状の閉塞部41と、その左右からほぼ直角に折り曲げられた一対の擦合部42,42と、それぞれの擦合部42の上下端の近傍に突設された小ネジ等からなる係合部43,43と、縦長の擦合部42,42のほぼ中央のところで両部材42,42に対して連結された把手部44とを具備している。
しかも、窓閉塞部材40と覗き窓30とは(
図5参照)、閉塞部41が開口31に対応しているのに加えて、擦合部42,42の外側面がそれぞれ擦合部32,32の内面に対応するとともに、係合部43,43,43,43がそれぞれ係合部33,33,33,33に対応している。なお、四つの係合部43のうち少なくとも一つ例えば右上のものは、頭部を指先で軽く摘まんで軸回転させる等のことでネジ部と共に頭部を擦合部42に対して進退させることが容易にできるようになっている。
【0031】
この実施例1の薬剤分包機10について、その使用態様及び動作を、上述した図面を引用して説明する。
【0032】
分包動作可能な常態では(
図1(a)参照)、薬剤分包機10の薬品庫部11の背面には板状蓋体部分25が装着されており、板状蓋体部分25の覗き窓30には窓閉塞部材40が装着されている(
図1(b),
図2参照)。そして、従来同様に分包動作を繰り返すうちに、上部薬剤収集機構21の内部24の汚れ等が気になったときには、薬剤分包機10が動作を停止しているときに、薬剤分包機10の後方に回って、板状蓋体部分25の覗き窓30から窓閉塞部材40を取り外す。この作業は、先ず窓閉塞部材40の右上の係合部43を指先等で軸回転させて係合部43の頭部を覗き窓30の擦合部32から少し離隔させ、それから把手部44を持って窓閉塞部材40を後方へ引っ張る又は斜め後ろへ引っ張り上げることで、簡便に行えるので、専門の保守作業者でないユーザでも楽に行える。
【0033】
窓閉塞部材40が覗き窓30から離れると、開口31が現れ(
図1(c),
図3参照)、そこから上部薬剤収集機構21の内部24を覗き込むことが可能になるので、その窓先の部分に限定はされるが、本体部分22や内部放出口23の状態を目視で確認することができる。そして、その視認にて上部薬剤収集機構21の内部24に対する清掃等の作業が必要であると分かれば、その作業は板状蓋体部分25を取り外して行うため(
図1(d),
図4参照)、ユーザには荷が重いので、専門の保守作業者などに委ねられる。
一方、上述の視認にて内部24の清掃等が未だ要らないと分かったときには、窓閉塞部材40を覗き窓30に装着して元の状態に戻し、薬剤分包機10を再稼動させる。
【0034】
ここで、窓閉塞部材40を覗き窓30に装着するときは(
図5参照)、先ず、右上の係合部43を軸回転させて頭部を擦合部42から適度に離しておき、それから窓閉塞部材40の把手部44を摘まんで閉塞部41を覗き窓30の擦合部32,32の間に少し差し込み、四つの係合部43が四つの係合部33の開口部に一対一で入るところまで窓閉塞部材40を押し込み、さらに窓閉塞部材40を斜め下へ押し込む。
そうすると、総ての係合部43が何れも対応する係合部33の底にきっちり嵌まるとともに、閉塞部41が開口31をぴったり閉ざすので、右上の係合部43を先ほどとは逆向きに軸回転させて頭部を擦合部42に近づけることで右上の係合部33の近傍の擦合部32を挟持させ、窓閉塞部材40を覗き窓30に固定する。
【0035】
あるいは(
図5参照)、先ず右上の係合部43の頭部を擦合部42から適度に離してから、窓閉塞部材40の把手部44を摘まんで閉塞部41の下端部を覗き窓30の擦合部32,32の下端部の間に少し差し込み、覗き窓30の下側の係合部33,33に対して窓閉塞部材40の下側の係合部43,43を位置合わせしてから押し込み、それからそこを支点にして窓閉塞部材40の上部を覗き窓30の方へ揺動させる。そして、上側の係合部43,43が上側の係合部33,33の底に到達すると、閉塞部41が開口31をぴったり閉ざすので、やはり右上の係合部43の頭部を擦合部42に近づけてで右上の係合部33の近傍の擦合部32を挟持させることで窓閉塞部材40を覗き窓30に固定する。
【0036】
このようにして板状蓋体部分25の覗き窓30を小さな窓閉塞部材40にて開閉することで、薬剤分包機10の上部薬剤収集機構21の内部24の状態をユーザでも簡便かつ迅速に視認することができる。
しかも、覗き窓30の開口31が板状蓋体部分25より格段に小さいので、薬剤の粉塵などの機外漏れが少ない。
【実施例2】
【0037】
本発明の薬剤分包機の実施例2について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図6は、薬品庫部11を後方の左上から見下ろした斜視図である。
この薬剤分包機が上述した実施例1のものと相違するのは、一つだった覗き窓30が一つ増えて二つになった点であり、それに随伴して窓閉塞部材40も二つになっている。図では、覗き窓30が窓閉塞部材40で塞がれていて、擦合部32だけが見えている。
覗き窓30が複数になったので、上部薬剤収集機構21の内部24の目視確認は、適宜な一方の覗き窓30から窓閉塞部材40を外して行っても良いが、総ての覗き窓30から窓閉塞部材40を外して念入りに行うのが望ましい。
【0038】
[その他]
上記実施例では、上部薬剤収集機構21の板状蓋体部分25が薬品庫部11部分の背板(外側板)を兼用するものであったが、板状蓋体部分25は、背板とは別体のものであって背板の内側に配設されるものであっても良い。
また、上記実施例では上部薬剤収集機構21が板状蓋体部分25を取り外して内部全体を露出させるようになっていたが、板状蓋体部分25は、着脱式のものに限られる訳でなく、蝶番支持等による開閉式のものでも良く、その場合、上部薬剤収集機構21は板状蓋体部分25を開いて内部24を露出させるものとなる。さらに、外側板は、背板に限られるものでなく、左右いずれか又は双方の側板であっても良い。
【0039】
また、上記実施例では、上部薬剤収集機構21の内部24のうち覗き窓30の面している部分が、薬剤フィーダ12の排出薬剤を内部空間に放出する内部放出口23とその内部放出口23の下側部分との双方に亘っていたが、何れか一方に面していれば他方は面していなくても覗き窓30の機能はそれなりに発揮される。
さらに、覗き窓30は、図示した一個や二個に限られる訳でなく、三以上の多数個が形成されても良い。いずれにしても、覗き窓30の設置部位は、薬剤が落下収集過程で通過する密度が高くなりやすい下端開口に近い部位であって目視しやすい所が好ましい。
【0040】
また、上記実施例では、窓閉塞部材40の素材に、耐久性や汚れにくさ等を重視する観点から板状蓋体部分25と同じ不透明なステンレス鋼を用いたが、覗き窓30を開けずに内部24を目視で確認できるという観点からはプラスチックや強化ガラスなどの透明なものが好ましい。加工性やコストさらには耐久性や汚れにくさ等に不満が無ければ板状蓋体部分25にまで透明なものを採用しても良い。
【0041】
また、薬品庫部11のうち薬剤フィーダ12搭載側には開閉式の扉などが付設されていても良い(例えば特許文献4参照)。
そのような扉に代えて或いは扉に加えて開閉用シャッターを付設しても良い(例えば特開2013−59567号公報参照)。