【実施例】
【0040】
本発明を次の実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に記載がない場合には%は重量%を表わす。
(使用EDミネラル水)
海洋深層水として、伊豆赤沢沖の水深800m程度からくみ上げられた海洋深層水(伊豆赤沢産)を、以下の方法でイオン選択処理した海洋深層水の電気透析水(海洋深層水(EDミネラル水))を用いた(電気伝導度は12.5mS/cm)。
具体的には、電気透析装置「アストム株式会社製、アシライザー25型 100対×3段連続式(海水脱塩仕様)」を用いて、伊豆赤沢産の海洋深層水を電気透析法(イオン交換膜法)によりイオン交換膜を用いて直流電流を負荷することにより、海洋深層水原水中にあるイオン性物質の脱塩・濃縮を行なって、脱塩処理をして、イオン処理した海洋深層水(EDミネラル水)を得た。
かかる海洋深層水(EDミネラル水)は、下記表2に示す成分組成を有する。
海洋深層水中のK、Na、Ca、Mgのイオン含有量はマルチタイプICP発光分光分析装置(株式会社島津製作所製)を用いて測定し、Cl含有量は高速液体クロマトグラフ(株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
【0041】
【表2】
【0042】
(保湿性評価試験1)
上記伊豆赤沢産海洋深層水(EDミネラル水)、精製水及びグリセリン(新日本理化株式会社製)を用いて、保湿性の評価を行った。
具体的には、以下の表3の組成の実施例1及び比較例1〜3の化粧料用保湿性材料試験液を用いて保湿性の評価をおこなった。
比較例1.100%海洋深層水(EDミネラル水)
比較例2.100%精製水(電気伝導度0mS/cm)
実施例1.10%グリセリン+90%海洋深層水(EDミネラル水)
比較例3.10%グリセリン+90%精製水(電気伝導度0mS/cm)
【0043】
【表3】
【0044】
具体的には、以下の手順で保湿性の評価を実施した。
まず被験者の前腕外側皮膚を、レモン石鹸(カネヨ石鹸株式会社製)を用いて洗浄後、タオルドライして、気温20℃、湿度50%の恒温恒湿室で30分間安静に保った。
その後、前記洗浄した前腕外側皮膚のスキンコンダクタンス(μS)をスキコン(SKICON−200,アイ・ビイ・エス株式会社製)で測定した(未塗布)。
【0045】
次いで、前記30分間安静を保持した後の前記洗浄した前腕外側皮膚に9cm
2の試験部位を設定し、そこに上記実施例1及び比較例1〜3の各試験液を50μL塗布し、塗布後30分間、上記恒温室で安静を保持した後、前記スキコンを用いて、塗布した前腕外側皮膚のスキンコンダクタンス(μS)を測定した。
なお、上記保湿性評価試験を被験者7名に実施して、その平均の結果を
図1に示す。
また、上記未塗布の場合も同じ被験者7名の平均の結果を
図1に示す。
【0046】
図1より、比較例1のEDミネラル水及び比較例2の精製水を上記皮膚に塗布し、30分経過した場合には、未塗布の場合と特に有意な差は見られないが、10重量%グリセリンとともに海洋深層水(EDミネラル水)を併用した実施例1の場合には、10重量%グリセリンと精製水とを併用した比較例3、前記比較例1及び2の場合と比較して、スキンコンダクタンス値が大きく、保湿性が高いことが明らかとなった。
【0047】
(保湿性評価試験2)
上記伊豆赤沢産海洋深層水(EDミネラル水)又は精製水と、種々のポリオールとを組み合わせた試験液を用いて、保湿性の評価を行った。
具体的には、以下の表4の組成の実施例2〜5及び比較例4〜7の化粧料用保湿性材料試験液を用いて保湿性の評価をおこなった。
実施例2.10%ブチレングリコール+90%海洋深層水(EDミネラル水:ED)
比較例4.10%ブチレングリコール+90%精製水(電気伝導度0mS/cm)
実施例3.10%プロパンジオール+90%海洋深層水(EDミネラル水:ED)
比較例5. 10%プロパンジオール+90%精製水(電気伝導度0mS/cm)
実施例4.10%ジプロピレングリコール+90%海洋深層水(EDミネラル水:ED)
比較例6.10%ジプロピレングリコール+90%精製水(電気伝導度0mS/cm)
実施例5. 10%ソルビトール+90%海洋深層水(EDミネラル水:ED)
比較例7. 10%ソルビトール+90%精製水(電気伝導度0mS/cm)
【0048】
【表4】
【0049】
具体的には、上記保湿性評価試験1と同様に、以下の手順で保湿性の評価を実施した。
まず被験者の前腕外側皮膚を、レモン石鹸(カネヨ石鹸株式会社製)を用いて洗浄後、タオルドライして、気温20℃、湿度50%の恒温恒湿室で30分間安静に保った。
その後、前記洗浄した前腕外側皮膚のスキンコンダクタンス(μS)をスキコン(SKICON−200,アイ・ビイ・エス株式会社製)で測定した(未塗布)。
【0050】
次いで、前記30分間安静を保持した後の前記洗浄した前腕外側皮膚に9cm
2の試験部位を設定し、そこに上記実施例2〜5及び比較例4〜7の各試験液を50μL塗布し、塗布後、30分間上記恒温室で安静を保持した後、前記スキコンを用いて、塗布した前腕外側皮膚のスキンコンダクタンス(μS)を測定した。
なお、上記保湿性評価試験を被験者6名に実施して、その平均の結果を
図2に示す。
また、上記未塗布の場合も同じ被験者6名の平均の結果を
図2に示す。
【0051】
図2より、全てのポリオールについて、ポリオールと精製水とを併用した比較例の各試験液と比較して、ポリオールと海洋深層水(EDミネラル水:ED)とを併用した実施例の各試験液のほうが、スキンコンダクタンス値が大きく、保湿性が高いことが明らかとなった。
【0052】
(保湿性評価試験3)
上記伊豆赤沢産海洋深層水(EDミネラル水)の濃度を種々変化させて、10%グリセリンと併用し、更に必要に応じ精製水を併用した化粧料用保湿性材料試験液を用いて、保湿性の評価を行った。
具体的には、以下の表5の組成の実施例6〜10及び比較例8〜10の試験液を用いて保湿性の評価をおこなった。
比較例8.10%グリセリン+90%精製水(電気伝導度0mS/cm)
比較例9.10%グリセリン+10%海洋深層水(EDミネラル水)+80%精製水(電気伝導度0mS/cm)
比較例10.10%グリセリン+20%海洋深層水(EDミネラル水)+70%精製水(電気伝導度0mS/cm)
実施例6.10%グリセリン+30%海洋深層水(EDミネラル水)+60%精製水(電気伝導度0mS/cm)
実施例7.10%グリセリン+50%海洋深層水(EDミネラル水)+40%精製水(電気伝導度0mS/cm)
実施例8.10%グリセリン+70%海洋深層水(EDミネラル水)+20%精製水(電気伝導度0mS/cm)
実施例9.10%グリセリン+80%海洋深層水(EDミネラル水)+10%精製水(電気伝導度0mS/cm)
実施例10.10%グリセリン+90%海洋深層水(EDミネラル水)
【0053】
【表5】
【0054】
具体的には、以下の手順で保湿性の評価を実施した。
まず被験者4名の前腕外側皮膚を、レモン石鹸(カネヨ石鹸株式会社製)を用いて洗浄後、タオルドライして、気温20℃、湿度50%の恒温恒湿室で30分間安静に保った。
その後、前記洗浄した前腕外側皮膚のスキンコンダクタンス(μS)をスキコン(SKICON−200,アイ・ビイ・エス株式会社製)で測定した(未塗布)。
【0055】
次いで、前記30分間安静を保持した後の前記洗浄した前腕外側皮膚に9cm
2の試験部位を設定し、そこに上記実施例6〜10及び比較例8〜10の各試験液を25μL塗布し、塗布後30分間、上記恒温室で安静を保持した後、前記スキコンを用いて、塗布した前腕外側皮膚のスキンコンダクタンス(μS)を測定した。
なお、各被験者の上記未塗布のスキンコンダクタンス値を1として、30分経過後の塗布試験部位のスキンコンダクタンス値を相対値で表し、その平均の結果を表6及び
図3に示す。
また、表6及び
図3中の「無塗布」は、上記被験者4名の上記未塗布の状態のスキンコンダクタンス値を1とし、試験液を塗布しないで30分間、上記恒温室で安静を保持した後に、前記未塗布のスキンコンダクタンスを測定した皮膚の部位と同じ部位を測定したスキンコンダクタンス値を相対値で表わしたものである。
【0056】
【表6】
【0057】
表6及び
図3の結果より、グリセリンと精製水を併用した比較例8(0%海洋深層水(EDミネラル水))の場合と比較して、また、海洋深層水(EDミネラル水)が全体の10%又は20%の比較例9〜10の場合と比較して、実施例6〜10に示すように、海洋深層水(EDミネラル水)濃度が高くなることで、保湿性が高くなることが明らかとなった。
ヒトの皮膚に塗布した場合に、保湿性を特に有意に感じることができるのは、実施例6〜10の海洋深層水(EDミネラル水)の含有量が30重量%以上の場合であり、海洋深層水(EDミネラル水)濃度が高いものとポリオールとを併用することで、保湿性効果が高まることが明らかとなった。