【実施例1】
【0024】
図1〜
図8は本発明に係る光イメージング用プローブの第1の実施形態を示している。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係る光学式内周面測定機または医療用内視鏡に用いる、光イメージング用プローブの断面図であり、回転不能に配置され略チューブ状のカテーテル16に内蔵され、光ファイバー固定具2により固定された固定側光ファイバー1があり、この固定側光ファイバー1の先端側に、中心線に対して微小に半径方向にずらした前方位置に向けて光線100を放射する集光レンズ3を固定し、前記集光レンズ3の先端側には、第1モータ20により第1回転ブラケット8aと共に駆動させられ、近赤外線等の光線100を回転中心に対し微小に角度を変えた前方に回転放射するプリズムまたはレンズからなる第1光路変換手段4が設けられ、前記第1光路変換手段4の前方には、第2モータ21により第2回転ブラケット13aと共に回転し、回転中心に対して光路を略直角方向に回転放射するミラー等からなる第2光路変換手段14と、この第2光路変換手段14と共に第2モータ21により駆動させられ、回転中心に対して微小に角度を変えた前方に放射するプリズムまたはレンズからなる第3の光路変換手段15を略同一線上に配置し、第2光路変換手段14と第3光路変換手段15は、回転中心に直角な面内において、角度を分割する位置に配置され、光線100は第2光路変換手段14と第3光路変換手段15に交互に放射されるよう構成される。
【0026】
第1モータ20は、第1中空シャフト8、第1中空シャフト8に固定された第1モータロータ7、モータケース9またはカテーテル16に固定された第1モータコイル5、中空シャフト8を回転自在に支持する第1軸受6a、6bと第1モータコイル5に通電する電線18からなる。また、第2モータ21は第2中空シャフト13、この第2中空シャフト13に固定された第2モータロータ12、モータケース9またはカテーテル16に固定された第2モータコイル10、第2中空シャフト13を回転自在に支持する第2軸受11a、11bと第2モータコイル10に通電する電線19からなる。第2中空シャフト13の穴には、第1中空シャフト8が相対的に回転自在に挿入され、また、第1中空シャフト8の穴には固定側光ファイバー1が相対的に回転自在に挿通されている。
また、必要に応じて第1モータ20には第1回転センサー22が、また、第2モータ21には第2回転センサー23が取り付けられ、回転速度に応じて回転パルス信号を発生している。
【0027】
図21に示す本発明光イメージング用プローブを用いた測定装置から発光された近赤外光やレーザ光等の光線100は、固定側光ファイバー1を通過して⇒集光レンズ3⇒第1光路変換手段4⇒
図1、
図2、
図3、
図4においては、⇒第3光路変換手段15から前方に向け進み⇒透光性キャップ17の先端部を透過して、被測定物に照射される。光線100が金属等からなる被測定物に照射された場合は、その表面から出た反射光100が先程とは逆の順序で透光性キャップ17を透過し、最終的に固定側光ファイバー1を経て、測定装置の本体85に戻される。
光線100は、これが近赤外光であり、また、被測定物が人体の皮膚、眼底、血管である場合はこれらを約2ミリメートルの深さまで透過し、それぞれの深さから戻り光がそれぞれ得られるため、測定装置の本体85で収集した戻り光をコンピュータで解析することにより断層画像を得ることが可能であり、これを近赤外光によるOCT(光干渉断層法)と呼ばれている。
また、
図6、
図7、
図8においては、光線100は、第1光路変換手段4⇒第2光路変換手段14から側方に進み、透光性キャップ17の外周面を透過して、被測定物に照射される。また、反射光100は、先程とは逆の順序で透光性キャップ17を透過し、最終的に固定側光ファイバー1を経て、測定装置の本体85に戻される。
【0028】
図1〜
図4は、本発明光イメージング用プローブの断面を表しており、光線100を前方に放射し走査する場合の断面図である。
図1においては、第1モータ20は
図21に示す測定機本体85の第1モータドライバ回路86から電線18を通して電流が供給され、また第2モータ21は第2モータドライバ回路87から電線19を通して電流が供給され共に回転している。第1モータ20の回転速度N1[rpm]と、第2モータ21の回転速度N2[rpm]の関係は、N2=N1−X[rpm]になるよう第1モータドライバ回路86と第2モータドライバ回路87から駆動パルス電流が供給され、X[サイクル/分]の速度で第1モータ20と第2モータ21の相対的回転速度差を生じさせよう構成している。またこれら第1モータ20と第2モータ21の回転速度をより正確な回転速度で運転するためには、
図1および
図16において、第1回転センサー22および第2回転センサー23が必要に応じて取り付けられ、回転速度に応じてパルス信号を発生し第1および第2モータドライバ回路86,87はこのパルス信号を受けて、より回転速度を事前に設定された数値に合わせるよう回転速度制御を行う。
【0029】
図1において、第1モータ20の第1中空シャフト8および第1光路変換手段4(プリズム)の回転角度はθ1=0度であり、第2モータ21の第2中空シャフト13および第3光路変換手段15の回転角度もθ2=0度に位置し、相対位置角度θd=θ1−θ2=0度になっている。そこで、集光レンズ3から先端に向けて放射された光線100は、第1光路変換手段4を透過し、第2光路変換手段14には放射されず第3光路変換手段15に照射され、これを透過しさらに透光性キャップ17の前方部17aを通して
図20に示す被測定物50の底面50aに照射される。この時照射される位置は
図1においてP1ポイントである。被測定物50からの反射光線100は
図1において、前記とは逆の方向に、固定側光ファイバー1を経て、測定装置の本体85に戻される。
一般的な使い方としては、被測定物50の深穴の奥部に本発明の光イメージング用プローブを挿入し内周面と先端奥部の形状データを取込み三次元的に計測する。
【0030】
図2においては、第1モータ20の第1中空シャフト8および第1光路変換手段4(プリズム)の回転角度はθ1=45度〜88度であり、第2モータ21の第2中空シャフト13および第3光路変換手段15の回転角度はθ2=0度に位置し、相対位置角度θd=θ1−θ2=45度〜88度になっている。そこで、集光レンズ3から先端に向けて放射された光線100は、第1光路変換手段4を透過し、第2光路変換手段14には放射されず第3光路変換手段15に照射され、これを透過しさらに透光性キャップ17を通して
図20に示す被測定物50に照射される。この時照射される位置は
図2のP2ポイントとP3ポイントである。被測定物50からの反射光線100は
図1において、照射とは逆の方向に、固定側光ファイバー1を経て、測定装置の本体85に戻される。
【0031】
図3においては、第1光路変換手段4(プリズム)の回転角度はθ1=272度〜315度であり、第3光路変換手段15の回転角度はθ2=0度に位置し、相対位置角度θd=θ1−θ2=272度〜315度になっている。そこで、集光レンズ3から先端に向けて放射された光線100は、第1光路変換手段4を透過し、第3光路変換手段15に照射され、これを透過しさらに透光性キャップ17を通して
図20に示す被測定物50に照射される。この時、照射される位置は
図2のP4及びP5ポイントである。
【0032】
図4は、
図3に示した光イメージング用プローブの第1及び第2モータ20、21のそれぞれが丁度180度反対の角度まで回転した状態の図である。
図4においては、第1光路変換手段4(プリズム)の回転角度はθ1=92度〜135度であり、第3光路変換手段15の回転角度もθ2=180度に位置し、相対位置角度θd=θ1−θ2=272度〜315度になっている。そこで、集光レンズ3から先端に向けて放射された光線100は、第1光路変換手段4を透過し、第3光路変換手段15に照射され、これを透過しさらに透光性キャップ17を通して
図20に示す被測定物50に照射される。この時、照射される位置は
図1から
図3とは異なり
図4に示すP6およびP7ポイントである。
【0033】
図5は、被測定物50の底面50aにおける本発明光イメージング用光プローブの前方走査軌跡説明図である。今まで
図1〜
図4に示したように第1モータ20と第2モータ21との間の回転位相角度差(θd)の変化によって底面50aに図中範囲Rの範囲に光線100が照射されるが、第1および第2モータが共に同期回転することで
図5に示す全体に行きわたるように順次照射される。そして
図5に示す面の全体から反射光を得て、
図21の本体85に導かれる。
【0034】
次に、
図6から
図8は、本発明光イメージング用プローブの断面を表しており、光線100を中心線に対し略直角の側方に放射し走査する場合の断面図である。
【0035】
図6においては、第1モータ20の第1中空シャフト8および第1光路変換手段4c(プリズム)の回転角度はθ1=92度〜135度であり、第2モータ21の第2中空シャフト13および第2光路変換手段14および第3光路変換手段15の回転角度もθ2=0度に位置し、相対位置角度θd=θ1−θ2=92度〜135度になっている。そこで、集光レンズ3から先端に向けて放射された光線100は、第1光路変換手段4cを透過し、ミラー等からなる第2光路変換手段14に放射され、光線100は第3光路変換手段には照射されずに、回転軸に対し略直角方向に反射し、透光性キャップ17の円筒部17bを通して
図20に示す被測定物50の内周面50bに照射される。被測定物50からの反射光線100は
図6において、前記とは逆の方向に、固定側光ファイバー1を経て、測定装置の本体85に戻される。この時、側方に照射される光線100は
図6中の矢印の方向でありその角度は図中の示すα1のとおりである。
【0036】
図7においては、第1モータ20の第1中空シャフト8および第1光路変換手段4d(プリズム)の回転角度はθ1=180度であり、第2モータ21の第2中空シャフト13および第3光路変換手段15の回転角度はθ2=0度に位置し、相対位置角度θd=θ1−θ2=180度になっている。そこで、集光レンズ3から先端に向けて放射された光線100は、第1光路変換手段4を透過し、ミラー等からなる第2光路変換手段14に放射され、光線100は回転軸に対し略直角方向に反射し、透光性キャップ17の円筒部17bを通して
図20に示す被測定物50に照射される。この時、側方に照射される光線100は
図6中の矢印の方向でありその角度は図中に示すα2のとおりである。
【0037】
図8においては、第1モータ20の第1中空シャフト8および第1光路変換手段4eの回転角度はθ1=225度〜268度であり、第2モータ21の第2中空シャフト13および第3光路変換手段15の回転角度もθ2=0度に位置し、相対位置角度θd=θ1−θ2=225度〜268度になっている。そこで、集光レンズ3から先端に向けて放射された光線100は、第1光路変換手段4を透過し、ミラー等からなる第2光路変換手段14にて放射され、光線100は回転軸に対し略直角方向に反射し、透光性キャップ17の円筒部17bを通して
図20に示す被測定物50に照射される。この時、側方に照射される光線100は
図6中に示す矢印の方向となる。
【0038】
図9は、本発明光イメージングプローブの側方走査範囲説明図である。
図6〜
図8に示した様に、第1モータ20と第2モータ21との間の回転位相角度差(θd)と第2モータの回転角度(θ2)の変化によって
図9に示すα1+α2の角度の範囲で、中心線軸方向にはL1に示す長さ範囲に光線100が放射されつつ、360度全周に三次元的に回転放射さることにより、
図20の内周面50bの全体に行きわたるように順次照射される。そして
図5に示す面の全体から反射光を得て、
図21の本体85に導かれる。図中d1は透光性キャップ17の直径であり、d2は被測定物の内径である。
【0039】
図17は、光プローブの前方と側方反射光の受光タイミングチャートである。例えば、第1モータ20の回転速度が1800rpm、第2モータ21の回転速度が1797rpmの場合、X=N1−N2=3[サイクル/分]の速度で前方および側方を走査する。即ちこの場合20秒で1往復の立体走査を行い、その半分の片道10秒で前方画像1回分と側方画像1回分の走査を行うことになる。
図17はその10秒間のタイミングチャートを示しており、光線100が第2光路変換手段に照射され反射する間は側方が照射および三次元データの走査が行われ、光線100が第3光路変換手段に照射され透過する間は前方に照射され、このように全周に渡る三次元データが収集される。
【0040】
図10は、本は発明の光イメージング用プローブに用いられる、光イメージング用プローブの光ファイバーと集光レンズ説明図であり、固定側光ファイバー1の先端に集光レンズ3が固定されている。
【0041】
図11は、同プローブの第1光路変換手段の部分説明図であり、回転プリズムが第1中空シャフト8の第1回転ブラケット8aに取り付けられている。
【0042】
図12〜
図15は同、第2光路変換手段と第3光路変換手段の部分説明図である。
【0043】
図12は、
図1に示す同プローブの第2光路変換手段14の説明図であり、第2中空シャフト13にミラー14aが取付けられる。
【0044】
図13は、同プローブの第2光路変換手段14に用いるミラー14aの、他の形状事例を示し、
図12のミラー14aに代わって、第2中空シャフト13にミラー14bが同様に取付けられる。
【0045】
図14は、同プローブの第3光路変換手段15の説明図であり、第2中空シャフト13にプリズム15aが取付けられる。プリズム15aは前記したミラー14aと組み合わせて用いられ、第1光路変換手段4によって、回転中心に対して微小に角度を変えて前方に放射された光線100を、第2光路変換手段14と第3光路変換手段15は回転中心に直角な面内において、角度を分割する位置に配置される。
【0046】
図15は、同プローブの第3光路変換手段15に用いる他の形状のプリズム15bを示し、
図14のプリズム15aに代わって、第2中空シャフト13に取り付けられる。プリズム15bは前記したミラー14bと組み合わせて用いられ、第1光路変換手段4によって、回転中心に対して微小に角度を変えて前方に放射された光線100を、第2光路変換手段14と第3光路変換手段15は回転中心に直角な面内において、角度を分割する位置に配置される。
【0047】
図18に示すように、透光性キャップ17の略球面部は例えば金型41により成形される。また、透光性キャップ17は、透過性が良好なガラス、石英、サファイヤ等の材料からなり、必要に応じてその円筒部17bには略球面部が形成されて光線100がより透過しやすくしている。また、透光性キャップ17は必要に応じて表面反射を減らし、光線の全反射を最小に押さえ透過率を高めるためのコーティング等が施されている。
【0048】
本実施形態では、チューブ(カテーテル)16の後方から先端までの全長に渡る内部で固定側光ファイバー1は、長いカテーテル6の中で回転させないので摩擦力の発生がなく、回転伝達遅れやトルク損失等の発生を防止できる回転速度性能が良好であるため取得する三次元画像が鮮明になる。一方、従来の光ファイバーが擦れる方式の内視鏡プローブの回転ムラは、その約100倍以上の悪い性能しか得られていなかった。
【0049】
本発明によれば、第1光路変換手段4はその回転放射角度に応じて光線を第2光路変換手段14と第3光路変換手段15に交互に照射し、光線100を固定側光ファイバー1から、第1光路変換手段4、第2または第3光路変換手段14、15の順に導き放射し、透光性キャップ17を通して被測定物50に光線100を照射することにより、観察光を前方と側方の面全体に放射し、その戻り光を捉えて前方と側方の3次元形状を交互に取り込んでコンピュータにより全体の立体画像を同時に得る光イメージング用プローブを提供できる。