(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
このような紙葉類搬送装置の一例として特許第5926415号公報(特許文献1)に記載されたものがある。
図15乃至
図20は同特許公報に記載された紙葉類搬送装置を示す。
この紙葉類搬送装置は、紙葉類をその前面で押すことにより当該紙葉類を搬送するキャリア10と、キャリア10の外形と相似し、キャリア10が走行可能な内部空間を有するダクト11と、ダクト11内においてキャリア10を双方向に走行させる一対の第一送風機12a及び第二送風機12bと、ダクト11内においてキャリア10を所定の位置で停止させるストッパー13a及び13bと、を備えている。
図15は紙葉類搬送装置が使用される環境を示す概略図である。
図15に示すように、複数個のパチンコ台20その他の遊戯機器が
図15の左右方向に一列に配置されており(
図15においては、1個のパチンコ台20のみを示している)、パチンコ台20の横に紙幣を投入するための紙幣投入装置21が設置されている。
【0003】
パチンコ台20の裏側には、当該紙葉類搬送装置の一構成要素であるダクト11がパチンコ台20の配列方向と平行に延びるように設置されている。
図16はダクト11の部分的斜視図(一部分解図を含む)である。
図16に示すように、ダクト11は直線状に延びる中空構造を有しており、その縦断面は、上下方向に長い長方形において上下方向の中央部が内側に突出する形状をなしている。すなわち、上下方向の中央の部分が矩形状にダクト11の内側に突出する突出部11aを構成している。
さらに、ダクト11の側壁には、紙幣投入装置21の位置に対応して、スリット11bが形成されている。後述するように、各紙幣投入装置21に投入された紙幣はスリット11bを通過してダクト11の内部に送られる。
【0004】
図17はキャリア10の斜視図である。
キャリア10は、上下方向に延びる中心軸10aと、中心軸10aの一方の側に配置された4個の第一ウィング10bと、中心軸10aの他方の側に配置された4個の第二ウィング10cと、からなる。
第一ウィング10bは、中心軸10aの上端及び下端をそれぞれ起点として、2個一組の第一ウィング10bがV字型になるように、それぞれ配置されている。同様に、第二ウィング10cは、中心軸10aの上端及び下端をそれぞれ起点として、2個一組の第二ウィング10cがV字型になるように、それぞれ配置されている。後述するように、ダクト11の内部に送られた紙幣は4個の第一ウィング10bにその外縁を押されて搬送される。
図18はキャリア10がダクト11の内部に収納された状態を示す斜視図である。
図18に示すように、ダクト11の突出部11aが、上下の第一ウィング10bの間に形成された空間10d及び上下の第二ウィング10cの間に形成された空間10d(
図17参照)に嵌まり込む。
さらに、
図15に示すように、ダクト11の一端(
図15の右端)には、紙幣投入装置21から投入され、キャリア10によって搬送された紙幣を収容する紙幣収容室14が配置されている。
【0005】
ダクト11の両端には、ダクト11の内部に風を送り込む第一送風機12a及び第二送風機12bが配置されている。
第一送風機12a及び第二送風機12bは何れか一方のみが作動するか、あるいは、双方とも作動しない。双方が同時に作動することはない。第一送風機12aが作動すると、ダクト11の内部に収容されているキャリア10の第二ウィング10cが風圧を受けて、キャリア10は紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行する。一方、第二送風機12bが作動すると、ダクト11の内部に収容されているキャリア10の第一ウィング10bが風圧を受けて、キャリア10は紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)に走行する。
なお、ダクト11の一方の端部(
図15の右端)に連続して紙幣収容室14が配置されているため、第二送風機12bは紙幣収容室14に隣接して配置され、バイパス通路12cを介してダクト11と連結している。
【0006】
図19は紙幣投入装置21の内部構造を示す概略図である。
図19に示すように、紙幣投入装置21は、ローラーユニット21bと、ダクト11に対して斜めの方向に延びる搬送路21cと、を備えている。
紙幣投入装置21の紙幣投入口21aから投入された紙幣はローラーユニット21bにより搬送され、搬送路21cを介して、ダクト11の内部に投入される。
図20は、ダクト11内においてキャリア10を所定の位置(具体的には、ダクト11の両端の近傍)で停止させるストッパー13a及び13bを示す。
ストッパー13a及び13bは、ダクト11の内部に延びるフック状の部材からなる。キャリア10の第一ウィング10bがストッパー13aに引っ掛かることによって、キャリア10は紙幣収容室14の手前で停止する。また、キャリア10の第二ウィング10cがストッパー13bに引っ掛かることによって、キャリア10は第一送風機12aの手前で停止する。
【0007】
上記の構造を有する紙葉類搬送装置は以下のように作動する。
パチンコ台20の顧客が紙幣を紙幣投入装置21の紙幣投入口21aに投入すると、紙幣はローラーユニット21bにより搬送され、搬送路21cを介して、ダクト11のスリット11bからダクト11の内部に投入される。
紙幣投入装置21には紙幣感知センサー(図示せず)が設けられており、紙幣がダクト11の内部に投入されると、紙幣感知センサーは紙幣投入を示す紙幣投入信号を中央制御装置(図示せず)に送信する。
紙幣投入信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aを作動させる。第一送風機12aが作動を開始すると、ダクト11の内部には紙幣収容室14に向う方向(方向X1)の空気流(風)が発生する。キャリア10は、第二ウィング10cがこの空気流による風圧を受けることにより、紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行する。キャリア10は、紙幣収容室14に到達するまでの間に、ダクト11に投入された紙幣を第一ウィング10bで捕捉する。キャリア10は紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行しているため、紙幣を捕捉したキャリア10は捕捉した紙幣を押した状態を維持しながら走行を続け、次いで、ストッパー13aにより停止させられる。キャリア10が停止することにより、紙幣は慣性力の作用を受けキャリア10から離れ、紙幣収容室14に収容される。
【0008】
紙幣は、その紙面がキャリア10の走行方向(ダクト11の長さ方向)と平行であり、かつ、その短辺がキャリア10の中心軸10aと平行になる姿勢を維持してキャリア10により搬送される。
ストッパー13aの近傍にはキャリア10を検知するセンサー(図示せず)が配置されており、キャリア10がストッパー13aによって停止すると、センサーは、キャリア10がストッパー13aによって停止したことを示すキャリア停止信号を中央制御装置に送信する。
キャリア停止信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aの作動を停止するとともに、キャリア10がストッパー13aによって停止してから所定の時間(紙幣が紙幣収容室14に収容されるのに必要な時間)が経過したときに、第二送風機12bを作動させる。
【0009】
第二送風機12bが作動を開始すると、ダクト11の内部には紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)の空気流(風)が発生する。キャリア10は、第一ウィング10bがこの空気流による風圧を受けることにより、紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)に走行する。
その後、キャリア10はストッパー13bに引っ掛かり、停止する。すなわち、キャリア10は当初の位置に復帰する。
以上の動作が、紙幣が紙幣投入装置21に投入されてから、紙幣収容室14に収容されるまでの1サイクルの動作である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第一の実施形態)
図1は本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置300が使用される環境を示す概略図である。
紙葉類搬送装置300は、紙幣をその前面で押すことにより当該紙幣を搬送するキャリア310と、キャリア310の外形と相似し、キャリア310が走行可能な内部空間を有するダクト320と、ダクト320内においてキャリア310を双方向に走行させるための一対の第一送風機330a及び第二送風機330bと、ダクト320内においてキャリア310を所定の位置で停止させる一対のストッパー(図示せず)と、を備えている。
図1に示すように、複数個のパチンコ機その他の遊戯機器400が
図1の左右方向に一列に配置されており(ただし、
図1においては、1個のパチンコ機400のみを示している)、各パチンコ機400の横には遊技媒体貸し出し機401が設置されている。遊技媒体貸し出し機401は、紙幣が投入されると、その紙幣の額に応じた数の遊技媒体を払い出す。
【0023】
パチンコ機400の裏面側には、紙葉類搬送装置300の一構成要素であるダクト320がパチンコ機400の配列方向(
図1の左右方向)と平行に延びるように設置されている。
図2はキャリア310の斜視図であり、
図3(A)はキャリア310の正面図、
図3(B)はキャリア310を上方から見たときの平面図、
図3(C)はキャリア310の底面図、
図3(D)はキャリア310の側面図である。
キャリア310は第一キャリア部材311と第二キャリア部材312とから構成されている。
図4は第一キャリア部材311の斜視図、
図5は第二キャリア部材312の斜視図である。
以下、
図2に示すように、第一キャリア部材311の短辺が延びる方向(
図2の左右方向)を第一方向D1、第一方向D1と直交する方向であって、第一キャリア部材311の長辺が延びる方向(
図2の上下方向)を第二方向D2、第一方向D1及び第二方向D2の双方と直交する方向を第三方向D3とする。
【0024】
図4に示すように、第一キャリア部材311はフレーム状の板材からなり、当該板材の厚さ方向と直交する方向から見たときの断面はほぼ長方形である。第一キャリア部材311を構成する板材の幅は一定である。
第一キャリア部材311の内壁の四隅には、
図3(D)に示すように、相互に隣接する二辺にわたって円弧状の補強部材313が設けられている。
図5に示すように、第二キャリア部材312はフレーム状の板材からなり、当該板材の厚さ方向と直交する方向から見たときの断面は長方形にほぼ近い形状である。第二キャリア部材312を構成する板材の幅は一定である。
第二キャリア部材312には、相互に対向する一対の辺(長方形の短辺に相当する辺)において、第二キャリア部材312の外側から内側に向かう凹部314がそれぞれ形成されている。
【0025】
凹部314の各々は、第二キャリア部材312の外側から内側に向かって相互に平行に延びる一対の第一部材314Aと、一対の第一部材314Aの各々の一方の端部(第二キャリア部材312の内側に位置する端部)を連結する第二部材314Bと、一対の第一部材314Aの各々の他方の端部から相互に近接するように延びる一対の第三部材314Cと、から構成されている。
図2に示すように、第二キャリア部材312は凹部314を介して第一キャリア部材311の内側から第一キャリア部材311に嵌め込まれる。この際、第一キャリア部材311は凹部314の第二部材314Bと一対の第三部材314Cとの間に嵌合された状態となる。すなわち、第一キャリア部材311はその表面側と裏面側とで凹部314の第二部材314B及び一対の第三部材314Cにそれぞれ挟まれた状態になるため、第一キャリア部材311と第二キャリア部材312とは相互に強力に連結し、第一キャリア部材311は第二キャリア部材312から容易には外れない。
【0026】
第一キャリア部材311及び第二キャリア部材312の角の全てまたはいくつかには面取りが施され、あるいは、曲面形状に形成されている。
さらに、
図3(D)に示すように、第二キャリア部材312を構成する部分のうち、第一方向D1に延びる部分312Aの両側縁(
図3(D)の上下における側縁)には曲線状のテーパ312Bが形成されている。テーパ312Bは、部分312Aの両端(
図3(D)の左右方向の両端)から一定の長さにわたって形成されており、部分312Aの幅(第二方向D2における長さ)は部分312Aの両端に近いほど小さくなるように設定されている。
第二キャリア部材312の部分312Aにテーパ312Bを形成することにより、キャリア310がダクト320内を走行するときのダクト320の第二空間322(
図6を参照)の上下の内壁に対する抵抗を減少させることができるので、キャリア310の走行を安定させることができる。
【0027】
図6はダクト320の斜視図である。
図6に示すように、ダクト320はキャリア310の外形と相似し、かつ、キャリア310が走行可能である範囲内において最小断面積の内部空間を有している。
具体的には、ダクト320の内部空間は、第二方向D2に延びる長辺を有する長方形断面の第一空間321と、第一空間321の第二方向D2における中央から外側に向って第三方向D3に延びる一対の第二空間322と、からなる。第二空間322の各々は長方形断面を有しており、第三方向D3における第二空間322の各々の長さは相互に等しい。
キャリア310の第一キャリア部材311が第一空間321の内部を走行し、キャリア310の第二キャリア部材312のうち第一キャリア部材311から外側に突出している部分が各第二空間322の内部を走行する。ダクト320に投入された紙幣はキャリア310の第一キャリア部材311に押されて、第一空間321の内部を走行する。
ダクト320は、例えば、透明のプラスチック製である。
【0028】
図1に示すように、ダクト320の一端(
図1の右端)には、遊技媒体貸し出し機401から紙幣取り込み装置(図示せず。
図19に示した紙幣投入装置21に対応する装置。)を介してダクト320の内部に投入され、キャリア310によって搬送された紙幣を収容する紙幣収容室340が配置されている。
ダクト320の内部に空気流を送り込む第一送風機330a及び第二送風機330bはダクト320の両端に配置されている。
第一送風機330a及び第二送風機330bは何れか一方のみが作動するか、あるいは、双方とも作動しない。双方が同時に作動することはない。第一送風機330aが作動すると、ダクト320の内部に収容されているキャリア310は風圧を受けて、紙幣収容室340に向う方向(方向X1)に走行する。一方、第二送風機330bが作動すると、ダクト320の内部に収容されているキャリア310は風圧を受けて、紙幣収容室340から離れる方向(方向X2)に走行する。
【0029】
なお、第一送風機330aはダクト320の一端(
図1の左端)に接続されているが、ダクト320の他方の端部(
図1の右端)には当該端部に連続して紙幣収容室340が配置されているため、第二送風機330bは紙幣収容室340に隣接して配置され、バイパス通路330cを介してダクト320と連結している。
さらに、本実施形態に係る紙葉類搬送装置300は仕切り壁350及びバネ部材351とからなる逆止弁360を追加的に備えている。
図7及び
図8は本実施形態に係る紙葉類搬送装置300の部分的縦断面図である。
図7及び
図8は何れもダクト320の終端(
図7及び
図8におけるダクト320の左端)を含む一部、紙幣収容室340、ダクト320の終端から紙幣収容室340まで延びる紙幣搬送路321、第二送風機330b及びバイパス通路330cを含む領域の断面図であり(なお、
図1と
図7及び
図8とでは左右の向きが逆になっている)、
図7は仕切り壁350が閉じている状態、
図8は仕切り壁350が開いている状態を示している。
【0030】
仕切り壁350は、紙幣搬送路321の内部において紙幣搬送路321の内壁に沿って設置されており、紙幣搬送路321の長さ方向における両端のうち、紙幣収容室340に近い方の端部を中心としてバイパス通路330cに対して回動自在に構成されている。すなわち、仕切り壁350は、バイパス通路330cに対して閉じた状態(
図7の状態)とバイパス通路330cに対して開いた状態(
図8の状態)の間で回動する。
仕切り壁350の大きさは、仕切り壁350がバイパス通路330cに対して閉じているとき(
図7の状態)には、バイパス通路330cを全体的に塞ぐことかできる大きさであり、かつ、仕切り壁350がバイパス通路330cに対して開いたとき(
図8の状態)には、仕切り壁350の他端が紙幣搬送路321の上面に接触する大きさ、すなわち、仕切り壁350が紙幣搬送路321を全体的に塞ぐことができる大きさである。
【0031】
バネ部材351は引張バネであり、その一端がバイパス通路330cの内面に、他端が仕切り壁350の裏面(バイパス通路330cに通じる側の面)にそれぞれ止められている。このため、バネ部材351は仕切り壁350がバイパス通路330cを塞ぐ方向に仕切り壁350を付勢するものであり、
図7に示すように、紙幣が搬送されてきていないときには、仕切り壁350はバイパス通路330cを塞いでいる状態を維持している。
後述するように、第二送風機330bが作動すると、第二送風機330bからの空気流による風力がバネ部材351の引張力に勝るため、仕切り壁350は回動し、バイパス通路330cに対して開いた状態(
図8の状態)に移行する。
【0032】
上記の構造を有する紙葉類搬送装置300は以下のように作動する。
パチンコ機400の顧客が遊技媒体貸し出し機401に紙幣を投入すると、その紙幣の額に応じた数の遊技媒体が遊技媒体貸し出し機401から払い出される。遊技媒体貸し出し機401に投入された紙幣は遊技媒体貸し出し機401の背面から排出され、紙幣取り込み装置に取り込まれた後、紙幣取り込み装置からダクト320の内部に投入される。
遊技媒体貸し出し機401には紙幣感知センサー(図示せず)が設けられており、紙幣がダクト320の内部に投入されると、紙幣感知センサーは紙幣投入を示す紙幣投入信号を中央制御装置(図示せず)に送信する。
紙幣投入信号を受信した中央制御装置は第一送風機330aを作動させる。第一送風機330aが作動を開始すると、ダクト320の内部には紙幣収容室340に向う方向(方向X1)の空気流が送られる。キャリア310はこの空気流による風圧を受けることにより、紙幣収容室340に向う方向(方向X1)に走行を開始する。
【0033】
キャリア310は、紙幣収容室340に到達するまでの間に、紙幣取り込み装置を介してダクト320に投入された紙幣を第一キャリア部材311の前面で捕捉する。紙幣を捕捉したキャリア310は捕捉した紙幣を押した状態を維持しながら、紙幣収容室340に向う方向(方向X1)に走行を続け、次いで、ストッパー(図示せず)により停止させられる。キャリア310が停止することにより、紙幣は慣性力の作用を受けキャリア310から離れ、紙幣収容室340に収容される。
紙幣がキャリア310から離れ、紙幣収容室340に収容されるまでの間においては、仕切り壁350はバネ部材351の作用により閉じている。このため、紙幣はバイパス通路330cの周縁に引っ掛かることなく、紙幣収容室340に収容されることが可能である。
【0034】
ストッパーの近傍にはキャリア310を検知するセンサー(図示せず)が配置されており、キャリア310がストッパーによって停止すると、センサーは、キャリア310の停止を示すキャリア停止信号を中央制御装置に送信する。
キャリア停止信号を受信した中央制御装置は第一送風機330aの作動を停止するとともに、キャリア310がストッパーによって停止してから所定の時間(紙幣が紙幣収容室340に収容されるのに必要な時間)が経過したときに、第二送風機330bを作動させる。
第二送風機330bが作動を開始すると、空気流がバイパス通路330cに送られる。仕切り壁350はバネ部材351の付勢力によりバイパス通路330cを閉じているが、第二送風機330bが発生する空気流の風圧によって、
図8に示すように、仕切り壁350はバネ部材351の付勢力に抗してその他端が紙幣搬送路321の上面に接するまで回動する。
【0035】
これにより、紙幣収容室340に通じる紙幣搬送路321は仕切り壁350により遮断され、バイパス通路330cとダクト
320とが連通する。この結果、第二送風機330bからの空気流はダクト
320に送られ、ダクト
320の内部のキャリア310はこの空気流による風圧を受けて、紙幣収容室340から離れる方向(
図1の方向X2)に走行を開始する。
キャリア310がダクト320の始端(
図1の左端)の手前においてストッパー(図示せず)に衝突し、停止すると、センサー(図示せず)がキャリア310を検知し、検知信号を中央制御装置に送信する。センサーからの検知信号を受信した中央制御装置は第二送風機330bの作動を停止する。
【0036】
第二送風機330bが作動を停止すると、仕切り壁350はバネ部材351の付勢力によって、バイパス通路330cを閉じる位置に再び復帰する(
図7の状態)。
以上が本実施形態に係る紙葉類搬送装置300の動作の1サイクルである。以後、このサイクルが繰り返される。
前述のように、従来の第二送風機12bには機械的または電気的に回転子を停止させるブレーキ機構が設けられていないため、中央制御装置が第二送風機12bの作動を停止した後であっても、回転子は慣性で回転を続ける。このため、回転子が止まるまでの間(具体的には4秒乃至10秒)、ダクト11の内部には第二送風機12bからの空気流が方向X2に送り続けられる。このため、第二送風機12bが慣性で作動を継続している間はこの逆止弁360は開いたままの状態になる。逆止弁360が開いた状態のまま第一送風機12aを作動させると、第一送風機12aからの空気流が逆止弁360を通過してバイパス通路12cに流れ込むため、逆止弁360は閉まらなくなり、紙葉類搬送装置300の正常な動作を維持することが不可能になる。
【0037】
このため、本実施形態に係る紙葉類搬送装置300には、第二送風機330bの作動が停止された後において第二送風機330bによる空気流の発生を強制的に停止させる停止手段370が設けられている。以下に例示するように、停止手段370は第二送風機330bの吸入口の全体を塞ぐことによって、第二送風機330bからの空気流の発生を強制的に停止させるものである。
図9は第二送風機330bの拡大斜視図である。
図9に示すように、第二送風機330bは円形の吸入口331を備えている。第二送風機330bは、内蔵されている回転子(図示せず)が回転することにより、吸入口331を介して周囲の空気を吸引し、バイパス通路330cを介して圧縮した状態の空気をダクト320の内部に送り出す。
【0038】
図10は本実施形態における停止手段370の概略図である。
停止手段370は、吸入口331を全体的に塞ぐ大きさを有する円形のプレート371と、吸入口331外の一点を中心として吸入口331が規定する面(
図10においては、
図10の紙面)と平行な面内においてプレート371を回転させる回転機構372と、を備えている。
回転機構372は、例えば、ステップモーター、あるいは、ソレノイド及び当該ソレノイドによる鉄心の直線運動を回転運動に変換する変更機構の組み合わせなどから構成される。
回転機構372は、プレート371が吸入口331と接し、かつ、吸入口331を全体的に覆う第一位置(
図10の破線の位置)と、プレート371が吸入口331から離れ、吸入口331を覆わない第二位置(
図10の実線の位置)との間でプレート371を回転させる。
【0039】
停止手段370は以下のように作動する。
プレート371は、第一送風機330a及び第二送風機330bが作動している間においては、第二位置(
図10の実線の位置)に位置している。
中央制御装置が第二送風機330bの作動を停止するときには、中央制御装置は第二送風機330bを停止させると同時に、回転機構372を作動させ、プレート371を第二位置から第一位置(
図10の破線の位置)に移行させる。
プレート371が第一位置に移行することにより、第二送風機330bの吸入口331はその全体がプレート371によって塞がれるため、第二送風機330bは空気を吸入することが不可能となり、ひいては、バイパス通路330cを介して空気をダクト320に送り込むことも不可能になる。
【0040】
以上のように、停止手段370を設けることにより、第二送風機330bの作動が停止された直後の段階から第二送風機330bからの空気流の発生は強制的に停止される。このため、第二送風機330bが作動を停止した後では、第二送風機330bからの送風は確実になくなるため、第二送風機330bが作動を停止した直後の段階から第一送風機330aを作動させることが可能になる。
プレート371は、例えば、第一送風機330aが作動を開始するのと同時に、第一位置から第二位置に移行する。
【0041】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置は第一の実施形態における停止手段370に代えて停止手段370Aを備えている。この点を除いて、本実施形態に係る紙葉類搬送装置は第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置300と同一の構造を有している。
図11は停止手段370Aの概略図であり、
図11(A)は停止手段370Aが第二送風機330bの吸入口331を塞がない第二位置にある場合を示し、
図11(B)は停止手段370Aが第二送風機330bの吸入口331を塞ぐ第一位置にある場合を示す。
停止手段370Aは、吸入口331を全体的に塞ぐ大きさを有する円形のプレート371と、吸入口331が規定する面(
図11においては、
図11の紙面)と平行な面内においてプレート371を平行移動させる移動機構373と、を備えている。
移動機構373は、吸入口331に接し、かつ、吸入口331を全体的に覆う第一位置(
図11(B)に示す位置)と吸入口331を覆わない第二位置(
図11(A)に示す位置)との間において、プレート371を平行移動させる。
【0042】
停止手段370Aは以下のように作動する。
プレート371は、第一送風機330a及び第二送風機330bが作動している間においては、第二位置(
図11(A)に示す位置)に位置している。
中央制御装置が第二送風機330bの作動を停止するときには、中央制御装置は第二送風機330bを停止させると同時に、移動機構373を作動させ、プレート371を第二位置から第一位置(
図11(B)に示す位置)に移行させる。
プレート371が第一位置に移行することにより、第二送風機330bの吸入口331はその全体がプレート371によって塞がれるため、第二送風機330bは空気を吸入することが不可能となり、ひいては、バイパス通路330cを介して空気をダクト320に送り込むことも不可能になる。
以上のように、停止手段370Aを設けることにより、第二送風機330bの作動が停止された直後の段階から第二送風機330bからの空気流の発生は強制的に停止される。このため、第二送風機330bが作動を停止した後では、第二送風機330bからの送風は確実になくなるため、第二送風機330bが作動を停止した直後の段階から第一送風機330aを作動させることが可能になる。
プレート371は、例えば、第一送風機330aが作動を開始するのと同時に、第一位置から第二位置に移行する。
【0043】
(第三の実施形態)
本発明の第三の実施形態に係る紙葉類搬送装置は第一の実施形態における停止手段370に代えて停止手段370Bを備えている。この点を除いて、本実施形態に係る紙葉類搬送装置は第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置300と同一の構造を有している。
図12は停止手段370Bの概略図であり、
図12(A)は停止手段370Bが第二送風機330bの吸入口331を塞がない第二位置にある場合を示し、
図12(B)は停止手段370Bが第二送風機330bの吸入口331を塞ぐ第一位置にある場合を示す。
停止手段370Bは、吸入口331を全体的に塞ぐ大きさを有する円形のプレート371と、吸入口331が規定する面と直交する方向(
図12の上下方向)においてプレート371を平行移動させる移動機構374と、を備えている。
【0044】
移動機構374は、吸入口331に接し、かつ、吸入口331を全体的に覆う第一位置(
図12(B)に示す位置)と吸入口331から上方に離れ、吸入口331とは接していない第二位置(
図12(A)に示す位置)との間において、プレート371を平行移動させる。
停止手段370Bは以下のように作動する。
プレート371は、第一送風機330a及び第二送風機330bが作動している間においては、第二位置(
図12(A)に示す位置)に位置している。
中央制御装置が第二送風機330bの作動を停止するときには、中央制御装置は第二送風機330bを停止させると同時に、移動機構374を作動させ、プレート371を第二位置から第一位置(
図12(B)に示す位置)に移行させる。
プレート371が第一位置に移行することにより、第二送風機330bの吸入口331はその全体がプレート371によって塞がれるため、第二送風機330bは空気を吸入することが不可能となり、ひいては、バイパス通路330cを介して空気をダクト320に送り込むことも不可能になる。
【0045】
以上のように、停止手段370Bを設けることにより、第二送風機330bの作動が停止された直後の段階から第二送風機330bからの空気流の発生は強制的に停止される。このため、第二送風機330bが作動を停止した後では、第二送風機330bからの送風は確実になくなるため、第二送風機330bが作動を停止した直後の段階から第一送風機330aを作動させることが可能になる。
プレート371は、例えば、第一送風機330aが作動を開始するのと同時に、第一位置から第二位置に移行する。
【0046】
(第四の実施形態)
本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置は第一の実施形態における停止手段370に代えて停止手段370Cを備えている。この点を除いて、本実施形態に係る紙葉類搬送装置は第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置300と同一の構造を有している。
図13は停止手段370Cの概略図であり、
図13(A)は停止手段370Cが第二送風機330bの吸入口331を塞がない第二位置にある場合を示し、
図13(B)は停止手段370Cが第二送風機330bの吸入口331を塞ぐ第一位置にある場合を示す。
停止手段370Cは、吸入口331を全体的に塞ぐ大きさを有する円形のプレート371と、吸入口331外の一点を中心として吸入口331が規定する面と直交する面内においてプレート371を回転させる回転機構375と、を備えている。プレート371が回転している間においては、プレート371の面はプレート371の回転方向と直交する状態にある。
【0047】
プレート371はその円周上の一点において回転機構375と接続されており、回転機構375は、吸入口331に接し、かつ、吸入口331を全体的に覆う第一位置(
図13(B)に示す位置)と吸入口331を覆わない第二位置(
図13(A)に示す位置)との間において、プレート371を回転させる。
停止手段370Cは以下のように作動する。
プレート371は、第一送風機330a及び第二送風機330bが作動している間においては、第二位置(
図13(A)に示す位置)に位置している。
中央制御装置が第二送風機330bの作動を停止するときには、中央制御装置は第二送風機330bを停止させると同時に、回転機構375を作動させ、プレート371を第二位置から第一位置(
図13(B)に示す位置)に移行させる。
【0048】
プレート371が第一位置に移行することにより、第二送風機330bの吸入口331はその全体がプレート371によって塞がれるため、第二送風機330bは空気を吸入することが不可能となり、ひいては、バイパス通路330cを介して空気をダクト320に送り込むことも不可能になる。
以上のように、停止手段370Cを設けることにより、第二送風機330bの作動が停止された直後の段階から第二送風機330bからの空気流の発生は強制的に停止される。このため、第二送風機330bが作動を停止した後では、第二送風機330bからの送風は確実になくなるため、第二送風機330bが作動を停止した直後の段階から第一送風機330aを作動させることが可能になる。
プレート371は、例えば、第一送風機330aが作動を開始するのと同時に、第一位置から第二位置に移行する。
【0049】
(第五の実施形態)
本発明の第五の実施形態に係る紙葉類搬送装置は第一の実施形態における停止手段370に代えて停止手段370Dを備えている。この点を除いて、本実施形態に係る紙葉類搬送装置は第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置300と同一の構造を有している。
図14は停止手段370Dの概略図であり、
図14(A)は停止手段370Dが第二送風機330bの吸入口331を塞がない第二位置にある場合を示し、
図14(B)は停止手段370Dが第二送風機330bの吸入口331を塞ぐ第一位置にある場合を示し、
図14(C)は第一位置にある停止手段370Dを第二送風機330bの上方から見た場合の平面図である。
【0050】
停止手段370Dは、2個の半円形のプレート376a、376bと、吸入口331外の一点を中心として吸入口331が規定する面と直交する面内においてプレート376a、376bの各々を回転させる回転機構377a、377bと、を備えている。プレート376a、376bが回転している間においては、プレート376a、376bの面はプレート376a、376bの回転方向と直交する状態にある。
各プレート376a、376bは半円形の頂点において回転機構377a、377bと接続されており、回転機構377a、377bは、吸入口331に接し、かつ、吸入口331を部分的に覆う第一位置(
図14(B)に示す位置)と吸入口331から離れ、吸入口331を覆わない第二位置(
図14(A)に示す位置)との間において、プレート376a、376bの各々を回転させる。
【0051】
停止手段370Dは以下のように作動する。
プレート376a、376bは、第一送風機330a及び第二送風機330bが作動している間においては、第二位置(
図14(A)に示す位置)に位置している。
中央制御装置が第二送風機330bの作動を停止するときには、中央制御装置は第二送風機330bを停止させると同時に、回転機構377a、377bを作動させ、プレート376a、376bを第二位置から第一位置(
図14(B)に示す位置)に移行させる。
各プレート376a、376bは半円形状をなしているため、各プレート376a、376bが第一位置に移行すると、各プレート376a、376bが協働して円形のプレートを形成する。これにより、
図14(C)に示すように、吸入口331は二つのプレート376a、376bにより全体的に塞がれる。
【0052】
プレート376a、376bが第一位置に移行し、第二送風機330bの吸入口331がプレート376a、376bによって塞がれると、第二送風機330bは空気を吸入することが不可能となり、ひいては、バイパス通路330cを介して空気をダクト320に送り込むことも不可能になる。
以上のように、停止手段370Dを設けることにより、第二送風機330bの作動が停止された直後の段階から第二送風機330bからの空気流の発生は強制的に停止される。このため、第二送風機330bが作動を停止した後では、第二送風機330bからの送風は確実になくなるため、第二送風機330bが作動を停止した直後の段階から第一送風機330aを作動させることが可能になる。
プレート376a、376bは、例えば、第一送風機330aが作動を開始するのと同時に、第一位置から第二位置に移行する。
【0053】
本実施形態においては、2個の半円形状のプレート376a、376bを用いたが、プレートの個数及び形状はこれには限定されない。吸入口331を部分的に塞ぐ大きさを有する複数個のプレートであって、全部のプレートが第一位置に移行したときに、全部のプレートが協働して吸入口331を全体的に塞ぐことができるプレートであれば、任意の個数及び形状のプレートを用いることができる。
上記の第一乃至第五の実施形態においては、停止手段370、370A−370Dを介して第二送風機330bの出力を強制的に停止する例を示したが、停止手段370、370A−370Dを用いて第一送風機330aの出力を強制的に停止させることも可能である。