【実施例1】
【0023】
図1及び
図2に示す本発明の第1実施例の軒先構造は、軒先側の側面上端に係合受部121を備える軒樋1と、該軒樋1の開放上面を覆うカバー材2と、一端に前記軒樋1の係合受部121と係合する係合部31を有すると共に他端に建築物の外装下地(軒先唐草4)に固定される固定部32を有する吊り材3と、からなる。
【0024】
前記軒樋1は、雨水等を排水する内部空間を有し、底面11と二つの側面12,13とからなる断面略U字状に形成され、軒先側の側面12上端には係合受部121を備えている通し材である。
この第1実施例における軒樋1は、略水平状の底面11の軒先側(図面では左側)に、三つの縦傾斜面と二つの略水平面とで構成される段状の(外)側面12が形成され、前記底面11の内側(図面では右側)には、略垂直状に起立する(内)側面13が形成され、これらの底面11及び側面12,13にて断面略U字状の雨水等の排水路が形成されている。
また、前記軒先側の側面12の上端に位置する傾斜面と略水平面(=略L字状)は、吊り材3の一端に略コ字状に形成される係合部31に係合される係合受部121である。
また、前記内側面13の下端には、隅部状の被支持部131が設けられている。
【0025】
前記カバー材2は、内部に降雪が堆積したり、落ち葉等が侵入、堆積したり、鳥類等が巣作りすることを防止する部材である。
この第1実施例におけるカバー材2は、その表面(化粧面21)には雨水を内部へ導く導水口211として複数の小径のスリット孔が形成され、その下端である軒先端22が形成され、その上端付近に軒先唐草4に固定される上端部23が形成されている。
前記軒先端22は、化粧面21の下端から斜め上方へ延在し、その先端を斜め下方へ折曲して後述する吊り材3の係合部31の上端に緩く係合している。
前記上端部23は、化粧面21の上端付近に位置する部位であって、当該第1実施例では、建築物(5C)に固定される軒先唐草4に連絡されて取り付けられている。
【0026】
前記吊り材3は、一端に前記軒樋1の係合受部121と係合する係合部31を有すると共に他端に軒先唐草4に固定される固定部32を有する部材である。
この第1実施例における吊り材3は、平面視が帯状の部材であって、金属板材の成型品であり、係合部31を略コ字状に形成し、固定部32を略平坦状に形成して上方からビス(固定具)3bを打ち込んで軒先唐草4に固定している。
前記係合部31は、前記カバー材2の軒先端22の外側に係合すると共にその内側の前記軒樋1の係合受部121に深く係合するものであり、
図2に示すようにビス(固定具)3cを打ち込むことによりズレを防止すると共により確実に固定するようにしてもよい。
前記固定部32には、前述のようにビス3cを打ち込むが、その内側には前記カバー材2の上端部23が位置しているのでカバー材2もこの吊り材3と共に軒先唐草4に強固に固定される。
また、両部位31,32の繋ぎ部分33は、略平坦状に形成されている。前記係合部31は、この繋ぎ部分33の下端から斜め上方へ延在し、その先端を斜め下方へ折曲すると共にその下端を内側へ延在させて前記軒樋1の係合受部121に深く係合できるように形成されている。
【0027】
前述の軒樋1、カバー材2、吊り材3以外の構成を以下に簡単に説明する。
図中の5Aは鼻隠し壁面、5BはH躯体、5Cは軒棟方向に敷設された外装下地(=断熱材及び軽量鋼材)、5dはその上面に敷設された防水シートであり、6Aは外装材、6fは外装材の裏面側に添設された裏貼り材である。
そして、横葺き外装材である外装材6Aは、略平坦状の面板部61の軒側、棟側に設けられて相互に係合する軒側成形部62、図示しない棟側成形部を備え、外装下地5Cに固定された図示しない吊子等にて取り付けられ(敷設され)ている。
【0028】
また、前記軒先唐草4は、外装下地(5C)の軒先部分に嵌合状に取り付けられる取付固定部41を有し、該取付固定部41の上片から軒先側へ延在して外装材6Aの軒先端を係合させる被係合部42と、該被係合部42よりも更に軒先側へ突出して前記吊り材3を固定する被固定部43と、を備える。なお、前記取付固定部41の上片と前記被係合部42とが、ほぼ同一直線上に設けられ、排水凹部411を介して連続している。この排水凹部411は、外装材6Aが近接状に敷設されていることにより、該近接状空間に至った雨水等が毛細管現象等で更に水上側へ浸透することがなく、この排水凹部411にて雨水等を側方へ流下させることができる。
【0029】
この軒先構造に前記軒先唐草4と共に用いられてより安定に軒樋1を保持することができる補助材として、鼻隠し壁面5Aに固定する支持材7が用いられている。
この支持材7は、金属板材等を適宜に成形して形成され、略垂直状の縦面71の上端を軒先側へ折り返した突出片72が形成され、下端を略水平状に軒先側へ折り曲げて支持部(下方保持部)73が形成され、中間には側方へ略コ字状に突出する成形部711が形成される連続材である。前記突出片72の内側空間74が、下方が開放する溝状部であって、軒樋1の内側面13の上端が差し込まれる上方保持部である。また、前記成形部711の傾斜状の縦面711aが鼻隠し壁面5Aへの固定部(固着具7b)であり、下部横面が化粧面711bであり、該化粧面711bが軒樋1と鼻隠し壁面5Aとの隙間を隠すため、下方から見上げた際に美麗な外観を維持するものである。
【0030】
この第1実施例の軒先構造の施工手順は、まず
図1(a)に示すように前記軒先唐草4や支持材7を取り付けることにより軒樋1を配設し、その係合受部121に係合部31が深く係合するように吊り材3を配設する。
具体的には前記軒先唐草4を外装下地(5C)の軒先部分に嵌合状に取り付けて固定具4bを打ち込んで固定し、前記支持材7の成形部711を鼻隠し壁面5Aに沿わせて縦面711aからビス(固定具)7bを打ち込んで固定した。
その後、取り付けた支持材7の上方保持部74及び下方保持部73に、軒樋1の内側面が保持されるように軒先下方側から配設して内側面13を保持させ、この状態で内側面13にビス1bを打ち込んで固定する。
そして、吊り材3の係合部31を軒先側から軒先唐草4の被固定部43に沿わせ(係合させ)、
図2(b)に示すように吊り材3の固定部32を、軒先唐草4の被固定部43に沿わせ、ビス(固定具)3bを打ち込んで固定する。
【0031】
続いてカバー材2を、軒樋1の開放上面を覆うように配設するが、軒樋1には前述のように既に吊り材3が配設されているので、該吊り材3の上面にカバー材2を被覆状に配設する。
その際、
図2(b)に示すようにカバー材2の軒先端22を、前記軒樋1の係合受部121の上端に緩く係合(仮止め)させた状態でビス(固定具)2bを打ち込んで吊り材3の係合部31と共に強固に固定すると共に、カバー材2の上端部23を、吊り材3の固定部32に沿わせ、軒先成形部62の裏面側に挟み込むように固定する。
【0032】
このように施工される第1実施例の軒先構造は、軒樋1の軒先側の側面上端を、建築物の外装下地5Cに固定した吊り材3にて抱持状に(引っ張り上げるように)保持している構造であり、軒樋1を優れた意匠性で且つ高い支持強度にて保持できる。また、吊り材3の材質や形状を限定しないし、カバー材2の材質や形状を限定しないので、軒樋1を優れた意匠性で且つ高い支持強度にて保持できる。しかも吊り材3は、カバー材2の裏面側に位置し、露出していないため、意匠性を損なうことがない。
【0033】
また、この第1実施例では、吊り材3を帯状材に形成したので、適宜に複数の吊り材3を用いればよく、カバー材2の導水性も妨げられない。即ち吊り材3を広幅に形成した場合には、該吊り材32よりカバー材2に形成した導水口211が塞がれてしまうので、導水性が損なわれてしまうが、帯状材であるからそのような閉塞は生じない。
【0034】
図3(a)に示す
参考例Aの軒先構造は、吊り材3'に躯体(鼻隠し壁面)5A'への固定部32'を備えるものであって、該固定部32'は躯体5A'の表面に沿って、その下端に隅部状の被支持部131に係止する横片321を備える。
なお、この
参考例Aでは、前記第1実施例における軒先唐草4や支持材7が用いられていない。また、前記鼻隠し壁面5A'は、この
参考例Aでは略垂直状に配設されている。さらに、軒樋1については、前記第1実施例と全く同様のものを用いたので、図面に同一符号を付して説明を省略する。また、前記鼻隠し壁面5A及びH躯体5B以外の外装構造については略記した。
【0035】
この
参考例Aにおける吊り材3'は、
図3(b)に示すように前述のように固定部32'が躯体(鼻隠し壁面)5A'に沿う構成、縦面状である構成が前記第1実施例の吊り材3とは明らかに異なる。なお、この吊り材3'の繋ぎ部分33'の上端付近には、軒先側が開放する溝状部を形成するためのフック状部分34が設けられている。
また、この吊り材3'の係合部31'は、繋ぎ部分33'の下端を斜め下方へ折曲すると共にその下端を内側へ延在させた形状であって、形状が微妙に異なるものの前記第1実施例の係合部31と同様に軒樋1の係合受部121に深く係合できる。
さらに、この吊り材3'の固定部32'は、前述のように軒樋1の内側面13の被支持部131を保持する横片321を備えるので、前記第1実施例における支持材7を用いなくても軒樋1の建築物側の保持機能を有する。要するに前記横片321が、前記支持材7の支持部73、即ち下方保持部に相当する。
【0036】
また、この
参考例Aにおけるカバー材2'は、化粧面21'自体を詳細には示していないが、パンチグメタル板等の成形板であって、その下端である軒先端22'が形成され、その上端付近に前記吊り材3'のフック状部分(溝状部)34に差し込まれる上端部23'が形成されている。
前記軒先端22'は、化粧面21'の下端を斜め下方へ折曲すると共にその下端を内側へ延在させた形状であって、前記吊り材3'の係合部31'の外側に深く係合できる。
前記上端部23'は、化粧面21'の上端付近に相当する部位であって、当該
参考例Aでは、前記吊り材3'のフック状部分34に差し込まれている。
【0037】
この
参考例Aの軒先構造の施工手順は、まず前記構成の吊り材3'を取付固定し、この固定した吊り材3'に対し、軒樋1を取り付ける。
具体的には躯体(鼻隠し壁面)5A'の所定位置に吊り材3'を配し、固定部32'にビス(固定具)3bを打ち込んで取付固定する。
このように固定した吊り材3'の横片321に、内側面13の被支持部131が保持されるように軒樋1を配設し、その内側面13にビス(固定具)1cを打ち込んで鼻隠し壁面5Aに固定する。
【0038】
続いてカバー材2'を、軒樋1の開放上面を覆うように配設するが、軒樋1には前述のように吊り材3'が配設されているので、該吊り材3'の外側にカバー材2'を被覆状に配する。その際、カバー材2'の軒先端22'を、吊り材3'の係合部31'の外側に係合すると共に、カバー材2'の上端部23を、吊り材3'のフック状部分(溝状部)34に差し込んで取り付ける。
【0039】
このように施工される
参考例Aの軒先構造は、軒樋1の軒先側の側面上端を、躯体5A'に固定した吊り材3'にて抱持状に保持している構造であり、軒樋1を優れた意匠性で且つ高い支持強度にて保持できる。
また、この
参考例Aでは、前記第1実施例のように支持材7を用いない(吊り材3'が代替する)ので、少ない部品にて軒樋1を同様に高い支持強度にて保持できる。
さらに、この
参考例Aでも、吊り材3'は、カバー材2'の裏面側に位置し、露出していないため、意匠性を損なうことがない。
【0040】
図4に示す
参考例Bの軒先構造は、吊り材3"については前記参考例Aにおける吊り材3'とほぼ同様であるが、カバー材2"として図中に波線で示す金属メッシュ材を用いている。
なお、この
参考例Bでは、前記
参考例Aと同様に前記第1実施例における軒先唐草4や支持材7が用いられず、前記鼻隠し壁面5A'は略垂直状に配設され、軒樋1については前記第1実施例と全く同様のものを用い、図面に同一符号を付して説明を省略する。また、前記鼻隠し壁面5A及びH躯体5B以外の外装構造については略記した。
【0041】
この
参考例Bにおける吊り材3"は、繋ぎ部分33"の下端付近に、矩形状の切り込みを形成して切り込み片331を裏面側に倒し込んで係止部とし、繋ぎ部分33"の上端付近に、矩形状の切り込みを形成して切り込み片332を表面側に倒し込んで係止部とする以外は、前記
参考例Aにおける吊り材3'とほぼ同様であるから図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
また、この
参考例Bにおけるカバー材2"は、前述のように金属メッシュ材(金網状材)であって、変形が可能な柔軟性を備えるので、基本的には軒樋1の図面の奥行き方向から手前側へ内側に押し込むように配設する。
即ちカバー材2"の軒先端及び構造物側端をそれぞれ軒樋1の内側に位置するように押し込み、前記吊り材3"の上面に敷設したカバー材2"に対し、前記切り込み片332を表面側に倒し込み、前記切り込み片331を裏面側に倒し込んで固定する。
【0043】
この
参考例Bの軒先構造の施工手順は、まず前記構成の吊り材3"を躯体(鼻隠し壁面)5A'の所定位置に取付固定し、この固定した吊り材3"に対し、軒樋1を取り付ける点では前記
参考例Aと全く同様である。
【0044】
続いてカバー材2"を、吊り材3"が配設されていない箇所については、軒樋1の内側に位置するように押し込み、吊り材3"の配設箇所については、その上面を覆うように配設するが、前述のように吊り材3"の繋ぎ部分33"に形成した切り込み片331,332に係止されるようにカバー材2"を配設する。
具体的にはカバー材2"は、例えば前記切り込み片332に位置する位置にスリットを形成し、前記切り込み片331に位置する部分の軒先側が軒樋1の内側に押し込めるように切り込みを入れる等の加工を加えた後、それらの切り込み片331,332を前述のように裏面側、表面側にそれぞれ倒し込んで係止すればよい。
【0045】
尤も、軒樋1に対して先に金属メッシュ状のカバー材2"を配設し、その後、その外側に吊り材3"をベルト状に配設して吊り材3"自体がカバー材2"を押さえるようにしてもよい(その場合、前記切り込み片331,332も裏面側に倒し込んで固定する構成を採用してもよい)。
【0046】
このように施工される
参考例Bの軒先構造は、軒樋1の軒先側の側面上端を、躯体5A'に固定した吊り材3"にて抱持状に保持している構造であり、軒樋1を優れた意匠性で且つ高い支持強度にて保持できる。
また、この
参考例Bでは、カバー材2"として金属メッシュ材を用いたので、化粧面を形成する労力を必要とせず、容易に該カバー材2"にて軒樋1の内部に雨水を導入させると共に軒樋1の内部に降雪が堆積したり、落ち葉等が侵入、堆積することを防止することができる。