特許第6980752号(P6980752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6980752高固形分溶剤型接着剤組成物およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980752
(24)【登録日】2021年11月19日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】高固形分溶剤型接着剤組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/08 20060101AFI20211202BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20211202BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   C09J175/08
   C09J11/06
   C09J5/00
【請求項の数】19
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-500620(P2019-500620)
(86)(22)【出願日】2017年5月22日
(65)【公表番号】特表2019-522092(P2019-522092A)
(43)【公表日】2019年8月8日
(86)【国際出願番号】US2017033723
(87)【国際公開番号】WO2018013221
(87)【国際公開日】20180118
【審査請求日】2020年5月22日
(31)【優先権主張番号】62/360,675
(32)【優先日】2016年7月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ルイ・シエ
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・ワイ・ゲルファー
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・バラス
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−508818(JP,A)
【文献】 特開2015−151497(JP,A)
【文献】 特表2014−502644(JP,A)
【文献】 特開2015−067663(JP,A)
【文献】 特開2006−199882(JP,A)
【文献】 特表2018−505232(JP,A)
【文献】 特表2017−527648(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0072992(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0059876(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2成分接着剤組成物であって、前記接着組成物が、
イソシアネート成分であって、
ポリイソシアネートと、
ポリエステルポリオールを含む1,000より大きい平均分子量を有するイソシアネート反応性成分との反応生成物である、イソシアネートプレポリマーを含む、イソシアネート成分と、
1,500未満の平均分子量を有するポリエーテルポリオールを含むポリオール成分と、
接着促進剤と、を含み、
前記接着剤組成物の平均官能価は2〜2.5である、2成分接着剤組成物。
【請求項2】
前記ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多塩基酸との反応生成物である、請求項に記載の組成物。
【請求項3】
溶剤を含まない前記イソシアネート成分のNCO含有量が、3〜9%である、請求項1または2のいずれかに記載の組成物。
【請求項4】
溶剤を含まない前記イソシアネート成分のNCO含有量が、4〜6%である、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記イソシアネート反応性化合物は、1,500〜4,500の平均分子量を有する、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリエーテルポリオールは、250〜1,000の平均分子量を有する、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記イソシアネート反応性成分は、前記イソシアネート反応性化合物の乾燥重量に基づいて、前記イソシアネート反応性化合物の少なくとも50重量%を構成するポリエステルポリオールを含む、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリエーテルポリオールは、前記ポリオール成分の乾燥重量に基づいて、前記ポリオール成分の少なくとも60重量%を占める、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
触媒、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、レオロジー調整剤、着色顔料、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される添加剤をさらに含む、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
酢酸エチル、メチルエーテルケトン、トルエン、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される溶剤をさらに含む、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記イソシアネート成分が、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択されるポリイソシアネートをさらに含む、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリイソシアネートが、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3、3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート(TODI)、高分子量イソシアネート、およびこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリイソシアネートが、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、ノナントリイソシアネート、例えば4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(TIN)、デカンジ−およびトリイソシアネート、ウンデカンジ−およびトリイソシアネートならびにドデカンジ−およびトリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)、2−メチルペンタンジイソシアネート(MPDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、およびこれらのうちの2つ以上の、ダイマー、トリマー、および組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリイソシアネートが、4−メチル−シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、2−ブチル−2−エチルペンタメチレンジイソシアネート、3(4)−イソシアナトメチル−1−メチルシクロヘキシルイソシアネート、2−イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、2,4’−メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、1,4−ジイソシアナト−4−メチル−ペンタン、およびこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記接着促進剤が、リン酸、ポリリン酸、リン酸エステル、シラン、およびこれらのうちの2つ以上の混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記多価アルコールが、グリコール、ポリエステル、ポリエーテル、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される、請求項に記載の組成物。
【請求項17】
前記多塩基酸が、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される、請求項に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の接着剤組成物を含むラミネート構造体を製造する方法であって、
前記イソシアネート成分と前記ポリオール成分とを1〜2.5の化学量論比(NCO/OH)で混合して硬化性接着剤混合物を形成することと、
前記硬化性接着剤混合物を溶剤に溶解して塗布可能な接着剤混合物を形成することと、
前記塗布可能な接着剤混合物を第1の基材の表面に塗布することと、
第2の基材の表面を前記第1の基材の前記表面と圧力下で接触させてラミネート構造体を形成することと、
前記ラミネート構造体を硬化させることと、を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法によって形成されるラミネート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への参照
本出願は、2016年7月11日に出願された米国仮特許出願第62/360,675号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、接着剤組成物に関する。より具体的には、本開示は、ラミネートフィルムと共に使用するための溶剤型2成分接着剤組成物であって、50%以上の固形分含有量で流動することができ、低粘度および長い可使時間および高められた温度および化学薬品耐性を含む改良加工特性を示す該組成物、およびその製造方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
接着剤組成物は、多種多様な目的に有用である。例えば、接着剤組成物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、金属、紙、またはセロファンなどの基材を一緒に結合して複合フィルム、すなわち、ラミネートを形成するために使用される。様々なラミネート最終使用用途における接着剤の使用は一般に知られている。例えば、接着剤は、パッケージング産業において、特に食品パッケージングのために使用されるフィルム/フィルムおよびフィルム/ホイルラミネートの製造に使用され得る。ラミネート用途で使用される接着剤、すなわち「ラミネート接着剤」は、一般に、溶剤系、水系、および無溶剤の3つのカテゴリーに分類することができる。接着剤の性能は、カテゴリーによって、また接着剤が塗布される用途によって変わる。
【0004】
溶剤型ラミネート接着剤のカテゴリーには多くの種類がある。1つの特定の種類としては、2成分ポリウレタン系ラミネート接着剤が挙げられる。典型的には、2成分ポリウレタン系ラミネート接着剤は、イソシアネートおよび/またはポリウレタンプレポリマーを含む第1の成分と1種以上のポリオールを含む第2の成分とを含む。ポリウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとの反応によって得られ得る。第2の成分は、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールを含む。各成分は、任意選択的に、1つ以上の添加剤を含むことができる。そのような系に使用される一般的な溶剤には、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエンなどが含まれ、これらはすべてポリウレタンのイソシアネート基の早すぎる反応を防ぐために水分を含まないものでなければならない。
【0005】
2つの成分を所定の比率で混合し、それによって接着剤組成物を形成する。溶剤中に担持された接着剤組成物は次にフィルム/ホイル基材上に塗布される。塗布した接着剤組成物から溶剤を蒸発させる。次いで、別のフィルム/ホイル基材をもう一方の基材と接触させて、硬化性ラミネート構造体を形成する。ラミネート構造体を硬化させて2つの基材を互いに接着する。
【0006】
良好なグリーンボンド(すなわち早期接着強度)および改良された温度および薬品耐性を達成するために、高分子量ポリエステル成分、特に芳香族部分を含有するものが、溶剤型接着剤の性能を高めるためにしばしば用いられる。これらの高分子量ポリエステル成分は室温で固体または粘稠液体であり、したがってより良好な加工性のためには酢酸エチルまたはメチルエチルケトンのような溶剤中に溶解しなければならない。典型的には、溶剤型接着剤は約70〜80%の固形分を含有するが、最新式のラミネーターを用いて塗布する場合は30〜40%の固形分まで希釈する必要がある。
【0007】
許容可能な加工特性を達成するために必要とされる溶剤の量(60〜70重量%を占める)は、いくつかの局面において不利である。例えば、溶剤はラミネーション工程中に除去されなければならない。溶剤を効果的に除去できる速度はラミネーターのライン速度を決定づける。より高い溶剤含有量およびより低い固形分含有量はより低いライン速度を意味し、これは生産性の観点から望ましくない。さらに、ラミネートの製造中に蒸発した溶剤は集められ、再利用されおよび/または燃焼されなければならない。リサイクルは追加費用を招き、燃焼は環境に悪影響を及ぼす可能性がある。なおさらに、溶剤を燃焼させることはコストの観点から効率的ではない。
【0008】
したがって、良好な加工特性(例えば、低粘度および延長された可使時間)および性能特性(例えば、グリーンボンドならびに温度および耐薬品性)を有しながら、より高い固形分(すなわち50重量%以上)で流動することができる溶剤型接着剤が望ましい。
【0009】
より高い固形分含有量での適用が望ましいが、従来の溶剤型接着剤では、より高い流動性固形分含有量での粘度の増加および可使時間の短縮のために、伝統的にその実施は制限されてきた。他方、より高い固形分(45%を超える)で流動することができる市販の溶剤型製品は、グリーンボンド、耐熱性および耐薬品性において不十分な性能を示すことが多い。課題は、トレードオフを最小限に抑え、温度と薬品耐性を向上させながら、より高い流動性の固形分を達成することである。接着剤がホットフィル(hot fill)およびレトルト用途などの食品包装に使用される場合、耐薬品性および耐熱性は特に重要な関心事である。
【0010】
本開示は、50%以上の固形分含有量で流動することが可能な新しいクラスの溶剤型接着剤に関する。この新しい接着剤は、低粘度および長い可使時間、ならびに強化された温度および薬品耐性を含む改良された加工特性を示す。これらの望ましい性能特性は、バランスのとれた分子量分布および官能価を有するポリエステル/ポリエーテルハイブリッド系によって達成される。
【0011】
2成分接着剤組成物を開示する。接着剤組成物は、ポリイソシアネートと、1,000より大きい平均分子量を有するイソシアネート反応性成分との反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマーを含むイソシアネート成分を含む。イソシアネート成分のNCO含有量は、任意選択で3〜9%である。イソシアネート反応性成分は、イソシアネート反応性成分の50重量%以上を占めるポリエステルポリオールを含む。組成物は、ポリオール成分の少なくとも50重量%以上を占め、1,500未満の平均分子量を有するポリエーテルポリオールを含むポリオール成分をさらに含む。組成物はなおさらに接着促進剤を含む。接着剤組成物の平均官能価は2〜2.5である。接着剤組成物は改善された性能および加工性を提供する。
【0012】
ラミネートを形成するための方法も開示される。本方法は、上記のように、接着剤組成物を形成することと、接着剤組成物の層をフィルムの表面に適用することと、その層を別のフィルムの表面と接触させてラミネートを形成することと、接着剤組成物を硬化させることと、を含む。この方法によって形成されたラミネートも開示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示による2成分接着剤組成物は、イソシアネート成分およびポリオール成分を含む。成分を混合して硬化性接着剤組成物を形成することができる。
【0014】
イソシアネート成分
イソシアネート成分はイソシアネート含有化合物を含む。イソシアネート含有化合物は、イソシアネートモノマー、ポリイソシアネート(例えば、ダイマー、トリマーなど)、イソシアネートプレポリマー、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択することができる。本明細書で使用される場合、「ポリイソシアネート」は、2つ以上のイソシアネート基を含有する任意の化合物である。
【0015】
さらに、イソシアネート含有化合物は、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、およびこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択することができる。「芳香族ポリイソシアネート」は、1つ以上の芳香族環を含有するポリイソシアネートである。「脂肪族ポリイソシアネート」は芳香族環を含有しない。「脂環式ポリイソシアネート」は、化学鎖が環構造を有する脂肪族ポリイソシアネートのサブセットである。
【0016】
適切な芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート(TODI)、高分子量イソシアネート、およびこれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
適切な脂肪族ポリイソシアネートは、直鎖状または分岐状アルキレン残基中に3〜16個の炭素原子、または4〜12個の炭素原子を有する。適切な脂環式ポリイソシアネートは、シクロアルキレン残基中に4〜18個の炭素原子、または6〜15個の炭素原子を有する。脂環式ジイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)およびジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)などの、環状および脂肪族的に結合したNCO基の両方を指す。
【0018】
脂肪族および脂環式ポリイソシアネートの例としては、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、ノナントリイソシアネート、例えば、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(TIN)、デカンジ−およびトリイソシアネート、ウンデカンジ−およびトリイソシアネートおよびドデカンジ−およびトリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)、2−メチルペンタンジイソシアネート(MPDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ならびにこれらうちの2つ以上のダイマー、トリマー、および混合物が挙げられる。
【0019】
本開示による使用に適した追加のイソシアネート含有化合物としては、4−メチル−シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、2−ブチル−2−エチルペンタメチレンジイソシアネート、3(4)−イソシアナトメチル−1−メチルシクロヘキシルイソシアネート、2−イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、2,4’−メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、1,4−ジイソシアナト−4−メチル−ペンタン、およびこれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられる。
【0020】
本開示による使用に適したイソシアネートプレポリマーは、1.5より大きい、または2〜6、または2.5〜4の化学量論比(NCO/OH)で混合されたポリイソシアネートとイソシアネート反応性成分との反応生成物である。ポリイソシアネートは、上記のように、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、およびそれらの混合物から選択される。「ポリウレタンプレポリマー」としても知られるポリイソシアネートと反応してイソシアネートプレポリマーを形成することができる適切なイソシアネート反応性化合物には、ヒドロキシル基、アミノ基、およびチオ基を有する化合物が含まれる。適切なイソシアネート反応性化合物は、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリカーボネートポリオール、およびこれらのうちの2つ以上の組み合わせを含む。イソシアネート反応性成分の平均ヒドロキシル価は、15〜5,00mgKOH/gで、および1,000g/molより大きい平均分子量であり得る。イソシアネート反応性成分の平均OH価は、20〜350mgKOH/g、または34〜250mgKOH/g、または44〜150KOH/gであり得る。イソシアネート反応性成分の平均官能価は、1〜6、または1.8〜4、または2〜3であり得る。イソシアネート反応性成分の平均分子量は、1,500g/molより大きく、または最大2,500g/molより大きく、または1,500〜4,500g/molであり得る。
【0021】
イソシアネート反応性成分の適切なポリエステルポリオールとしては、脂肪族ポリエステルポリオール、芳香族ポリエステルポリオール、脂肪族および芳香族ポリエステルポリオールのコポリマー、ポリカーボネートポリオール、およびポリカプロラクトンポリオールが挙げられるが、これらに限定されない。これらのポリエステルポリオールは、多塩基酸と多価アルコールとの反応生成物、またはホスゲンもしくはカーボネートモノマーと多価アルコールとの反応物であるか、または環状エステル化合物の開環重合によって生成される。
【0022】
適切な多塩基酸の例には、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p´−ジカルボン酸、およびこれらのジカルボン酸の無水物またはエステル形成性誘導体、およびp−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、およびこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体またはダイマー酸が挙げられる。これらの多塩基酸は、単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0023】
本開示に従って、任意の既知の多価アルコールを使用することができる。適切な多価アルコールの非限定的な例としては、グリコール例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、ダイマージオール、ビスフェノールA、ビスフェノール水素添加ビスフェノールA;例えばプロピオラクトン、ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、8−バレロラクトン、およびβ−メチル−δ−バレロラクトンなどの環状エステル化合物の開環重合により生成されるポリエステル;および開始剤として2個の活性水素原子を含有する1種以上の化合物例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールによって、通常の方法でエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン、テトラヒドロフランおよびシクロヘキシレンを含む1種以上のモノマーの付加重合から生成されるポリエーテル、が挙げられる。これらの多価アルコールは、単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0024】
イソシアネート成分のイソシアネートプレポリマーなどのポリイソシアネート基を有する化合物は、化合物の重量に基づく重量でのポリイソシアネート基の量であるパラメータ「%NCO」によって、または用語「NCO含有量」によって特徴付けられ得る。パラメータ%NCOは、ASTM D2572−97(2010)の方法によって測定される。開示されたイソシアネート成分は、3〜9%、または4〜6%の%NCOを有する。
【0025】
ポリオール成分
ポリオール成分はポリエーテルポリオールを含む。いくつかの実施形態において、ポリエーテルポリオールは、ポリオール成分の乾燥重量に基づいて、ポリオール成分の少なくとも60重量%を占める。いくつかの実施形態において、ポリエーテルポリオールは、1,500g/mol未満、または1,000g/mol未満、または50g/mol〜1,500g/molの分子量を有する。適切なポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリブチレンオキシド系ポリオール、またはそれらの混合物およびコポリマーが挙げられる。適切なポリプロピレングリコールとしては、Voranol(商標)の商標名でDow Chemical Companyから、Pluracol(商標)の商標名でBASF Companyから、商標名Poly−G(商標)、Poly−L(商標)およびPoly−Q(商標)でLonzaから、および商標名Acclaim(商標)でCovestroから入手可能な、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、またはそれらの混合物と、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール、スクロース、グリセリンおよび/またはそれらの混合物から選択される開始剤に基づくポリオールが挙げられる。特に、2〜6の官能価および250〜1,500の分子量を有するポリプロピレングリコールが好ましい。適切なポリテトラメチレンエーテルグリコールは、250〜1,500の分子量を有する、BASF CompanyからのPolyTHF(商標)、InvistaからのTerathane(商標)、MitsubishiからのPTMG(商標)、およびDairenからのPTG(商標)を含むがこれらに限定されない。
【0026】
適切なポリブチレンオキシド系ポリオールとしては、150g/mol〜1,500g/molの分子量、および2.0〜4.0の官能価を有する、ポリブチレンオキシドホモポリマーポリオール、ポリブチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドコポリマーポリオール、およびポリブチレンオキシド−ポリエチレンオキシドコポリマーポリオールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
さらに、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミン、およびネオペンチルグリコールを含むがこれらに限定されない低分子量グリコール、をポリオール成分に組み込むことができる。
【0028】
さらに、150g/mol〜1,500g/molの分子量、および2.0〜4.0の官能価を有するポリエステルポリオールが、ポリオール成分に組み込まれ得る。適切なポリエステルポリオールとしては、脂肪族ポリエステルポリオール、芳香族ポリエステルポリオール、脂肪族および芳香族ポリエステルポリオールのコポリマー、ポリカーボネートポリオール、およびポリカプロラクトンポリオールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
接着剤組成
イソシアネート成分とポリオール成分を混合して硬化性接着剤組成物を形成することができる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は接着促進剤をさらに含む。適切な接着促進剤の非限定的な例には、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、およびアルミネートカップリング剤などのカップリング剤、エポキシ樹脂、リン酸、ポリリン酸、およびリン酸エステルが含まれる。
【0030】
シランカップリング剤の例としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、およびN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニルシラン、ヘキサメチルジシラザン、およびγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
チタネートカップリング剤の例としては、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、ブチルチタネートダイマー、テトラステアリルチタネート、アセチルアセトナトチタン、チタンラクテート、テトラオクチレングリコールチタネート、チタンラクテート、およびテトラステアロキシチタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA−エピクロロヒドリン(エピ−ビス)型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、β−メチルジクロロヒドリン型エポキシ樹脂、環状オキシラン型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ポリグリコールエーテル型エポキシ樹脂、グリコールエーテル型エポキシ樹脂、エポキシ化脂肪酸エステル型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸エステル型エポキシ樹脂、アミノグリシジル型エポキシ樹脂、およびレゾルシン型エポキシ樹脂などの市販の各種エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
いくつかの実施形態では、接着促進剤はリン酸エステル化合物である。他の実施形態では、接着促進剤はエポキシシラン((3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン)である。いくつかの実施形態では、リン酸はポリオール成分に組み込まれ、エポキシシランはイソシアネート成分に組み込まれる。いくつかの実施形態において、エポキシシランとリン酸の両方がポリオール成分に組み込まれる。
【0034】
いくつかの実施形態において、溶剤などの非反応性成分を除く、接着剤組成物(すなわち、ポリオール成分と一緒のイソシアネート成分)の平均官能価は、2〜2.5である。平均官能価の計算については後述する。
【0035】
開示された接着剤組成物のイソシアネート成分およびポリオール成分は、別々に作製することができ、所望であれば、接着剤組成物を使用することが望ましいときまで貯蔵することができることが企図される。いくつかの実施形態では、イソシアネート成分およびポリオール成分の両方がそれぞれ25℃で液体である。接着剤組成物を使用することが望ましい場合、イソシアネート成分およびポリオール成分を通常、化学量論比(NCO/OH)1〜2.5で互いに接触させて一緒に混合する。これらの2つの成分を接触させると、イソシアネート基がヒドロキシル基と反応してウレタン結合を形成する硬化反応が開始することが企図される。2つの成分を接触させることによって形成される接着剤組成物は、「硬化性混合物」と称され得る。
【0036】
接着剤組成物を使用してラミネートを形成する方法も開示される。いくつかの実施形態では、接着剤組成物、例えば上記で論述した接着剤組成物は25℃で液体状態にある。組成物が25℃で固体であるとしても、必要に応じて組成物を加熱して液体状態にしてもよい。所望の固形分が達成されるまで溶剤を混合接着剤組成物に添加する。以下に説明する例示的実施例の多くにおいて、50%以上の固形分が示されている。
【0037】
組成物の層をフィルムの表面に塗布する。「フィルム」は、1つの寸法が0.5mm以下であり、他の2つの寸法が両方とも1cm以上である任意の構造である。ポリマーフィルムは、ポリマーまたはポリマーの混合物から作製されるフィルムである。ポリマーフィルムの組成物は、典型的には、80重量パーセント以上の1つ以上のポリマーである。いくつかの実施形態では、硬化性混合物の層の厚さは1〜5μmである。
【0038】
いくつかの実施形態では、別のフィルムの表面を硬化性混合物の層と接触させて未硬化ラミネートを形成する。次いで、硬化性混合物を硬化させるか、または硬化することが可能になる。未硬化ラミネートは、例えば加熱されていてもされていなくてもよいニップローラに通すことによって、加圧することができる。未硬化ラミネートを加熱して硬化反応を促進することができる。
【0039】
好適なフィルムとしては、紙、織布および不織布、金属ホイル、ポリマー、および金属化(metalized)ポリマーフィルムが挙げられる。フィルムは、任意選択的に、その上に画像がインクで印刷される表面を有する。インクは接着剤組成物と接触していてもよい。いくつかの実施形態では、フィルムはポリマーフィルムおよび金属被覆ポリマーフィルムであり、より好ましくはポリマーフィルムである。
【実施例】
【0040】
本開示を例示的な実施例および比較例(まとめて「実施例」)によってこれよりさらに詳細に説明する。しかしながら、本開示の範囲は、当然ながら、実施例に記載された配合物に限定されない。むしろ、実施例は本開示の単なる例示である。
【0041】
接着強度測定
90°T剥離試験を、幅15mmまたは25.4mm(1インチ)のストリップに切断した、ラミネート試料において行い、50N荷重セルを備えたTHWING ALBERT(商標)QC−3A剥離試験機で1インチのストリップ上10インチ/分の速度で引っ張る。ラミネートを形成する2つのフィルムが分離する、すなわち剥離するとき、引っ張り中の力の平均を記録する。フィルムのうちの1つが伸張または破断した場合、最大の力または破断時の力を記録する。記録された値は、3つの別々のラミネート試料について行われた試験の平均である。
【0042】
不良モード(「FM」)または不良のモード(「MOF」)は以下のように記録される:「FS」は伸びるフィルムを示す、「FT」は破れたり壊れたりするフィルムを示し、「AF」は第1のフィルム上の接着剤が第2のフィルムに接着しない接着不良を示す、「AT」は粘着剤移行を示し、接着剤は第1のフィルムに接着せず第2のフィルムに移行される、「AS」は接着剤の裂けまたは凝集不良を示し、接着剤は第1のフィルムと第2のフィルムの両方に見られる、「MT」は金属化フィルムから第2のフィルムへの金属の移行を示す(「PMT」は部分的な金属移行を示す)。
【0043】
初期接着、または「グリーン」接着は、ラミネートが製造された後できるだけ早く試験される。追加のT型剥離試験は、1日後および7日後などの下記に示されるような時間間隔で行われる。
【0044】
ボイルインバッグ試験手順
ラミネートを、以下に記載するように、「プレラム(prelam)」フィルム、Prelam AlおよびGF−19、ならびに92−LBTおよびGF−19から作製する。1層ポリエチレンフィルムが他の層のポリエチレンフィルムと接触するように、9インチ×12インチ(23cm×30.5cm)のラミネートシートを折り重ねて、約9インチ×6インチ(23cm×15.25cm)の二重層を得る。縁をペーパーカッターでトリミングして、約5インチ×7インチ(12.7cm×17.8cm)の折りたたみ片を得る。2つの長辺と1つの短辺を端でヒートシールして、4インチ×6インチ(10.2cm×15.2cm)の内部サイズの完成したパウチを得る。ヒートシールは、276kPa(40psi)の油圧において1秒間177℃(350°F)で行われる。各試験用に複数のパウチが作られている。
【0045】
パウチを、100±5mlの「1:1:1ソース」(等重量部のケチャップ、酢、および植物油のブレンド)で、開口部側を通して充填する。試験中にヒートシールの失敗を生じさせる可能性があるため、充填中、ヒートシール領域上にソースが飛散することを回避する。充填後、パウチの上部を、パウチの内側への空気の閉じ込めを最小限に抑えるようにしてシールする。
【0046】
試験中にパウチが漏れる原因となる可能性がある欠陥がシーリングにないことを確認するために、各パウチの4つの側面すべてでシールの完全性が検査される。疑わしいパウチは廃棄し、試験基準を満たしたパウチと交換する。場合によっては、試験中に新しい追加の欠陥が発生したかどうかを識別するために、ラミネートの欠陥に印が付けられる。
【0047】
ポットは水で3分の2満たし、沸騰させる。沸騰した後、ポットは水と蒸気の損失を最小にするためにふたで覆う。試験中、ポットを観察して沸騰を維持するのに十分な水が存在することを確認する。パウチを沸騰水に入れ、30分間沸騰させ続ける。パウチを取り出し、トンネリング、ブリスタリング、層間剥離、および/または漏れの程度を、もしある場合には印を付けた既存の欠陥と比較する。観察結果を記録する。パウチを次に切り開き、空にし、そして石鹸と水ですすぐ。1つ以上の1インチ(2.54cm)のストリップをパウチから切り出し、そしてラミネート接着強度を前述の標準接着強度試験に従って測定する。これはパウチの中身を取り除いた後できるだけ早く行われる。パウチの内部を検査し、他のあらゆる視覚的欠陥を記録する。
【0048】
化学的老化試験手順
ラミネートを、以下に記載するように、「プレラム」フィルム、Prelam Al、およびGF−19、ならびにPrelam Al/キャストポリプロピレンから作製する。1層のポリエチレンフィルムが他の層のポリエチレンフィルムと接触するように9インチ×12インチ(23cm×30.5cm)のラミネートシートを折り重ねて、約9インチ×6インチ(23cm×15.25cm)の二重層を得る。縁をペーパーカッターでトリミングして、約5インチ×7インチ(12.7×17.8cm)の折りたたみ片を得る。2つの長辺と1つの短辺を端でヒートシールして、4インチ×6インチ(10.2cm×15.2cm)の内部サイズの完成したパウチを得る。ヒートシールは、276kPa(40psi)の油圧において1秒間177℃(350°F)で行われる。各試験用に複数のパウチが作られている。
【0049】
パウチを、100±5mlの「1:1:1ソース」(等重量部のケチャップ、酢、および植物油のブレンド)で、開口端部を通して充填する。試験中にヒートシール失敗を生じさせる可能性があるため、充填中、ヒートシール領域上に1:1:1のソースが飛散することを回避する。充填後、パウチの上部を、パウチの内側への空気の閉じ込めを最小限に抑えるようにしてシールする。
【0050】
試験中にパウチが漏れる原因となる可能性がある欠陥がシーリングにないことを確認するために、パウチの4つの側面すべてでシールの完全性が検査される。疑わしいパウチは廃棄し、試験基準を満たしたパウチと交換する。場合によっては、試験中に新しい追加の欠陥が発生したかどうかを識別するために、ラミネートの欠陥に印が付けられる。
【0051】
1:1:1のソースを含むパウチを50℃に設定した対流式オーブンに100時間入れる。パウチを老化させた後に取り出し、トンネリング、ブリスタリング、層間剥離、および/または漏れの程度を、印を付けた既存の欠陥のいずれかと比較する。観察結果を記録する。パウチを切り開き、空にし、そして石鹸と水ですすぐ。1つ以上の1インチ(2.54cm)のストリップをパウチから切り出し、そしてラミネート接着強度を前述の標準接着強度試験に従って測定する。これはパウチの中身を取り除いた後できるだけ早く行われる。パウチの内部を検査し、他のあらゆる視覚的欠陥を記録する。
【0052】
軟化剤試験手順
ラミネートを、以下に記載するように、「プレラム」フィルム、Prelam AlおよびGF−19、ならびに92−LBTおよびGF−19から作製する。1層のポリエチレンフィルムが他の層のポリエチレンフィルムと接触するように、9インチ×12インチ(23cm×30.5cm)のラミネートシートを折り重ねて、約9インチ×6インチ(23cm×15.25cm)の二重層を形成する。縁をペーパーカッターでトリミングして、約5インチ×7インチ(12.7×17.8cm)の折りたたみ片を得る。2つの長辺と1つの短辺を端でヒートシールして、4インチ×6インチ(10.2cm×15.2cm)の内部サイズの完成したパウチを得る。ヒートシールは、276kPa(40psi)の油圧において1秒間177℃(350°F)で行われる。各試験用に複数のパウチが作られている。
【0053】
パウチを、スーパーマーケットから購入した100±5mlの柔軟剤、この例ではThe Dial Corporation、Henkel Companyから製造されたPurex Mountain Breeze Ultraで開口部側を通して充填する。充填後、パウチの上部を、パウチの内側への空気の閉じ込めを最小限に抑えるようにしてシールする。
【0054】
試験中にパウチが漏れる原因となる可能性がある欠陥がシーリングにないことを確認するために、パウチの4つの側面すべてでシールの完全性が検査される。疑わしいパウチは廃棄し、試験基準を満たしたパウチと交換する。場合によっては、試験中に新しい追加の欠陥が発生したかどうかを識別するために、ラミネートの欠陥に印が付けられる。
【0055】
次にパウチを65℃に設定した対流式オーブンに入れる。この温度で30日間老化させた後、パウチを取り出し、トンネリング、ブリスタリング、層間剥離、および/または漏れの程度を、もしある場合には、マークされた既存の欠陥と比較した。観察結果を記録する。パウチを次に切り開き、空にし、そして石鹸と水ですすぐ。1つ以上の1インチ(2.54cm)のストリップをパウチから切り出し、そしてラミネート接着強度を前述の標準接着強度試験に従って測定する。これはパウチの中身を取り除いた後できるだけ早く行われる。パウチの内部を検査し、他のあらゆる視覚的欠陥を記録する。
【0056】
レトルト試験手順
ラミネートを、以下に記載される「プレラム」フィルム、Prelam Al、およびキャストポリプロピレンから作製した。1層のポリエチレンフィルムが他の層のポリエチレンフィルムと接触するように、9インチ×12インチ(23cm×30.5cm)のラミネートシートのうちの1枚を折り重ねて、約9インチ×6インチ(23cm×15.25cm)の二重層を得る。縁をペーパーカッターでトリミングして、約5インチ×7インチ(12.7cm×17.8cm)の折りたたみ片を得る。2つの長辺と1つの短辺を端でヒートシールして、4インチ×6インチ(10.2cm×15.2cm)の内部サイズの完成したパウチを得る。ヒートシールは、276kPa(40psi)の油圧において1秒間177℃(350°F)で行われる。各試験用に複数のパウチが作られている。
【0057】
試験中にヒートシール失敗を生じさせる可能性があるため、充填中、ヒートシール領域上に1:1:1のソースが飛散することを回避する。充填後、パウチの上部を、パウチの内側への空気の閉じ込めを最小限に抑えるようにしてシールする。
【0058】
試験中にパウチが漏れる原因となる可能性がある欠陥がシーリングにないことを確認するために、パウチの4つの側面すべてでシールの完全性が検査される。疑わしいパウチは廃棄し、試験基準を満たしたパウチと交換する。場合によっては、試験中に新しい追加の欠陥が発生したかどうかを識別するために、ラミネートの欠陥に印が付けられる。
【0059】
1:1:1のソースを入れたパウチを121℃に設定したレトルトチャンバーに2時間入れる。パウチを取り出し、トンネリング、ブリスタリング、層間剥離、および/または漏れの程度を、マークされた既存の欠陥のいずれかと比較した。観察結果を記録する。パウチを切り開き、空にし、そして石鹸と水ですすぐ。1つ以上の1インチ(2.54cm)のストリップをパウチから切り出し、そしてラミネート接着強度を前述の標準接着強度試験に従って測定する。これはパウチの中身を取り除いた後できるだけ早く行われる。パウチの内部を検査し、他のあらゆる視覚的欠陥を記録した。
【0060】
接着剤組成物の理論的官能価
理論的官能価(f平均)は、次のように定義される:f平均=(m・f+m・f+m・f+・・・)/(m+m+m+・・・)、(式中、m、m、mはモルでの成分の質量であり、f1、およびfは成分の官能価である)。接着剤組成物の理論的官能価は、接着剤組成物の非反応性成分、例えば溶剤を排除する。例えば、例示的な実施例1では、イソシアネート成分は2の平均官能価および2,000の平均分子量を有し、そしてポリオール成分は3の平均官能価および655の平均分子量を有する。300グラムのポリオール成分が2,100グラムのイソシアネート成分と混合されると、接着剤の平均官能価は:f平均=(300/655・3+2,100/2,000・2)/(300/655+2,100/2,000)=2.30である。
【0061】
組成物の調製
実施例を調製するために使用される原料は、以下の表1において商品名および供給者によって特定されている。
【0062】
【表1】
【0063】
例示的実施例1(「IE1」)
イソシアネート成分
メカニカルスターラーおよび温度調節器を備えた4つ口フラスコからなる実験室用ガラス反応器を用いてイソシアネート成分を製造する。窒素パージ下、45℃で予備溶融した194.8グラムのISONATE(商標)125Mを最初にフラスコに装入する。反応器温度を50℃に設定する。撹拌しながら、250グラムの酢酸エチルを反応器に装入し、続いて555.3グラムのINTERMEDIATE(商標)88X102を装入する。温度が75℃を超えたら冷却を行う。75℃で4時間反応させた後、透明で低粘度のプレポリマーが得られ、プレポリマーは4.2%のNCO含有量、75%の固形分、1,445cpsの室温粘度、および2の理論的官能価を有する。NCO含有量をASTM D2572−97に従って測定する。粘度を所与の温度でBrookfield DV−II粘度計を用いて測定する。固形分は、HR73 Halogen Moisture Analyzerによって測定し、そしてOH価は、Metrohm滴定装置によって測定する。
【0064】
ポリオール成分
45グラムのADCOTE(商標)L87−118、5グラムのPOLYG(商標)30−112、および50グラムのVORANOL(商標)CP 450を、室温で30分間混合する。混合物は透明であり、89%の固形分、257のOH価、および3の理論的官能価を有する。
【0065】
ラミネート構造体
300グラムのポリオール成分、2,100グラムのイソシアネート成分、および1,283グラムの酢酸エチルを混合して、1.53のNCO/OH指数を有する50%固形分溶液を形成する。接着剤組成物の平均官能価は2.30である。次いで、溶液を予めラミネートされたアルミニウム箔に1.75lb/連の塗布量で塗布し、続いてそれをNordmeccanica LABO−COMBI(商標)ラミネーターを使用して低密度ポリエチレンフィルム(GF−19)とラミネートする。次いで、ラミネート構造体を前述のボイルインバッグおよび1:1:1のソース老化試験にかける。ボイルインバッグおよび1:1:1のソース老化試験の後、パウチを切り開き、きれいに洗浄し、そして不良モードについて調べる。ラミネートの接着強度を測定しそして記録する。ラミネート構造体の接着強度および不良モードに関する結果を表2にまとめる。
【0066】
例示的実施例2(「IE2」)
例示的実施例1を繰り返すが第2のフィルムを交換する。接着剤組成物を予めラミネートされたアルミニウム箔に1.75lb/連の塗布量で塗布し、続いてそれを2ミルのキャストポリプロピレンフィルムとラミネートする。このラミネート構造体を、実施例1に記載したものと同じ試験およびレトルト試験にかける。ラミネート構造体の接着強度および不良モードに関する結果を表2にまとめる。
【0067】
例示的実施例3(「IE3」)
実施例1を繰り返すが、基材を変更する。例示的実施例1の混合接着剤を最初に1.75lb/連の塗布量で金属化ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、続いてそれをNordmeccanica LABO−COMBI(商標)ラミネーターを用いてポリアミドフィルムとラミネートする。得られたラミネートを第1の基材として使用する前に60℃のオーブン中に1時間放置し、同じ接着剤をNordmeccanical LABO−COMBI(商標)を使用してラミネートのPET面に塗布し、次いで4ミルの低密度ポリエチレンフィルムでラミネートする。ポリエチレンとPETとの間の接着強度を、ラミネーション直後およびラミネーション後1日、7日および14日の間隔で測定する。14日後、ラミネート構造体を用いてパウチを製造し、市販の柔軟剤を充填する。その後、パウチを65℃に設定されたオーブンに30日間入れてから、それらを切り開き、きれいに洗浄し、そして不良モードについて調べる。老化試験後のラミネートの接着強度を測定しそして記録する。ラミネート構造体の接着強度および不良モードに関する結果を表2にまとめる。
【0068】
例示的実施例4(「IE4」)
例示的実施例1を繰り返すが、混合比NCO/OHを変更する。340グラムのポリオール成分、1,972グラムのイソシアネート成分、および1,250グラムの酢酸エチルを混合して、1.27のNCO/OH指数の50%固形分溶液を達成する。接着剤の平均理論的官能価は2.34である。接着剤を予めラミネートされたアルミニウム箔に1.70lb/連の塗布量で塗布し、続いてそれをNordmeccanica LABO−COMBI(商標)ラミネーターを使用して低密度ポリエチレンフィルム(GF−19)とラミネートする。このラミネート構造体を、例示的実施例1に記載したものと同じ試験にかける。ラミネート構造体の接着強度および不良モードに関する結果を表2にまとめる。
【0069】
実施例5(「IE5」)
例示的実施例4を繰り返すが第2のフィルムを交換する。接着剤を予めラミネートされたアルミニウム箔に1.70lb/連の塗布量で塗布し、続いてそれをNordmeccanica LABO−COMBI(商標)ラミネーターを使用して3ミルのキャストポリプロピレンフィルムとラミネートする。このラミネート構造体を、実施例1に記載したものと同じ試験およびレトルト試験にかける。ラミネート構造体の接着強度および不良モードに関する結果を表2にまとめる。
【0070】
例示的実施例6(「IE6」)
例示的実施例4を繰り返すが、基材を変更する。例示的実施例4の混合接着剤を最初に1.70lb/連の塗布量で金属化ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、続いてそれをNordmeccanica LABO−COMBI(商標)パイロットラミネーターを使用してポリアミドフィルムとラミネートする。得られたラミネートを第1の基材として使用する前に60℃のオーブン中に1時間放置し、同じ接着剤をNordmeccanical LABO−COMBI(商標)を使用してラミネートのPET面に塗布し、次いで4ミルの低密度ポリエチレンフィルムでラミネートする。ポリエチレンとPETとの間の接着強度を、ラミネーション直後およびラミネーション後1日、7日および14日の間隔で測定する。14日後、ラミネート構造体を用いてパウチを製造し、市販の柔軟剤を充填する。その後、パウチを65℃に設定したオーブンに30日間入れてから、それらを切り開き、きれいに洗浄し、そして不良モードについて調べる。老化試験後のラミネートの接着強度を測定しそして記録する。ラミネート構造体の接着強度および不良モードに関する結果を表2にまとめる。
【0071】
例示的実施例7(「IE7」)
イソシアネート成分は例示的実施例1と同じに保たれるが、ポリオール成分を変更する。50グラムのPOLYG(商標)30−112、600グラムのVORANOL(商標)CP 450、6グラムのリン酸、350グラムのMOR−FREE(商標)C117、および50グラムのGLYMO(商標)を室温で45分間混合する。透明な混合物が得られ、混合物は、100%の固形分、299のOH価、および2.75の平均理論的官能価を有する。
【0072】
212.5グラムのポリオール成分、2,125グラムのイソシアネート成分、および1,275グラムの酢酸エチルを混合して、1.88のNCO/OH指数の50%固形分の接着剤組成物を形成する。接着剤の平均官能価は2.21である。接着剤を予めラミネートされたアルミニウム箔に1.75lb/連の塗布量で塗布し、続いてそれをNordmeccanica LABO−COMBI(商標)ラミネーターを使用して低密度ポリエチレンフィルム(GF−19)とラミネートする。このラミネート構造体を、例示的実施例1に記載したものと同じ試験にかける。ラミネート構造体の接着強度および不良モードに関する結果を表2にまとめる。
【0073】
例示的実施例8(「IE8」)
例示的実施例7を繰り返すが、基材を変更する。例示的実施例5の混合接着剤を最初に1.75lb/連の塗布量で金属化ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、続いてそれをNordmeccanica LABO−COMBI(商標)パイロットラミネーターを使用してポリアミドフィルムとラミネートする。得られたラミネートを第1の基材として使用する前に60℃のオーブン中に1時間放置し、同じ接着剤をNordmeccanical LABO−COMBI(商標)を使用してラミネートのPET面に塗布し、次いで4ミルの低密度ポリエチレンフィルムでラミネートする。ポリエチレンとPETとの間の接着強度を、ラミネーション直後およびラミネーション後1日、7日および14日の間隔で測定する。14日後、ラミネート構造体を用いてパウチを製造し、市販の柔軟剤を充填する。その後、パウチを65℃に設定したオーブンに30日間入れてから、それらを切り開き、きれいに洗浄し、そして不良モードについて調べる。老化試験後のラミネートの接着強度を測定しそして記録する。ラミネート構造体の接着強度および不良モードに関する結果を表2にまとめる。
【0074】
比較例1(「CE1」)
140.8グラムのADCOTE(商標)577B、1,600グラムのADCOTE(商標)577、および859グラムの酢酸エチルを混合して、1.74のNCO/OH指数の50%固形分溶液を形成する。接着剤の平均官能価は2.14である。溶液の粘度は、グラビアシリンダを備えた従来のラミネーターで50%の固体含量で実行するには高過ぎることが判明した。
【0075】
次いで、溶液を650グラムの酢酸エチルで希釈し、40%の固形分に到達させる。次いで、希釈溶液を予めラミネートされたアルミニウム箔に1.8lb/連の塗布量で塗布し、続いてそれをNordmeccanica LABO−COMBI(商標)ラミネーターを使用して低密度ポリエチレンフィルム(GF−19)とラミネートする。次に、ラミネート構造体を例示的実施例1に記載したものと同じ試験にかける。ラミネート構造体の結果および不良モードを表2にまとめる。
【0076】
比較例2(「CE2」)
247.0グラムのADCOTE(商標)536B、1,900グラムのADCOTE(商標)555、および901グラムの酢酸エチルを混合して、2.50のNCO/OH指数の50%固形分溶液を形成する。接着剤の平均官能価は2.06である。溶液の粘度は、重力グラビアシリンダを備えた従来のラミネーターで50%の固体含量で実行するには高過ぎることが判明した。
【0077】
次いで、溶液を762グラムの酢酸エチルで希釈し、40%の固形分に到達させる。次いで、希釈溶液を予めラミネートされたアルミニウム箔に1.8lb/連の塗布量で塗布し、続いてそれをNordmeccanica LABO−COMBI(商標)ラミネーターを使用して低密度ポリエチレンフィルム(GF−19)とラミネートする。次に、ラミネート構造体を例示的実施例1に記載したものと同じ試験にかける。ラミネート構造体の結果および不良モードを表2にまとめる。
【0078】
【表2】
【0079】
IE1〜IE8は、50%の固形分で低粘度および十分な可使時間などの改善された加工特性と、ボイルインバッグ、化学的老化、およびレトルト試験における、良好なグリーンボンド、優れた接着強度、ならびに優れた温度および薬品耐性によって証明される性能の向上とを示す。反対に、CE1は、40%未満の固形分を有するプレポリマーおよび4.0%未満のポリエーテル成分を含有する共反応物の使用に起因して、50%の固体分(塗布前に40%の固形分まで希釈する必要がある)でより高い粘度を示す。CE1はまた、最適には至らない温度および薬品耐性を示す。CE2は、4.0%未満のNCO含有量を有するプレポリマーおよび40%未満のポリエーテル成分を含有するポリオール成分の使用に起因して、50%の固形分(塗布前に40%の固形分まで希釈する必要がある)でより高い粘度、より低い結合強度、ならびに低い温度および薬品耐性を示す。さらに、プレポリマーは、50%未満のポリエステルポリオールを含有し、1000未満の平均分子量を有するイソシアネート反応性成分に基づく。

本出願が提供する発明の例として、以下のものが挙げられる。
[1] 2成分接着剤組成物であって、前記接着組成物が、
イソシアネート成分であって、
ポリイソシアネートと、
ポリエステルポリオールを含む1,000より大きい平均分子量を有するイソシアネート反応性成分との反応生成物である、イソシアネートプレポリマーを含む、イソシアネート成分と、
1,500未満の平均分子量を有するポリエーテルポリオールを含むポリオール成分と、
接着促進剤と、を含み、
前記接着剤組成物の平均官能価は2〜2.5である、2成分接着剤組成物。
[2] 1.0:1.0〜2.5:1.0のNCO/OH指数で混合して50%の固形分を有する溶液を形成したとき、13秒〜25秒の初期粘度をさらに含む、[1]に記載の組成物。
[3] 前記ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多塩基酸との反応生成物である、[1]または[2]のいずれかに記載の組成物。
[4] 溶剤を含まない前記イソシアネート成分のNCO含有量が、3〜9%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] 溶剤を含まない前記イソシアネート成分のNCO含有量が、4〜6%である、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 前記イソシアネート反応性化合物は、1,500〜4,500の平均分子量を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 前記ポリエーテルポリオールは、250〜1,000の平均分子量を有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物。
[8] 前記イソシアネート反応性成分は、前記イソシアネート反応性化合物の乾燥重量に基づいて、前記イソシアネート反応性化合物の少なくとも50重量%を構成するポリエステルポリオールを含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[9] 前記ポリオール成分は、前記イソシアネート反応性化合物の乾燥重量に基づいて、前記ポリオール成分の少なくとも50重量%を構成するポリエーテルポリオールを含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] 触媒、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、レオロジー調整剤、着色顔料、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される添加剤をさらに含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物。
[11] 酢酸エチル、メチルエーテルケトン、トルエン、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される溶剤をさらに含む、[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物。
[12] 前記イソシアネート成分が、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択されるポリイソシアネートをさらに含む、[1]〜[11]のいずれかに記載の組成物。
[13] 前記ポリイソシアネートが、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3、3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート(TODI)、高分子量イソシアネート、およびこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、[1]〜[12]のいずれかに記載の組成物。
[14] 前記ポリイソシアネートが、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、ノナントリイソシアネート、例えば4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(TIN)、デカンジ−およびトリイソシアネート、ウンデカンジ−およびトリイソシアネートならびにドデカンジ−およびトリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)、2−メチルペンタンジイソシアネート(MPDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、およびこれらのうちの2つ以上の、ダイマー、トリマー、および組み合わせからなる群から選択される、[1]〜[13]のいずれかに記載の組成物。
[15] 前記ポリイソシアネートが、4−メチル−シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、2−ブチル−2−エチルペンタメチレンジイソシアネート、3(4)−イソシアナトメチル−1−メチルシクロヘキシルイソシアネート、2−イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、2,4’−メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、1,4−ジイソシアナト−4−メチル−ペンタン、およびこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、[1]〜[14]のいずれかに記載の組成物。
[16] 前記接着促進剤が、リン酸、ポリリン酸、リン酸エステル、シラン、およびこれらのうちの2つ以上の混合物から選択される、[1]に記載の組成物。
[17] 前記多価アルコールが、グリコール、ポリエステル、ポリエーテル、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される、[1]〜[16]のいずれかに記載の組成物。
[18] 前記多塩基酸が、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、およびこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される、[1]〜[17]のいずれかに記載の組成物。
[19] [1]〜[18]のいずれかに記載の接着剤組成物を含むラミネート構造体を製造する方法であって、
前記イソシアネート成分と前記ポリオール成分とを1〜2.5の化学量論比(NCO/OH)で混合して硬化性接着剤混合物を形成することと、
前記硬化性接着剤混合物を溶剤に溶解して塗布可能な接着剤混合物を形成することと、
前記塗布可能な接着剤混合物を第1の基材の表面に塗布することと、
第2の基材の表面を前記第1の基材の前記表面と圧力下で接触させてラミネート構造体を形成することと、
前記ラミネート構造体を硬化させることと、を含む、方法。
[20] [19]に記載の方法によって形成されるラミネート。