(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記情報処理方法は、前記車両の前記自動運転の仕様を示す自動運転仕様情報を前記車両に搭載される装置を含む外部装置又は前記コンピュータの記憶部から取得することをさらに含み、
前記自動運転情報の生成では、前記自動運転仕様情報の示す自動運転の仕様に応じた前記自動運転による車両制御を示す自動運転情報を生成する、
請求項1に記載の情報処理方法。
前記自動運転可否情報の生成では、前記手動運転情報の示す車両制御に基づく前記車両の状態と、前記自動運転情報の示す車両制御に基づく前記車両の状態との差異に基づいて前記自動運転可否情報を生成する
請求項6に記載の情報処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータを用いて、車両の走行区間における手動運転による車両制御を示す手動運転情報を前記車両に搭載される装置から取得し、前記走行区間における前記車両についてのセンシングにより得られるセンサ情報を前記車両に搭載される装置から取得し、前記センサ情報に基づいて前記走行区間における自動運転による車両制御を示す自動運転情報を生成し、前記手動運転情報および前記自動運転情報に基づいて前記走行区間における自動運転の可否を示す自動運転可否情報を生成する。
【0010】
これによれば、当該情報処理方法は、手動運転による車両制御と、センシングにより得られたセンサ情報を用いて生成された自動運転による車両制御とに基づき、自動運転の可否を判定する。これにより、当該情報処理方法は、自動運転の可否をより正確に判定できる。
【0011】
例えば、前記自動運転情報の生成では、自動運転の仕様に応じた前記自動運転による車両制御を示す自動運転情報を生成してもよい。
【0012】
これによれば、当該情報処理方法は、自動運転仕様に応じて自動運転の可否を判定できる。
【0013】
例えば、前記情報処理方法は、前記車両の前記自動運転の仕様を示す自動運転仕様情報を前記車両に搭載される装置を含む外部装置又は前記コンピュータの記憶部から取得することをさらに含み、前記自動運転情報の生成では、前記自動運転仕様情報の示す自動運転の仕様に応じた前記自動運転による車両制御を示す自動運転情報を生成してもよい。
【0014】
例えば、前記自動運転情報の生成では、複数の前記自動運転の仕様の各々についての前記自動運転による車両制御それぞれを示す複数の自動運転情報を生成し、前記自動運転可否情報の生成では、前記手動運転情報および前記複数の前記自動運転情報に基づいて、前記複数の前記自動運転の仕様の各々についての複数の前記自動運転可否情報をそれぞれ生成してもよい。
【0015】
これによれば、当該情報処理方法は、複数の自動運転仕様に対して自動運転の可否を判定できる。
【0016】
例えば、前記自動運転の仕様は、自動運転のアルゴリズムを含んでもよい。
【0017】
これによれば、当該情報処理方法は、自動運転のアルゴリズムに応じて自動運転の可否を判定できる。
【0018】
例えば、前記自動運転の仕様は、自動運転の処理レートを含んでもよい。
【0019】
これによれば、当該情報処理方法は、自動運転の処理レートに応じて自動運転の可否を判定できる。
【0020】
例えば、前記自動運転の仕様は、自動運転に用いられるセンサの種類を含んでもよい。
【0021】
これによれば、当該情報処理方法は、使用するセンサの種類に応じて自動運転の可否を判定できる。
【0022】
例えば、前記自動運転の仕様は、自動運転のレベルまたは内容を含んでもよい。
【0023】
これによれば、当該情報処理方法は、自動運転のレベル又は内容に応じて自動運転の可否を判定できる。
【0024】
例えば、前記情報処理方法は、前記車両の演算性能を示す演算性能情報を前記車両に搭載される装置を含む外部装置又は前記コンピュータの記憶部から取得することをさらに含み、前記自動運転可否情報の生成では、前記演算性能情報が示す演算性能に基づく、前記自動運転の仕様における自動運転を前記車両で実行可能かどうかの判定結果、ならびに前記手動運転情報および前記自動運転情報に基づいて前記自動運転可否情報を生成してもよい。
【0025】
これによれば、当該情報処理方法は、その車両において各自動運転仕様の自動運転を実行可能かを判定できる。
【0026】
例えば、前記自動運転可否情報の生成では、前記手動運転情報と前記自動運転情報との比較結果に基づいて前記自動運転可否情報を生成してもよい。
【0027】
これによれば、当該情報処理方法は、手動運転情報と自動運転情報との比較結果に基づいて自動運転の可否を判定できる。
【0028】
例えば、前記手動運転情報および前記自動運転情報は、車両制御の程度を示す情報を含み、前記自動運転可否情報の生成では、前記手動運転情報の示す車両制御の程度と前記自動運転情報の示す車両制御の程度との相関に基づいて前記自動運転可否情報を生成してもよい。
【0029】
これによれば、当該情報処理方法は、手動運転情報と自動運転情報との相関に基づいて自動運転の可否を判定できる。
【0030】
例えば、前記自動運転可否情報の生成では、前記手動運転情報の示す車両制御に基づく前記車両の状態と、前記自動運転情報の示す車両制御に基づく前記車両の状態との差異に基づいて前記自動運転可否情報を生成してもよい。
【0031】
これによれば、当該情報処理方法は、手動運転情報と自動運転情報とに基づく車両制御の程度に基づいて自動運転の可否を判定できる。
【0032】
例えば、前記車両の状態は、前記車両の位置および姿勢の少なくとも一方を含んでもよい。
【0033】
これによれば、当該情報処理方法は、手動運転情報と自動運転情報とに基づく車両の位置又は姿勢に基づいて自動運転の可否を判定できる。
【0034】
例えば、前記情報処理方法は、さらに、前記手動運転情報とは別の少なくとも1つの前記手動運転情報を前記車両とは別の少なくとも1つの車両に搭載される装置から取得することと、前記手動運転情報と前記別の少なくとも1つの前記手動運転情報とに基づいて前記車両の前記手動運転情報が妥当かを判定することを含み、前記自動運転可否情報の生成では、前記手動運転が妥当と判定された場合に、前記自動運転可否情報を生成してもよい。
【0035】
これによれば、当該情報処理方法は、適切でない手動運転の情報を除外できるので、適正でない手動運転の情報に基づき誤った判定が行われることを抑制できる。
【0036】
また、本開示の一態様に係る情報処理装置は、車両の走行区間における手動運転による車両制御を示す手動運転情報を前記車両に搭載される装置から取得する手動運転情報取得部と、前記走行区間における前記車両についてのセンシングにより得られるセンサ情報を前記車両に搭載される装置から取得するセンサ情報取得部と、前記センサ情報に基づいて前記走行区間における自動運転による車両制御を示す自動運転情報を生成する車両制御推定部と、前記手動運転情報および前記自動運転情報に基づいて前記走行区間における自動運転の可否を示す自動運転可否情報を生成する自動運転可否判定部と、を備える。
【0037】
これによれば、当該情報処理装置は、手動運転による車両制御と、センシングにより得られたセンサ情報を用いて生成された自動運転による車両制御とに基づき、自動運転の可否を判定する。これにより、当該情報処理装置は、自動運転の可否をより正確に判定できる。
【0038】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0039】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0040】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る情報処理方法及び情報処理装置は、手動運転による車両制御と、センシングにより得られたセンサ情報を用いて推定された自動運転による車両制御とに基づき、自動運転の可否を判定する。これにより、当該情報処理方法及び情報処理装置は、自動運転の可否をより正確に判定できる。
【0041】
まず、本実施の形態に係る情報処理装置の構成を説明する。
図1は、本実施の形態に係る情報処理装置100の構成を示すブロック図である。なお、
図1に示す情報処理装置100は、車両内に設けられてもよいし、車両と通信可能なサーバ内等に設けられてもよい。また、情報処理装置100は、車両内又はサーバ内の単一の装置として実現される必要はなく、情報処理装置100による処理が、複数の装置により分散処理されてもよい。例えば、情報処理装置100の一部の機能が車両内に設けられ、他の機能がサーバ内に設けられてもよい。
【0042】
情報処理装置100は、車両の手動運転による車両制御を示す手動運転情報111と、センシングにより得られるセンサ情報112から推定される自動運転による車両制御を示す自動運転情報113とを用いて自動運転の可否を判定する。この情報処理装置100は、手動運転情報取得部101と、センサ情報取得部102と、車両制御推定部103と、自動運転可否判定部104と、出力部105とを備える。
【0043】
手動運転情報取得部101は、車両の手動運転による車両制御を示す手動運転情報111を、例えば、車両から取得する。ここで車両制御とは、運転手による車両の操作(ハンドルの操舵、アクセルペダルの操作、ブレーキペダルの操作、又はウィンカー操作等)であってもよいし、この操作に基づく車両アクチュエータの制御(タイヤの舵角、又はアクセル開度、ブレーキ圧等の制御)であってもよい。
【0044】
センサ情報取得部102は、車両についてのセンシングにより得られるセンサ情報112を取得する。具体的には、センサ情報112は、車両に搭載されている各種センサにより得られた情報であり、例えば、(1)カメラで得られた画像(例えば、静止画又は動画)、(2)Lidar(Laser Imaging Detection and Ranging)で得られた点群データ、(3)GPS(Global Positioning System)等のGNSS(Global Navigation Satellite System)で得られた位置情報(例えば、緯度及び経度)、(4)自車移動量推定の際に得られた情報(例えば、タイヤ回転角、移動速度、位置又は姿勢)、(5)加速度センサで得られた加速度、(6)ミリ波レーダで得られた距離画像、(7)TOF(Time Of Flight)センサで得られた距離画像、及び(8)超音波センサで得られた障害物までの距離等を含む。
【0045】
車両制御推定部103は、センサ情報112を用いて、自動運転のシミュレーションを行うことで、車両の自動運転による車両制御を推定する。そして、車両制御推定部103は、推定された自動運転による車両制御を示す自動運転情報113を生成する。
【0046】
自動運転可否判定部104は、手動運転情報111及び自動運転情報113に基づいて自動運転の可否を示す自動運転可否情報114を生成する。
【0047】
出力部105は、自動運転可否情報114を出力する。具体的には、出力部105は、地図情報を保持する地図サーバへ自動運転可否情報114を出力する。また、出力部105は、自動運転可否情報114と地図情報との対応付けを行う。例えば、出力部105は、自動運転可否情報114に対応する地図情報における区間に自動運転可否情報114を付加する。なお、出力部105は、自動運転可否情報114を表示したり、音声で出力したり、他の装置へ送信したりしてもよい。また、出力部105は、自動運転可能と判定されているが利用されていない又は利用されたことがない自動運転仕様を車両のユーザへ提示してもよい。
【0048】
次に、情報処理装置100の動作を説明する。
図2は、情報処理装置100による情報処理方法のフローチャートである。
【0049】
まず、自動運転の可否を判定する対象の区間である判定区間(走行区間)が設定される(S101)。例えば、ルート検索等において目的地が運転手により指定された場合において、現在位置から目的地までの経路に、いずれのタグ付けも行われていない区間、又は、自動運転不可のタグ付けが行われている区間が含まれる場合に、当該区間が判定区間に設定される。その後、当該判定区間における運転手の手動運転が行われることにより、当該判定区間の手動運転情報111及びセンサ情報112が生成される。なお、判定区間の設定方法は任意でよく、例えば、運転手又はユーザにより判定区間が指定されてもよい。
【0050】
次に、手動運転情報取得部101は、判定区間の手動運転情報111を取得する(S102)。また、センサ情報取得部102は、判定区間のセンサ情報112を取得する(S103)。なお、これらの情報の取得及び後続の処理が行われるタイミングは任意でよい。つまり、情報処理装置100は、車両で得られたこれらの情報を車両の走行中にリアルタイムに取得し、後続の処理をリアルタイムに行ってもよい。または、情報処理装置100は、車両内又は他の装置内に保存されているこれらの情報を走行後に取得してもよい。また、取得した情報を情報処理装置100が備える記憶部(図示せず)に保存しておき、任意のタイミングで、後続の処理が行われてもよい。
【0051】
次に、車両制御推定部103は、推定する対象の複数のシミュレーション条件(自動運転の仕様)を設定する(S104)。
図3はシミュレーション条件の一例を示す図である。
図3に示すように、シミュレーション条件のパラメータは、自動運転のアルゴリズムと、自動運転における単位時間当たりの処理量を示す処理レートの一例であるフレームレートと、自動運転に用いるセンサの種類と、自動運転の種類とを含む。自動運転のアルゴリズムは、自動運転に用いられる識別器の学習方式及び学習規模、並びに自動運転に用いられる判断ルールで表される。例えば、自動運転のアルゴリズムは、
図3に示すように、ディープラーニング(DL)のみが用いられる方式であったり、DLと予め定められたルールとを組み合わせる方式であったりする。DL以外の認識アルゴリズムと、判断アルゴリズムとを組み合わせて用いてもよい。自動運転のアルゴリズムでは、一般的に自動運転の精度が高いほど処理負荷が高くなる。また、フレームレートとは、フレーム数を用いて示される自動運転の判断を行う間隔を示し、フレームレートが高いほど自動運転が高精度になり、かつ処理負荷が高くなる。また、自動運転の種類は、全自動又は一部自動を含む。なお、自動運転の種類は、全自動と一部自動との区別に限らず、自動運転のレベル又はモードであってもよい。例えば、自動運転のレベルは、自動運転が全自動であるか一部自動であるかを示し、さらに、一部自動である場合にはどの制御が自動で行われるかを示す。また、自動運転のモードは、例えば自動追従又は白線維持など個々の自動運転の内容又はその組合せを示す。
【0052】
また、例えば、
図3に示す条件の全ての組み合わせがシミュレーション条件として設定される。
図3に示す例では、アルゴリズムが3種、フレームレートが3種、使用センサが3種、自動運転の種類が2種であるので、54種類のシミュレーション条件が設定される。
【0053】
図2に戻って説明を続けると、次に、車両制御推定部103は、複数のシミュレーション条件の一つを対象条件として選択する(S105)。車両制御推定部103は、判定区間のうちのシミュレーション対象である区間である対象区間のセンサ情報112に基づいて、対象区間における車両の対象条件での自動運転による車両制御をシミュレ−ションにより推定する(S106)。また、車両制御推定部103は、推定された自動運転による車両制御を示す自動運転情報113を生成する。例えば、この自動運転情報113は、車両制御の程度を示す情報であり、フレームレートで示される時間間隔毎の、ハンドルの操舵角、アクセルペダルの操作量、及びブレーキペダルの操作量を示す車両制御コマンドである。
【0054】
次に、自動運転可否判定部104は、対象区間の手動運転情報111及び対象区間の自動運転情報113に基づいて対象区間の自動運転の可否を判定する。具体的には、自動運転可否判定部104は、手動運転情報111及び自動運転情報113が予め定められた判定条件を満たすかを判定する(S107)。なお、この処理の詳細は後述する。
【0055】
手動運転情報111及び自動運転情報113が判定条件を満たす場合(S107でYes)、自動運転可否判定部104は、対象区間を対象条件で自動運転可能と判定し、自動運転可能を示す自動運転可否情報114を生成する(S108)。一方、手動運転情報111及び自動運転情報113が判定条件を満たさない場合(S107でNo)、自動運転可否判定部104は、対象区間を対象条件で自動運転不可と判定し、自動運転不可を示す自動運転可否情報114を生成する(S109)。
【0056】
また、自動運転可否判定部104は、これらのステップS105〜S109の処理を、ステップS104で設定された各シミュレーション条件に対して繰り返し行う(S110)。
【0057】
全てのシミュレーション条件に対する処理が終了した場合(S110でYes)、出力部105は、得られた自動運転可否情報114を対象区間にタグ付けする(S111)。
【0058】
続いて、
図4を参照して自動運転可否判定処理を説明する。
図4は、自動運転可否情報114の一例を示す図である。
図4に示すように、アルゴリズム、フレームレート、使用センサ及び自動運転の種類(全自動、一部自動)の組み合わせであるシミュレーション条件毎に、自動運転の可否が判定される。
【0059】
また、自動運転可否判定部104は、車両に搭載されている自動運転装置の演算性能を示す演算性能情報を取得する。自動運転可否判定部104は、取得された演算性能情報に基づき、複数の自動運転の仕様の各々における自動運転を当該車両で実行可能か(すなわち演算性能が不足か充足か)をそれぞれ判定する。そして、自動運転可否判定部104は、シミュレーション結果において自動運転可と判定され、かつ、演算性能が充足である場合、自車両において、当該シミュレーション条件で自動運転可能であると判定する。そうでない場合、自動運転可否判定部104は、当該シミュレーション条件で自動運転不可であると判定する。
【0060】
なお、個別の車両について自動運転可否を判定することが求められない場合には、演算性能を用いた個別の車両についての自動運転可否の判定は行われなくてもよい。または、車両の種別又は自動運転以外の利用される機能毎に、演算性能を用いた判定を行い、車両の種別又は当該機能毎に、自動運転可否情報を生成してもよい。これは、車両の種別によって搭載される演算機が異なったり、同種の車両でも自動運転以外の利用される機能によって自動運転に利用できる演算機の計算資源が異なったりすることにより、演算性能が異なり得るからである。
【0061】
また、ある車両に対する自動運転の可否のみを判定する場合には、情報処理装置100は、ステップS104において、当該車両で実行可能な自動運転のシミュレーション条件を絞り込み、絞り込んだシミュレーション条件に対してのみステップS105以降の処理を行ってもよい。例えば、当該車両の演算性能に基づいてシミュレーション条件が絞り込まれてもよい。また、当該車両の自動運転の仕様を示す自動運転仕様情報が取得され、取得された情報からシミュレーション条件が絞り込まれてもよい。
【0062】
以下、手動運転情報111及び自動運転情報113に基づいて自動運転の可否を判定する処理の詳細について説明する。
【0063】
まず、第1の方法として、自動運転可否判定部104は、手動運転情報111の示す車両制御の程度と自動運転情報113の示す車両制御の程度との相関に基づいて自動運転の可否を判定し、自動運転可否情報114を生成する。
図5は、手動運転情報111の例示である手動ログの示すハンドル角度の時間変化と、自動運転情報113で示されるフレームレートが60fpsの場合と10fpsの場合それぞれの自動運転におけるハンドル角度の時間変化の例を示す図である。自動運転可否判定部104は、手動ログの示すハンドル角度の時間変化と、シミュレーション結果における各々のハンドル角度の時間変化との相関をそれぞれ算出する。同様に、図示されていないが、自動運転可否判定部104は、ブレーキ操作及びアクセル操作のそれぞれに対して、手動ログの示すブレーキペダルの操作量及びアクセルペダルの操作量の時間変化と、シミュレーション結果の各々におけるブレーキペダルの操作量及びアクセルペダルの操作量の時間変化との相関をそれぞれ算出する。
【0064】
そして、自動運転可否判定部104は、得られたハンドル角度の相関と、ブレーキペダル操作量の相関と、アクセルペダル操作量の相関とに基づき、自動運転の可否を判定する。例えば、自動運転可否判定部104は、3つの相関の重み付け平均又は重み付け加算により得られた値が、予め定められた基準値より高い(相関が強い)場合に自動運転可能と判定する。反対に、自動運転可否判定部104は、得られた値が、予め定められた基準値より低い(相関が弱い)場合に自動運転不可と判定する。なお、自動運転可否判定部104は、3つの相関の各々を同一又は異なる基準値と比較し、基準値より低い相関が少なくとも一つ存在する場合に自動運転不可と判定し、そうでない場合に自動運転可能と判定してもよい。また、自動運転可否判定部104は、上記判定を所定の時間区間毎に行い、全ての時間区間において自動運転可と判定された場合に、対象区間を自動運転可能と判定してもよい。
【0065】
また、第2の方法として、自動運転可否判定部104は、手動運転情報111の示す車両制御に基づく車両の状態と、自動運転情報113の示す車両制御に基づく車両の状態との差異に基づいて自動運転可否情報114を生成する。
図6は、手動ログとシミュレーション結果とに基づく車両の位置及び姿勢の一例を示す図である。具体的には、自動運転可否判定部104は、センサ情報112に含まれる車両の位置及び姿勢を示す情報及び手動運転情報111の少なくとも一方に基づき、車両の位置及び姿勢を推定する。また、自動運転可否判定部104は、自動運転情報113(すなわちシミュレーション結果)を用いて車両の位置及び姿勢を推定する。
【0066】
次に、自動運転可否判定部104は、得られた2つの位置の差分及び2つの姿勢の差分を算出する。そして、自動運転可否判定部104は、得られた2つの差分の重み付け平均又は重み付け加算により得られた値が予め定められた基準値より小さい場合、自動運転可能と判定する。反対に、自動運転可否判定部104は、得られた値が予め定められた基準値より大きい場合、自動運転不可と判定する。なお、自動運転可否判定部104は、位置の差分及び姿勢の差分の各々をそれぞれの基準値と比較してもよい。また、位置及び姿勢の一方のみが判定に用いられてもよい。
【0067】
また、自動運転可否判定部104は、この処理を所定の時間区間毎に行い、全ての又は所定数の時間区間において自動運転可と判定された場合に、対象区間を自動運転可能と判定する。なお、自動運転可否判定部104は、複数の時間区間の差分の平均値又は加算値と基準値とを比較してもよい。
【0068】
なお、自動運転可否判定部104は、上記第1の方法と第2の方法とのいずれかのみを用いてもよいし、両方を用いてもよい。例えば、自動運転可否判定部104は、第1の方法及び第2の方法の両方で自動運転可能と判定された場合、対象区間を自動運転可能と判定し、そうでない場合に対象区間を自動運転不可と判定する。または、自動運転可否判定部104は、第1の方法で得られた相関と、第2の方法で得られた差分とを重み付け平均又は重み付け加算により得られた値と基準値とを比較してもよい。また、車両の状態は、車両の位置又は姿勢に限定されず、車両の加速度又はヨー、ロールもしくはピッチの角速度であってもよい。
【0069】
以上のように、情報処理装置100は、手動運転による車両制御と、センシングにより得られたセンサ情報112を用いて推定された自動運転による車両制御とに基づき、自動運転の可否を判定する。これにより、情報処理装置100は、自動運転の可否をより正確に判定できる。
【0070】
ここで、車両に搭載されるアルゴリズム、センサ及び演算性能は、車種又は時代によって異なることが想定される。これらの組み合わせで決まる複数の自動運転の仕様の全てに対して自動運転の可否を事前に判断することは困難である。しかし、本実施形態に係る情報処理装置100によれば、車両が一度走行した区間に対して自動運転の可否の判定を行い、判定結果を車両又はサーバ等に蓄積することができる。さらに、一度の手動運転で得られた情報に基づき、複数種類の自動運転の仕様に対する自動運転の可否を判定することができる。これにより、複数の自動運転の仕様に対する自動運転の可否がタグ付けされた地図情報を生成することができる。
【0071】
また、自動運転の仕様毎に自動運転可否が判定されることにより、ユーザは自車両で自動運転が可能かを確認してから、車両に自動運転を行わせることが可能となるので、自動運転の安全性を向上できる。
【0072】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態1の変形例について説明する。
図7は、本実施の形態に係る情報処理装置100Aのブロック図である。
図7に示す情報処理装置100Aは、
図1に示す情報処理装置100の構成に加え、妥当性判定部106を備える。妥当性判定部106は、処理対象の手動運転情報111とは別の少なくとも1つの手動運転情報111を取得し、処理対象の手動運転情報111と当該別の少なくとも1つの手動運転情報111とに基づいて処理対象の手動運転情報111が妥当かを判定する。
【0073】
図8は、情報処理装置100Aによる情報処理方法のフローチャートである。
図8に示す処理では、
図2に示す処理に加えてステップS112が追加されている。
【0074】
ステップS102の後、妥当性判定部106は、処理対象の手動運転情報111で示される手動運転が妥当かを判定する(S112)。例えば、妥当性判定部106は、対象区間の複数の手動運転情報111を取得する。次いで、妥当性判定部106は、得られた複数の手動運転情報111の平均値と、処理対象の手動運転情報111との差が予め定められた基準値より低い場合、処理対象の手動運転情報111が妥当であると判定し、そうでない場合、処理対象の手動運転情報111が妥当でないと判定する。あるいは、妥当性判定部106は、当該平均値と処理対象の手動運転情報111との相関が予め定められた基準値より高い場合、処理対象の手動運転情報111が妥当であると判定し、そうでない場合、処理対象の手動運転情報111が妥当でないと判定する。
【0075】
処理対象の手動運転情報111で示される手動運転が妥当である場合(S112でYes)、情報処理装置100Aは、実施の形態1と同様にステップS103以降の処理を行うことで、自動運転可否情報114を生成する。一方、処理対象の手動運転情報111で示される手動運転が妥当でない場合(S112でNo)、情報処理装置100Aは、処理を終了する。
【0076】
以上により、情報処理装置100Aは、適切でない手動運転情報111を除外できるので、適切でない手動運転情報111に基づき誤った自動運転可否の判定およびその判定結果のタグ付けが行われることを抑制できる。
【0077】
(まとめ)
以上、本開示の実施の形態に係る情報処理装置について説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0078】
例えば、上記実施の形態では、車両制御推定部103への入力がセンサ情報である例を説明したが、センサ情報以外の情報が入力されてもよい。具体的には、手動運転時に用いられた又は用いることができた地図情報又は路側機などのインフラストラクチャから得られた又は得ることができたインフラストラクチャセンサ情報などが車両又はこれらの情報を蓄積したサーバから取得され、車両制御推定部103へ入力されてもよい。車両制御推定部103は、センサ情報と共に、地図情報又はインフラストラクチャセンサ情報を用いて、自動運転のシミュレーションを実行する。これにより、自動運転のシミュレーションをより正確に行うことができる。
【0079】
また、上記実施の形態に係る情報処理装置に含まれる各処理部は典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0080】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0081】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0082】
また、本開示は、情報処理装置により実行される情報処理方法として実現されてもよい。
【0083】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。
【0084】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0085】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0086】
以上、一つまたは複数の態様に係る情報処理装置及び情報処理方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。