特許第6980641号(P6980641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980641
(24)【登録日】2021年11月19日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 43/00 20200101AFI20211202BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20211202BHJP
   B62K 19/30 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   B62J43/00
   B62J45/00
   B62K19/30
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-241209(P2018-241209)
(22)【出願日】2018年12月25日
(65)【公開番号】特開2020-100348(P2020-100348A)
(43)【公開日】2020年7月2日
【審査請求日】2019年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】坂根 泰樹
(72)【発明者】
【氏名】露口 誠
(72)【発明者】
【氏名】石見 修吾
(72)【発明者】
【氏名】浜渦 朗
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−076550(JP,A)
【文献】 特開2007−290564(JP,A)
【文献】 特開2012−035765(JP,A)
【文献】 特開2006−273298(JP,A)
【文献】 特開2011−162019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 43/00
B62K 19/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の動力源であるエンジン(11)と、
前記エンジン(11)の回転を利用して発電する発電機(13)と、
前記エンジン(11)を制御する第一制御ユニット(51)と、
前記第一制御ユニット(51)と別個に設けられ、前記第一制御ユニット(51)との通信により前記発電機(13)を制御する第二制御ユニット(52)と、を備え
前記エンジン(11)は、車幅方向に延在するクランクシャフト(15)を備え、
前記発電機(13)は、前記クランクシャフト(15)の車幅方向外側部に連結され、
前記第二制御ユニット(52)は、車幅方向において前記発電機(13)と同じ側に配置されていることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項2】
前記第一制御ユニット(51)は、車幅方向において前記第二制御ユニット(52)と同じ側に配置されていることを特徴とする請求項に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
車両の動力源であるエンジン(11)と、
前記エンジン(11)の回転を利用して発電する発電機(13)と、
前記エンジン(11)を制御する第一制御ユニット(51)と、
前記第一制御ユニット(51)と別個に設けられ、前記第一制御ユニット(51)との通信により前記発電機(13)を制御する第二制御ユニット(52)と
前記エンジン(11)の後部を支持するピボットプレート(24)と、
シートレール(25)と前記ピボットプレート(24)とを連結するサブフレーム(26)と、を備え、
側面視で、前記第一制御ユニット(51)および前記第二制御ユニット(52)は、車両前後方向において前記ピボットプレート(24)と前記サブフレーム(26)との間に配置されていることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項4】
ヘッドパイプ(21)と前記ピボットプレート(24)とを連結するメインフレーム(22)を更に備え、
前記シートレール(25)は、前記メインフレーム(22)の後部から後方へ延び、
側面視で、前記第一制御ユニット(51)および前記第二制御ユニット(52)は、前記メインフレーム(22)、前記シートレール(25)、前記サブフレーム(26)によって囲まれた領域に配置されていることを特徴とする請求項に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
車両の動力源であるエンジン(11)と、
前記エンジン(11)の回転を利用して発電する発電機(13)と、
前記エンジン(11)を制御する第一制御ユニット(51)と、
前記第一制御ユニット(51)と別個に設けられ、前記第一制御ユニット(51)との通信により前記発電機(13)を制御する第二制御ユニット(52)と
前記第一制御ユニット(51)と前記第二制御ユニット(52)を電気的に接続する第一ハーネス(61)と、
前記発電機(13)と前記第二制御ユニット(52)とを電気的に接続し、かつ、前記第一ハーネス(61)よりも太い第二ハーネス(62)と、を備え、
前記第二制御ユニット(52)は、前記第一制御ユニット(51)よりも前記発電機(13)に近いことを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項6】
車両の動力源であるエンジン(11)と、
前記エンジン(11)の回転を利用して発電する発電機(13)と、
前記エンジン(11)を制御する第一制御ユニット(51)と、
前記第一制御ユニット(51)と別個に設けられ、前記第一制御ユニット(51)との通信により前記発電機(13)を制御する第二制御ユニット(52)と
車体左右中心線(CL)に対して車幅方向外方にオフセットして配置されたバッテリ(53)と、を備え、
前記第一制御ユニット(51)および前記第二制御ユニット(52)は、前記車体左右中心線(CL)を挟んで前記バッテリ(53)とは反対側に配置されていることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項7】
車両の動力源であるエンジン(11)と、
前記エンジン(11)の回転を利用して発電する発電機(13)と、
前記エンジン(11)を制御する第一制御ユニット(51)と、
前記第一制御ユニット(51)と別個に設けられ、前記第一制御ユニット(51)との通信により前記発電機(13)を制御する第二制御ユニット(52)と
車幅方向中央に配置されたバッテリ(53)と、を備え、
前記第一制御ユニット(51)および前記第二制御ユニット(52)は、車体左右中心線(CL)を挟んで左右に振り分けて配置されていることを特徴とする鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗型車両において、制御ユニットを備えた構造が知られている。例えば特許文献1では、エンジンコントロールユニットがメインフレームにエアクリーナを介して取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−133047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、制御ユニットと車両部品とをハーネスで接続する場合、ハーネスを入り組んだ狭い空間の中に効率よく配置すること(配索性の向上)が要求されている。
【0005】
そこで本発明は、制御ユニットを備えた鞍乗型車両において、配索性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、車両の動力源であるエンジン(11)と、前記エンジン(11)の回転を利用して発電する発電機(13)と、前記エンジン(11)を制御する第一制御ユニット(51)と、前記第一制御ユニット(51)と別個に設けられ、前記第一制御ユニット(51)との通信により前記発電機(13)を制御する第二制御ユニット(52)と、を備え、前記エンジン(11)は、車幅方向に延在するクランクシャフト(15)を備え、前記発電機(13)は、前記クランクシャフト(15)の車幅方向外側部に連結され、前記第二制御ユニット(52)は、車幅方向において前記発電機(13)と同じ側に配置されていることを特徴とする鞍乗型車両である。
請求項2に記載した発明は前記第一制御ユニット(51)は、車幅方向において前記第二制御ユニット(52)と同じ側に配置されていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、車両の動力源であるエンジン(11)と、前記エンジン(11)の回転を利用して発電する発電機(13)と、前記エンジン(11)を制御する第一制御ユニット(51)と、前記第一制御ユニット(51)と別個に設けられ、前記第一制御ユニット(51)との通信により前記発電機(13)を制御する第二制御ユニット(52)と、前記エンジン(11)の後部を支持するピボットプレート(24)と、シートレール(25)と前記ピボットプレート(24)とを連結するサブフレーム(26)と、を備え、側面視で、前記第一制御ユニット(51)および前記第二制御ユニット(52)は、車両前後方向において前記ピボットプレート(24)と前記サブフレーム(26)との間に配置されていることを特徴とする鞍乗型車両である。
請求項4に記載した発明はヘッドパイプ(21)と前記ピボットプレート(24)とを連結するメインフレーム(22)を更に備え、前記シートレール(25)は、前記メインフレーム(22)の後部から後方へ延び、側面視で、前記第一制御ユニット(51)および前記第二制御ユニット(52)は、前記メインフレーム(22)、前記シートレール(25)、前記サブフレーム(26)によって囲まれた領域に配置されていることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、車両の動力源であるエンジン(11)と、前記エンジン(11)の回転を利用して発電する発電機(13)と、前記エンジン(11)を制御する第一制御ユニット(51)と、前記第一制御ユニット(51)と別個に設けられ、前記第一制御ユニット(51)との通信により前記発電機(13)を制御する第二制御ユニット(52)と、前記第一制御ユニット(51)と前記第二制御ユニット(52)を電気的に接続する第一ハーネス(61)と、前記発電機(13)と前記第二制御ユニット(52)とを電気的に接続し、かつ、前記第一ハーネス(61)よりも太い第二ハーネス(62)と、を備え、前記第二制御ユニット(52)は、前記第一制御ユニット(51)よりも前記発電機(13)に近いことを特徴とする鞍乗型車両である。
請求項6に記載した発明は、車両の動力源であるエンジン(11)と、前記エンジン(11)の回転を利用して発電する発電機(13)と、前記エンジン(11)を制御する第一制御ユニット(51)と、前記第一制御ユニット(51)と別個に設けられ、前記第一制御ユニット(51)との通信により前記発電機(13)を制御する第二制御ユニット(52)と、車体左右中心線(CL)に対して車幅方向外方にオフセットして配置されたバッテリ(53)と、を備え、前記第一制御ユニット(51)および前記第二制御ユニット(52)は、前記車体左右中心線(CL)を挟んで前記バッテリ(53)とは反対側に配置されていることを特徴とする鞍乗型車両である。
請求項7に記載した発明は、車両の動力源であるエンジン(11)と、前記エンジン(11)の回転を利用して発電する発電機(13)と、前記エンジン(11)を制御する第一制御ユニット(51)と、前記第一制御ユニット(51)と別個に設けられ、前記第一制御ユニット(51)との通信により前記発電機(13)を制御する第二制御ユニット(52)と、車幅方向中央に配置されたバッテリ(53)と、を備え、前記第一制御ユニット(51)および前記第二制御ユニット(52)は、車体左右中心線(CL)を挟んで左右に振り分けて配置されていることを特徴とする鞍乗型車両である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1、3、5−7に記載した発明によれば、エンジンを制御する第一制御ユニットと、第一制御ユニットとの通信により発電機を制御する第二制御ユニットとが別個に設けられているため、以下の効果を奏する。制御ユニットとしてエンジンおよび発電機を制御する単一の制御ユニットのみが設けられている場合と比較して、エンジンと第一制御ユニットとを接続するハーネス(以下「エンジン用ハーネス」ともいう。)、および発電機と第二制御ユニットを接続するハーネス(以下「発電機用ハーネス」ともいう。)の引き回しの自由が向上する。したがって、配索性を向上することができる。加えて、ハーネス長を考慮した最適位置に各制御ユニットを配置することができる。加えて、各制御ユニットのサイズを単一の制御ユニットよりも小さくすることができ、各制御ユニットを車両のデッドスペースに配置しやすい。加えて、各制御ユニットを独立して設計することができるため、開発コストを可及的に低減することができる。
請求項に記載した発明によれば、第二制御ユニットが車幅方向において発電機と同じ側に配置されていることで、以下の効果を奏する。第二制御ユニットが車幅方向において発電機と反対側に配置されている場合と比較して、第二制御ユニットと発電機とが近くなるため、発電機用ハーネスの配索性が向上する。
請求項に記載した発明によれば、第一制御ユニットが車幅方向において第二制御ユニットと同じ側に配置されていることで、以下の効果を奏する。第一制御ユニットが車幅方向において第二制御ユニットと反対側に配置されている場合と比較して、第一制御ユニットと第二制御ユニットとが近くなるため、第一制御ユニットと第二制御ユニットと間の通信速度が向上する。
請求項に記載した発明によれば、側面視で、第一制御ユニットおよび第二制御ユニットは、車両前後方向においてピボットプレートとサブフレームとの間に配置されていることで、以下の効果を奏する。第一制御ユニットおよび第二制御ユニットがエンジンから離れるため、エンジンの熱の影響を緩和することができる。
請求項に記載した発明によれば、側面視で、第一制御ユニットおよび第二制御ユニットは、メインフレーム、シートレール、サブフレームによって囲まれた領域に配置されていることで、以下の効果を奏する。デッドスペースを効率的に利用して、第一制御ユニットおよび第二制御ユニットをコンパクトにレイアウトすることができる。
請求項に記載した発明によれば、第一制御ユニットと第二制御ユニットを接続する第一ハーネスよりも太い第二ハーネスを介して発電機と第二制御ユニットとが接続され、第二制御ユニットが第一制御ユニットよりも発電機に近いことで、以下の効果を奏する。第一ハーネスよりも太く曲げにくい第二ハーネス(発電機用ハーネス)を可及的に短くすることができるため、より一層の配索性向上に寄与する。
請求項に記載した発明によれば、車体左右中心線に対して車幅方向外方にオフセットして配置されたバッテリを更に備え、第一制御ユニットおよび第二制御ユニットが車体左右中心線を挟んでバッテリとは反対側に配置されていることで、以下の効果を奏する。第一制御ユニット、第二制御ユニットおよびバッテリのそれぞれを車両の一側部に集約して配置した場合と比較して、車両の左右の重量バランスを保持しやすい。
請求項に記載した発明によれば、車幅方向中央に配置されたバッテリを更に備え、第一制御ユニットおよび第二制御ユニットは、車体左右中心線を挟んで左右に振り分けて配置されていることで、以下の効果を奏する。第一制御ユニットおよび第二制御ユニットのそれぞれを車両の一側部に集約して配置した場合と比較して、車両の左右の重量バランスを保持しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
図2】実施形態に係る自動二輪車のECU配置構造の左側面図である。
図3】実施形態に係るECU配置構造の上面図である。
図4】実施形態に係るECU配置構造のブロック図である。
図5】実施形態の変形例に係るECU配置構造の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UP、および車両左右中心位置を示す車体左右中心線CLが示されている。
【0010】
<車両全体>
図1は、鞍乗型車両の一例としての自動二輪車1を示す。図1を参照し、自動二輪車1は、バータイプのハンドル2によって操向される前輪3と、エンジン11を含むパワーユニット10によって駆動される後輪4とを備える。以下、自動二輪車を単に「車両」ということがある。
【0011】
ハンドル2及び前輪3を含むステアリング系部品は、車体フレーム20前端部に形成されたヘッドパイプ21に操向可能に支持されている。ヘッドパイプ21には、ハンドル2に接続された不図示のハンドル操向軸が挿通されている。車体フレーム20の前後中央部にはパワーユニット10が配置されている。
【0012】
例えば、車体フレーム20は、複数種の鋼材を溶接等により一体に結合して形成されている。車体フレーム20は、ヘッドパイプ21、メインフレーム22、ダウンフレーム23、ピボットプレート24、シートレール25およびサブフレーム26を備える。
ヘッドパイプ21は、ヘッドパイプ21の上端が後方に位置し、かつ、ヘッドパイプ21の下端が前方に位置するように傾斜している。
【0013】
メインフレーム22は、ヘッドパイプ21とピボットプレート24とを連結する。メインフレーム22は、一本のパイプをL字状に湾曲させた形状を有する。メインフレーム22は、ヘッドパイプ21から斜め後下方に延びる第一パイプ部22aと、第一パイプ部22aの後端から下方に湾曲して延びる第二パイプ部22bと、を備える。
ダウンフレーム23は、ヘッドパイプ21上のメインフレーム22との連結部の下方位置からメインフレーム22よりも急傾斜で斜め後下方に延びている。
ピボットプレート24は、左右一対設けられている。左右ピボットプレート24は、メインフレーム22の第二パイプ部22bの下端から下方に湾曲して延びている。左右ピボットプレート24の下端部同士は、車幅方向に延びるクロスパイプ(不図示)によって連結されている。
【0014】
シートレール25は、左右一対設けられている。左右シートレール25は、メインフレーム22の第一パイプ部22aの後部から後方に延びている。上面視で、シートレール25は、前端が車幅方向内方に位置し且つ後端が車幅方向に位置するように傾斜する第一レール部25aと、第一レール部25aの後端から後方に延びる第二レール部25bと、を備える(図3参照)。
サブフレーム26は、左右一対設けられている。サブフレーム26は、ピボットプレート24とシートレール25の後部とを連結する。サブフレーム26は、サブフレーム26の前端が下方に位置し、かつ、サブフレーム26の後端が上方に位置するように傾斜している。
【0015】
図3において、符号28は左右シートレール25の第一レール25a同士を連結するように車幅方向に延びる第一クロスメンバ、符号29は左右シートレール25の第二レール25b同士を連結するように車幅方向に延びる第二クロスメンバ、符号31は乗員が足を載せるための第一ステップ、符号32は乗員(パッセンジャー)が足を載せるための第二ステップ、符号33は第二ステップ32を車体フレーム20に連結するための連結フレームをそれぞれ示す。
【0016】
図1に示すように、パワーユニット10は、メインフレーム22の第一パイプ部22aの下方に配置されている。パワーユニット10は、ダウンフレーム23と左右ピボットプレート24とに挟まれた領域に配置されている。パワーユニット10は、エンジン11、変速機12および発電機13を備える。
【0017】
エンジン11は、車両の動力源である。エンジン11は、車幅方向に延在するクランクシャフト15を備える。例えば、エンジン11は、単気筒エンジンである。エンジン11は、クランクシャフト15を収容するクランクケース16と、クランクケース16の上部から斜め前上方に起立するシリンダ17と、を備える。シリンダ17は、クランクケース16の上部に一体に結合されている。
【0018】
変速機12は、クランクケース16の後部に設けられている。クランクケース16の後部は、クラッチ及びトランスミッションを収容する変速機ケースを兼ねている。変速機12は、エンジン11の動力を外部に取り出すための図示しない出力軸を備える。
【0019】
発電機13は、エンジン11の回転を利用して発電する。発電機13は、クランクシャフト15の車幅方向外端部に連結されている。クランクケース16の左側部には、発電機13を車幅方向外方から覆うカバー部材18が結合されている。例えば、発電機13は、ACG(AC Generator:交流発電機)を使ってエンジン11を始動する回転電機、いわゆるACGスタータモータである。図示はしないが、発電機13は、カバー部材18に固定されたステータと、クランクシャフト15に設けられたアウターロータと、を備える。
【0020】
パワーユニット10の前部は、ブラケット35を介してダウンフレーム23に支持されている。パワーユニット10の後部は、左右ピボットプレート24に支持されている。左右ピボットプレート24には、スイングアーム36の前端部が揺動可能に支持されている。スイングアーム36の後部には、後輪4の車軸が支持されている。変速機12の出力軸と後輪4の車軸とは、不図示のドライブチェーン等を含む動力伝達機構(例えば、チェーン式伝動機構)を介して連結されている。スイングアーム36の後部と、車体フレーム20の後部との間には、リアサスペンション37が介装されている。
【0021】
シリンダ17の上方には、燃料タンク7が配置されている。燃料タンク7は、メインフレーム22を上方から覆うように設けられている。燃料タンク7の後方のシートレール25上には、乗員が着座するためのシート8が配置されている。シート8は、前後方向に延びている。シート8の前部は、燃料タンク7の後部上面に支持されている。
シートレール25、メインフレーム22の第二パイプ部22b、サブフレーム26によって囲まれる領域には、エンジン11で吸入する空気を濾過するためのエアクリーナ40が配置されている。
【0022】
シリンダ17の上部(後部)には、エンジン11にエアクリーナ40を通して空気(外気)を供給するための吸気配管41が接続されている。吸気配管41は、シリンダ17から後方に向けて延びている。吸気配管41の中途部には、スロットルバルブを内装するスロットルボディ42が介装されている。
シリンダ17の上部(前部)には、エンジン11の排気を排出するための排気管43が接続されている。排気管43の下流端(後端)には、マフラ44(図3参照)が接続されている。
【0023】
図1において、符号5はフロントフォーク、符号6はフロントフェンダ、符号9は燃料タンク7の前部側面を覆う左右一対のシュラウド、符号38は燃料ポンプをそれぞれ示す。
【0024】
<ECU配置構造>
自動二輪車1は、エンジン11を制御する第一制御ユニットとしてのFI(Fuel injection;燃料噴射)−ECU51(Electronic Control Unit;電子制御ユニット)と、発電機13を制御するACG−ECU52(第二制御ユニット)と、を更に備える。
FI−ECU51は、乗員の操作に応じてイグニッションスイッチから出力される始動要求および停止要求の信号によって、エンジン11の始動および停止を制御する。
ACG−ECU52は、発電機13の発電動作を制御し、発電機13の発電量を任意に変更する。
【0025】
ACG−ECU52は、FI−ECU51と別個に設けられている。ACG−ECU52は、車幅方向において発電機13と同じ側に配置されている。FI−ECU51は、車幅方向においてACG−ECU52と同じ側に配置されている。図3に示すように、重量物であるバッテリ53は、車体左右中心線CLに対して車幅方向外方にオフセットして配置されている。バッテリ53は、車幅方向においてACG−ECU52と反対側に配置されている。
【0026】
実施形態において、FI−ECU51、ACG−ECU52および発電機13は、車両の左側部に配置されている。バッテリ53は、車両の右側部に配置されている。FI−ECU51、ACG−ECU52および発電機13は、車体左右中心線CLを挟んでバッテリ53とは反対側に配置されている。
【0027】
ACG−ECU52は、発電機13の後方に配置されている。ACG−ECU52は、FI−ECU51の前方に配置されている。ACG−ECU52は、FI−ECU51よりも発電機13に近い。側面視で、FI−ECU51およびACG−ECU52は、それぞれ矩形状の外形を有する(図2参照)。図2に示すように、FI−ECU51およびACG−ECU52は、それぞれ前傾して配置されている。
【0028】
側面視で、FI−ECU51およびACG−ECU52は、車両前後方向においてピボットプレート24とサブフレーム26との間に配置されている。側面視で、FI−ECU51およびACG−ECU52は、エアクリーナ40と重なっている。側面視で、FI−ECU51およびACG−ECU52は、メインフレーム22の第二パイプ部22b、シートレール25、サブフレーム26によって囲まれる領域に配置されている。側面視で、FI−ECU51およびACG−ECU52は、メインフレーム22、シートレール25、サブフレーム26によって形成された三角形状のスペースと重なっている。
【0029】
上面視で、FI−ECU51およびACG−ECU52は、車幅方向において左シートレール25の第一レール部25aと連結フレーム33との間に配置されている(図3参照)。図3に示すように、ACG−ECU52の後部は、FI−ECU51の前部と重なっている。
図3において符号54は、キャニスタを示す。
【0030】
図4に示すように、FI−ECU51、ACG−ECU52、発電機13、バッテリ53等の各要素は、第一ハーネス61、第二ハーネス62、第三ハーネス63、第四ハーネス64を含む導体(導線)により、下記の通り電気的に接続される。
【0031】
第一ハーネス61により、FI−ECU51とACG−ECU52とが電気的に接続されている。
第二ハーネス62により、発電機13とACG−ECU52とが電気的に接続されている。例えば、第二ハーネス62は、第一ハーネス61よりも太い。
第三ハーネス63により、バッテリ53の高電位側端子とACG−ECU52とが電気的に接続されている。例えば、第三ハーネス63は、第一ハーネス61よりも太い。例えば、第三ハーネス63は、第二ハーネス62と実質的に同じ太さを有する。
第四ハーネス64により、バッテリ53の高電位側端子とACG−ECU52とが電気的に接続されている。第四ハーネス64の中途部には、フューズ70およびスイッチング素子71が設けられている。例えば、第四ハーネス64は、第一ハーネス61よりも太い。例えば、第四ハーネス64は、第二ハーネス62よりも細い。
【0032】
図4において、符号65はFI−ECU51に接続されたメインハーネス、符号66は第一ハーネス61の中途部と発電機13とを接続するハーネス、符号67はACG−ECU52に接続された接地用のハーネス、符号68はバッテリ53の低電位側端子に接続された接地用のハーネスをそれぞれ示す。
【0033】
以上説明したように、上記実施形態の自動二輪車1は、車両の動力源であるエンジン11と、エンジン11の回転を利用して発電する発電機13と、エンジン11を制御するFI−ECU51と、FI−ECU51と別個に設けられ、発電機13を制御するACG−ECU52と、を備える。
この構成によれば、エンジン11を制御するFI−ECU51と、発電機13を制御するACG−ECU52とが別個に設けられているため、以下の効果を奏する。制御ユニットとしてエンジン11および発電機13を制御する単一の制御ユニットのみが設けられている場合と比較して、エンジン用ハーネス(第一ハーネス61)および発電機用ハーネス(第二ハーネス62)の引き回しの自由が向上する。したがって、配索性を向上することができる。加えて、ハーネス長を考慮した最適位置に各制御ユニット51,52を配置することができる。加えて、各制御ユニット51,52のサイズを単一の制御ユニットよりも小さくすることができ、各制御ユニット51,52を車両のデッドスペースに配置しやすい。加えて、各制御ユニット51,52を独立して設計することができるため、開発コストを可及的に低減することができる。
【0034】
上記実施形態では、ACG−ECU52が車幅方向において発電機13と同じ側に配置されていることで、以下の効果を奏する。ACG−ECU52が車幅方向において発電機13と反対側に配置されている場合と比較して、ACG−ECU52と発電機13とが近くなるため、発電機用ハーネスの配索性が向上する。
【0035】
上記実施形態では、FI−ECU51が車幅方向においてACG−ECU52と同じ側に配置されていることで、以下の効果を奏する。FI−ECU51が車幅方向においてACG−ECU52と反対側に配置されている場合と比較して、FI−ECU51とACG−ECU52とが近くなるため、FI−ECU51とACG−ECU52と間の通信速度が向上する。
【0036】
上記実施形態では、側面視で、FI−ECU51およびACG−ECU52は、車両前後方向においてピボットプレート24とサブフレーム26との間に配置されていることで、以下の効果を奏する。FI−ECU51およびACG−ECU52がエンジン11から離れるため、エンジン11の熱の影響を緩和することができる。
【0037】
上記実施形態では、側面視で、FI−ECU51およびACG−ECU52は、メインフレーム22、シートレール25、サブフレーム26によって囲まれた領域に配置されていることで、以下の効果を奏する。デッドスペースを効率的に利用して、FI−ECU51およびACG−ECU52をコンパクトにレイアウトすることができる。
【0038】
上記実施形態では、ACG−ECU52が発電機13の後方かつFI−ECU51の前方に配置されていることで、以下の効果を奏する。FI−ECU51が発電機13の後方かつACG−ECU52の前方に配置されている場合と比較して、ACG−ECU52と発電機13とが近くなるため、発電機13とACG−ECU52とを接続するための発電機用ハーネスの配索性が向上する。
【0039】
上記実施形態では、FI−ECU51とACG−ECU52を接続する第一ハーネス61よりも太い第二ハーネス62を介して発電機13とACG−ECU52とが接続され、ACG−ECU52がFI−ECU51よりも発電機13に近いことで、以下の効果を奏する。第一ハーネス61よりも太く曲げにくい第二ハーネス62(発電機用ハーネス)を可及的に短くすることができるため、より一層の配索性向上に寄与する。
【0040】
上記実施形態では、車体左右中心線CLに対して車幅方向外方にオフセットして配置されたバッテリ53を備え、FI−ECU51およびACG−ECU52が車体左右中心線CLを挟んでバッテリ53とは反対側に配置されていることで、以下の効果を奏する。FI−ECU51、ACG−ECU52およびバッテリ53のそれぞれを車両の一側部に集約して配置した場合と比較して、車両の左右の重量バランスを保持しやすい。
【0041】
<変形例>
上記実施形態では、バッテリ53が車体左右中心線CLに対して車幅方向外方にオフセットして配置されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、バッテリ53は、車幅方向中央に配置されていてもよい(図5参照)。図5に示すように、FI−ECU51およびACG−ECU52は、車体左右中心線CLを挟んで左右に振り分けて配置されている。FI−ECU51は、車両の右側部に配置されている。ACG−ECU52は、車両の左側部に配置されている。ACG−ECU52は、車体左右中心線CLを挟んでマフラ44とは反対側に配置されている。
【0042】
この構成によれば、車幅方向中央に配置されたバッテリ53を備え、FI−ECU51およびACG−ECU52は、車体左右中心線CLを挟んで左右に振り分けて配置されていることで、以下の効果を奏する。FI−ECU51およびACG−ECU52のそれぞれを車両の一側部に集約して配置した場合と比較して、車両の左右の重量バランスを保持しやすい。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、前記鞍乗型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)の車両も含まれる。また、本発明は、自動二輪車のみならず、自動車等の四輪の車両にも適用可能である。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 自動二輪車(鞍乗型車両)
11 エンジン
13 発電機
15 クランクシャフト
21 ヘッドパイプ
22 メインフレーム
24 ピボットプレート
25 シートレール
26 サブフレーム
51 FI−ECU(第一制御ユニット)
52 ACG−ECU(第二制御ユニット)
53 バッテリ
61 第一ハーネス
62 第二ハーネス
CL 車体左右中心線
図1
図2
図3
図4
図5