特許第6980739号(P6980739)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980739
(24)【登録日】2021年11月19日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】インプラント型リード
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/05 20060101AFI20211202BHJP
【FI】
   A61N1/05
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-202509(P2019-202509)
(22)【出願日】2019年11月7日
(65)【公開番号】特開2020-108735(P2020-108735A)
(43)【公開日】2020年7月16日
【審査請求日】2020年3月21日
(31)【優先権主張番号】1871664
(32)【優先日】2018年11月21日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510166157
【氏名又は名称】ソーリン シーアールエム エス ア エス
【氏名又は名称原語表記】SORIN CRM S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】エティエンヌ ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス シャン
(72)【発明者】
【氏名】マクシム ロー
【審査官】 家辺 信太郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0287862(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0165217(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0222634(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの導電性ワイヤ(11a、11b、11c)および1つの電気コネクタ(3)を含むインプラント型リードであって、電気コネクタ(3)は心臓刺激装置、除細動装置および/または神経調節装置であるインプラント型医療装置に接続されるように構成され、ここで、導電性ワイヤ(11a、11b、11c)をコネクタ(3)に電気的に接続するために
第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)は、導電性ワイヤ(11a、11b、11c)に溶接され、第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)を第2のハイポチューブ(15a、15b、15c)に電気的に接続するために、第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)は、電気コネクタ(3)の第2のハイポチューブ(15a、15b、15c)に溶接されるインプラント型リード。
【請求項2】
第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)は第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)の一部(L2)が第2のハイポチューブ(15a、15b、15c)から突出するように、電気コネクタ(3)の第2のハイポチューブ(15a、15b、15c)内に部分的に収容されている請求項1に記載のインプラント型リード。
【請求項3】
少なくとも1つの導電性ワイヤ(11a、11b、11c)は、少なくとも1つの導電性ワイヤ(11a、11b、11c)が貫通する第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)の第1の端部(27)および/または第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)の第2の端部(35)において第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)とされ、第2の端部(35)は第1の端部(27)の反対側にある請求項1または2に記載のインプラント型リード。
【請求項4】
各導電性ワイヤ(11a、11b、11c)がそれぞれの第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)に電気的に接続されるように、複数の導電性ワイヤ(11a、11b、11c)を備える請求項1〜のいずれか1項に記載のインプラント型リード。
【請求項5】
少なくとも2つの導電性ワイヤ(11a、11b、11c)が同じ第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)に電気的に接続される複数の導電性ワイヤ(11a、11b、11c)を含む請求項1〜のいずれか1項に記載のインプラント型リード。
【請求項6】
電気的接続を確立するために行われる1つ以上の溶接がレーザ溶接である請求項1〜のいずれか1項に記載のインプラント型リード。
【請求項7】
少なくとも1つの導電性ワイヤが150ミクロンすなわち0.45フレンチサイズ未満の直径を有する単一ストランドまたは多重ストランド導電性ワイヤ(11a、11b、11c)である請求項1〜のいずれか1項に記載のインプラント型リード。
【請求項8】
インプラント型リード(1)の少なくとも1つの導電性ワイヤ(11a、11b、11c)を電気コネクタ(3)に電気的に接続するための方法であって、電気コネクタ(3)は、心臓刺激装置、除細動装置、および/または神経調節装置であるインプラント型医療装置に接続されるように構成され、
a)第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)内のリード(1)の少なくとも1つの導電性ワイヤ(11a、11b、11c)を収容し、
b)少なくとも1つの導電性ワイヤ(11a、11b、11c)を第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)に電気的に接続し、
c)電気コネクタ(3)の対応する第2のハイポチューブ(15a、15b、15c)内に第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)を少なくとも部分的に収容し、
d)第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)を第2のハイポチューブ(15a、15b、15c)に電気的に接続する工程を含む方法。
【請求項9】
インプラント型リード(1)の少なくとも1つの導電性ワイヤ(11a、11b、11c)を電気コネクタ(3)に電気的に接続する請求項に記載の方法において、工程b)および/またはd)がレーザ溶接を実行することを含む方法。
【請求項10】
電気コネクタ(3)にインプラント型リード(1)の少なくとも1つの導電性ワイヤ(11a、11b、11c)を電気的に接続する請求項に記載の方法において、工程b)における溶接が少なくとも1つの導電性ワイヤ(11a、11b、11c)が挿入される第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)の第1の端部(27)においておよび/または第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)の第2の端部(35)において行われ、第2の端部(35)が第1の端部(27)に対向する方法。
【請求項11】
電気コネクタ(3)にインプラント型リード(1)の少なくとも1つの導電性ワイヤ(11a、11b、11c)を電気的に接続する請求項10のいずれか1項に記載の方法において、第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)の一部(L2)が第2のハイポチューブ(15a、15b、15c)から突出するように、第1のハイポチューブ(13a、13b、13c)を第2のハイポチューブ(15a、15b、15c)に挿入することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラント型リードならびにインプラント型リードの少なくとも1つの導体をコネクタ、特に心臓刺激、除細動および/または神経調節装置に接続されることを意図されたコネクタに電気的に接続するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示されるインプラント型リード100のようなインプラント型医療装置のためのこのようなリードは通常、1つもしくは複数の心臓パラメータを計測しおよび/または心臓組織を刺激するように設計されている遠位端106に向かう4つの電極102,103,104,105を有する細長いリード本体と、インプラント型医療装置112のハウジング111の接続ブロック110と電気的接続を可能にするための導電性ワイヤ107a-dと近位端109にあるコネクタ108とを備える。リード100の導電性ワイヤ107a-dとコネクタ108の近位端113にあるコネクタ108間の電気的接続は、コネクタ109の4つの電接点(図1では見えない)に電気的に接続されている1つもしくは複数のハイポチューブ114を介して行われる。ハイポチューブ114は一般にMP35Nやプラチナまたはステンレス鋼などの医療用の合金上で作成されたチューブであり、例えば医療装置の製造に一般に使用されている。コネクタ108への導電性ワイヤ107a-dの電気的接続は通常、コネクタ108のハイポチューブ114への導電性ワイヤ107a-dの溶接または圧接によって行われる。
【0003】
しかしながら医療用導体の溶接または圧接は、特に加えられた機械的ストレスまたは導電性ワイヤ上のこれらの接続手段によって解放されるエネルギーのために、リードの導電性ワイヤを破損する可能性がある接続手段である。ワイヤを損傷する危険性はリードの導電性ワイヤが直径150マイクロメートル未満、すなわち0.45フレンチを有する場合に特に増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の目的は、電気ワイヤとリードのコネクタ間の電気的接続の信頼性を高めるために、リードの導電性ワイヤとコネクタとの電気的接続を容易かつ安全にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は少なくとも1つの導電性ワイヤと心臓刺激装置、除細動装置および/または神経調節装置などのインプラント型医療装置に接続されるように構成された1つの電気コネクタとを備えるインプラント型リードによって達成され、ここで導電性ワイヤとコネクタ間の電気的接続は、第1のハイポチューブを導電性ワイヤに溶接し、電気コネクタの第2のハイポチューブに溶接する方法で行われる。ワイヤ導体と電気コネクタの第2のハイポチューブ間の中間体として第1のハイポチューブを使用することにより、さらに細くなる導電性ワイヤと電気コネクタ間の電気的接続の実現を簡素化および促進する。
【0006】
本発明によるインプラント型リードは以下の実施形態によりさらに改善することができる。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、第1のハイポチューブの一部が第2のハイポチューブから突出するように、第1のハイポチューブを電気コネクタの第2のハイポチューブ内に部分的に収容することができる。第1のハイポチューブの寸法はコネクタの第2のハイポチューブの内径と導電性ワイヤの直径との間のサイズの差に対応することを可能にする。その結果第1のハイポチューブが第2のハイポチューブから突出したときに、2つのハイポチューブ間で電気的接触が容易にできる。さらに導電性ワイヤの直径がコネクタの第2のハイポチューブの内径よりも著しく小さく、特に3倍小さい場合であっても第1のハイポチューブは導電性ワイヤのコネクタへの電気的接続の実現を容易にする。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、第1のハイポチューブは第2のハイポチューブに電気的に接続するように、第1のハイポチューブを電気コネクタの第2のハイポチューブに溶接してもよい。したがって第1のハイポチューブと第2のハイポチューブとの間の電気的接続は、溶接によって容易に達成することができる。加えて第1のハイポチューブの一部が第2のハイポチューブから突出する場合、第1のハイポチューブと第2のハイポチューブとの間の溶接の実現は、第2のハイポチューブの外側で実行され得るので容易になる。
【0009】
本発明の別の実施形態によれば、少なくとも1つの導電性ワイヤと第1のハイポチューブとの間の溶接は、少なくとも1つの導電性ワイヤが挿入される第1のハイポチューブの第1の端部において、および/または第1のハイポチューブの第2の端部において行うことができ、第2の端部は第1の端部の反対側にある。結果、第1のハイポチューブとリード間の電気的接続の性質は導電性ワイヤに溶接された第1のハイポチューブのどちらの端部であっても同じであるため、オペレータは第1のハイポチューブのどちらの端部に溶接を実行するかの選択権を有する。さらに、第1のハイポチューブの両端部に溶接が実行された場合、特に電気的接続においての故障の危険性は溶接の冗長性によって低減される。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、リードは各導電性ワイヤがそれぞれの第1のハイポチューブに電気的に接続されるように、複数の導電性ワイヤを備えてもよい。1つの変形例によれば、リードは少なくとも2つの導電性ワイヤが同じ第1のハイポチューブに電気的に接続されるように、いくつかの導電性ワイヤを含むことができる。その結果第1のハイポチューブは少なくとも2つの導電性ワイヤに関して、導電性ワイヤに溶接されるように同様に適合され、これはインプラント型リードの為の本発明による第1のハイポチューブの適用の可能性を広げる。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、電気的接続を確立するために実行される溶接または溶接部はレーザ溶接であってもよい。レーザ溶接は防水溶接を達成することを可能にし、また医療装置のインプラント型リードコネクタの規模に特に適した正確な溶接を可能にする。さらにレーザ溶接は第1のハイポチューブの1つまたは複数の端部で実行され、リード上で直接実行されるのではなく、レーザビームによって放出されるエネルギーのために導電性ワイヤを損傷または破壊するリスクが低減される。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、少なくとも1つの導電性ワイヤは導電性ワイヤが150ミクロン未満の直径を有する単一ストランドまたは多重ストランド導電性ワイヤであってもよい。第1のハイポチューブはその直径がコネクタのハイポチューブの直径よりも著しく小さく、特に導電性ワイヤの場合には3〜6倍小さく、コネクタハイポチューブの標準内径が一般に300〜500マイクロメートルまたは0.9〜1.5フレンチであるワイヤ導体を接続することを可能にする。したがって150マイクロメートル未満の直径への導電性ワイヤの電気的接続の間、第1のハイポチューブはコネクタのハイポチューブの内径と導電性ワイヤの直径との間のサイズの差に適応することを可能にする。
【0013】
本発明の目的はまた、インプラント型リードの導電性ワイヤの少なくとも1つを電気コネクタ、心臓刺激装置、除細動装置および/または神経調節装置などのインプラント型医療装置に接続されるように構成された電気コネクタに電気的に接続する方法によって達成され、以下の工程を含む。
a) リードの少なくとも1つの導電性ワイヤを第1のハイポチューブ内に収容する。
b) 少なくとも1つの導電性ワイヤを第1のハイポチューブに電気的に接続する。
c) 電気コネクタの第2の対応するハイポチューブ内に第1のハイポチューブを少なくとも部分的に収容する。
d) 第1のハイポチューブと第2のハイポチューブを電気的に接続する。
その結果、第1のハイポチューブは溶接中にリードの導電性ワイヤを直接損傷する危険性を低減して電気接続を行うことを可能にする。実際リードの各ワイヤは電気的接続中に保護されている第1のハイポチューブ内に予め収容されている。さらに導電性ワイヤと第1のハイポチューブとの間の電気的接続のこの工程は、導電性ワイヤがコネクタの第2のハイポチューブに直接導入される場合の電気的接続よりも容易に達成される。したがって第1のハイポチューブはまたコネクタへの導電性ワイヤの組み立ておよび電気的接続を容易にする。
【0014】
本発明はインプラント型リードの少なくとも1つの導電性ワイヤを電気コネクタに電気的に接続する方法に関し、以下の実施形態によってさらに改善することができる。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、本方法の工程b)および/またはd)はレーザ溶接を実行することを含んでもよい。したがって溶接のレーザビームはワイヤの直径に応じてワイヤを損傷することやワイヤを破壊することがあるが、リードが第1のハイポチューブによって保護されているのでワイヤ自体に直接到達しない。さらにレーザ溶接は第1のハイポチューブの1つまたは2つの端部に滑らかで丸みのある表面を形成することを可能にし、これは電気的接続の品質をさらに向上させる。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、工程b)における溶接は少なくとも1つの導電性ワイヤが挿入される第1のハイポチューブの第1の端部において、および/または第1のハイポチューブの第2の端部において行うことができ、第2の端部は第1の端部の反対側にある。結果、第1のハイポチューブとワイヤ間の電気的接続の性質はワイヤに溶接された第1のハイポチューブのどちらの端部であっても同じであるため、オペレータは第1のハイポチューブのどちらの端部に溶接を実行するかの選択権を有する。さらに、第1のハイポチューブの両端部に溶接が実行された場合、特に電気的接続においての故障の危険性は溶接の冗長性によって低減される。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、方法の工程c)は第1のハイポチューブの一部が第2のハイポチューブから突出するように、第1のハイポチューブを第2のハイポチューブに挿入する工程を含んでもよい。したがって第1のハイポチューブと第2のハイポチューブとの間の溶接の実現はそれが第2のハイポチューブの外側で実行されることができ、オペレータに溶接を実行するためのより多くの空間および可視性を提供するので容易になる。
【0018】
実施形態は、本発明のより有利な代替の実施形態を形成するために組み合わせることができる。
【0019】
以下、好ましい実施形態を特に以下の例示的な図面に基づいて本発明およびその利点をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来技術によるインプラント型リードの概略図である。
図2a】本発明によるインプラント型リードの部分図である。
図2b図2aに示されるインプラント型リードeの断面図である。
図3a】本発明の一実施形態による、インプラント型リードの導電性ワイヤを電気コネクタに電気的に接続するための方法の工程を表す。
図3b】本発明の一実施形態による、インプラント型リードの導電性ワイヤを電気コネクタに電気的に接続するための方法の工程を表す。
図3c】本発明の一実施形態による、インプラント型リードの導電性ワイヤを電気コネクタに電気的に接続するための方法の工程を表す。
図3d】本発明の一実施形態による、インプラント型リードの導電性ワイヤを電気コネクタに電気的に接続するための方法の工程を表す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明はここで例示的な方法における有利な実施形態を使用して、図面を参照してより詳細に説明される。記載された実施形態は単に可能な構成であり、上述された個々の特徴は互いに独立して提供されてもよく、または本発明の実施の際に完全に省略されてもよいことに留意されたい。
【0022】
図2aはインプラント型リード1の近位端における部分図を概略的に示す。図2aはインプラント型リード1のコネクタ3を示す。コネクタ3は円筒形状の軸Aを有し、その遠位端5に心臓ペーシング、除細動、および/または神経調節装置などのインプラント型医療装置(図示せず)の端子に接続されるように構成された遠位ピン7を備える。
【0023】
図2aに示すコネクタ3は3つの接点9a、9b、9cが設けられている多極タイプである。変形例ではコネクタ3が3つより多いまたは少ない接点を含むことができる。別の変形例ではコネクタ3が1つの接点のみを含んでもよい。
【0024】
コネクタ3は例えば316Lステンレス鋼またはMP35Nの金属合金のような生体適合性導電性材料から作ることができる。コネクタ3の材料は電気刺激装置(図示せず)からの電気信号を適切に伝達するために生体適合性があり、導電性があるように選択することができる。
【0025】
インプラント型リード1はコネクタ3の接点9a、9b、9cとリード1の1つまたは複数の電極(図示せず)を電気的に接続することができる導電性ワイヤ11a、11b、11cも含む。図2aに示されている例示的な実施形態では、導電性ワイヤ11a、11b、11cは各多重ストランド導電性ワイヤ11a、11a、11cの直径が150マイクロメートル未満である各多重ストランド導電性ワイヤである。多重ストランド導電性ワイヤ11a、11b、11cをそれぞれ構成する個々の導電性ワイヤは互いに電気的に絶縁されていない。しかしながら多重ストランド導電性ワイヤ11a、11b、11cは互いに電気的に絶縁されている。
【0026】
変形例では導電性ワイヤ11a、11b、11cは各導電性ワイヤ11a、11b、11c、すなわち各単一ワイヤ導電性ワイヤの直径が150マイクロメートル未満であるような単一の導電性ワイヤである。さらに単一の導電性ワイヤ11a、11b、11cは互いに電気的に絶縁されている。
【0027】
本発明によれば、導電性ワイヤ11a、11b、11cはそれぞれ第1のハイポチューブ13a、13b、13cに収容され溶接され、各第1のハイポチューブ13a、13b、13c自体はコネクタ3の近位端17でコネクタ3の第2のハイポチューブ15a、15b、15cに収容され溶接される。
【0028】
コネクタ3の軸Aは第2のハイポチューブ15a、15b、15cおよび第1のハイポチューブ13a、13b、13cのそれぞれの軸B、Cに平行である。各第1のハイポチューブ13a、13b、13cの軸Cは、それが挿入される第2のハイポチューブ15a、15b、15cの軸Bと一致する。
【0029】
第2のハイポチューブ15a、15b、15cはコネクタ3内に収容され、接点9a、9b、9cと電気的に接続される。各第2ハイポチューブ15a、15b、15cの長さ部分L1はコネクタ3から突出している。
【0030】
第1のハイポチューブ13a、13b、13cは各第1のハイポチューブ13a、13b、13cの長さ部分L2の一部が第2のハイポチューブ15a、15b、15cから突出するように、第2の対応するハイポチューブ15a、15b、15cに収容される。
【0031】
あるいはいくつかの導電性ワイヤは同じ第1のハイポチューブ内に収容され得る。したがって図2aに示されるインプラント型リード1中の第1のハイポチューブ、第2のハイポチューブ、および導電性ワイヤの数はそれぞれ3個であるが、例示であり本発明の数値的限定を構成するものではない。
【0032】
図2aはリード1の部分断面図を示す図2bと組み合わせて以下にさらに説明される。図2b図2aの第1および第2のハイポチューブ13a、15aの一方のみを示しているが、ハイポチューブ13a、15aの説明はインプラント型リード1の他のハイポチューブ13b、13c、15b、15cにも適用される。図2aの説明のために既に使用された同じ参照番号を有する要素は詳細には説明されず上記の説明が参照される。
【0033】
図2bはコネクタ3内に部分的に収容された第2のハイポチューブ15aを示す。第2のハイポチューブ15aはコネクタ3の接点9a、9b、9cの1つに電気的に接続される(図示せず)。第2のハイポチューブ15aは内径d1の中空部分19とステンレス鋼製の壁21とを含む。第2のハイポチューブ15aは外径D1を有する。
【0034】
第1のハイポチューブ13aはまた内径がd2である中空部分23とステンレス鋼製の壁25とを含む。第2のハイポチューブ15aは外径D2を有する。
【0035】
第の1ハイポチューブ13aの外径D2は第2のハイポチューブ15aの内径d1と同じかそれ以下であるため、その結果第2のハイポチューブ15aの中空部分19に第の1ハイポチューブ13aを挿入することができる。図2bに示すように第1のハイポチューブ13aの外径D2は寸法決めされているため、その結果第1のハイポチューブ13aの壁25は第2のハイポチューブ15aの壁21と接触し、電気的接触を改善し、第1のハイポチューブ13aを第2のハイポチューブ15a内に維持される。
【0036】
導電性ワイヤ11aの直径D3は第1のハイポチューブ13aの内径d2よりも小さい。特に本発明による導電性ワイヤ11aは150マイクロメートル未満の直径D3を有する。第1のハイポチューブ13aの内径d2は150マイクロメートルと350マイクロメートルとの間である。したがって第1のハイポチューブ13aの寸法d2、D2はコネクタ3の第2のハイポチューブ15aの内径d1と導電性ワイヤ11aの直径D3との間のサイズの差に対応することを可能にする。従って第1のハイポチューブ13aは電気的な接続を可能にすることに加えて、導電性ワイヤ11aとコネクタ3の第2のハイポチューブ15aとの間の大きさの差異に対応するための適合の手段でもある。
【0037】
図2bに示す実施形態では、導電性ワイヤ11aが第1のハイポチューブ13aの中空部分23に挿入され、第1のハイポチューブ13aの一端部27に溶接される。リード11aの第1ハイポチューブ13aへの溶接は図3bを参照してさらに説明される。
【0038】
図2bに示す実施形態では、第1のハイポチューブ13aが第2のハイポチューブ15a内に部分的に収容されるため、その結果第1のハイポチューブ13aの端部27と第2のハイポチューブ15aの閉鎖端部29との間に距離L3ができる。
【0039】
別の実施形態によれば、第1のハイポチューブ13aは第2のハイポチューブ15a内の最奥部まで挿入することができるため、その結果第1のハイポチューブ13aの端部27と第2のハイポチューブ15aの閉鎖端部29との間は接触する。代替的に図2bには示されていないが、第2のハイポチューブ15aの端部29は部分的に閉鎖された端部または開放された端部であってもよい。
【0040】
第1のハイポチューブ13aは第1のハイポチューブ13aの壁25と第2のハイポチューブ15aの開放端部33との間に位置する接合領域31において、コネクタ3の外側の第2のハイポチューブ15aに溶接されている。したがって第1のハイポチューブ13aと第2のハイポチューブ15aとの間の溶接を達成することは、それが第2のハイポチューブ15aおよびコネクタ3の外側で実行され、溶接を実行するためのより多くの空間および可視性をオペレータに提供することができるので容易になる。さらに第1のハイポチューブ13aと対応する第2のハイポチューブ15aとの間の溶接領域31は、他の第1のハイポチューブ13b、13cおよびそれらのそれぞれの第2のハイポチューブ15b、15cの溶接領域とは異なる(図2a図2bには示されていない)。したがってオペレータは、例えば他の第1のハイポチューブ13b, 13cの電気的接続を再作業することなく第1のハイポチューブ13aで電気的接続を実行することができる。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、導電性ワイヤ11aと第1のハイポチューブ13aとの間の溶接ならびに第1のハイポチューブ13aと第2のハイポチューブ15aとの間の接合領域31における溶接はレーザ溶接によって行われる。レーザ溶接は特に密封した溶接を達成することを可能にし、また医療装置のインプラント型リードコネクタの規模に特に適した正確な溶接を可能にする。
【0042】
図3a図3dは別の実施形態によるインプラント型リード1の導電性ワイヤ11aをコネクタ3に電気的に接続する方法の工程を概略的に示す。
【0043】
図2aおよび図2bの説明に既に使用された同じ参照番号を有する要素は、再び詳細に説明されず上記の説明が参照される。
【0044】
図3aはリード11aが第1のハイポチューブ13aの開放端部35を通して第1のハイポチューブ13aの中空部分23に挿入される第1の工程を示す。一変形例では複数の導電性ワイヤを第1のハイポチューブ13a内に導入することができる。
【0045】
図3aに示される実施形態によれば、導電性ワイヤ11aは150マイクロメートル未満の直径D3を有し、第1のハイポチューブ13aの中空部分23は150マイクロメートルと350マイクロメートルとの間の内径d2を有する。
【0046】
図3bは導電性ワイヤ11aが第1のハイポチューブ13aに電気的に接続するために溶接される工程における、第1のハイポチューブ13aの軸Cに沿った長手方向断面図を示す。
【0047】
図3bに示す実施形態によれば、導電性ワイヤ11aは第1のハイポチューブ13aの開放端部35を通って端部35と反対側の端部27に導入され、第1のハイポチューブ13aの端部27で溶接されている。
【0048】
他の実施形態によれば、導電性ワイヤ11aは導電性ワイヤ11aとハイポチューブ13aとの間の接続が許容される限り、導体11aが導入される第1のハイポチューブ13aの端部35において、または第1のハイポチューブ13aの両端部27、35において溶接されてもよい。
【0049】
導電性ワイヤ11aと第1のハイポチューブ13aとの間の溶接はレーザ溶接によって行われる。このようにして滑らかで丸みを帯びた表面37が第1ハイポチューブ13aの端部27に形成され、導電性ワイヤ11aと第1ハイポチューブ13aとの間の電気的接触が得られる。
【0050】
レーザビームはリード11aに直接向けられ直射されてはいないが、リード11aが収容されている第1のハイポチューブ13aの一端部27、35に直射され、特にその直径が150マイクロメートル未満である場合にレーザビームによって放出されるエネルギーのために導電性ワイヤ11aが損傷または破壊する危険性が低減される。
【0051】
図3cは導電性ワイヤ11aが溶接される第1のハイポチューブ13aの挿入工程を示す。
【0052】
第1のハイポチューブ13aの端部27は第2のハイポチューブ19の中空部分19に挿入され、その結果図2aおよび2bに示されるように第1のハイポチューブ13aの長さ部分L2の一部が第2のハイポチューブ15aの外側に残る。
【0053】
インプラント型リード1の導電性ワイヤ11aをコネクタ3に電気的に接続するための方法の次の工程が図3dに示されている。
【0054】
この工程はコネクタ3の外側に位置する接合部31において、第1のハイポチューブ13aを第2のハイポチューブ15aに溶接することからなる。この工程ではコネクタ3の第2のハイポチューブ15aを第1のハイポチューブ13aに電気的に接続することができ、それ自体が図3bに示された工程中に導電性ワイヤ11aに電気的に接続される。従って第1のハイポチューブ13aは導電性ワイヤ11aとコネクタ3の第2のハイポチューブ15aとの間の電気接続のための中間体として働く。第1のハイポチューブ13aの使用は導電性ワイヤ11aとコネクタ3との間の中間体を作ることを可能にし、350〜500マイクロメートルの標準寸法を有するハイポチューブを含むコネクタと150マイクロメートル未満の直径の導電性ワイヤとの間の電気的接続を可能にする。
【0055】
図3a図3dを参照して導電性ワイヤ11aをリード1のコネクタ3に電気的に接続する工程の説明は、導電性ワイヤ11bおよび11cのリードのコネクタ3への接続に一体的に適用される。
【0056】
当業者は本発明が電気コネクタに少なくとも1つのハイポチューブが設けられている任意のタイプのインプラント型リードに本質的に適用され得ることを理解するであろう。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図3d