特許第6980229号(P6980229)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980229
(24)【登録日】2021年11月19日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】薬剤分包機
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20211202BHJP
【FI】
   A61J3/00 310F
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-118845(P2018-118845)
(22)【出願日】2018年6月22日
(65)【公開番号】特開2019-217177(P2019-217177A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2020年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100106345
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 香
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平1−226501(JP,A)
【文献】 特開2001−276183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収容して逐次排出しうる薬剤フィーダを複数装備した薬品庫部と、前記薬剤フィーダから排出された薬剤を受け入れて自重落下させながら収集する薬剤収集機構とを備え、前記薬剤収集機構のうち前記薬剤フィーダの横に位置する上部薬剤収集機構が前記薬品庫部の外側面寄りに配設されており且つ外側板兼用の又は外側板側の板状蓋体部分を外して又は開いて内部を露出させるようになっている薬剤分包機において、前記上部薬剤収集機構の内部の一部を露出させうる覗き窓が前記板状蓋体部分に形成されており、前記覗き窓を閉じる窓閉塞部材が設けられており、前記覗き窓と前記窓閉塞部材とが相対位置決め用の係合部と相互固定用の擦合部とを具備していることを特徴とする薬剤分包機。
【請求項2】
前記薬剤フィーダから受け入れた薬剤を前記上部薬剤収集機構が内部空間へ放出する内部放出口とその下の部分とのうち何れか一方または双方に対して前記覗き窓が面していることを特徴とする請求項1記載の薬剤分包機。
【請求項3】
前記窓閉塞部材が、前記板状蓋体部分と同じ素材からなり、前記覗き窓を開けることも可能なものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された薬剤分包機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種の薬剤を収容しておき処方箋や調剤指示に応じて所望の薬剤を自動排出して分包する薬剤分包機に関し、詳しくは、複数装備している薬剤フィーダから落下排出された薬剤を薬剤収集機構にて集める薬剤分包機に関し、更に詳しくは、薬剤フィーダを収容する薬品庫部に薬剤収集機構の上部薬剤収集機構が収められている薬剤分包機の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の薬剤を分包しうる薬剤分包機として(例えば特許文献1〜7参照)、錠剤を分包する錠剤分包機や、散薬を分包する散薬分包機、錠剤と散薬とを混合してでも個別に分けてでも分包しうる散薬錠剤分包機などが挙げられるが、それらの多くが、薬剤フィーダを多数配設された薬品庫部と、投入ホッパに受け入れた薬剤を次々に長尺の二つ折り分包紙等に区分封入する包装装置と、上記の薬剤フィーダのうち適宜なものから排出された薬剤を収集して上記の包装装置に引き渡す薬剤収集機構と、処方箋情報等に基づいた調剤指示に応じて上記の薬剤フィーダや包装装置の動作を制御するコンピュータ等の制御装置とを備えている。
【0003】
それら各部のうち錠剤フィーダは、所定の薬剤を収容しうる薬剤カセットと、それを着脱可能に保持するベース部とを組み合わせたものであり、そのうち後者のベース部は、薬剤カセットを機械的係合等にて保持する着座部材などの静的部材と、薬剤カセットの薬剤排出用回転盤を駆動するモータ等の動的部材とを具備していて、棚板上等に列設されることが多く、その上部にカセット収容空間を確保している。そして、調剤指示に応じて制御装置が調剤対象薬剤の薬剤フィーダのベース部に排出動作を行わせると、該当する薬剤フィーダの薬剤カセットから調剤対象薬剤が排出され、その薬剤が自重で落下しながら薬剤収集機構によって収集されてから包装装置の投入ホッパの中へ導かれ、包装装置によって朝昼晩夜の服用単位といった適宜な単位で分包される。
【0004】
また、逐次排出に適した錠剤などの薬剤を取り扱う薬剤フィーダを薬品庫部に三次元配置等で多数装備しうる薬剤分包機の場合(例えば特許文献1〜3参照)、薬剤フィーダを二次元配置等で装備しうる薬剤フィーダ格納庫が左右に並んだ状態で薬品庫部に収容されるとともに、薬剤フィーダ格納庫同士の間などに薬剤収集機構のうち少なくとも上部薬剤収集機構が配設される(例えば特許文献1参照)。
そして、薬品庫部から薬剤フィーダ格納庫を引き出すと(例えば特許文献2参照)、それに随伴して上部薬剤収集機構の片割れが露出するので(例えば特許文献3参照)、上部薬剤収集機構の内部を清掃することができる。
【0005】
一方、それより薬剤フィーダ実装数の少ない薬剤分包機の場合(例えば特許文献5〜7参照)、薬品庫部の上下や左右の長さに比べて奥行きの短い形態のものが薬剤フィーダ脱着等の観点から使い易いため実用化されている。
その場合、薬剤フィーダのカセットの脱着が薬品庫部の前から行われるので、そこを避けて薬品庫部の後背面部分に薬剤収集機構のうち上部薬剤収集機構の全部または一部が配設される。そのため、後背面部分の上部薬剤収集機構に対する清掃は、薬品庫部の背板を取り外して上部薬剤収集機構の内面を露出させてから行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−192702号公報
【特許文献2】特開2006−109860号公報
【特許文献3】特開2011−182890号公報
【特許文献4】特開2004−250001号公報
【特許文献5】特開2001−087353号公報
【特許文献6】特開2016−073518号公報
【特許文献7】特願2018−000887号(出願)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような薬剤分包機では、上部薬剤収集機構は側辺部分を曲げた縦板二枚を対向配置する謂わば縦割分割構造で構成され、その何れの縦板にも加工性や耐久性さらには汚れにくさ等を勘案してステンレス鋼が用いられるのが通例であった。
そのため、上部薬剤収集機構の内部は、対向縦板を引き離して開かないと、拭き取り等の清掃ができないのはもちろんのこと、見ることすらできないので、薬剤の粉塵の付着の増加などによって清掃が必要な状態にまでなったのか未だなのかを予め目視で確認するのが難しかった。
【0008】
薬剤フィーダを多数装備した薬剤分包機の場合は(例えば特許文献1〜3参照)、大規模薬局など分包処方の多い所に好適で一般に使用頻度が高いことから、専門の保守作業者による定期点検がコスト面からも無理なく行えるうえ不具合発生時には緊急点検なども早急になされて、上部薬剤収集機構の内部に対する前回清掃から次回清掃までの経過時間が汚れ限界到達見込み時間より十分に短く維持されるので、上部薬剤収集機構の内部を清掃するべきか否かを決めるために先だって上部薬剤収集機構を開いて目視で確認するということの必要性が低かった。
【0009】
これに対し、薬剤フィーダの装備個数が少なめの薬剤分包機の場合は(例えば特許文献5〜7参照)、小規模薬局など分包処方の少ない所に好適で一般に使用頻度が低かったり更にはばらつくことも多いうえ、専門の保守作業者による点検を望ましい周期で行うのはコスト負担が重いことから、上部薬剤収集機構の内部に対して清掃や更には修理等までも必要なのか否かをユーザが判断することが多いので、清掃等に先立って上部薬剤収集機構を開いて内部を目視確認することが必要となる。
清掃等の頻度は低いのに、目視確認の頻度は高い。
【0010】
もっとも、薬剤フィーダの装備数が少なめの薬剤分包機の場合は(例えば特許文献5〜7参照)、薬品庫部から薬剤フィーダ格納庫を上部薬剤収集機構と一緒に引き出すといった複雑かつ堅牢な構造部分(例えば特許文献3参照)がほぼ不要であり、而も、上部薬剤収集機構の片割れが背板の直ぐ内側に配設されているか(例えば特許文献5,6参照)、背板が上部薬剤収集機構の片割れを兼ねていることが(例えば特許文献7参照)、多いので、簡素で安価な構造でありながら、上部薬剤収集機構の片割れを取り外すという行為にて、上部薬剤収集機構の内部を目視で確認することができる。
【0011】
しかしながら、片割れとはいえ上部薬剤収集機構がかなり大きな物であるため、その脱着作業はユーザにとっては負担が重い。また、上部薬剤収集機構を全開すると、付着していた薬剤の粉塵等が舞い上がり易いので、その吸い込みや散逸などを防止低減するための準備もユーザにとっては負担となる。
そこで、それらの負担を軽減すべく、上部薬剤収集機構を大きく開けるまでもなく簡便に上部薬剤収集機構の内部を目視することができる薬剤分包機を実現することが、技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の薬剤分包機は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、
薬剤を収容して逐次排出しうる薬剤フィーダを複数装備した薬品庫部と、前記薬剤フィーダから排出された薬剤を受け入れて自重落下させながら収集する薬剤収集機構とを備え、前記薬剤収集機構のうち前記薬剤フィーダの横に位置する上部薬剤収集機構が前記薬品庫部の外側面寄りに配設されており、且つ、前記上部薬剤収集機構が外側板兼用の又は外側板側の板状蓋体部分を外して又は開いて内部を露出させるようになっている薬剤分包機において、
前記上部薬剤収集機構の内部の一部を露出させうる覗き窓が前記板状蓋体部分に形成されており、前記覗き窓を閉じる窓閉塞部材が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の薬剤分包機は(解決手段2)、上記解決手段1の薬剤分包機であって、前記薬剤フィーダから受け入れた薬剤を前記上部薬剤収集機構が内部空間へ放出する内部放出口とその下の部分とのうち何れか一方または双方に対して前記覗き窓が面していることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の薬剤分包機は(解決手段3)、上記解決手段1,2の薬剤分包機であって、前記窓閉塞部材が、前記板状蓋体部分と同じ素材からなり、前記覗き窓を開けることも可能なものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
このような本発明の薬剤分包機にあっては(解決手段1)、薬剤収集機構のうち薬剤フィーダと並設されている部分である上部薬剤収集機構が、それが縦に並走する複数体に分かれている場合は少なくとも一体以上が、薬品庫部の外側面寄りに配設されていることを前提として、そのような外側面寄りの上部薬剤収集機構のうち、取り外し操作あるいは開き操作によって内部を露出させる(即ち操作にて上部薬剤収集機構を開ける)ようになっている板状蓋体部分について、相対的に小さい覗き窓を形成したことにより、相対的に大きい板状蓋体部分を大きく操作するまでもなく容易に、上部薬剤収集機構の内部を覗き窓の近傍であれば目視で確認することができる。しかも、板状蓋体部分より小さくて済む窓閉塞部材を設けて覗き窓が閉じられるようにもしたことにより、薬剤が覗き窓から飛び出すといった不都合も簡便かつ的確に防止することができる。
したがって、この発明によれば、上部薬剤収集機構を大きく開けなくてもその内部を覗き窓から簡便に目視することができる薬剤分包機を実現することができる。
【0016】
また、本発明の薬剤分包機にあっては(解決手段2)、薬剤フィーダから排出されて来た薬剤が上部薬剤収集機構に受け入れられて上部薬剤収集機構の内部放出口から上部薬剤収集機構の内部空間へ放出されたときに内部放出口の近傍や下側部分と干渉しながら落下する頻度が高いことに基づき、その主たる薬剤落下部位に対して覗き窓が面するようにしたことにより、覗き窓が小さくても、粉塵付着や損傷などの不具合が生じやすい部位を的確に目視で確認することができる。
したがって、この発明によれば、覗き窓が小さくても簡便かつ的確に上部薬剤収集機構の内部の適所を目視することができる薬剤分包機を実現することができる。
【0017】
さらに、本発明の薬剤分包機にあっては(解決手段3)、窓閉塞部材の素材に板状蓋体部分と同じものを採用したことで窓閉塞部材にも板状蓋体部分の耐久性や汚れにくさ等の特性を持たせて窓閉塞部材が板状蓋体部分より先に傷んだり汚れたりするのを回避したうえで、窓閉塞部材にて覗き窓を閉めるだけでなく開けることもできるようにしたことにより、窓閉塞部材が例え板状蓋体部分と同じ不透明なものであっても、小さな覗き窓を開けることで簡便に上部薬剤収集機構の内部を目視確認することができる。
したがって、この発明によれば、覗き窓から簡便に上部薬剤収集機構の内部を目視することができるうえ窓閉塞部材の素材には特別な物性の部材を用いなくて済む薬剤分包機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1について、薬剤分包機の構造を示し、(a)が前方の右上から装置の正面と右側面と上面とを見下ろした斜視図、(b)〜(d)が後方の左上から装置の背面と左側面と上面とを見下ろした斜視図である。
図2】薬品庫部を後方の左上から見下ろした斜視図である。
図3】薬品庫部を後方の左上から見下ろした斜視図である。
図4】薬剤分包機を後方の左下から見上げた斜視図である。
図5】(a)が窓閉塞部材の斜視図、(b)が覗き窓の斜視図である。
図6】本発明の実施例2について、薬品庫部を後方の左上から見下ろした斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
このような本発明の薬剤分包機について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1〜2により説明する。
図1図5に示した実施例1は、上述した解決手段1〜3(出願当初の請求項1〜3)を総て具現化したものであり、図6に示した実施例2は、その変形例である。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や,ヒンジ等の連結具,電動モータ等の駆動源,タイミングベルト等の伝動部材,モータドライバ等の電気回路,コントローラ等の電子回路などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
【実施例1】
【0020】
本発明の薬剤分包機の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図1(a)は、前方の右上から見下ろした薬剤分包機10の斜視図である。
図1(b)と図2は、後方の左上から見下ろした薬剤分包機10の斜視図であり、覗き窓30が窓閉塞部材40にて閉じられている状態を示している。
【0021】
図1(c)と図3は、これも後方の左上から見下ろした薬剤分包機10の斜視図であるが、覗き窓30から閉塞部材40を取り外した状態を示している。
図1(d)と図4は、背板兼用の板状蓋体部分25を薬剤分包機10から取り外した状態を示しており、図1(d)が後方の左上から見下ろした薬剤分包機10の斜視図であり、図4が後方の左下から見上げた薬剤分包機10の斜視図である。
図5は、(a)が窓閉塞部材40の斜視図、(b)が覗き窓30とその周辺の斜視図であり、開口31が視認し易いように物体部分には散点模様を付している。
【0022】
例示した薬剤分包機10は(図1(a)参照)、錠剤と散薬とを混合でも個別でも分包しうる散薬錠剤分包機であり(例えば特許文献4〜6参照)、上段から下段へ薬品庫部11と薬剤手撒き装置13と散薬分配分割装置14と包装装置15と図示しない制御装置とを備えている。薬品庫部11には、錠剤等の薬剤を収容して逐次排出しうる薬剤フィーダ12が多数装備されており、制御装置の制御に従って、薬剤フィーダ12と薬剤手撒き装置13と散薬分配分割装置14とが夫々担当の薬剤を逐次排出し、それらの薬剤を包装装置15が受け入れて図示しない分包紙等に区分封入するようになっている。
【0023】
また、薬剤分包機10は(図1(b)〜(d)参照)、各薬剤排出部12,13,14から排出された薬剤を自重にて落下させながら収集して包装装置15の投入ホッパへ投入する薬剤収集機構20を具備している。薬剤収集機構20は、薬品庫部11に組み込まれた上部薬剤収集機構21と、その下方の薬剤手撒き装置13の後方等に配置された下部薬剤収集機構26とからなり、何れも従来通りステンレス鋼で作られている。
そのうち上部薬剤収集機構21は、多数の薬剤フィーダ12から排出された薬剤を受け入れて収集するために、多数の薬剤フィーダ12の横に位置している。
【0024】
さらに、薬剤分包機10は(図1参照)、薬剤フィーダ12の実装数が少なめなものであり(例えば特許文献5〜7参照)、薬品庫部11における薬剤フィーダ12の配列が三次元でなく二次元にとどまっている(例えば特許文献6,7参照)。
そして、高い頻度で実行される薬剤フィーダ12に係るカセット脱着作業が前から出来るように(図1(a)参照)、上部薬剤収集機構21は、薬品庫部11の中で薬剤フィーダ12より後方の所に配置されて、薬品庫部11の背面(外側面)寄りに位置している(図1(b)〜(d)参照)。
【0025】
また、上部薬剤収集機構21は、薬剤フィーダ12の実装範囲をカバーするために薬品庫部11より一回り小さい程度の比較的大きなものであるが、前後には薄く、扁平な錐台状管体を逆さにしたような下窄み中空体になっており(図1(b)〜(d)参照)、多数の薬剤フィーダ12の後方に固定された本体部分22と、それに背後から着脱される板状蓋体部分25とを具備している。この例では、板状蓋体部分25が薬剤分包機10の背板のうち薬品庫部11に該当する部分を兼ねている。そして、常態では、落下薬剤の収集経路となる内部24の空間の側周面部分を囲うために板状蓋体部分25が本体部分22に取り付けられるようになっている(図1(b),図2参照)。
【0026】
しかも、上部薬剤収集機構21は、清掃時や修理時などには、内部24を大きく露出させるために、板状蓋体部分25を本体部分22から取り外すことができるようになっている(図1(d),図4参照)。そして、内部24を露出させると、薬剤フィーダ12の棚が多段なのに対応して本体部分22と内部放出口23とが交互で上下に並んだ横縞状の模様のように見えるとともに、その下端の収集薬剤落下放出用の開口から下方を覗き込むと下部薬剤収集機構26の上端部が見えるようになっている(図1(d)参照)。薬剤フィーダ12の薬剤排出口に繋がる内部放出口23は(図4参照)、薬剤フィーダ12から受け入れた薬剤を内部空間(24)へ放出するものなので、薬品庫部11に実装されて自動排出を行いうる薬剤フィーダ12に対応した配置で多数個が設けられている。
【0027】
さらに、薬剤分包機10は、板状蓋体部分25に覗き窓30が一個だけ形成されており(図1(c),図3参照)、そこに窓閉塞部材40が装着されるようになっている(図1(b),図2参照)。
覗き窓30は(図1(c),図3図5(b)参照)、上部薬剤収集機構21の内部24の一部を露出させうる開口31を主体としたものであり、窓閉塞部材40を着脱容易に保持する擦合部32と係合部33も設けられている。
【0028】
例示した覗き窓30では(図5(b)参照)、開口31が縦に長い小さな四角形になっており、擦合部32が開口31の左右から折り曲げ等にて後方へ向けられた突出片になっており、係合部33が擦合部32を斜め下方へ削り込んだ切欠になっている。
このような覗き窓30は、板状蓋体部分25のうち、それが本体部分22に装着されたときに開口31が何れかの内部放出口23とその下の部分との双方に対して直面するような部位に、設けられている。そして、開口31を開けると(図1(c),図3参照)、上部薬剤収集機構21の内部24のうち開口31の向こうに位置している内部放出口23や本体部分22を露見させるようになっている。
【0029】
窓閉塞部材40は(図5(a)参照)、覗き窓30に装着されて開口31を塞ぐためのものであり(図1(b),図2参照)、板状蓋体部分25と同様に薬剤が当接する可能性があることから、板状蓋体部分25と同じ素材のステンレス鋼から作られて不透明なものとなっているので、覗き窓30から上部薬剤収集機構21の内部24を覗きたいときには覗き窓30の開口31を速やかに開けられるよう、覗き窓30に対して簡便に着脱することができるようになっている。
【0030】
具体的には(図5(a)参照)、例示の窓閉塞部材40は、開口31にピッタリ且つスムーズに嵌まる平板状の閉塞部41と、その左右からほぼ直角に折り曲げられた一対の擦合部42,42と、それぞれの擦合部42の上下端の近傍に突設された小ネジ等からなる係合部43,43と、縦長の擦合部42,42のほぼ中央のところで両部材42,42に対して連結された把手部44とを具備している。
しかも、窓閉塞部材40と覗き窓30とは(図5参照)、閉塞部41が開口31に対応しているのに加えて、擦合部42,42の外側面がそれぞれ擦合部32,32の内面に対応するとともに、係合部43,43,43,43がそれぞれ係合部33,33,33,33に対応している。なお、四つの係合部43のうち少なくとも一つ例えば右上のものは、頭部を指先で軽く摘まんで軸回転させる等のことでネジ部と共に頭部を擦合部42に対して進退させることが容易にできるようになっている。
【0031】
この実施例1の薬剤分包機10について、その使用態様及び動作を、上述した図面を引用して説明する。
【0032】
分包動作可能な常態では(図1(a)参照)、薬剤分包機10の薬品庫部11の背面には板状蓋体部分25が装着されており、板状蓋体部分25の覗き窓30には窓閉塞部材40が装着されている(図1(b),図2参照)。そして、従来同様に分包動作を繰り返すうちに、上部薬剤収集機構21の内部24の汚れ等が気になったときには、薬剤分包機10が動作を停止しているときに、薬剤分包機10の後方に回って、板状蓋体部分25の覗き窓30から窓閉塞部材40を取り外す。この作業は、先ず窓閉塞部材40の右上の係合部43を指先等で軸回転させて係合部43の頭部を覗き窓30の擦合部32から少し離隔させ、それから把手部44を持って窓閉塞部材40を後方へ引っ張る又は斜め後ろへ引っ張り上げることで、簡便に行えるので、専門の保守作業者でないユーザでも楽に行える。
【0033】
窓閉塞部材40が覗き窓30から離れると、開口31が現れ(図1(c),図3参照)、そこから上部薬剤収集機構21の内部24を覗き込むことが可能になるので、その窓先の部分に限定はされるが、本体部分22や内部放出口23の状態を目視で確認することができる。そして、その視認にて上部薬剤収集機構21の内部24に対する清掃等の作業が必要であると分かれば、その作業は板状蓋体部分25を取り外して行うため(図1(d),図4参照)、ユーザには荷が重いので、専門の保守作業者などに委ねられる。
一方、上述の視認にて内部24の清掃等が未だ要らないと分かったときには、窓閉塞部材40を覗き窓30に装着して元の状態に戻し、薬剤分包機10を再稼動させる。
【0034】
ここで、窓閉塞部材40を覗き窓30に装着するときは(図5参照)、先ず、右上の係合部43を軸回転させて頭部を擦合部42から適度に離しておき、それから窓閉塞部材40の把手部44を摘まんで閉塞部41を覗き窓30の擦合部32,32の間に少し差し込み、四つの係合部43が四つの係合部33の開口部に一対一で入るところまで窓閉塞部材40を押し込み、さらに窓閉塞部材40を斜め下へ押し込む。
そうすると、総ての係合部43が何れも対応する係合部33の底にきっちり嵌まるとともに、閉塞部41が開口31をぴったり閉ざすので、右上の係合部43を先ほどとは逆向きに軸回転させて頭部を擦合部42に近づけることで右上の係合部33の近傍の擦合部32を挟持させ、窓閉塞部材40を覗き窓30に固定する。
【0035】
あるいは(図5参照)、先ず右上の係合部43の頭部を擦合部42から適度に離してから、窓閉塞部材40の把手部44を摘まんで閉塞部41の下端部を覗き窓30の擦合部32,32の下端部の間に少し差し込み、覗き窓30の下側の係合部33,33に対して窓閉塞部材40の下側の係合部43,43を位置合わせしてから押し込み、それからそこを支点にして窓閉塞部材40の上部を覗き窓30の方へ揺動させる。そして、上側の係合部43,43が上側の係合部33,33の底に到達すると、閉塞部41が開口31をぴったり閉ざすので、やはり右上の係合部43の頭部を擦合部42に近づけてで右上の係合部33の近傍の擦合部32を挟持させることで窓閉塞部材40を覗き窓30に固定する。
【0036】
このようにして板状蓋体部分25の覗き窓30を小さな窓閉塞部材40にて開閉することで、薬剤分包機10の上部薬剤収集機構21の内部24の状態をユーザでも簡便かつ迅速に視認することができる。
しかも、覗き窓30の開口31が板状蓋体部分25より格段に小さいので、薬剤の粉塵などの機外漏れが少ない。
【実施例2】
【0037】
本発明の薬剤分包機の実施例2について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図6は、薬品庫部11を後方の左上から見下ろした斜視図である。
この薬剤分包機が上述した実施例1のものと相違するのは、一つだった覗き窓30が一つ増えて二つになった点であり、それに随伴して窓閉塞部材40も二つになっている。図では、覗き窓30が窓閉塞部材40で塞がれていて、擦合部32だけが見えている。
覗き窓30が複数になったので、上部薬剤収集機構21の内部24の目視確認は、適宜な一方の覗き窓30から窓閉塞部材40を外して行っても良いが、総ての覗き窓30から窓閉塞部材40を外して念入りに行うのが望ましい。
【0038】
[その他]
上記実施例では、上部薬剤収集機構21の板状蓋体部分25が薬品庫部11部分の背板(外側板)を兼用するものであったが、板状蓋体部分25は、背板とは別体のものであって背板の内側に配設されるものであっても良い。
また、上記実施例では上部薬剤収集機構21が板状蓋体部分25を取り外して内部全体を露出させるようになっていたが、板状蓋体部分25は、着脱式のものに限られる訳でなく、蝶番支持等による開閉式のものでも良く、その場合、上部薬剤収集機構21は板状蓋体部分25を開いて内部24を露出させるものとなる。さらに、外側板は、背板に限られるものでなく、左右いずれか又は双方の側板であっても良い。
【0039】
また、上記実施例では、上部薬剤収集機構21の内部24のうち覗き窓30の面している部分が、薬剤フィーダ12の排出薬剤を内部空間に放出する内部放出口23とその内部放出口23の下側部分との双方に亘っていたが、何れか一方に面していれば他方は面していなくても覗き窓30の機能はそれなりに発揮される。
さらに、覗き窓30は、図示した一個や二個に限られる訳でなく、三以上の多数個が形成されても良い。いずれにしても、覗き窓30の設置部位は、薬剤が落下収集過程で通過する密度が高くなりやすい下端開口に近い部位であって目視しやすい所が好ましい。
【0040】
また、上記実施例では、窓閉塞部材40の素材に、耐久性や汚れにくさ等を重視する観点から板状蓋体部分25と同じ不透明なステンレス鋼を用いたが、覗き窓30を開けずに内部24を目視で確認できるという観点からはプラスチックや強化ガラスなどの透明なものが好ましい。加工性やコストさらには耐久性や汚れにくさ等に不満が無ければ板状蓋体部分25にまで透明なものを採用しても良い。
【0041】
また、薬品庫部11のうち薬剤フィーダ12搭載側には開閉式の扉などが付設されていても良い(例えば特許文献4参照)。
そのような扉に代えて或いは扉に加えて開閉用シャッターを付設しても良い(例えば特開2013−59567号公報参照)。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の薬剤分包機は、薬剤フィーダが前後には単一のもの(上記実施例や特許文献7,6参照)に適用することで、高い効果が期待できるが、それに適用が限定されるものでなく、薬剤フィーダが前後にも複数配設されたものにも(例えば特許文献5参照)、適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
10…薬剤分包機、11…薬品庫部、12…薬剤フィーダ、
13…薬剤手撒き装置、14…散薬分配分割装置、15…包装装置、
20…薬剤収集機構、21…上部薬剤収集機構、
22…本体部分(フィーダ側の片割れ)、23…内部放出口、24…内部、
25…板状蓋体部分(外側面寄りの片割れ)、26…下部薬剤収集機構、
30…覗き窓、31…開口、32…擦合部、33…係合部、
40…窓閉塞部材、41…閉塞部、42…擦合部、43…係合部、44…把手部
図1
図2
図3
図4
図5
図6