特許第6980737号(P6980737)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6980737ガラス、光学ガラス、リン酸塩光学ガラス、研磨用ガラス素材、プレス成形用ガラス素材および光学素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980737
(24)【登録日】2021年11月19日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】ガラス、光学ガラス、リン酸塩光学ガラス、研磨用ガラス素材、プレス成形用ガラス素材および光学素子
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/21 20060101AFI20211202BHJP
   C03B 25/02 20060101ALI20211202BHJP
   G02B 1/00 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   C03C3/21
   C03B25/02
   G02B1/00
【請求項の数】19
【全頁数】97
(21)【出願番号】特願2019-193481(P2019-193481)
(22)【出願日】2019年10月24日
(62)【分割の表示】特願2017-527497(P2017-527497)の分割
【原出願日】2016年7月7日
(65)【公開番号】特開2020-19710(P2020-19710A)
(43)【公開日】2020年2月6日
【審査請求日】2019年10月24日
(31)【優先権主張番号】特願2015-136228(P2015-136228)
(32)【優先日】2015年7月7日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-37551(P2016-37551)
(32)【優先日】2016年2月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】金子 将士
(72)【発明者】
【氏名】蜂谷 洋一
【審査官】 若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−057509(JP,A)
【文献】 特開2012−091983(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/115038(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101941797(CN,A)
【文献】 国際公開第2012/043815(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/046428(WO,A1)
【文献】 特開2013−227197(JP,A)
【文献】 特開2013−119517(JP,A)
【文献】 特開平06−345481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00−14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッベ数νが18.10以下であり、
TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量[TiO+Nb+WO+Bi]が30質量%以上、
Biの含有量が20質量%以下
NaOの含有量が3.0質量%以下、かつ
TiOの含有量が17.0質量%以上のリン酸塩ガラスであって、
LiOの含有量とTiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量との質量比[LiO/(TiO+Nb+WO+Bi)]に100を掛けた値が0.015〜0.770である、ガラス。
【請求項2】
LiOの含有量が0.010質量%以上である、請求項1に記載のガラス。
【請求項3】
LiOの含有量が0.640質量%以下である、請求項1または2に記載のガラス。
【請求項4】
下記式(1)に示すβOHの値が0.05mm−1以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のガラス。
βOH=−[ln(D/C)]/t ・・・(1)
〔式(1)中、tは外部透過率の測定に用いる前記ガラスの厚み(mm)を表し、Cは前記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2500nmにおける外部透過率(%)を表し、Dは前記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2900nmにおける外部透過率(%)を表す。〕
【請求項5】
ガラス成分としてNbを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のガラス。
【請求項6】
Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量[Ti4++Nb5++W6++Bi3+]が52.00〜75.00カチオン%以下であり、
Bi3+の含有量が10.00カチオン%以下であり、
5+の含有量が25.00〜42.00カチオン%であり、
Ba2+の含有量とW6+の含有量とのカチオン比[Ba2+/W6+]が0.14以下であり、
Ti4+およびBi3+の合計含有量[Ti4++Bi3+]が21.00〜35.00カチオン%であり、
Nb5+の含有量が10.00〜30.00カチオン%であり、
Ti4+の含有量が20.00〜40.00カチオン%であり、
Ti4+の含有量とNb5+の含有量とのカチオン比[Ti4+/Nb5+]が0.40〜6.00であり、
Ti4+の含有量とP5+の含有量とのカチオン比[Ti4+/P5+]が0.50〜1.50であり、
6+の含有量が0.40〜20.00カチオン%であり、
Ti4+およびW6+の合計含有量とNb5+の含有量とのカチオン比[(Ti4++W6+)/Nb5+]が0.40〜7.70であり、
Naの含有量が1.50〜13.00カチオン%であり、
の含有量が1.00〜15.00カチオン%であり、
Li、NaおよびK+の合計含有量[Li+Na+K]が1.00〜22.00カチオン%であり、
Ba2+の含有量が10.00カチオン%以下である、
請求項1〜5のいずれかに記載のガラス。
【請求項7】
の含有量が7.0〜37.0質量%であり、
Nbの含有量が5.0〜60.0質量%であり、
TiOの含有量が50.0質量%以下であり、
TiOの含有量とNbの含有量との質量比[TiO/Nb]が0.16〜4.50であり、
SiOの含有量が8.0質量%以下であり、
Alの含有量が5.0質量%以下であり、
、B、SiOおよびAlの合計含有量[P+B+SiO+Al]が10.0〜45.0%であり、
、B、SiOおよびAlの合計含有量に対するPの含有量の質量比[P/(P+B+SiO+Al)]が0.55以上であり、
TiOの含有量とPの含有量との質量比[TiO/P]が0.04〜4.50であり、
WOの含有量が0.01〜50.0質量%であり、
TiOおよびWOの合計含有量と、Nb含有量との質量比[(TiO+WO)/Nb]が0.15〜8.00であり、
Oの含有量が0.01〜15.0質量%であり、
LiO、NaOおよびKOの合計含有量[LiO+NaO+KO]が0.01〜20.0質量%であり、
LiOの含有量とLiO、NaOおよびKOの合計含有量との質量比[LiO/(LiO+NaO+KO)]が0.0012〜1.00である、
請求項1〜6のいずれかに記載のガラス。
【請求項8】
質量%表示におけるPの含有量が、Al、B、SiOのいずれの含有量よりも多い、請求項1〜7のいずれかに記載のガラス。
【請求項9】
RbOの含有量が5.0質量%以下であり、
CsOの含有量が10.0質量%以下であり、
MgOの含有量が5.0質量%以下であり、
CaOの含有量が6.0質量%以下であり、
SrOの含有量が7.0質量%以下であり、
BaOの含有量が10.0質量%以下であり、
MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量[MgO+CaO+SrO+BaO]が17.0質量%以下であり、
ZnOの含有量が0〜5.0質量%であり、
ZrOの含有量が0〜6.0質量%であり、
Taの含有量が0〜9.0質量%であり、
Gaの含有量が0〜4.0質量%であり、
Inの含有量が0〜5.0質量%であり、
Scの含有量が0〜5.0質量%であり、
HfOの含有量が0〜8.0質量%であり、
Luの含有量が0〜5.0質量%であり、
GeOの含有量が0〜6.0質量%であり、
Laの含有量が0〜5.0質量%であり、
Gdの含有量が0〜8.0質量%であり、
の含有量が0〜5.0質量%であり、
Ybの含有量が0〜5.0質量%であり、
TeOの含有量が0〜5.0質量%である、
請求項1〜8のいずれかに記載のガラス。
【請求項10】
、B、SiO、Al、TiO、Nb、WO、Bi、LiO、NaO、KO、RbO、CsO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、ZrO、Ta、Ga、In、Sc、HfO、Lu、GeO、La、Gd、Y、およびYbの合計含有量が95質量%超である、請求項1〜9のいずれかに記載のガラス。
【請求項11】
全ガラス成分における酸化物の含有量は95質量%よりも多い、請求項1〜10のいずれかに記載のガラス。
【請求項12】
ハロゲンイオンの含有量が4アニオン%以下である、請求項1〜11のいずれかに記載のガラス。
【請求項13】
Pb、As、Cd、Tl、Be、Se、U、Th、Ra、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Pr,Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tmをガラス成分として含有しない、請求項1〜12のいずれかに記載のガラス。
【請求項14】
Sb、SnOおよびCeO以外の全ガラス成分の合計含有量を100質量%としたとき、
Sbの含有量が1質量%未満であり、
SnOの含有量が2質量%未満であり、
CeOの含有量が2質量%未満である、
請求項1〜13のいずれかに記載のガラス。
【請求項15】
屈折率nが1.8800〜2.1500である、請求項1〜14のいずれかに記載のガラス。
【請求項16】
屈折率nが1.8650〜2.1350である、請求項1〜15のいずれかに記載のガラス。
【請求項17】
ガラス転移温度Tgが500〜750℃であり、
λ5が460nm以下であり、
比重dが5.60以下であり、
液相温度が1400℃以下である、
請求項1〜16のいずれかに記載のガラス。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載のガラスからなる光学ガラス。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれかに記載のガラスからなる光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1発明および第2発明からなる。第1発明は、透過性に優れ、高分散で屈折率の上昇を抑えたリン酸塩光学ガラス、および、係るリン酸塩光学ガラスからなる光学素子に関する。また、第2発明は、還元色を容易に低減できるガラス、光学ガラス、研磨用ガラス素材、プレス成形用ガラス素材、および光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
高分散ガラス製のレンズは、低分散ガラス製のレンズと組み合わせてペアレンズとすることで、色収差の補正に用いられている。高分散ガラスは一般に高屈折率であり、低分散ガラスは一般に低屈折率である。このため、両者を組み合わせてペアレンズとすると、屈折率の差が大きいために像面湾曲が強く表れるという問題があった。
【0003】
例えば、特許文献1には、アッベ数νdの低い、すなわち高分散ガラスが開示されているが、屈折率が高すぎるため、上述のペアレンズに使用すると像面湾曲の問題が生じる。
【0004】
また、高分散ガラスは、通常、ガラス成分としてTiO、Nb、WOおよびBi等の成分(以下、「高分散成分」と記載することがある。)を多量に含有している。これら高分散成分は、ガラスの熔融過程で還元されやすい。高分散成分が還元されると、可視光域の短波長側の光を吸収して、ガラスに着色(以下、「還元色」ということがある)が生じる。
【0005】
特許文献2では、ガラスを熱処理することで、このようなガラスの着色を低減している。これは、還元状態のTi、Nb、W、Bi等のイオンが加熱により酸化されることで、可視光吸収が弱まるためと考えられる。
【0006】
すなわち、ガラス成分としてTiO、Nb、WOおよびBi等の高分散成分を多量に含有する高分散ガラスでは、熱処理により還元色を低減することで、必要な透明性を得ることができる。しかし、この熱処理では長時間ガラスを加熱する必要があるため、生産性および経済性の観点から改善が求められている。特にアッベ数νが18.1以下の高分散ガラスではより濃く着色するため、着色低減のための熱処理に長時間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−212935号公報
【特許文献2】特開平6−345481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような実状に鑑みて、第1発明では、第1の課題として、透過性に優れ、高分散で屈折率の上昇を抑えたリン酸塩光学ガラスを提供すること、および、係るリン酸塩光学ガラスからなる光学素子および光学ガラス素材を提供することを目的とする。第2発明では、第2の課題として、熱処理により還元色を低減する際に、その熱処理時間を短縮できるガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、第1の課題に対しては、ガラスを構成する各種ガラス構成成分(以下、ガラス成分という)の含有比率を調整することにより、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて第1本発明を完成するに至った。また、第2の課題に対しては、高分散成分に対し、所定の比率でLiOを含有させることにより、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて第2発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)アッベ数νdが16.70以下であり、
屈折率ndが2.1000以下であって、
、TiOおよびNbを含み、
TiOの含有量とNbの含有量との質量比[TiO/Nb]が0.15以上であるリン酸塩光学ガラス。
(2)Biの含有量が29.0質量%以下である(1)に記載のリン酸塩光学ガラス。
(3)アッベ数νdが16.70以下であり、
Biの含有量が29.0質量%以下であって、
TiO、NbおよびWOの合計含有量が45.0質量%以上であるリン酸塩光学ガラス。
(4)TiOおよびWOの合計含有量と、Nbの含有量との質量比[(TiO+WO)/Nb]が0.15以上である(1)〜(3)のいずれかに記載のリン酸塩光学ガラス。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のリン酸塩光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材。
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のリン酸塩光学ガラスからなる光学素子。
(7)アッベ数νが18.10以下であり、
TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量[TiO+Nb+WO+Bi]が30質量%以上、かつ
Biの含有量が38質量%以下のリン酸塩ガラスであって、
LiOの含有量とTiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量との質量比[LiO/(TiO+Nb+WO+Bi)]に100を掛けた値が0.015〜0.770である、ガラス。
(8)アッベ数νが18.10以下であり、
TiO、Nb、WOおよびBiから選択される少なくとも1種の酸化物を含むリン酸塩ガラスであって、
大気雰囲気下で、液相温度LTより110〜120℃高い温度で90分間リメルトして成形し、
大気雰囲気下で、ガラス転移温度Tgより0〜20℃低い保持温度で15分間保ち、降温速度30℃/hで前記保持温度より120℃低い温度まで徐冷して得られるガラスを、縦17mm、横13mm、厚み10mmに加工したものにおいて、
上面視で、縦方向の端から0〜5mmの距離であり、かつ横方向の端から0〜5mmの距離の範囲にある部分をガラス端部とし、
上面視で、縦方向の端から6〜11mmの距離であり、かつ横方向の端から4〜9mmの距離の範囲にある部分をガラス中心部とした場合に、
厚み方向と平行に光を入射した際の、波長656nmにおける前記ガラス端部の外部透過率Tおよび前記ガラス中心部の外部透過率Tが下記式(2)で計算される値T以上、かつ、
前記ガラス端部の外部透過率Tと前記ガラス中心部の外部透過率Tとの差(T−T)が5%以下となるまで、
大気雰囲気下で、昇温速度100℃/hで加熱してガラス転移温度Tgより5〜15℃低い熱処理温度で保持する熱処理、および降温速度30℃/hで前記熱処理温度より120℃低い温度まで徐冷する徐冷処理を、1回または複数回繰り返すときの、
前記熱処理における前記熱処理温度での保持時間の合計が、48時間以内であるガラス。
=0.83×{1−{(n−1)/(n+1)}}×98 ・・・(2)
〔式(2)中、nは前記ガラス端部の外部透過率Tと前記ガラス中心部の外部透過率Tとの差(T−T)が5%以下になるまで前記熱処理および徐冷処理を行った場合の、波長656.27nmにおける屈折率である。〕
(9)LiOの含有量が0.010質量%以上である、(7)または(8)に記載のガラス。
(10)LiOの含有量が0.640質量%以下である、(7)〜(9)のいずれかに記載のガラス。
(11)下記式(1)に示すβOHの値が0.05mm−1以上である、(7)〜(10)のいずれかに記載のガラス。
βOH=−[ln(D/C)]/t ・・・(1)
〔式(1)中、tは外部透過率の測定に用いる前記ガラスの厚み(mm)を表し、Cは前記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2500nmにおける外部透過率(%)を表し、Dは前記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2900nmにおける外部透過率(%)を表す。〕
(12)ガラス成分としてNbを含む、(7)〜(11)のいずれかに記載のガラス。
(13)ガラス成分としてTiOを含む、(7)〜(12)のいずれかに記載のガラス。
(14)上記(7)〜(13)のいずれかに記載のガラスからなる光学ガラス。
(15)上記(7)〜(13)のいずれかに記載のガラスからなる研磨用ガラス素材。
(16)上記(7)〜(13)のいずれかに記載のガラスからなるプレス成形用ガラス素材。
(17)上記(14)に記載の光学ガラスからなる研磨用ガラス素材。
(18)上記(14)に記載の光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材。
(19)上記(7)〜(13)のいずれかに記載のガラスからなる光学素子。
(20)上記(14)に記載の光学ガラスからなる光学素子。
(21)上記(15)または(17)に記載の研磨用ガラス素材からなる光学素子。
(22)上記(16)または(18)に記載のプレス成形用ガラス素材からなる光学素子。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、低分散ガラス製レンズと組み合わせてペアレンズとしたときに、アッベ数の差が大きいため、色収差の補正において高い効果を奏する。また、屈折率の低い低分散ガラス製レンズと組み合わせてペアレンズとした場合でも、屈折率の差が小さいために、像面湾曲が抑制される。
第2発明によれば、高分散ガラスにおいて熱処理により還元色を低減する際に、その熱処理時間を短縮できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。さらに、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。なお、本明細書において、「光学ガラス」は、複数種のガラス構成成分(ガラス成分)を含むガラス組成物であって、特に記載しない限り、形態(塊り状、板状、球状など)や用途(光学素子用素材、光学素子など)、大きさを問わない総称として用いている。すなわち、光学ガラスの形態や用途、大きさに制限はなく、いかなる形態の光学ガラスも、またいかなる用途の光学ガラスも、そしていかなる大きさの光学ガラスも本発明における光学ガラスに含まれる。また、本明細書において、光学ガラスは、単に「ガラス」と称されることがある。
【0013】
また、本明細書において、(数値1)を用いて、「(数値1)以下」のように数値範囲を表すことがある。このように表される範囲は、(数値1)よりも小さい数値範囲と(数値1)を合わせた数値範囲である。「(数値1)未満」と表される数値範囲は、(数値1)よりも小さい数値範囲であり、(数値1)を含まない。(数値2)を用いて、「(数値2)以上」のように数値範囲を表すことがある。このように表される範囲は、(数値2)よりも大きい数値範囲と(数値2)を合わせた数値範囲である。「(数値2)超」のように数値範囲を表すことがある。このように表される範囲は、(数値2)よりも大きい数値範囲であり、(数値2)を含まない。
【0014】
本明細書では、主に質量%表示での各ガラス成分の含有量に基づいて、本発明に係る光学ガラスを説明する。以下、特記しない限り、「%」は質量%を表す。また、一部のガラス成分については、カチオン%表示での含有量も記載する。
【0015】
本明細書において、質量%表示とは、酸化物やフッ化物で表される各ガラス成分について、全てのガラス成分の合計含有量を100質量%としたときの各ガラス成分の含有量を質量百分率により表示することをいう。また、質量%表示での合計含有量とは、複数種のガラス成分の含有量(含有量が0%である場合も含む)の合計量をいう。また、質量比とは、質量%表示におけるガラス成分の含有量(複数種の成分の合計含有量も含む)同士の割合(比)をいう。
【0016】
また、本明細書において、カチオン%表示とは、全てのカチオン成分の含有量の合計を100%としたときのモル百分率をいう。カチオン%表示での合計含有量とは、複数種のカチオン成分の含有量(含有量が0%である場合も含む)の合計量をいう。また、カチオン比とは、カチオン%表示において、カチオン成分同士の含有量(複数種のカチオン成分の合計含有量も含む)の割合(比)をいう。
【0017】
なお、カチオン成分の価数(例えばP5+の価数は+5、Si4+の価数は+4、La3+の価数は+3)は、慣習により定まった値であり、ガラス成分としてのP、Si、Laを酸化物基準で表記する際、P、SiO、Laと表記するのと同様である。したがって、ガラス組成を分析する際、カチオン成分の価数まで分析しなくてもよい。また、アニオン成分の価数(例えばO2-の価数がー2)も慣習により定まった値であり、上記のように酸化物基準におけるガラス成分を、例えばP、SiO、Laと表記するのと同様である。したがって、ガラス組成を分析する際、アニオン成分の価数まで分析しなくてもよい。
【0018】
後述するように、Sb、SnO、CeOは、清澄剤としてガラスに少量添加されることがある。しかし、本明細書において、全てのガラス成分の合計含有量にはSb、SnOおよびCeOの含有量を含めない。すなわち、ガラス成分中のSb、SnO、CeOの各含有量は、Sb、SnOおよびCeO以外の全てのガラス成分の合計含有量におけるSb、SnO、CeOの各含有量として表示される。本明細書において、このような表記を外割りという。
【0019】
以下、本発明の第1実施形態および第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態は第1発明の実施形態であり、第2実施形態は第2発明の実施形態である。
【0020】
第1実施形態
第1−1実施形態および第1−2実施形態(以下、「第1実施形態」と総称することがある。)について詳述する。
【0021】
第1実施形態に係る光学ガラスのガラス組成は、ICP−AES(Inductively Coupled Plasma - Atomic Emission Spectrometry)、あるいは、ICP−MS(Inductively Coupled Plasma - Mass Spectrometry)により定量することができる。ICP−AESにより求められる分析値は、例えば、分析値の±5%程度の測定誤差を含んでいることがある。また、本明細書および本発明において、ガラスの構成成分の含有量が0%または含まないとは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、この構成成分の含有量が不純物レベル程度以下であることを指す。
【0022】
第1−1実施形態
本発明の第1−1実施形態の光学ガラスは、
アッベ数νdが16.70以下であり、
屈折率ndが2.1000以下であって、
、TiOおよびNbを含み、
TiOの含有量とNbの含有量との質量比[TiO/Nb]が0.15以上であるリン酸塩光学ガラスである。
【0023】
以下、第1−1実施形態に係る光学ガラスについて詳しく説明する。
【0024】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、アッベ数νdは16.70以下である。アッベ数νdの上限は、好ましくは16.68であり、さらには、16.66、16.64、16.62、16.60、16.58、16.56、16.54の順により好ましい。また、アッベ数の下限は、好ましくは15.50であり、さらには、15.55、15.60、15.65、15.70の順に大きい値ほどより好ましい。
【0025】
アッベ数νdを16.70以下とすることにより、低分散ガラス製レンズと組み合わせてペアレンズとしたときに、アッベ数の差が大きくなって、色収差の補正において高い効果を奏する。
【0026】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、屈折率ndは2.1000以下である。屈折率の上限は、好ましくは2.0950であり、さらには、2.0900、2.0850、2.0800、2.0750、2.0500、2.0300、2.0100、2.0000の順により好ましい。また、屈折率の下限は、好ましくは1.8800であり、さらには、1.9000、1.9200、1.9400、1.9600の順に大きい値ほどより好ましい。
【0027】
屈折率ndを2.1000以下とすることにより、屈折率の低い低分散ガラス製レンズと組み合わせてペアレンズとした場合でも、屈折率の差が小さいために、像面湾曲が抑制される。
【0028】
第1−1実施形態に係る光学ガラスは、P、TiOおよびNbを含む。P、TiOおよびNbを含むことにより、高分散で屈折率ndの上昇を抑えた光学ガラスを得ることができる。
【0029】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiOの含有量とNbの含有量との質量比[TiO/Nb]は0.15以上である。上述のとおり、第1−1実施形態に係る光学ガラスはPおよびTiOを含むが、PおよびTiOを増加させる
ことによってガラスの熔解性が低下し、液相温度が上昇するという問題が生じる。そこで、高分散化に寄与するNbを、TiOに対して特定の割合で含有させることにより、液相温度の上昇を防ぎ、この問題を解消した。
【0030】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiOの含有量とNbの含有量との質量比[TiO/Nb]の下限は、好ましくは0.16であり、さらには、0.17、0.18、0.19、0.20、0.23の順により好ましい。また質量比[TiO/Nb]の上限は、好ましくは4.50であり、さらには、4.40、4.30、4.20、4.10、4.00、3.80、3.60の順により好ましい。
【0031】
また、第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Ti4+の含有量とNb5+の含有量とのカチオン比[Ti4+/Nb5+]の上限は、好ましくは6.00であり、さらには5.90、5.80、5.70、5.65、5.60の順により好ましい。カチオン比[Ti4+/Nb5+]の下限は、好ましくは0.40であり、さらには0.41、0.42の順により好ましい。
【0032】
Ti4+はガラスの熔解性を低下させ、液相温度を上昇させやすい。一方、Nb5+は液相温度の低下および屈折率の上昇を抑え、高分散化に寄与する。そのため、Nb5+をTi4+に対して一定の割合で含有させることにより、ガラスの熔解性の低下および液相温度の上昇を抑制できる。したがって、本実施形態に係る光学ガラスにおいて、カチオン比[Ti4+/Nb5+]は上記範囲とすることが好ましい。
【0033】
第1−1実施形態に係る光学ガラスは、リン酸塩光学ガラスである。リン酸塩光学ガラスとは、ガラスのネットワーク形成成分として主にリン酸塩を含む光学ガラスをいう。したがって、第1−1実施形態に係る光学ガラスは、ネットワーク形成成分としてリン酸塩を含み、その含有量はPの含有量として表される。ガラスのネットワーク形成成分として、P、Al、B、SiO等が知られている。ここで、ガラスのネットワーク形成成分として主にリン酸塩を含むとは、質量%表示におけるPの含有量が、Al、B、SiOのいずれの含有量よりも多いガラスを意味する。
【0034】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Pの含有量の下限は、好ましくは7.0%であり、さらには、8.0%、9.0%、10.0%、11.0%、12.0%、12.5%、13.0%の順により好ましい。また、Pの含有量の上限は、好ましくは35.0%であり、さらには、34.5%、34.0%、33.5%、33.0%の順により好ましい。
【0035】
は、屈折率ndの上昇を抑制し、ガラス中に高分散成分を多く含有するために必須の成分である。一方、Pを過剰に含むと熔解性が悪化する。したがって、本実施形態に係る光学ガラスにおいて、Pの含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0036】
また、第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、P5+の含有量の上限は、好ましくは45.00カチオン%であり、さらには44.50カチオン%、44.00カチオン%、43.50カチオン%、43.00カチオン%、42.50カチオン%、42.00カチオン%、41.50カチオン%、41.00カチオン%、40.50カチオン%、40.00カチオン%、39.50カチオン%、39.00カチオン%、38.50カチオン%の順により好ましい。P5+の含有量の下限は、好ましくは20.00カチオン%であり、さらには20.50カチオン%、21.00カチオン%、21.50カチオン%、22.00カチオン%、22.50カチオン%、23.00カチオン%、23.50カチオン%、24.00カチオン%、24.50カチオン%、25.00カチオン%、25.50カチオン%の順により好ましい。
【0037】
5+は、屈折率ndの上昇を抑制し、ガラス中に高分散成分を多く含有するために必須の成分である。一方、P5+を過剰に含むと熔解性が悪化する。したがって、本実施形態に係る光学ガラスにおいて、P5+の含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0038】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Biの含有量の上限は、好ましくは29.0%であり、さらには、28.5%、28.0%、27.5%、27.0%、25.0%、20.0%、15.0%、10.0%、6.0%、5.0%の順により好ましい。また、Biの含有量の下限は、好ましくは0%である。Biの含有量は0%であってもよい。
【0039】
Biは、適量を含有させることによりガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、Biの含有量を高めると、屈折率が上昇し、ガラスの着色が増大する。したがって、Biの含有量を上記範囲とすることが好ましい。
【0040】
また、第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Bi3+の含有量の上限は、好ましくは20.00カチオン%であり、さらには19.50カチオン%、19.00カチオン%、18.50カチオン%、18.00カチオン%、17.50カチオン%、17.00カチオン%、16.50カチオン%の順により好ましい。Bi3+の含有量の下限は、好ましくは3.00カチオン%であり、さらには1.50カチオン%、1.00カチオン%、0.40カチオン%の順により好ましい。Bi3+の含有量は0カチオン%であってもよい。
【0041】
Bi3+は、適量を含有させることによりガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、Bi3+の含有量を高めると、屈折率が上昇し、ガラスの着色が増大する。したがって、Bi3+の含有量を上記範囲とすることが好ましい。
【0042】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiOおよびWOの合計含有量と、Nb含有量との質量比[(TiO+WO)/Nb]の下限は、好ましくは0.15であり、さらには、0.17、0.19、0.20、0.21、0.23、0.25、0.26、0.28、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.60、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65の順により好ましい。また、質量比[(TiO+WO)/Nb]の上限は、好ましくは8.00であり、さらには、7.90、7.80、7.70、7.60、7.40、7.20、7.00の順により好ましい。
【0043】
質量比[(TiO+WO)/Nb]の値を上記範囲とすることで、屈折率の上昇を抑えつつ、色収差補正に好適な高分散性を有するガラスを得ることができる。
【0044】
また、第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Ti4+およびW6+の合計含有量とNb5+の含有量とのカチオン比[(Ti4++W6+)/Nb5+]の上限は、好ましくは7.70であり、さらには7.60、7.50、7.40、7.35、7.30、7.28、7.26の順により好ましい。カチオン比[(Ti4++W6+)/Nb5+]の下限は、好ましくは0.40であり、さらには0.41、0.42の順により好ましい。
【0045】
カチオン比[(Ti4++W6+)/Nb5+]の値を上記範囲とすることで、屈折率の上昇を抑制しつつ、色収差補正に好適な高分散性を有するガラスを得ることができる。
【0046】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiO、NbおよびWOの合計含有量と、TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量との質量比[(TiO+Nb+WO)/(TiO+Nb+WO+Bi)]の下限は、好ましくは0.45であり、さらには、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85の順により好ましい。また、質量比[(TiO+Nb+WO)/(TiO+Nb+WO+Bi)]の上限は、好ましくは1.00である。Biの含有量は0%であってもよい。
【0047】
質量比[(TiO+Nb+WO)/(TiO+Nb+WO+Bi)]
の値を上記範囲とすることで、透過率の悪化を抑制し、また、屈折率の上昇、比重の増大を抑えることができる。
【0048】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiO、NbおよびWOの合計含有量[TiO+Nb+WO]の下限は、好ましくは43.0%であり、さらには、45.0%、46.0%、47.0%、48.0%、49.0%、50.0%、52.0%の順により好ましい。また、合計含有量[TiO+Nb+WO]の上限は、好ましくは85.0%であり、さらには、84.0%、83.0%、82.0%、81.0%、79.0%、77.0%の順により好ましい。
【0049】
TiO、NbおよびWOは、いずれも高分散化に寄与するガラス成分であるが、着色増大の原因ともなる。したがって、合計含有量[TiO+Nb+WO]は上記範囲とすることが好ましい。
【0050】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示した場合に、W6+の含有量が0カチオン%を超える場合には、Ba2+の含有量とW6+の含有量とのカチオン比[Ba2+/W6+]の上限は、好ましくは0.14であり、さらには0.13、0.12、0.11、0.10の順により好ましい。
【0051】
Ba2+は、低分散化に寄与する成分である。したがって、第1−1実施形態に係る光学ガラスでは、Ba2+の含有量に対して、高分散成分であるW6+を上記カチオン比となるように含有させることで、所望の高分散性を維持することができる。
【0052】
また、第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示した場合に、W6+の含有量が0カチオン%であって、Ba2+の含有量が0カチオン%を超える場合には、Ti4+およびBi3+の合計含有量[Ti4++Bi3+]の上限は、好ましくは35.00カチオン%であり、さらには34.00カチオン%、33.00カチオン%、32.50カチオン%、32.30カチオン%、32.00カチオン%、31.80カチオン%、31.60カチオン%、31.40カチオン%、31.20カチオン%、31.00カチオン%、30.80カチオン%、30.60カチオン%、30.40カチオン%、30.20カチオン%、30.10カチオン%、30.00カチオン%の順により好ましい。合計含有量[Ti4++Bi3+]の下限は、好ましくは21.00カチオン%であり、さらには21.20カチオン%、21.40カチオン%、21.60カチオン%、21.80カチオン%、22.00カチオン%、22.20カチオン%、22.40カチオン%、22.60カチオン%、22.80カチオン%、23.00カチオン%、23.10カチオン%、23.20カチオン%、23.30カチオン%、23.40カチオン%、23.50カチオン%の順により好ましい。
【0053】
6+の含有量が0カチオン%であって、Ba2+の含有量が0カチオン%を超える場合には、高分散成分の中でW6+に次いで高分散化への寄与が大きいTi4+、および熱的安定性を改善する働きを有するBi3+の合計含有量を上記範囲とすることで、Ba2+による低分散化を抑制できる。
【0054】
(ガラス成分)
上記第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいては、以下のガラス成分を含むことができる。
【0055】
第1−1実施形態に係る光学ガラスは、P以外のガラスのネットワーク形成成分として、B、SiO、Alを含むことができる。
【0056】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Bの含有量の上限は、好ましくは4.0%であり、さらには、3.0%、2.0%、1.0%の順により好ましい。Bの含有量は0%であってもよい。
【0057】
は、ガラスのネットワーク形成成分であり、ガラスの熔融性を改善するとともに、屈折率の上昇を抑制する働きを有する。一方、Bの含有量が多いと、アッベ数の減少を抑制して高分散化を妨げ、また、化学的耐久性が低下する傾向がある。そのため、屈折率の上昇を抑制しつつ、ガラスの熱的安定性、熔融性および成形性等を改善する観点から、Bの含有量の上限は上記範囲であることが好ましい。一方、所望のアッベ数を得つつ、化学的耐久性を良好に維持する観点から、Bの含有量の下限は上記範囲であることが好ましい。
【0058】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、SiOの含有量の上限は、好ましくは8.0%であり、さらには、7.0%、6.0%、5.5%、5.0%、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%の順により好ましい。SiOの含有量は0%であってもよい。
【0059】
SiOは、ガラスのネットワーク形成成分であり、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性を改善し、熔融ガラスの粘性を高め、熔融ガラスを成形しやすくする働きを有する。一方、SiOの含有量が多いと、ガラスの熔融性、低温軟化性が低下し、ガラス原料が熔け残る傾向がある。そのため、ガラスの熔融性、低温軟化性等を改善する観点から、SiOの含有量の上限は上記範囲であることが好ましい。
【0060】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Alの含有量の上限は、好ましくは5.0%であり、さらには、4.0%、3.5%、2.5%、2.0%、1.5%、1.0%、0.5%の順により好ましい。Alの含有量は0%であってもよい。
【0061】
Alは、屈折率の上昇を抑制し、ガラスの化学的耐久性、耐候性を改善する働きを有するガラス成分であり、ネットワーク形成成分として考えることができる。一方、Alの含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性が低下し、ガラス転移温度Tgが上昇する、熔融性が低下する等の問題が生じやすい。このような問題を回避する観点から、Alの含有量の上限は上記範囲であることが好ましい。
【0062】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラスのネットワーク形成成分であるP、B、SiOおよびAlの合計含有量[P+B+SiO+Al]の上限は、好ましくは45.0%であり、さらには、43.0%、41.0%、39.0%、37.0%、35.0%、33.0%の順により好ましい。また、合計含有量[P+B+SiO+Al]の下限は、好ましくは10.0%であり、さらには、11.0%、12.0%、12.5%、13.0%、14.0%、15.0%の順により好ましい。
【0063】
合計含有量[P+B+SiO+Al]の上限を上記範囲とすることで、屈折率を所望の範囲に維持しやすくなる。また、合計含有量[P+B+SiO+Al]の下限を上記範囲とすることで、ガラスの熱的安定性を改善し、ガラスの失透をより一層抑制しやすくなる。
【0064】
また、第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、P、B、SiOおよびAlの合計含有量に対するPの含有量の質量比[P/(P+B+SiO+Al)]の下限は、好ましくは0.70であり、さらには、0.75、0.80、0.85、0.90の順により好ましい。質量比[P/(P+B+SiO+Al)]を1.00とすることもできる。
【0065】
質量比[P/(P+B+SiO+Al)]が小さいと、ガラスの熱的安定性が低下し、また、熔融性も低下する。そのため、ガラスの高分散化、良好な熔融性を維持する観点から、質量比[P/(P+B+SiO+Al)]の下限は、上記範囲であることが好ましい。
【0066】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiOの含有量の下限は、好ましくは1.0%であり、さらには、3.0%、5.0%、6.0%、7.0%、8.0%、9.0%、10.0%の順により好ましい。また、TiOの含有量の上限は、好ましくは45.0%であり、さらには、44.0%、43.0%、42.0%、41.0%、40.0%、39.0%の順により好ましい。
【0067】
TiOは、NbおよびBiと比較して屈折率の上昇を抑制し、高分散化に大きく寄与する。一方、TiOは、比較的ガラスの着色を増大させやすい。また、TiOは、熔融ガラスを成形、徐冷して光学ガラスを得る過程で、ガラス内における結晶生成を促進させ、ガラスの透明性を低下(白濁)させる。したがって、本実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiOの含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0068】
また、第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Ti4+の含有量の上限は、好ましくは48.00カチオン%であり、さらには47.00カチオン%、46.00カチオン%、45.50カチオン%、45.00カチオン%、44.50カチオン%、44.00カチオン%、43.50カチオン%、43.00カチオン%、42.50カチオン%、42.00カチオン%の順により好ましい。Ti4+の含有量の下限は、好ましくは10.00カチオン%であり、さらには11.00カチオン%、11.50カチオン%、12.00カチオン%、12.50カチオン%、13.00カチオン%、13.50カチオン%、14.00カチオン%、14.50カチオン%、15.00カチオン%、15.50カチオン%の順により好ましい。
【0069】
Ti4+はNb5+およびBi3+と比較して屈折率の上昇を抑制し、高分散化に大きく寄与する。一方、Ti4+は、比較的ガラスの着色を増大させやすい。また、Ti4+は、熔融ガラスを成形、徐冷して光学ガラスを得る過程で、ガラス内における結晶生成を促進させ、ガラスの透明性を低下(白濁)させる。したがって、本実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ti4+の含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0070】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiOの含有量とPの含有量との質量比[TiO/P]の上限は、好ましくは4.50であり、さらには、4.00、3.50、3.00、2.50、2.00、1.50の順により好ましい。また、質量比[TiO/P]の下限は、好ましくは0.04であり、さらには、0.08、0.12、0.16、0.20、0.24、0.28、0.32、0.36、0.40、0.44、0.48、0.52の順により好ましい。
【0071】
第1−1実施形態に係る光学ガラスでは、TiOを含むことにより、ガラス内における結晶生成が促進されて、ガラスの透明性が低下(白濁)するという問題が生じる。ネットワーク形成成分であるPをTiOに対して上記範囲の割合で含有させることによりこの問題を解消することができる。
【0072】
また、第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Ti4+の含有量とP5+の含有量とのカチオン比[Ti4+/P5+]の上限は、好ましくは1.50であり、さらには1.40、1.30、1.29、1.28、1.27、1.26、1.25、1.24、1.23、1.22の順により好ましい。カチオン比[Ti4+/P5+]の下限は、好ましくは0.50であり、さらには0.51、0.52、0.53の順により好ましい。
【0073】
第1−1実施形態に係る光学ガラスでは、Ti4+を含むことにより、ガラス内における結晶生成が促進されて、ガラスの透明性が低下(白濁)するという問題が生じる。ネットワーク形成成分であるP5+をTi4+に対して上記範囲の割合で含有させることによりこの問題を解消することができる。
【0074】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nbの含有量の下限は、好ましくは5.5%であり、さらには、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%の順により好ましい。また、Nbの含有量の上限は、好ましくは55.0%であり、さらには、54.0%、53.0%、52.0%、51.0%、50.0%、49.0%、48.0%の順により好ましい。
【0075】
Nbは、高分散化に寄与する成分である。また、ガラスの熱的安定性および化学的耐久性を改善するガラス成分でもある。一方、Nbの含有量が多くなりすぎると、ガラスの熱的安定性が低下し、また、ガラスの着色が強まる傾向がある。したがって、本実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nbの含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0076】
また、第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Nb5+の含有量の上限は、好ましくは45.00カチオン%であり、さらには44.00カチオン%、43.50カチオン%、43.00カチオン%、42.50カチオン%、42.00カチオン%、41.50カチオン%、41.00カチオン%、40.50カチオン%、40.00カチオン%、39.50カチオン%、39.00カチオン%、38.50カチオン%の順により好ましい。Nb5+の含有量の下限は、好ましくは1.00カチオン%であり、さらには2.00カチオン%、2.50カチオン%、3.00カチオン%、3.50カチオン%、4.00カチオン%、4.50カチオン%、5.00カチオン%、5.50カチオン%、6.00カチオン%、6.50カチオン%の順により好ましい。
【0077】
Nb5+は、高分散化に寄与する成分である。また、ガラスの熱的安定性および化学的耐久性を改善するガラス成分でもある。一方、Nb5+の含有量が多くなりすぎると、ガラスの熱的安定性が低下し、また、ガラスの着色が強まる傾向がある。したがって、本実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nb5+の含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0078】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、WOの含有量の上限は、好ましくは45.0%であり、さらには、44.5%、44.0%、43.5%、43.0%、42.0%、41.0%、40.0%の順により好ましい。また、WOの含有量の下限は、好ましくは9.0%であり、さらには、7.0%、5.0%、3.0%、1.0%、0.5%、0.3%、0.1%の順により好ましい。WOの含有量は0%であってもよい。
【0079】
WOは、屈折率の上昇を抑え、高分散化に大きく寄与するが、TiO、NbおよびBiと比較してガラスの着色の原因となりやすく、透過率を悪化させる。したがって、WOの含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0080】
また、第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、W6+の含有量の上限は、好ましくは30.00カチオン%であり、さらには29.00カチオン%、28.50カチオン%、28.00カチオン%、27.50カチオン%、27.00カチオン%、26.50カチオン%、26.00カチオン%、25.50カチオン%、25.00カチオン%、24.50カチオン%の順により好ましい。W6+の含有量の下限は、好ましくは0.40カチオン%であり、さらには0.20カチオン%、0.10カチオン%の順により好ましい。W6+の含有量は0カチオン%であってもよい。
【0081】
6+は、屈折率の上昇を抑え、高分散化に大きく寄与するが、Ti4+、Nb5+およびBi3+と比較してガラスの着色の原因となりやすく、透過率を悪化させる。したがってW6+の含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0082】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量[TiO+Nb+WO+Bi]の上限は、好ましくは86.0%であり、さらには、85.5%、85.0%、84.5%、84.0%、83.5%、83.0%の順により好ましい。また、合計含有量[TiO+Nb+WO+Bi]の下限は、好ましくは55.0%であり、さらには、55.5%、56.0%、56.5%、57.0%、57.5%、58.0%、58.5%、59.0%、59.5%、60.0%、60.5%、61.0%、61.5%、62.0%、62.5%、63.0%、63.5%、64.0%の順により好ましい。
【0083】
TiO、Nb、WOおよびBiは、ガラスの高分散化に寄与する。また、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きも有する。しかし、Biは、TiO、NbおよびWOと比べて屈折率を上昇させる働きが強い。よって、屈折率の上昇およびガラスの着色増大を抑制する観点から、合計含有量[TiO+Nb+WO+Bi]の上限は上記範囲であることが好ましい。また、ガラスを高分散化し、またガラスの熱的安定性を改善する観点から、合計含有量[TiO+Nb+WO+Bi]の下限は上記範囲であることが好ましい。
【0084】
また、第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量[Ti4++Nb5++W6++Bi3+]の上限は、好ましくは75.00カチオン%であり、さらには74.50カチオン%、74.00カチオン%、73.50カチオン%、73.00カチオン%、72.50カチオン%、72.00カチオン%、71.50カチオン%、71.00カチオン%、70.50カチオン%の順により好ましい。合計含有量[Ti4++Nb5++W6++Bi3+]の下限は、好ましくは52.00カチオン%であり、さらには52.10カチオン%、52.15カチオン%、52.20カチオン%、52.25カチオン%、52.30カチオン%の順により好ましい。
【0085】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+はガラスの高分散化に寄与する。また、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きも有する。したがって、合計含有量[Ti4++Nb5++W6++Bi3+]の下限は上記範囲であることが好ましい。一方で、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+はガラスの着色を増大させる。したがって合計含有量[Ti4++Nb5++W6++Bi3+]の上限は上記範囲であることが好ましい。
【0086】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiOの含有量の上限は、好ましくは1.2%であり、さらには、1.1%、1.0%、0.8%、0.6%、0.4%の順により好ましい。LiOの含有量は0%であってもよい。
【0087】
LiOは、屈折率の上昇を抑制し、ガラスの熔融性を改善する働きをする。そのため、所要の光学特性を維持しつつ、熔融性を確保する観点から、LiOの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0088】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、NaOの含有量の上限は、好ましくは6.0%であり、さらには、5.0%、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%の順により好ましい。また、NaOの含有量の下限は、好ましくは0%である。NaOの含有量は0%であってもよい。
【0089】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、KOの含有量の上限は、好ましくは12.0%であり、さらには、11.0%、10.0%、9.0%、8.5%、8.0%の順により好ましい。また、KOの含有量の下限は、ガラスの熱的安定性を良好に維持し、液相温度の上昇を抑えるために、好ましくは0.1%であり、さらには、0.3%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%の順により好ましい。KOの含有量は0%であってもよい。
【0090】
NaOおよびKOは、いずれも、屈折率の上昇を抑制し、ガラスの熔融性を改善する働きを有するが、これらの含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性が低下する。そのため、NaOおよびKOの各含有量は、それぞれ上記範囲とすることが好ましい。
【0091】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、LiO、NaOおよびKOの合計含有量[LiO+NaO+KO]の上限は、好ましくは15.0%であり、さらには、14.0%、13.0%、12.0%、11.0%、10.0%、9.0%の順により好ましい。また、合計含有量[LiO+NaO+KO]の下限は、ガラスの熱的安定性を良好に維持し、液相温度の上昇を抑えるために、好ましくは0.1%であり、さらには、0.3%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%の順により好ましい。合計含有量[LiO+NaO+KO]は0%であってもよい。
【0092】
LiO、NaOおよびKOは、いずれも、屈折率の上昇を抑制し、ガラスの熔融性を改善する働きを有する。しかし、これらの含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性が低下する。そのため、LiO、NaOおよびKOの合計含有量[LiO+NaO+KO]は上記範囲であることが好ましい。
【0093】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、RbOの含有量の上限は、好ましくは2.0%であり、さらには、1.0%、0.5%、0.1%の順により好ましい。また、RbOの含有量の下限は、好ましくは0%である。RbOの含有量は0%であってもよい。
【0094】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、CsOの含有量の上限は、好ましくは6.0%であり、さらには、5.0%、4.5%、4.0%、3.5%の順により好ましい。また、CsOの含有量の下限は、好ましくは0%である。CsOの含有量は0%であってもよい。
【0095】
RbOおよびCsOは、いずれも、屈折率の上昇を抑制し、ガラスの熔融性を改善する働きを有するが、これらの含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性が低下する。そのため、RbOおよびCsOの各含有量は、それぞれ上記範囲とすることが好ましい。
【0096】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、MgOの含有量の上限は、好ましくは5.0%であり、さらには、4.0%、3.0%、2.0%、1.0%の順により好ましい。また、MgOの含有量の下限は、好ましくは0%である。MgOの含有量は0%であってもよい。
【0097】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、CaOの含有量の上限は、好ましくは5.0%であり、さらには、4.0%、3.0%、2.0%、1.0%の順により好ましい。また、CaOの含有量の下限は、好ましくは0%である。CaOの含有量は0%であってもよい。
【0098】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、SrOの含有量の上限は、好ましくは6.0%であり、さらには、5.8%、5.7%、5.6%、5.5%、5.0%、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%、2.5%の順により好ましい。また、SrOの含有量の下限は、好ましくは0%である。SrOの含有量は0%であってもよい。
【0099】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、BaOの含有量の上限は、好ましくは6.0%であり、さらには、5.8%、5.7%、5.6%、5.5%、5.0%、4.5%、4.0%の順により好ましい。また、BaOの含有量の下限は、好ましくは0%である。BaOの含有量は0%であってもよい。
【0100】
MgO、CaO、SrO、BaOは、いずれもガラスの熱的安定性、熔融性を改善させる働きを有するガラス成分である。しかし、これらガラス成分の含有量が多くなると、高分散性が損なわれ、また、ガラスの熱的安定性が低下し、ガラスが失透しやすくなる。そのため、これらガラス成分の各含有量は、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
【0101】
また、第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Ba2+の含有量の上限は、好ましくは13.00カチオン%であり、さらには12.00カチオン%、11.00カチオン%、10.00カチオン%、9.00カチオン%、8.00カチオン%、7.50カチオン%、7.00カチオン%、6.50カチオン%、6.00カチオン%、5.50カチオン%、5.00カチオン%、4.50カチオン%、4.00カチオン%、3.50カチオン%の順により好ましい。また、Ba2+の含有量の下限は、好ましくは0カチオン%である。Ba2+の含有量は0カチオン%であってもよい。
【0102】
Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+は、いずれもガラスの熱的安定性、熔融性を改善させる働きを有するガラス成分である。しかし、これらガラス成分の含有量が多くなると、高分散性が損なわれ、また、ガラスの熱的安定性が低下し、ガラスが失透しやすくなる。そのため、これらガラス成分の各含有量は、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
【0103】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、高分散化を妨げることなく熱的安定性を維持する観点から、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量[MgO+CaO+SrO+BaO]の上限は、好ましくは10.0%であり、さらには、9.0%、8.0%、7.0%、6.0%、5.5%、5.0%の順により好ましい。また、合計含有量[MgO+CaO+SrO+BaO]の下限は、好ましくは0%である。合計含有量[MgO+CaO+SrO+BaO]は0%であってもよい。
【0104】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ZnOの含有量の上限は、好ましくは5.0%であり、さらには、4.0%、3.0%、2.0%、1.0%の順により好ましい。また、ZnOの含有量の下限は、好ましくは0%である。ZnOの含有量は0%であってもよい。
【0105】
ZnOは、ガラスを熔融するときに、ガラスの原料の熔けを促進する働き(すなわち、熔融性を改善する働き)を有するガラス成分である。また、ZnOは、アルカリ土類金属などの他の二価金属成分と比べて、ガラスの熱的安定性を改善し、液相温度を低下させる働きが強い。そのため、ガラスの熔融性、熱的安定性を改善する観点から、ZnOの含有量の下限は上記範囲であることが好ましい。また、ガラスの低分散化を抑制する観点から、ZnOの含有量の上限は上記範囲であることが好ましい。
【0106】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ZrOの含有量の上限は、好ましくは6.0%であり、さらには、5.0%、4.5%、4.0%、3.0%、2.0%の順により好ましい。また、ZrOの含有量の下限は、好ましくは0%である。ZrOの含有量は0%であってもよい。
【0107】
ZrOは、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有するガラス成分である。しかし、ZrOの含有量が多すぎると、屈折率が上昇し、ガラスの熱的安定性が低下する傾向を示す。また、ガラス原料が熔け残りやすくなる。そのため、ガラスの熔融性、熱的安定性を良好に維持し、所要の光学特性を実現する観点から、ZrOの含有量の上限は上記範囲であることが好ましい。一方、所要の光学特性を実現しつつ、ガラスの熱的安定性を改善する観点から、ZrOの含有量の下限は上記範囲であることが好ましい。
【0108】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Taの含有量の上限は、好ましくは9.0%であり、さらには、8.0%、7.0%、6.0%、5.0%、4.0%、3.0%の順により好ましい。また、Taの含有量の下限は、好ましくは0%である。Taの含有量は0%であってもよい。
【0109】
Taは、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有するガラス成分である。一方、Taは、屈折率を上昇させ、ガラスを低分散化させる。また、Taは、他のガラス成分と比較し、極めて高価な成分であり、Taの含有量が多くなるとガラスの生産コストが増大する。さらに、Taは他のガラス成分と比べて分子量が大きいため、ガラスの比重を増大させ、結果的にガラス製光学素子の重量を増大させる。また、Taの含有量が多くなると、ガラスの熔融性が低下し、ガラスを熔融するときに、ガラス原料の熔け残りが生じやすくなる。そのため、Taの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0110】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Gaの含有量の上限は、好ましくは4.0%であり、さらには、3.5%、3.0%、2.5%、2.0%、1.5%、1.0%、0.5%、0.1%の順により好ましい。また、Gaの含有量の下限は、好ましくは0%である。Gaの含有量は0%であってもよい。
【0111】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Inの含有量の上限は、好ましくは5.0%であり、さらには、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%の順により好ましい。また、Inの含有量の下限は、好ましくは0%である。Inの含有量は0%であってもよい。
【0112】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Scの含有量の上限は、好ましくは5.0%であり、さらには、4.0%、3.0%、2.0%、1.0%の順により好ましい。また、Scの含有量の下限は、好ましくは0%である。Scの含有量は0%であってもよい。
【0113】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、HfOの含有量の上限は、好ましくは8.0%であり、さらには、7.0%、6.5%、6.0%、5.5%、5.0%、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%、2.5%、2.0%、1.5%、1.0%、0.5%、0.1%の順により好ましい。また、HfOの含有量の下限は、好ましくは0%である。HfOの含有量は0%であってもよい。
【0114】
Ga、In、Sc、HfOは、いずれも屈折率ndを高める働きを有し、また高価な成分である。そのため、Ga、In、Sc、HfOの各含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0115】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Luの含有量の上限は、好ましくは5.0%であり、さらには、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%の順により好ましい。また、Luの含有量の下限は、好ましくは0%である。Luの含有量は0%であってもよい。
【0116】
Luは、屈折率ndを高める働きを有する。また、分子量が大きいことから、ガラスの比重を増加させるガラス成分でもある。そのため、Luの含有量を低減させることが好ましく、Luの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0117】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、GeOの含有量の上限は、好ましくは6.0%であり、さらには、5.0%、4.0%、3.0%、2.0%、1.5%、1.0%、0.5%、0.1%の順により好ましい。また、GeOの含有量の下限は、好ましくは0%である。GeOの含有量は0%であってもよい。
【0118】
GeOは、屈折率ndを高める働きを有し、また、一般的に使用されるガラス成分の中で、突出して高価な成分である。したがって、ガラスの製造コストを低減する観点から、GeOの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0119】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Laの含有量の上限は、好ましくは5.0%であり、さらには、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%、2.5%、2.0%、1.5%、1.0%、0.5%の順により好ましい。また、Laの含有量の下限は、好ましくは0%である。Laの含有量は0%であってもよい。
【0120】
Laの含有量が多くなるとガラスの熱的安定性が低下し、製造中にガラスが失透しやすくなる。したがって、ガラスの熱的安定性の低下を抑制する観点から、Laの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0121】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Gdの含有量の上限は、好ましくは8.0%であり、さらには、7.0%、6.0%、5.0%、4.0%、3.0%、2.0%、1.5%、1.0%の順により好ましい。また、Gdの含有量の下限は、好ましくは0%である。Gdの含有量は0%であってもよい。
【0122】
Gdの含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性が低下し、製造中にガラスが失透しやすくなる。また、Gdの含有量が多くなり過ぎるとガラスの比重が増大し、好ましくない。したがって、ガラスの熱的安定性を良好に維持しつつ、比重の増大を抑制する観点から、Gdの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0123】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Yの含有量の上限は、好ましくは5.0%であり、さらには、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%、2.5%、2.0%の順により好ましい。また、Yの含有量の下限は、好ましくは0%である。Yの含有量は0%であってもよい。
【0124】
の含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性が低下し、製造中にガラスが失透しやすくなる。したがって、ガラスの熱的安定性の低下を抑制する観点から、Yの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0125】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ybの含有量の上限は、好ましくは5.0%であり、さらには、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%、2.0%、1.0%、0.5%、0.1%の順により好ましい。また、Ybの含有量の下限は、好ましくは0%である。Ybの含有量は0%であってもよい。
【0126】
Ybは、La、Gd、Yと比べて分子量が大きいため、ガラスの比重を増大させる。ガラスの比重が増大すると、光学素子の質量が増大する。例えば、質量の大きいレンズをオートフォーカス式の撮像レンズに組み込むと、オートフォーカス時にレンズの駆動に要する電力が増大し、電池の消耗が激しくなる。したがって、Ybの含有量を低減させて、ガラスの比重の増大を抑えることが望ましい。
【0127】
また、Ybの含有量が多すぎるとガラスの熱的安定性が低下し、製造中にガラスが失透しやすくなる。ガラスの熱的安定性の低下を防ぎ、比重の増大を抑制する観点から、Ybの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0128】
第1−1実施形態に係る光学ガラスは、主として上述のガラス成分、すなわちP、B、SiO、Al、TiO、Nb、WO、Bi、LiO、NaO、KO、RbO、CsO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、ZrO、Ta、Ga、In、Sc、HfO、Lu、GeO、La、Gd、Y、およびYbで構成されていることが好ましく、上述のガラス成分の合計含有量は、95%よりも多くすることが好ましく、98%よりも多くすることがより好ましく、99%よりも多くすることがさらに好ましく、99.5%よりも多くすることが一層好ましい。
【0129】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、TeOの含有量の上限は、好ましくは5.0%であり、さらには、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%、2.5%、2.0%、1.5%、1.0%、0.5%、0.1%の順により好ましい。また、TeOの含有量の下限は、好ましくは0%である。TeOの含有量は0%であってもよい。
【0130】
TeOは、屈折率ndを高める成分であり、また毒性を有することから、TeOの含有量を低減させることが好ましい。そのため、TeOの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0131】
第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、陰イオン成分、すなわちアニオン成分は主として酸素イオンであるが、その他の陰イオンとしてハロゲンイオン、例えば、塩素イオン、ヨウ素イオン、臭素イオン等を少量含有することができる。
【0132】
ガラス成分としてハロゲン化物を含有する場合であっても、全ガラス成分における酸化物の割合(質量比)が95質量%以下にならないよう、ハロゲン化物の含有量を少量に留めることが好ましい。
【0133】
すなわち、第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、全ガラス成分における酸化物の含有量は95質量%よりも多くすることが好ましい。さらには、全ガラス成分における酸化物の含有量の下限は97質量%、99質量%、99.5質量%、99.9質量%、99.95質量%、99.99質量%の順により好ましく、全ガラス成分における酸化物の含有量は100質量%であってもよい。全ガラス成分における酸化物の含有量が100質量%であるガラスは、実質的にハロゲン化物を含まない。
【0134】
また、第1−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ハロゲンイオンの含有量の上限は、好ましくは4アニオン%であり、さらには、3アニオン%、2アニオン%、1アニオン%、0.5アニオン%の順により好ましい。ハロゲンイオンの含有量は0アニオン%であっても良い。アニオン%とは、ガラスに含まれる全てのアニオン成分の含有量の合計を100%としたときのモル百分率である。
【0135】
なお、第1−1実施形態に係る光学ガラスは、基本的に上記ガラス成分により構成されることが好ましいが、本発明の作用効果を妨げない範囲において、その他の成分を含有することも可能である。また、本発明において、不可避的不純物の含有を排除するものではない。
【0136】
<その他の成分組成>
Pb、As、Cd、Tl、Be、Seは、いずれも毒性を有する。そのため、第1−1実施形態に係る光学ガラスがこれら元素をガラス成分として含有しないことが好ましい。
【0137】
U、Th、Raはいずれも放射性元素である。そのため、第1−1実施形態に係る光学ガラスがこれら元素をガラス成分として含有しないことが好ましい。
【0138】
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Pr,Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tmは、ガラスの着色を増大させ、蛍光の発生源となり得る。そのため、第1−1実施形態に係る光学ガラスがこれら元素をガラス成分として含有しないことが好ましい。
【0139】
Sb(Sb)、Sn(SnO)、Ce(CeO)は清澄剤として機能する任意に添加可能な元素である。このうち、Sb(Sb)は、清澄効果の大きな清澄剤である。しかし、Sb(Sb)は酸化性が強く、Sb(Sb)の添加量を多くしていくと、Sbイオンによる光吸収により、ガラスの着色が増大し、好ましくない。また、ガラスを熔融するときに、熔融物中にSbがあると、ガラス熔融坩堝を構成する白金の熔融物への溶出が促進され、ガラス中の白金濃度が高くなる。ガラス中において、白金がイオンとして存在すると、光の吸収によりガラスの着色が増大する。また、ガラス中に白金が固形物として存在すると光の散乱源となり、ガラスの品質を低下させる。Sn(SnO)、Ce(CeO)は、Sb(Sb)と比較し、清澄効果が小さい。Sn(SnO)、Ce(CeO)は、多量に添加するとガラスの着色が強まる。したがって、清澄剤を添加する場合は、添加量に注意しつつ、Sb(Sb)を添加することが好ましい。
【0140】
Sbの含有量は、外割り表示とする。すなわち、Sb、SnOおよびCeO以外の全ガラス成分の合計含有量を100質量%としたときのSbの含有量は、好ましくは1質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満、さらに好ましくは0.1質量%未満の範囲である。Sbの含有量は0質量%であってもよい。
【0141】
SnOの含有量も、外割り表示とする。すなわち、SnO、SbおよびCeO以外の全ガラス成分の合計含有量を100質量%としたときのSnOの含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.1質量%未満の範囲である。SnOの含有量は0質量%であってもよい。SnOの含有量を上記範囲とすることによりガラスの清澄性を改善できる。
【0142】
CeOの含有量も、外割り表示とする。すなわち、CeO、Sb、SnO以外の全ガラス成分の合計含有量を100質量%としたときのCeOの含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.1質量%未満の範囲である。CeOの含有量は0質量%であってもよい。CeOの含有量を上記範囲とすることによりガラスの清澄性を改善できる。
【0143】
(ガラス特性)
<ガラス転移温度Tg>
第1−1実施形態に係る光学ガラスのガラス転移温度Tgの上限は、好ましくは750℃であり、さらには、740℃、730℃、720℃、710℃、700℃の順により好ましい。また、ガラス転移温度Tgの下限は、好ましくは520℃であり、さらには、540℃、560℃、580℃、600℃の順により好ましい。
【0144】
ガラス転移温度Tgの上限が上記範囲を満たすことにより、ガラスのアニール温度の上昇を抑制することができ、アニール設備、例えば、レア―と呼ばれる連続式アニールやバッチ式アニール炉の熱的ダメージを軽減することができる。
【0145】
ガラス転移温度Tgの下限が上記範囲を満たすことにより、所望のアッベ数、屈折率を維持しつつ、ガラスの熱的安定性を良好に維持しやすくなる。
【0146】
<ガラスの光線透過性>
第1−1実施形態において、光線透過性は、着色度λ5により評価できる。
互いに平行であり、光学研磨されている2つの平面を有するガラス(厚さ10.0mm±0.1mm)を用い、上記2つの平面のうち、一方の平面より、この平面に垂直に光線を入射させる。そして、他方の平面から出射した透過光の強度Ioutと入射光の強度Iinの比(Iout/Iin)、すなわち、外部透過率を算出する。分光光度計を用いて、入射光の波長を例えば280〜700nmの範囲でスキャンしながら、外部透過率を測定することにより、分光透過率曲線を得る。
【0147】
外部透過率は、入射光の波長がガラスの短波長側の吸収端から長波長側にいくにつれて増加し、高い値を示す。
【0148】
λ5は、外部透過率が5%となる波長である。280〜700nmの波長域において、λ5よりも長波長側におけるガラスの外部透過率は5%より大きい値を示す。
【0149】
λ5が短波長化された光学ガラスを用いることで、好適な色再現を可能とする光学素子を提供できる。
【0150】
このような理由より、λ5の範囲は440nm以下が好ましく、さらに、435nm以下、430nm以下、425nm以下、420nm以下、415nm以下、410nm以下の順により好ましい。λ5の下限の目安は、380nmである。
【0151】
<ガラスの比重>
第1−1実施形態に係る光学ガラスは、屈折率の上昇を抑えた高分散ガラスでありながら、比重が大きくない。通常、ガラスの比重を低減することができれば、レンズの重量を減少できる。その結果、レンズを搭載するカメラレンズのオートフォーカス駆動の消費電力を低減できる。一方、比重を減少させすぎると、熱的安定性の低下を招く。そのため、比重dの上限は、好ましくは5.80であり、さらには、5.60、5.30、5.00、4.80、4.60、4.40、4.20、4.00、3.80、3.70の順により好ましい。また、熱的安定性を改善する観点から、比重dの下限は、好ましくは2.80であり、さらには、2.90、3.00、3.10、3.20の順により好ましい。
【0152】
<液相温度>
第1−1実施形態に係る光学ガラスの液相温度の上限は、好ましくは1350℃であり、さらには、1340℃、1330℃、1320℃、1310℃、1300℃の順により好ましい。また、液相温度の下限は、好ましくは1000℃であり、さらには、1020℃、1040℃、1060℃、1080℃、1100℃、1130℃、1150℃の順により好ましい。本実施形態に係る光学ガラスによれば、ガラスの熱的安定性が改善された、屈折率の上昇を抑えた高分散ガラスが得られる。
【0153】
なお、液相温度は次のように決定する。10cc(10ml)のガラスを白金坩堝中に投入し1250℃〜1350℃で20〜30分熔融した後にガラス転移温度Tg以下まで冷却し、ガラスを白金坩堝ごと所定温度の熔解炉に入れ2時間保持する。保持温度は1000℃以上で5℃あるいは10℃刻みとし、2時間保持後、冷却し、100倍の光学顕微鏡でガラス内部の結晶の有無を観察する。結晶の析出しなかった最低温度を液相温度とする。
【0154】
(光学ガラスの製造)
本発明の実施形態に係る光学ガラスは、上記所定の組成となるようにガラス原料を調合し、調合したガラス原料により公知のガラス製造方法に従って作製すればよい。例えば、複数種の化合物を調合し、十分混合してバッチ原料とし、バッチ原料を石英坩堝や白金坩堝中に入れて粗熔解(ラフメルト)する。粗熔解によって得られた熔融物を急冷、粉砕してカレットを作製する。さらにカレットを白金坩堝中に入れて加熱、再熔融(リメルト)して熔融ガラスとし、さらに清澄、均質化した後に熔融ガラスを成形し、徐冷して光学ガラスを得る。熔融ガラスの成形、徐冷には、公知の方法を適用すればよい。
【0155】
なお、ガラス中に所望のガラス成分を所望の含有量となるように導入することができれば、バッチ原料を調合するときに使用する化合物は特に限定されないが、このような化合物として、酸化物、正リン酸、メタリン酸塩、五酸化二燐、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、フッ化物等が挙げられる。
【0156】
(光学素子等の製造)
第1−1発明の実施形態に係る光学ガラスを使用して光学素子を作製するには、公知の方法を適用すればよい。例えば、ガラス原料を熔融して熔融ガラスとし、この熔融ガラスを鋳型に流し込んで板状に成形し、本発明に係る光学ガラスからなるガラス素材を作製する。得られたガラス素材を適宜、切断、研削、研磨し、プレス成形に適した大きさ、形状のプレス成形用ガラス素材を作製する。プレス成形用ガラス素材を加熱、軟化して、公知の方法でプレス成形し、光学素子の形状に近似する光学素子ブランクを作製する。光学素子ブランクをアニールし、公知の方法で研削、研磨して光学素子を作製する。
【0157】
作製した光学素子の光学機能面には使用目的に応じて、反射防止膜、全反射膜などをコーティングしてもよい。
【0158】
光学素子としては、球面レンズなどの各種レンズ、プリズム、回折格子などが例示できる。
【0159】
第1−2実施形態
本発明の第1−2実施形態の光学ガラスは、
アッベ数νdが16.70以下であり、
Biの含有量が29.0質量%以下であって、
TiO、NbおよびWOの合計含有量が45.0質量%以上であるリン酸塩光学ガラスである。
【0160】
以下、第1−2実施形態に係る光学ガラスについて詳しく説明する。
【0161】
第1−2実施形態に係る光学ガラスにおいて、アッベ数νdは16.70以下である。アッベ数νdの上限は、好ましくは16.68であり、さらには、16.66、16.64、16.62、16.60、16.58、16.56、16.54の順により好ましい。また、アッベ数の下限は、好ましくは15.50であり、さらには、15.55、15.60、15.65、15.70の順に大きい値ほどより好ましい。
【0162】
アッベ数νdを16.70以下とすることにより、低分散ガラス製レンズと組み合わせてペアレンズとしたときに、アッベ数の差が大きくなって、色収差の補正において高い効果を奏する。
【0163】
第1−2実施形態に係る光学ガラスにおいて、Biの含有量は29.0%以下である。
【0164】
第1−2実施形態に係る光学ガラスにおいて、Biの含有量の上限は、好ましくは28.5%であり、さらには、28.0%、27.5%、27.0%、25.0%、20.0%、15.0%、10.0%、6.0%、5.0%の順により好ましい。また、Biの含有量の下限は、好ましくは0%である。Biの含有量は0%であってもよい。
【0165】
Biは、適量を含有させることによりガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、Biの含有量を高めると、屈折率が上昇し、ガラスの着色が増大する。したがって、Biの含有量は上記範囲とする。
【0166】
また、第1−2実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Bi3+の含有量の上限は、好ましくは20.00カチオン%であり、さらには19.50カチオン%、19.00カチオン%、18.50カチオン%、18.00カチオン%、17.50カチオン%、17.00カチオン%、16.50カチオン%の順により好ましい。Bi3+の含有量の下限は、好ましくは3.00カチオン%であり、さらには1.50カチオン%、1.00カチオン%、0.40カチオン%の順により好ましい。Bi3+の含有量は0カチオン%であってもよい。
【0167】
Bi3+は、適量を含有させることによりガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、Bi3+の含有量を高めると、屈折率が上昇し、ガラスの着色が増大する。したがって、Bi3+の含有量を上記範囲とすることが好ましい。
【0168】
第1−2実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiO、NbおよびWOの合計含有量[TiO+Nb+WO]は45.0%以上である。
【0169】
第1−2実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiO、NbおよびWOの合計含有量[TiO+Nb+WO]の下限は、好ましくは46.0%であり、さらには、47.0%、48.0%、49.0%、50.0%の順により好ましい。また、合計含有量[TiO+Nb+WO]の上限は、好ましくは85.0%であり、さらには、84.0%、83.0%、82.0%、81.0%、79.0%、77.0%の順により好ましい。
【0170】
TiO、NbおよびWOは、屈折率ndの上昇を抑制し、ガラスの高分散化に寄与する。また、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きも有する。ガラスを高分散化し、またガラスの熱的安定性を改善する観点から、合計含有量[TiO+Nb+WO]の下限は上記範囲とする。また、屈折率の上昇およびガラスの着色増大を抑制する観点から、合計含有量[TiO+Nb+WO]の上限は上記範囲であることが好ましい。
【0171】
第1−2実施形態に係る光学ガラスは、リン酸塩光学ガラスである。リン酸塩光学ガラスとは、ガラスのネットワーク形成成分として主にリン酸塩を含む光学ガラスをいう。したがって、第1−2実施形態に係る光学ガラスは、ネットワーク形成成分としてリン酸塩を含み、その含有量はPの含有量として表される。ガラスのネットワーク形成成分として、P、Al、B、SiO等が知られている。ここで、ガラスのネットワーク形成成分として主にリン酸塩を含むとは、質量%表示におけるPの含有量が、Al、B、SiOのいずれの含有量よりも多いガラスを意味する。
【0172】
第1−2実施形態に係る光学ガラスにおいて、Pの含有量の下限は、好ましくは7.0%であり、さらには、8.0%、9.0%、10.0%、10.5%、11.0%の順により好ましい。また、Pの含有量の上限は、好ましくは35.0%であり、さらには、34.5%、34.0%、33.5%、33.0%の順により好ましい。
【0173】
は、ガラスが高分散成分を多く含有するために必要な成分である。一方、Pを過剰に含むと熔融性が悪化する。したがって、本実施形態に係るガラスにおいて、Pの含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0174】
また、第1−2実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、P5+の含有量の上限は、好ましくは45.00カチオン%であり、さらには44.50カチオン%、44.00カチオン%、43.50カチオン%、43.00カチオン%、42.50カチオン%、42.00カチオン%、41.50カチオン%、41.00カチオン%、40.50カチオン%、40.00カチオン%、39.50カチオン%、39.00カチオン%、38.50カチオン%の順により好ましい。P5+の含有量の下限は、好ましくは20.00カチオン%であり、さらには20.50カチオン%、21.00カチオン%、21.50カチオン%、22.00カチオン%、22.50カチオン%、23.00カチオン%、23.50カチオン%、24.00カチオン%、24.50カチオン%、25.00カチオン%、25.50カチオン%の順により好ましい。
【0175】
5+は、屈折率ndの上昇を抑制し、ガラス中に高分散成分を多く含有するために必須の成分である。一方、P5+を過剰に含むと熔解性が悪化する。したがって、本実施形態に係る光学ガラスにおいて、P5+の含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0176】
第1−2実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiO、NbおよびWOの合計含有量と、TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量との質量比[(TiO+Nb+WO)/(TiO+Nb+WO+Bi)]の下限は、好ましくは0.45であり、さらには、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85の順により好ましい。また、質量比[(TiO+Nb+WO)/(TiO+Nb+WO+Bi)]の上限は、好ましくは1.00である。Biの含有量は0%であってもよい。
【0177】
質量比[(TiO+Nb+WO)/(TiO+Nb+WO+Bi)]の値を上記範囲とすることで、透過率の悪化を抑制し、また、屈折率の上昇を抑えることができる。
【0178】
第1−2実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiOの含有量とNbの含有量との質量比[TiO/Nb]の下限は、好ましくは0.15であり、さらには、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.23の順により好ましい。また質量比[TiO/Nb]の上限は、好ましくは4.50であり、さらには、4.40、4.30、4.20、4.10、4.00、3.80、3.60の順により好ましい。
【0179】
TiOは、ガラスの熔解性を低下させ、液相温度を上昇させやすい。一方、Nbは液相温度の低下および屈折率の上昇を抑え、高分散化に寄与する。そのため、NbをTiOに対して一定の割合で含有させることにより、ガラスの熔解性の低下および液相温度の上昇を抑制できる。したがって、本実施形態に係る光学ガラスにおいて、質量比[TiO/Nb]は上記範囲とすることが好ましい。
【0180】
また、第1−2実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Ti4+の含有量とNb5+の含有量とのカチオン比[Ti4+/Nb5+]の上限は、好ましくは6.00であり、さらには5.90、5.80、5.70、5.65、5.60の順により好ましい。カチオン比[Ti4+/Nb5+]の下限は、好ましくは0.40であり、さらには0.41、0.42の順により好ましい。
【0181】
Ti4+はガラスの熔解性を低下させ、液相温度を上昇させやすい。一方、Nb5+は液相温度の低下および屈折率の上昇を抑え、高分散化に寄与する。そのため、Nb5+をTi4+に対して一定の割合で含有させることにより、ガラスの熔解性の低下および液相温度の上昇を抑制できる。したがって、本実施形態に係る光学ガラスにおいて、カチオン比[Ti4+/Nb5+]は上記範囲とすることが好ましい。
【0182】
第1−2実施形態に係る光学ガラスにおいて、TiOおよびWOの合計含有量と、Nb含有量との質量比[(TiO+WO)/Nb]の下限は、好ましくは0.15であり、さらには、0.17、0.19、0.20、0.21、0.23、0.25、0.26、0.28、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.60、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65の順により好ましい。また、質量比[(TiO+WO)/Nb]の上限は、好ましくは8.00であり、さらには、7.90、7.80、7.70、7.60、7.40、7.20、7.00の順により好ましい。
【0183】
質量比[(TiO+WO)/Nb]の値を上記範囲とすることで、屈折率の上昇を抑制しつつ、色収差補正に好適な高分散性を有するガラスを得ることができる。
【0184】
また、第1−2実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Ti4+およびW6+の合計含有量とNb5+の含有量とのカチオン比[(Ti4++W6+)/Nb5+]の上限は、好ましくは7.70であり、さらには7.60、7.50、7.40、7.35、7.30、7.28、7.26の順により好ましい。カチオン比[(Ti4++W6+)/Nb5+]の下限は、好ましくは0.40であり、さらには0.41、0.42の順により好ましい。
【0185】
カチオン比[(Ti4++W6+)/Nb5+]の値を上記範囲とすることで、屈折率の上昇を抑制しつつ、色収差補正に好適な高分散性を有するガラスを得ることができる。
【0186】
第1−2実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示した場合に、W6+の含有量が0カチオン%を超える場合には、Ba2+の含有量とW6+の含有量とのカチオン比[Ba2+/W6+]の上限は、好ましくは0.14であり、さらには0.13、0.12、0.11、0.10の順により好ましい。
【0187】
Ba2+は、低分散化に寄与する成分である。したがって、第1−2実施形態に係る光学ガラスでは、Ba2+の含有量に対して、高分散成分であるW6+を上記カチオン比となるように含有させることで、所望の高分散性を維持することができる。
【0188】
第1−2実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示した場合に、W6+の含有量が0カチオン%であって、Ba2+の含有量が0カチオン%を超える場合には、Ti4+およびBi3+の合計含有量[Ti4++Bi3+]の上限は、好ましくは35.00カチオン%であり、さらには34.00カチオン%、33.00カチオン%、32.50カチオン%、32.30カチオン%、32.00カチオン%、31.80カチオン%、31.60カチオン%、31.40カチオン%、31.20カチオン%、31.00カチオン%、30.80カチオン%、30.60カチオン%、30.40カチオン%、30.20カチオン%、30.10カチオン%、30.00カチオン%の順により好ましい。合計含有量[Ti4++Bi3+]の下限は、好ましくは21.00カチオン%であり、さらには21.20カチオン%、21.40カチオン%、21.60カチオン%、21.80カチオン%、22.00カチオン%、22.20カチオン%、22.40カチオン%、22.60カチオン%、22.80カチオン%、23.00カチオン%、23.10カチオン%、23.20カチオン%、23.30カチオン%、23.40カチオン%、23.50カチオン%の順により好ましい。
【0189】
6+の含有量が0カチオン%であって、Ba2+の含有量が0カチオン%を超える場合には、高分散成分の中でW6+に次いで高分散化への寄与が大きいTi4+、および熱的安定性を改善する働きを有するBi3+の合計含有量を上記範囲とすることで、Ba2+による低分散化を抑制できる。
【0190】
第1−2実施形態に係る光学ガラスにおいて、屈折率ndの上限は、好ましくは2.1500であり、さらには、2.1300、2.1100、2.1000、2.0900、2.0700、2.0500、2.0300、2.0140、2.0000の順により好ましい。また、屈折率ndの下限は、好ましくは1.8800であり、さらには、1.9000、1.9200、1.9400、1.9600の順に小さい値ほどより好ましい。
【0191】
屈折率ndを上記範囲とすることにより、屈折率の低い低分散ガラス製レンズと組み合わせてペアレンズとした場合でも、屈折率の差が小さいために、像面湾曲を抑制することができる。
【0192】
第1−2実施形態における上記以外のガラス成分組成は、第1−1実施形態と同様とすることができる。また、第1−2実施形態におけるガラス特性、光学ガラスの製造および光学素子等の製造についても、第1−1実施形態と同様とすることができる。
【0193】
第2実施形態
以下の第2−1実施形態および第2−2実施形態(以下、「第2実施形態」と総称することがある。)は、還元色を容易に低減できるガラス、光学ガラス、研磨用ガラス素材、プレス成形用ガラス素材、および光学素子に関する。
【0194】
本発明の第2実施形態では、熱処理により還元色を低減する際に、その熱処理時間を短縮できるガラスを提供することを目的とする。
【0195】
ガラス成分としてLiOを含むと、アッベ数νが上昇し、またガラスの熱的安定性が低下する。そのため、高分散ガラスには、通常、LiOを含有させない。
【0196】
本発明の第2実施形態の高分散ガラスでは、アッベ数νを低くして高分散性を維持しながら、ガラス成分としてLiOを含有させることで、TiO、Nb、WOおよびBi等の高分散成分に起因する還元色を低減するのに要する熱処理時間を短縮できる。
【0197】
ガラス成分としてLiO等のアルカリ金属酸化物を含有すると、熔融温度が低下し、それに従ってガラス転移温度Tgも低下する。従来の精密プレス用ガラスの中には、ガラス転移温度Tgを下げて加工しやすくするためにLiOを含有するものがある。ここで、ガラス転移温度Tgを低下させるためにLiOを含有するガラスでは、熔融温度が低いために熔融過程で高分散成分の還元反応はあまり進まないため、ガラスの着色の程度は軽く、長時間の熱処理を要しない。したがって、従来のガラスように、熔融温度を低下させるためにLiOを含有させた場合には、生産工程に影響を与えるほど長時間の熱処理を要しないため、還元色を低減させるのに要する熱処理時間を短縮するという課題は認識されていなかった。
【0198】
本発明の第2実施形態は、TiO、Nb、WOおよびBi等の高分散成分に起因する還元色が問題となる高分散ガラスにおいて、高分散ガラスのガラス成分として通常含有させることのないLiOを含有させることによって、還元色を低減するのに要する熱処理時間を短縮できることを見出したことに基づくものであり、ガラス成分としてLiOを含有させることにより得られる効果として、極めて斬新な効果を利用したものである。
【0199】
本発明の第2実施形態によれば、高分散ガラスにおいて熱処理により還元色を低減する際に、その熱処理時間を短縮できる。
【0200】
なお、本発明の第2実施形態に係るガラスにおいて、LiOの含有量はICP−MS(Inductively Coupled Plasma - Mass Spectrometry)により定量し、LiO以外のガラス成分の含有量はICP−AES(Inductively Coupled Plasma - Atomic Emission Spectrometry)により定量する。ICP−AESにより求められる分析値は、例えば、分析値の±5%程度の測定誤差を含んでいることがある。また、本明細書および本発明において、ガラスの構成成分の含有量が0%または含まないとは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、この構成成分の含有量が不純物レベル程度以下であることを指す。
【0201】
第2−1実施形態
本発明の第2−1実施形態のガラスは、
アッベ数νが18.10以下であり、
TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量[TiO+Nb+WO+Bi]が30質量%以上、かつ
Biの含有量が38質量%以下のリン酸塩ガラスであって、
LiOの含有量とTiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量との質量比[LiO/(TiO+Nb+WO+Bi)]に100を掛けた値が0.015〜0.770である。
【0202】
以下、第2−1実施形態に係るガラスについて詳しく説明する。
【0203】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、アッベ数νは18.10以下である。アッベ数νの上限は、好ましくは18.05であり、さらには、18.00、17.90、17.80、17.70、17.60、17.50、17.40、17.30、17.20、17.10、17.00、16.90、16.80、16.78の順により好ましい。また、アッベ数の下限は、好ましくは15.00であり、さらには、15.10、15.20、15.25、15.30、15.35、15.40、15.45、15.50、15.52、15.54、15.56、15.58、15.60の順により好ましい。
【0204】
アッベ数νを18.10以下とすることにより、低分散ガラス製レンズと組み合わせてペアレンズとしたときに、アッベ数の差が大きくなって、色収差の補正において高い効果を奏する。
【0205】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量[TiO+Nb+WO+Bi]は30%以上である。合計含有量[TiO+Nb+WO+Bi]の下限は、好ましくは35%であり、さらには、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%の順により好ましい。また、合計含有量[TiO+Nb+WO+Bi]の上限は、好ましくは90%であり、さらには、88%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%の順により好ましい。
【0206】
TiO、Nb、WOおよびBiは、ガラスの高分散化に寄与する。また、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きも有する。したがって、合計含有量[TiO+Nb+WO+Bi]の下限は上記範囲であることが好ましい。一方で、TiO、Nb、WOおよびBiはガラスの着色を増大させる。したがって、合計含有量[TiO+Nb+WO+Bi]の上限は上記範囲であることが好ましい。
【0207】
また、第2−1実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量[Ti4++Nb5++W6++Bi3+]の上限は、好ましくは75.00カチオン%であり、さらには74.50カチオン%、74.00カチオン%、73.50カチオン%、73.00カチオン%、72.50カチオン%、72.00カチオン%、71.50カチオン%、71.00カチオン%、70.50カチオン%の順により好ましい。合計含有量[Ti4++Nb5++W6++Bi3+]の下限は、好ましくは52.00カチオン%であり、さらには52.10カチオン%、52.15カチオン%、52.20カチオン%、52.25カチオン%、52.30カチオン%の順により好ましい。
【0208】
Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+は、ガラスの高分散化に寄与する。また、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きも有する。したがって、合計含有量[Ti4++Nb5++W6++Bi3+]の下限は上記範囲であることが好ましい。一方で、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+はガラスの着色を増大させる。したがって、合計含有量[Ti4++Nb5++W6++Bi3+]の上限は上記範囲であることが好ましい。
【0209】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、Biの含有量は38%以下である。Biの含有量の上限は、好ましくは35%であり、さらには、33%、30%、28%、25%、23%、20%の順により好ましい。また、Biの含有量の下限は、好ましくは0%である。Biの含有量は0%であってもよい。
【0210】
Biは、高分散化に寄与する成分である。また、Biの含有量を上記範囲とすることで、比重の増大およびガラス転移温度Tgの低下を抑制できる。ガラスの比重が増大すると、光学素子の質量が増大する。例えば、質量の大きいレンズをオートフォーカス式の撮像レンズに組み込むと、オートフォーカス時にレンズの駆動に要する電力が増大し、電池の消耗が著しくなる。したがって、Biの含有量を上記範囲とすることが好ましい。
【0211】
また、Biは、他の高分散成分TiO、Nb、WOに比べて、屈折率を大幅に上昇させる働きを有する。屈折率が大幅に上昇すると、屈折率の低い低分散ガラス製レンズと組み合わせて色収差の補正に用いた場合、屈折率差が大きいために像面湾曲が強く表れやすい。したがって、Biの含有量を上記範囲とすることが好ましい。
【0212】
また、第2−1実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Bi3+の含有量の上限は、好ましくは10.00カチオン%であり、さらには9.00カチオン%、8.00カチオン%、7.00カチオン%、6.00カチオン%、5.00カチオン%、4.50カチオン%、4.00カチオン%、3.50カチオン%、3.00カチオン%、2.50カチオン%、2.00カチオン%、1.50カチオン%、1.00カチオン%の順により好ましい。Bi3+の含有量は0カチオン%であってもよい。
【0213】
Bi3+は、高分散化に寄与する成分である。また、Bi3+の含有量を上記範囲とすることで、比重の増大およびガラス転移温度Tgの低下を抑制できる。ガラスの比重が増大すると、光学素子の質量が増大する。例えば、質量の大きいレンズをオートフォーカス式の撮像レンズに組み込むと、オートフォーカス時にレンズの駆動に要する電力が増大し、電池の消耗が著しくなる。したがって、Bi3+の含有量を上記範囲とすることが好ましい。
【0214】
また、Bi3+は、他の高分散成分Ti4+、Nb5+、W6+に比べて、屈折率を大幅に上昇させる働きを有する。屈折率が大幅に上昇すると、屈折率の低い低分散ガラス製レンズと組み合わせて色収差の補正に用いた場合、屈折率差が大きいために像面湾曲が強く表れやすい。したがって、Bi3+の含有量を上記範囲とすることが好ましい。
【0215】
第2−1実施形態に係るガラスは、リン酸塩ガラスである。リン酸塩ガラスとは、ガラスのネットワーク形成成分として主にリン酸塩を含むガラスをいう。したがって、第2−1実施形態に係るガラスは、ネットワーク形成成分として主にリン酸塩を含み、その含有量はPの含有量として表される。ガラスのネットワーク形成成分として、P、Al、B、SiO等が知られている。ここで、ガラスのネットワーク形成成分として主にリン酸塩を含むとは、質量%表示におけるPの含有量が、Al、B、SiOのいずれの含有量よりも多いガラスを意味する。
【0216】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、Pの含有量の下限は、好ましくは7.0%であり、さらには、8.0%、9.0%、10.0%、11.0%、12.0%、13.0%、14.0%、15.0%、16.0%、17.0%、18.0%、19.0%、20.0%の順により好ましい。また、Pの含有量の上限は、好ましくは37.0%であり、さらには、36.0%、35.0%、34.5%、34.0%、33.5%、33.0%、32.5%、32.0%、31.5%、31.0%、30.5%、30.0%の順により好ましい。
【0217】
は、ガラスが高分散成分を多く含有するために必要な成分である。一方、Pを過剰に含むと熔融性が悪化する。したがって、本実施形態に係るガラスにおいて、Pの含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0218】
また、第2−1実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、P5+の含有量の上限は、好ましくは42.00カチオン%であり、さらには41.50カチオン%、41.00カチオン%、40.50カチオン%、40.00カチオン%、39.50カチオン%、39.00カチオン%、38.50カチオン%、38.00カチオン%、37.50カチオン%、37.00カチオン%、36.50カチオン%、36.00カチオン%の順により好ましい。P5+の含有量の下限は、好ましくは25.00カチオン%であり、さらには25.50カチオン%、26.00カチオン%、26.50カチオン%、27.00カチオン%、27.50カチオン%、28.00カチオン%、28.50カチオン%、29.00カチオン%、29.30カチオン%の順により好ましい。
【0219】
5+は、屈折率ndの上昇を抑制し、ガラス中に高分散成分を多く含有するために必須の成分である。一方、P5+を過剰に含むと熔解性が悪化する。したがって、本実施形態に係る光学ガラスにおいて、P5+の含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0220】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、LiOの含有量とTiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量との質量比[LiO/(TiO+Nb+WO+Bi)]に100を掛けた値は0.015〜0.770である。質量比[LiO/(TiO+Nb+WO+Bi)]に100を掛けた値の下限は、好ましくは0.017であり、さらには、0.019、0.021、0.023、0.025、0.027、0.030の順により好ましい。また、質量比[LiO/(TiO+Nb+WO+Bi)]に100を掛けた値の上限は、好ましくは0.750であり、さらには、0.730、0.710、0.700、0.680、0.650、0.600、0.550の順により好ましい。
【0221】
質量比[LiO/(TiO+Nb+WO+Bi)]に100を掛けた値を上記範囲とすることで、熱処理による着色の低減が充分に促進される。質量比[LiO/(TiO+Nb+WO+Bi)]に100を掛けた値が0.750を超えると、所望の高分散特性が得られず、また、ガラスの安定性が損なわれる。
【0222】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示した場合に、W6+の含有量が0カチオン%を超える場合には、Ba2+の含有量とW6+の含有量とのカチオン比[Ba2+/W6+]の上限は、好ましくは0.14であり、さらには0.13、0.12、0.11、0.10の順により好ましい。
【0223】
Ba2+は、低分散化に寄与する成分である。したがって、第2−1実施形態に係るガラスでは、Ba2+の含有量に対して、高分散成分であるW6+を上記カチオン比となるように含有させることで、所望の高分散性を維持することができる。
【0224】
また、第2−1実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示した場合に、W6+の含有量が0カチオン%であって、Ba2+の含有量が0カチオン%を超える場合には、Ti4+およびBi3+の合計含有量[Ti4++Bi3+]の上限は、好ましくは35.00カチオン%であり、さらには34.00カチオン%、33.00カチオン%、32.50カチオン%、32.30カチオン%、32.00カチオン%、31.80カチオン%、31.60カチオン%、31.40カチオン%、31.20カチオン%、31.00カチオン%、30.80カチオン%、30.60カチオン%、30.40カチオン%、30.20カチオン%、30.10カチオン%、30.00カチオン%の順により好ましい。合計含有量[Ti4++Bi3+]の下限は、好ましくは21.00カチオン%であり、さらには21.20カチオン%、21.40カチオン%、21.60カチオン%、21.80カチオン%、22.00カチオン%、22.20カチオン%、22.40カチオン%、22.60カチオン%、22.80カチオン%、23.00カチオン%、23.10カチオン%、23.20カチオン%、23.30カチオン%、23.40カチオン%、23.50カチオン%の順により好ましい。
【0225】
6+の含有量が0カチオン%であって、Ba2+の含有量が0カチオン%を超える場合には、高分散成分の中でW6+に次いで高分散化への寄与が大きいTi4+、および熱的安定性を改善する働きを有するBi3+の合計含有量を上記範囲とすることで、Ba2+による低分散化を抑制できる。
【0226】
(ガラス成分)
上記第2−1実施形態に係るガラスの好ましい態様を、以下に詳述する。
【0227】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、LiOの含有量の下限は、好ましくは0.010%であり、さらには、0.012%、0.014%、0.016%、0.018%、0.020%の順により好ましい。LiOの含有量の上限は、好ましくは0.640%であり、さらには、0.630%、0.620%、0.610%、0.600%、0.580%、0.560%、0.540%、0.520%、0.500%、0.490%、0.480%、0.470%、0.460%、0.450%、0.440%、0.430%、0.420%、0.410%、0.400%、0.390%、0.380%、0.370%、0.360%、0.350%、0.340%の順により好ましい。
【0228】
LiOの含有量を上記範囲とすることにより、TiO、Nb、WOおよびBi等の高分散成分に起因する還元色を低減するのに要する熱処理時間を短縮できる。また、ガラス転移温度Tgの低下を抑制できる。一方で、LiOを含有量が多すぎると、アッベ数νが上昇し、ガラスの熱的安定性が低下するおそれがある。
【0229】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、下記式(1)で表されるβOHの値の下限は、好ましくは0.05mm−1であり、さらには、0.10mm−1、0.15mm−1、0.20mm−1、0.25mm−1、0.30mm−1、0.35mm−1の順により好ましい。また、βOHの値の上限は、好ましくは4.00mm−1であり、さらには、3.90mm−1、3.80mm−1、3.70mm−1、3.60mm−1、3.50mm−1、3.40mm−1、3.30mm−1、3.20mm−1、3.10mm−1、3.00mm−1、2.90mm−1、2.80mm−1、2.70.mm−1、2.60mm−1、2.50mm−1、2.40mm−1、2.30mm−1、2.25mm−1、2.20mm−1、2.10mm−1、2.00mm−1の順により好ましい。
【0230】
βOH=−[ln(D/C)]/t ・・・(1)
ここで、上記式(1)中、tは外部透過率の測定に用いる上記ガラスの厚み(mm)を表し、Cは上記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2500nmにおける外部透過率(%)を表し、Dは上記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2900nmにおける外部透過率(%)を表す。また、lnは自然対数である。βOHの単位はmm−1である。
【0231】
なお、「外部透過率」とは、ガラスに入射する入射光の強度Iinに対するガラスを透過した透過光の強度Ioutの比(Iout/Iin)、すなわち、ガラスの表面における表面反射も考慮した透過率である。透過率は、分光光度計を用いて、透過スペクトルを測定することにより得られる。分光装置としては、「UV−3100(島津)」を用いることができる。
【0232】
上記式(1)で表されるβOHは、水酸基に起因する光の吸収により透過率が変化することに基づいて規定されている。そのため、βOHを評価することにより、ガラス中に含まれる水(および/または水酸化物イオン)の濃度を評価できる。すなわち、βOHが高いガラスは、ガラス中に含まれる水(および/または水酸化物イオン)の濃度が高いことを意味している。
【0233】
βOHの値を上記範囲とすることで、ガラスの熔融容器等に由来する白金等の貴金属がガラス中に溶け込む量を低減でき、また、還元色を低減した後、すなわち熱処理後の透過率を改善できる。さらに、還元色を低減するのに要する熱処理時間をより短縮できる。一方、βOHの値が大きすぎると、ガラスの耐失透性が低下するおそれがあり、また、熔融ガラスからの揮発物量が増加するおそれがある。
【0234】
ガラスのβOHの値を高める方法は、特に限定されるものではないが、好ましくは熔融工程において、熔融ガラス中の水分量を高める方法が挙げられる。熔融ガラス中の水分量を高める方法としては、例えば、熔融雰囲気に水蒸気を付加する処理や、熔融ガラス内に水蒸気を含むガスをバブリングする処理等を行うことが挙げられる。
【0235】
第2−1実施形態に係るガラスは、好ましくはNbを含有する。本実施形態に係るガラスにおいて、Nbの含有量の下限は、好ましくは5.0%であり、さらには、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、10.0%、10.5%、11.0%、11.5%、12.0%、12.5%、13.0%、13.5%、14.0%、14.5%、15.5%、16.0%、16.5%、17.0%、17.5%、18.0%、18.5%、19.0%、19.5%、20.0%、20.5%、21.0%、21.5%、22.0%、22.5%、23.0%の順により好ましい。また、Nbの含有量の上限は、好ましくは60.0%であり、さらには、59.0%、58.0%、57.0%、56.0%、55.0%、54.0%、53.0%、52.0%、51.0%、50.0%、49.0%、48.0%、47.0%、46.0%、45.0%、44.0%、43.0%、42.0%、41.0%、40.0%、39.0%、38.0%、37.0%の順により好ましい。
【0236】
Nbは、高分散化に寄与する成分である。また、ガラスの熱的安定性および化学的耐久性を改善するガラス成分でもある。一方、Nbの含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性が低下し、また、ガラスの着色が強まる傾向がある。したがって、本実施形態に係るガラスにおいて、Nbの含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0237】
また、第2−1実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Nb5+の含有量の上限は、好ましくは30.00カチオン%であり、さらには29.00カチオン%、28.50カチオン%、28.00カチオン%、27.50カチオン%、27.00カチオン%、26.50カチオン%、26.00カチオン%、25.50カチオン%、25.00カチオン%、24.50カチオン%の順により好ましい。Nb5+の含有量の下限は、好ましくは10.00カチオン%であり、さらには11.00カチオン%、12.00カチオン%、12.50カチオン%、13.00カチオン%、13.50カチオン%、14.00カチオン%、14.50カチオン%、15.00カチオン%、15.50カチオン%、16.00カチオン%、16.50カチオン%、17.00カチオン%、17.50カチオン%の順により好ましい。
【0238】
Nb5+は、高分散化に寄与する成分である。また、ガラスの熱的安定性および化学的耐久性を改善するガラス成分でもある。一方、Nb5+の含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性が低下し、また、ガラスの着色が強まる傾向がある。したがって、本実施形態に係るガラスにおいて、Nb5+の含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0239】
第2−1実施形態に係るガラスは、好ましくはTiOを含有する。本実施形態に係るガラスにおいて、TiOの含有量の下限は、好ましくは5.0%であり、さらには、6.0%、7.0%、8.0%、9.0%、10.0%、11.0%、12.0%、13.0%、14.0%、15.0%、16.0%、17.0%、18.0%、19.0%の順により好ましい。また、TiOの含有量の上限は、好ましくは50.0%であり、さらには、49.0%、48.0%、47.0%、46.0%、45.0%、44.0%、43.0%、42.0%、41.0%、40.0%、39.0%、38.0%、37.0%、36.0%、35.0%、34.0%、33.0%、32.0%、31.0%の順により好ましい。
【0240】
TiOは、Nb、WOおよびBiと同様に、高分散化に大きく寄与する。一方、TiOは、比較的ガラスの着色を増大しやすい。したがって、本実施形態に係るガラスにおいて、TiOの含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0241】
また、第2−1実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Ti4+の含有量の上限は、好ましくは40.00カチオン%であり、さらには39.00カチオン%、38.00カチオン%、37.50カチオン%、37.00カチオン%、36.50カチオン%、36.00カチオン%、35.50カチオン%、35.00カチオン%、34.50カチオン%の順により好ましい。Ti4+の含有量の下限は、好ましくは20.00カチオン%であり、さらには21.00カチオン%、21.50カチオン%、22.00カチオン%、22.50カチオン%、23.00カチオン%、23.50カチオン%、24.00カチオン%、24.50カチオン%、25.00カチオン%の順により好ましい。
【0242】
Ti4+は、Nb5+、W6+およびBi3+と同様に、高分散化に大きく寄与する。一方、TiOは、比較的ガラスの着色を増大しやすい。したがって、本実施形態に係るガラスにおいて、Ti4+の含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0243】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、TiOの含有量とNbの含有量との質量比[TiO/Nb]の下限は、好ましくは0.16であり、さらには、0.17、0.18、0.19、0.20、0.23の順により好ましい。また質量比[TiO/Nb]の上限は、好ましくは4.50であり、さらには、4.40、4.30、4.20、4.10、4.00、3.80、3.60の順により好ましい。
【0244】
TiOはガラスの熔解性を低下させ、液相温度を上昇させやすい。一方、Nbは液相温度の低下および屈折率の上昇を抑え、高分散化に寄与する。そのため、NNbをTiOに対して一定の割合で含有させることにより、ガラスの熔解性の低下および液相温度の上昇を抑制できる。したがって、本実施形態に係るガラスにおいて、カチオン比[TiO/Nb]は上記範囲とすることが好ましい。
【0245】
また、第2−1実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Ti4+の含有量とNb5+の含有量とのカチオン比[Ti4+/Nb5+]の上限は、好ましくは6.00であり、さらには5.90、5.80、5.70、5.65、5.60の順により好ましい。カチオン比[Ti4+/Nb5+]の下限は、好ましくは0.40であり、さらには0.41、0.42の順により好ましい。
【0246】
Ti4+はガラスの熔解性を低下させ、液相温度を上昇させやすい。一方、Nb5+は液相温度の低下および屈折率の上昇を抑え、高分散化に寄与する。そのため、Nb5+をTi4+に対して一定の割合で含有させることにより、ガラスの熔解性の低下および液相温度の上昇を抑制できる。したがって、本実施形態に係るガラスにおいて、カチオン比[Ti4+/Nb5+]は上記範囲とすることが好ましい。
【0247】
第2−1実施形態に係るガラスは、P以外のガラスのネットワーク形成成分として、B、SiO、Alを含むことができる。
【0248】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、Bの含有量の上限は、好ましくは8.0%であり、さらには、7.0%、6.0%、5.0%、4.0%、3.0%、2.0%、1.0%の順により好ましい。Bの含有量は0%であってもよい。
【0249】
は、ガラスのネットワーク形成成分であり、ガラスの熔融性を改善する働きを有する。一方、Bの含有量が多いと、アッベ数の減少が抑制されて高分散化が妨げられ、また、化学的耐久性が低下する傾向がある。そのため、ガラスの熱的安定性、熔融性および成形性等を改善する観点から、Bの含有量の上限は上記範囲であることが好ましい。
【0250】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、SiOの含有量の上限は、好ましくは8.0%であり、さらには、7.0%、6.0%、5.0%、4.0%、3.5%、3.0%、2.5%、2.0%、1.5%、1.0%の順により好ましい。SiOの含有量は0%であってもよい。
【0251】
SiOは、ガラスのネットワーク形成成分であり、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性を改善し、熔融ガラスの粘性を高め、熔融ガラスを成形しやすくする働きを有する。一方、SiOの含有量が多いと、ガラスの熔融性が低下し、ガラス原料が熔け残る傾向がある。そのため、ガラスの熔融性を改善する観点から、SiOの含有量の上限は上記範囲であることが好ましい。
【0252】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、Alの含有量の上限は、好ましくは5.0%であり、さらには、4.0%、3.5%、3.0%、2.5%、2.0%、1.5%、1.0%、0.5%の順により好ましい。Alの含有量は0%であってもよい。
【0253】
Alは、ガラスの化学的耐久性、耐候性を改善する働きを有するガラス成分であり、ネットワーク形成成分として考えることができる。一方、Alの含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性が低下し、ガラス転移温度Tgが上昇して、熔融性が低下しやすい。したがって、Alの含有量の上限は上記範囲であることが好ましい。
【0254】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、ガラスのネットワーク形成成分であるP、B、SiOおよびAlの合計含有量[P+B+SiO+Al]の上限は、好ましくは45.0%であり、さらには、44.0%、43.0%、42.0%、41.0%、40.0%、39.0%、38.0%、37.0%、36.0%、35.0%、34.0%、33.0%、32.0%、31.0%、30.0%の順により好ましい。また、合計含有量[P+B+SiO+Al]の下限は、好ましくは10.0%であり、さらには、11.0%、12.0%、13.0%、14.0%、15.0%、16.0%、17.0%、18.0%、19.0%、20.0%の順により好ましい。
【0255】
合計含有量[P+B+SiO+Al]を上記範囲とすることで、ガラスの熱的安定性を改善し、ガラスの失透を抑制できる。
【0256】
また、第2−1実施形態に係るガラスにおいて、P、B、SiOおよびAlの合計含有量に対するPの含有量の質量比[P/(P+B+SiO+Al)]の下限は、好ましくは0.55であり、さらには、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95の順により好ましい。質量比[P/(P+B+SiO+Al)]を1.00とすることもできる。
【0257】
質量比[P/(P+B+SiO+Al)]が小さいと、ガラスの熱的安定性が低下し、また、熔融性も低下する。そのため、ガラスの高分散化、良好な熔融性を維持する観点から、質量比[P/(P+B+SiO+Al)]の下限は、上記範囲であることが好ましい。
【0258】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、TiOの含有量とPの含有量との質量比[TiO/P]の上限は、好ましくは4.50であり、さらには、4.00、3.50、3.00、2.50、2.00、1.50の順により好ましい。また、質量比[TiO/P]の下限は、好ましくは0.04であり、さらには、0.08、0.12、0.16、0.20、0.24、0.28、0.32、0.36、0.40、0.44、0.48、0.52の順により好ましい。
【0259】
第2−1実施形態に係るガラスでは、TiOを含むことにより、ガラス内における結晶生成が促進されて、ガラスの透明性が低下(白濁)するという問題が生じる。ネットワーク形成成分であるPをTiOに対して上記範囲の割合で含有させることによりこの問題を解消することができる。
【0260】
また、第2−1実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Ti4+の含有量とP5+の含有量とのカチオン比[Ti4+/P5+]の上限は、好ましくは1.50であり、さらには1.40、1.30、1.29、1.28、1.27、1.26、1.25、1.24、1.23、1.22の順により好ましい。カチオン比[Ti4+/P5+]の下限は、好ましくは0.50であり、さらには0.51、0.52、0.53の順により好ましい。
【0261】
第2−1実施形態に係るガラスでは、Ti4+を含むことにより、ガラス内における結晶生成が促進されて、ガラスの透明性が低下(白濁)するという問題が生じる。ネットワーク形成成分であるP5+をTi4+に対して上記範囲の割合で含有させることによりこの問題を解消することができる。
【0262】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、WOの含有量の上限は、好ましくは50.0%であり、さらには、49.0%、48.0%、47.0%、46.0%、45.0%、44.0%、43.0%、42.0%、41.0%、40.0%、39.0%、38.0%、37.0%、36.0%、35.0%、34.0%、33.0%、32.0%、31.0%、30.0%の順により好ましい。また、WOの含有量の下限は、好ましくは0.01%であり、さらには、0.1%、0.3%、0.5%、0.7%、1.0%の順により好ましい。WOの含有量は0%であってもよい。
【0263】
WOは、高分散化に大きく寄与するが、TiO、NbおよびBiと比較してガラスの着色の原因となりやすく、透過率を悪化させる。したがって、WOの含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0264】
また、第2−1実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、W6+の含有量の上限は、好ましくは20.00カチオン%であり、さらには19.00カチオン%、18.50カチオン%、18.00カチオン%、17.50カチオン%、17.00カチオン%、16.50カチオン%、16.00カチオン%、15.50カチオン%、15.00カチオン%、14.50カチオン%、14.00カチオン%、13.50カチオン%の順により好ましい。W6+の含有量の下限は、好ましくは0.40カチオン%であり、さらには0.20カチオン%、0.10カチオン%の順により好ましい。W6+の含有量は0カチオン%であってもよい。
【0265】
6+は、高分散化に大きく寄与するが、Ti4+、Nb5+およびBi3+と比較してガラスの着色の原因となりやすく、透過率を悪化させる。したがって、W6+の含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0266】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、TiOおよびWOの合計含有量と、Nb含有量との質量比[(TiO+WO)/Nb]の下限は、好ましくは0.15であり、さらには、0.17、0.19、0.20、0.21、0.23、0.25、0.26、0.28、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.60、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65の順により好ましい。また、質量比[(TiO+WO)/Nb]の上限は、好ましくは8.00であり、さらには、7.90、7.80、7.70、7.60、7.40、7.20、7.00の順により好ましい。
【0267】
質量比[(TiO+WO)/Nb]の値を上記範囲とすることで、屈折率の上昇を抑えつつ、色収差補正に好適な高分散性を有するガラスを得ることができる。
【0268】
また、第2−1実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Ti4+およびW6+の合計含有量とNb5+の含有量とのカチオン比[(Ti4++W6+)/Nb5+]の上限は、好ましくは7.70であり、さらには7.60、7.50、7.40、7.35、7.30、7.28、7.26の順により好ましい。カチオン比[(Ti4++W6+)/Nb5+]の下限は、好ましくは0.40であり、さらには0.41、0.42の順により好ましい。
【0269】
カチオン比[(Ti4++W6+)/Nb5+]の値を上記範囲とすることで、屈折率の上昇を抑制しつつ、色収差補正に好適な高分散性を有するガラスを得ることができる。
【0270】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、NaOの含有量の上限は、好ましくは10.0%であり、さらには、9.0%、8.0%、7.0%、6.0%、5.0%、4.0%、3.0%の順により好ましい。NaOの含有量は0%であってもよい。
【0271】
また、第2−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Naの含有量の上限は、好ましくは13.00カチオン%であり、さらには12.00カチオン%、11.50カチオン%、11.00カチオン%、10.50カチオン%、10.00カチオン%、9.50カチオン%、9.00カチオン%、8.50カチオン%、8.00カチオン%の順により好ましい。Naの含有量の下限は、好ましくは1.50カチオン%であり、さらには1.30カチオン%、1.00カチオン%、0.70カチオン%、0.50カチオン%、0.30カチオン%の順により好ましい。Naの含有量は0カチオン%であってもよい。
【0272】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、KOの含有量の上限は、好ましくは15.0%であり、さらには、14.0%、13.0%、12.0%、11.0%、10.0%、9.0%、8.0%、7.0%、6.0%、5.0%の順により好ましい。また、KOの含有量の下限は、好ましくは0.01%であり、さらには、0.1%、0.3%、0.4%の順により好ましい。KOの含有量は0%であってもよい。
【0273】
また、第2−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Kの含有量の上限は、好ましくは15.00カチオン%であり、さらには14.50カチオン%、14.00カチオン%、13.50カチオン%、13.00カチオン%、12.50カチオン%、12.00カチオン%、11.50カチオン%、11.00カチオン%の順により好ましい。Kの含有量の下限は、好ましくは1.00カチオン%であり、さらには0.70カチオン%、0.50カチオン%、0.30カチオン%の順により好ましい。Kの含有量は0カチオン%であってもよい。
【0274】
NaOおよびKOは、あるいはNaおよびKは、高分散成分に起因する還元色を低減するのに要する熱処理時間を短縮するのを助ける効果を有する。NaOとKOとでは、NaOの方がその効果が高く、NaとKとでは、Naの方がその効果が高い。また、これらの含有量が多いほど、その効果が大きくなるが、含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性が低下する。そのため、NaOおよびKO、NaおよびKの各含有量は、それぞれ上記範囲とすることが好ましい。
【0275】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、LiO、NaOおよびKOの合計含有量[LiO+NaO+KO]の上限は、好ましくは20.0%であり、さらには、19.0%、18.0%、17.0%、16.0%、15.0%、14.0%、13.0%、12.0%、11.0%、10.0%、9.0%、8.0%、7.0%、6.0%の順により好ましい。また、合計含有量[LiO+NaO+KO]の下限は、好ましくは0.01%であり、さらには、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.20%、0.30%、0.40%、0.50%の順により好ましい。
【0276】
LiO、NaOおよびKOは、高分散成分に起因する還元色を低減するのに要する熱処理時間を短縮させ、またガラスの熔融性を改善する働きを有する。しかし、これらの含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性が低下する。そのため、LiO、NaOおよびKOの合計含有量[LiO+NaO+KO]は上記範囲であることが好ましい。
【0277】
また、第2−1実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Li、NaおよびKの合計含有量[Li+Na+K]の上限は、好ましくは22.00カチオン%であり、さらには21.00カチオン%、20.00カチオン%、19.00カチオン%、18.00カチオン%、17.00カチオン%、16.50カチオン%、16.00カチオン%、15.50カチオン%、15.00カチオン%、14.50カチオン%、14.00カチオン%、13.50カチオン%、13.00カチオン%、12.50カチオン%12.00カチオン%、11.50カチオン%の順により好ましい。合計含有量[Li+Na+K]の下限は、好ましくは1.00カチオン%であり、さらには0.70カチオン%、0.50カチオン%、0.30カチオン%の順により好ましい。合計含有量[Li+Na+K]は0カチオン%であってもよい。
【0278】
Li、NaおよびKは、高分散成分に起因する還元色を低減するのに要する熱処理時間を短縮させ、またガラスの熔融性を改善する働きを有する。しかし、これらの含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性が低下する。そのため、Li、NaおよびKの合計含有量[Li+Na+K]は上記範囲であることが好ましい。
【0279】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、LiOの含有量とLiO、NaOおよびKOの合計含有量との質量比[LiO/(LiO+NaO+KO)]の下限は、好ましくは0.0012であり、さらには、0.0013、0.0014、0.0015、0.0016、0.0017、0.0018、0.0019、0.0020、0.0021、0.0022、0.0023、0.0024、0.0025、0.0026、0.0027、0.0028、0.0029、0.0030、0.0032、0.0035、0.0037、0.0040の順により好ましい。質量比[LiO/(LiO+NaO+KO)]の上限は、好ましくは1.00であり、さらには、0.80、0.60、0.50、0.40、0.30、0.20、0.18、0.16の順により好ましい。
【0280】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、RbOの含有量の上限は、好ましくは5.0%であり、さらには、4.0%、3.0%、2.0%、1.0%、0.7%、0.5%、0.3%、0.1%の順により好ましい。また、RbOの含有量の下限は、好ましくは0%である。RbOの含有量は0%であってもよい。
【0281】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、CsOの含有量の上限は、好ましくは10.0%であり、さらには、9.0%、8.0%、7.0%、6.0%、5.0%、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%の順により好ましい。また、CsOの含有量の下限は、好ましくは0%である。CsOの含有量は0%であってもよい。
【0282】
RbOおよびCsOは、NaOおよびKOと同様に、高分散成分に起因する還元色を低減するのに要する熱処理時間を短縮するのを助ける効果を有するが、その効果はNaOおよびKOよりも小さい。また、これらの含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性が低下する。そのため、RbOおよびCsOの各含有量は、それぞれ上記範囲とすることが好ましい。
【0283】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、MgOの含有量の上限は、好ましくは5.0%であり、さらには、4.0%、3.0%、2.0%、1.0%の順により好ましい。また、MgOの含有量の下限は、好ましくは0%である。MgOの含有量は0%であってもよい。
【0284】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、CaOの含有量の上限は、好ましくは6.0%であり、さらには、5.0%、4.0%、3.0%、2.0%、1.0%の順により好ましい。また、CaOの含有量の下限は、好ましくは0%である。CaOの含有量は0%であってもよい。
【0285】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、SrOの含有量の上限は、好ましくは7.0%であり、さらには、6.0%、5.0%、4.0%、3.0%、2.0%、1.0%の順により好ましい。また、SrOの含有量の下限は、好ましくは0%である。SrOの含有量は0%であってもよい。
【0286】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、BaOの含有量の上限は、好ましくは10.0%であり、さらには、9.0%、8.0%、7.0%、6.0%、5.0%、4.0%、3.0%、2.0%、1.0%の順により好ましい。また、BaOの含有量の下限は、好ましくは0%である。BaOの含有量は0%であってもよい。
【0287】
MgO、CaO、SrO、BaOは、いずれもガラスの熱的安定性、熔融性を改善させる働きを有するガラス成分である。しかし、これらガラス成分の含有量が多くなると、高分散性が損なわれ、また、ガラスの熱的安定性が低下し、ガラスが失透しやすくなる。そのため、これらガラス成分の各含有量は、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
【0288】
また、第2−1実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Ba2+の含有量の上限は、好ましくは10.00カチオン%であり、さらには9.00カチオン%、8.00カチオン%、7.00カチオン%、6.00カチオン%、5.00カチオン%、4.50カチオン%、4.00カチオン%、3.50カチオン%、3.00カチオン%、2.50カチオン%、2.00カチオン%、1.50カチオン%、1.00カチオン%、0.70カチオン%の順により好ましい。また、Ba2+の含有量の下限は、好ましくは0カチオン%である。Ba2+の含有量は0カチオン%であってもよい。
【0289】
Ba2+は、ガラスの熱的安定性、熔融性を改善させる働きを有するガラス成分である。しかし、これらガラス成分の含有量が多くなると、高分散性が損なわれ、また、ガラスの熱的安定性が低下し、ガラスが失透しやすくなる。そのため、これらガラス成分の各含有量は、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
【0290】
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、高分散化を妨げることなく熱的安定性を維持する観点から、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量[MgO+CaO+SrO+BaO]の上限は、好ましくは17.0%であり、さらには、16.0%、15.0%、14.0%、13.0%、12.0%、11.0%、10.0%、9.0%、8.0%、7.0%、6.0%、5.0%、4.0%、3.0%、2.0%、1.0%の順により好ましい。また、合計含有量[MgO+CaO+SrO+BaO]の下限は、好ましくは0%である。合計含有量[MgO+CaO+SrO+BaO]は0%であってもよい。
【0291】
第2−1実施形態における、ZnO、ZrO、Ta、Ga、In、Sc、HfO、Lu、GeO、La、Gd、YおよびYbの含有量は、第1−1実施形態と同様とすることができる。
【0292】
第2−1実施形態に係るガラスは、主として上述のガラス成分、すなわちP、B、SiO、Al、TiO、Nb、WO、Bi、LiO、NaO、KO、RbO、CsO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、ZrO、Ta、Ga、In、Sc、HfO、Lu、GeO、La、Gd、Y、およびYbから選ばれる成分で構成されていることが好ましく、上述のガラス成分の合計含有量は、好ましくは95%超であり、より好ましくは98%超であり、さらに好ましくは99%超であり、一層好ましくは99.5%超である。
【0293】
第2−1実施形態におけるその他のガラス成分組成は、第1−1実施形態と同様とすることができる。
【0294】
(ガラス特性)
<ガラス転移温度Tg>
第2−1実施形態に係るガラスのガラス転移温度Tgの上限は、好ましくは750℃であり、さらには、740℃、730℃、720℃、710℃、700℃の順により好ましい。また、ガラス転移温度Tgの下限は、好ましくは500℃であり、さらには、510℃、520℃、530℃、540℃、550℃、560℃、570℃、580℃、590℃、600℃、610℃、620℃、630℃の順により好ましい。
【0295】
ガラス転移温度Tgの上限が上記範囲を満たすことにより、ガラスの熱処理温度の上昇を抑制でき、アニール設備、例えば、レア―と呼ばれる連続式アニール炉やバッチ式アニール炉の熱的ダメージを軽減できる。また炉の消費電力を抑えることもできる。
【0296】
ガラス転移温度Tgの下限が上記範囲を満たすことにより、所望のアッベ数を維持しつつ、ガラスの熱的安定性を良好に維持しやすくなる。
【0297】
<屈折率n
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、波長587.56nmにおける屈折率nの上限は、好ましくは2.1500であり、さらには、2.1400、2.1300、2.1200、2.1100、2.1000、2.0900、2.0800、2.0700、2.0600、2.0500、2.0400の順により好ましい。またnの下限は好ましくは1.8800であり、さらには、1.8900、1.9000、1.9100、1.9200、1.9300、1.9350、1.9400、1.9450、1.9500、1.9600、1.9700の順に大きい値ほどより好ましい。
【0298】
<屈折率n
第2−1実施形態に係るガラスにおいて、波長656.27nmにおける屈折率nの上限は、好ましくは2.1350であり、さらには、2.1250、2.1150、2.1050、2.0950、2.0850、2.0750、2.0650、2.0550、2.0450、2.0350、2.0250、2.0150の順により好ましい。また、屈折率の下限は、好ましくは1.8650であり、さらには、1.8750、1.8850、1.8950、1.9050、1.9150、1.9200、1.9250、1.9350、1.9400、1.9450、1.9550の順に大きい値ほどより好ましい。
【0299】
<ガラスの光線透過性>
第2−1実施形態において、光線透過性は、第1−1実施形態と同様に、着色度λ5により評価できる。
【0300】
第2−1実施形態において、λ5の上限は、好ましくは460nmであり、さらには、455nm、450nm、445nm、440nm、435nm、430nm、425nm、420nmの順により好ましい。λ5の下限の目安は、360nmである。
【0301】
<ガラスの比重>
第2−1実施形態に係るガラスは、高分散ガラスでありながら、比重が大きくない。通常、ガラスの比重を低減できれば、レンズの重量を減少できる。その結果、レンズを搭載するカメラレンズのオートフォーカス駆動の消費電力を低減できる。一方、比重を減少させすぎると、熱的安定性の低下を招く。そのため、比重dの上限は、好ましくは5.60であり、さらには、5.50、5.40、5.30、5.20、5.10、5.00、4.90、4.80、4.70、4.60、4.50、4.40、4.30、4.20、4.10、4.00、3.90、3.80、3.70の順により好ましい。また、熱的安定性を改善する観点から、比重dの下限は、好ましくは2.80であり、さらには、2.90、3.00、3.10、3.20の順により好ましい。
【0302】
<液相温度>
第2−1実施形態に係るガラスの液相温度の上限は、好ましくは1400℃であり、さらには、1390℃、1380℃、1370℃、1360℃、1350℃、1340℃、1330℃、1320℃、1310℃、1300℃の順により好ましい。また、液相温度の下限は、好ましくは1000℃であり、さらには、1010℃、1020℃、1030℃、1040℃、1050℃、1060℃、1070℃、1080℃、1090℃、1100℃、1110℃、1120℃、1130℃、1140℃、1150℃、1160℃、1170℃、1180℃の順により好ましい。本実施形態に係るガラスによれば、ガラスの熱的安定性が改善された高分散ガラスが得られる。
【0303】
なお、液相温度は次のように決定する。10cc(10ml)のガラスを白金坩堝中に投入し1250℃〜1350℃で20〜30分熔融した後にガラス転移温度Tg以下まで冷却し、ガラスを白金坩堝ごと所定温度の熔解炉に入れ2時間保持する。保持温度は1000℃以上で5℃あるいは10℃刻みとし、2時間保持後、冷却し、100倍の光学顕微鏡でガラス内部の結晶の有無を観察する。結晶の析出しなかった最低温度を液相温度とする。
【0304】
(ガラスの製造)
本発明の第2−1実施形態に係るガラスは、上記所定の組成となるようにガラス原料を調合し、調合したガラス原料を用いて公知のガラス製造方法に従って作製すればよい。例えば、複数種の化合物を調合し、十分混合してバッチ原料とし、バッチ原料を熔融容器中に入れて熔融、清澄、均質化した後に熔融ガラスを成形し、徐冷してガラスを得る。あるいは、バッチ原料を熔融容器中に入れて粗熔解(ラフメルト)する。粗熔解によって得られた熔融物を急冷、粉砕してカレットを作製する。さらにカレットを熔融容器中に入れて加熱、再熔融(リメルト)して熔融ガラスとし、さらに清澄、均質化した後に熔融ガラスを成形し、徐冷してガラスを得ることもできる。熔融ガラスの成形、徐冷には、公知の方法を適用すればよい。
【0305】
第2−1実施形態に係るガラスの製造において、バッチ原料を粗熔解(ラフメルト)して、カレットを作製する場合の、粗熔解時の熔融温度の下限は好ましくは1000℃であり、さらには、1050℃、1100℃、1150℃、1200℃、1250、1300℃の順により好ましい。また、熔融温度の上限は、好ましくは1500℃であり、さらには、1450℃、1400℃、1350℃の順により好ましい。
【0306】
上記カレットを熔融、清澄、成形して第2−1実施形態に係るガラスを製造する場合の、カレットの熔融温度の下限は、好ましくは1000℃であり、さらには、1050℃、1100℃、1150℃、1200℃、1250、1300℃の順により好ましい。また、熔融温度の上限は、好ましくは1500℃であり、さらには、1450℃、1400℃、1350℃の順により好ましい。
【0307】
カレットを経ずに、バッチ原料を熔融、清澄、成形して第2−1実施形態に係るガラスを製造する場合の、バッチ原料の熔融温度の下限は、好ましくは1000℃であり、さらには、1050℃、1100℃、1150℃、1200℃、1250、1300℃の順により好ましい。また、熔融温度の上限は、好ましくは1500℃であり、さらには、1450℃、1400℃、1350℃の順により好ましい。
【0308】
第2−1実施形態に係るガラスの製造において、熔融ガラスを清澄するときの清澄温度の下限は、好ましくは1000℃であり、さらには、1050℃、1100℃、1150℃、1200℃、1250℃、1300℃の順に好ましい。また、清澄温度の上限は、好ましくは1500℃であり、さらには、1450℃、1400℃、1350℃の順に好ましい。
【0309】
第2−1実施形態に係るガラスの製造において、熔融ガラスを成形型に流し出すときの流出温度の下限は、好ましくは1000℃であり、さらには、1050℃、1100℃、1150℃、1200℃、1250℃、1300℃の順に好ましい。また、流出温度の上限は、好ましくは1500℃であり、さらには、1450℃、1400℃、1350℃の順に好ましい。
【0310】
なお、ガラス中に所望のガラス成分を所望の含有量となるように導入できれば、バッチ原料を調合するときに使用する化合物は特に限定されない。このような化合物として、酸化物、正リン酸、メタリン酸塩、五酸化二燐、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、フッ化物等が挙げられる。
【0311】
(光学ガラスの製造)
本発明の第2−1実施形態に係る光学ガラスとして、本発明の第2−1実施形態に係るガラスをそのまま用いることができる。
【0312】
本発明の第2−1実施形態に係るガラスが還元色を呈している場合には、本実施形態に係るガラスを熱処理して還元色を低減させて、光学ガラスとすることができる。熱処理の方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、ガラスを、ガラス転移温度Tgよりも5〜20℃低い温度に加熱し、着色が十分に低減するまで保持する方法が挙げられる。なお、熱処理後は、徐冷処理をすることでガラスの歪みを取り除くことができる。徐冷の方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、上記熱処理における加熱温度より100〜150℃低い温度まで徐々に降温する方法が挙げられる。
【0313】
(研磨用ガラス素材およびプレス成形用ガラス素材の製造)
本発明の第2−1実施形態に係る研磨用ガラス素材およびプレス成形用ガラス素材は、第2−1実施形態に係るガラスおよび光学ガラスのいずれからも製造することができる。
【0314】
研磨用ガラス素材は、ガラスまたは光学ガラスを細分化してカットピースを作製し、必要に応じ各カットピースを粗研磨加工(バレル研磨)して重量を均等化するとともに表面に離型剤を付着し易くして、再加熱し、軟化したガラスを所望の形状にプレス成形して製造できる。または、ガラスまたは光学ガラスの製造工程において、所定重量の熔融ガラスを成形型上に分離して直接にプレス成形して製造してもよい。
【0315】
プレス成形用ガラス素材は、ガラスまたは光学ガラスを所定体積に細分化して、表面を研削および研磨して製造できる。または、ガラスまたは光学ガラスの製造工程において、熔融ガラスを滴下し、その熔融ガラス滴を成形して製造してもよい。
【0316】
研磨用ガラス素材およびプレス成形用ガラス素材の製造において、還元色を低減させるための熱処理をしてもよい。熱処理の方法は、上記光学ガラスの製造における熱処理の方法と同様である。熱処理は、成形後、または研削および研磨の前後いずれでも行うことができる。
【0317】
(光学素子等の製造)
本発明の第2−1実施形態に係る光学素子は、上記本発明の第2−1実施形態に係るガラス、光学ガラス、研磨用ガラス素材およびプレス成形用ガラス素材のいずれからも製造できる。
【0318】
本発明の第2−1実施形態に係る光学素子は、ガラスまたは光学ガラスを所定体積に細分化して、表面を研削および研磨して製造できる。また、ガラスまたは光学ガラスを細分化してカットピースを作製し、必要に応じ各カットピースを粗研磨加工(バレル研磨)して重量を均等化するとともに表面に離型剤を付着し易くして、再加熱し、軟化したガラスを所望の光学素子の形状に近似した形状にプレス成形し、最後に研削・研磨して製造することもできる。または、ガラスまたは光学ガラスの製造工程において、所定重量の熔融ガラスを成形型上に分離して直接にプレス成形し、最後に研削および研磨して製造してもよい。
【0319】
本発明の第2−1実施形態に係る光学素子は、上記研磨用ガラス素材を研削および研磨して製造できる。また、本発明の第2−1実施形態に係る光学素子は、上記プレス成形用ガラス素材を精密プレスすることにより製造できる。上記プレス成形用ガラス素材を加熱後に精密プレスして製造してもよい。
【0320】
本発明の第2−1実施形態に係る光学素子の製造において、還元色を低減させるための熱処理をしてもよい。熱処理の方法は、上記光学ガラスの製造における熱処理の方法と同様である。熱処理は、プレス成形後または精密プレス後に行うことができ、また、研削および研磨の前後いずれでも行うことができる。
【0321】
また、本発明の第2−1実施形態に係る光学素子の製造では、必要に応じて芯取り加工を行ってもよい。
【0322】
作製した光学素子の光学機能面には使用目的に応じて、反射防止膜、全反射膜などをコーティングできる。
【0323】
光学素子としては、非球面レンズ、マイクロレンズ、レンズアレイなどの各種レンズ、回折格子などが例示できる。
【0324】
第2−2実施形態
本発明の第2−2実施形態のガラスは、
アッベ数νが18.10以下であり、
TiO、Nb、WOおよびBiから選択される少なくとも1種の酸化物を含むリン酸塩ガラスであって、
大気雰囲気下で、液相温度LTより110〜120℃高い温度で90分間リメルトして成形し、
大気雰囲気下で、ガラス転移温度Tgより0〜20℃低い保持温度で15分間保ち、降温速度30℃/hで上記保持温度より120℃低い温度まで徐冷して得られるガラスを縦17mm、横13mm、厚み10mmに加工したものにおいて、
上面視で、縦方向の端から0〜5mmの距離であり、かつ横方向の端から0〜5mmの距離の範囲にある部分をガラス端部とし、
上面視で、縦方向の端から6〜11mmの距離であり、かつ横方向の端から4〜9mmの距離の範囲にある部分をガラス中心部とした場合に、
厚み方向と平行に光を入射した際の、波長656nmにおける上記ガラス端部の外部透過率Tおよび上記ガラス中心部の外部透過率Tが下記式(2)で計算される値T以上、かつ、
上記ガラス端部の外部透過率Tと上記ガラス中心部の外部透過率Tとの差(T−T)が5%以下となるまで、
大気雰囲気下で、昇温速度100℃/hで加熱してガラス転移温度Tgより5〜15℃低い熱処理温度で保持する熱処理、および降温速度30℃/hで上記熱処理温度より120℃低い温度まで徐冷する徐冷処理を、1回または複数回繰り返すときの、
上記熱処理における上記熱処理温度での保持時間の合計が、48時間以内であるガラス。
=0.83×{1−{(n−1)/(n+1)}}×98 ・・・(2)
(式(2)中、nは上記ガラス端部の外部透過率Tと上記ガラス中心部の外部透過率Tとの差(T−T)が5%以下になるまで上記熱処理および徐冷処理を行った場合の、波長656.27nmにおける屈折率である。)
【0325】
以下、第2−2実施形態に係るガラスについて詳しく説明する。
【0326】
第2−2実施形態に係るガラスにおいて、アッベ数νは18.10以下である。アッベ数νの上限は、好ましくは18.05であり、さらには、18.00、17.90、17.80、17.70、17.60、17.50、17.40、17.30、17.20、17.10、17.00、16.90、16.80、16.78、16.76、16.74、16.72、16.70、16.68、16.66、16.64、16.62、16.60、16.58、16.56、16.54、16.52、16.50の順により好ましい。また、アッベ数の下限は、好ましくは15.00であり、さらには、15.10、15.20、15.25、15.30、15.35、15.40、15.45、15.50、15.52、15.54、15.56、15.58、15.60の順により好ましい。
【0327】
第2−2実施形態に係るガラスは、TiO、Nb、WOおよびBiから選択される少なくとも1種の酸化物を含む。
【0328】
第2−2実施形態に係るガラスは、リン酸塩ガラスである。したがって、第2−2実施形態に係るガラスは、ネットワーク形成成分として主にリン酸塩を含み、その含有量はPの含有量として表される。
【0329】
第2−2実施形態に係るガラスにおいて、Pの含有量の下限は、好ましくは7.0%であり、さらには、8.0%、9.0%、10.0%、11.0%、12.0%、13.0%、14.0%、15.0%、16.0%、17.0%、18.0%、19.0%、20.0%の順により好ましい。また、Pの含有量の上限は、好ましくは37.0%であり、さらには、36.0%、35.0%、34.5%、34.0%、33.5%、33.0%、32.5%、32.0%、31.5%、31.0%、30.5%、30.0%の順により好ましい。
【0330】
は、ガラスが高分散成分を多く含有するために必要な成分である。一方、Pを過剰に含むと熔融性が悪化する。したがって、本実施形態に係るガラスにおいて、Pの含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0331】
また、第2−2実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、P5+の含有量の上限は、好ましくは42.00カチオン%であり、さらには41.50カチオン%、41.00カチオン%、40.50カチオン%、40.00カチオン%、39.50カチオン%、39.00カチオン%、38.50カチオン%、38.00カチオン%、37.50カチオン%、37.00カチオン%、36.50カチオン%、36.00カチオン%の順により好ましい。P5+の含有量の下限は、好ましくは25.00カチオン%であり、さらには25.50カチオン%、26.00カチオン%、26.50カチオン%、27.00カチオン%、27.50カチオン%、28.00カチオン%、28.50カチオン%、29.00カチオン%、29.30カチオン%の順により好ましい。
【0332】
5+は、屈折率ndの上昇を抑制し、ガラス中に高分散成分を多く含有するために必須の成分である。一方、P5+を過剰に含むと熔解性が悪化する。したがって、本実施形態に係る光学ガラスにおいて、P5+の含有量は上記範囲とすることが好ましい。
【0333】
第2−2実施形態に係るガラスは、TiO、Nb、WOおよびBi等の高分散成分に起因する還元色を比較的に均一に低減でき、また還元色を低減するのに要する熱処理時間を短縮できるガラスである。具体的には、所定の操作でガラスを熱処理した場合の、熱処理温度での保持時間(以下、「退色時間」と記載することがある。)が48時間以内で還元色を問題のないレベルまで低減できるガラスである。以下に詳述する。
【0334】
還元色を低減するための熱処理において、ガラスの透過率が所定範囲となるまでの退色時間は、ガラスの着色状態やガラスの大きさによって異なる。
【0335】
したがって、第2−2実施形態では、本実施形態に係るガラスを一定条件で還元して着色し、所定の大きさに加工した還元ガラスサンプルを用いて退色時間を評価する。測定に用いる還元ガラスサンプルは、本実施形態に係るガラスを、大気雰囲気下で、液相温度LTより110〜120℃高い温度で90分間リメルトして成形し、同じく大気雰囲気下で、ガラス転移温度Tgより0〜20℃低い保持温度で15分間保ち、降温速度30℃/hで上記保持温度より120℃低い温度まで徐冷して得られるガラスを、縦17mm、横13mm、厚み10mmに加工して得る。
【0336】
大気雰囲気下で、ガラスを液相温度LTよりも110〜120℃高い温度でリメルトするには、ガラスを白金坩堝中に入れて加熱、再熔融(リメルト)して熔融ガラスとすればよい。このとき、高分散成分に起因する着色が生じる。
【0337】
上記熔融ガラスを、鋳型に流し込んで板状に成形する。これを、大気雰囲気下で、ガラス転移温度Tgより0〜20℃低い保持温度で15分間保ち、降温速度30℃/hで上記保持温度より120℃低い温度まで徐冷して、ガラスの歪みを取り除く。
【0338】
歪みを取り除いたガラスを細分化し、研磨して、縦17mm、横13mm、厚み10mmの大きさに加工する。この時、上面および下面(縦17mm、横13mmの面)を光学研磨して還元ガラスサンプルを得る。
【0339】
このようにして得られた還元ガラスサンプルについて、以下の条件で熱処理および徐冷処理を行い、退色時間を評価する。
すなわち、大気雰囲気下で、昇温速度100℃/hで加熱してガラス転移温度Tgより5〜15℃低い熱処理温度で保持する熱処理、および降温速度30℃/hで上記熱処理温度より120℃低い温度まで徐冷する徐冷処理を行う。上記熱処理により、高分散成分に起因する着色が低減する。
【0340】
上記熱処理および徐冷処理は、還元ガラスサンプルが、実用状問題のないレベルに退色するまで行う。すなわち、処理後のサンプルの厚み方向と平行に光を入射した際の、波長656nmにおけるガラス端部の外部透過率Tおよびガラス中心部の外部透過率Tが下記式(2)で算出される値T以上、かつ、ガラス端部の外部透過率Tとガラス中心部の外部透過率Tとの差(T−T)が5%以下となるまで行う。
=0.83×{1−{(n−1)/(n+1)}×98 ・・・(2)
【0341】
なお、上記式(2)中のnは、ガラス端部の外部透過率Tとガラス中心部の外部透過率Tとの差(T−T)が5%以下になるまで熱処理および徐冷処理した場合の、波長656.27nmにおける屈折率である。屈折率nは、日本光学硝子工業会規格(JOGIS 01−2003)に基づき測定する。
【0342】
上記熱処理および徐冷処理は、1回であってもよく、また、複数回行ってもよい。上記熱処理および徐冷処理を複数回行う場合の退色時間は、各回で異なっていてもよい。
【0343】
第2−2実施形態に係るガラスにおいて、上記熱処理における退色時間の合計は48時間以内であり、好ましくは46時間以内、さらには、44時間以内、42時間以内、40時間以内、38時間以内、36時間以内、34時間以内、32時間以内、30時間以内、29時間以内、28時間以内、27時間以内、26時間以内、25時間以内、24時間以内の順により好ましい。
【0344】
退色時間の合計とは、上記熱処理および徐冷処理を1回行った場合には、その1回における退色時間であり、上記熱処理および徐冷処理を複数回行った場合には、各回における退色時間の合計である。例えば、1回目の退色時間を12時間とし、2回目の退色時間を6時間とした場合には、退色時間の合計は18時間である。
【0345】
なお、上記熱処理では、ガラス転移温度Tgの異なる複数のガラスを一度に熱処理することを考慮し、熱処理温度をガラス転移温度Tgより5〜15℃低い温度としている。したがって、本実施形態に係るガラスでは、上記のようにして得られた還元ガラスサンプルを、ガラス転移温度Tgより5〜15℃低い熱処理温度で熱処理すれば、退色時間が48時間以内で十分に還元色を低減でき、すなわち、少なくともガラス転移温度Tgより15℃低い熱処理温度で熱処理すれば、退色時間が48時間以内で十分に還元色を低減できる。
【0346】
ここで、ガラス端部とは、上面視で、縦方向の端から0〜5mmの距離であり、かつ横方向の端から0〜5mmの距離の範囲にある部分であり、ガラス中心部とは、上面視で、縦方向の端から6〜11mmの距離であり、かつ横方向の端から4〜9mmの距離の範囲にある部分である。
【0347】
熱処理および徐冷処理は、厚み方向と平行に光を入射した際の、波長656nmにおけるガラス端部の外部透過率Tおよびガラス中心部の外部透過率Tが、上記式(2)で算出される値T以上となるまで行う。波長656nmにおけるガラス端部の外部透過率Tおよびガラス中心部の外部透過率Tは、好ましくは下記式(3)で算出される値T以上であり、より好ましくは下記式(4)で算出される値T以上、さらに好ましくは下記式(5)で算出される値T以上の順により好ましい。
=0.84×{1−{(n−1)/(n+1)}}×98 ・・・(3)
=0.85×{1−{(n−1)/(n+1)}}×98 ・・・(4)
=0.86×{1−{(n−1)/(n+1)}}×98 ・・・(5)
【0348】
また、ガラス端部の外部透過率Tとガラス中心部の外部透過率Tとの差(T−T)が5%以下となるとは、ガラス全体の還元色がほぼ均一に低減していることを意味する。
【0349】
熱処理において、ガラスの還元色の低減はガラスの表面から中心部へと進行する。したがって、熱処理の途中では、ガラス端部と比べてガラス中心部は濃く着色している。ガラス中心部の還元色が、ガラス端部と同程度に低減しているとき、すなわち、還元色が均一に低減したとき、ガラス端部の外部透過率Tとガラス中心部の外部透過率Tとの差(T−T)は5%以下となる。
【0350】
第2−2実施形態に係るガラスにおいて、熱処理および徐冷処理は、ガラス端部の外部透過率Tとガラス中心部の外部透過率Tとの差(T−T)が5%以下となるまで、好ましくは4%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下、一層好ましくは1%以下、より一層好ましくは0.5%以下となるまで行う。
【0351】
すなわち、第2−2実施形態に係るガラスにおいて、熱処理および徐冷処理は、波長656nmにおけるガラス端部の外部透過率Tおよびガラス中心部の外部透過率Tが上記式(2)で算出される値T以上であり、差(T−T)が5%以下となるまで行う。好ましくは、熱処理および徐冷処理は、外部透過率Tおよび外部透過率Tが上記式(2)で算出される値T以上であり、差(T−T)が4%以下となるまで、さらには、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下となるまで行う。差(T−T)は小さいほどより好ましい。
【0352】
また、好ましくは、第2−2実施形態に係るガラスにおいて、熱処理および徐冷処理は、波長656nmにおけるガラス端部の外部透過率Tおよびガラス中心部の外部透過率Tが上記式(3)で算出される値T以上であり、差(T−T)が5%以下となるまで行う。より好ましくは、熱処理および徐冷処理は、外部透過率Tおよび外部透過率Tが上記式(3)で算出される値T以上であり、差(T−T)が4%以下となるまで、さらには、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下となるまで行う。差(T−T)は小さいほどより好ましい。
【0353】
好ましくは、第2−2実施形態に係るガラスにおいて、熱処理および徐冷処理は、波長656nmにおけるガラス端部の外部透過率Tおよびガラス中心部の外部透過率Tが上記式(4)で算出される値T以上であり、差(T−T)が5%以下となるまで行う。より好ましくは、熱処理および徐冷処理は、外部透過率Tおよび外部透過率Tが上記式(4)で算出される値T以上であり、差(T−T)が4%以下となるまで、さらには、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下となるまで行う。差(T−T)は小さいほどより好ましい。
【0354】
好ましくは、第2−2実施形態に係るガラスにおいて、熱処理および徐冷処理は、波長656nmにおけるガラス端部の外部透過率Tおよびガラス中心部の外部透過率Tが上記式(5)で算出される値T以上であり、差(T−T)が5%以下となるまで行う。より好ましくは、熱処理および徐冷処理は、外部透過率Tおよび外部透過率Tが上記式(5)で算出される値T以上であり、差(T−T)が4%以下となるまで、さらには、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下となるまで行う。差(T−T)は小さいほどより好ましい。
【0355】
第2−2実施形態に係るガラスにおいて、退色時間は短いほど好ましい。したがって、最も好ましい態様では、熱処理および徐冷処理において、退色時間が24時間以内で、波長656nmにおけるガラス端部の外部透過率Tおよびガラス中心部の外部透過率Tが上記式(5)で算出される値T以上となり、差(T−T)が0.5%以下となる。
【0356】
外部透過率は、日本光学硝子工業会規格(JOGIS 02−2003)に基づき測定する。外部透過率の測定では、入射光は上面(縦17mm、横13mmの面)に垂直に照射する。また、入射光は上記ガラス端部およびガラス中心部の領域、すなわち5mm×5mmの範囲に収まるように照射する。
【0357】
第2−2実施形態に係るガラスにおいて、TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量[TiO+Nb+WO+Bi]の下限は、好ましくは35%であり、さらには、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%の順により好ましい。また、合計含有量[TiO+Nb+WO+Bi]の上限は、好ましくは90%であり、さらには、88%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%の順により好ましい。
【0358】
TiO、Nb、WOおよびBiは、ガラスの高分散化に寄与する。また、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きも有する。したがって、合計含有量[TiO+Nb+WO+Bi]の下限は上記範囲であることが好ましい。一方で、TiO、Nb、WOおよびBiはガラスの着色を増大させる。したがって、合計含有量[TiO+Nb+WO+Bi]の上限は上記範囲であることが好ましい。
【0359】
また、第2−2実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量[Ti4++Nb5++W6++Bi3+]の下限は、好ましくは52.00カチオン%であり、さらには52.10カチオン%、52.15カチオン%、52.20カチオン%、52.25カチオン%、52.30カチオン%の順により好ましい。合計含有量[Ti4++Nb5++W6++Bi3+]の上限は、好ましくは75.00カチオン%であり、さらには74.50カチオン%、74.00カチオン%、73.50カチオン%、73.00カチオン%、72.50カチオン%、72.00カチオン%、71.50カチオン%、71.00カチオン%、70.50カチオン%の順により好ましい。
【0360】
Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+は、ガラスの高分散化に寄与する。また、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きも有する。したがって、合計含有量[Ti4++Nb5++W6++Bi3+]の下限は上記範囲であることが好ましい。一方で、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+はガラスの着色を増大させる。したがって、合計含有量[Ti4++Nb5++W6++Bi3+]の上限は上記範囲であることが好ましい。
【0361】
第2−2実施形態に係るガラスにおいて、Biの含有量の上限は、好ましくは38%であり、さらには、35%、33%、30%、28%、25%、23%、20%の順により好ましい。また、Biの含有量の下限は、好ましくは0%である。Biの含有量は0%であってもよい。
【0362】
Biは、高分散化に寄与する成分である。また、Biの含有量を上記範囲とすることで、比重の増大およびガラス転移温度Tgの低下を抑制できる。ガラスの比重が増大すると、光学素子の質量が増大する。例えば、質量の大きいレンズをオートフォーカス式の撮像レンズに組み込むと、オートフォーカス時にレンズの駆動に要する電力が増大し、電池の消耗が著しくなる。したがって、Biの含有量を上記範囲とすることが好ましい。
【0363】
また、第2−2実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示すると、Bi3+の含有量の上限は、好ましくは10.00カチオン%であり、さらには9.00カチオン%、8.00カチオン%、7.00カチオン%、6.00カチオン%、5.00カチオン%、4.50カチオン%、4.00カチオン%、3.50カチオン%、3.00カチオン%、2.50カチオン%、2.00カチオン%、1.50カチオン%、1.00カチオン%の順により好ましい。Bi3+の含有量は0カチオン%であってもよい。
【0364】
Bi3+は、高分散化に寄与する成分である。また、Bi3+の含有量を上記範囲とすることで、比重の増大およびガラス転移温度Tgの低下を抑制できる。ガラスの比重が増大すると、光学素子の質量が増大する。例えば、質量の大きいレンズをオートフォーカス式の撮像レンズに組み込むと、オートフォーカス時にレンズの駆動に要する電力が増大し、電池の消耗が著しくなる。したがって、Bi3+の含有量を上記範囲とすることが好ましい。
【0365】
第2−2実施形態に係るガラスにおいて、LiOの含有量とTiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量との質量比[LiO/(TiO+Nb+WO+Bi)]に100を掛けた値の下限は、好ましくは0.017であり、さらには、0.019、0.021、0.023、0.025、0.027、0.030の順により好ましい。また、質量比[LiO/(TiO+Nb+WO+Bi)]に100を掛けた値の上限は、好ましくは0.750であり、さらには、0.730、0.710、0.700、0.680、0.650、0.600、0.550の順により好ましい。
【0366】
第2−2実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示した場合に、W6+の含有量が0カチオン%を超える場合には、Ba2+の含有量とW6+の含有量とのカチオン比[Ba2+/W6+]の上限は、好ましくは0.14であり、さらには0.13、0.12、0.11、0.10の順により好ましい。
【0367】
Ba2+は、低分散化に寄与する成分である。したがって、第2−2実施形態に係るガラスでは、Ba2+の含有量に対して、高分散成分であるW6+を上記カチオン比となるように含有させることで、所望の高分散性を維持することができる。
【0368】
また、第2−2実施形態に係るガラスにおいて、ガラス成分の含有量をカチオン%で表示した場合に、W6+の含有量が0カチオン%であって、Ba2+の含有量が0カチオン%を超える場合には、Ti4+およびBi3+の合計含有量[Ti4++Bi3+]の上限は、好ましくは35.00カチオン%であり、さらには34.00カチオン%、33.00カチオン%、32.50カチオン%、32.30カチオン%、32.00カチオン%、31.80カチオン%、31.60カチオン%、31.40カチオン%、31.20カチオン%、31.00カチオン%、30.80カチオン%、30.60カチオン%、30.40カチオン%、30.20カチオン%、30.10カチオン%、30.00カチオン%の順により好ましい。合計含有量[Ti4++Bi3+]の下限は、好ましくは21.00カチオン%であり、さらには21.20カチオン%、21.40カチオン%、21.60カチオン%、21.80カチオン%、22.00カチオン%、22.20カチオン%、22.40カチオン%、22.60カチオン%、22.80カチオン%、23.00カチオン%、23.10カチオン%、23.20カチオン%、23.30カチオン%、23.40カチオン%、23.50カチオン%の順により好ましい。
【0369】
6+の含有量が0カチオン%であって、Ba2+の含有量が0カチオン%を超える場合には、高分散成分の中でW6+に次いで高分散化への寄与が大きいTi4+、および熱的安定性を改善する働きを有するBi3+の合計含有量を上記範囲とすることで、Ba2+による低分散化を抑制できる。
【0370】
第2−2実施形態におけるその他のガラス成分は、第2−1実施形態と同様とすることができる。また、第2−2実施形態におけるガラス特性、ガラス、光学ガラス、研磨用ガラス素材、プレス成形用ガラス素材および光学素子等の製造についても、第2−1実施形態と同様とすることができる。
【実施例】
【0371】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものでは無い。
【0372】
実施例1−1〜1−3は、上記第1実施形態に対応する実施例である。また、実施例2−1〜2−4は、上記第2実施形態に対応する実施例である。
【0373】
(実施例1−1)
表1−1−1、表1−1−4および表1−1−5と表1−2−1、表1−2−3および表1−2−4とに示すNo.1〜129の組成を有するガラスとなるように各成分に対応する化合物原料、すなわち、リン酸塩、炭酸塩、酸化物等の原料を秤量し、十分混合して調合原料とした。
【0374】
ここで、表1−1−1、表1−1−4および表1−1−5は質量%表示にて、表1−2−1、表1−2−3および表1−2−4はカチオン%表示にて、No.1〜129のガラス組成を表示している。すなわち、表1−1−1、表1−1−4および表1−1−5と表1−2−1、表1−2−3および表1−2−4とで、ガラス組成の表示方法は異なるが、同じNo.の光学ガラスは同じ組成を有する。したがって、表1−1−1、表1−1−4、表1−1−5と表1−2−1、表1−2−3および表1−2−4とは、実質的に同じ光学ガラスを示している。
【0375】
なお、表1−2−1、表1−2−3および表1−2−4では、アニオン成分の全量をO2−とした場合のカチオン%表示にてガラス組成を表示している。すなわち、表1−2−1、表1−2−3および表1−2−4において、いずれもO2−の含有量は100アニオン%である。
【0376】
また、表1−1−2、表1−1−3および表1−1−6〜1−1−9に記載されているガラス成分の合計含有量や、ガラス成分の含有量同士の比率は、表1−1−1、表1−1−4および表1−1−5に記載されている各ガラス成分の含有量をもとに算出した値である。同様に、表1−2−2、表1−2−5および表1−2−6に記載されているガラス成分の合計含有量や、ガラス成分の含有量同士の比率は、表1−2−1、表1−2−3および表1−2−4に記載されている各ガラス成分の含有量をもとに算出した値である。
【0377】
上記調合原料を白金製坩堝に投入し、1200℃〜1350℃に加熱し、熔融、攪拌、清澄後、坩堝から熔融ガラスを鋳型に鋳込んでガラスブロックに成形した。
【0378】
得られた各ガラスブロックを観察したところ、ガラス中に結晶や原料の熔け残りなどの異物は認められず、均質性の高い、高品質の光学ガラスを得ることができた。なお、光学ガラスNo.1〜6、12〜129は、第1−1実施形態の実施例であり、光学ガラスNo.1〜129は、第1−2実施形態の実施例である。
【0379】
得られた光学ガラスNo.1〜129の屈折率nd、アッベ数νd、ガラス転移温度、比重、λ5、液相温度を表1−3、表1−4−1および表1−4−2に示す。屈折率nd、アッベ数νd、ガラス転移温度、比重、λ5、液相温度は、以下のようにして測定した。なお、表1−3中の空欄は未測定であることを示す。
【0380】
(1)屈折率ndおよびアッベ数νd
日本光学硝子工業会規格JOGIS−01に基づいて測定した。測定結果を表1−3、表1−4−1および表1−4−2に示す。
【0381】
(2)ガラス転移温度Tg
ガラス転移温度は示差走査型熱量計DSC8270を用いて固体状態のガラスを昇温したときの吸熱カーブから測定した。この測定を用いたTgは日本光学硝子工業会規格JOGIS−08に基づいて測定したTgと対応関係を示す。測定結果を表1−3、表1−4−1および表1−4−2に示す。
【0382】
(3)λ5
λ5は次のようにして測定した。厚さ10mmの互いに平行かつ光学研磨された平面を有するガラス試料を用い、波長280nmから700nmまでの波長域における分光透過率を測定した。分光透過率は、光学研磨された一方の平面に垂直に強度Aの光線を入射し、他方の平面から出射する光線の強度Bを測定し、B/Aによって算出した。したがって、分光透過率には試料表面における光線の反射損失も含まれる。分光透過率が5%になる波長がλ5である。測定結果を表1−3、表1−4−1および表1−4−2に示す。
【0383】
(4)比重
日本光学硝子工業会規格JOGIS−05に基づいて測定した。測定結果を表1−3、表1−4−1および表1−4−2に示す。
【0384】
(5)液相温度LT
ガラス試料を所定温度に加熱された炉内に入れて2時間保持し、冷却後、ガラス内部を100倍の光学顕微鏡で観察し、結晶の有無から液相温度を決定した。測定結果を表1−3、表1−4−1および表1−4−2に示す。
【0385】
(実施例1−2)
実施例1−1と同様にして光学ガラスNo.1〜129が得られるようにガラス原料を加熱、溶融、清澄、均質化し、得られた溶融ガラスを鋳型に流し込んで急冷し、ガラスブロックに成形した。次にガラスブロックをアニールした後、切断、研削してプレス成形用ガラス素材を作製した。
【0386】
(実施例1−3)
実施例1−2において作製した各種光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材を加熱、軟化し、プレス成形型を用いて公知の方法によりプレス成形し、レンズブランク、プリズムブランクなどの光学素子ブランクを作製した。
【0387】
光学素子ブランクを精密アニールし、所要の屈折率になるよう屈折率を精密に調整した後、公知の研削、研磨法により凹レンズ、凸レンズおよびプリズムを作製した。
【0388】
得られたレンズと、アッベ数νdが大きい低分散ガラス製レンズとを組合せたところ、良好に色収差を補正でき、像面湾曲を低減できた。
【0389】
【表1-1-1】
【0390】
【表1-1-2】
【0391】
【表1-1-3】
【0392】
【表1-1-4】
【0393】
【表1-1-5】
【0394】
【表1-1-6】
【0395】
【表1-1-7】
【0396】
【表1-1-8】
【0397】
【表1-1-9】
【0398】
【表1-2-1】
【0399】
【表1-2-2】
【0400】
【表1-2-3】
【0401】
【表1-2-4】
【0402】
【表1-2-5】
【0403】
【表1-2-6】
【0404】
【表1-3】
【0405】
【表1-4-1】
【0406】
【表1-4-2】
【0407】
以下の実施例2−1、2−2は第2−1実施形態に対応する実施例であり、実施例2−3、2−4は第2−2実施形態に対応する実施例である。
【0408】
ここで、実施例2−1において、表2−1Aは質量%表示にて、表2−1Bはカチオン%表示にて、ガラスサンプルA〜Dのガラス組成を表示している。すなわち、表2−1Aと表2−1Bとで、ガラス組成の表示方法は異なるが、同じ番号のガラスは同じ組成を有する。したがって、表2−1Aおよび表2−1Bは、実質的に同じガラスを示している。
【0409】
同様に、実施例2−2において、表2−3A−1〜2−3A−8は質量%表示にて、表2−3B−1〜2−3B−8はカチオン%表示にて、ガラスサンプル1〜109のガラス組成を表示している。すなわち、表2−3A−1〜2−3A−8と表2−3B−1〜2−3B−8とで、ガラス組成の表示方法は異なるが、同じ番号のガラスは同じ組成を有する。したがって、表2−3A−1〜2−3A−8および表2−3B−1〜2−3B−8は、実質的に同じガラスを示している。
【0410】
なお、表2−1Bおよび表2−3B−1〜2−3B−8では、アニオン成分の全量をO2−とした場合のカチオン%表示にてガラス組成を表示している。すなわち、表2−1Bおよび表2−3B−1〜2−3B−8において、いずれもO2−の含有量は100アニオン%である。
【0411】
(実施例2−1)
[ガラスサンプルの作製]
得られるガラスの組成が、表2−1Aおよび表2−1Bに示す各組成となるように原材料を秤量、調合して、得られた調合原料(バッチ原料)を白金坩堝に投入し、1300〜1350℃で90分間、大気雰囲気下で加熱して熔融し、攪拌により均質化、清澄して熔融ガラスを得た。熔融ガラスを成形型に鋳込んで成形し、徐冷して、縦17mm、横12mm、厚み10mmに研削・研磨してガラスサンプルを得た。このとき、上面および下面(縦17mm、横12mmの面)を光学研磨した。
得られたガラスサンプルは、還元色を呈していた。
【0412】
[ガラスサンプルの評価]
得られたガラスサンプルについて、以下に示す方法にて、ガラス組成の確認、屈折率(nおよびn)、アッベ数(ν)、ガラス転移温度(Tg)、液相温度(LT)、βOHの値を測定し、還元色を十分に低減するのに要する熱処理温度での保持時間および熱処理後の透過率を測定した。
【0413】
[1]ガラス組成の確認
上記のようにして得られたガラスサンプルを適量採取し、これを酸およびアルカリ処理し、LiOの含有量はICP−MSにより測定し、LiO以外のガラス成分の含有量はICP−AESにより測定して、表2−1Aおよび表2−1Bに示す各酸化物組成と一致していることを確認した。
【0414】
[2]屈折率(nおよびn)、アッベ数(ν
ガラスサンプルを、大気雰囲気下で、ガラス転移温度Tg近傍で48時間保持した後、降温速度30℃/時間で徐冷し、その後放冷して着色を低減させた。得られた試料を加工してプリズムを作製し、日本光学硝子工業会規格の屈折率測定法に基づいて屈折率n、n、nを測定した。また、屈折率n、n、nの各測定値を用いて、アッベ数νを算出した。結果を表2−1Aに示す。
【0415】
[3]ガラス転移温度(Tg)
株式会社リガク製の熱機械分析装置を用いて、昇温速度を10℃/分にして測定した。結果を表2−1Aに示す。
【0416】
[4]液相温度
10cc(10ml)のガラスサンプルを白金坩堝中に投入し1250℃〜1350℃で20〜30分間熔融した後にガラス転移温度Tg以下まで冷却し、ガラスを白金坩堝ごと所定温度の熔解炉に入れ2時間保持した。保持温度は1000℃以上で10℃刻みとし、2時間保持後に結晶の析出しなかった最低温度を液相温度とした。結果を表2−1Aに示す。
【0417】
[5]βOH
ガラスサンプルを、両面が互いに平行かつ平坦に光学研磨された厚さ1mmの板状に加工した。光学研磨面に対して垂直方向に光を入射して、波長2500nmにおける外部透過率Cおよび波長2900nmにおける外部透過率Dを、分光光度計(UV−3100、島津製)を用いて測定し、下記式(1)により、βOHを算出した。
βOH=−[ln(D/C)]/t ・・・(1)
上記式(1)中、lnは自然対数であり、厚さtは上記2つの平面の間隔に相当する。結果を表2−1Aに示す。
【0418】
[6]熱処理温度での保持時間
還元色を呈している上記ガラスサンプルを熱処理した。すなわち、大気雰囲気下で、昇温速度100℃/時間で加熱して、ガラス転移温度Tgより5〜15℃低い熱処理温度で所定時間熱処理し、降温速度30℃/時間で上記熱処理温度より120℃低い温度まで徐冷した。ガラスサンプルの還元色が十分に低減するまで、熱処理および徐冷を繰り返した。還元色が低減して色味が均一になったときを還元色が十分に低減したと評価した。還元色が十分に低減するのに要した熱処理温度での保持時間の合計を表2−2に示す。
【0419】
[7]熱処理後の透過率
熱処理により還元色が低減して色味が均一になったガラスサンプルの外部透過率を測定した。光学研磨した面に対して垂直方向に光を入射して、波長656nmにおける外部透過率を、分光光度計(UV−3150、島津製)を用いて測定した。結果を表2−2に示す。
【0420】
【表2-1A】
【0421】
【表2-1B】
【0422】
【表2-2】
【0423】
(実施例2−2)
[ガラスサンプルの作製]
得られるガラスの組成が、表3に示す各組成となるようにし、熔融雰囲気に水蒸気を付加して熔融ガラスを得た以外は、実施例2−1と同様にしてガラスサンプルを作製した。
得られたガラスサンプルは、還元色を呈していた。
【0424】
[ガラスサンプルの評価]
得られたガラスサンプルについて、実施例2−1と同様方法にて、ガラス組成の確認、屈折率(nおよびn)、アッベ数(ν)、ガラス転移温度(Tg)、液相温度(LT)、βOHの値を測定し、還元色を十分に低減するのに要する熱処理温度での保持時間および熱処理後の透過率を測定した。結果を表2−3Aおよび2−3B、2−4に示す。
【0425】
【表2-3A-1】
【0426】
【表2-3A-2】
【0427】
【表2-3A-3】
【0428】
【表2-3A-4】
【0429】
【表2-3A-5】
【0430】
【表2-3A-6】
【0431】
【表2-3A-7】
【0432】
【表2-3A-8】
【0433】
【表2-3B-1】
【0434】
【表2-3B-2】
【0435】
【表2-3B-3】
【0436】
【表2-3B-4】
【0437】
【表2-3B-5】
【0438】
【表2-3B-6】
【0439】
【表2-3B-7】
【0440】
【表2-3B-8】
【0441】
【表2-4-1】
【0442】
【表2-4-2】
【0443】
【表2-4-3】
【0444】
【表2-4-4】
【0445】
【表2-4-5】
【0446】
【表2-4-6】
【0447】
【表2-4-7】
【0448】
【表2-4-8】
【0449】
(実施例2−3)
[還元ガラスサンプルの作製]
実施例2−1で得られたガラスサンプル(サンプルA〜D)を、1300℃で90分間、大気雰囲気下で加熱してリメルトし、攪拌により均質化、清澄して熔融ガラスを得た。熔融ガラスを成形型に鋳込んで成形し、大気雰囲気下で、サンプルごとにガラス転移温度Tgより0〜20℃低い保持温度で15分間保ち、降温速度30℃/hで上記保持温度より120℃低い温度まで徐冷して、縦17mm、横12mm、厚み10mmに研削・研磨して還元ガラスサンプルを得た。このとき、上面および下面(縦17mm、横12mmの面)を光学研磨した。
得られた還元ガラスサンプルは還元色を呈していた。
【0450】
[還元ガラスサンプルの評価]
得られた還元ガラスサンプルについて、大気雰囲気下で、昇温速度100℃/時間で加熱して、ガラス転移温度Tgより5〜15℃低い熱処理温度で所定時間熱処理し、降温速度30℃/時間で上記熱処理温度より120℃低い温度まで徐冷処理した。ガラス端部の外部透過率Tとガラス中心部の外部透過率Tとの差(T−T)が5%以下となるまで、熱処理および徐冷処理を繰り返した。外部透過率TおよびTは、光学研磨した面に対して垂直方向に光を入射して、波長656nmにおける外部透過率を、分光光度計(UV−3150、島津製)を用いて測定した。
【0451】
ガラス端部の外部透過率Tとガラス中心部の外部透過率Tとの差(T−T)が5%以下となるまでに要した熱処理温度での保持時間の合計および外部透過率TおよびTを表2−5に示す。
【0452】
【表2-5】
【0453】
(実施例2−4)
[還元ガラスサンプルの作製]
実施例2−2で得られたガラスサンプル(サンプルNo.1〜20、22〜32、42、44〜52、54、57〜80、88〜95)を実施例2−3と同様の方法でリメルトし、還元ガラスサンプルを得た。
得られた還元ガラスサンプルは還元色を呈していた。
【0454】
[還元ガラスサンプルの評価]
得られた還元ガラスサンプルについて、実施例2−3と同様方法にて、ガラス端部の外部透過率Tとガラス中心部の外部透過率Tとの差(T−T)が5%以下となるまでに要した熱処理温度での保持時間の合計および外部透過率TおよびTを測定した。結果を表2−6に示す。
【0455】
【表2-6-1】
【0456】
【表2-6-2】
【0457】
【表2-6-3】
【0458】
【表2-6-4】
【0459】
【表2-6-5】
【0460】
【表2-6-6】