(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材上にコーティングを製造するプロセスであって、発泡水性コーティング組成物の乾燥層を破砕する1つ以上のステップを含み、前記水性コーティング組成物は、2〜20μmの重量平均径を有する多段コポリマー粒子の集合体を含み、前記多段コポリマー粒子は、20℃以下のガラス転移温度(Tg)を有するコアを含む、プロセス。
前記発泡水性コーティング組成物の前記乾燥層を破砕するステップの後に、前記発泡水性コーティング組成物の前記乾燥層を加熱するステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【技術分野】
【0001】
広く使用されている基材のコーティング方法は、破砕発泡コーティングの適用である。発泡コーティングは、通常のコーティングほど多孔性基材に浸透せず、したがって基材の本来の特性を保持する。例えば、基材が布地であるとき、発泡コーティングの使用は、布地へのコーティングの浸透を減少させ、したがって柔らかいドレープ及び元の布地の「手触り」を保持する。発泡体の乾燥及び破砕によって、コーティングの厚さが減少し、ドレープとして使用されるコーティングされた布地のような様々な用途において望ましい。しかしながら、標準的な厚さにコーティングし、次いで標準的な破砕プロセスによって破砕した後、同一の標準的なコーティング及び破砕プロセス後に他の破砕発泡コーティングよりも大きな厚さを有する破砕発泡コーティングを提供することが望ましい。また、標準的な厚さにコーティングし、次いで標準的な破砕プロセスで破砕した後に、既知のコーティングよりも高いアドオン(単位面積当たりのコーティング質量)を有する破砕発泡コーティングを提供することが望ましいということも、望ましい。また、標準的な厚さにコーティングし、次いで標準的な破砕プロセスで破砕した後に、既知のコーティングよりも柔らかい感触である(すなわち、より柔らかい「手触り」を有する)破砕発泡コーティングを提供することが望ましいということも、望ましい。
【0002】
US7,829,626は、「ポリマーダラー成分」を含む水性組成物を記載している。US7,829,626は、基材に直接塗布され、乾燥される従来のコーティングを記載している。既知の破砕発泡コーティングと比べて以下の改善を提供することが所望される:同一の塗布及び破砕条件においてより大きい厚さ;同一の塗布及び破砕条件においてより大きいアドオン;より柔らかい「手触り」、または任意の組み合わせの1つ以上を提供する破砕発泡コーティング。
【0003】
以下は本発明の記載である。
【0004】
本発明の第1の態様は、基材上にコーティングを製造するプロセスであって、発泡水性コーティング組成物の乾燥層を破砕する1つ以上のステップを含み、水性コーティング組成物は、2〜20μmの重量平均径を有する多段コポリマー粒子の集合体を含み、前記多段コポリマー粒子は、20℃以下のガラス転移温度(Tg)を有するコアを含む。
【0005】
本発明の第2の態様は、第1の態様のプロセスによって製造された基材上のコーティングを含む物品である。
【0006】
以下は、本発明の詳細な説明である。
【0007】
本発明で使用されるとき、以下の用語は、文脈が他を明確に示さない限り、指定された定義を有する。
【0008】
「コーティング組成物」は、基材の表面上の層として塗布されるように設計された液体組成物である。コーティング組成物は、1つ以上の追加の成分が溶解または分散された連続液体媒体を含む。コーティング組成物の層を表面に塗布した後、液体媒体を蒸発させるかまたは蒸発するようにさせ、残余の成分が表面上に「コーティング」を形成すると言われる。
【0009】
組成物が25℃で液体状態にある場合、本明細書において液体であると言われる。
【0010】
本明細書において使用されるとき、「ポリマー」は、より小さな化学反復単位の反応生成物から構成される比較的大きな分子である。ポリマーは、直鎖状、分枝状、星型、ループ状、超分岐状、架橋状、またはそれらの組み合わせである構造を有することができる。単一のタイプの繰り返し単位を有するポリマーは、ホモポリマーと呼ばれ、2つ以上のタイプの繰り返し単位を有するポリマーはコポリマーと呼ばれる。コポリマーは、ランダムに、逐次に、ブロックで、他の配置で、またはそれらの任意の混合物もしくは組み合わせで配置された様々なタイプの繰り返し単位を有することができる。ポリマーは、1,000以上の重量平均分子量を有する。
【0011】
本明細書において使用されるとき、「ポリマーの重量」は、ポリマーの乾燥重量を意味する。
【0012】
互いに反応してポリマーの繰り返し単位を形成することができる分子は、本明細書において「モノマー」として知られている。このように形成された繰り返し単位は、本明細書においてモノマーの「重合単位」として知られている。
【0013】
有機ポリマーは、全ての重合単位が有機化合物であるモノマーの単位であるポリマーである。有機化合物は、一般に無機であると考えられる比較的少数の炭素化合物を除く炭素原子を含む化合物である。一般に無機であると考えられている炭素化合物は、例えば、(二酸化炭素及び二硫化炭素などのような)二元化合物、(金属シアン化物、金属カルボニル、ホスゲン及び硫化カルボニルなどのような)三元化合物、及び(例えば、炭酸カルシウム及び炭酸ナトリウムなどのような)金属炭酸塩である。
【0014】
ビニルモノマーは、構造
【0015】
【化1】
【0016】
を有し、式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4の各々は独立して、水素、ハロゲン、脂肪族基(例えば、アルキル基などのような)、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、別の置換もしくは非置換の有機基、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0017】
いくつかの好適なビニルモノマーは、例えば、スチレン、置換スチレン、ジエン、エチレン、他のアルケン、ジエン、エチレン誘導体、及びそれらの混合物を含む。エチレン誘導体は、例えば、置換または非置換のアルカン酸のエテニルエステル(例えば、酢酸ビニル及びネオデカン酸ビニルを含む)、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、塩化ビニル、ハロゲン化アルケン、及びこれらの混合物の、非置換または置換のものを含む。本明細書で使用されるとき、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味する。「置換」は、例えば、アルキル基、アルケニル基、ビニル基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、他の官能基、及びそれらの組み合わせなどの少なくとも1個の結合した化学基を有することを意味する。いくつかの実施形態において、置換モノマーは、例えば、2個以上の炭素−炭素二重結合を有するモノマー、ヒドロキシル基を有するモノマー、他の官能基を有するモノマー、及び官能基の組み合わせを有するモノマーを含む。
【0018】
本明細書で使用されるとき、アクリルモノマーは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、アルキル基に1個以上の置換基を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、及びそれらの混合物より選択されるモノマーである。本明細書で使用されるとき、ビニル芳香族モノマーは、スチレン、α−アルキルスチレン、及びそれらの混合物より選択されるモノマーである。
【0019】
ビニルモノマーの1つの分類は、2個以上の重合可能な炭素−炭素二重結合を有するモノマーである多エチレン性不飽和モノマーである。多エチレン性不飽和モノマーの例は、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、及びアルキレンポリオールのマルチアクリレートエステルである。アルキレンポリオールは、2個以上の水素原子がヒドロキシル基で置換されたアルカンである。アルキレンポリオールのマルチアクリレートエステルは、ポリオール上のヒドロキシル基のうちの2個以上がアクリル酸またはメタクリル酸と各々反応してエステル結合を形成する場合に形成される構造を有する化合物である。全ての炭素−炭素二重結合がフリーラジカル重合に対して等しい反応性を有する多エチレン性不飽和モノマーは、本明細書において「架橋モノマー」として知られている。少なくとも1個の炭素−炭素二重結合が他の炭素−炭素二重結合の少なくとも1個よりもフリーラジカル重合に対してより高い反応性を有する多エチレン性不飽和モノマーは、本明細書において「グラフト結合モノマー」として知られている。
【0020】
本明細書において使用されるとき、潜在架橋性ビニルモノマーは、1個以上の重合可能なビニル基を有し、かつビニル重合の間に反応しないがラテックスポリマーが基材へと塗布された後に架橋反応を起こすことができる1個以上の反応基を有するビニルモノマーである。
【0021】
液体は、液体の重量に基づいて50重量%以上の水を含有する場合、「水性」であると本明細書において言及されている。追加の成分が水性液体中に分散されるとき、液体は水性媒体と称される。液体に(分散するよりもむしろ)溶解する成分は、水性媒体の一部となる。
【0022】
水性乳化重合によって作製されたポリマーは、本明細書において「ラテックス」ポリマーとして知られている。ラテックスポリマーは、水性媒体全体に分散された粒子として存在する。
【0023】
本明細書において使用されるとき、ビニルポリマーは、90%以上または重合単位がビニルモノマーであるポリマーである。本明細書で使用されるとき、「アクリル」ポリマーは、重合単位の30%以上がアクリルモノマーより選択され、かつ重合単位の75%以上がアクリルモノマー及びビニル芳香族モノマーからなる群より選択されるポリマーである。百分率は、ポリマーの重量に基づく重量による。
【0024】
粒子の集合体は、集合体中の粒子の重量平均径(WAD)によって特徴付けられてもよい。また、直径の分布の均一性は、WADの0.8倍より大きく、かつWADの1.2倍未満である直径を有する粒子からなる粒子の集合体の重量パーセントであるW20によって特徴付けられてもよい。また、直径の分布の均一性は、WADの0.9倍より大きく、かつWADの1.1倍未満である直径を有する粒子からなる粒子の集合体の重量パーセントであるW10によって特徴付けられてもよい。重量平均径は、以下の条件を使用して、Disc Centrifuge Photosedimetometryによって測定される:機器はスクロース勾配による遠心分離及び沈降によってモードを分離するPhotosedimentometer(「DCP」)(CPS Instruments、Inc.)である。サンプルは、10ccの、0.1%ラウリル硫酸ナトリウムを含むDI水に1〜2滴を加えることによって調製する。0.1ccの容量のサンプルを、15ccのスクロース勾配で満たされた回転ディスクに注入する。サンプルは、ポリスチレン較正標準と比較して分析される。具体的な条件は、スクロース勾配2〜8%;ディスクスピード10,000rpm;較正標準は、895nmの直径のポリスチレンである。
【0025】
いくつかの球状粒子は、均一な屈折率を有し、これは、粒子の体積全体にわたって屈折率が同じであることを意味する。他の球状粒子は、不均一な屈折率を有し、これは、球状粒子の異なる体積部分が異なる屈折率を有することを意味する。いくつかの不均一な球状粒子は、勾配屈折率(GRIN)粒子と呼ばれ、GRIN粒子において、屈折率の値は、粒子の中心に関して球対称で分布し、屈折率は、粒子の中心から外表面へと単調に(増加または減少し、かつ連続的または段階的またはそれらの組み合わせのいずれかで)変化する。
【0026】
球状粒子は、粒子の圧縮性の尺度であるK値によって特徴付けられてもよい。K値は、“Investigation for Surface Morphology and Mechanical Property Variations of Single Polymer Particles”,Journal of Applied Polymer Science Volume 104(4)2007,2350,Dong Ok Kim,Jeong Hee Jinに定義される。K10は10%圧縮時のK値であり、K0は完全圧縮時のK値である。K値は、0.79グラム−力/秒の圧縮率で測定される。
【0027】
ガラス転移温度(Tg)は、ミッドポイント法を用いる10℃/分における示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。
【0028】
多段ポリマーは、第1の重合プロセスで作製されたポリマーの存在下で第2の重合プロセスが実施され、そして任意で後続の重合プロセスが実施される場合には、後続の重合プロセスは、それ以前の重合プロセスで作製されたポリマーの存在下で実施されるような、2つ以上の別個の重合プロセスによって製造されるポリマーである。これらの別個の重合プロセスの各々は、本明細書において「ステージ」として知られているポリマーを製造する。「コア」は、最終ステージではないステージである。
【0029】
本明細書において使用されるとき、発泡体は、液体媒体中に分布して気体の気泡が存在する組成物である。発泡体は0.6g/cc以下の密度を有する。液体組成物が、気泡を導入し、液体組成物を発泡体に変えるプロセスに供されるとき、得られる発泡体は「発泡組成物」と称される。
【0030】
水性組成物の層を表面に塗布して層を形成した後、層中の水の量が層の重量に基づいて20重量%以下であるときか、または水の量が、層が最初に表面に塗布されたときに層中に存在した水の量の半分以下のときのいずれか低い方の量によって、その層は「乾燥」していると考えられる。
【0031】
水性コーティング組成物の層が基材の表面に塗布され、乾燥させられるとき、得られる層は本明細書において「コーティング」として知られ、基材とコーティングの両方を含む物品は本明細書において「コーティングされた基材」として知られる。
【0032】
本明細書において使用されるとき、「破砕」は、乾燥した水性コーティング組成物の層を機械的に加えられる圧力に供し、コーティングの厚さを減少させるプロセスである。機械的圧力は、例えば、コーティングされた基材を平らなプレートの間でプレスすることによって、またはコーティングされた基材をニップローラーの間で加圧下に通過させることによって、コーティングに加えることができる。
【0033】
バインダポリマーは、水性コーティング組成物中に、溶解状態で、もしくは分散粒子としてのいずれかで、またはそれらの組み合わせとして存在するポリマーである。バインダポリマーは、水性コーティング組成物の層が本発明の使用条件下で基材に塗布された後にコヒーレントフィルムを形成する。いくつかのバインダポリマーは、コヒーレントフィルムを形成するために25℃を超える温度にさらす必要があり、他のバインダポリマーではそうではない。
【0034】
アニオン性界面活性剤は、1個以上の炭化水素基及び1個以上のアニオン性基を含む化合物である。炭化水素基は、炭素原子及び水素原子のみを含み、6個以上の炭素原子を含む化学基である。
【0035】
本明細書において使用されるとき、鉱物顔料は、50nm〜1mmの重量平均径を有する固体粒子の集合体の形態を有する無機化合物である。
【0036】
本明細書において使用されるとき、化合物は、25℃で100グラムの水に溶解するその化合物の量が0.1グラム以下である場合、水に不溶性である。
【0037】
本明細書において使用されるとき、油は、25℃で水に不溶性であり、10個以上の炭素原子を有する1個以上の炭化水素基を含む化合物である。
【0038】
「手触り」は、織布または不織布であってよく、かつコーティングされていてもコーティングされていなくてもよい、布地の特性である。「手触り」とは、人間の手のような小さい形状の上に布地がドレープすることの容易さを表す。本発明の目的において、「手触り」は、剛性の反対である。
【0039】
本明細書において比がX:1以上であると述べられるとき、それは、比がY:1であり、YがX以上であることを意味する。例えば、比が3:1以上であると述べられる場合、比は3:1または5:1または100:1であってよいが、2:1とはなり得ない。同様に、本明細書において比がW:1以下であると述べられるとき、それは比がZ:1であり、ZがW以下であることを意味する。例えば、比が15:1以下であると述べられるとき、比は15:1または10:1または0.1:1であってよいが、20:1とはなり得ない。
【0040】
本発明の実施は、2〜20μmの重量平均径及び20℃以下のガラス転移温度(Tg)を有するコアを有する多段コポリマー粒子の集合体を含む水性コーティング組成物の使用を含む。
【0041】
好ましい多段コポリマー粒子は、10℃以下、より好ましくは0℃以下のTgを有するコアを含む。好ましいコアはビニルポリマーであり;より好ましくは、アクリルモノマーの重合単位の量がビニルポリマーの重量に基づいて50重量%以上、より好ましくは75重量%以上;より好ましくは95重量%以上である、ビニルポリマーである。好ましくは、コアは、(メタ)アクリル酸の1つ以上の非置換アルキルエステルの重合単位を含む。より好ましくは、コアは、アルキル基が2個以上の炭素原子、より好ましくは3個以上の炭素原子を有する、アクリル酸の1つ以上の非置換アルキルエステルの重合単位を含む。より好ましくは、コアは、アルキル基が20個以下の炭素原子、より好ましくは12個以下の炭素原子、より好ましくは8個以下の炭素原子を有する、アクリル酸の1つ以上の非置換アルキルエステルの重合単位を含む。好ましくは、コア中の(メタ)アクリル酸の非置換アルキルエステルの重合単位の量は、ステージの重量に基づいて50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
【0042】
好ましくは、コアは、1つ以上のグラフトリンカーの重合単位を有する。好ましくは、コアは0.5%以上、より好ましくは1%以上の量でグラフトリンカーの重合単位を含む。好ましくは、コアは10%以下、より好ましくは7%以下の量でグラフトリンカーの重合単位を含む。
【0043】
20℃より高い、より好ましくは30℃以上のTgを有する1つ以上のステージをさらに含む多段コポリマー粒子が好ましい。
【0044】
20℃より高いTgを有するステージにおいて、ビニルポリマーが好ましい、より好ましくは、アクリルモノマーの重合単位の量がビニルポリマーの重量に基づいて50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、より好ましくは95重量%以上である、ビニルポリマーが好ましい。好ましくは、20℃より高いTgを有するステージは、(メタ)アクリル酸の1つ以上の非置換アルキルエステルの重合単位を含む。より好ましくは、20℃より高いTgを有するステージは、アルキル基が6個以下の炭素原子を、より好ましくは4個以下の炭素原子を有する、メタクリル酸の1つ以上の非置換アルキルエステルの重合単位を含む。好ましくは、20℃より高いTgを有するステージはまた、8個以下の炭素原子を、より好ましくは4個以下の炭素原子を有する、アクリル酸の1つ以上の非置換アルキルエステルの重合単位を含む。好ましくは、20℃より高いTgを有するステージ中の(メタ)アクリル酸の非置換アルキルエステルの重合単位の量は、ステージの重量に基づいて50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
【0045】
多段コポリマー粒子は、コアを取り囲むシェル、コアを部分的に取り囲むシェル、マルチローブ構造、マトリクス中アイランド(islands−in−a−matrix)構造、他の構造、またはそれらの組み合わせを含む、任意の形態を有することができる。好ましくは、20℃より高いTgを有するステージはコアを取り囲む。
【0046】
好ましくは、多段コポリマー粒子の集合体は、15μm以下、より好ましくは10μm以下の重量平均径を有する。好ましくは、多段コポリマー粒子の集合体は、3μm以上の重量平均径を有する。
【0047】
好ましくは、コアの、20℃より高いTgを有するステージに対する重量比は1:1以上、より好ましくは1.5:1以上、より好ましくは2.3:1以上である。好ましくは、20℃以下のTgを有するステージの、20℃より高いTgを有するステージに対する重量比は19:1以下、より好ましくは9:1以下、より好ましくは5.7:1以下である。
【0048】
好ましくは、多段コポリマー粒子は、1.9E+10N/m
2未満のK10値を有する。好ましくは、多段コポリマー粒子は、1.5:1より大きい、より好ましくは3:1より大きいK0:K10の比を有する。
【0049】
好ましくは、多段コポリマー粒子の集合体のW20は、80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。好ましくは、多段コポリマー粒子の集合体のW10は、75%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上である。
【0050】
好ましくは、多段コポリマー粒子の集合体は、GRINコポリマー粒子の集合体である。GRIN粒子において、好ましくは、屈折率は、粒子の中心で外側表面よりも低い。GRIN粒子において、好ましくは、最高屈折率と最低屈折率との差異は0.005以上であり、より好ましくは0.01以上である。GRIN粒子において、好ましくは、最高屈折率と最低屈折率との差異は0.1以下であり、より好ましくは0.06以下であり、より好ましくは0.02以下である。
【0051】
多段コポリマー粒子の量を特徴付ける1つの方法は、水性コーティング組成物の全固形分に基づいた百分率として表される多段コポリマー粒子の乾燥重量である。その特徴付けによって、多段コポリマー粒子の量は、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上である。その特徴付けによって、多段コポリマー粒子の量は、好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下である。
【0052】
好ましくは、水性コーティング組成物は、多段コポリマー粒子の集合体に加えて1つ以上のバインダポリマーを含む。好ましいバインダポリマーは、水性媒体中の分散粒子の集合体として存在し、より好ましくは乳化重合によって製造された分散粒子である。好ましいバインダポリマーは、アクリルポリマーである。好ましいバインダポリマーは、多エチレン性不飽和モノマーの重合単位を一切有しないか、またはバインダポリマーの重量に基づいて1重量%以下の多エチレン性不飽和モノマーの重合単位を有するかのいずれかである。好ましいバインダポリマーは、1つ以上の潜在架橋性ビニルモノマーの0.5重量%〜10重量%の重合単位を有する。好ましい潜在架橋性ビニルモノマーは、トリアルコキシシリル基を有するビニルモノマー、1個以上のカルボニル基を有するビニルモノマー、アルキロール(メタ)アクリルアミドモノマー、1個以上のエポキシ基を有するビニルモノマー、ジカルボン酸(例えば、イタコン酸などのような)、四級ジメチルアミノエチメタクリレート−エピクロロヒドリン、及びそれらの混合物である。より好ましい潜在架橋性ビニルモノマーは、トリアルコキシシリル基を有するビニルモノマー、1個以上のカルボニル基を有するビニルモノマー、アルキロール(メタ)アクリルアミドモノマー、1個以上のエポキシ基を有するビニルモノマー、及びそれらの混合物である。
【0053】
好ましいバインダポリマーは30℃以上、より好ましくは50℃以上のTgを有する。好ましいバインダポリマーは、100℃以下のTgを有する。
【0054】
好ましくは、水性コーティング組成物中の固体ポリマーの全量は、水性コーティング組成物の全量に基づいて、5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%以上である。好ましくは、水性コーティング組成物中の固体ポリマーの全量は、水性コーティング組成物の全量に基づいて、50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
【0055】
好ましくは、多段ポリマー粒子の、バインダポリマーに対する乾燥重量比は0.01:1以上、より好ましくは0.02:1以上、より好ましくは0.025:1以上である。好ましくは、多段ポリマー粒子の、バインダポリマーに対する乾燥重量比は0.4:1以下、より好ましくは0.3:1以下、より好ましくは0.2:1以下である。
【0056】
好ましくは、水性コーティング組成物は、1つ以上のアニオン性界面活性剤を含む。好ましいアニオン性界面活性剤は、8個以上の炭素原子を有する1個以上の炭化水素基を含む。好ましくは、水性コーティング組成物は、炭化水素基が12個以上の炭素原子を、より好ましくは14個以上の炭素原子を、より好ましくは16個以上の炭素原子を有する直鎖アルキル基である、1つ以上のアニオン性界面活性剤を含む。好ましくは、水性コーティング組成物は、アニオン性基が、スルホコハク酸基、硫酸基、カルボキシレート基、またはそれらの混合物である1つ以上のアニオン性界面活性剤を含む。より好ましくは、水性コーティング組成物は、アニオン性基がカルボキシレート基である1つ以上のアニオン性界面活性剤を含む。
【0057】
好ましくは、水性コーティング組成物中の全てのアニオン性界面活性剤の全量は、水性コーティング組成物の全てのポリマーの固形分重量に基づいて、3重量%以上、より好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。好ましくは、水性コーティング組成物中の全てのアニオン性界面活性剤の全量は、水性コーティング組成物の全てのポリマーの固形分重量に基づいて、10重量%以下、より好ましくは9重量%以下、より好ましくは8重量%以下である。
【0058】
水性コーティング組成物は、任意で1つ以上の鉱物顔料を含む。1つ以上の鉱物顔料が存在するとき、好ましくは鉱物顔料の粒子は、水性媒体中に分散する。好ましい鉱物顔料は、二酸化チタン、炭酸カルシウム、粘土、及びそれらの混合物である。
【0059】
1つ以上の鉱物顔料が存在するとき、鉱物顔料の量は、W1:W2の比で特徴付けられ、W1が全てのバインダポリマーの乾燥重量と全ての多段コポリマー粒子の乾燥重量とを足したものであり、W2が全ての鉱物顔料の乾燥重量の合計である。好ましくはW1:W2は0.8:1以上、より好ましくは1:1以上、より好ましくは1.2:1以上である。好ましくはW1:W2は2:1以下、より好ましくは1.8:1以下、より好ましくは1.6:1以下、より好ましくは1.4:1以下である。
【0060】
好ましくは、水性コーティング組成物中の水の全量は、水性コーティング組成物の重量に基づいて、70重量%以下、より好ましくは60重量%以下、より好ましくは55重量%以下である。好ましくは、水性コーティング組成物中の水の全量は、水性コーティング組成物の重量に基づいて、49重量%以上である。
【0061】
好ましくは、水性コーティング組成物は、消泡剤をまったく含まないか、または消泡剤が存在する場合、消泡剤の量がバインダポリマーの乾燥重量に基づいて0.01重量%以下であるかのいずれかである。典型的な消泡剤は、不溶性油及びシリコーンポリマーである。好ましくは、水性コーティング組成物中の全ての不溶性油及びシリコーンポリマーの全量は、バインダポリマーの乾燥重量に基づいて、0または0.01重量%以下である。
【0062】
好ましい実施形態において、発泡体ではない初期の水性コーティング組成物が提供され、初期の水性コーティング組成物は気泡を導入し液体組成物を発泡体に変化させるプロセスに供される。好ましくは、初期の水性コーティング組成物は、水性媒体中に溶解もしくは分散するか、またはそれらの組み合わせである様々な成分を含む。好ましくは、初期の水性コーティング組成物の密度は、0.7g/cc以上、より好ましくは0.8g/cc以上、より好ましくは0.9g/cc以上である。好ましくは、初期の水性コーティング組成物の密度は、1.5g/cc以下、より好ましくは1.4g/cc以下、より好ましくは1.3g/cc以下である。
【0063】
気泡を導入するプロセスは、例えば、機械的攪拌、大気圧よりも高い圧力での供給源からのガスの注入、及びそれらの組み合わせを含む。機械的攪拌を含むプロセスが好ましい。
【0064】
水性コーティング組成物が発泡組成物となったとき、好ましくは、密度は0.05g/cc以上、より好ましくは0.08g/cc以上、より好ましくは0.1g/cc以上、より好ましくは0.13g/cc以上である。水性コーティング組成物が発泡組成物となったとき、好ましくは、密度は0.5g/cc以下、より好ましくは0.4g/cc以下、より好ましくは0.3g/cc以下、より好ましくは0.2g/cc以下である。
【0065】
好ましい基材は、1cm以下である1つの寸法を有し、他の2つの寸法は10cm以上である。好ましい基材は、ポリマーフィルム、織布、繊維の非結合マット、及び結合不織布であり、より好ましくは、織布及び結合不織布であり、より好ましくは織布である。
【0066】
発泡水性コーティング組成物の層が基材へと塗布されたとき、乾燥または破砕の前に層の厚さを特徴付けることは有用である。好ましくは、厚さは5μm以上、より好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上である。好ましくは、厚さは70μm以下、より好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下である。
【0067】
好ましくは、基材表面上の水性コーティング組成物の層は、層を加熱された空気にさらすことによって乾燥される。そのようなさらすことは、好ましくは、コーティングされた基材をオーブンに配置することによってか、またはオーブンにコーティングされた基材を通過させることによってかのいずれかによって達成される。乾燥プロセス中における加熱された空気の温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上である。乾燥プロセス中における加熱された空気の温度は、好ましくは115℃以下、より好ましくは110℃以下である。コーティングされた基材が乾燥プロセス中に加熱された空気にさらされる時間は、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、より好ましくは4分以上である。コーティングされた基材が乾燥プロセス中に加熱された空気にさらされる時間は、好ましくは20分以下、より好ましくは12分以下、より好ましくは8分以下である。
【0068】
乾燥プロセスが完了した後、乾燥したコーティング中の水の量は、乾燥したコーティングの重量に基づいて、0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上である。乾燥プロセスが完了した後、乾燥したコーティング中の水の量は、乾燥したコーティングの重量に基づいて、15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
【0069】
乾燥プロセスの後、乾燥したコーティングは破砕される。好ましい破砕方法は、機械的な力がローラを互いに押し付けるように構成された平行なローラの間にコーティングされた基材を通すことである。機械的な力は、ローラに作用する機械的な力の合計をローラの長さで割った値であるパラメータFLINEARによって特徴付けられる。好ましくは、FLINEARは2kgf/cm(11.2/lbf/in)以上、より好ましくは4kgf/cm(22.4/lbf/in)以上、より好ましくは5kgf/cm(28/lbf/in)以上である。好ましくは、FLINEARは9kgf/cm(50.4/lbf/in)以下、より好ましくは8kgf/cm(44.8/lbf/in)以下、より好ましくは7kgf/cm(39.2/lbf/in)以下である。
【0070】
水性コーティング組成物が発泡し、基材に塗布され、乾燥され、破砕された後、結果物は破砕発泡コーティングと称される。破砕発泡コーティングの第1の層が基材の表面上に形成された後、好ましくは、その後に、破砕発泡コーティングの1つ以上の追加の層が、それ以前の破砕発泡コーティングの表面上に形成される。各後続の層について、水性コーティング組成物の組成及び破砕発泡コーティングを形成するステップの特徴を含む、好適かつ好ましい特徴の全ては、上記で論じたものと同一である。
【0071】
破砕発泡コーティングの層の全てが形成された後、生じるコーティングは好ましくは加熱される。好ましくは、潜在架橋性モノマー上の反応性基が、存在する場合には反応して架橋を形成するように、コーティングは十分な温度及び十分な時間加熱される。この加熱ステップは、本明細書において硬化加熱ステップとして知られる。
【0072】
好ましくは、破砕発泡コーティングは、層を加熱された空気にさらすことによって硬化される。そのようなさらすことは、好ましくは、コーティングされた基材をオーブンに配置することによってか、またはオーブンにコーティングされた基材を通過させることによってかのいずれかによって達成される。硬化プロセス中における加熱された空気の温度は、好ましくは150℃以上、より好ましくは160℃以上、より好ましくは170℃以上である。硬化プロセス中における加熱された空気の温度は、好ましくは210℃以下、より好ましくは190℃以下である。コーティングされた基材が硬化プロセス中に加熱された空気にさらされる時間は、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、より好ましくは4分以上である。コーティングされた基材が乾燥プロセス中に加熱された空気にさらされる時間は、好ましくは20分以下、より好ましくは12分以下、より好ましくは8分以下である。
【0073】
硬化プロセスが完了した後、硬化したコーティング中の水の量は、硬化したコーティングの重量に基づいて、0重量%〜2重量%未満、より好ましくは0重量%〜1重量%である。
【0074】
本発明についての1つの好ましい用途は、織布に破砕発泡コーティングを塗布することを含むプロセスによってドレープを製造することである。破砕発泡コーティングは優れた不透明度を提供し、これはドレープにおいてしばしば所望される。
【0075】
破砕発泡コーティングを製造するとき、「アドオン」が高いことが所望される。アドオンは、完成した、硬化された破砕発泡コーティングの特徴である。アドオンは、基材表面の単位面積当たりのコーティングの重量である。2つの水性コーティング組成物が調製される場合、かつこれら2つの水性コーティング組成物が同一のプロセスを用いて発泡、塗布、乾燥、破砕、及び硬化される場合、より高いアドオンを有するコーティングは優れたアドオンを有すると考えられる。
【0076】
破砕発泡コーティングを製造するとき、最終厚さが高いことが所望される。2つの水性コーティング組成物が調製される場合、かつこれら2つの水性コーティング組成物が同一のプロセスを用いて発泡、塗布、乾燥、破砕、及び硬化される場合、より高い厚さを有するコーティングは優れた厚さを有すると考えられる。
【0077】
従来、破砕発泡コーティングを改善するために、他のアプローチが考慮され、及び/または使用されてきた。例えば、1つのそのようなアプローチは、ガス充填中空ポリマー粒子の包含である。ガス充填中空ポリマー粒子のいくつかの例は、Expancel(商標)マイクロスフェア(AkzoNobel)である。そのような粒子は、破砕−発泡プロセスの乾燥及び/または硬化ステップ中にコーティングが加熱されるときに膨張すると考えられる。このような粒子の使用は、平滑でない表面を作り出すことによって最終製品の外観に悪影響を与える可能性があると考えられる。
【0078】
好ましくは、本発明の実施において、水性コーティング組成物はガス充填中空ポリマー粒子をまったく含まない。本発明に従って作製されたコーティングはよりコンパクトで均一であるため、本発明に従って作製されたコーティングはガス充填中空ポリマー粒子を含んで作製されたコーティングに対してより優れていると考えられる。本発明による方法の使用の1つの利点は、得られるコーティングが破砕時に滑らかな外観を有することであると考えられる。
【0079】
概して、本発明の方法によって作製されたコーティングは、以下の特性の、またはそれらの任意の組み合わせの優れた性能を有すると考えられる:洗浄耐久性、ドライクリーニング耐久性、及び比較的低温での柔軟性。
【0080】
本発明の態様には以下の態様1〜9が含まれる。
[態様1]
基材上にコーティングを製造するプロセスであって、発泡水性コーティング組成物の乾燥層を破砕する1つ以上のステップを含み、前記水性コーティング組成物は、2〜20μmの重量平均径を有する多段コポリマー粒子の集合体を含み、前記多段コポリマー粒子は、20℃以下のガラス転移温度(Tg)を有するコアを含む、プロセス。
[態様2]
前記多段コポリマーが、多段階勾配屈折率(GRIN)コポリマー粒子である、態様1に記載のプロセス。
[態様3]
前記発泡水性コーティング組成物の前記乾燥層を破砕するステップの後に、前記発泡水性コーティング組成物の前記乾燥層を加熱するステップをさらに含む、態様1に記載のプロセス。
[態様4]
前記水性コーティング組成物が、1つ以上のバインダポリマーをさらに含む、態様1に記載のプロセス。
[態様5]
前記水性コーティング組成物が、1つ以上の界面活性剤をさらに含む、態様1に記載のプロセス。
[態様6]
発泡水性コーティング組成物の前記乾燥層が、
(a)前記水性コーティング組成物に気体を導入して湿潤発泡体を製造すること、
(b)前記湿潤発泡体の層を基材へと塗布すること、
(c)前記湿潤発泡体の層を、2重量%〜20重量%の水分含量にまで乾燥させて、乾燥発泡体の層を製造すること、
(d)前記乾燥発泡体の層を破砕して破砕された乾燥発泡体の層を製造すること、を含むプロセスによって作製される、態様1に記載のプロセス。
[態様7]
前記プロセスが、ステップ(d)の後に、ステップ(b)、(c)、及び(d)の連続を、1回以上繰り返すことを含む、態様6に記載のプロセス。
[態様8]
態様1に記載のプロセスによって製造される、基材上のコーティングを含む物品。
[態様9]
態様7に記載のプロセスによって製造される、基材上のコーティングを含む物品。
以下は、本発明の実施例である。
【0081】
GRIN粒子は、US7,829,626に開示される方法に従って作製された。GRIN粒子は、最初に水性乳化重合によってシード粒子を形成することによって作製された。シード粒子は、0.56μmの重量平均径を有した。シードは、最終的なGRIN粒子の0.031重量%を構成した。コアは、シード粒子の存在下で水性乳化重合によって形成された。コアの組成は、第1のステージの重量に基づいて96重量%のアクリル酸ブチル及び4重量%のメタクリル酸アリルであった。第2のステージの組成は、第2のステージの重量に基づいて、96重量%のメタクリル酸メチル及び4重量%のアクリル酸エチルであった。第1のステージの第2のステージに対する重量比は80:20であった。
【0082】
得られるGRINポリマー粒子の集合体は、4μm〜5μmの重量平均径を有し、−20℃より低い1つのTgを有し、かつ50℃より高い別のTgを有した。
【0083】
バインダポリマーは、潜在架橋性モノマーの重合単位を有するアクリルラテックスポリマーであった。配合は以下の通りであった。「Ex」は実施例を意味し、「CEx」は比較例を意味する。実施例2、3、及び4において、バインダラテックスは、GRINラテックスと混合され、次いで得られる混合物は残余の成分と混合された。全て4つの配合物は、バインダラテックスとGRIN粒子ラテックスの合計の顔料スラリーに対する、湿潤基準での一定重量比を維持した。
【0084】
【表I】
【0085】
各配合物は以下のように試験された。
【0086】
一片の70%ポリエステル/30%綿の織布を、41.9cm×76.2cm(16.5×30インチ)のピンフレーム上に延伸し、34.3cm×68.6cm(13.5×27インチ)のブロック上に配置した。ドクターブレードを25μmの間隔を有するように調整した。
【0087】
200gの配合物を標準的なKITCHENAID(商標)スタンドミキサーのボウルに添加した。泡立て器のアタッチメントを用いて、化合物を、2分30秒間「高」設定を用いてホイップした。次いで、発泡体を、さらなる30秒間「2」設定に速度を低減することによって平滑化した。
【0088】
次いで、ドクターブレードを用いて頂部から底部に発泡体を塗り下ろして均一なコーティングを製造することにより、発泡体を布地に塗布した。次いで、湿潤発泡コーティングを有するピンフレームをブロックから取り出し、104℃(220°F)のオーブンに5分間配置した。
【0089】
5分後、布地をピンフレームから取り出し、Birch Brothersパダーを通過させて乾燥したコーティングを破砕した。頂部及び底部のローラの圧力を、1分当たり8.44メートル(27.7フィート)の速度で、5.91kgf/cm(33.12lbf/インチ)の力に等しい0.41メガパスカル(60psi)に設定した。破砕後、布地をピンフレーム上に戻し、さらに2つのコーティングを塗布し、各コーティングの間に乾燥及び破砕を実施した。
【0090】
3つ全てのコーティングを塗布し、乾燥し、破砕した後、得られるカーテンパネルを177℃(350°F)オーブンで5分間硬化させた。次いで、完成品をアドオン及び厚さについて評価した。結果は以下の通りであった。
【0091】
【表II】
【0092】
GRIN粒子ラテックスのより多い量は、より高いアドオン及びより大きい厚さをもたらした。さらに、GRINビーズの存在は、比較のコーティングより予測されるよりもより大きい厚さを生じた。すなわち、比較例のコーティングCEx1は、257g/m
2のアドオン及び8.89μmの厚さを示す。従来、アドオンが、例えば18%増加した場合、厚さも18%増加することが予測される。しかしながら、コーティングEx2は、CEx1のものよりも18%高いアドオンを示し、Ex2は、CEx1と比べて31%増加であり、予測される18%よりもはるかに厚い、厚さを示す。同様に、CEx1と比較するとき、コーティングEx3は、アドオンにおける42%の増加及び厚さにおける75%の増加を示す。同様に、CEx1と比較するとき、コーティングEx4は、アドオンにおける64%の増加及び厚さにおける96%の増加を示す。3つ全ての実施例において、厚さにおける増加%は、アドオンにおける増加%よりもはるかに高い。
【0093】
破砕発泡コーティングにおいて不均一に高い厚さを形成するこの能力は、本発明のプロセスが、既知の同等のコーティングよりも柔らかい手触りを有する破砕発泡コーティングを提供することを可能にすると考えられる。