特許第6980517号(P6980517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6980517リレー駆動回路及びパワーコンディショナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980517
(24)【登録日】2021年11月19日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】リレー駆動回路及びパワーコンディショナ
(51)【国際特許分類】
   H01H 47/04 20060101AFI20211202BHJP
   H01H 47/32 20060101ALI20211202BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20211202BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   H01H47/04
   H01H47/32 A
   H02J3/38 180
   H02J9/06 120
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-249970(P2017-249970)
(22)【出願日】2017年12月26日
(65)【公開番号】特開2019-117696(P2019-117696A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2020年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100086807
【弁理士】
【氏名又は名称】柿本 恭成
(74)【代理人】
【識別番号】100178906
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充和
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 真
【審査官】 北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−168294(JP,A)
【文献】 特開平03−134928(JP,A)
【文献】 特開昭61−151927(JP,A)
【文献】 特開2015−107032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 47/00−47−36
H02J 3/00− 5/00
H02J 9/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル及び接点を有し、電圧の印加により前記コイルに発生する磁力によって前記接点をオン/オフ動作させるリレーに対して、動作電圧を前記コイルに印加して前記接点をオン/オフ動作させるリレー駆動回路において、
前記リレーの起動時に、前記コイルに第1の前記動作電圧を供給して前記接点をオン状態にする第1動作電圧供給回路と、
前記リレーの起動時から前記リレーの動作が安定するまでのリレー動作安定化時間の経過後に、前記第1の動作電圧よりも低く、且つ前記リレーの動作の保持が可能な第2の前記動作電圧を前記コイルに供給して前記接点をオン状態に保持させる第2動作電圧供給回路と、を備え
前記第1動作電圧供給回路は、
交流電圧を昇圧して昇圧電圧を生成する昇圧回路と、
前記昇圧電圧を整流して前記第1の動作電圧を生成する整流回路と、
前記第1の動作電圧を前記コイルへ供給する第1スイッチ手段と、を有し、
前記第2動作電圧供給回路は、
前記交流電圧を整流して前記第2の動作電圧を生成する整流回路と、
前記リレー動作安定化時間の経過後に、前記第2の動作電圧を前記コイルへ供給する第2スイッチ手段と、を有することを特徴とするリレー駆動回路。
【請求項2】
前記第1スイッチ手段は、
前記コイルに対して直列に接続され、前記リレーの起動時にオン状態になる第1スイッチ素子と、
前記コイルに対して直列に接続され、前記リレーの起動時にオン状態になる第2スイッチ素子と、により構成され、
前記第2スイッチ手段は、
前記リレー動作安定化時間の経過後にオフ状態になる前記第1スイッチ素子と、
前記リレー動作安定化時間の経過後もオン状態を保持する前記第2スイッチ素子と、により構成されていることを特徴とする請求項1記載のリレー駆動回路。
【請求項3】
コイル及び接点を有し、電圧の印加により前記コイルに発生する磁力によって前記接点をオン/オフ動作させるリレーに対して、動作電圧を前記コイルに印加して前記接点をオン/オフ動作させるリレー駆動回路において、
前記リレーの起動時に、前記コイルに第1の前記動作電圧を供給して前記接点をオン状態にする第1動作電圧供給回路と、
前記リレーの起動時から前記リレーの動作が安定するまでのリレー動作安定化時間の経過後に、前記第1の動作電圧よりも低く、且つ前記リレーの動作の保持が可能な第2の前記動作電圧を前記コイルに供給して前記接点をオン状態に保持させる第2動作電圧供給回路と、を備え、
前記第1動作電圧供給回路は、
第1交流電圧を整流して前記第1の動作電圧を生成する第1整流回路と、
前記第1の動作電圧を前記コイルへ供給する第1スイッチ手段と、を有し、
前記第2動作電圧供給回路は、
前記第1交流電圧よりも低い第2交流電圧を整流して前記第2の動作電圧を生成する整流回路と、
前記リレー動作安定化時間の経過後に、前記第2の動作電圧を前記コイルへ供給する第2スイッチ手段と、を有することを特徴とするリレー駆動回路。
【請求項4】
前記第1スイッチ手段は、
前記リレーの起動時にオン状態になって前記第1交流電圧を前記第1整流回路へ供給する第1スイッチ素子と
前記コイルに対して直列に接続され、前記リレーの起動時にオン状態になる第2スイッチ素子と、により構成され、
前記第2スイッチ手段は、
前記リレー動作安定化時間の経過後にオフ状態になる前記第1スイッチ素子と、
前記リレー動作安定化時間の経過後もオン状態を保持する前記第2スイッチ素子と、により構成されていることを特徴とする請求項3記載のリレー駆動回路。
【請求項5】
前記リレー動作安定化時間は、
前記リレーの起動時から、前記接点における入出力端子間の電位差が最低値になるまでの経過時間であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のリレー駆動回路。
【請求項6】
前記リレー動作安定化時間は、
予め設定された時間であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のリレー駆動回路。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載のリレー駆動回路と、
分散型電源と電力系統との間の電力変換を行う電力変換回路と、
電力伝送路を接続/遮断する前記リレーと、を備えることを特徴とするパワーコンディショナ。
【請求項8】
前記リレーは、
前記分散型電源と前記電力系統との間に直列に接続されて前記電力系統の停電時に前記分散型電源を解列する連系リレーを含む、電力伝送路接続/遮断用のリレーである、ことを特徴とする請求項7記載のパワーコンディショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力伝送路接続/遮断用のリレー駆動回路及びそれを用いたパワーコンディショナ(以下「PCS」という。)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、家庭用太陽光発電システム及び蓄電システム等において、静音性及び耐環境性等を考慮したファンレス密閉構造タイプのPCSが市場から求められている。
【0003】
図4は、特許文献1〜3等に記載されたリレー駆動回路を、PCS内の電力伝送路接続/遮断用に適用した従来のリレー駆動回路を示す回路図である。
この図4のリレー駆動回路10は、制御電源として例えば、構成の簡単な小容量用のフライバック方式(RCC(Ringing Choke Converter)方式ともいわれる。)のRCC電源1における2次側回路を利用してリレー12を駆動する回路である。リレー12は、電流を流すことにより磁力を発生する電磁用のコイル12aと、その磁力によって開閉する接点(例えば、常開型接点)12bと、により構成されている。
【0004】
RCC電源1は、直流(DC)入力電圧Vinを所定の直流動作電圧Voに変換するDC/DCコンバータであり、変圧器(以下「トランス」という。)2、スイッチング素子3、ダイオード4、及びコンデンサ5により構成されている。トランス2は、1次巻線2a及び2次巻線2bを有し、その1次巻線2aにスイッチング素子3が直列に接続されている。このRCC電源1では、スイッチング素子3により、直流入力電圧Vinがオン/オフされて交流(AC)電圧に変換される。変換された交流電圧は、トランス2で電圧変換され、このトランス2の2次巻線2bから出力される交流電圧Vrが、ダイオード4で整流された後、コンデンサ5で平滑されて動作電圧Voが生成される。
【0005】
リレー駆動回路10は、RCC電源1中のダイオード4及びコンデンサ5と、制御信号S11によってオン/オフ動作するスイッチ素子11と、により構成されている。スイッチ素子11は、リレー12のコイル12aに直列に接続され、このスイッチ素子11及びコイル12aの直列回路が、コンデンサ5に並列に接続されている。
【0006】
図5は、図4のリレー駆動回路10の動作を示す波形図である。
RCC電源1から出力された動作電圧Vo(これはリレー制御コイル電圧においてリレー動作電圧を超える電圧)は、リレー12のコイル12aとスイッチ素子11の直列回路に供給される。制御信号S11のオン信号によってスイッチ素子11がオンすると、リレー12のコイル12aに電流が流れて磁力が発生する。この磁力によってリレー12の接点12bがオンし、この接点12bの入出力端子間に接続された電力伝送路が接続される。制御信号S11のオフ信号によってスイッチ素子11がオフすると、リレー制御コイル電圧がリレー解放電圧よりも低下するので、リレー12の接点12bがオフし、これに接続された電力伝送路が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−16898号公報
【特許文献2】特開2013−171773号公報
【特許文献3】特開2014−116197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の図4のリレー駆動回路10では、リレー12のコイル12aを動作電圧Voにて連続駆動している。しかしながら、例えば、PCSから発生する騒音を低減するために、そのPCSを収納するケースを、冷却ファンを内蔵しないファンレス密閉構造にした場合、PCS内部に熱が籠り易くなる。この結果、リレー12のコイル12aが消費する電力により、発熱が大きくなり、リレー12の周囲温度が仕様範囲を超える場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のリレー駆動回路は、コイル及び接点を有し、電圧の印加により前記コイルに発生する磁力によって前記接点をオン/オフ動作させるリレーに対して、動作電圧を前記コイルに印加して前記接点をオン/オフ動作させる回路であり、前記リレーの起動時に、前記コイルに第1の前記動作電圧を供給して前記接点をオン状態にする第1動作電圧供給回路と、前記リレーの起動時から前記リレーの動作が安定するまでのリレー動作安定化時間の経過後に、前記第1の動作電圧よりも低く、且つ前記リレーの動作の保持が可能な第2の前記動作電圧を前記コイルに供給して前記接点をオン状態に保持させる第2動作電圧供給回路と、を備えている。そして、前記第1動作電圧供給回路は、交流電圧を昇圧して昇圧電圧を生成する昇圧回路と、前記昇圧電圧を整流して前記第1の動作電圧を生成する整流回路と、前記第1の動作電圧を前記コイルへ供給する第1スイッチ手段と、を有し、前記第2動作電圧供給回路は、前記交流電圧を整流して前記第2の動作電圧を生成する整流回路と、前記リレー動作安定化時間の経過後に、前記第2の動作電圧を前記コイルへ供給する第2スイッチ手段と、を有することを特徴とする。
本発明の他のリレー駆動回路は、コイル及び接点を有し、電圧の印加により前記コイルに発生する磁力によって前記接点をオン/オフ動作させるリレーに対して、動作電圧を前記コイルに印加して前記接点をオン/オフ動作させる回路であり、前記リレーの起動時に、前記コイルに第1の前記動作電圧を供給して前記接点をオン状態にする第1動作電圧供給回路と、前記リレーの起動時から前記リレーの動作が安定するまでのリレー動作安定化時間の経過後に、前記第1の動作電圧よりも低く、且つ前記リレーの動作の保持が可能な第2の前記動作電圧を前記コイルに供給して前記接点をオン状態に保持させる第2動作電圧供給回路と、を備えている。そして、前記第1動作電圧供給回路は、第1交流電圧を整流して前記第1の動作電圧を生成する第1整流回路と、前記第1の動作電圧を前記コイルへ供給する第1スイッチ手段と、を有し、前記第2動作電圧供給回路は、前記第1交流電圧よりも低い第2交流電圧を整流して前記第2の動作電圧を生成する整流回路と、前記リレー動作安定化時間の経過後に、前記第2の動作電圧を前記コイルへ供給する第2スイッチ手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明のPCSは、前記リレー駆動回路と、分散型電源と電力系統との間の電力変換を行う電力変換回路と、電力伝送路を接続/遮断する前記リレーと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のリレー駆動回路及びPCSによれば、リレーの起動時から動作が安定するまで、そのリレーのコイルに高い動作電圧を印加し、リレーの動作安定後に、その動作電圧を低い保持電圧まで低下させている。これにより、リレーの消費電力及び発熱を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1におけるPCSを示す概略の構成図
図2図1(b)中のリレー駆動回路50の動作を示す波形図
図3】本発明の実施例2における電源部30の他の構成例を示す回路図
図4】従来のリレー駆動回路を示す回路図
図5図4のリレー駆動回路10の動作を示す波形図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0014】
(実施例1の構成)
図1(a)、(b)は、本発明の実施例1におけるPCSを示す概略の構成図であり、同図(a)はPCSの全体の構成図、及び同図(b)はそのPCS内に設けられた電源部の回路図である。
図1(a)に示すPCS20は、分散型電源(例えば、蓄電池17)と電力系統18との間の電力変換を行う装置であり、このPCS20に、家庭用電気機器等の負荷19が接続されている。
【0015】
PCS20は、電力変換回路(例えば、双方向DC/DCコンバータ21及び双方向DC/ACインバータ23)と連系用のリレー25とを備え、これらの双方向DC/DCコンバータ21、双方向DC/ACインバータ23、及びリレー25が、蓄電池17と電力系統18との間に直列に接続されている。双方向DC/DCコンバータ21は、スイッチング動作によって双方向に直流電圧の変換を行う回路であり、そのスイッチングがコンバータ駆動回路22によって駆動される。双方向DC/ACインバータ22は、スイッチング動作によって直流電圧と交流電圧の相互変換を行う回路であり、そのスイッチングがインバータ駆動回路24によって駆動される。リレー25は、双方向DC/ACインバータ23と電力系統18との間の電力伝送路を接続/遮断するスイッチであり、例えば、コイル25a及び常開型接点25bを有し、動作電圧の印加によりコイル25aに発生する磁力によって接点25bをオン/オフ動作させるようになっている。リレー25と双方向DC/ACインバータ23との間に、負荷19が分岐接続されている。
【0016】
PCS20内には、更に、電源部30及び制御部60等が設けられている。電力系統18は、整流用のダイオード26を介して電源部30の入力側に接続されている。電源部30は、PCS20内の各回路に直流電源電圧を供給する回路である。制御部60は、PCS20の全体を制御する回路であり、コンバータ駆動回路22、インバータ駆動回路24及び電源部30に対してスイッチング用の制御信号S22,S24,S42,S55,S57を供給すると共に、内部にカウンタ、タイマ等の時間計測手段61を有している。時間計測手段61は、リレー25の起動時からこのリレー25の動作が安定するまでのリレー動作安定化時間tsを計測する機能を有している。リレー動作安定化時間tsは、例えば、リレー25の起動時から、その接点25bにおける入出力端子間の電位差ΔVが最低値になるまでの経過時間である。なお、リレー動作安定化時間tsは、予め設定された時間(例えば、0.1s)であっても良い。
【0017】
図1(b)に示す電源部30は、制御電源(例えば、RCC電源40)とリレー駆動回路50を有している。
RCC電源40は、蓄電池17及びダイオード26から供給される直流入力電圧Vinを所定の直流電圧Vrccに変換するDC/DCコンバータであり、トランス41、制御信号S42によりオン/オフ動作する電界効果トランジスタ(以下「FET」という。)等のスイッチング素子42、ダイオード43、及びコンデンサ44により構成されている。トランス41は、1次巻線41a及び2次巻線41bを有し、その1次巻線41aに、スイッチング素子42が直列に接続されている。このRCC電源40では、スイッチング素子42により、直流入力電圧Vinがオン/オフされて交流電圧に変換される。変換された交流電圧は、トランス41で電圧変換され、このトランス41の2次巻線41bから出力される交流電圧Vrが、ダイオード43で整流された後、コンデンサ44で平滑されて直流電圧Vrccが生成されるようになっている。
【0018】
リレー駆動回路50は、RCC電源40中のトランス41の2次側回路を利用して構成され、第1、第2の動作電圧Vo1,Vo2をリレー25のコイル25aに印加して接点25bをオン/オフ動作させる回路であり、第1、第2動作電圧供給回路を有している。この第1、第2動作電圧供給回路は、RCC電源40側のダイオード43及びコンデンサ44と、新たに設けられたコンデンサ51,54、ダイオード52,53,56、トランジスタ等の第1スイッチ素子55、及びトランジスタ等の第2スイッチ素子57と、により構成されている。
【0019】
ここで、トランス41の2次巻線41bの巻き終わり側から巻き初め側(図1(b)中の黒丸点箇所)までの間には、コンデンサ51、順方向のダイオード53、第1スイッチ素子55、リレー25のコイル25a、及び第2スイッチ素子57が直列に接続されている。RCC電源40側のダイオード43のカソードから、第1スイッチ素子55及びコイル25aの接続点までの間には、逆流防止用の順方向のダイオード56が接続されている。2次巻線41bの巻き初め側から、ダイオード53のアノード側の間には、順方向のダイオード52が接続されている。更に、2次巻線41bの巻き初め側から、ダイオード53のカソード側の間には、コンデンサ54が接続されている。
【0020】
前記第1動作電圧供給回路は、リレー25の起動時に、このコイル25aに第1の動作電圧Vo1を供給して接点25bをオン状態にする回路であり、交流電圧Vrを昇圧して昇圧電圧を生成するコンデンサ51及びダイオード52からなる昇圧回路と、その昇圧電圧を整流平滑して第1の動作電圧Vo1を生成するダイオード53及びコンデンサ54からなる整流平滑回路と、その第1の動作電圧Vo1をコイル25aへ供給する第1スイッチ手段と、により構成されている。その第1スイッチ手段は、リレー25の起動時にオン状態になる第1スイッチ素子55と、リレー25の起動時にオン状態になる第2スイッチ素子57と、により構成されている。
【0021】
前記第2動作電圧供給回路は、リレー25の起動時からこのリレー25の動作が安定するまでのリレー動作安定化時間tsの経過後に、第1の動作電圧Vo1よりも低く、且つリレー25の動作の保持が可能な第2の動作電圧Vo2をコイル25aに供給して接点25bをオン状態に保持させる回路であり、交流電圧Vrを整流平滑して直流電圧Vrccを生成するダイオード43及びコンデンサ44からなる整流平滑回路と、その直流電圧Vrccからそのまま第2の動作電圧Vo2を生成するダイオード56からなる逆流防止回路と、リレー動作安定化時間tsの経過後に、第2の動作電圧Vo2をコイル25aへ供給する第2スイッチ手段と、により構成されている。その第2スイッチ手段は、リレー動作安定化時間tsの経過後にオフ状態になる第1スイッチ素子55と、リレー動作安定化時間tsの経過後もオン状態を保持する第2スイッチ素子57と、により構成されている。
【0022】
(実施例1の動作)
先ず、図1(a)に示すPCS20の全体の動作を説明する。
電源部30内のRCC電源40から出力された直流電圧Vrccが、コンバータ駆動回路22、インバータ駆動回路24及び制御部60へ供給されると、それらのコンバータ駆動回路22、インバータ駆動回路24及び制御部60が起動する。制御部60から制御信号S22,S24,S42が出力されると共に、制御信号S55,S57のオン信号が出力される。コンバータ駆動回路22は、制御部60から供給された制御信号S22を駆動して双方向DC/DCコンバータ21をスイッチング動作させ、双方向の直流/直流変換動作を行わせる。インバータ駆動回路24は、制御部60から供給された制御信号S24を駆動して双方向DC/ACインバータ23をスイッチング動作させ、双方向の直流/交流変換動作を行わせる。更に、電源部30内のリレー駆動回路50から第1、第2の動作電圧Vo1,Vo2が出力され、リレー25の接点25bがオンする。
【0023】
リレー25の接点25bがオンすると、電力系統18から供給された交流電力が、そのリレー25を通して、負荷19へ供給されると共に、双方向DC/ACインバータ23へ供給される。双方向DC/ACインバータ23では、電力系統18から供給された交流電力を直流電圧に変換する。この直流電圧は、双方向DC/DCコンバータ21によって所定の直流電圧に変換され、蓄電池17が充電される。
【0024】
電力系統18に停電事故が発生すると、制御部60から出力される制御信号S55,S57のオフ信号によってリレー25がオフし、蓄電池17が電力系統18から解列される(即ち、切り離される)。すると、蓄電池17が放電し、この直流放電電圧が双方向DC/DCコンバータ21及び電源部30へ供給される。蓄電池17の直流放電電圧は、双方向DC/DCコンバータ21によって所定の直流電圧に変換された後、双方向DC/ACインバータ23によって交流電圧に変換され、負荷19へ供給される。
【0025】
次に、図1(b)に示す電源部30の動作を説明する。
図2は、図1(b)中のリレー駆動回路50の動作を示す波形図である。
RCC電源40において、制御部60の制御信号S42によってスイッチング素子42がオン/オフ動作し、ダイオード26及び蓄電池17から供給される直流入力電圧Vinが交流電圧に変換される。変換された交流電圧は、トランス41の1次巻線41a及び2次巻線41bによって所定の交流電圧Vrに変換され、その2次巻線41bから出力される。
【0026】
制御部60から供給される制御信号S55,S57のうち、制御信号S55のオン信号によってスイッチ素子55がオンし、制御信号S57のオフ信号によってスイッチ素子57がオフしている。制御信号S57のオン信号によってスイッチ素子57がオンすると、トランス41の2次巻線41bの巻き終わり側、コンデンサ51、ダイオード53、スイッチ素子55、リレー25のコイル25a、スイッチ素子57、及び2次巻線41bの巻き初めの側の経路が導通する。2次巻線41bの巻き終わり側の交流電圧Vrが、コンデンサ51及びダイオード52によって昇圧され、この電圧がダイオード53及びコンデンサ54によって整流平滑され、リレー制御コイル電圧におけるリレー動作電圧よりも高い第1の動作電圧Vo1が生成される。
【0027】
第1の動作電圧Vo1は、スイッチ素子55を介してリレー25のコイル25aに印加されるので、このコイル25aの磁力によって接点25bがオンする。これにより、電力系統18と双方向DC/ACインバータ23との間が接続される。接点25bがオンすると、制御部60内の時間計測手段61によってリレー動作安定化時間ts(例えば、0.1s)が計測される。リレー動作安定化時間tsが経過して、リレー動作安定化時間ts以上になると、制御信号S55のオフ信号によってスイッチ素子55がオフする。
【0028】
スイッチ素子55がオフすると、トランス41の2次巻線41bの巻き終わり側に接続されたダイオード43のカソード側の直流電圧Vrccが、逆流防止用のダイオード56を通して、このダイオード56のカソードから、第2の動作電圧Vo2が出力され、リレー25のコイル25aに印加される。第2の動作電圧Vo2は、第1の動作電圧Vo1よりも低いが、リレー制御コイル電圧におけるリレー開放電圧よりも高いので、リレー25の接点25bのオン状態が保持される。
【0029】
その後、制御信号S57のオフ信号によってスイッチ素子S57がオフすると、第2の動作電圧Vo2が、リレー制御コイル電圧におけるリレー開放電圧よりも低くなるので、リレー25の接点25bがオフする。これにより、電力系統18と双方向DC/ACインバータ23との間が遮断される。
【0030】
(実施例1の効果)
本実施例1のリレー駆動回路50及びこれを有するPCS20によれば、次の(a)、(b)のような効果がある。
【0031】
(a) リレー駆動用にRCC電源40の2次巻線41bを用い、この2次巻線41b側に、コンデンサ51,54、ダイオード52,53,56、及びスイッチ素子55を設け、リレー動作が安定するまでコイル25aに第1の動作電圧Vo1を印加し、リレー動作の安定後に、第1の動作電圧Vo1よりも低い第2の動作電圧Vo2に低下させてリレー25をオン状態に保持する構成にしている。これにより、リレー25のオン状態時における消費電力及び発熱を低減できる。
(b) 従来の図4のような既設のリレー駆動回路10に、コンデンサ51,54、ダイオード52,53,56、及びスイッチ素子55を追加するだけで、低消費電力及び低発熱のリレー駆動回路50を実現できるので、製造が容易で、低コストが可能になる。
【実施例2】
【0032】
(実施例2の構成)
図3は、本発明の実施例2における図1(a)中の電源部30の他の構成例を示す回路図であり、実施例1の図1(b)中の構成要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例2の電源部30では、実施例1のリレー駆動回路50Aに代えて、構成の異なるリレー駆動回路50Aが設けられている。
【0033】
本実施例2のリレー駆動回路50Aでは、実施例1のコンデンサ51及び第1スイッチ素子55に代えて、昇圧用の補助電源40Aが設けられている。補助電源40Aは、図1(a)中の双方向DC/DCコンバータ21における蓄電池側のリンク電圧等の直流入力電圧Viから、昇圧された第1交流電圧Vr1を生成する回路である。第1交流電圧Vr1は、RCC電源40側の2次巻線41bの第2交流電圧Vr2よりも高い電圧である。この補助電源40Aは、図1(a)中の制御部60から供給される制御信号S58によりオン/オフ動作するFET等のスイッチング素子58と、1次巻線59a及び2次巻線59bを有するパルストランス59と、を備えている。更に、補助電源40Aをオン/オフするための実施例1の第1スイッチ素子55が設けられている。スイッチング素子58、パルストランス59の1次巻線59a、及び第1スイッチ素子55は、直流入力電圧Viの入力端子とグランド端子GNDとの間に、直列に接続されている。2次巻線59bの巻き初め側(図3中の黒丸点箇所)は、RCC電源40側の2次巻線41b の巻き初め側に接続されている。2次巻線59bの巻き終わり側は、順方向のダイオード53を介してリレー25のコイル25aに接続されている。
【0034】
電源部30のその他の構成は、実施例1と略同様である。なお、実施例1では、ダイオード43のカソード側に逆流防止用のダイオード56が設けられているが、本実施例2ではそのダイオード56が省略されている。
【0035】
本実施例2のリレー駆動回路50Aの構成をまとめれば、以下のようになる。
本実施例2のリレー駆動回路50Aは、実施例1と同様に、第1、第2動作電圧供給回路を有している。第1動作電圧供給回路は、リレー25の起動時に、このコイル25aに第1の動作電圧Vo1を供給して接点25bをオン状態にする回路であり、直流入力電圧Viを昇圧して第1交流電圧Vr1を生成する補助電源40Aと、その第1交流電圧Vr1を整流平滑して第1の動作電圧Vo1を生成するダイオード53及びコンデンサ54と、その第1の動作電圧Vo1をコイル25aへ供給する第1スイッチ手段と、により構成されている。その第1スイッチ手段は、リレー25の起動時にオン状態になる第1スイッチ素子55と、リレー25の起動時にオン状態になる第2スイッチ素子57と、により構成されている。
【0036】
前記第2動作電圧供給回路は、実施例1と略同様に、リレー25の起動時からこのリレー25の動作が安定するまでのリレー動作安定化時間tsの経過後に、第2の動作電圧Vo2をコイル25aに供給して接点25bをオン状態に保持させる回路であり、トランス41の2次巻線41bから出力される第2交流電圧Vr2を整流平滑して直流電圧Vrcc(この電圧は第2の動作電圧Vo2と等しい。)を生成するダイオード43及びコンデンサ44と、リレー動作安定化時間tsの経過後に、第2の動作電圧Vo2をコイル25aへ供給する第2スイッチ手段と、により構成されている。その第2スイッチ手段は、リレー動作安定化時間tsの経過後にオフ状態になる第1スイッチ素子55と、リレー動作安定化時間tsの経過後もオン状態を保持する第2スイッチ素子57と、により構成されている。
【0037】
(実施例2の動作)
図3に示す電源部30の動作を説明する。
実施例1と同様に、RCC電源40において、直流入力電圧Vinが交流電圧に変換され、この交流電圧が、トランス41の1次巻線41a及び2次巻線41bによって所定の第2交流電圧Vr2に変換される。
【0038】
制御部60から供給された制御信号S55のオン信号によってスイッチ素子55がオンし、制御信号S57のオフ信号によってスイッチ素子57がオフしている。制御信号S57のオン信号によってスイッチ素子57がオンすると、パルストランス59の2次巻線59bの巻き終わり側、ダイオード53、リレー25のコイル25a、スイッチ素子57、及び2次巻線59bの巻き初めの側の経路が導通する。2次巻線59bの巻き終わり側の第1交流電圧Vr1が、ダイオード53及びコンデンサ54によって整流平滑され、リレー動作電圧よりも高い第1の動作電圧Vo1が生成され、リレー25の接点25bがオンする。これにより、電力系統18と双方向DC/ACインバータ23との間が接続される。
【0039】
接点25bがオンした後、リレー動作安定化時間tsが経過すると、制御信号S55のオフ信号によってスイッチ素子55がオフし、補助電源40Aの出力が停止する。
【0040】
補助電源40Aの出力が停止すると、RCC電源40側のトランス41の2次巻線41bの巻き終わり側に接続されたダイオード43のカソードから、直流電圧Vrcc(即ち、第2の動作電圧Vo2)が出力され、リレー25のコイル25aに印加される。第2の動作電圧Vo2は、第1の動作電圧Vo1よりも低いが、リレー開放電圧よりも高いので、リレー25の接点25bのオン状態が保持される。
【0041】
その後、制御信号S57のオフ信号によってスイッチ素子S57がオフすると、第2の動作電圧Vo2が、リレー開放電圧よりも低くなるので、リレー25の接点25bがオフする。これにより、電力系統18と双方向DC/ACインバータ23との間が遮断される。
【0042】
(実施例2の効果)
本実施例2のリレー駆動回路50A及びこれを有するPCS20によれば、RCC電源40以外の直流入力電圧Viをパルストランス59にて変換し、第1の動作電圧Vo1を発生させてリレー25をオンさせているので、実施例1と略同様の効果を奏することができる。
【0043】
(変形例)
本発明は、上記実施例1、2に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(1)〜(3)のようなものがある。
【0044】
(1) 図1(b)及び図3のリレー駆動回路50,50Aは、図示以外の回路構成に変更できる。例えば、平滑用のコンデンサ54を省略しても良い。
(2) リレー25は、双方向DC/ACインバータ23と電力系統18との間の電力伝送路以外の他の電力伝送路(例えば、負荷19の入力側等)に設けても良い。
(3) PCS20は、図1(a)以外の他の回路構成に変更できる。例えば、蓄電池17に代えて、或いは、蓄電池17と共に、太陽電池等の分散型電源を設ける構成に変更しても良い。
【符号の説明】
【0045】
17 蓄電池(分散型電源)
18 電力系統
20 PCS(パワーコンディショナ)
25 リレー
25a コイル
25b 接点
30 電源部
40 RCC電源
40A 補助電源
41 トランス
43 ダイオード
44 コンデンサ
50,50A リレー駆動回路
51,54 コンデンサ
52,53,56 ダイオード
55,57 第1、第2スイッチ素子
59 パルストランス
図1
図2
図3
図4
図5