特許第6980451号(P6980451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6980451易崩壊性造粒組成物を含有する固形粉末化粧料及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980451
(24)【登録日】2021年11月19日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】易崩壊性造粒組成物を含有する固形粉末化粧料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20211202BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20211202BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20211202BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/02
   A61K8/19
   A61K8/891
   A61Q1/00
   A61Q19/00
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-154201(P2017-154201)
(22)【出願日】2017年8月9日
(65)【公開番号】特開2018-27939(P2018-27939A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2020年6月3日
(31)【優先権主張番号】特願2016-157919(P2016-157919)
(32)【優先日】2016年8月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 洋輔
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−082818(JP,A)
【文献】 特開昭60−038311(JP,A)
【文献】 特開平04−243815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)アクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体エマルジョンを固形分換算で0.05〜2質量%成分(B)粉体及び成分(C)油剤2〜13質量%を含有する易崩壊性造粒組成物であって、かつ前記易崩壊性造粒組成物の平均粒子径が0.8〜30mmであり、前記易崩壊性造粒組成物を2種以上を含有する固形粉末化粧料。
【請求項2】
易崩壊性造粒組成物中に表面処理した粉体を30質量%以上含有する請求項1に記載の固形粉末化粧料。
【請求項3】
成分(A)アクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体エマルジョン及び成分(B)粉体とを混合する工程と、前記成分(A)と前記成分(B)の混合物を造粒機を用いて造粒し、乾燥することで平均粒子径0.8〜30mmの易崩壊性造粒組成物を製造する工程と、異なる2種以上の易崩壊性造粒組成物と粉体とを混合する工程と、前記異なる2種以上の易崩壊性造粒組成物と粉体との混合物を圧縮成型する工程とを含む固形粉末化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形化粧料及びその製造方法に関し、より詳細には、2種の易崩壊性造粒組成物中にアクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体と粉体とを含有する固形粉末化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
易崩壊性造粒組成物は種々の用途に用いられている。例えば、化粧料や日用品用として用いられる造粒組成物には、洗顔用造粒組成物や入浴剤用造粒組成物、粉末化粧料用造粒組成物等が挙げられる。特に、易崩壊性造粒組成物を含む固形粉末化粧料として用いられる場合、顔や体に直接塗布する用途が想定されるため、造粒組成物としての形状を維持しながらも、使用時には容易に崩れる品質が求められることがある。上記の品質に加え、2色以上の易崩壊性造粒組成物を含有することで、化粧料としての審美性が求められることがある。また、2色以上の易崩壊性造粒組成物を含む固形粉末化粧料の場合には、化粧の仕上がりにおいて満足度をより高めるために、つけ色の均一性が重要とされている。
【0003】
従来からアイシャドウや白粉等の粉末化粧料として、ルースタイプや、固形粉末化粧料が知られている。特に固形粉末化粧料は、その使用性や簡便性の面から広く支持されているが、一般的に均一分散した粉末を化粧皿に圧縮成型した固形物であり、その外観表面は単調なものとなることがある。そこで、易崩壊性造粒組成物を複数色組み合わせることにより、審美性の高い固形粉末化粧料を得られることが知られている。しかしながら、造粒組成物にパール剤等の板状粉体を多量に含有させることで成形性が低下するといった問題があった。このような問題を解決するために、結晶セルロース又はセルロース誘導体とタルクを組み合わせ押し出し造粒法により化粧品用造粒組成物を得る技術(特許文献1)、顔料と油剤の粉体組成物にバインダーとして水溶性高分子を使用し、相異なる複数色の球状造粒物を圧縮成型してなるマーブル調の粉末メイクアップ化粧料を得る技術(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−269656号公報
【特許文献2】特開昭61−36206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、結晶セルロースを用いる方法では、造粒組成物の成形性が十分ではなく、伸び広がりが悪く、2種以上の造粒組成物を用いて固形粉末化粧料を作成した場合、使用時のつけ色の均一性に劣るものであった。また、水溶性高分子を用いる特許文献2のような技術では、造粒組成物の成形性が十分ではなく、強度を確保するために多量の水溶性高分子を含有すると、水溶性高分子が不均一に皮膜形成してしまい、表面が内部に比べて固くなる傾向があり、化粧料のとれが不均一になりやすかった。上記の理由から、水溶性高分子を含有する2種以上の易崩壊性造粒組成物を用いて固形粉末化粧料とした場合、つけ色の均一性に優れた固形粉末化粧料を得ることが困難であった。
【0006】
そのため、従来技術では2色以上の易崩壊性造粒組成物を固形粉末化粧料に用いる場合、易崩壊性造粒組成物が容易に崩壊してしまうと易崩壊性造粒組成物同士が混色してしまい、優れた審美性が得られないことがあった。また、易崩壊性造粒組成物が崩壊し難いと軽い伸び広がりなどの品質に加えつけ色が均一な固形粉末化粧料の具現化は困難であった。そこで、本発明は、易崩壊性造粒組成物の保形性に優れる一方で、圧縮成型後には易崩壊性造粒組成物が崩壊することで、軽い伸び広がりと、つけ色の均一性に優れた固形粉末化粧料の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
諸般の実情に鑑み、本発明者は、鋭意検討した結果、特定の量のアクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体エマルジョンと粉体とを組み合わせることで、保形性に優れる易崩壊性造粒組成物が得られ、その易崩壊性造粒組成物を含有する固形粉末化粧料は、成形時の境界が明瞭であり、伸び広がりが良く、つけ色が均一になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、成分(A)アクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体エマルジョンを固形分換算で0.05〜2質量%及び成分(B)粉体を含有する易崩壊性造粒組成物であって、かつ前記易崩壊性造粒組成物の平均粒子径が0.8〜30mmであり、前記易崩壊性造粒組成物を2種以上を含有する固形粉末化粧料に関するものである。
【0009】
さらに、易崩壊性造粒組成物中に成分(C)油剤を2〜13質量%含有する固形粉末化粧料に関するものである。
【0010】
さらに、易崩壊性造粒組成物中に表面処理した粉体を30質量%以上含有する固形粉末化粧料に関するものである。
【0011】
さらに、成分(A)アクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体エマルジョン及び成分(B)粉体とを混合する工程と、前記成分(A)と前記成分(B)の混合物を造粒機を用いて造粒し、乾燥することで易崩壊性造粒組成物を製造する工程と、異なる2種以上の易崩壊性造粒組成物と粉体とを混合する工程と、前記異なる2種以上の易崩壊性造粒組成物と粉体との混合物を圧縮成型する工程とを含む固形粉末化粧料の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、保形性に優れる易崩壊性造粒組成物を含有することで、成形時に境界が明瞭であり、塗付時のつけ色の均一性、伸び広がりの良さに優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明において易崩壊性造粒組成物とは、粉体を造粒して得られるものであり、圧力等の外的刺激により容易に崩壊するものである。本発明における易崩壊性とは、単位面積当たり5g/cmの圧力で形状を維持できず崩壊するものを指す。簡易的に易崩壊性を評価する方法としては、例えば、一定面積の皿状の容器に造粒組成物を乗せ、5g/cmの圧力がかかる質量の重りを造粒組成物の上に置き、崩壊するものを易崩壊性造粒組成物とすることができる。また、造粒とは油剤、水溶性高分子、金属石鹸等の賦形剤等を用いて1種または2種以上の粉体から、より大きい粒子を得ることと定義する。本発明における易崩壊性造粒組成物は、圧力等の外的刺激により容易に崩壊する一方で、造粒組成物自体が形状を維持する強度を有するものである。また、易崩壊性造粒組成物の平均粒子径としては、易崩壊性造粒組成物を圧縮成形した際の審美性の観点から0.1〜30mmが好ましく、0.8〜10mmがより好ましい。平均粒子径の算出方法に関しては作製した易崩壊性造粒組成物を20個取り出し、顕微鏡観察により粒径を算出し、平均粒子径として用いた。
【0015】
本発明に用いられる成分(A)アクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体エマルジョンは、アクリル酸アルキルモノマー及び/又はメタクリル酸アルキルモノマーの1種以上と、酢酸ビニルモノマーとの共重合体である。本発明の成分(A)アクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体エマルジョンに用いる「/」は、モノマーをアクリル酸アルキルと酢酸ビニルとした共重合体であることを示す。本発明における成分(A)は、通常、水性の溶媒中に高分子の微粒子が安定に分散した水中油型の系で、界面活性剤で乳化させたモノマーを重合することによって得られる液や自然界に存在する乳状の樹液を含むものであり、これらのアルキル基については、炭素数1〜12の1種でも、また2種以上であっても良い。INCI名(International Nomenclature Cosmetic Ingredient labeling names)で、ACRYLATES/VA COPOLYMERとして収載されているものである。アクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体エマルジョンは、通常皮膜形成剤として化粧料に含有することが多く、本発明においても皮膜形成剤として易崩壊性造粒組成物中に含有することで、皮膜形成により保形性を向上させる効果を奏するものである。本発明において、成分(A)アクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体エマルジョンの市販品としては、大同化成工業社製のビニゾール2140L等が例示されるが、これに限らず使用することができる。
【0016】
本発明における成分(A)の含有量は、特に限定されるものではないが、易崩壊性造粒組成物の保形性と、固形粉末化粧料としたときの伸び広がりの良さの観点から固形分として0.05〜2質量%(以下%と略す)が好ましく、さらに0.1〜1.5%が好ましい。
【0017】
本発明に用いられる成分(B)粉体は、任意の無機又は有機粉体を使用することができる。具体的には、酸化チタン、黒色酸化チタン、酸化セリウム、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、黒色401号、褐色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色203号、青色205号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、黄色4号、黄色5号、黄色202号(1)、黄色202号(2)、黄色203号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、橙色205号、橙色402号、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号(1)、赤色105号(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号(1)、赤色231号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、有機顔料被覆マイカチタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク、アルミニウムパウダー、ポリエチレンテレフタレート積層末等の光輝性粉体類、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーパウダー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマーパウダー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、N−アシルリジン等の有機粉体類、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン含有シリカ、酸化亜鉛含有シリカ等の複合粉体類等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。本発明において、2種以上の易崩壊性造粒組成物を得る際に着色することで審美性を高める観点から、酸化亜鉛、酸化チタン、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、ベンガラ、群青等の無機粉体、赤色202号、赤色226号、黄色4号等の有機顔料粉体、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン等の光輝性粉体、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー等の有機粉体が好ましい。
【0018】
また、本発明における成分(B)粉体は表面処理されていても良い。本発明における成分(A)と成分(B)とを混合する際に、油剤等で粉体が表面処理されていないと、粉体同士は凝集する場合がある。一方、粉体に表面処理を施すことで粉体同士の凝集を抑止することができ、つけ色の均一性を向上させる効果を奏し好ましい。表面処理剤としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、フッ素化合物、シリコーン系化合物、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、金属石鹸、界面活性剤、水溶性高分子等の通常公知のものを使用できる。特に、粉体の分散性の観点から疎水化処理した粉体が好ましく、その中でも塗布時の軽い伸び広がりとつけ色の均一性の観点からシリコーン化合物で処理した粉体がより好ましく、メチルポリシロキサン処理した粉体、トリエトキシカプリリルシラン処理した粉体がさらに好ましい。
【0019】
本発明において、これらの粉体表面を処理する方法としては、特に限定されるものではなく、通常公知の処理方法が用いられる。具体的には、直接粉体と混合する方法(乾式処理法)、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ヘキサン、軽質イソパラフィン、ベンゼン、トルエン等の溶媒を用いる方法(湿式法)、気相法、メカノケミカル法等が挙げられる。
【0020】
粉体に対する表面処理剤の処理量は、特に限定されるものではないが、塗布時の軽い伸び広がり、つけ色の均一性の観点から、粉体に対して0.5〜20%が好ましく、さらには1〜10%がより好ましい。
【0021】
本発明において、成分(B)粉体の含有量は、特に限定されるものではないが、固形粉末化粧料の成形性の観点から固形粉末化粧料中に70%以上含有することが好ましく、より好ましくは80%以上である。また、粉体の分散性はつけ色の均一性に寄与しており、粉体の分散性の観点から、表面処理された粉体は固形粉末化粧料中に30%以上含有することが好ましく、より好ましくは40%以上であり、50%以上含有するとさらに好ましい。また、易崩壊性造粒組成物中に成分(B)粉体は70%以上含有することが好ましく、より好ましくは80%以上であり、表面処理された粉体については、易崩壊性造粒組成物中に好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、50%以上含有するとさらに好ましい。
【0022】
また、本発明の固形粉末化粧料は、易崩壊性造粒組成物中以外に粉体を含有しても良い。すなわち、2種以上の易崩壊性造粒組成物を組み合わせ、固形粉末化粧料としても良く、2種以上の易崩壊性造粒組成物を組み合わせ、さらに粉体を組み合わせて固形粉末化粧料としても良い。易崩壊性造粒組成物以外の粉体としては、特に限定されず、成分(B)に挙げた粉体から選択し、必要に応じて組み合わせて使用することができる。
【0023】
本発明の固形粉末化粧料における易崩壊性造粒組成物の含有量は、特に限定されるものではないが、20〜100%が好ましく、50〜100%がより好ましく、80〜100%がさらに好ましい。この範囲であれば、成形時の境界の明瞭性、つけ色の均一性といった本願効果により優れるため、より好ましい。
【0024】
本発明は、さらに成分(C)油剤を組み合わせて使用することで、軽い伸び広がりを付与する作用を有する。本発明における成分(C)油剤は、化粧料に通常使用される油剤であれば、特に限定されず、例えば、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類、油溶性樹脂等が挙げられる。
【0025】
具体的には、例えば、エチレンホモポリマー、(エチレン/プロピレン)コポリマー、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン、スクワレン、イソドデカン、イソヘキサデカン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素油類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、キャンデリラワックス、ミツロウ、ライスワックス、モクロウ、ゲイロウ、モンタンワックス、カルナウバワックス、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸デシル、イソステアリン酸ラウリル、イソデカン酸イソデシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコ−ル、ジカプリン酸プロピレングリコ−ル、ジカプリル酸プロピレングリコ−ル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、セバシン酸ジエチル、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸エチル、N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(コレステリル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−サルコシン−イソプロピル、ダイマージリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、アジピン酸ジグリセリル混合脂肪酸エステル、ロジン酸ペンタエリトリット、ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、水添ヒマシ油、水添ヒマシ油脂肪酸エステル、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル、水添ホホバ油等のエステル油類、トリメチルシロキシケイ酸、メタクリル変性ポリシロキサン、ステアリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン等のシリコーン油類、デキストリン脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類、α−オレフィン・ビニルピロリドン共重合体等が挙げられ、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。特に、25℃で液状の油剤がなめらかな伸び広がりのある使用感を得る点で好ましく用いられる。
【0026】
本発明における成分(C)の含有量は、特に限定されるものではないが、軽い伸び広がりの観点から2〜13%が好ましく、さらに4〜10%がより好ましい。また、軽い伸び広がりの観点から25℃で液状の油剤が成分(C)油剤中に50〜100%含有することが好ましく、より好ましくは60〜100%であり、70〜100%含有するとさらに好ましい。
【0027】
本発明の易崩壊性造粒組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、水に分散させた成分(A)と、成分(B)、さらに必要に応じて成分(C)、その他の成分とを常法を用いて混合し、造粒粉砕機等により粉砕造粒し、乾燥機等で乾燥して水を除去することで易崩壊性造粒組成物を得ることができる。造粒方法としては、例えば、スーパーミキサー等を用いる攪拌造粒法、造粒粉砕機等を用いる押し出し造粒法、噴霧乾燥法(スプレードライ法)等が挙げられる。造粒に用いられる機器としては、例えば、スーパーミキサー(SMP−2/カワタ社製)、ディスクアトマイザー(スプレードライヤーSD12型/三井鉱山社製)等が挙げられる。粒子径の大きい易崩壊性造粒組成物を得る場合には、攪拌造粒法が好ましく、粒子径の小さい易崩壊性造粒組成物を得る場合には、流動層造粒法が好ましい。ここで、粒子径の大きいとは、3mmより大きく30mm以下を示し、粒子径の小さいとは、0.8〜3mmを示す。さらに、造粒粉砕では、目的の粒子径に合わせてスクリーン径を選択することで、易崩壊性造粒組成物を目的の粒子径に調整することができる。これらの造粒方法は、求める粒子径の大きさに合わせて何れの方法も選択できる。
【0028】
本発明の易崩壊性造粒組成物は、成分(B)、必要に応じて成分(C)を混合して造粒した後、水に分散した成分(A)を添加混合し、真空吸引、乾燥等で該水を除去することにより得ることが好ましい。
【0029】
さらに、本発明の易崩壊性造粒組成物を用いて固形粉末化粧料を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、2種以上の易崩壊性造粒組成物を容器に充填した後、圧縮成型する方法等が挙げられる。本発明の固形粉末化粧料において、易崩壊性造粒組成物以外に粉体を含有する場合、易崩壊性造粒組成物と粉体とを混合し、容器に充填しても良い。また、化粧料の審美性や嗜好性の観点から、異なる色や使用感の2種以上の易崩壊性造粒組成物を組み合わせて用いることが好ましく、各色が点在し、審美性が高まるという観点から、容器に充填する前に予め混合しておくことが好ましい。
【0030】
本発明の易崩壊性造粒組成物には、本発明の効果を妨げない範囲であれば、上記成分(A)〜(C)の他に、通常化粧料に使用される成分として、水性成分、界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、糖類、防腐剤、香料等を含有することができる。
【0031】
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低級アルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられ、水溶性高分子としては、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体類、アルギン酸ソーダ、カラギーナン、クインスシードガム、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム等の天然高分子類、ポリビニルアルコール、カルボシキビニルポリマー、アルキル付加カルボシキビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステル、ポリビニルピロリドン等の合成高分子類等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0032】
界面活性剤としては、化粧料に一般に使用される界面活性剤であれば、いずれでも良く、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、非イオン界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム及び塩化ベンザルコニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものが挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0033】
紫外線吸収剤としては、通常、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、ベンゾフェノン系としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリアニリノ−パラ−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[{4−(2−エチルヘキシロキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−(1,3,5)−トリアジン、2−2’−メチレン−ビス−{6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3、−テトラメチルブチル)フェノール}等が挙げられ、PABA系としては、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−ジヒドロキシプロピル安息香酸エチル、2−{4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル}安息香酸ヘキシル等が挙げられ、ケイ皮酸系としては、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、4−メトキシケイ皮酸−2−エトキシエチル等が挙げられ、サリチル酸系としてはサリチル酸−2−エチルヘキシル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル等、ジベンゾイルメタン系としては、4−tert−4’−メトキシジベンゾイルメタン等、また、2−2’−メチレン−ビス−{6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール}等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0034】
保湿剤としては、例えば、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等、酸化防止剤としては、例えば、α−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えば、ビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。
【0035】
本発明の固形粉末化粧料の形態としては、メイクアップ化粧料、スキンケア化粧料等が挙げられ、目的に応じ種々の製品形態とすることができる。さらに詳細には、ファンデーション、頬紅、白粉、アイシャドウ、アイライナー、アイブロウ、ボディパウダー等の固形粉末化粧料が挙げられる。また、異なる色や使用感の2種以上の易崩壊性造粒組成物を混合することで、化粧料としての彩りや華やかさを演出することができる。
【実施例】
【0036】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0037】
易崩壊性造粒組成物1〜13
表1及び2に示す易崩壊性造粒組成物を調製し、イ.保形性について下記の評価方法にて評価し判定した。その結果も併せて表1及び2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
*1 マツモトマイクロスフェアM101 (松本油脂製薬社製)
*2 微細亜鉛華 (堺化学工業社製)
*3 メタシャインMT1080RG (日本板硝子社製)
*4 COSMETICA SUPER WHITE Nー8000S (CQV社製)
*5 KF−96−100CS (信越化学工業社製)
*6 ビニゾール2140L(固形分43%) (大同化成工業社製)
*7 セオラスPH F20JP (旭化成ケミカルズ社製)
【0041】
(製造方法)易崩壊性造粒組成物1〜13
A.成分(1)〜(12)を均一に混合する。
B.成分(13)〜(14)をAに加えて均一に分散する。
C.成分(15)〜(17)を精製水40質量部に分散する。
D.BにCを加えスーパーミキサーで造粒後、スピードミル(スクリーン径2mm)にて粉砕処理する。
E.Dを50℃で8時間の乾燥し、易崩壊性造粒組成物を得た。
尚、易崩壊性造粒組成物6に関してはスクリーン径0.8mm、易崩壊性造粒組成物7に関してはスクリーン径30mm、易崩壊性造粒組成物12に関してはスクリーン径0.5mmを使用した。
【0042】
実施例1〜7及び比較例1〜5:アイシャドウ
表1及び2に示す易崩壊性造粒組成物を組み合わせて表3及び表4に示すアイシャドウを調製し、ロ.境界の明瞭性、ハ.軽い伸び広がり、二.つけ色の均一性について下記の評価方法にて評価し判定した。その結果も併せて表3及び表4に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
(製造方法)
A.成分(1)〜(13)を均一に混合し、金皿に充填する。
B.Aを圧縮成型し、アイシャドウを得た。
【0046】
<評価方法>
イ.保形性
易崩壊性造粒組成物1〜13をそれぞれ3gを遠沈管に入れ、振盪機(ヤヨイ社製 YS−8D)でストローク幅80mm、1分間に180往復、10分間振盪させた各試料を300μmメッシュにかけ、通過せず残った試料の重さを量り、残存率を算出し、以下の判断基準に従って保形性を判定した。尚、残存率は300μmメッシュを通過せずに残ったものの重さを分子とし、仕込み量を分母として算出した。
(判定基準)
(判定):(残存率)
◎ :70%以上
〇 :50%以上70%未満
△ :30%以上50%未満
× :30%未満
【0047】
ロ.境界の明瞭性
実施例1〜7及び比較例1〜5ついて、易崩壊性造粒組成物同士が混色せず、圧縮成型した固形粉末化粧料の各色の境界がはっきりと見えるかどうかについて目視で評価し、以下の判定基準に従って境界の明瞭性を判定した。
(判定基準)
(判定)
◎ :境界が明瞭である
○ :混色は見られるが、境界が明瞭である
× :混色して各色の中間色になってしまい、境界が不明瞭である
【0048】
ハ.軽い伸び広がり
二.つけ色の均一性
化粧品評価専門パネル20名に、実施例1〜7及び比較例1〜5を使用してもらい、ハについては、塗付する際に肌上でざらつきを感じずに伸び広がるかどうか、ニについては肌上に塗布した際につけ色に色ムラがなく、化粧膜として色の均一性があるかを各自が以下の評価基準に従って4段階評価し評点を付し、全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
(評価基準)
(評点):(評価)
4 :非常に良い
3 :良い
2 :悪い
1 :非常に悪い
(判定基準)
(判定):(評点の平均点)
◎ :3点以上
○ :2.5点以上3点未満
△ :1.5点以上2.5点未満
× :1.5点未満
【0049】
表1及び2の結果から明らかなように、易崩壊性造粒組成物1〜8は、保形性において優れたものであった。これに対して、成分(A)を含有しない易崩壊性造粒組成物9は、成型することはできるものの、外的刺激に弱く、保形性に劣るものであった。また、キサンタンガムや結晶セルロースを用いた易崩壊性造粒組成物10および11では、成形効果が弱く保形性に満足できないものであった。また、平均粒子径の小さい易崩壊性造粒組成物12では成型できるものの、保形性に満足のいくものではなかった。さらに、成分(A)の含有量が少ない易崩壊性造粒組成物13は成形効果が弱く保形性に満足できないものであった。
【0050】
表3及び表4の結果から明らかなように、実施例1〜7のアイシャドウは、境界の明瞭性、軽い伸び広がり、つけ色の均一性の全ての項目において、比較例より優れたものであった。一方、比較例1〜5は、混合時に混色してしまい、境界の明瞭性に劣り外観の審美性に欠けるものであった。また、つけ色の均一性についても比較例1、2は満足のいくものではなかった。比較例5は、成分(A)の含有量が少なく、均一な易崩壊性組成物ができず、塗布時に色ムラがあり、化粧膜の均一性に劣るものであった。
【0051】
実施例8 アイブロウ
(成分) (%)
1.マイカ(平均粒子径10μm) 30
2.タルク(平均粒子径20μm) 残量
3.合成金雲母 5
4.窒化ホウ素*8 5
5.酸化亜鉛(平均粒子径1μm) 2
6.メタクリル酸メチルクロスポリマー*9 2
7.酸化チタン(平均粒子径0.25μm) 1.7
8.シリカ*10 1
9.黒色酸化鉄 10
10.赤色酸化鉄 2
11.ポリエチレン末*11 3
12.(PET/Al)ラミネート 2
13.ジメチルポリシロキサン*12 7.6
14.リンゴ酸ジイソステアリル 3
15.水添ポリイソブテン*13 1
16.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 1
17.アクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体エマルジョン*6 0.5
18.易崩壊性造粒組成物1 10
*8 CCS102−JA BORON NITRIDE POWDER(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製)
*9 MR−7GC(綜研化学社製)
*10 サンスフェア NP−100(AGCエスアイテック社製)
*11 ミペロンPM−200(三井化学社製)
*12 KF−96−10CS(信越化学工業社製)
*13 パールリーム18(日油社製)
【0052】
(製造方法)
A.成分(1)〜(12)を均一に混合する。
B.成分(13)〜(16)を60℃で均一に溶解し、Aに加え均一に混合する。
C.成分(17)を精製水40質量部に均一に混合分散し、Bに加え均一に混合分散する。
D.Cをスーパーミキサーで造粒後、スピードミル(スクリーン径1mm)にて粉砕処理する。
E.Dを50℃で8時間の乾燥して平均粒子径1mmの易崩壊性造粒組成物を得た。
F.Eおよび成分(18)を均一に混合し、金皿に充填する。
G.Fを圧縮成型し、アイブロウを得た。
【0053】
得られたアイブロウは、境界の明瞭性、軽い伸び広がり、つけ色の均一性の全ての項目において、優れたものであった。
【0054】
実施例9 頬紅
(成分) (%)
1.6%ラウリン酸亜鉛処理タルク(平均粒子径10μm) 15
2.タルク(平均粒子径10μm) 残量
3.合成金雲母 10
4.窒化ホウ素*8 3
5.マイカ 10
6.酸化亜鉛(平均粒子径0.3μm) 2
7.酸化チタン(平均粒子径0.27μm) 1.7
8.シリカ*14 1
9.赤色226号 2
10.黄色酸化鉄 2
11.エチルヘキサン酸セチル 3
12.ジメチルポリシロキサン*12 2
13.ミネラルオイル 3
14.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン*15 2
15.ポリパーフルオロメチルイソプロピルエーテル 2
16.易崩壊性造粒組成物1 10
17.易崩壊性造粒組成物8 10
*14 シリカマイクロビード P−1505(日揮触媒化成社製)
*15 シリコンKF−56(信越化学工業社製)
【0055】
(製造方法)
A.成分(1)〜(10)を均一に混合する。
B.成分(11)〜(15)をAに加え均一に混合する。
C.Bをヘンシェルミキサーにて粉砕した後、成分(16)〜(17)を加え均一に混合する。
D.Cを圧縮成形し、頬紅を得た。
【0056】
得られた頬紅は、境界の明瞭性、軽い伸び広がり、つけ色の均一性の全ての項目において優れたものであった。
【0057】
実施例10 ボディパウダー
(成分) (%)
1.マイカ(平均粒子径10μm) 残量
2.タルク (平均粒子径10μm) 20
3.ラウロイルリシン 9
4.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー*16 9
5.球状ナイロン*17 4
6.メタクリル酸メチルクロスポリマー*9 3.5
7.合成金雲母 2
8.酸化チタン(平均粒子径0.15μm) 2
9.酸化亜鉛(平均粒子径3μm) 3.5
10.黒色酸化鉄 0.1
11.黄色酸化鉄 0.1
12.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 2
13.ジメチルポリシロキサン*12 0.2
14.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.3
15.スクワラン 0.3
16.アクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体エマルジョン*6 1.5
17.易崩壊性造粒組成物4 25
*16 KSP―101(信越化学工業社製)
*17 オルガソール2002D(アトフィナ社製)
【0058】
(製造方法)
A.成分(1)〜(11)を均一に混合する。
B.Aに成分(12)〜(15)を加えて均一に分散する。
C.成分(16)を精製水20質量部に分散する。
D.BにCを加えスーパーミキサーで造粒する。
E.Dを50℃で8時間の乾燥し、分級機にかけて平均粒子径30mmの易崩壊性造粒組成物を得た。
F.Eに成分(17)を加え均一に混合し、圧縮成形した。
【0059】
得られたボディパウダーは、境界の明瞭性、軽い伸び広がり、つけ色の均一性の全ての項目において優れたものであった。
【0060】
実施例11 白粉
(成分) (%)
1.アモジメチコン(2%)処理マイカ(平均粒子径10μm) 残量
2.タルク (平均粒子径10μm) 20
3.ラウロイルリシン 9
4.ポリメチルシルセスキオキサン 9
5.球状ナイロン*17 4
6.メタクリル酸メチルクロスポリマー 3.5
7.合成金雲母 2
8.酸化チタン(平均粒子径0.25μm) 1.5
9.酸化亜鉛(平均粒子径0.3μm) 3.5
10.カーボンブラック 0.01
11.黄色酸化鉄 0.2
12.赤色酸化鉄 0.1
13.リンゴ酸ジイソステアリル 2
14.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 4
15.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 1
16.セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.3
17.アクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体エマルジョン*6 1.5
18.易崩壊性造粒組成物2 25
【0061】
(製造方法)
A.成分(1)〜(12)を均一に混合する。
B.Aに成分(13)〜(16)を加えて均一に分散する。
C.成分(17)を精製水20質量部に分散する。
D.BにCを加えスーパーミキサーで造粒する。
E.Dを50℃で8時間の乾燥し、分級機にかけて平均粒子径30mmの易崩壊性造粒組成物を得た。
F.Eに成分(18)を加え均一に混合し、圧縮成形した。
【0062】
得られた白粉は、境界の明瞭性、軽い伸び広がり、つけ色の均一性の全ての項目において優れたものであった。