特許第6980474号(P6980474)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980474
(24)【登録日】2021年11月19日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】水性クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/39 20060101AFI20211202BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20211202BHJP
   C11D 1/74 20060101ALI20211202BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20211202BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20211202BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   A61K8/39
   A61Q19/10
   A61K8/86
   A61K8/34
   A61K8/37
   C11D1/74
   C11D1/72
   C11D3/20
   C11D1/68
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-183748(P2017-183748)
(22)【出願日】2017年9月25日
(65)【公開番号】特開2019-59679(P2019-59679A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年7月6日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 A.平成29年5月2日 コーセーコスメポート株式会社に試供サンプルを配布 B.平成29年8月21日 コーセーコスメポート株式会社に商品を販売
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【弁理士】
【氏名又は名称】神 紘一郎
(72)【発明者】
【氏名】塚本 大介
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕政
【審査官】 山中 隆幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−044180(JP,A)
【文献】 特開2012−214406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
C11D 1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(E);
(A)シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール
(B)エチレンオキシドの平均付加モル数が5〜15であるイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル
(C)エチレンオキシドの平均付加モル数が20〜100である非イオン性界面活性剤
(D)1価または2価の低級アルコール
(E)水
を含有し、
成分(A)の配合量が、0.1〜10質量%であり、
成分(B)と成分(C)の合計含有量が、化粧料全体の1質量%以下であり、
成分(C)に対する成分(B)の質量比が1〜9である
水性クレンジング化粧料。
【請求項2】
各成分の配合量が、成分(B)0.5〜0.9質量%、成分(C)0.1〜0.5質量%、成分(D)10〜30質量%、である請求項1記載の水性クレンジング化粧料。
【請求項3】
成分(C)がポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトステリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテルである請求項1又は2に記載の水性クレンジング化粧料。
【請求項4】
成分(C)がモノオレイン酸ポリオキシソルビタン(20E.O.)である請求項1〜のいずれか一項に記載の水性クレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイク汚れを除去するための水性クレンジング化粧料に関し、更に詳細には、メイク除去能に優れ、後肌のべたつきやがなく、保存安定性にも優れた水性クレンジング化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤と水性媒体を主成分とする水性クレンジング化粧料は、みずみずしい使用感であり、また、コットン等に含ませて拭き取るだけで手軽にメイク汚れを落とすことができるため、その手軽さへの嗜好の高まりとともに、数多くの商品が市場で受け入れられている。
【0003】
一方で水性クレンジング化粧料は、クレンジングオイルやクレンジングクリーム等の、界面活性剤と油剤により、メイク汚れを落とすタイプのクレンジング化粧料と比較すると、メイク除去能は劣るものであった。そこで近年、水性クレンジング化粧料において、メイク除去能を向上させるため、種々の界面活性剤を組み合わせる検討がなされている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−037782号公報
【特許文献2】特開2014−201561号公報
【特許文献3】特開2012−214406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの技術は、界面活性剤を高濃度で含有するため、界面活性剤によるべたつきを伴ったり、また、高温保存下において界面活性剤の水への溶解性が低下して分離等することにより、クレンジング化粧料としての品質低下を招くことがあった。このため、メイク除去能に優れながらも、後肌のべたつきがなく、かつ保存安定性にも優れた水性クレンジング化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情において、本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の両親媒性化合物と、特定の非イオン性界面活性剤を組み合わせることで、界面活性剤を多量に配合することなく、十分なメイク除去能を実現し、上記課題を解決する水性クレンジング化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(E);
(A)シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール
(B)エチレンオキシドの平均付加モル数が5〜15であるイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル
(C)エチレンオキシドの平均付加モル数が20〜100である非イオン性界面活性剤
(D)1価または2価の低級アルコール
(E)水
を含有し、成分(A)の配合量が、0.1〜10質量%であり、成分(B)と成分(C)の合計含有量が、化粧料全体の1質量%以下であり、成分(C)に対する成分(B)の質量比が1〜9である水性クレンジング化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水性クレンジング化粧料は、後肌のべたつきがなく、みずみずしい使用感でありながら、メイク除去能に優れ、かつ高温で保存しても安定性に優れたものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明の水性クレンジング化粧料の「水性」とは、水やアルコール類等の水性媒体中に、メイク除去能を具現化するのに必要な各種成分を溶解あるいは分散させた形態であり、審美的透明性の観点で、均一に溶解あるいは可溶化させた形態の化粧料が好ましい。
【0010】
本発明に用いられる成分(A)は、シクロヘキサンジカルボン酸と下記一般式(1)で表されるポリオキシエチレンモノアルキルエーテルとのジエステルであり、親水性および親油性の両方の機能を持つ両親媒性化合物である。
R−(OCHCH−OH (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖若しくは環状の炭化水素基であり、nは2〜11の整数を表す)
【0011】
上記のジエステルを構成するシクロヘキサンジカルボン酸としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられるが、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を使用することが、感触面においてより好ましい。更に、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸には、トランス体、シス体、及びこれらの混合物が市販されているが、本発明のジエステルを構成するカルボン酸としてはこれらの何れもが使用できる。
【0012】
また、ジエステルを構成するポリオキシエチレンモノアルキルエーテルとしては、ジエステルの両親媒性や使用感の点で、アルキル基が炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖若しくは環状の炭化水素基であり、オキシエチレン基の重合度が2〜11の整数である。アルキル基を例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられるが、経済性等から、エチル基が好ましい。また、オキシエチレン基の重合度は2又は3が好ましく、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどを例示することができる。
【0013】
本発明において成分(A)は、他成分と相互作用することにより、メイク除去能と保存安定性に寄与するという観点で、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とジエチレングリコールモノエチルエーテルとのジエステルが好ましい。また成分(A)は、市販品を用いることができ、INCI名(International Nomenclature Cosmetic Ingredient labeling names)がシクロヘキサン―1,4―ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールである、NEOSOLUE−AQULIO(日本精化社製)などを例示することができる。
【0014】
本発明における成分(A)の含有量は、特に限定されないが、0.1〜10質量%(以下、単に%と略す)が好ましく、また1〜5%がより好ましい。成分(A)の含有量がこの範囲であると、よりメイク除去能に優れ、感触も良好である点で好ましい。
【0015】
本発明に用いられる成分(B)は、イソステアリン酸とポリオキシエチレングリセリンからなるモノエステルであり、水への溶解性およびメイク除去能の観点から、エチレンオキシドの平均付加モル数が5〜15のイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルである。
【0016】
具体的な成分(B)としては、例えば、エチレンオキシドの平均付加モル数が5であるイソステアリン酸PEG−5グリセリル、エチレンオキシドの平均付加モル数が8であるイソステアリン酸PEG−8グリセリル、エチレンオキシドの平均付加モル数が10であるイソステアリン酸PEG−10グリセリル、エチレンオキシドの平均付加モル数が15であるイソステアリン酸PEG−15グリセリル等が挙げられ、これらを一種又は二種以上、用いることができる。これらの中でも、メイク除去能、並びに水への溶解性をさらに高める観点から、エチレンオキシドの平均付加モル数が8であるイソステアリン酸PEG−8グリセリルを用いることが好ましい。
【0017】
成分(B)は、市販品を用いることができ、例えばイソステアリン酸PEG−5グリセリルである、ユニオックスGM−5IS(日油社製)、EMALEX GWIS−105EX(日本エマルジョン社製)、イソステアリン酸PEG−8グリセリルである、ユニオックスGM−8IS(日油社製)、EMALEX GWIS−108(日本エマルジョン社製)、Mファインオイル ISG−8M(ミヨシ油脂社製)、イソステアリン酸PEG−10グリセリルである、ユニオックスGM−101S(日油社製)、EMALEX GWIS−110EX(日本エマルジョン社製)、イソステアリン酸PEG−15グリセリルである、ユニオックスGM−15IS(日油社製)、EMALEX GWIS−115EX(日本エマルジョン社製)、などを例示することができる。
【0018】
本発明における成分(B)の含有量は、特に限定されないが、0.5〜0.9%が好ましく、より好ましくは0.6〜0.8%である。この範囲であれば、よりメイク除去能に優れ、保存安定性も良好なものとなる。
【0019】
本発明に用いられる成分(C)は、ポリオキシエチレン基を有する非イオン性界面活性剤であり、成分(B)との相溶性及び保存安定性の観点から、エチレンオキシドの平均付加モル数が20〜100の非イオン界面活性剤である。成分(C)の非イオン界面活性剤としては、通常化粧料に使用できるものであればよく、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。これらの中でもメイク落ちの観点で、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトステリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが好ましい。
【0020】
具体的な成分(C)としては、例えば、エチレンオキシドの平均付加モル数が20であるモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル(20E.O.)、エチレンオキシドの平均付加モル数が30であるポリオキシエチレンフィトステリルエーテル(30E.O.)、エチレンオキシドの平均付加モル数が60であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)等が挙げられ、これらを一種又は二種以上、用いることができる。これらの中でも、後肌のべたつきのなさの観点から、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)を用いることが好ましい。
【0021】
成分(C)としては、市販品を用いることができ、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)である、レオドール TW−O120V(花王社製)、ノニオン OT−221(日油社製)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)である、レオドール TW−S120V(花王社製)、ノニオン ST−221(日油社製)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル(20E.O.)である、NIKKOL PEN−4620(日光ケミカルズ社製)、ユニルーブMT−0620B(日油社製)、ポリオキシエチレンフィトステリルエーテル(30E.O.)である、EMALEX PS−30(日本エマルジョン社製)、NIKKOL BPS−30(日光ケミカルズ社製)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)である、EMALEX HC−60(日本エマルジョン社製)、NIKKOL HCO−60(日光ケミカルズ社製)などを例示することができる。
【0022】
本発明における成分(C)の含有量は、特に限定されないが、0.1〜0.9%が好ましく、より好ましくは0.1〜0.5%である。この範囲であれば、より保存安定性に優れたものとなる。
【0023】
但し、本発明において、成分(B)と成分(C)の合計含有量は、化粧料全体の1%以下である。1%以上では後肌のべたつきを生じる。また、成分(C)に対する成分(B)の質量比は1〜9であり、1未満であると十分な汚れ落ちが得られず、9を超えると化粧料の安定性が悪化する。
【0024】
本発明に用いられる成分(D)は、分子内に1個または2個の水酸基を有する、炭素数が2〜6のアルコールである。1価アルコールの具体例としては、エタノール、イソプロヒ&#12442;ルアルコールが挙げられる。また、2価アルコールの具体例としては、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、などが挙げられ、これらを一種又は二種以上、用いることができる。これらの中でも、外観の透明度と、保存安定性を良好にする観点から、1価アルコールとしてはエタノールが好ましく、2価アルコールとしてはジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールが好ましい。
【0025】
本発明における成分(D)の含有量は、特に限定されないが、10〜30%であり、より好ましくは15〜25%である。この範囲であれば、化粧料の外観がより透明で、より保存安定性に優れたものとなる。
【0026】
また、本発明において、成分(A)と成分(D)とを特定の比率で含有することで、より保存安定性の優れる水性クレンジング化粧料を得ることができ、成分(A)に対する成分(D)の質量比は5以上が好ましく、10〜30がより好ましい。
【0027】
本発明に用いられる成分(E)としては、通常化粧料に用いられる水であれば特に限定されず、常水、精製水、温泉水、深層水や、ラベンダー水、ローズ水、オレンジフラワー水なと&#12441;の植物由来の水蒸気蒸留水などが挙げられ、一種又は二種以上を用いることができる。本発明における成分(E)の含有量は、70%以上が好ましい。この範囲であれば、成分(A)〜(D)を十分に溶解し、保存安定性も良好なものとなる。
【0028】
本発明の水性クレンジング化粧料には、上記の必須成分のほかに、通常化粧料に使用する成分、すなわち成分(B)、(C)以外の界面活性剤、油性成分、保湿剤等の水性成分、酸化防止剤、pH調整剤、美容成分、防腐剤、染料、清涼剤、色素、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で適宜含有することができる。
【0029】
また、本発明の水性クレンジング化粧料は、特に乾燥感のなさを訴求する目的においては、pHが4.5〜8.0が好ましく、5.0〜6.5がより好ましい。
【0030】
本発明の水性クレンジング化粧料の製造方法としては、特に限定されず、通常の溶解あるいは可溶化等の工程で、得ることが出来る。
【0031】
本発明の水性クレンジング化粧料は、その用途目的、使用する環境等に応じ、水性液状、水性ジェル状、水性ミスト状、あるいはそれらを不織布等に含浸させたシート状、または噴射剤を組み合わせたエアゾールスプレー、エアゾールフォーム等の、いずれの剤型にも適用することが可能である。容器形態も同様であり、ボトル、ディスヘ&#12442;ンサー付ボトル、ジャー、チューブ、アトマイザー、エアゾール缶、シート類を充填した袋、箱等、特に制限されず、様々な容器に適用することができる。
【0032】
本発明の水性クレンジング化粧料の使用方法としては、水性クレンジング化粧料を、手指で塗布したり噴霧したりしてメイク汚れになじませ、その後コットンやティッシュ等で拭き取ったり、洗い流すという手順で使用する方法や、コットンや不織布などに水性クレンジング化粧料を含浸させて使用する方法などが挙げられるが、容器や小道具、担体の仕様は特に限定されない。
【実施例】
【0033】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0034】
実施例1〜13及び比較例1〜11:クレンジングローション
下記表1に示すクレンジングローションを下記の製造方法により調製し、メイク落ち、後肌のべたつきのなさ、保存安定性について、下記の評価方法により評価した。その結果も併せて表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
(製造方法)
(1)成分1〜18を均一に混合溶解する。
(2)成分19〜21を均一に混合溶解する。
(3)(1)と(2)を均一に混合する。
(4)容器に充填して、クレンジングローションを得た。
【0037】
(評価方法1:メイク落ち、後肌のべたつきのなさ)
化粧品評価専門パネル10名に、下記に示す処方の口紅を塗布してもらい、調製したクレンジングローション2.0gを含浸させたコットンを用いて、拭き取り試験を行い、メイク落ち、後肌のべたつきのなさ、について、下記に示す評価基準に従って5段階に評価し、更に全パネルの評点の平均点を、下記の判定基準に従って判定した。
<評価に用いた口紅>
(成分) (%)
ポリエチレン 10
マイクロクリスタリンワックス 5
トリエチルヘキサノイン 30
リンゴ酸ジイソステアリル 37
水添ポリイソブテン 10
マイカ 3
酸化チタン 3
酸化鉄 2
【0038】
<評価基準>
[評価結果] :[評 点]
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
<判定基準>
[評点の平均点] :[判 定]
4.5以上 : ◎
3.5以上、4.5未満 : ○
1.5以上、3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0039】
(評価方法2:保存安定性)
調整したクレンジングローションを樹脂製透明ボトルに充填して密閉し、50℃に設定した恒温槽に入れ1週間静置した後、室温に戻し、外観を目視で確認し、下記の判定基準に従って判定した。
<評価基準>
[判 定]:[評価結果]
◎ : 層分離がなく、白濁が全く見られない
○ : 層分離がなく、わずかに白濁が認められる
△ : 層分離がなく、白濁している
× : 層分離する
【0040】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜13のクレンジングローションは、メイク落ち、後肌のべたつきのなさ、しっとり感、及び製剤安定性(高温)の全てにおいて優れたものであった。
これに対して、成分(A)の代わりに、両親媒性化合物として、PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン、PPG−9ジグリセリン、を用いた比較例1、2は、メイク落ち及び後肌のべたつきの項目において、満足のいくものが得られなかった。
成分(B)を含有しない比較例3、4は、メイク落ちおよび保存安定性の項目において、満足のいくものが得られなかった。
成分(B)と成分(C)の合計含有量が1%を超える比較例5は、後肌のべたつきにおいて、満足のいくものが得られなかった。また、成分(C)に対する成分(B)の質量比が1以下、または9以上である比較例6、7は、メイク落ち、製剤安定性(高温)のいずれかの項目において、満足のいくものが得られなかった。
成分(C)の代わりにセスキオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンフィトステリルエーテル(5E.O.)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(10E.O.)、もしくはPEG−7(カプリル/カプリン酸)ジグリセリルを用いた比較例8、9、10、11は後肌のべたつき、製剤安定性(高温)のいずれかの項目において、満足のいくものが得られなかった。
【0041】
実施例14:水性クレンジング化粧料
(成分) (%)
1.シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 2
2.イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(8E.O.) 0.6
3.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.2
4.モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.2
5.ジプロピレングリコール 5
6.1,3−ブチレングリコール 15
7.リン酸二水素ナトリウム 0.02
8.リン酸一水素ナトリウム 0.07
9.クエン酸 0.01
10.エデト酸二ナトリウム 0.03
11.フェノキシエタノール 0.15
12.パラオキシ安息香酸エステル 0.15
13.ポリアクリル酸ホスホリルコリングリコール(注1) 0.1
14.ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
15.精製水 残量
(注1)LIPIDURE−HM−600(日油)
【0042】
(製造方法)
(1)成分1〜6を均一に溶解する。
(2)成分7〜15を均一に溶解する。
(3)(1)に(2)を加え、均一に混合する。
(4)容器に充填して、水性クレンジング化粧料を得た。
(結果)
実施例14の水性クレンジング化粧料は、メイク落ち、後肌のべたつきのなさ、しっとり感、及び製剤安定性(高温)の全てにおいて優れたものであった。
【0043】
実施例15:水性クレンンジング化粧料(ゲル状)
(成分) (%)
1.シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 1
2.コハク酸ジエトキシエチレン 0.5
3.イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(8E.O.) 0.8
4.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.1
5.ポリオキシエチレンフィトステリルエーテル(30E.O.) 0.1
6.(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー 0.3
7.カルボキシビニルポリマー 0.1
8.水酸化ナトリウム 0.12
9.エタノール 5
10.ジプロピレングリコール 15
11.フェノキシエタノール 0.15
12.パラオキシ安息香酸エステル 0.15
13.サボンソウ葉エキス 0.1
14.精製水 残量
【0044】
(製造方法)
(1)成分1〜5を均一に溶解する。
(2)成分6〜8を均一に混合し、中和する。
(3)成分9〜14を均一に混合する。
(4)(1)に(2)及び(3)を加え、均一に混合する。
(5)容器に充填して、水性クレンジング化粧料(ゲル状)を得た。
(結果)
実施例15の水性クレンジング化粧料(ゲル状)は、メイク落ち、後肌のべたつきのなさ、しっとり感、及び製剤安定性(高温)の全てにおいて優れたものであった。
【0045】
実施例16:水性クレンジング化粧料(含浸シート状)
(成分) (%)
1.シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 1
2.イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(10E.O.) 0.7
3.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.1
4.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.1
5.エタノール 5
6.ジプロピレングリコール 10
7.グリセリン 5
8.香料 0.05
9.アスタキサンチン 0.01
10.セラミド2 0.01
11.クエン酸 0.02
12.クエン酸ナトリウム 0.08
13.エデト酸二ナトリウム 0.03
14.フェノキシエタノール 0.15
15.カプリル酸グリセリル 0.05
16.ポリアクリル酸ホスホリルコリングリコール(注1) 0.1
17.精製水 残量
【0046】
(製造方法)
(1)成分1〜10を均一に溶解する。
(2)成分11〜17を均一に溶解する。
(3)(1)に(2)を加え、均一に溶解する。
(4)(3)を不織布に含浸させ、容器に充填して水性クレンジング化粧料(含浸シート状)を得た。
(結果)
実施例16の水性クレンジング化粧料(含浸シート)は、メイク落ち、後肌のべたつきのなさ、しっとり感、及び製剤安定性(高温)の全てにおいて優れたものであった。