(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記PVDFは、少なくとも5g/10分、及び/又は、多くとも50g/10分、好ましくは多くとも30g/10分、更に好ましくは多くとも15g/10分のメルトフロー速度(230℃/5kg、ASTM D1238に従う)を有する、請求項1に記載の組成物(C)。
前記PVDFは、1.5dl/g未満、好ましくは1.3dl/g未満、より好ましくは1.2dl/g未満、及び/又は少なくとも0.5dl/g、好ましくは少なくとも0.7dl/g、より好ましくは少なくとも0.8dl/gの、25℃の温度で0.1M LiBrで安定化されたN,N−ジメチルホルムアミドにおいて4.0g/lで測定された固有粘度(ηi PVDF)を有する、請求項1又は2に記載の組成物(C)。
前記VDFコポリマーは、少なくとも5J/g、より好ましくは少なくとも10J/g、更により好ましくは少なくとも15J/gの融解熱を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
前記VDFコポリマーは、約0.1〜20g/10分、好ましくは約0.5〜15g/10分、より好ましくは約0.5〜10g/10分のメルトフロー速度(230℃/21.6kg、ASTM D1238)を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
前記VDFコポリマーは、上記に詳述したように測定して、少なくとも1.2dl/g、好ましくは少なくとも1.3dl/g、より好ましくは少なくとも1.4dl/g、更により好ましくは少なくとも1.5dl/gの固有粘度(ηi VDFコポリマー)を有し、且つ/又は、ηi VDFコポリマーの上限は、多くとも3.5dl/g、好ましくは多くとも3.0dl/g、より好ましくは多くとも2.5dl/gである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
前記少なくとも1つの部品は、携帯電話ハウジング、タブレットハウジング、ラップトップコンピュータハウジング、及びタブレットコンピュータハウジングからなる群から選択される携帯用電子機器の構成要素である、請求項11に記載の携帯用電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0017】
PVDF
フッ化ビニリデンホモポリマー及びPVDFという表現は、フッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位から本質的になるポリマーを示すために本発明の枠内で使用される。
【0018】
これらの構成要素がPVDFの挙動及び特性を実質的に改変することなく、上記VDFに由来する繰り返し単位に加えて、欠如、末端鎖、不純物、鎖の逆位、又は分岐等が、PVDFに更に存在することができる。
【0019】
PVDFは、VDFコポリマーより低い分子量を有するように、即ちM
VDFコポリマーがM
PVDFよりも高いことを確実にするように選択される。このようにしてPVDF及びVDFコポリマーを選択することにより、ブレンドの所定の全体の平均分子量でより良好な耐衝撃特性を達成することができる。この理論に束縛されることなく、本出願人は、長鎖がホモポリマーの長鎖ではなくVDFコポリマーの鎖である場合に、より高い分子量によって耐衝撃性にもたらされる寄与が、実質的により重要であると考える。
【0020】
「分子量」という表現は、PVDF及びVDFコポリマーに関連する場合、PVDFポリマーの分子量とVDFコポリマーの分子量との間の比較を可能にする、任意の可能な適切な技術によって測定される、上記ポリマーの平均分子量を意味することが意図される。
【0021】
従って、分子量を決定する方法は重要ではなく、但し、有意義な比較を可能にするために、上記決定をPVDF及びVDFコポリマーの両方に等しく適用することができるという条件においてである。
【0022】
分子量は、例えば、ASTM D1238に従い、メルトフロー速度(MFR)を参照して決定されることができる。この場合、M
PVDFより高いM
VDFコポリマーを必要とする条件は、同一の条件下で測定した場合に、特定のピストン荷重及び特定の温度下で測定したPVDFのMFR(MFR
PVDF)が、VDFコポリマーのMFR(MFR
VDFコポリマー)より高いことを必要とすると解釈されるべきである。
【0023】
分子量は、等しくは、例えば、特に、25℃の温度で、0.1MのLiBrで安定化されたN,N−ジメチルホルムアミドにおける4.0g/lの溶液から、例えば、Ubbelohde粘度計タイプBを用いて、固有粘度測定によって決定されることができる。
【0024】
固有粘度(η
i)は、以下のように定義される:
(式中、cは溶液におけるポリマーの濃度であり、η
cは、濃度cでの溶液の粘度であり、且つ、η
0は、上記溶液の調製に使用される溶媒の粘度である)。
【0025】
この場合、M
PVDFより高いM
VDFコポリマーを必要とする条件は、同一条件下で測定した場合に、PVDFのη
i(η
i PVDF)がVDFコポリマーのη
i(η
i VDFコポリマー)よりも低いことを必要とすると解釈されるべきである。
【0026】
一般的には、PVDFは、少なくとも5g/10分のメルトフロー速度(230℃/5kg、ASTM D1238に従う)に対応する比較的低/中程度の分子量を有する。MFRの上限は、多くとも50g/10分、好ましくは多くとも30g/10分、更に好ましくは多くとも15g/10分であることになる。
【0027】
一般的には、PVDFは、上記に詳述したように測定して、1.5dl/g未満、好ましくは1.3dl/g未満、より好ましくは1.2dl/g未満の固有粘度(η
i PVDF)を有する。η
i PVDFの下限は、少なくとも0.5dl/g、好ましくは少なくとも0.7dl/g、より好ましくは少なくとも0.8dl/gとなる。
【0028】
VDF半結晶性コポリマー
VDFコポリマーという表現は、フッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位及びHFPに由来する実質的な量の繰り返し単位を含むポリマーを示すために本発明の枠内で使用される。
【0029】
本発明の枠内で使用されるVDFコポリマーは、半結晶性である。半結晶性という用語は、検出可能な融点を有するポリマーを意味することが意図される。半結晶性VDFコポリマーは、ASTM D3418に従って決定された、有利には少なくとも1J/gの融解熱を有すると、一般的に理解される。
【0030】
組成物(C)に有用な半結晶性VDFコポリマーは、好ましくは少なくとも5J/g、より好ましくは少なくとも10J/g、更により好ましくは少なくとも15J/gの融解熱を有する。
【0031】
VDFコポリマーが、少なくとも30J/g、好ましくは少なくとも35J/gの融解熱を有する場合、優れた結果が得られた。
【0032】
好ましくは、VDFコポリマーは、
(a’)少なくとも75モル%、好ましくは少なくとも85モル%のフッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位と、
(b’)1〜25モル%、好ましくは2〜15モル%、より好ましくは3〜12モル%のHFPに由来する繰り返し単位と、
(c’)任意選択により、0.1〜5モル%、好ましくは0.1〜3モル%、より好ましくは0.1〜1モル%のVDF及びHFPと異なる1つ以上の更なるコモノマーに由来する繰り返し単位と、
を含むポリマーであり、全ての上記モル%は、VDFコポリマーの繰り返し単位の総モルを表す。
【0033】
一般的には、VDF及びHFPと異なる上記任意選択の更なるコモノマーは、フッ素化モノマーであり、これは、有利には、フッ化ビニル(VF
1)、トリフルオロエチレン(VF
3)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、1,2−ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、パーフルオロ(メチル)ビニルエーテル(PMVE)、パーフルオロ(エチル)ビニルエーテル(PEVE)及びパーフルオロ(プロピル)ビニルエーテル(PPVE)などのパーフルオロ(アルキル)ビニルエーテル、パーフルオロ(1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(PDD)からなる群から選択されることができる。塩素を含まないフッ素化モノマーが好ましい。より好ましくは、可能な更なるフッ素化コモノマーは、トリフルオロエチレン(VF3)及びテトラフルオロエチレン(TFE)から選択される。
【0034】
また、上記更なるコモノマーは、フッ素を含まない、より一般的にはハロゲンを含まない場合があり、この場合、水素化モノマーと表される。上記水素化コモノマーの選択は、特に限定されず、α−オレフィン、(メタ)アクリルモノマー(ヒドロキシル置換アルキル基を含む(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリレートを含む)、ビニルエーテルモノマー、スチレンモノマーを使用することができ、それにもかかわらず、耐薬品性を最適化するために、VDFコポリマーが、上記水素化コモノマーに由来する繰り返し単位を本質的に含まない実施形態が好ましい。
【0035】
本発明のVDFコポリマーなどの、有機結合塩素を含まないポリマー材料から作製された携帯用電子機器の部品は、これらの材料が、任意の条件下で、例えば、金属成分/接合において腐食を発生させる場合がある、且つ/又は、燃焼の際に有毒ガスを発生させる場合がある、塩酸又は任意の塩素含有化合物を生成しないことから、より有利である。
【0036】
更に、VDFコポリマーは、VDF及びHFPと異なる任意の更なるコモノマーに由来する繰り返し単位を実質的に含まないことが一般的に好ましい。
【0037】
従って、VDFコポリマーは、より好ましくは、
(a’)少なくとも75モル%、より好ましくは85モル%のフッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位と、
(b’)1〜25モル%、好ましくは2〜15モル%、より好ましくは3〜12モル%のヘキサフルオロプロペン(HFP)に由来する繰り返し単位と、
から本質的になるポリマーであり、全ての上記モル%は、VDFコポリマーの繰り返し単位の総モルを表す。
【0038】
これらの構成要素がVDFコポリマーの挙動及び特性を実質的に改変することなく、上記繰り返し単位に加えて、欠如、末端鎖、不純物、鎖の逆位、又は分岐等が、VDFコポリマーに更に存在することができる。
【0039】
HFPに由来する繰り返し単位が、不均一な様式で、即ち、擬似的なホモポリマー配列である、上記HFPを擬似的に除外した配列と組み合わせて、即ち、HFPが豊富な配列を提供して、VDFコポリマーのポリマー鎖に分布していることが、一般に好ましい。
【0040】
VDF及びHFPの不均一なこの分布は、VDFコポリマーにおいて、結晶領域を含む特異な微細構造を達成することを可能にし、より「柔らかい」領域と組み合わせて高い融点を与える。
【0041】
VDFコポリマーは、ASTM D3418に従って、10℃/分の加熱速度で、DSCによって測定した場合、有利には少なくとも120℃、好ましくは少なくとも125℃、より好ましくは少なくとも130℃、且つ、多くとも180℃、好ましくは多くとも175℃、より好ましくは多くとも170℃の融点(T
m2)を有する。
【0042】
前述で説明したように、VDFコポリマーは、PVDFより高い分子量を有するように選択される。この場合、25g/10分未満のメルトフロー速度(230℃/21.6kg、ASTM D1238に従う)に一般的に対応する、比較的高い分子量を有するVDFコポリマーが、有利に選択される。
【0043】
従って、VDFコポリマーは、約0.1〜20g/10分、好ましくは約0.5〜15g/10分、より好ましくは約0.5〜10g/10分のメルトフロー速度(230℃/21.6kg、ASTM D1238)を有することが有利である。
【0044】
一般的には、VDFコポリマーは、上記に詳述したように測定して、少なくとも1.2dl/g、好ましくは少なくとも1.3dl/g、より好ましくは少なくとも1.4dl/g、更により好ましくは少なくとも1.5dl/gの固有粘度(η
i VDFコポリマー)を有する。η
i VDFコポリマーの上限は、多くとも3.5dl/g、好ましくは多くとも3.0dl/g、より好ましくは多くとも2.5dl/gとなる。
【0045】
ポリマー(PE)
このように、組成物(C)は、70重量%を超えるエチレンに由来する繰返し単位と、場合により、エチレンと異なる少なくとも1つのα−オレフィンに由来する繰返し単位を含む、1つの高密度エチレンポリマー[ポリマー(PE)]を含む。
【0046】
エチレンと異なる上記α−オレフィンの選択は、特に重要ではないが、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンからなる群から好ましく選択されることになる。
【0047】
上記ポリマー(PE)は、930〜970kg/m
3の密度を有し、これは、組成物(C)における不透明化している挙動を有し、比較的高い結晶性の材料をもたらす。
【0048】
この理論に束縛されることなく、本出願人は、この特異なポリマー(PE)の添加は、不透明であり適切な顔料の添加によって容易に着色することができる材料を得るのに特に有利であり、鮮明で明るいが半透明ではない彩色された部品をもたらし、ブレンドのその他の全ての有利な特性を損なうことなく、PVDF/VDFコポリマーブレンドの耐衝撃特性及び加工性を同時に改善するとの意見を有する。
【0049】
説明されるように、上記ポリマー(PE)は、PVDF及びVDFコポリマーの合計された量の100重量部当たり、少なくとも0.05重量部、好ましくは少なくとも0.10重量部、更により好ましくは少なくとも0.15重量部、且つ、多くとも5重量部、好ましくは多くとも3重量部、更により好ましくは多くとも1重量部の量で組成物(C)に含まれる。
【0050】
組成物(C)
組成物(C)におけるPVDFの量は、PVDF及びVDFコポリマーの総重量に対して、少なくとも55重量%、好ましくは少なくとも58重量%、更により好ましくは少なくとも60重量%であり、且つ/又は、多くとも85重量%、好ましくは多くとも80重量%、最も好ましくは多くとも75重量%である。
【0051】
組成物(C)におけるVDFコポリマーの量は、PVDF及びVDFコポリマーの総重量に対して、少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも20重量%であり、且つ/又は、多くとも45重量%、好ましくは多くとも43重量%、更により好ましくは多くとも40重量%である。
【0052】
PVDF及びVDFコポリマーの総重量に対して、60〜65重量%のPVDF及び40〜35重量%のVDFコポリマーを含む組成物が、本発明の枠内で特に有利であることが判明した。
【0053】
組成物(C)は、PVDF、VDFコポリマー、及びポリマー(PE)に加えて、1つ以上の添加剤、特に、顔料、加工助剤、可塑剤、安定剤、離型剤、酸捕捉剤、抗酸化剤等からなる群から選択される1つ以上の添加剤を更に含むことができる。
【0054】
存在する場合、添加剤は、一般的には、PVDF及びVDFコポリマーの合計された重量の100重量部当たり10部を超えない量で組成物(C)に含まれる。
【0055】
一般的には、上記量で、組成物(C)は、PVDF、VDFコポリマー、ポリマー(PE)、及び場合により上記1つ以上の添加剤からなる。
【0056】
酸捕捉剤として、炭酸カルシウム、特にSolvayからSOCAL(登録商標)312 PCCとして市販される炭酸カルシウムを挙げることができる。
【0057】
抗酸化剤として、特にSongnox(登録商標)1010抗酸化剤として市販される、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、特にIRGANOX(登録商標)1076抗酸化剤として市販される、オクタデシル−3,5−ジ(tert)−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、特にIRGANOX(登録商標)1098酸化防止剤として市販される、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド))、特にIRGANOX(登録商標)245抗酸化剤として市販される、トリエチレングリコールビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネートを挙げることができる。
【0058】
特定の場合においては、可塑剤及び加工助剤から選択される1つ以上の添加剤を組成物(C)に導入することが適切な場合がある。
【0059】
存在する場合、組み合わされたPVDF+VDFコポリマーの100重量部当たり、可塑剤及び加工助剤の合計された量は、10重量部、好ましくは7.5重量部、より好ましくは5重量部を超えない。
【0060】
可塑剤の中で、本発明の文脈内で特に有利であることが示されているものは、DBS(ジブチルセバケート:C
4H
9−COO−(CH
2)
8−COO−C
4H
9)である。その他の有効な可塑剤は、アジピン酸、アゼライン酸、又はセバシン酸、及びジオール、並びにそれらの混合物に由来するものなどの高分子ポリエステルであるが、それらの分子質量は、少なくとも約1500、好ましくは少なくとも1800であり、且つ、約5000を超えず、好ましくは2500未満であるという条件である。過度に高い分子質量のポリエステルは、実際には、より低い衝撃強度の組成物をもたらし、従って好ましくない。
【0061】
DBS又は上記ポリエステルは、前述で定義されたPVDF及びVDFコポリマーの混合物に何の問題もなく導入され、衝撃強度を損なうことなく又は更に向上させることなく加工性を改良することが判明している。
【0062】
可塑剤の量は、特に限定されない。それにもかかわらず、上記に詳述したように、組み合わされたPVDF及びVDFコポリマーの100重量部当たり、0.5〜5重量部、好ましくは1〜3重量部の範囲の可塑剤の量が好ましいことが理解される。
【0063】
特に有用であることが判明した加工助剤は、以下の組合せである:
(1)280℃の温度での、100Pa×秒未満の1rad×秒
−1のせん断速度における動粘度(1rad×秒
−1で「複素粘度、eta
*’’」を決定するために、方法ASTM D4065に列挙された式に従うASTM D4440標準によって決定)を有する、少なくとも1つのテトラフルオロエチレン(TFE)/パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー[ポリマー(F)]、好ましくはTFE/パーフルオロメチルビニルエーテルコポリマー、並びに、
(2)少なくとも1つのパーフルオロポリエーテル添加剤、特に、例えば、以下の式のいずれかに従うパーフルオロポリエーテル添加剤などの、パーフルオロポリエーテル鎖を有しヒドロキシル官能基を含むパーフルオロポリエーテル添加剤:
・HO−CH
2CF
2O(CF
2O)n’(CF
2CF
2O)m’CF
2CH
2−OH、m’及びn’は整数であり、比m’/n’は、一般的には、0.1〜10、好ましくは0.2〜5の範囲にある、
・HO(CH
2CH
2O)
nCH
2CF
2O(CF
2O)
n’(CF
2CF
2O)
m’CF
2CH
2(OCH
2CH
2)
nOH、m’及びn’は整数であり、比m’/n’は、一般的には、0.1〜10、好ましくは0.2〜5の範囲にあり、且つ、nは1〜3の範囲にある。
【0064】
加工助剤のこの組合せの量は、特に限定されない。それにもかかわらず、組み合わされたPVDF及びVDFコポリマーの100重量部当たり少なくとも0.05重量部、好ましくは少なくとも0.1重量部、且つ、多くとも0.5重量部、好ましくは多くとも0.4重量部のパーフルオロポリエーテル添加剤の量が好ましいことが理解される。同様に、上記に詳述したように、ポリマー(F)の量は、組み合わされたPVDF及びVDFコポリマーの100重量部当たり0.5〜5重量部、好ましくは1〜3重量部の範囲が好ましい。
【0065】
にもかかわらず、組成物(C)が加工助剤の上記組合せを含まない実施形態が、特に有利であることが判明した。
【0066】
本発明による組成物(C)の好ましい実施形態は、PVDF及びVDFコポリマーの総重量に対して、
− 上記に詳述したように、60〜65重量%のPVDFと、
− 上記に詳述したように、40〜35重量%のVDFコポリマーと、
− 0.1〜1重量部のポリマー(PE)と、
− 0.01〜0.5重量部の炭酸カルシウムと、
− 0.01〜1重量部の抗酸化剤であって、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3,5−ジ(tert)−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド))、及びトリエチレングリコールビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネートからなる群から選択される、抗酸化剤と、
からなる組成物であり、上記重量部は組み合わされたPVDF及びVDFコポリマーの100重量部を表す。
【0067】
携帯用電子機器
別の態様においては、本発明は、上記に詳述したように、フルオロポリマー組成物[組成物(C)]から作製される少なくとも1つの部品を含む携帯用電子機器を提供する。
【0068】
「携帯用電子機器」という用語は、例えば、ワイヤレス接続又は携帯ネットワーク接続を介してデータへのアクセスを交換/提供しながら、様々な場所で便利に輸送され、使用されるように設計された任意の電子機器を意味することが意図される。携帯用電子機器の代表的な例としては、携帯電話、携帯端末、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ラジオ、カメラ及びカメラ付属品、時計、計算機、音楽プレーヤー、全地球測位システム受信機、携帯ゲーム機、ハードドライブ、並びにその他の電子記憶機器等が挙げられる。好ましくは、携帯用電子機器は、携帯電話(例えば、スマートフォン)、ラップトップコンピュータ、又はタブレットコンピュータである。
【0069】
本発明による携帯用電子機器の少なくとも1つの部品は、射出成形、押し出し、又はその他の成形技術によって特に作製されることができる、取り付け部品、スナップ取り付け部品、相互可動式部品、機能要素、作動要素、トラッキング要素、調整要素、キャリア要素、フレーム要素、スイッチ、コネクター、及びハウジングの(内部及び外部)構成要素などの物品の大きなリストから選択されることができる。
【0070】
特に、ポリマー組成物(C)は、携帯用電子機器のケーハウジング構成要素の製造に非常に適切である。
【0071】
従って、本発明による携帯用電子機器の少なくとも1つの部品は、携帯用電子機器ハウジングの構成要素として有利である。「携帯用電子機器ハウジング」とは、携帯用電子機器の裏面カバー、前面カバー、アンテナハウジング、フレーム及び/又はバックボーンの1つ以上を意味する。ハウジングは、単一の構成要素物品であることができ、又はより多くの場合、2つ以上の構成要素を含むことができる。「バックボーン」とは、電子機器、マイクロプロセッサ、スクリーン、キーボード及びキーパッド、アンテナ、バッテリーソケット等などの、機器のその他の構成要素が取りつけられる構造的構成要素を意味する。バックボーンは、携帯用電子機器の外部からは見えないか又は部分的に見えるにすぎない内部構成要素であることができる。ハウジングは、衝撃と環境試剤(液体、ちり等)による汚染及び/又は損傷からの保護を機器の内部構成要素に提供することができる。また、カバーなどのハウジング構成要素は、スクリーン及び/又はアンテナなどの機器の外部に露出している特定の構成要素に対する実質的な又は主な構造支持と衝撃に対する保護を提供することができる。また、ハウジング構成要素は、その美的外観及び接触において設計されることができる。
【0072】
好ましい実施形態においては、携帯用電子機器ハウジングは、携帯電話ハウジング、タブレットハウジング、ラップトップコンピュータハウジング、及びタブレットコンピュータハウジングからなる群から選択される。優れた結果は、本発明による携帯用電子機器の部品が携帯電話ハウジングである場合に得られた。
【0073】
本発明による携帯用電子機器の少なくとも1つの部品は、有利には、平均して0.9mm以下、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.7mm以下、更により好ましくは0.6mm以下、最も好ましくは0.5mm以下である上記部品の平坦部分の厚さで特徴づけられる。本明細書において「平均して」という用語は、その平坦な部分の少なくとも1つの少なくとも3点でのその厚さの測定に基づく部品の平均厚さを意味することを意図する。
【0074】
部品を製造するための方法
本発明の更なる目的は、上記に詳述したように、携帯用電子機器の部品を製造するための方法であり、上記方法は、
(i)上記に詳述したように、組成物(C)を提供する工程と、
(ii)上記部品を提供するように上記組成物(C)を成形する工程と、
を含む。
【0075】
一般的には、組成物(C)を提供する工程(i)は、PVDF、VDFコポリマー、ポリマー(PE)、及び場合により更なる添加剤を混合する少なくとも1つの工程を含む。混合は、標準的な混合装置を用いて行うことができ、一般的には、PVDF、VDFコポリマー、ポリマー(PE)、及び添加剤(存在する場合)が溶融形態で混合される。一般的には、混合は、押し出し機装置を用いて実施され、2軸スクリュー押し出し機が好ましい。
【0076】
従って、ペレットの形態で工程(i)の組成物(C)を提供することが一般的な実践法である。
【0077】
組成物(C)は、工程(ii)において成形されて上記部品を提供する。成形に用いられる手法は特に限定されず、溶融/軟化した形態の組成物(C)を成形することを含む標準的な技術を有利に適用することができ、特に、圧縮成形、押し出し成形、射出成形、トランスファー成形等を含む。
【0078】
それにもかかわらず、特に、携帯用電子機器の上記部品が、複雑な設計を有する場合、射出成形技術は、最も汎用性があり、広く使用されていると一般的に理解される。
【0079】
この技術によれば、溶融状態の組成物(C)の一部を鋳型キャビティの中に押し込むために、ラム又はネジ式プランジャーが使用され、この場合に、同じものが鋳型の輪郭にみとめられた形状に凝固される。次いで、鋳型が開き、適切な手段(例えば、ピン、スリーブ、ストリッパー等の配列)が、前進して物品を取り外す。次いで、鋳型が閉じ、このプロセスが繰り返される。
【0080】
本発明の別の実施形態においては、携帯用電子機器の一部を製造するための方法は、工程(ii)において、上記標準成形品とは異なるサイズ及び形状を有する上記部品を得るように標準成形品を機械加工する工程を含む。上記標準成形品の非限定的な例としては、特に、プレート、ロッド、スラブ等が挙げられる。上記標準成形部品は、ポリマー組成物(C)の特に押し出し成形又は射出成形を含む任意の加工技術によって得ることができる。
【0081】
本発明による携帯用電子機器の部品は、真空蒸着(蒸着される金属を加熱する様々な方法を含む)、無電解メッキ、電解メッキ、化学蒸着、金属スパッタリング、及び電子ビーム蒸着などの、それを成し遂げるための任意の公知の方法によって金属で被覆されることができる。従って、上記に詳述したように、この方法は、少なくとも1つの金属を上記部品の表面の少なくとも一部に被覆する工程を含む少なくとも1つの更なる工程を更に含むことができる。
【0082】
金属は、任意の特別な処理をすることなく、部品に十分接着し得るが、通常は、接着を向上させるための当技術分野で周知の何らかの方法が用いられるであろう。これは、粗くするための表面の単純な摩耗、接着促進剤の添加、化学エッチング、プラズマ及び/又は照射(例えば、レーザ又はUV線)への曝露による表面の官能化、又はこれらの任意の組み合わせに及び得る。
【0083】
また、金属被覆方法は、部品が酸浴に浸漬される少なくとも1つの工程を含み得る。2つ以上の金属又は金属合金が、ポリマー組成物(C)から作製された部品に対しメッキされることができ、例えば、1つの金属又は合金が、その良好な接着性のために表面に対し直接メッキされることができ、別の金属又は合金が、より高い強度及び/又は剛性を有することから、その上部にメッキされることができる。金属被覆を形成するための有用な金属及び合金としては、銅、ニッケル、鉄−ニッケル、コバルト、コバルト−ニッケル、及びクロム、並びに異なる層におけるこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい金属及び合金は、銅、ニッケル、及び鉄−ニッケルであり、ニッケルがより好ましい。部品の表面は、金属で完全に又は部分的に被覆されることができる。部品の異なる領域においては、金属層の厚さ及び/又は数、並びに/又は金属層の組成は、変動することができる。金属は、パターンで被覆されて、部品の特定の区域で1つ以上の特性を効率的に改善することができる。
【0084】
上記方法から得られるように、部品は、一般的には、携帯用電子機器を製造するためにその他の部品と組み立てられる。
【0085】
携帯用電子機器を製造するための方法
本発明の更に別の目的は、携帯用電子機器の製造のための方法であり、上記方法は、
a.少なくとも回路基板、スクリーン、及びバッテリーを構成要素として提供する工程と、b.上記に詳述したように、ポリマー組成物(C)から作製される少なくとも1つの部品を提供する工程と、
c.上記構成要素の少なくとも1つを上記部品と組み立てる工程、又は上記構成要素の少なくとも1つを上記部品に取りつける工程と
を含む。
【0086】
その他の使用分野
また、本発明による組成物は、有利な一組の特性が顕著な利点をもたらすために有益であり得る、様々なその他の使用分野において有用性を見出すことができる。
【0087】
特に、本発明の組成物は、特にオイル抽出及び/又は輸送に使用される部品の製造のために、石油及びガス市場において有用性を見出すことができる。
【0088】
参照により本明細書に組み込まれる特許、特許出願及び刊行物のいずれかの開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合は、本記載が優先するものとする。
【0089】
本発明は、以下の実施例に関連してこれから説明されるが、その目的は、単に例示的であるに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0090】
原材料
SOLEF(登録商標)6008 PVDFは、Solvay Specialty Polymersから市販される、約24g/10分のメルトフロー速度(230℃/5kgで、ASTM D1238)及び約0.8dl/gの固有粘度(25℃で0.1M LiBrを有するN,N−ジメチルホルムアミド4.0g/lにおいて)を有するPVDFホモポリマーである。
【0091】
SOLEF(登録商標)6010 PVDFは、Solvay Specialty Polymersから市販される、約6g/10分のメルトフロー速度(230℃/ 5kgで、ASTM D1238)及び約1.0dl/gの固有粘度(25℃で0.1M LiBrを有するN,N−ジメチルホルムアミド4.0g/lにおいて)を有するPVDFホモポリマーである。
【0092】
SOLEF(登録商標)6015 PVDFは、Solvay Specialty Polymersから市販される、約3.8g/10分のメルトフロー速度(230℃/21.6kgで、ASTM D1238)、約0.2/10分のメルトフロー速度(230℃/5kgで、ASTM D1238)、及び約1.9dl/gの固有粘度(25℃で0.1M LiBrを有するN,N−ジメチルホルムアミド4.0g/lにおいて)を有するPVDFホモポリマーである。
【0093】
SOLEF(登録商標)21508 VDFコポリマーは、Solvay Specialty Polymersから市販される、約7g/10分のメルトフロー速度(230℃/2.16kgで、ASTM D1238)及び約0.8dl/gの固有粘度(25℃で0.1M LiBrを有するN,N−ジメチルホルムアミド4.0g/lにおいて)を有する低粘度VDFコポリマーである。
【0094】
SOLEF(登録商標)11615 VDFコポリマーは、Solvay Specialty Polymersから製造される、約3.3g/10分のメルトフロー速度(230℃/21.6kg、ASTM D1238で)及び約2.0dl/gの固有粘度(25℃で0.1M LiBrを有するN,N−ジメチルホルムアミド4.0g/lにおいて)を有する高粘度VDF/HFP不均一コポリマーである。
【0095】
SOLEF(登録商標)11608 VDFコポリマーは、Solvay Specialty Polymersから製造される、約3.3g/10分のメルトフロー速度(230℃/2.16kg、ASTM D1238)及び約0.1dl/gの固有粘度(25℃で0.1M LiBrを有するN,N−ジメチルホルムアミド2.0g/lにおいて)を有するVDF/HFP不均一コポリマーである。
【0096】
SONGNOX(登録商標)1010抗酸化剤は、Songwonから市販される、未希釈のテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンである。
【0097】
SOCAL(登録商標)312PCCは、Solvayから市販される超微粒被覆沈降炭酸カルシウムである。
【0098】
ELTEX(登録商標)HDPE A4090Pは、INEOSから市販される、951kg/m
3の密度(23℃で/ISO1183/Aによる)及び11g/10分(190℃/2.16kg)のメルトインデックスを有するポリエチレンである。
【0099】
実施例1C及び実施例2C−基準物質としてのPVDF及びVDFコポリマーを用いた比較試験
圧縮成形された試験片について、引張り特性及び耐衝撃性を決定した。
【0101】
表1に収集されたデータは、VDF/HFPコポリマーが、単独で使用される場合、特に、適切な引張り強度及び弾性率を有さないことから、携帯用電子機器のための部品の製造に適したプラスチックとして使用できないことを示している。言い換えれば、特に、構造部品を製造するために使用されるのに十分に剛性ではない。一方、充分な耐衝撃性を有さないことから、PVDFホモポリマーも適切ではない。言い換えれば、これらのポリマーは、たまに起こる落下に耐える、携帯用電子機器の部品の製造のために使用されるのに脆過ぎる。
【0102】
実施例3−ホモポリマー/コポリマー組成物の製造
組成物は、60重量%のSOLEF(登録商標)6010 PVDFホモポリマー、組み合わされたPVDF及びVDFコポリマーの100重量部当たり、0.2重量部のELTEX(登録商標)HDPE添加剤、0.02重量部のSOCAL(登録商標)PCC、及び0.1重量部のSONGNOX(登録商標)1010と更に組み合わされた40重量%のSOLEF(登録商標)11615 VDF/HFPコポリマーの混合物を組み合わせて溶融押出しによりペレットの形態で調製した。
【0103】
実施例4−ホモポリマー/コポリマー組成物の製造
組成物は、60重量%のSOLEF(登録商標)6008 PVDFホモポリマー、組み合わされたPVDF及びVDFコポリマーの100重量部当たり、0.2重量部のELTEX(登録商標)HDPE添加剤、0.02重量部のSOCAL(登録商標)PCC、及び0.1重量部のSONGNOX(登録商標)1010と更に組み合わされた40重量%のSOLEF(登録商標)11615 VDF/HFPコポリマーの混合物を組み合わせて溶融押出しによりペレットの形態で調製した。
【0104】
比較実施例5C−ホモポリマーより低い分子量を有するコポリマーを有するホモポリマー/コポリマー組成物の製造
組成物は、60重量%のSOLEF(登録商標)6015 PVDFホモポリマー、組み合わされたPVDF及びVDFコポリマーの100重量部当たり、0.2重量部のELTEX(登録商標)HDPE添加剤、0.02重量部のSOCAL(登録商標)PCC、及び0.1重量部のSONGNOX(登録商標)1010と更に組み合わされた40重量%のSOLEF(登録商標)11608 VDF/HFPコポリマーの混合物を組み合わせて溶融押出しによりペレットの形態で調製した。
【0105】
部品の射出成形の一般手順
実施例3、4及び5Cで得られたペレットを、ASTM D790に従って、ASTM引張り棒形状を有する射出された部品の製造のためのEngel E−Motion 200/100射出成形装置に供給した。使用した射出成形装置は、スクリュー押し出し機バレル、及び1000kNまでの締付け力を有する鋳型、及び2500バールまでの溶融圧力コントローラを備える。
【0106】
射出成形条件は、溶融温度が実施例2Cで約190〜210℃であり、実施例3で約220〜230℃であり、鋳型温度が90℃に設定されたものであった。
【0107】
射出成形条件を、以下の表に要約する。
【0109】
前述に示されるように、射出成形された部品は、妥当な射出圧力を含む標準的な装置における慣例の加工条件の範囲内で、実施例3の組成物から得ることができる。
【0110】
実施例3の組成物から得られた射出された部品のアスペクト表面は、良好でなだらかであり、部分は不透明及び白色であり、適切な顔料の添加によって容易に着色されることが判明した。
【0111】
射出成形された試験片の特性−機械的特性
射出成形された試験片を、引張り強度(ASTM D638による)及びその耐衝撃性(ISO 180/1Aに従う23℃でのノッチ付きアイゾット法による)について試験した。結果を本明細書の以下の表に要約する。
【0113】
射出成形された試験片の特性は、ホモポリマー及びコポリマー及びHDPEの混合物を含む組成物が、携帯用電子機器の部品を製造するために必要とされる有利な特性の要件(引張り強度、歪み/破断伸び、耐衝撃性)を有することを確証する。
【0114】
上記表に示すように、ホモポリマーより低い分子量を有するコポリマーを使用する場合、得られた破断歪みは許容できず、単なるホモポリマーによって示される性能と実質的に類似する。
【0115】
更に加えて、射出成形された試験片は、フッ素に関連した特性のため、優れた耐薬品性及び耐汚染性を示す。
【0116】
実施例6−ホモポリマー/コポリマー組成物の製造
組成物は、60重量%のSOLEF(登録商標)6015 PVDFホモポリマー、組み合わされたPVDF及びVDFコポリマーの100重量部当たり、2重量部のジブチルセバケート可塑剤、及び0.5重量部のELTEX(登録商標)HDPE添加剤と更に組み合わされた40重量%のSOLEF(登録商標)11615 VDF/HFPコポリマーの混合物を組み合わせて溶融押出しによりペレットの形態で調製した。
【0117】
実施例7C−ホモポリマー/コポリマー組成物の製造
組成物は、60重量%のSOLEF(登録商標)6015 PVDFホモポリマー、ELTEX(登録商標)HDPE添加剤の添加は無く2重量部ジブチルセバケート可塑剤と更に組み合わされた40重量%のSOLEF(登録商標)11615 VDF/HFPコポリマーの混合物を組み合わせて溶融押出しによりペレットの形態で調製した。
【0118】
6mmの厚さでのテープ押し出しにおける加工性
実施例6及び7Cの組成物を、190〜215℃の押し出し機における温度設定点で、0.2m/分の延伸速度、8rpmの速度、及び70℃のロール温度で、テープ押し出し機で押し出した。実施例6の場合、圧力は、1.3kg/時の出力において、18〜20Nmのトルクで、17バールと測定され、テープに良好な表面アスペクトを与えた。実施例7Cの場合、圧力は、1.0kg/時の出力において、28Nmのトルクで、24バールと測定され、テープに表面における特定の欠如(わずかなサメ肌)を与えた。実施例6及び実施例7Cでの6mm厚のテープの試験片におけるシャルピー衝撃試験は、23℃で、実施例6においては106.6kJ/m
2、及び実施例7Cにおいては103.9kJ/m
2の値、並びに、0℃で、実施例6においては91.4kJ/m
2、及び実施例7Cにおいては88.0kJ/m
2の値となった。
【0119】
これらのデータは、VDFホモポリマーをより高い分子量のVDFコポリマーと混合する場合、ポリマー(PE)の添加が、その他の周知の加工助剤/可塑剤と組み合わせても、機械的性能及び加工性の両方に有益であることを明らかに示している。