特許第6980342号(P6980342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980342
(24)【登録日】2021年11月19日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】計量キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20211202BHJP
   B65D 47/32 20060101ALI20211202BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20211202BHJP
   B65D 51/24 20060101ALI20211202BHJP
   G01F 19/00 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   B65D47/20 210
   B65D47/32 200
   B65D47/08 100
   B65D51/24 600
   G01F19/00 M
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-190164(P2017-190164)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-64622(P2019-64622A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年4月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【弁理士】
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】井田 辰春
(72)【発明者】
【氏名】村田 良幸
【審査官】 武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−9011(JP,A)
【文献】 実開平7−859(JP,U)
【文献】 実開昭49−12144(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3115142(JP,U)
【文献】 実開昭48−68549(JP,U)
【文献】 特開2012−62069(JP,A)
【文献】 特開2000−43909(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3109902(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
G01F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に開閉自在に連結されたヒンジキャップ部(26)が設けられた有底筒状の計量部材(20)と、底部に仕切り壁(13)を有して前記計量部材(20)を回転可能な状態で収容する収容部(12)及び容器本体(1)に組み付く装着部(11)を備えたキャップ本体(10)とを有し、前記収容部(12)と前記計量部材(20)とが透明又は半透明の合成樹脂材料で形成されると共に、前記装着部(11)と前記収容部(12)とが別部材で形成された計量キャップであって、
前記仕切り壁(13)に第1開口部(13a)と第1小孔(13b)が形成され、前記計量部材(20)の底壁(22)に第2開口部(22a)と第2小孔(22b)が夫々形成されており、前記計量部材(20)を回転操作することにより、前記第1開口部(13a)と前記第2開口部(22a)とが連通して内容液(L)が通過するための通路(P)が形成され、同時に前記第1小孔(13b)と前記第2小孔(22b)とが連通して空気が通過するための空気置換孔(Q)が形成され、
前記装着部(11)の内周面と前記容器本体(1)に設けられた口筒部(2)の外周面との一方に周方向に所定の間隔を有して形成された第1凸部及び第2凸部と、他方に前記第1凸部を周方向に乗り越え可能であると共に前記第1凸部と前記第2凸部との間に係合保持可能に形成された係合突起とを有して成る回転防止機構が設けられていることを特徴とする計量キャップ。
【請求項2】
通路(P)と空気置換孔(Q)が容器軸(O)を挟んで軸対称となる位置に配置される請求項1記載の計量キャップ。
【請求項3】
収容部(12)と計量部材(20)との間に、前記計量部材(20)の回転角度を規制する回り止め機構を有する請求項1又は2記載の計量キャップ。
【請求項4】
回り止め機構が、キャップ本体(10)と計量部材(20)とが対向する面の一方に設けられて周方向に両端部を有する案内凹部(13c)と、前記対向する面の他方に設けられて前記案内凹部(13c)内に移動可能に挿入された規制突起(22c)とを有して構成される請求項3記載の計量キャップ。
【請求項5】
案内凹部(13c)がキャップ本体(10)の仕切り壁(13)に形成された円弧状の孔又は溝であり、規制突起(22c)が計量部材(20)の底壁(22)の下面に突設された凸部である請求項4記載の計量キャップ。
【請求項6】
容部(12)の側面又は計量部材(20)の側面に容器軸(O)に対して傾斜する目盛り(30)が形成されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の計量キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は本体容器の口筒部に装着され、容器本体内に収容されている液体や粉体洗剤や液体や粉体調味料等の内容物を計量するのに適した回転式の計量キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体内に収容された内容物を簡便に計量するために、容器本体の注出口に、内容体を計量注出するための計量キャップを備える構成が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載された計量キャップは、洗剤などの粉体(以下、洗剤等という)を入れている容器5(以下、容器本体5という)の口筒部に設けられた下蓋3と、回転式の洗剤等を留める容器2(以下、計量容器2という)と、計量容器2の上端に装着される上蓋1及び計量容器2の内部に配置される減量筒4とを有して構成され、計量容器2と下蓋3には円周に対して180度以内の部分に開口部分6が夫々形成されており、計量容器2を回転させることにより、計量容器2と下蓋3との間を開閉できるように構成されている。
【0003】
使用時は、下蓋3と計量容器2の間を閉の状態に設定し、容器本体5を逆さにする。そして、容器本体5を180度回転することにより開の状態にして、計量容器2に洗剤等を溜める。次に、計量容器2を、180度回転することにより元の回転位置の閉の状態に設定し、続いて上蓋1を開けて洗剤等を、食器洗浄機などに使用することにより、洗剤等を一定量計り、洗剤等を一定量使用できるというものである。
また洗剤等を一定量使用の体積量の変更できるように、減量筒4を設け、計量容器2の内側に、減量筒4の外面が接するように入れて、洗剤等の体積量の変更、減量ができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−9011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1では、計量キャップが、上蓋1、回転式の計量容器2、下蓋3及び減量筒4という4つの部材から構成されるものであるため、部品点数が多く、製造コストが低廉し難いという問題がある。
また上記特許文献1に記載の発明は、計量容器2側の開口部分6と下蓋3側の開口部分6とが一致する開の状態にすることにより、容器本体5から計量容器2に洗剤等が移動するというものであるところ、空気置換用の孔を有しない構成であるため、洗剤等が液状である場合には計量をスムーズに行うことが難しいという問題がある。
【0006】
また上記特許文献1では外部から見たときに計量容器2と下蓋3に夫々形成されている開口部分6の形成位置が明確ではなく、互いに重なる位置及び重ならない位置に設定するための補助機構も存在しない構成であることから、計量時及び注出時における開閉操作を的確に行うことが困難であるという問題がある。
さらには、計量した内容物を注出するときには上蓋1を計量容器2から取り外し、再度計量する際には取り外した上蓋1を計量容器2の上端に再装着する必要があり、片手で計量操作を行うことが困難であるという問題もある。
【0007】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、少ない部品点数で、計量室内の空気置換を可能に構成すると共に、計量時及び注出時における操作性を向上させることを可能とする計量キャップを創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、
上端に開閉自在に連結されたヒンジキャップ部が設けられた有底筒状の計量部材と、底部に仕切り壁を有して計量部材を回転可能な状態で収容する収容部及び容器本体に組み付く装着部を備えたキャップ本体とを有し、収容部と計量部材とが透明又は半透明の合成樹脂材料で形成されると共に、装着部と収容部とが別部材で形成された計量キャップであって、
仕切り壁に第1開口部と第1小孔が形成され、計量部材の底壁に第2開口部と第2小孔が夫々形成されており、計量部材を回転操作することにより、第1開口部と第2開口部とが連通して内容物が通過するための通路が形成され、同時に第1小孔と第2小孔とが連通して空気が通過するための空気置換孔が形成され、
装着部の内周面と容器本体に設けられた口筒部の外周面との一方に周方向に所定の間隔を有して形成された第1凸部及び第2凸部と、他方に前記第1凸部を周方向に乗り越え可能であると共に第1凸部と第2凸部との間に係合保持可能に形成された係合突起とを有して成る回転防止機構が設けられていることを特徴とする、と云うものである。
本発明の主たる手段では、計量キャップをキャップ本体と計量部材という少ない部品点数で構成することで製造コストの低減を達成し得る。
【0009】
また本発明の他の手段は、上記主たる手段に、通路と空気置換孔が容器軸を挟んで軸対称となる位置に配置される、との手段を加えたものである。
上記手段では、通路と空気置換孔とを異なる位置に配置することにより、計量部材が装着された容器本体を傾けて計量したときにおいては、容器本体から計量部材への内容物の移動と、計量部材から容器本体への空気の移動とを、互いに邪魔し合うことなく同時に達成し得る。
【0010】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、収容部と計量部材との間に、計量部材の回転角度を規制する回り止め機構を有する、と云うものである。
上記手段では、回転が止まる位置まで計量部材を正方向又は逆方向に回転させることにより、通路及び空気置換孔が形成される連通状態と、通路及び空気置換孔が解消される閉鎖状態に容易に設定することを達成し得る。
【0011】
また本発明の他の手段は、上記手段に、回り止め機構が、キャップ本体と計量部材とが対向する面の一方に設けられて周方向に両端部を有する案内凹部と、対向する面の他方に設けられて案内凹部内に移動可能に挿入された規制突起とを有して構成される、との手段を加えたものである。
上記手段では、回り止め機構が機能することにより、計量時及び注出時における開閉操作を的確に行うことを達成し得る。
【0012】
また本発明の他の手段は、上記手段に、案内凹部がキャップ本体の仕切り壁に形成された円弧状の孔又は溝であり、規制突起が計量部材の底壁の下面に突設された凸部である、との手段を加えたものである。
上記手段では、簡単な構成且つ低コストで回り止め機構を実現し得る。
【0013】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、収容部の側面又は計量部材の側面に容器軸に対して傾斜する目盛りが形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、計量キャップを倒立傾き姿勢に設定したときであっても容易且つ正確に計量し得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明の主たる構成においては、少ない部品点数により低コストで計量キャップを提供することができる。
また計量作業を、計量部材を回転させるという簡単な操作で行うことができる。
また内容物の移動と共に空気置換を行うことが可能となるため、計量作業をスムーズに行うことができる。
また例えば中指、薬指及び小指と手の平との間に容器本体を把持すると、残りの親指と人指し指で計量キャップ側のヒンジキャップ部の外周壁を摘んで回すことができるため、連通状態と閉鎖状態との間で計量部材の状態を片手で操作することが可能となるため、計量時及び注出時の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1参考例としての計量キャップを示し、Aは通路を閉鎖した状態を示す断面図、BはAを図中矢視(下面)方向からの底面図である。
図2】Aは通路の連通状態を示す計量キャップの断面図、BはAを図中矢視(下面)方向からの底面図である。
図3】計量時の状態(連通状態)を示す計量キャップの断面図である。
図4】計量終了後の状態(閉鎖状態)を示す計量キャップの断面図である。
図5】注出時の状態(閉鎖状態)を示す計量キャップの断面図である。
図6】本発明の第2参考例としての計量キャップの計量時の状態(連通状態)を示す断面図である。
図7】本発明の実施例としての計量キャップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の第1参考例としての計量キャップを示し、Aは通路を閉鎖した状態を示す断面図、BはAを図中矢視(下面)方向からの底面図、図2のAは通路の連通状態を示す計量キャップの断面図、BはAを図中矢視(下面)方向からの底面図である。尚、図2図1の状態からヒンジキャップ部26を閉じて計量部材20を回転角度αだけ回転させた状態を示したものである。
【0017】
本発明の計量キャップは、使用時に計量する必要がある内容物、例えば洗濯用の液状又は粉状の洗剤や柔軟剤など、或いは醤油、みりん、小麦粉又は塩などの液体状、粉状又は顆粒状の調味料等を収容した容器本体1の口筒部2に装着されて使用される。尚、以下の説明においては内容物の例として液体(内容液)を示して説明するが、粉状又は顆粒状の内容物でも同様である。
先ず、計量キャップの構成について説明する。本発明の計量キャップは、主としてキャップ本体10と、キャップ本体10内に回転可能に収容されて内容液を計量するための計量室を構成する計量部材20の2つの部材を有し、両部材は透明又は半透明から成る合成樹脂材料で形成されたものが好ましいが、不透明な合成樹脂材料で形成されていても良い。
キャップ本体10は、容器本体1の口筒部2に外装される短筒状の装着部11の上に円筒状の収容部12が一体に設けられており、装着部11と収容部12との間は薄板円盤状の仕切り壁13により仕切られている。装着部11の内面には、口筒部2の外周面に形成されている雄ネジ2aに螺合する雌ネジ11aが形成されている。収容部12の上端側の外周面には係合凸部12aが周設されている。また仕切り壁13には、通路を形成する第1開口部13aと、空気置換孔を形成する第1小孔13bが夫々貫通形成され、さらには円弧状の孔又は溝から成る案内凹部13cが形成されている。
【0018】
計量部材20は円筒状の周壁21と底壁22を有する有底筒状の部材である。周壁21の上部先端には、拡径状に形成された注出筒23が形成されている。また周壁21の上部には側方に突出すると共に弾性変形しやすいように、内壁と外壁とを断面略U字状に屈曲形成して成る折り返し部24が設けられている。この折り返し部24の外壁上端部にはヒンジ部25が連設されており、このヒンジ部25には有頂短筒状からなるヒンジキャップ部26が一体に連結されている。また折り返し部24の内壁内面には、キャップ本体10側の係合凸部12aに係合する嵌合凸部24aが周設されている。上記のように計量部材20に折り返し部24を設けることにより、計量部材20をキャップ本体10に打栓し易くなっている。
【0019】
ヒンジキャップ部26の側面で且つヒンジ部25と軸対称となる位置には摘み部28が突出形成され、またヒンジキャップ部26の内面には円筒状から成る密封筒27が垂下設されている。密封筒27の一端側である長端部27aは、ヒンジ部25側が摘み部28側よりも下方に突出している。
【0020】
図2に示すようにヒンジキャップ部26が閉じた状態では、注出筒23の内側に密封筒27が入り込むと共に、両者が密着することにより、液漏れを防止することが可能となっている。また図1に示すように、ヒンジキャップ部26が開いた状態では、ヒンジ部25側の密封筒27の長端部27aの下端は注出筒23の先端よりも内方に突出するため、密封筒27から液垂れした内容液が折り返し部24やヒンジ部25に流れ込むことを防止することが可能である。
【0021】
図2に示すように、計量部材20の底壁22には、キャップ本体10側の仕切り壁13に形成された第1開口部13a及び第1小孔13bに対応する第2開口部22a及び第2小孔22bが貫通形成されている。第1開口部13aと第2開口部22aとが連通することにより通路Pが形成され、第1小孔13bと第2小孔22bとが連通することにより空気置換孔Qが形成される。また底壁22の下面には、仕切り壁13側の案内凹部13c内に移動可能に挿入される凸部から成る規制突起22cが突設されている。これら案内凹部13cと規制突起22cは、計量部材20が回転する範囲(回転角度α)を規制する回り止め機構を構成する。
【0022】
そして、規制突起22cが案内凹部13cの周方向の一方の端部に当接した状態が、通路が閉鎖された閉鎖状態である(図1B参照)。この状態から計量部材20を正方向に回転角度αだけ回転させて、規制突起22cが案内凹部13cの周方向の他方の端部に当接した状態が、第1開口部13aと第2開口部22aとが連通することで通路Pが形成され且つ第1小孔13bと第2小孔22bとが連通することにより空気置換孔Qが形成される連通状態である(図2B参照)。
この連通状態では、第1開口部13aと第2開口部22aとが連通することで形成される通路Pと第1小孔13bと第2小孔22bとが連通することにより形成される空気置換孔Qとが容器軸Oを挟んで軸対称となる位置に配置される。
【0023】
次に、上記構成から成る計量キャップの使用方法について、容器本体内に収容されている内容液を計量して注出するまでの動作を説明する。
先ず、計量キャップを図2の連通状態に設定する。次に、図3に示すように、通路Pを下方の位置に設定し且つ空気置換孔Qを上方の位置に設定し、容器本体1の底部側を持ち上げて計量キャップを倒立傾き姿勢に設定する。計量キャップを傾けると、計量キャップの下方の位置では容器本体1内に収容されていた内容液Lが通路Pを介して計量部材20内に移動すると同時に、上方の位置では計量部材20内の空気が空気置換孔Qを介して容器本体1内に移動するため、計量時の動作をスムーズに行うことができる。
【0024】
内容液Lが計量部材20内に所望量移動したことを確認した後、計量部材20を逆方向に回転角度αだけ回転させて規制突起22cが案内凹部13cの他方の端部に当接させる(図1B参照)。これにより、図4に示すように、第1開口部13aと第2開口部22aとが周方向に位置ずれして通路Pが閉鎖され、且つ第1小孔13bと第2小孔22bと周方向に位置ずれして空気置換孔Qが閉鎖される(閉鎖状態)。
【0025】
計量部材20を回転させるにはヒンジキャップ部26を把持して周方向に回転角度αだけ回転させればよく、例えば中指、薬指及び小指と手の平との間に容器本体1を把持すると、残りの親指と人指し指で計量キャップ側のヒンジキャップ部26の外周壁26Aを摘んで回すことができるため、計量キャップの状態を連通状態から閉鎖状態に片手で操作することが可能である。
尚、回転角度αは180度よりも小さい角度(約45度)であるため、容器本体を180度回転させる必要がある上記特許文献1に比較してより簡単な操作で計量キャップの状態を遷移させることが可能である。
【0026】
続いて、計量キャップを装着した容器本体1を正立姿勢に戻(図2A参照)すと共に、ヒンジキャップ部26を回動させて開蓋状態に設定した後、図5に示すように容器本体1を傾けることにより、計量キャップの計量部材20内に収容されている内容液Lを注出することができる。
この場合、例えば親指以外の4本指と手の平との間に容器本体1を把持し、親指で計量キャップ側のヒンジキャップ部26の摘み部28を持ち上げることにより、ヒンジキャップ部26を片手で容易に開蓋状態に設定することが可能である。
【0027】
ところで、計量時においては、計測した量が想定した量よりも僅かに多い場合や僅かに少ない場合には、計量部材20内の内容液Lの量を微調整することが必要となる。内容液Lの量が僅かに多い場合には、計量キャップを装着した容器本体1を正立姿勢(図2A参照)に戻すことにより計量部材20内の内容液Lは通路Pを介して容器本体1側に戻るので、正立姿勢に設定する時間の長さを調整することにより、計量部材20内の内容液Lの容量を微調整することができる。
【0028】
また内容液Lの量が僅かに少ない場合には、計量キャップを装着した容器本体1を正立姿勢(図2A参照)に戻した後、合成樹脂製から成る容器本体1の胴部を押圧してスクイズ変形させる操作を行うと良い。この操作を行うと、容器本体1内の内容液Lが通路Pを介して計量キャップ側の計量部材20に少しずつ移動させることができるので、押圧時の力加減や回数を調整することにより、計量部材20内の内容液Lの容量を微調整することができる。
【0029】
尚、図示することは省略しているが、装着部11と口筒部2の間には、キャップ本体10の口筒部2への装着が完了した後におけるキャップ本体10の回転を防止し、計量部材20の回転に追従してキャップ本体10が一緒に回転してしまうことを防止するキャップ本体10用の回転防止機構が設けられている。このような回転防止機構は、例えば装着部11の内周面に第1凸部と第2凸部を周方向に所定の間隔を有するように形成し且つ口筒部2の外周面に係合突起を形成し、装着部11を口筒部2に螺合させたときに、口筒部2の係合突起が装着部11側の第1凸部を乗り越えると共に第1凸部と第2凸部との間に係合保持されるようになっている。尚、口筒部2の外周面側に第1凸部と第2凸部を形成し、且つ装着部11の内周面側に係合突起を設ける構成であっても良い。この回転防止機構を有することにより、計量部材20の回転に追従してキャップ本体10が一緒に回転することがなくなるため、計量部材20を閉鎖状態又は連通状態に確実に設定することができる。
【0030】
また計量キャップには、閉鎖状態と連通状態とを見分ける目印が設けられている(図示せず)。このような目印は、例えば、回転側である計量部材20側の折り返し部24を形成する外壁に下向き矢印を形成し、固定側となるキャップ本体10側の収容部12の外周面上で、且つ閉鎖状態となる位置に例えば「閉」の文字を配置すると共に、この位置から周方向に回転角度α離れた位置(連通状態となる位置)に例えば「開」の文字を配置することで構成することができる。この構成では、計量部材20を正方向に回して閉鎖状態にすると下向き矢印が「閉」を指し、また計量部材20を逆方向に回して連通状態にすると、下向き矢印が「開」を指すことになるため、矢印が指す文字を見るだけで計量キャップ状態が、閉鎖状態にあるか、それとも連通状態にあるかを容易に把握することができる。
【0031】
図6は本発明の第2参考例としての計量キャップの計量時の状態(連通状態)を示す断面図である。第2参考例としての計量キャップが上記第1参考例と異なる点は、キャップ本体10側の収容部12の側面又は計量部材20の側面である周壁21に目盛り30が形成されている点にあり、その他の構成及び効果は上記第1参考例と同様である。
【0032】
上記のように計量は倒立傾き姿勢(図3参照)で行う必要があるため、計量部材20の内容液Lの容量を正確に計量することが難しい。そこで、図6に示す第2参考例では、目盛り30をキャップ本体10側の収容部12の側面又は計量部材20の周壁21に傾斜状に配置している。より詳しくは、計量キャップを装着した容器本体1を倒立傾き姿勢にしたときに、目盛り30が略水平となるように容器軸(O)に対して傾斜させてある。目盛り30が、透明又は半透明の合成樹脂材料で形成された収容部12の側面又は計量部材20の周壁21に形成されている場合には、外部から計量部材20に収容されている内容液Lの液面と目盛り30を同時に観察することが可能となる。よって、この第2参考例では、計量キャップを倒立傾き姿勢にしたときに目盛り30が略水平となるため、倒立傾き姿勢の状態のままで計量部材20内の内容液Lの容量をこれまで以上に正確に計量することができる。
尚、目盛りは容器軸(O)に対して水平に設けても良く、或いは傾斜状に設けた目盛りと水平に設けた目盛りの双方を有する構成とすることもできる。水平の目盛りを有する構成では、計量キャップを備えた容器本体1を正立姿勢とした場合において計量部材20内の内容液Lの容量を直ぐに把握することができる。
【0033】
図7は本発明の実施例としての計量キャップの断面図である。
施例に示す計量キャップが上記第1参考例と異なる点は、キャップ本体10を構成する装着部11と収容部12とが別部材で形成されている点にあり、その他の構成及び効果は上記第1参考例同様である。
収容部12は底部に仕切り壁13とその外周端に被係止部13Aを有する有底筒状の部材として形成され、装着部11は上部内面に収容部12側の被係止部13Aを保持する係止凹部12Aを有する円筒状の部材として形成されている。尚、第1参考例同様、装着部11の内面には口筒部2の外周面に形成されている雄ネジ2aに螺合する雌ネジ11aが形成され、仕切り壁13には通路を形成する第1開口部13a、空気置換孔を形成する第1小孔13b及び円弧状の孔又は溝から成る案内凹部13cが夫々形成されている。
【0034】
そして、収容部12を容器本体1側の口筒部2に載置し、装着部11を口筒部2の周囲に螺合させ、口筒部2の上端と係止凹部12Aとの間に被係止部13Aを挟持させることにより、装着部11と収容部12とが強固に組み付くキャップ本体10が形成されている。
このように、装着部11と収容部12とが別部材で形成した場合には、収容部12のみを透明或いは半透明に形成して使用することができる。
【0035】
以上、参考例及び実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記例に限定されるものではない。
例えば上記各例では、通路を形成する第1開口部13a及び第2開口部22aと、空気置換孔を形成する第1小孔13b及び第2小孔22bは、共に円形状で形成され且つ容器軸Oを挟んで軸対称となる位置に1つずつ形成されている場合を示して説明したが、これらの形状、大きさ、個数、配置は容器本体1の種類、大きさ、形状等に応じて適宜変更可能である。
【0036】
また上記各例では、計量部材20の回転角度αを規制する回り止め機構の構成として、円弧状の孔又は溝からなる案内凹部13cがキャップ本体10側の仕切り壁13に形成され、規制突起22cが計量部材20側の底壁22の下面に形成される構成を示して説明したが、案内凹部13cが計量部材20側の底壁22の下面に形成され、規制突起22cがキャップ本体10側の仕切り壁13の上面に突設される構成であっても良い。さらには、例えばキャップ本体10側の装着部11の内周面とこれに対向する計量部材20側の周壁21の外周面の一方に溝から成る案内凹部13cが形成され、他方に規制突起22cが突設される構成であっても良い。またこの場合においては凹部(案内凹部13c)と凸部(規制突起22c)の組合せに限定されるものではなく、その他例えば凸部同士が当接することで回転が規制される構成であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、容器本体内に収容されている内容液を計量注出する計量キャップの分野における用途展開をさらに広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 : 容器本体
2 : 口筒部
2a : 雄ネジ
10 : キャップ本体
11 : 装着部
11a: 雌ネジ
12 : 収容部
12A: 係止凹部
12a: 係合凸部
13 : 仕切り壁
13A: 被係止部
13a: 第1開口部
13b: 第1小孔
13c: 案内凹部
20 : 計量部材
21 : 周壁
22 : 底壁
22a: 第2開口部
22b: 第2小孔
22c: 規制突起
23 : 注出筒
24 : 折り返し部
24a: 嵌合凸部
25 : ヒンジ部
26 : ヒンジキャップ部
26A: 外周壁
27 : 密封筒
27a: 長端部
28 : 摘み部
30 : 目盛り
P : 通路
Q : 空気置換孔
α : 回転角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7