(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記規制体(50A,50B,80A,80B,110A,110B,120A,120B,140A,140B)は、前記ファスナーテープ(30A,30B,71A,71B,141A,141B)の幅方向において前記ファスナーエレメント列(40A,40B,142A,142B)から間隔を隔てた位置で前記ファスナーテープ(30A,30B,71A,71B,141A,141B)に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のファスナーストリンガー。
前記規制体(80A,80B)は、前記ファスナーテープ(71A,71B)に取り付けられた取付片部(81)と、前記ファスナーテープ(71A,71B)との間に前記表皮材(2(2A,2B))の縁部(3A,3B)を挟む空間(21)を形成する本体片部(82)と、前記取付片部(81)および前記本体片部(82)に連続した折曲可能な折曲片部(83)とを有している
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のファスナーストリンガー。
前記規制体(100A,100B)は、前記ファスナーテープ(91A,91B)に対して独立した部材であって、前記ファスナーテープ(91A,91B)との間に前記表皮材(2(2A,2B))の縁部(3A,3B)を挟む空間(21)を形成する位置で当該ファスナーテープ(91A,91B)に連結可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のファスナーストリンガー。
前記規制体(110A,110B)は、前記ファスナーテープ(30A,30B,71A,71B,91A,91B,141A,141B)の長手方向に沿って帯状に形成されており、
前記規制体(110A,110B)の少なくとも一方の側縁部(51,52)には、前記規制体(110A,110B)の長手方向に沿って並設された規制体溝部(111)が形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のファスナーストリンガー。
前記規制体(120A,120B)は、前記ファスナーテープ(30A,30B,71A,71B,91A,91B,141A,141B)の長手方向に沿って間隔を隔てて並設された複数の規制部材(122(122A,122B))によって構成されており、
前記複数の規制部材(122(122A,122B))のうち、前記ファスナーテープ(30A,30B,71A,71B,91A,91B,141A,141B)と前記規制体(120A,120B)との間に前記表皮材(2(2A,2B))の縁部(3A,3B)を挟む空間(21)が形成された状態で左右内側に配置される側縁部(123)同士の間隔寸法(C1)は、当該側縁部(123)よりも左右外側に配置される部分同士の間隔寸法(C2)よりも小さい
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のファスナーストリンガー。
前記規制体(140A,140B)が前記ファスナーテープ(30A,30B,71A,71B,91A,91B,141A,141B)との間に前記表皮材(2(2A,2B))を挟む空間(21)を形成する位置にある状態で、前記規制体(140A,140B)との間に前記表皮材(2(2A,2B))の縁部(3A,3B)および前記ファスナーテープ(30A,30B,71A,71B,91A,91B,141A,141B)を挟む位置に支え部(130)を有している
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のファスナーストリンガー。
左右一対のファスナーストリンガー(20A,20B,70A,70B,90A,90B)と、前記左右一対のファスナーストリンガー(20A,20B,70A,70B,90A,90B)を連結するスライダー(60)とを備えており、
前記左右一対のファスナーストリンガー(20A,20B,70A,70B,90A,90B)は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載したファスナーストリンガー(20A,20B,70A,70B,90A,90B)によってそれぞれ構成されている
ことを特徴とするスライドファスナー。
左右一対のファスナーストリンガー(20A,20B,70A,70B,90A,90B)と、前記左右一対のファスナーストリンガー(20A,20B,70A,70B,90A,90B)が取り付けられる左右の表皮材(2(2A,2B))とによって構成されており、
前記左右一対のファスナーストリンガー(20A,20B,70A,70B,90A,90B)は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載したファスナーストリンガー(20A,20B,70A,70B,90A,90B)によってそれぞれ構成されており、
前記左右の表皮材(2(2A,2B))は、その縁部(3A,3B)が前記左右一対のファスナーストリンガー(20A,20B,70A,70B,90A,90B)におけるファスナーテープ(30A,30B,71A,71B,141A,141B)と規制体(50A,50B,80A,80B,100A,100B,110A,110B,120A,120B,140A,140B)との間に挟まれていると共に、当該縁部(3A,3B)から折り返されて前記規制体(50A,50B,80A,80B,100A,100B,110A,110B,120A,120B,140A,140B)を覆っている
ことを特徴とするファスナーストリンガー取付構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のスライドファスナーでは、左右のファスナーテープが離間することは規制部材によって規制されるが、左右のファスナーテープにそれぞれ取り付けられる表皮材同士が左右方向へ離間すること自体は規制部材によって規制されない。
このため、左右の表皮材に左右方向へ離間する力が加えられた際に左右の表皮材の間に間隙が形成されてファスナーテープが外部に露出するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、表皮材同士が離間することを抑制できるファスナーストリンガー、スライドファスナーおよびファスナーストリンガー取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のファスナーストリンガーは、表皮材に取り付けられるファスナーストリンガーであって、ファスナーテープと、前記ファスナーテープに固定されたファスナーエレメント列と、前記ファスナーテープの長手方向に沿った規制体とを備えており、前記規制体は、前記ファスナーテープとの間に前記表皮材の縁部を挟む空間を形成可能に構成されることを特徴とする。
本発明のファスナーストリンガーによれば、表皮材の縁部をファスナーテープと規制体との間に挟むことで、表皮材の縁部を保持することができ、また、表皮材をその縁部から規制体の表側に折り返すことで、ファスナーストリンガーを表皮材の表側に露出させない配置にできる。
更に、左右一対のファスナーストリンガーのファスナーエレメント列同士が噛合した状態では左右の表皮材は隣接してファスナーテープを覆って位置し、当該左右の表皮材に左右方向へ離間する力が加えられても、規制体によって表皮材自体の前記離間する移動を規制することで、左右の表皮材同士の離間を抑制することができ、ファスナーテープが外部に露出するおそれを低減できる。
なお、表皮材の保持強度は、表皮材の縁部がファスナーテープおよび規制体に縫製等によって連結されることで高められる。
【0007】
本発明のファスナーストリンガーでは、前記規制体は、前記ファスナーテープの幅方向において前記ファスナーエレメント列から間隔を隔てた位置で前記ファスナーテープに取り付けられていてもよい。
このような構成によれば、ファスナーエレメント列、ファスナーテープおよび規制体が連続したファスナーストリンガーを構成することができ、例えば表皮材への取付け前においては、ファスナーテープに対して規制体が別個独立の部材とされるファスナーストリンガーと比べて、取り扱いが容易である。
また、ファスナーテープを折り返すだけで、ファスナーテープと規制体との間に表皮材の縁部を挟む空間を簡単に形成することができる。
【0008】
本発明のファスナーストリンガーでは、前記規制体は、前記ファスナーテープに取り付けられた取付片部と、前記ファスナーテープとの間に前記表皮材の縁部を挟む空間を形成する本体片部と、前記取付片部および前記本体片部に連続した折曲可能な折曲片部とを有していてもよい。
このような構成によれば、ファスナーテープを折り返さなくても、規制体の折曲片部を折曲することで取付片部から本体片部を折り返すことができ、これにより、本体片部とファスナーテープとの間に表皮材の縁部を挟む空間を簡単に形成することができる。
また、ファスナーテープを折り返す場合と比べて、折り返す位置が規制体の折曲片部に明確に定められるので、一対のファスナーストリンガー同士で折り返す位置がバラつくことをなくし得る。
【0009】
本発明のファスナーストリンガーでは、前記規制体は、前記ファスナーテープに対して独立した部材であって、前記ファスナーテープとの間に前記表皮材の縁部を挟む空間を形成する位置で当該ファスナーテープに連結可能に構成されていてもよい。
このような構成によれば、例えば規制体がファスナーテープに取り付けられている場合と比べて、表皮材の縁部を挟む空間を形成するためにファスナーテープや規制体を折り返す必要がないので、ファスナーテープの幅寸法に制限されずに規制体を自由に配置できる。また、規制体を、ファスナーテープとの間に表皮材の縁部を挟む空間を形成する位置でファスナーテープに対して縫製等によって連結することで、規制体自体を移動制限することができ、当該規制体によって表皮材が左右方向へ離間する移動を規制することができる。
【0010】
本発明のファスナーストリンガーでは、前記規制体は、前記ファスナーテープの長手方向に沿って帯状に形成されており、前記規制体の少なくとも一方の側縁部には、前記規制体の長手方向に沿って並設された規制体溝部が形成されていてもよい。
このような構成によれば、前述した規制体溝部が規制体に並設されることで、規制体に幅寸法が小さい部分が形成されるので、帯状の規制体の左右への曲げ変形が容易となる。これにより、例えば左右の表皮材同士を湾曲形状で繋ぐ場合には、表皮材の縁部の湾曲形状に沿って規制体を容易に湾曲させることができる。
なお、規制体溝部は、規制体の幅方向における左右内側および左右外側のいずれの側縁部に形成されていてもよく、また、規制体の幅方向における左右両側の側縁部に形成されていてもよい。
【0011】
本発明のファスナーストリンガーでは、前記規制体の一方の側縁部には、前記規制体溝部が形成されており、前記規制体の他方の側縁部は、当該規制体の長手方向に沿って連続しており、前記規制体の一方の側縁部は、前記ファスナーテープと前記規制体との間に前記表皮材を挟む空間が形成された状態で左右外側に配置されてもよい。
このような構成によれば、例えば左右の表皮材同士を湾曲形状で繋ぐ場合、規制体の一方の側縁部に規制体溝部が形成されているので、表皮材の縁部の湾曲形状に沿って規制体を容易に湾曲させることができる。
更に、規制体溝部は、ファスナーテープと規制体との間に表皮材を挟む空間が形成された状態で左右外側に配置されるので、規制体の連続した他方の側縁部が左右内側に配置されることとなり、左右の表皮材に左右方向へ離間する力が加えられても、規制体の連続した他方の側縁部で表皮材を受けることができ、表皮材が規制体溝部に食い込んで表皮材に意図しない窪み等が形成されることがない。これにより、左右の表皮材が湾曲形状に繋がれる部分に前述した窪み等が形成されることなくフラットな外観を構成することができる。
【0012】
本発明のファスナーストリンガーでは、前記規制体は、前記ファスナーテープの長手方向に沿って間隔を隔てて並設された複数の規制部材によって構成されており、前記複数の規制部材のうち、前記ファスナーテープと前記規制体との間に前記表皮材の縁部を挟む空間が形成された状態で左右内側に配置される側縁部同士の間隔寸法は、当該側縁部よりも左右外側に配置される部分同士の間隔寸法よりも小さくてもよい。
このような構成によれば、複数の規制部材が間隔を隔てて並設されることで、例えば帯状の規制体と比べて、ファスナーストリンガーを容易に曲げ変形することができる。これにより、例えば左右の表皮材同士を湾曲形状で繋ぐ場合には、表皮材の縁部の湾曲形状に沿ってファスナーストリンガーを容易に湾曲させることができる。
また、複数の規制部材の前述した左右内側の側縁部同士の間隔寸法が、当該側縁部よりも左右外側に配置される部分同士の間隔寸法よりも小さいので、左右の表皮材に左右方向へ離間する力が加えられても、複数の規制部材の前述した左右内側の側縁部同士の間に表皮材が食い込みにくく、表皮材に意図しない窪み等が形成されることを抑制できる。これにより、左右の表皮材が湾曲形状に繋がれる部分に前述した窪み等が形成されることを抑えてフラットな外観を構成することができる。
更に、複数の規制部材によって規制体を構成することで、例えば帯状に連続した規制体と比べて連続部分をなくすことができ、材料コストを低減することができる。
【0013】
本発明のファスナーストリンガーは、前記規制体が前記ファスナーテープとの間に前記表皮材を挟む空間を形成する位置にある状態で、前記規制体との間に前記表皮材の縁部および前記ファスナーテープを挟む位置に支え部を有していてもよい。
このような構成によれば、左右の表皮材に左右方向に離間する力が加えられた場合には、規制体はその左右内側の側縁部が浮き上がり且つ左右外側の側縁部が沈み込むように傾こうとするが、支え部によって規制体を支えることで前記傾きを抑制することができ、左右の表皮材が突き合わされた状態を保持できる。
【0014】
本発明のスライドファスナーは、左右一対のファスナーストリンガーと、前記左右一対のファスナーストリンガーを連結するスライダーとを備えており、前記左右一対のファスナーストリンガーは、前述した本発明のファスナーストリンガーによってそれぞれ構成されていることを特徴とする。
本発明のスライドファスナーによれば、前述した本発明のファスナーストリンガーによる作用効果と同様の作用効果を発揮可能なスライドファスナーを構成することができる。
【0015】
本発明のファスナーストリンガー取付構造は、左右一対のファスナーストリンガーと、前記左右一対のファスナーストリンガーが取り付けられる左右の表皮材とによって構成されており、前記左右一対のファスナーストリンガーは、前述した本発明のファスナーストリンガーによってそれぞれ構成されており、前記左右の表皮材は、その縁部が前記左右一対のファスナーストリンガーにおけるファスナーテープと規制体との間に挟まれていると共に、当該縁部から折り返されて前記規制体を覆っていることを特徴とする。
本発明のファスナーストリンガー取付構造によれば、前述した本発明のファスナーストリンガーと同様の作用効果を発揮可能なファスナーストリンガー取付構造を構成することができる。なお、左右一対のファスナーストリンガーは、これらのファスナーエレメント列にスライダーが通されることによって連結される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、表皮材同士が離間することを抑制できるファスナーストリンガー、スライドファスナーおよびファスナーストリンガー取付構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図2〜
図4において、第1実施形態に係るスライドファスナー10は、
図1に示す自動車シート1のシートカバーを構成する表皮材2(2A,2B)同士を繋ぐものである。
以下の説明において、スライドファスナー10の長さ方向をX軸方向とし、スライドファスナー10の左右方向をY軸方向とし、スライドファスナー10の厚さ方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交している。
【0019】
スライドファスナー10は、
図1〜3に示すように、Y軸方向で互いに対向する一対の第一ファスナーストリンガー20Aおよび第二ファスナーストリンガー20Bと、第一ファスナーストリンガー20Aおよび第二ファスナーストリンガー20Bを連結するスライダー60(
図1参照)とを備えている。
スライダー60は、スライド移動によって後述するファスナーエレメント列40A,40Bを連結するものであり、本実施形態ではファスナーエレメント列40A,40Bの端部から取外し可能である。
図2,3に示すように、第一ファスナーストリンガー20Aおよび第二ファスナーストリンガー20Bが連結した状態では、左右の表皮材2A,2Bは互いに当接している。
【0020】
第一ファスナーストリンガー20Aは、
図4に示すように、X軸方向に延びたファスナーテープ30Aと、ファスナーテープ30Aに固定されたファスナーエレメント列40Aと、ファスナーテープ30Aの長手方向(X軸方向)に沿った規制体50Aとを備えている。
【0021】
ファスナーテープ30Aは可撓性を有しており、折り返し等の曲げ変形が可能である。ファスナーテープ30Aの幅方向(Y軸方向)における一方の側縁部31には、ファスナーエレメント列40Aが縫糸8によって縫い付けられている。ファスナーテープ30Aの幅方向における他方の側縁部32には、規制体50Aが取り付けられている。ファスナーテープ30Aのうち側縁部31,32間にあるテープ本体部33は、
図4に示す幅寸法W1を有している。
【0022】
ファスナーエレメント列40Aは、合成樹脂製のモノフィラメントからコイル状に成形された線状エレメントによって構成されており、第二ファスナーストリンガー20Bのファスナーエレメント列40Bと噛合する。
【0023】
規制体50Aは、ポリアミド、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート等の硬質の合成樹脂によって帯状に形成されているが、表皮材2Aの曲げ変形に対応して曲げ変形する程度の可撓性を有している。
規制体50Aの幅方向における一方の側縁部51には、ファスナーテープ30Aの側縁部32が取り付けられている。規制体50Aの幅方向における他方の側縁部52は自由端縁となっている。規制体50Aは、ファスナーエレメント列40Aに対してY軸方向における間隔を隔てて配置されている。
規制体50Aの幅寸法W2は、テープ本体部33の幅寸法W1に対して同等以下の寸法とされている。このため、ファスナーテープ30Aの側縁部32が
図3に示すように折り返された状態では、規制体50Aはテープ本体部33の幅寸法W1内に納まって配置される。
【0024】
以上の第一ファスナーストリンガー20Aは、次の取付手順によって表皮材2Aに取り付けられる。
まず、
図4に示す状態の第一ファスナーストリンガー20Aを準備する。ファスナーテープ30Aの側縁部31は、テープ本体部33の裏面36側に折り返されており、規制体50Aは、テープ本体部33とY軸方向に沿っている。続いて、ファスナーテープ30Aのテープ本体部33における表面35を表皮材2Aの縁部3Aにおける表面5に沿って配置する。
【0025】
次に、
図5に示すように、ファスナーテープ30Aの側縁部32をテープ本体部33の表面35側に折り返して規制体50Aとテープ本体部33との間に空間21を形成する。このとき、規制体50Aの側縁部51は左右外側に位置し、側縁部52は左右内側に位置する。空間21には表皮材2Aの縁部3Aが配置される。表皮材2Aの縁部3Aは、テープ本体部33および規制体50Aに挟まれて圧縮変形され、この状態で、規制体50Aおよびファスナーテープ30Aと共に縫糸9(
図3参照)によって縫い付けられる。
ここで、縫糸9は規制体50Aの側縁部52とテープ本体部33の側縁部31側の部分とを表皮材2Aの縁部3Aを介して縫い付けることで、規制体50Aがテープ本体部33に対して左右外側へ位置ズレしにくいように規制体50Aとファスナーテープ30Aとを連結しているが、このような縫い付けに限定されず、規制体50Aとファスナーテープ30Aとが表皮材2Aの縁部3Aを介して縫い付けられていればよい。以下に説明する第2、第3実施形態でも同様である。
【0026】
最後に、表皮材2Aをその縁部3Aから折り返して、規制体50Aを表側(
図3においてZ軸方向における上側)から覆う。このようにして第一ファスナーストリンガー20Aを表皮材2Aに取り付け、第一ファスナーストリンガー20Aおよび表皮材2Aによってファスナーストリンガー取付構造11Aが構成される(
図2,3参照)。
【0027】
第二ファスナーストリンガー20Bは、
図2,3に示すように、第一ファスナーストリンガー20Aのファスナーテープ30A、ファスナーエレメント列40Aおよび規制体50Aと同様に形成されたファスナーテープ30B、ファスナーエレメント列40Bおよび規制体50Bを備えており、第一ファスナーストリンガー20Aに対して左右逆向きに構成されている。
第二ファスナーストリンガー20Bの表皮材2Bへの取付手順は、前述した第一ファスナーストリンガー20Aの表皮材2Aへの取付手順と同様であり、第二ファスナーストリンガー20Bおよび表皮材2Bによってファスナーストリンガー取付構造11Bが構成される。
【0028】
[第1実施形態の効果]
(1)第1実施形態では、第一ファスナーストリンガー20Aは、ファスナーテープ30Aと、ファスナーテープ30Aに固定されたファスナーエレメント列40Aと、ファスナーテープ30Aの長手方向に沿った規制体50Aとを備えており、規制体50Aは、ファスナーテープ30Aとの間に表皮材2Aの縁部3Aを挟む空間21を形成可能に構成される。
上記構成を有するため、表皮材2Aの縁部3Aをファスナーテープ30Aと規制体50Aとの間に挟むことで、表皮材2Aの縁部3Aを保持することができ、また、表皮材2Aをその縁部3Aから規制体50Aの表側に折り返すことで、第一ファスナーストリンガー20Aを表皮材2Aの表側に露出させない配置にできる。
(2)第二ファスナーストリンガー20Bは、ファスナーテープ30Bと、ファスナーテープ30Bに固定されたファスナーエレメント列40Bと、ファスナーテープ30Bの長手方向に沿った規制体50Bとを備えており、規制体50Bは、ファスナーテープ30Bとの間に表皮材2Bの縁部3Bを挟む空間21を形成可能に構成される。
このように、第二ファスナーストリンガー20Bは、第一ファスナーストリンガー20Aと同様に構成されているので、第一ファスナーストリンガー20Aと同様に前述した作用効果を発揮することができる。
(3)更に、第一ファスナーストリンガー20Aおよび第二ファスナーストリンガー20Bのファスナーエレメント列40A,40B同士が噛合した状態では左右の表皮材2A,2Bは隣接してファスナーテープ30A,30Bを覆って位置し、左右の表皮材2A,2Bに左右方向(Y軸方向)へ離間する力が加えられても、規制体50A,50Bによって表皮材2A,2B自体の前記離間する移動を規制することで、左右の表皮材2A,2B同士の離間を抑制することができ、ファスナーテープ30A,30Bが外部に露出するおそれを低減できる。
【0029】
(4)規制体50Aは、ファスナーテープ30Aの幅方向においてファスナーエレメント列40Aから間隔を隔てた位置でファスナーテープ30Aに取り付けられており、規制体50Bは、ファスナーテープ30Bの幅方向においてファスナーエレメント列40Bから間隔を隔てた位置でファスナーテープ30Bに取り付けられている。
このため、ファスナーエレメント列40A、ファスナーテープ30Aおよび規制体50Aが連続した第一ファスナーストリンガー20Aと、ファスナーエレメント列40B、ファスナーテープ30Bおよび規制体50Bが連続した第二ファスナーストリンガー20Bとを構成することができ、例えば表皮材2への取付け前においては、ファスナーテープに対して規制体が別個独立の部材とされるファスナーストリンガーと比べて、取り扱いが容易である。
また、ファスナーテープ30A,30Bの側縁部32を表側に折り返すだけで、ファスナーテープ30A,30Bと規制体50A,50Bとの間に表皮材2A,2Bの縁部3A,3Bを挟む空間21を簡単に形成することができる。
【0030】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
図6〜
図8において、第2実施形態に係るスライドファスナー10Bは、表皮材2A,2B同士を繋ぐものであり、Y軸方向において互いに対向する一対の第一ファスナーストリンガー70Aおよび第二ファスナーストリンガー70Bと、前述したスライダー60(
図1参照)とを備えている。
図6,7に示すように、第一ファスナーストリンガー70Aおよび第二ファスナーストリンガー70Bが連結した状態では、左右の表皮材2A,2Bは互いに当接している。
【0031】
第一ファスナーストリンガー70Aは、ファスナーテープ71Aと、ファスナーテープ71Aに固定された前述したファスナーエレメント列40Aと、ファスナーテープ71Aの長手方向(X軸方向)に沿った規制体80Aとを備えている。
【0032】
ファスナーテープ71Aは、前述したファスナーテープ30Aと概略同様に構成されているが、ファスナーテープ30Aの幅寸法よりも小さい幅寸法とされている。
図7に示すように、ファスナーテープ71Aの幅方向における一方の側縁部72にはファスナーエレメント列40Aが縫糸8によって縫い付けられており、ファスナーテープ71Aの幅方向における他方の側縁部73には、規制体80Aが取り付けられている。なお、ファスナーテープ71Aの側縁部72,73間にはテープ本体部74があり、ファスナーテープ71Aの側縁部72は、テープ本体部74の裏面76側に折り返されている。
【0033】
規制体80Aは、ポリアミド、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート等の硬質の合成樹脂によって帯状に形成されているが、表皮材2Aの曲げ変形に対応して曲げ変形する程度の可撓性を有している。規制体80Aは、ファスナーテープ71Aに取り付けられた取付片部81と、ファスナーテープ71Aとの間に表皮材2Aの縁部3Aを挟む空間21を形成する本体片部82と、取付片部81および本体片部82に連続した折曲片部83とを有している。
【0034】
規制体80Aのうち
図8において上方にある面86は、取付片部81、本体片部82および折曲片部83に渡って面一に形成されている。規制体80Aのうち
図8および
図9(A)において下方にある面87は、その折曲片部83に対応する面部873が取付片部81および本体片部82に対応する面部871,872よりも上方に窪んで形成されている。これにより、折曲片部83の厚さ寸法T3は、取付片部81および本体片部82の厚さ寸法T1,T2よりも小さくされて、取付片部81および本体片部82よりも表側に曲げ変形しやすい形状とされている。
ここで、規制体80Aは、その面87のうち折曲片部83に対応する面部873だけが窪んで形成されているが、例えば
図9(B)に示すように、規制体80Aの面86のうち折曲片部83に対応する面部863が取付片部81および本体片部82に対応する面部861,862よりも下方に窪んで形成されていてもよく、面部873のY軸方向における幅寸法W5は面部861のY軸方向における幅寸法W6よりも大きくされてもよい。この場合には、規制体80Aの折曲片部83を
図10に示すように面86側に折り返した際に、折曲片部83の面部873には引張応力が生じるが、前述したように面部873が窪んで形成されているので、面部873が窪んで形成されていない場合と比べて小さな引張応力となる。一方、折曲片部83の面部863には、圧縮応力が生じるが、前述したように面部863が窪んで形成されているので、面部863が窪んで形成されていない場合と比べて小さな圧縮応力となる。このため、折曲片部83を小さな力で折り曲げることができる。
図9(B)においては、面部873の幅寸法W5が面部863の幅寸法W6よりも大きい寸法とされているが、例えば
図9(C)に示すように、幅寸法W5,W6同士が同じ寸法とされてもよい。この場合には、規制体80Aを表向きおよび裏向きのいずれで用いても同様に折り曲げることができる。
なお、
図9(A)や
図9(B)に示す規制体80Aであっても、表向きおよび裏向きのいずれで用いても折り曲げることができ、面部873や面部863が窪んで形成されていない場合と比べて容易に折り曲げることができる。
なお、本実施形態では、取付片部81および本体片部82の厚さ寸法T1,T2は等しい寸法とされている。また、
図10に示すように、本体片部82の幅寸法W3は、取付片部81の幅寸法W4よりも大きくされている。
この規制体80Aの幅方向における一方の側縁部88(取付片部81における側縁部)は、ファスナーテープ71Aの側縁部73に取り付けられている。また、規制体80Aの幅方向における他方の側縁部89(本体片部82における側縁部)は自由端縁となっている。
【0035】
以上の第一ファスナーストリンガー70Aは、次の取付手順によって表皮材2Aに取り付けられる。
まず、
図8に示す状態の第一ファスナーストリンガー70A(規制体80AがY軸方向に沿って広がった状態の第一ファスナーストリンガー70A)を準備し、続いて、ファスナーテープ71Aのテープ本体部74および側縁部73の表面75を表皮材2Aの縁部3Aにおける表面5に沿って配置する。
【0036】
次に、
図10に示すように、規制体80Aの折曲片部83を面86側に折り返して規制体80Aとテープ本体部74との間に空間21を形成する。このとき、規制体80Aの側縁部89(本体片部82の側縁部)は、折曲片部83よりも左右内側に位置する。空間21には表皮材2Aの縁部3Aが配置される。表皮材2Aの縁部3Aは、ファスナーテープ71Aおよび取付片部81と本体片部82とに挟まれて圧縮変形され、この状態で、本体片部82およびファスナーテープ71Aと共に縫糸9(
図7参照)によって縫い付けられる。
【0037】
最後に、表皮材2Aをその縁部3Aから折り返して、規制体80Aを表側(
図7においてZ軸方向における上側)から覆う。このようにして第一ファスナーストリンガー70Aを表皮材2Aに取り付け、第一ファスナーストリンガー70Aおよび表皮材2Aによってファスナーストリンガー取付構造12Aが構成される(
図6,7参照)。
【0038】
第二ファスナーストリンガー70Bは、
図6,7に示すように、ファスナーテープ71Bと、ファスナーテープ71Bに固定された前述したファスナーエレメント列40Bと、ファスナーテープ71Bの長手方向(X軸方向)に沿った規制体80Bとを備えている。ファスナーテープ71Bおよび規制体80Bは、第一ファスナーストリンガー70Aのファスナーテープ71Aおよび規制体80Aと同様に形成されている。この第二ファスナーストリンガー70Bは第一ファスナーストリンガー70Aに対して左右逆向きに構成されている。
第二ファスナーストリンガー70Bの表皮材2Bへの取付手順は、前述した第一ファスナーストリンガー70Aの表皮材2Aへの取付手順と同様であり、第二ファスナーストリンガー70Bおよび表皮材2Bによってファスナーストリンガー取付構造12Bが構成される。
【0039】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態のスライドファスナー10Bは、第1実施形態のスライドファスナー10と同様の作用効果を発揮することができる。更に、第2実施形態のスライドファスナー10Bでは、以下の作用効果を発揮することができる。
【0040】
(1)規制体80Aは、ファスナーテープ71Aに取り付けられた取付片部81と、ファスナーテープ71Aとの間に表皮材2Aの縁部3Aを挟む空間21を形成する本体片部82と、取付片部81および本体片部82に連続した折曲可能な折曲片部83とを有している。
このため、ファスナーテープ71Aを折り返さなくても、規制体80Aの折曲片部83を折曲することで取付片部81から本体片部82を折り返すことができ、これにより、本体片部82とファスナーテープ71Aとの間に表皮材2Aの縁部3Aを挟む空間21を簡単に形成することができる。規制体80Bにおいても、規制体80Aと同様に、取付片部81、本体片部82および折曲片部83を有しているので、前述した作用効果を発揮することができる。
また、ファスナーテープ71Aを折り返す場合と比べて、折り返す位置が規制体80Aの折曲片部83に明確に定められるので、第一ファスナーストリンガー70Aと第二ファスナーストリンガー70Bとで折り返す位置がバラつくことをなくし得る。
(2)取付片部81は、ファスナーテープ71A,71Bのテープ本体部74に沿って位置するので、取付片部81の幅寸法W4に応じてファスナーテープ71Aの幅寸法を短くすることができる。
(3)また、折曲片部83の幅寸法に応じて空間21のZ軸方向における寸法を設定することができる。
【0041】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
図11〜
図13において、第3実施形態に係るスライドファスナー10Cは、表皮材2A,2B同士を繋ぐものであり、Y軸方向において互いに対向する一対の第一ファスナーストリンガー90Aおよび第二ファスナーストリンガー90Bと、前述したスライダー60(
図1参照)とを備えている。
図11,12に示すように、第一ファスナーストリンガー90Aおよび第二ファスナーストリンガー90Bが連結した状態では、左右の表皮材2A,2Bは互いに当接している。
【0042】
第一ファスナーストリンガー90Aは、ファスナーテープ91Aと、ファスナーテープ91Aに固定された前述したファスナーエレメント列40Aと、ファスナーテープ91Aの長手方向(X軸方向)に沿った規制体100Aとを備えている。
【0043】
ファスナーテープ91Aは、ファスナーテープ30Aと同様に構成されているが、ファスナーテープ91Aの側縁部32には規制体100Aが取り付けられていない。
規制体100Aは、規制体50Aと同様に構成されているが、規制体100Aの側縁部51は、ファスナーテープ91Aの側縁部32に取り付けられていない。
このため、規制体100Aは、
図13に示すように第一ファスナーストリンガー90Aが表皮材2Aに取り付けられていない状態では、ファスナーテープ91Aに対して別個に独立した部材となっている。
【0044】
以上の第一ファスナーストリンガー90Aは、次の取付手順によって表皮材2Aに取り付けられる。
まず、
図13に示す状態の第一ファスナーストリンガー90Aを準備し、続いて、ファスナーテープ91Aのテープ本体部33の表面35を表皮材2Aの縁部3Aにおける表面5に沿って配置する。
【0045】
次に、
図14に示すように、規制体100Aを表皮材2Aの縁部3Aにおける裏面6に沿って配置し、テープ本体部33との間に縁部3Aを挟んだ空間21を形成する。表皮材2Aの縁部3Aは、テープ本体部33と規制体100Aとの間に挟まれて圧縮変形され、この状態で、テープ本体部33および規制体100Aと共に縫糸9(
図12参照)によって縫い付けられる。
【0046】
最後に、表皮材2Aをその縁部3Aから折り返して、規制体100Aを表側(
図12においてZ軸方向における上側)から覆う。このようにして第一ファスナーストリンガー90Aを表皮材2Aに取り付け、第一ファスナーストリンガー90Aおよび表皮材2Aによってファスナーストリンガー取付構造13Aが構成される(
図11,12参照)。
【0047】
第二ファスナーストリンガー90Bは、
図11,12に示すように、ファスナーテープ91Bと、ファスナーテープ91Bに固定された前述したファスナーエレメント列40Bと、ファスナーテープ91Bの長手方向(X軸方向)に沿った規制体100Bとを備えている。ファスナーテープ91Bおよび規制体100Bは、第一ファスナーストリンガー90Aのファスナーテープ91Aおよび規制体100Aと同様に形成されている。この第二ファスナーストリンガー90Bは第一ファスナーストリンガー90Aに対して左右逆向きに構成されている。
第二ファスナーストリンガー90Bの表皮材2Bへの取付手順は、前述した第一ファスナーストリンガー90Aの表皮材2Aへの取付手順と同様であり、第二ファスナーストリンガー90Bおよび表皮材2Bによってファスナーストリンガー取付構造13Bが構成される(
図11,12参照)。
【0048】
[第3実施形態の効果]
第3実施形態のスライドファスナー10Cは、第1実施形態のスライドファスナー10と概略同様の作用効果を発揮するが、第一ファスナーストリンガー90Aおよび第二ファスナーストリンガー90Bが表皮材2A,2Bに取り付けられていない状態では、規制体100A,100Bがファスナーテープ91A,91Bに取り付けられていない独立した部材となっているので、第1実施形態のように第一ファスナーストリンガー20Aおよび第二ファスナーストリンガー20Bの単体での取り扱いが容易であるという作用効果を発揮しない。
その代わりに、規制体100A,100Bが独立した部材であるので、ファスナーテープ91A,91Bの幅寸法などに制限されずに規制体100A,100Bを自由に配置でき、表皮材2A,2Bの縁部3A,3Bを挟む空間21を形成することができる。
また、規制体100A,100Bを、ファスナーテープ91A,91Bとの間に表皮材2A,2Bの縁部3A,3Bを挟む空間21を形成する位置でファスナーテープ91A,91Bに対して縫製等によって連結することで、規制体100A,100B自体を移動制限することができ、当該規制体100A,100Bによって表皮材2A,2Bが左右方向へ離間する移動を規制することができる。
【0049】
[変形例]
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
例えば、第1〜第3実施形態では、X軸方向に沿って帯状に形成された規制体50A,50B,80A,80B,100A,100Bに溝部等は形成されていないが、例えばこれらに代えて、
図15示す第1変形例のように、規制体溝部111が形成された規制体110A,110Bを備えていてもよい。なお、
図15には、説明の便宜上、第1実施形態と同様のファスナーテープ30A,30Bを示しているが、側縁部32に規制体110A,110Bが取り付けられていなくてもよい。
【0050】
図15に示す規制体110Aは、X軸方向に沿って帯状に形成されており、
図15において左右内側に位置する側縁部52は、X軸方向に沿って連続している。
規制体溝部111は、規制体110Aのうち
図15において左右外側に位置する側縁部51から側縁部52側に向かってY軸方向に延びて形成されており、X軸方向に沿って複数並設されている。
【0051】
このような構成によれば、規制体110Aの側縁部51に形成した規制体溝部111がX軸方向に沿って並設されることで、規制体110Aの側縁部52側に幅寸法が小さい部分がX軸方向に並んで形成されるので、帯状の規制体110Aの左右への曲げ変形が容易となる。これにより、例えば左右の表皮材2A,2B同士を湾曲させて繋ぐ場合には、表皮材2Aの縁部3Aの湾曲形状に沿って規制体110Aを容易に湾曲させることができる。
また、規制体溝部111は、ファスナーテープ30Aと規制体110Aとの間に表皮材2Aを挟む空間21が形成された状態で左右外側に配置されるので、規制体110Aの連続した側縁部52が左右内側に配置されることとなり、左右の表皮材2A,2Bに左右方向へ離間する力が加えられても、規制体110Aの連続した側縁部52で表皮材2Aを受けることができ、表皮材2Aが規制体溝部111に食い込んで表皮材2Aに意図しない窪み等が形成されることがない。これにより、左右の表皮材2A,2Bが湾曲されて繋がれる部分に前述した窪み等が形成されることなくフラットな外観を構成することができる。
なお、規制体110Bも規制体110Aと同様に形成されて左右逆向きに構成されるので、前述した作用効果を発揮することができる。
【0052】
図15では、規制体110Aの左右外側の側縁部51だけに複数の規制体溝部111が形成されているが、これに限らず、例えば、複数の規制体溝部111は規制体110Aの左右内側の側縁部52だけに形成されていてもよい。また、複数の規制体溝部111は、側縁部51,52の双方に複数の規制体溝部111が形成されていてもよく、この場合、側縁部51側の複数の規制体溝部111と、側縁部52側の複数の規制体溝部111とがX軸方向に沿って互い違いに配設されていてもよい。
【0053】
また、第1〜第3実施形態では、前述した規制体50A,50B,80A,80B,100A,100Bを備えているが、これらに代えて、
図16に示す第2変形例のように、規制体110A,110Bと比べて側縁部52がX軸方向に沿って分断された規制体120A,120Bを備えていてもよい。
【0054】
図16に示す規制体120Aは、X軸方向に沿って間隔121を隔てて並設された複数の規制部材122によって構成されている。
図16に示す状態では、規制部材122の側縁部123は左右内側に位置し、規制部材122の側縁部124は左右外側に位置している。
複数の規制部材122は、X軸方向における両端部に位置する規制部材122A(端部規制部材)と、両端部の規制部材122A間に位置する複数の規制部材122B(中間規制部材)とによって構成されている。
規制部材122Aの側縁部123には、この規制部材122Aに隣り合う規制部材122B側に向かってX軸方向に延出した延出部125が形成されている。規制部材122Bの側縁部123には、X軸方向における両側に延出した延出部125が形成されている。このように各側縁部123に延出部125がそれぞれ形成されているので、複数の規制部材122の側縁部123同士の間隔寸法C1は、当該側縁部123よりも左右外側の側縁部124側の部分同士の間隔寸法C2よりも小さくなっている。
【0055】
このような構成によれば、規制体120Aの複数の規制部材122が間隔121を隔てて並設されることで、例えば帯状の規制体110Aと比べて、第一ファスナーストリンガー20A,70A,90Aを容易に左右に曲げ変形することができる。これにより、例えば左右の表皮材2A,2B同士を湾曲させて繋ぐ場合には、表皮材2Aの縁部3Aの湾曲形状に沿って第一ファスナーストリンガー20A,70A,90Aを容易に湾曲させることができる。
また、規制体120Aの複数の規制部材122の左右内側の側縁部123同士の間隔寸法C1が、左右外側に配置される部分同士の間隔寸法C2よりも小さいので、左右の表皮材2A,2Bに左右方向へ離間する力が加えられても、複数の規制部材122の左右内側の側縁部123同士の間に表皮材2Aが食い込みにくく、表皮材2Aに意図しない窪み等が形成されることを抑制できる。これにより、左右の表皮材2A,2Bが湾曲形状に繋がれる部分に前述した窪み等が形成されることを抑えてフラットな外観を構成することができる。
更に、複数の規制部材122によって規制体120Aを構成することで、X軸方向に連続させる部分をなくすことができ、材料コストを低減することができる。
なお、規制体120Bも規制体120Aと同様に形成されて左右逆向きに構成されるので、前述した作用効果を発揮することができる。
【0056】
第1〜第3実施形態では、規制体50A,50B、80A,80B,100A,100Bの左右外側における裏側(
図17に示すZ軸方向において下側)の部分には、ファスナーテープ30A,30B,91A,91Bがあるか、若しくはこれらもない構成となっているが、例えば
図17に示す第3変形例のように、前記部分に支え部130を有していてもよい。
【0057】
図17では、ファスナーテープ141A,141Bと、ファスナーテープ141A,141Bに固定されたファスナーエレメント列142A,142Bと、ファスナーテープ141A,141Bの長手方向に沿った規制体140A,140Bとを示している。
ファスナーエレメント列142A,142Bは、規制体140A,140Bの幅寸法よりも大きい幅寸法を有しており、規制体140A,140Bの左右外側における側縁部143の裏側(
図17に示すZ軸方向における下側)に位置した支え部130を構成している。
【0058】
このような構成によれば、左右の表皮材2A,2Bに左右方向に離間する力が加えられた場合には、規制体140A,140Bはその左右内側の側縁部144が表側(
図17に示すZ軸方向における上側)に浮き上がり且つ左右外側の側縁部143が裏側に沈み込むように傾こうとするが、規制体140A,140Bとの間に表皮材2A,2Bの縁部3A,3Bおよびファスナーテープ141A,141Bを挟む位置に支え部130があるので、支え部130によって規制体140A,140Bの左右外側の側縁部143を支えることで前記傾きを抑制することができ、左右の表皮材2A,2Bが突き合わされた状態を保持できる。
【0059】
なお、
図17では、規制体140A,140Bが側縁部に取り付けられたファスナーテープ141A,141Bを示しているが、このように取り付けられていなくてもよい。また、規制体140A,140Bは、前述した規制体50A,50B、80A,80B、100A,100B,110A,110B,120A,120Bのいずれかで構成されていてもよい。
更に、
図17では、ファスナーエレメント列142A,142Bによって構成されているが、これに限らず、例えば前述したファスナーエレメント列40A,40Bに対して左右外側に配設された支え部材によって支え部130が構成されていてもよい。
【0060】
第1、第2実施形態では、ファスナーテープ30A,30Bの側縁部32に規制体50A,50Bが取り付けられ、ファスナーテープ71A,71Bの側縁部73に規制体80A,80Bが取り付けられているが、側縁部32や側縁部73以外の部分に規制体50A,50Bや規制体80A,80Bが取り付けられていてもよい。
【0061】
第1、第2実施形態では、硬質の合成樹脂によって規制体50A,50B、80A,80Bを形成しているが、これに限らず、例えばファスナーテープ30A,30Bの側縁部32やファスナーテープ71A,71Bの側縁部73を固める硬化させることで規制体を構成してもよい。
【0062】
第1〜第3実施形態では、ファスナーエレメント列40A,40Bは合成樹脂製のモノフィラメントからコイル状に成形された線状エレメントによって構成されているが、これに限らず、例えば、噛合頭部を有したブロック部材がX軸方向に沿って並設されて構成されるファスナーエレメント列であってもよく、射出成形された樹脂製エレメントによって構成されるファスナーエレメント列であってもよく、また、金属製エレメントによって構成されるファスナーエレメント列であってもよく、各種のファスナーエレメント列を採用可能である。
【0063】
前述した各実施形態では、スライドファスナー10,10B,10Cは自動車シート1のシートカバーとして構成される左右の表皮材2A,2Bを繋ぐものとして説明したが、例えば、カバン、衣類や、椅子、ソファー等の家具などに用いられる左右の表皮材を繋ぐものとして用いられてもよい。