特許第6980274号(P6980274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980274
(24)【登録日】2021年11月19日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】包装機における物品供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 35/36 20060101AFI20211202BHJP
   B65G 47/24 20060101ALI20211202BHJP
   B25J 17/02 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   B65B35/36
   B65G47/24
   B25J17/02 Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-62175(P2018-62175)
(22)【出願日】2018年3月28日
(65)【公開番号】特開2019-172300(P2019-172300A)
(43)【公開日】2019年10月10日
【審査請求日】2020年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 勲
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 充洋
(72)【発明者】
【氏名】早川 明大
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0096273(US,A1)
【文献】 特開2010−006590(JP,A)
【文献】 特開平06−305551(JP,A)
【文献】 特開2016−199401(JP,A)
【文献】 特開2015−136785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 35/36
B65G 47/24
B25J 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不定間隔で置かれた平置き姿勢の物品を順次搬送する搬送手段と、
該搬送手段に設定された撮影領域を移動する前記物品を順次撮影する撮像手段と、
前記物品が所定数ごとに集合してなる物品群を包装機に向けて搬送する第2搬送手段と、
前記撮像手段によって得たそれぞれの前記物品の向きと隣接する物品の間隔を含む物品位置情報と前記搬送手段による前記物品の送り情報に基づき、前記搬送手段によって移動している前記物品の中から規定数の物品を各物品のそれぞれの移動に同調しながら移動して、それぞれの物品の向きに応じて駆動手段の駆動力によって360度より小さい角度の範囲で回動して順次把持し、前記第2搬送手段における前記物品群の搬送方向に沿うように前記第2搬送手段の搬送路にまとめて移載する動作を繰り返す移載手段と、を備えており、
該移載手段は、
前記搬送手段の上方側に配設されており、複数のリンク同士が回動可能に接続された回動リンク機構と、該回動リンク機構のそれぞれの一端側が固定枠体側に回動可能に支持されると共にそれぞれの他端側が移動枠体に回動可能に連結されたパラレルリンクロボットと、
前記移動枠体に配設された前記駆動手段と、
上下方向に延在する前記駆動軸に連結された支持部材と、
該支持部材に配設された第2駆動手段と、
該第2駆動手段によって前記駆動軸の延在方向に対して交差する方向に延在する第2軸周りに回動可能に前記支持部材に支持された保持機構と、
前記保持機構に配設されたエアシリンダと、
該エアシリンダによって、それぞれが独立して前記平置き姿勢の物品に向けて降下して該物品を該物品の左右両側から掴むと共に該物品を掴んで上昇し得るように前記保持機構に配設された複数の把持手段と、
を有し、前記平置き姿勢で把持している前記規定数の物品をまとめて起立姿勢に変更し得る姿勢変更手段を備えており、
前記把持手段のそれぞれは、前記エアシリンダによって互いが前記保持機構に昇降可能に支持されていると共に、前記駆動軸の延在方向に対して交差する方向に延在する第2軸に沿って配設されており、該第2軸に沿って開閉して前記物品を把持し得るように構成されており、
前記姿勢変更手段は、前記平置き姿勢の物品を把持した前記把持手段のそれぞれを、前記第2駆動手段によって前記第2軸周りに回転させて各物品を起立姿勢に変更し得るように構成された包装機における物品供給装置。
【請求項2】
前記第2搬送手段には、前記物品を載置して走行する搬送面と、該搬送面より上方で起立姿勢に変更されたそれぞれの物品の左右両側を支持するサイドガイドによって構成された搬送路が並設されており、
前記移載手段は、前記規定数の物品を搬送路にまとめて移載する動作を行って前記所定数の物品からなる物品群にする請求項1に記載の包装機における物品供給装置。
【請求項3】
前記移載手段は、前記搬送手段における搬送面上で、前記平置き姿勢で保持している前記規定数の物品をまとめて起立姿勢に変更する請求項1又は請求項2に記載の包装機における物品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不定間隔で搬送されてきた複数の物品をまとめて包装機に向けて搬送する包装機における物品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コロッケなどの冷凍食品などからなる物品が製造機から搬送されてくる際、搬送方向における前後または左右の物品間隔が一定ではなく、各物品の向きも不揃いで送られてくることから、各物品をその下流側に配置されたピロー包装機等の包装仕様に合致するように物品の向きを揃えて集合させると共に整列状態にした物品群に変えて、包装機に向けて送り出す技術が特許文献1などに示されている。
【0003】
特許文献1には、平置き状態の物品を搬送するベルトコンベヤの搬送面上に設けた複数の整列ガイドで形成した複数の搬送路の何れかに規定数ずつ物品が進入した際にそれらの物品の移動を一斉に許容して各物品の姿勢を搬送路の終端部で捩じりベルトコンベヤに渡すことで起立姿勢にしてからシャッタを用いて各物品を集合させて物品群を構成し、包装機に向けて送出する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許5711915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように構成された装置では、平置き姿勢の物品が搬送路に不規則に載置されて搬送されてくるため、それぞれの搬送路に規定数の物品が進入し終えるまでの時間にばらつきが生じ、物品群を包装機の包装部に向けて安定して供給できないといった懸念が生じる。また、捩じりベルトコンベヤなどを設けることによって装置の全長が長くなるといった装置の大型化を招いたりする懸念もあった。
【0006】
本発明は、物品を規定数揃えるまでの時間の安定化を図り得る包装機における物品供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の包装機における物品供給装置は次の手段をとる。先ず請求項1に係る発明は、不定間隔で置かれた平置き姿勢(PA)の物品(P)を順次搬送する搬送手段(C1)と、
該搬送手段(C1)に設定された撮影領域を移動する前記物品(P)を順次撮影する撮像手段(14)と、
前記物品(P)が所定数ごとに集合してなる物品群(U)を包装機に向けて搬送する第2搬送手段(C2)と、
前記撮像手段(14)によって得たそれぞれの前記物品(P)の向きと隣接する物品(P)の間隔を含む物品位置情報と前記搬送手段(C1)による前記物品(P)の送り情報に基づき、前記搬送手段(C1)によって移動している前記物品(P)の中から規定数の物品(P)を各物品(P)のそれぞれの移動に同調しながら移動して、それぞれの物品(P)の向きに応じて駆動手段(61)の駆動力によって360度より小さい角度の範囲で回動して順次把持し、前記第2搬送手段(C2)における前記物品群(U)の搬送方向に沿うように前記第2搬送手段(C2)の搬送路(21)にまとめて移載する動作を繰り返す移載手段(M)と、を備えており、
該移載手段(M)は、
前記搬送手段(C1)の上方側に配設されており、複数のリンク同士が回動可能に接続された回動リンク機構(44)と、該回動リンク機構(44)のそれぞれの一端側が固定枠体(42)側に回動可能に支持されると共にそれぞれの他端側が移動枠体(46)に回動可能に連結されたパラレルリンクロボット(40)と、
前記移動枠体(46)に配設された前記駆動手段(61)と、
上下方向に延在する前記駆動軸(61A)に連結された支持部材(64)と、
該支持部材(64)に配設された第2駆動手段(62)と、
該第2駆動手段(62)によって前記駆動軸(61A)の延在方向に対して交差する方向に延在する第2軸(62A)周りに回動可能に前記支持部材(64)に支持された保持機構(66)と、
前記保持機構(66)に配設されたエアシリンダ(68)と、
該エアシリンダ(68)によって、それぞれが独立して前記平置き姿勢(PA)の物品(P)に向けて降下して該物品(P)を該物品(P)の左右両側から掴むと共に該物品(P)を掴んで上昇し得るように前記保持機構(66)に配設された複数の把持手段(80)と、
を有し、前記平置き姿勢(PA)で把持している前記規定数の物品(P)をまとめて起立姿勢(PB)に変更し得る姿勢変更手段(S)を備えており、
前記把持手段(80)のそれぞれは、前記エアシリンダ(68)によって互いが前記保持機構(66)に昇降可能に支持されていると共に、前記駆動軸(61A)の延在方向に対して交差する方向に延在する第2軸(62A)に沿って配設されており、該第2軸(62A)に沿って開閉して前記物品(P)を把持し得るように構成されており、
前記姿勢変更手段(S)は、前記平置き姿勢(PA)の物品を把持した前記把持手段(80)のそれぞれを、前記第2駆動手段(62)によって前記第2軸(62A)周りに回転させて各物品(P)を起立姿勢(PB)に変更し得るように構成される。
【0008】
この請求項1に係る発明によれば、移載手段(M)が搬送手段(C1)の搬送面(12)に載置された複数の物品(P)をまとめて第2搬送手段(C2)の搬送路(21)に移載することから、移載処理速度を高めることができる。もって物品(P)を規定数揃えるまでの時間の安定化を図り得る包装機における物品供給装置を提供することができる。
【0010】
また、水平方向、上下方向の合成速度を高くして製品を移載することに特化したパラレルリンクロボット(40)を採用したことによって、スカラーロボットなどと比べて、移載処理速度を高めることができる。パラレルリンクロボット(40)を採用したことによって、物品(P)を起立姿勢(PB)に変更する装置など、第2搬送手段(C2)より搬送上流側で機能する物品(P)を搬送する装置あるいは物品の姿勢を変換する装置などを簡素に構成することができる。
【0012】
また、物品(P)を保持する把持手段(80)が搬送手段(C1)の搬送面(12)に向けて、他の把持手段(80)より低い位置に下降して物品(P)を保持することから、他の把持手段(80)の最下端部が搬送手段(C1)上に置かれた物品(P)に干渉することを回避でき、撮影した情報に基づく物品(P)の位置とのずれを招くことがない。
【0013】
次に、請求項1に従属する請求項2に係る発明は、前記第2搬送手段(C2)には、前記物品(P)を載置して走行する搬送面(22)と、該搬送面(22)より上方で起立姿勢(PB)に変更されたそれぞれの物品(P)の左右両側を支持するサイドガイド(24)によって構成された搬送路(21)が並設されており、前記移載手段(M)は、前記規定数の物品(P)を搬送路(21)にまとめて移載する動作を行って前記所定数の物品(P)からなる物品群(U)にする。
【0014】
この請求項2に係る発明によれば、第2搬送手段(C2)にて、物品(P)を所定数ごとに集合してなる物品群(U)を形成するにあたって、搬送手段(C1)によって前後又は左右の物品間隔や向きが不規則に搬送されてきても、第2搬送手段(C2)の複数の搬送路(21)の一つに物品(P)が偏ることなく移載して物品群(U)を速やかに完成させることが可能になり、横形製袋充填機などの包装機に向けて物品群(U)を安定供給することができる。また、物品(P)の行数又は列数などの所定数が異なる包装形態の変更においてもパラレルリンクロボット(40)のプログラムを変更するだけで柔軟に対応することができる。
【0015】
次に、請求項1又は請求項2に従属する請求項3に係る発明は、前記移載手段(M)は、前記搬送手段(C1)における搬送面(12)上で、前記平置き姿勢(PA)で保持している前記規定数の物品(P)をまとめて起立姿勢(PB)に変更する。
【0016】
この請求項3に係る発明によれば、搬送手段(C1)の搬送面(12)上方で、物品(P)を起立姿勢(PB)にすることから、例えば物品(P)の表面から零れ落ちる屑などを搬送手段(C1)の搬送面(12)に落下させてから移載することで、屑の拡散を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は上記各発明の手段をとることにより、物品を規定数揃えるまでの時間の安定化を図り得る包装機における物品供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る包装機における物品供給装置を模式的に示した全体斜視図である。
図2】(a)図は第2コンベヤ及び移載手段を模式的に示した正面図であり、(b)図は第2コンベヤ及び移載手段を模式的に示した側面図である。
図3】姿勢変更手段を斜め正面側から示した斜視図である。
図4】姿勢変更手段を斜め背面側から示した斜視図である。
図5】姿勢変更手段が物品を起立姿勢に姿勢変更した状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の包装機における物品供給装置における実施形態について図面を用いて説明する。
【0020】
本実施形態の包装機における物品供給装置は、図1、2に示すように、製造機などから送られてきたコロッケなどの冷凍食品からなる物品Pを複数ずつ集合させて横形製袋充填機などの包装機(不図示)に向けて供給する装置である。この物品供給装置は、第1コンベヤ10と、第2コンベヤ20と、移載機構30が主体として構成されている。
【0021】
搬送手段C1を構成する第1コンベヤ10は、不定間隔で置かれた平置き姿勢PAの物品Pを順次搬送するコンベヤである。物品Pはそれぞれ製造機から平置き姿勢PAで送られてくる際に、搬送方向における前後または左右の互いの間隔と向きが不規則な状態で第1コンベヤ10の搬送面12に受け渡される。第1コンベヤ10は、搬送面12が無端状のベルトで構成され、連続走行して各物品Pを搬送する。搬送される各物品Pは、第1コンベヤ10の搬送面12における上流側に設定された撮影領域を移動する際に、撮像手段としてのカメラ14によって逐次撮影される。各撮影した情報に基づき、制御部16によってそれぞれの物品Pの向きと隣接する物品Pの間隔などの位置情報が求められる。
【0022】
第2搬送手段C2を構成する第2コンベヤ20は、図1、2に示されるように、物品Pが所定数ごとに集合してなる物品群Uを包装機に向けて搬送するコンベヤである。第2コンベヤ20は、第1コンベヤ10の搬送方向に交差する側方に配設されている。第2コンベヤ20は、搬送面22が無端状のベルトで構成され、その搬送面22の上方には、物品Pの搬送方向に沿って互いが物品Pの厚みよりやや長い間隔で離間して並設されたサイドガイド24が設けられることによって、物品Pを搬送する搬送路21が複数並設されている。第2コンベヤ20は、各搬送路21における左右のサイドガイド24の間に起立姿勢PBの物品Pを受け入れて、連続走行する搬送面22によって、受け入れた各物品Pの姿勢を維持しながら搬送する。第2コンベヤ20の各搬送路21における物品受入位置25より設定距離下流に離間した各搬送路21の終端部側には、各搬送路21に進入して搬送させてくる物品Pを堰き止めるストッパ27が各搬送路21に対して進退移動し得るように配設されている。ストッパ27は、包装仕様で定められた1包装当り、N列M行(N、Mは任意の数)の物品Pからなる物品群Uを作るべく、各搬送路21における物品受入位置25と搬送路21終端部の間に設けた検知位置に到来した物品Pを検知する物品検知手段26から得た情報に基づき、進退移動がなされるものであり、物品群Uが完成する度に物品Pの堰き止めを解除して搬送路21の下流側に向けた物品群Uの搬送を許容する。搬送の許容がなされた物品群Uは、第2コンベヤ20の下流端部に配置された第3コンベヤ(不図示)に送出される。第2コンベヤ20の上方には、移載手段Mを構成する移載機構30が配設されている。なお、前述の制御部16又は制御部16と情報交換を図る不図示の単一又は複数の制御部による動作指令に関する情報などに基づき、第2コンベヤ20及びストッパ27が作動する構成が、物品Pが所定数ごとに集合してなる物品群Uを包装機に向けて搬送する「第2搬送手段C2」に相当する。
【0023】
移載機構30は、前述の制御部16又は制御部16と情報交換を図る不図示の単一又は複数の制御部による動作指令に伴い、第1コンベヤ10によって移動している物品Pの中から規定数の物品Pを各物品Pのそれぞれの移動に同調しながら移動して順次保持し、第2コンベヤ20に向けて移動する際に、平置き姿勢PAで保持している規定数の物品Pをまとめて起立姿勢PBに変更して、第2コンベヤ20における物品群Uの搬送方向に沿うように第2コンベヤ20の搬送路21にまとめて移載する動作を繰り返す。
【0024】
このように制御部16などによって移載機構30が、規定数の物品Pを搬送路21にまとめて移載する動作を行って所定数の物品Pからなる物品群Uにする構成が「移載手段M」に相当する。移載機構30は、パラレルリンクロボット40を有している。パラレルリンクロボット40は、固定枠体42と、回動リンク機構44と、移動枠体46と、を有している。固定枠体42は、第2コンベヤ20の上方において固定保持されており、回動リンク機構42を介して移動枠体46を支持する。固定枠体42は、水平方向の3方向に突出したアーム部43を有しており、このアーム部43に回動リンク機構44が接続されている。回動リンク機構44は、平行した一対のリンクの一端側がアーム部43に対して回動可能に接続されている。また、回動リンク機構44の他端側は、下方に位置する移動枠体46に回動可能に連結されている。移動枠体46は、アーム部43の回動及び回動リンク機構44の回動によって3次元空間内を自在に移動可能に構成される。移動枠体46の下方には、物品Pを保持するハンドHが支持されている。
【0025】
ハンドHは、図3〜5に示されるように移載機構30に備えられるものであり、平置き姿勢PAの物品Pを保持する機能と、第2コンベヤ20に向けて移動する際に平置き姿勢PAで保持している規定数の物品Pをまとめて起立姿勢PBに変更する機能の2機能を有する。
【0026】
ハンドHは、移動枠体46に配設されたモータ61(駆動手段)を介して接続されている。モータ61は、移動枠体46の中心において、モータ61の駆動力によって回転する駆動軸61Aが下方に向くように配設されている。上下方向に延在するモータ61の駆動軸61Aには、支持ブラケット64(支持部材)が連結されている。支持ブラケット64(支持部材)には、格子状枠体66(保持機構)が支持されている。格子状枠体66(保持機構)は、駆動軸61Aの延在方向に対して交差する方向に延在した第2軸62Aの周りを回動し得るように支持ブラケット64(支持部材)に回動可能に支持される。格子状枠体66は、第2軸62Aに沿った向きに駆動軸が配設される第2モータ62(第2駆動手段)が接続されており、この第2モータ62によって第2軸62A周りに回動する。格子状枠体66(保持機構)には、平置き姿勢PAの物品Pを保持する保持手段65が第2軸62Aに沿うように規定数配設されている。なお、前述の制御部16又は制御部16と情報交換を図る不図示の単一又は複数の制御部による動作指令に関する情報などに基づき、モータ61(駆動手段)、第2モータ62(第2駆動手段)、支持ブラケット64(支持部材)、保持手段65及び格子状枠体66(保持機構)の構成が作動する態様が、第2コンベヤ20に向けて移動する際に平置き姿勢PAで保持している規定数の物品Pをまとめて起立姿勢PBに変更し得る「姿勢変更手段S」に相当する。
【0027】
保持手段65は、物品Pを掴む把持部材80(把持手段)と、把持部材80をそれぞれ独立して上下に昇降可能とするスライダ67(昇降機構)を有する。スライダ67は、格子状枠体66の上下方向に延在するシャフトに挿通されており、エアシリンダ68の駆動力によって上下に昇降可能に構成されている。スライダ67には、左右一対の把持部材80(把持手段)が支軸76に枢支されている。把持部材80は、先端が下方に向かって垂下状に支持されている。左右一対の把持部材80の間には、エア供給部74のエアの供給によって上下方向にスライドするスライド体72が配設されている。把持部材80とスライド体72の間は、リンク部材70が配設されている。リンク部材70は、一端が把持部材80に回動可能に連結され、他端がスライド体72に回動可能に連結されている。左右一対の把持部材80は、スライド体72がエア供給部74のエアの供給によって上下方向にスライドすると、支軸76を中心に回動することによって物品Pを掴むように構成されている。これにより、把持部材80は、それぞれが独立して昇降可能とされており、第1コンベヤ10で搬送中の物品Pを把持する際に把持部材80のうち低い位置まで降下している把持部材80の一つが物品Pを把持するように構成されている。なお図示を省略するが、左右一対の把持部材80には、互いを近接する方向に付勢する弾性部材が介装されており、物品Pを掴んだ際のがたつきを抑制するように構成されている。
【0028】
なお、図示を省略するが、第3コンベヤは横形製袋充填機の一部を構成している供給コンベヤであり、物品群Uの陣形の乱れを防ぐと共に各物品Pの起立姿勢PBの維持がなされるべく、物品群Uの左右両側を支持しつつ物品群Uごとに物品群Uを後方側(搬送方向上流側)から押送する押送手段などを有した供給コンベヤなどが採用されることが好ましい。供給コンベヤから押送された物品群Uは、原反ロールから連続的に送り出されて製袋手段で筒状成形される成形中のフィルム内に送出される。そして、筒状に成形されたフィルムの左右両端部が重合した箇所に筒状フィルムの送り方向に沿って縦シール手段によりシールがなされ、搬送方向における前後の物品群Uの間のフィルム箇所が横シール手段によって搬送方向に交差する左右方向(幅方向に)沿うようにシールがなされると共にフィルム切断されることでピロー包装品が得られる。
【0029】
移載機構30による物品Pの移載動作の全体の流れは次のとおりである。図1〜5に示すように、移載機構30のパラレルリンクロボット40は、撮像手段としてのカメラ14で得た各物品位置情報と第1コンベヤ10に付設されたエンコーダのパルスなどで得られる物品Pの送り情報に基づき制御部16によって演算処理して得た移載に関する指令情報によって作動する。
【0030】
ハンドHは、把持部材80が物品Pの長手方向の両側を掴むために、モータ61の駆動によって物品Pの長手方向の向きに沿うように垂直軸周りに回動(水平旋回)する。ここでハンドHは、エア供給部74、エアシリンダ68へのエア供給用ホースの捩れを防ぐため、垂直軸周りの回動は360°回動しない。また、ハンドHは、把持部材80が他の物品Pに接触することがないように連続搬送されてくる下流付近の物品Pを保持する。
【0031】
パラレルリンクロボット40は、把持部材80が第1コンベヤ10で搬送中の物品Pを把持する際に、各物品Pのそれぞれの移動に同調しながら移動して順次保持する。把持部材80のうち物品Pの上方に位置する把持部材80は、エアシリンダ68の駆動力によってスライダ67が降下すると共に、エア供給部74のエアの供給によってスライド体72が下方向にスライドすることでリンク部材70が回動して把持部材80の先端が拡開し、スライド体72が上方向にスライドすることで物品Pを掴む。もう一方の把持部材80も同様に物品Pを掴む。把持部材80は、物品Pを保持した後、エアシリンダ68の駆動力によってスライダ67が上昇することで元の高さ位置まで上昇して物品P保持を継続する。このように、物品Pを保持する把持部材80が第1コンベヤ10の搬送面12へ向けて、他の把持部材80より低い位置に下降して物品Pを保持することから他の把持部材80の最下端部が物品Pに干渉しない。ハンドHは、両把持部材80が物品Pを掴むと、第1コンベヤ10における搬送面12上で、第2モータ62の駆動によって格子状枠体66を回転させることにより平置き姿勢PAで保持している規定数の物品Pをまとめて起立姿勢PBに変更する。ここで、平置き姿勢PAから起立姿勢PBへ回動する向きは常に同じである。
【0032】
ハンドHは、規定数の物品Pをまとめて起立姿勢PBで保持した状態で第2コンベヤ20における搬送路21の物品受入位置25まで移動し、把持部材80の保持を解除することで物品受入位置25に物品Pを移載する。第2コンベヤ20は、搬送路21に起立姿勢PBの物品Pを受け入れて、連続走行する搬送面22によって、受け入れた各物品Pの姿勢を維持しながら搬送する。移載機構30は、規定数の物品Pを搬送路21にまとめて移載する動作を繰り返し行って包装仕様で定められた1包装当りの物品P(所定数)からなる物品群Uにする。
【0033】
以上のような搬送装置は、次のような効果がある。
・水平方向、上下方向の合成速度を高くして製品を移載することに特化したパラレルリンクロボット40を採用したことによって、スカラーロボットなどと比べて、移載処理速度を高めることができる。
・ハンドHが第1コンベヤ10の搬送面12に載置された複数の物品Pをまとめて第2コンベヤ20の搬送路21に移載することから、移載処理速度を高めることができる。
・パラレルリンクロボット40を採用したことによって、物品Pを起立姿勢PBに変更する装置など、第2コンベヤ20より搬送上流側で機能する物品Pを搬送する装置あるいは姿勢を変換する装置などを簡素に構成することができる。
・第2コンベヤ20にて、物品Pを規定の行数及び列数に整列してなる物品群Uを形成するにあたって、第1コンベヤ10によって前後又は左右の物品間隔や向きが不規則に搬送されてきても、第2コンベヤ20の複数の搬送路21の一つに物品Pが偏ることなく移載して物品群Uを速やかに完成させることが可能になり、横形製袋充填機などの包装機に向けて物品群Uを安定供給することができる。
・物品Pの行数又は列数が異なる包装形態の変更にもパラレルリンクロボット40のプログラムを変更するだけで柔軟に対応することができる。
・第1コンベヤ10の搬送面12上方で、物品Pを起立姿勢PBにすることから、例えば、物品Pの表面から零れ落ちる屑などをコンベヤに落下させてから移載するため屑の拡散を抑制することができる。
・物品Pを保持する把持部材80が第1コンベヤ10の搬送面12に向けて、他の把持部材80より低い位置に下降して物品Pを保持することから、他の把持部材80の最下端部が第1コンベヤ10上に置かれた物品Pに干渉することを回避でき、撮影した情報に基づく物品Pの位置とのずれを招くことがない。
・把持部材80が物品Pを保持した後に別の把持部材80(把持手段)が物品Pを保持する際に、元の高さ位置で物品Pを継続して保持していることから、第1コンベヤ10上に置かれた物品Pに干渉することを回避でき、撮影した情報に基づく物品Pの位置とのずれを招くことがない。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の搬送装置は、実施形態に限定されず、以下のようにその他各種の形態で実施することができるものである。
・パラレルリンクロボット40が物品Pを把持する把持部材80(把持手段)について説明したが、取り扱う物品Pによっては、物品Pを吸着して保持してもよい。
・物品群Uとしては、保持した複数個の物品Pをまとめて第2コンベヤ20の1つの搬送路21に移載する動作を複数繰り返して構成される物品群Uを含む。
・パラレルリンクロボット40に配備されたスライド体72のエア供給部74、スライダ67のエアシリンダ68の駆動手段については、エアシリンダに替えてモータなどの駆動源を採用し得る。また、逆にモータを採用しているモータ61(駆動手段)、第2モータ62(第2駆動手段)の構造については、エアシリンダなどの駆動源を採用してもよい。
・包装する品種によっては、第2コンベヤ20に移載した際の物品Pの姿勢が一部あるいは全部、起立姿勢PBではなく平置き姿勢PAにしてもよい。また平置き姿勢PAと起立姿勢PBの組み合わせでもよい。
・包装機は、横形製袋充填機を示したが、箱詰装置、トレー供給する装置などでもよい。
【符号の説明】
【0035】
C1:搬送手段 C2:第2搬送手段 M:移載手段 S:姿勢変更手段
10:第1コンベヤ 12:搬送面 20:第2コンベヤ 21:搬送路 22:搬送面
24:サイドガイド 27:ストッパ 30:移載機構 40:パラレルリンクロボット
42:固定枠体 44:回動リンク機構 46:移動枠体 61:モータ(駆動手段)
61A:駆動軸 62:第2モータ(第2駆動手段) 62A:第2軸
64:支持ブラケット(支持部材) 65:保持手段 66:格子状枠体(保持機構)
80:把持部材(把持手段) H:ハンド
P:物品 PA:平置き姿勢 PB:起立姿勢 U:物品群
図1
図2
図3
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図5