(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定演算部において、前記測定情報に基づくレンズの光学特性情報の生成は、前記測定情報に基づき前記レンズの射出瞳面における光学特性分布情報を生成することを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載のレンズ光学特性測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レンズの光学特性において、レンズの度数の範囲は幅広く、従来の光学特性測定装置では、レンズの度数に応じた測定を実施できる装置は無かった。また、レンズの口径が、通常よりも大きい場合、一般的な光学特性測定装置では対応できず、大型レンズ専用の装置で対応する必要があった。
【0005】
そこで、本発明は、レンズの度数に応じた光学特性の測定が可能、又は、大型レンズの光学特性の測定が可能な、レンズ光学特性測定装置及びレンズ光学特性測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のレンズ光学特性測定装置は、
レンズ保持部、レンズ位置移動部、操作入力部、測定制御部、測定演算部、光照射部、受光部、及び、出力部を備え、
前記レンズ保持部は、光学特性測定対象のレンズを保持し、
前記レンズ位置移動部は、前記レンズ保持部と連結して前記レンズ保持部により保持された前記レンズを移動し、
前記操作入力部は、測定内容を含む操作情報を前記測定制御部に入力し、
前記測定制御部は、入力された前記操作情報に基づき測定制御情報を生成し、
前記光照射部及び前記受光部から光学系が構成され、
前記光照射部は、前記測定制御情報に基づいて光を前記レンズに照射し、
前記受光部は、前記光を照射されたレンズから出射される測定光を受光して測定情報を生成し、
前記測定演算部は、前記測定情報に基づきレンズの光学特性情報を生成し、
前記出力部は、前記光学特性情報を出力し、
前記レンズ位置移動部は、前記測定制御情報に基づき、前記レンズ保持部に保持されたレンズを、X軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向に移動可能であり、
X軸方向及びY軸方向は、鉛直方向又は光軸方向と垂直な面で互いに直交する方向であり、
Z軸方向は、鉛直方向又は前記光学系の光軸方向であり、
測定制御部による制御により、下記の三つの測定モードの少なくとも一つの測定モードの測定を実行可能な、
装置である。
(モード1)
前記レンズの度数から、予め設定した基準度数を基に、レンズ全体測定及びレンズ一部測定のいずれかを選択し、
前記レンズ全体測定の場合は、前記レンズ全体の光学特性を測定し、
前記レンズ一部測定の場合は、前記レンズ一部の光学特性を測定する。
(モード2)
前記レンズの度数から、予め設定した基準度数を基に、普通度数測定、高度数測定、及び、低度数測定のいずれかを選択し、
前記普通度数測定の場合、前記Z軸方向において、前記レンズを、測定基準位置に配置して光学特性を測定し、
前記高度数測定の場合、前記Z軸方向において、前記レンズを、前記測定基準位置よりも下方向又は上方向に配置して光学特性を測定し、
前記低度数測定の場合、前記Z軸方向において、前記レンズを、前記高度数測定で前記測定基準位置よりも下方向に配置する場合は前記測定基準位置よりも上方向に配置し、前記高度数測定で前記測定基準位置よりも上方向に配置する場合は前記測定基準位置よりも下方向に配置して光学特性を測定する。
(モード3)
前記レンズの口径が、前記光学系の測定範囲を超える場合、
前記レンズを複数の測定領域に分割し、
前記レンズを、前記X軸方向及び前記Y軸方向の少なくとも一つの方向に移動させることにより、複数の前記測定領域の光学特性を測定し、
前記複数の測定領域の光学特性を統合して前記レンズ全体の光学特性とする。
【0007】
本発明のレンズの光学特性測定方法は、
下記の三つの測定モードの少なくとも一つの測定モードの測定を実行する工程を含む、
方法である。
(モード1)
前記レンズの度数から、予め設定した基準度数を基に、レンズ全体測定及びレンズ一部測定のいずれかを選択し、
前記レンズ全体測定の場合は、前記レンズ全体の光学特性を測定し、
前記レンズ一部測定の場合は、前記レンズ一部の光学特性を測定する。
(モード2)
前記レンズの度数から、予め設定した基準度数を基に、普通度数測定、高度数測定、及び、低度数測定のいずれかを選択し、
前記普通度数測定の場合、前記レンズを、測定基準位置に配置して光学特性を測定し、
前記高度数測定の場合、前記レンズを、前記測定基準位置よりも下方向又は上方向に配置して光学特性を測定し、
前記低度数測定の場合、前記レンズを、前記高度数測定で前記測定基準位置よりも下方向に配置する場合は前記測定基準位置よりも上方向に配置し、前記高度数測定で前記測定基準位置よりも上方向に配置する場合は前記測定基準位置よりも下方向に配置して光学特性を測定する。
(モード3)
前記レンズの口径が、前記光学系の測定範囲を超える場合、
前記レンズを複数の測定領域に分割し、
前記レンズを、移動させることにより、複数の前記測定領域の光学特性を測定し、
前記複数の測定領域の光学特性を統合して前記レンズ全体の光学特性とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、レンズの度数に応じた光学特性の測定、及び、大型レンズの光学特性の測定の、少なくとも一方の測定が可能である。また、本発明において、前記モード1を実行すれば、測定範囲を度数に応じて選択できて、無駄な測定を無くすことができる。本発明において、前記モード2を実行すれば、測定度数のレンジ(範囲)を広げることができ、かつ測定精度が向上する。本発明において、前記モード3を実行すれば、特別な専用機を用いることなく、大口径レンズの測定が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明について、例を挙げて説明する。ただし、本発明は、以下の説明により、なんら限定されない。
【0011】
本発明の適用分野は、制限されず、レンズの測定において光路中の障害物の問題がある分野は、全て適用でき、例えば、光学検査機器、眼鏡レンズ検査機器、眼科検査機器等に適用できる。
【0012】
本発明において、レンズの光学特性は特に制限されず、例えば、相対屈折率、絶対屈折率、アッベ数、プリズム屈折力、球面度数(S)、乱視度数(C)、乱視軸角度(A)、光透過率、紫外線透過率、ブルーライト透過率、等がある。
【0013】
本発明のモード1及びモード2において、前記レンズの度数は、例えば、レンズメーカからの度数情報であってもよいし、本発明の装置又は別の装置により測定された度数であってもよい。前記モード1及びモード2において、基準度数の設定は、特に制限されず、一点の度数で設定してもよいし、一定の範囲を持った度数を設定してもよい。前記モード1において、例えば、度数が低い場合は、レンズ全体における度数分布に相違が無いことが多く、度数が高い場合は、レンズ全体における度数分布に相違が大きくなるため、例えば、度数が低い場合は、「レンズ一部測定」を選択し、度数が高い場合は、「レンズ全体測定」を選択する。なお、前記モード1及びモード2において、度数の高低は、例えば、一般的な技術常識を参照して決定することができ、また、測定者が適宜設定することもできる。また、例えば、前記モード1及びモード2において、レンズの度数を自動測定してもよい。すなわち、本発明において、自動でレンズの度数を仮測定し、その測定度数に応じて、自動で再測定するレンズ高さを変えるようにしてもよい。
【0014】
本発明のモード3において、前記レンズの口径が前記光学系の測定範囲を超えるか否かの判断は、特に制限されず、例えば、測定者が判断してもよいし、本発明の装置によって自動的に判断してもよい。
【0015】
本発明の装置において、前記モード1、前記モード2、及び、前記モード3の順番で前記3つのモードを実施する、という態様であってもよい。
【0016】
本発明の装置において、前記測定演算部において、前記測定情報に基づくレンズの光学特性情報の生成は、前記測定情報に基づき前記レンズの射出瞳面における光学特性分布情報を生成することを含む、という態様であってもよい。
【0017】
本発明の装置において、前記操作入力部は、レンズ内座標設定情報を含む操作情報を入力可能であり、
前記レンズ内座標設定情報は、LX軸方向、及び、LY軸方向からなる二次元座標情報であり、
前記二次元座標は、前記レンズにおいて、前記レンズの光軸と垂直に交わる平面上の二次元座標であり、
前記LX軸方向は、前記レンズ内の二つのアライメントマークが重なる軸方向であり、
前記LY軸方向は、前記LX軸方向と直交する軸方向であり、
前記操作入力部により入力された前記操作情報に前記レンズ内座標設定情報が含まれる場合、前記測定制御部は、前記レンズ内座標設定情報を含む測定制御情報を生成し、
前記測定演算部は、前記レンズ内座標設定情報に基づき、前記測定情報から二つのアライメントマーク位置情報を抽出し、前記二つのアライメントマーク位置情報から、前記レンズ内の前記LX軸方向、及び、前記LY軸方向からなるレンズ内座標情報を生成し、
前記出力部は、前記レンズ内座標情報を含む前記光学特性情報を出力する、という態様であってもよい。
【0018】
本発明の装置において、前記測定演算部は、前記レンズ内座標で規定されたレンズの各位置の光学特性情報を生成し、
前記出力部は、前記レンズ各位置の光学特性情報を出力する、という態様であってもよい。
【0019】
本発明の方法において、前記モード1及び前記モード2において、レンズの度数を自動測定する、という態様であってもよい。また、本発明の方法において、前記モード1、前記モード2、及び、前記モード3の順番で前記3つのモードを実施する、という態様であってもよい。
【0020】
本発明の方法において、さらに、光学特性分布測定工程を含み、
前記光学特性分布測定工程は、前記レンズの射出瞳面における光学特性分布を測定する、という態様であってもよい。
【0021】
本発明の方法において、さらに、レンズ内座標規定工程を含み、
前記レンズ内座標は、LX軸方向、及び、LY軸方向からなる二次元座標であり、
前記二次元座標は、前記レンズにおいて、前記レンズの光軸と垂直に交わる平面上の二次元座標であり、
前記LX軸方向は、前記レンズ内の二つのアライメントマークが重なる軸方向であり、
前記LY軸方向は、前記LX軸方向と直交する軸方向であり、
前記レンズ内座標規定工程は、前記レンズに光を照射し、出射する測定光から二つのアライメントマーク位置を検出し、前記二つのアライメントマーク位置から、前記レンズ内の前記LX軸方向、及び、前記LY軸方向からなるレンズ内座標を規定する、という態様であってもよい。
【0022】
本発明の方法において、さらに、光学特性分布情報生成工程を含み、
前記光学特性分布情報生成工程は、
前記レンズ内座標規定工程で規定された前記レンズの各位置に、各位置の光学特性を紐づける、という態様であってもよい。
【0023】
本発明のプログラムは、本発明の方法をコンピュータ上で実行可能なプログラムである。
【0024】
本発明の記録媒体は、本発明のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0025】
次に、本発明の実施形態について図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態には限定されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用でき、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0026】
[実施形態1]
図1に、本実施形態のレンズ光学特性測定装置1の各部の構成を示す。図示のように、本装置1は、操作入力部11、測定制御部12、測定演算部13、記憶部14、出力部15、レンズ位置移動部16、光照射部17、レンズ保持部18、及び、受光部19、を備える。操作入力部11、測定制御部12、測定演算部13、記憶部14、及び、出力部15は、例えば、CPU又はGPU等の中央演算処理装置内で構成されている。レンズ保持部18は、測定対象のレンズを保持する。操作入力部11は、タッチパネル、マウス又はキーボード等の入力装置(図示せず)と接続されており、測定内容を含む操作情報を測定制御部12に入力する。測定制御部12は、入力された前記操作情報に基づき測定制御情報を生成し、光照射部17は、測定制御情報に基づいて光(
図1において上側の矢印)を、レンズ保持部18に保持されているレンズ(図示せず)に照射する。受光部19は、前記光を照射されたレンズから出射される測定光(
図1において下側の矢印)を受光して測定情報を生成し、測定演算部13は、測定情報に基づきレンズの光学特性情報を生成する。レンズの光学特性情報は、記憶部14に記憶され、また、出力部15により、前記光学特性情報を出力する。出力部15は、ディスプレー及びプリンター等の出力装置(図示せず)に接続され、光学特性情報は、ディスプレーに表示されたり、プリンターによって印刷されたりする。
【0027】
図1に示す装置において、操作入力部11は、前記モード1、前記モード2、及び、前記モード3の少なくとも一つの測定モード操作情報を入力可能であり、測定制御部12は、前記測定モード操作情報に基づき、レンズ位置移動部16により、レンズ保持部18に保持されたレンズを、X軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向の少なくとも一つの方向に移動させ、かつ、前記測定モードを実行する。
【0028】
本発明の3つの測定モードは、下記の通りである。
(モード1)
前記レンズの度数から、予め設定した基準度数を基に、レンズ全体測定及びレンズ一部測定のいずれかを選択し、
前記レンズ全体測定の場合は、前記レンズ全体の光学特性を測定し、
前記レンズ一部測定の場合は、前記レンズ一部の光学特性を測定する。
(モード2)
前記レンズの度数から、予め設定した基準度数を基に、普通度数測定、高度数測定、及び、低度数測定のいずれかを選択し、
前記普通度数測定の場合、前記Z軸方向において、前記レンズを、測定基準位置に配置して光学特性を測定し、
前記高度数測定の場合、前記Z軸方向において、前記レンズを、前記測定基準位置よりも下方向に配置して光学特性を測定し、
前記低度数測定の場合、前記Z軸方向において、前記レンズを、前記測定基準位置よりも上方向に配置して光学特性を測定する。
(モード3)
前記レンズの口径が、前記光学系の測定範囲を超える場合、
前記レンズを複数の測定領域に分割し、
前記レンズを、前記X軸方向及び前記Y軸方向の少なくとも一つの方向に移動させることにより、複数の前記測定領域の光学特性を測定し、
前記複数の測定領域の光学特性を統合して前記レンズ全体の光学特性とする。
なお、本発明において、「普通度数」は、特に限定されないが、例えば、−12D〜+10Dの度数である。「高度数」は、特に限定されないが、例えば、+10Dより高い度数であり、その上限値は、特に限定されないが、例えば、+25D以下である。「低度数」は、特に限定されないが、例えば、−12Dより低い、又は−15Dより低い度数であり、その下限値は、特に限定されないが、例えば、−25D以上である。
【0029】
記憶部14は、例えば、メモリである。メモリは、例えば、メインメモリ(主記憶装置)が挙げられる。メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。また、メモリは、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)であってもよい。記憶装置は、例えば、記憶媒体と、記憶媒体に読み書きするドライブとの組合せであってもよい。記憶媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、CD−ROM、CD−R、CD−RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等が挙げられる。記憶装置は、例えば、記憶媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)であってもよい。なお、本発明において、記憶部14は、任意の構成要素であり、必須ではない。
【0030】
本装置1において、さらに通信デバイス(図示せず)を含み、通信デバイスにより、外部の通信回線網(ネットワーク)を介して、外部装置と通信してもよい。通信回線網としては、例えば、インターネット回線、WWW(World Wide Web)、電話回線、LAN(Local Area Network)、DTN(Delay Tolerant Networking)等がある。通信デバイスによる通信は、有線でも無線でもよい。無線通信としては、WiFi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)、等が挙げられる。無線通信としては、各装置が直接通信する形態(Ad Hoc通信)、アクセスポイントを介した間接通信のいずれであってもよい。外部装置としては、例えば、サーバ、データベース、端末(パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン、携帯電話等)、プリンター、ディスプレー等がある。
【0031】
レンズ位置移動部16は、レンズ保持部18に連結し、レンズ位置移動部16により、レンズ保持部18に保持されているレンズを、X軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向の3方向に移動可能である。
【0032】
X軸方向及びY軸方向は、鉛直方向又は光軸方向と垂直な面で互いに直交する方向である。Z軸方向は、鉛直方向又は光軸方向である。本発明では、3方向のレンズの移動を組み合わせることにより、レンズの位置を変えることができ、その結果、様々な位置のレンズの光学特性を測定することが可能である。
【0033】
[実施形態2]
次に、
図2から
図12に基づき、本発明のレンズ光学特性測定装置の構成の一例を説明する。
【0034】
図2及び
図3に、本実施形態のレンズ光学特性測定装置の斜視図及び断面図を示す。図示のように、本装置は、ディスプレー兼タッチパネル2、スタートスイッチ4、ケース本体5、プリンター6、磁気スイッチ7、印点8、リテーナ9、光照射部(バックライトモジュール)17、受光部19、レンズ保持部18、Y軸スライド(Y軸スライダー)16Y、Z軸スライド(Z軸スライダー)16Z、を備える。図示していないが、本装置は、さらに、操作入力部11、測定制御部12、測定演算部13、記憶部14、出力部15、及び、レンズ位置移動部16を含む。操作入力部11及び出力部15は、ディスプレー兼タッチパネル2に接続されている。また、出力部15は、プリンター6とも接続している。磁気スイッチ7は、レンズ3が、降下した場合に触れてレンズ3の下側の位置を検出するためのものである。印点8は、レンズ3の光学中心点に「印点」を押印する。Y軸スライド(Y軸スライダー)16Yは、レンズ位置移動部16の一部を構成し、レンズ保持部18をY軸方向に移動させる。Z軸スライド(Z軸スライダー)16Zは、レンズ位置移動部16の一部を構成し、レンズ保持部18をZ軸方向に移動させる。なお、図示していないが、本装置は、X軸スライダーも備えており、X軸スライダーは、レンズ位置移動部16の一部を構成し、レンズ保持部18をX軸方向に移動させる。スタートスイッチ4により、本装置の電源のオンオフができる。ケース本体5内には、本装置を構成する各種機構等が配置されている。
【0035】
本装置において、X軸方向は、装置正面(ディスプレー兼タッチパネル2が位置する面)において、左右方向であり、Y軸方向は、装置の前後方向であり、Z軸方向は、装置の高さ方向である。
【0036】
図4に、レンズ位置移動部16のX軸スライダーを示す。X軸スライダーは、レンズ保持部18をX軸方向に移動させる機構であり、X軸ギヤ16x2、X軸モータ16x3、及び、X軸ラック16x4を備える。X軸ラック16x4は、レンズ保持部18と連結しており、かつ、ギヤ部が形成され、このギヤ部がX軸ギヤ16x2とかみ合っている。X軸ギヤ16x2は、X軸モータ16x3のギヤともかみ合っている。X軸モータ16x3が回転することにより、X軸ギヤ16x2を介して、X軸ラック16x4に回転駆動力が伝達し、この回転駆動力により、X軸ラック16x4が、X軸方向に移動し、その結果、X軸ラック16x4に連結したレンズ保持部18がX軸方向に移動することになる。X軸モータ16x3は、測定制御部12の測定制御情報に基づき制御され、回転方向によりX軸の移動方向が制御でき、回転数により、X軸方向の移動距離が制御できる。また、X軸モータ16x3がステッピングモータの場合、ステップ数を制御することで、X軸方向の移動距離が制御できる。
【0037】
なお、
図4に示すように、レンズ保持部18には、二本のワイヤー18bが、眼鏡3の左右の各レンズを支えるように張り渡されている。
【0038】
図5に、レンズ位置移動部16のY軸スライダーを示す。Y軸スライダーは、レンズ保持部18をY軸方向に移動させる機構であり、Y軸モータ16y1、及び、Y軸ラック16y2を備える。Y軸ラック16y2は、レンズ保持部18と連結しており、かつ、ギヤ部が形成され、このギヤ部がY軸モータ16y1のギアと直接かみ合っている。Y軸モータ16y1が回転することにより、Y軸ラック16y2に回転駆動力が伝達し、この回転駆動力により、Y軸ラック16y2が、Y軸方向に移動し、その結果、Y軸ラック16y2に連結したレンズ保持部18がY軸方向に移動することになる。Y軸モータ16y1は、測定制御部12の測定制御情報に基づき制御され、回転方向によりY軸の移動方向が制御でき、回転数により、Y軸方向の移動距離が制御できる。また、Y軸モータ16y1がステッピングモータの場合、ステップ数を制御することで、Y軸方向の移動距離が制御できる。
【0039】
図6に、レンズ位置移動部16のZ軸スライダーを示す。Z軸スライダーは、レンズ保持部18をZ軸方向に移動させる機構であり、Z軸モータ16z1、Z軸ガイドピン16z2、及び、Z軸スクリュー16z3を備える。Z軸スクリュー16z3は、レンズ保持部18と連結している。Z軸スクリュー16z3は、凹凸のねじ溝構造を持つ。Z軸モータ16z1の回転軸は、Z軸スクリュー16z3と連結しており、Z軸モータ16z1が回転するとZ軸スクリュー16z3も回転し、ねじ溝構造により、Z軸方向に移動し、その結果、レンズ保持部18もZ軸方向に移動する。Z軸ガイドピン16z2は、レンズ保持部18のZ軸方向の移動がぶれないようにガイドするためのものである。Z軸モータ16z1は、測定制御部12の測定制御情報に基づき制御され、回転方向によりZ軸の移動方向が制御でき、回転数により、Z軸方向の移動距離が制御できる。また、Z軸モータ16z1がステッピングモータの場合、ステップ数を制御することで、Z軸方向の移動距離が制御できる。
【0040】
本装置のX軸方向等の3方向の移動機構において、例えば、センサー(例えば、フォトインタラプタ―)により原点位置を検出し、ステッピングモータの累積ステップ数をリセットすることで、移動の際の繰り返しの位置精度を確保することができる。また、レンズ保持部18のXY軸方向の位置精度が低い場合、例えば、レンズのアライメントマークを検出してXY軸方向を補正し、レンズの光学特性の測定結果は、補正後の座標を用いて出力(マッピング等)してもよい。
【0041】
図7に、本装置の光学系の構成を示す。本装置の光学系は、両側テレセントリック光学系であり、光照射部17及び受光部19から構成される。本装置において、光照射部17は、レンズ保持部18の下方に配置され、受光部19は、レンズ保持部18の上方に配置されている。光照射部17は、複数のLED(発光ダイオード)を搭載したLED基板17a、拡散板17b、及び、視標シート17cから構成されており、LED基板17aの上方に拡散板17bが配置され、拡散板17bの上面に視標シート17cが配置されている。受光部19は、コリメートレンズ19a、光学ミラー19b、及び、COMS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)19cから構成されている。
図7において、一点鎖線は、光の経路を示す。
図7に示すように、LED基板17aのLEDから出射された光(直線光)は、拡散板17bにより拡散光となってレンズLeに照射され、レンズLeの光学特性に応じた測定光が出射される。レンズLeから出射した測定光は、コリメートレンズ19aを通り、光学ミラー19bで反射されて、結像レンズ19dで平行光にされて、CMOS19cに入光し、CMOS19cで測定光の光信号が電気信号に変換される。視標シート(視標板)17cは、例えば、周期的な市松模様と色の濃淡を重畳(例えば、SINカーブ)したものであり、レンズ有無のCMOS19c上の視標位置ずれにより、レンズの光学特性を測定するためのものである。
【0042】
図8に、本装置の別の光学系の構成を示す。
図8に示す光学系では、レーザー照射部7が、レンズ保持部18の斜め上方に配置されている他は、
図7の光学系と同じである。
図8に示す光学系では、レーザー照射部7から、レンズ上面に斜め方向からレーザー光が照射され、レンズ上面で反射されたレーザー光が、コリメートレンズ19a、及び、光学ミラー19bを介し、結像レンズ19dで平行光にされて、CMOS19cに入光する。
図8に示すように、レンズはレンズ保持部18に連結したレンズ位置移動部16によりZ軸方向(高さ方向)に移動することができ、レーザー照射部7からのレーザー照射によるレンズの反射光を測定することで、レンズ上面の各部分の位置を検出することができる。一方、レンズの下面の各部分の位置をマグネットセンサー(磁気スイッチ)等で検出することもできる。レンズ上面の各部分の位置とレンズ下面の各部分の位置から、レンズの面方向の厚み部分布を測定することができる。
【0043】
本発明において、
図7及び
図8の光学系は例示であり、本発明を制限又は限定しない。本発明において、光照射部17の光源は、LEDでもよいし、通常のランプでもよい。また、光源は、波長の異なる複数の光源であってもよい。本発明において、受光部19の受光素子は、CMOSに限定されず、他の受光素子であってよい。
【0044】
図9及び
図10に、レンズ保持部18の構成の一例を示す。
図9は、レンズ保持部18の斜視図であり、
図10(A)は、レンズ保持部18の平面図であり、同図(B)は、E−E方向断面図である。
図9及び
図10に示すように、レンズ保持部18は、略矩形の型枠18h、4本のアーム18f、4つのスライダー18e、4つのバネ18g、カバー18c、レンズ押え18d、2つの同期シャフト18i、鼻当て18a、2本のワイヤー18bから構成されている。
図9において、二つの矢印は、左右方向、及び、前後方向を示す。型枠18hは、左右方向及び前後方向を有し、型枠18h内において、4本のアーム18fが、型枠18h内の中心点を基準点として左右対称かつ前後対称の状態で配置されている。4本のアーム18fのうち2本の一対のアーム18fの各一端が型枠18hの左側端部に回動自在に配置され、4本のアーム18fのうち他の2本の一対のアーム18fの各一端が型枠18hの右側端部に回動自在に配置されている。型枠18hの各左右端部に配置された一対のアーム18fの一端には、それぞれギヤ部が形成されて、相互にかみ合っている。4本のアーム18fの各他端には、スライダー18eが左右方向移動(スライド)可能な状態で連結している。スライダー18eの型枠中心方向の端部にはレンズLeと当接するレンズ当接部が形成されている。また、スライダー18eの型枠18h左右方向の端部には、円筒状の摺動部18kが形成され、一対のアーム18fが同期するための同期シャフト18iの両端が摺動部18kに摺動可能なように挿入されている。また、型枠18hの4角のそれぞれにバネ18gが配置されて4つの各摺動部18kに付勢を付けた状態で当接している。スライダー18eのレンズ当接部の上方には、カバー18cが配置されている。型枠18hの前後方向において二本のワイヤー18bが張り渡されており、丸レンズLeを下方から支えている。型枠18hの左右方向中央部には、それぞれ二つのレンズ押え18dが配置されており、丸レンズLeを上方向から押さえている。また、
図10(B)に示すように、型枠18hの下部には、レンズ押え18dに対向する状態でレンズ受け18jが形成されている。なお、
図9及び
図10では、レンズ保持部18は丸レンズを保持しているため、鼻当て18aは起立状態になっている。
【0045】
図9及び
図10のレンズ保持部18において、4本のアーム18fと4つのスライダー18eは、一対のアーム18f毎に形成されたギヤ部、及び、同期シャフト18iにより、左右対称かつ前後対称に同期して動き、4つのバネ18gにより、4つの各スライダー18eが付勢されているため、4つの各スライダーのレンズ当接部は、型枠18hの中心点に向かって圧力がかかるようになっている。このため、丸レンズLeは、自動的に型枠18hの中心点と丸レンズLeの中心点が同軸となる状態で(センタリング)、レンズ保持部18に保持される。
【0046】
図11及び
図12には、
図9及び
図10に示したレンズ保持部18と同じレンズ保持部18が示されている。
図11は、レンズ保持部18の斜視図であり、
図12(A)は、レンズ保持部18の平面図であり、同図(B)は、D−D方向断面図である。
図11及び
図12のレンズ保持部18は、丸レンズLeに代えて眼鏡3が保持されている。
図11及び
図12において、鼻当て18aは前方向に倒された状態で眼鏡3の鼻当て部と当接している。
【0047】
[実施形態3]
次に、
図13から
図15に基づき、本装置での前記モード2の光学特性の測定の一例を示す。
まず、レンズの度数から、予め設定した基準度数を基に、普通度数測定、高度数測定、及び、低度数測定のいずれかを選択する。基準度数の設定は、特に制限されず、一点の度数で設定してもよいし、一定の範囲を持った度数を設定してもよい。普通度数測定の場合、
図13に示すように、Z軸方向(同図において点線で示す光軸方向)において、レンズLeを、測定基準位置に配置して光学特性を測定する。高度数測定の場合、
図14に示すように、Z軸方向(同図において点線で示す光軸方向)において、レンズLeを、前記測定基準位置よりも下方向に配置して光学特性を測定する。低度数測定の場合、
図15に示すように、Z軸方向(同図において点線で示す光軸方向)において、レンズLeを、前記測定基準位置よりも上方向に配置して光学特性を測定する。このようにすることにより、測定度数のレンジ(測定範囲)が広がり、かつ、度数の測定精度が向上する。
【0048】
[実施形態4]
図16に基づき、レンズ内座標の規定について説明する。
図16に示すように、レンズLeには、JIS規格(JIS T 7315(ISO 8980−2:2004))に基づき、中心点から17mm離れた点に二つのアライメントマークがレーザーにより刻印されており、かつ、レンズ表面に印刷されている。レンズ内座標は、LX軸方向、及び、LY軸方向からなる二次元座標であり、LX軸方向は、レンズLe内の二つのアライメントマークが重なる軸方向である。LY軸方向は、前記レンズの面方向でLX軸方向と直交する軸方向である。眼鏡レンズの加工において、印刷されたアライメントマークを指標にLX軸を規定するが、レンズが曲面形状であるため、印刷の際にずれた位置にアライメントマークが印刷されることが多い。このため、従来では、正確なレンズ内座標の規定は困難であった。これに対し、本発明の装置では、レンズに光を照射し、出射する測定光から、レーザーで刻印された正確な二つのアライメントマーク位置を検出し、正確な二つのアライメントマーク位置から、レンズ内のLX軸方向、及び、LY軸方向からなるレンズ内座標を規定する。このため、本発明では、正確なレンズ内座標を規定することが可能である。そして、正確なレンズ内座標に基づき、レンズの各部の位置を特定して光学特性を紐づければ、レンズ各部の光学特性を正確に規定できる。
【0049】
[実施形態5]
図17及び
図18に基づき、前記モード3に係る分割測定の一例を説明する。まず、
図17(A)に示すように、測定エリア1から3は、光照射部17の光の測定エリア(光学系の測定範囲、以下同じ)の大きさ(面積)を示すが、測定対象のレンズLeの大きさは、測定エリア1から3よりも大きい。この場合、
図17(A)に示すように、レンズLeをX軸方向に移動させながら、測定エリア1、測定エリア2、及び、測定エリア3と三回に分けて測定する。そして、
図17(B)に示すように、測定エリア1から3の測定結果を統合(合成)して、合成測定エリアESを生成する。なお、
図17(B)の斜線部分は、X軸方向の分割測定では測定できなかった部分である。次に、
図18(A)示すように、レンズLeをY軸方向に移動させながら、測定エリア1、測定エリア2、及び、測定エリア3と三回に分けて測定する。そして、
図18(B)に示すように、測定エリア1から3の測定結果を統合(合成)して、合成測定エリアESを生成する。なお、
図18(B)の斜線部分は、Y軸方向の分割測定では測定できなかった部分である。そして、
図17(B)に示すX軸方向の合成測定エリアES、及び、
図18(B)に示すY軸方向の合成測定エリアESの両者を統合(合成)することで、レンズLe全体の光学特性を測定することができる。このように、光照射部17の光照射エリアよりも大きいサイズのレンズであっても、本発明のモード3による分割測定によりレンズ全体の光学特性の測定が可能である。このため、本発明によれば、装置を小型化しても大型レンズの測定が可能である。なお、分割測定では、レンズ各部の光学特性をレンズ各部に正確に紐づける必要があり、その際に、本発明のレンズ内部の二次元座標の規定を用いれば、正確な分割測定を実施できる。
【0050】
[実施形態6]
本実施形態のプログラムは、本発明の方法を、コンピュータ上で実行可能なプログラムである。また、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。前記記録媒体としては、特に限定されず、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク等が挙げられる。
【0051】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。