【文献】
F. CAMINITA, A. CUCINI, S. MACI,FAST ANALYSIS OF STOP-BAND FSS INTEGRATED WITH PHASED ARRAY ANTENNAS,2007 19TH INTERNATIONAL CONFERENCE ON APPLIED ELECTROMAGNETICS AND COMMUNICATIONS (ICECOM),IEEE,2008年,Date Added to IEEE Xplore: 17 June 2008,INSPEC Accession Number: 10015126
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インピーダンス整合ネットワークが、少なくとも1つの誘電体層により互いに分離されたN個のメタ表面層を有するメタ表面積層構造体を備え、前記N個のメタ表面層の各々は、前記複数のダイポール素子を含み、該複数のダイポール素子の各ダイポール素子が、複数の前記アンテナ素子のうちの1つのアンテナ素子に対して整列され、前記Nが整数である、請求項1に記載のアンテナ。
前記アンテナ素子の前記アレイが、複数の送信スロット放射体と交互配置された複数の受信スロット放射体を含み、前記複数のダイポール素子が、前記複数の受信スロット放射体及び前記複数の送信スロット放射体の一方又は両方における受信スロット放射体又は送信スロット放射体の上方で整列されている、請求項6に記載のアンテナ。
前記N個のメタ表面層の誘電体層の高さが、前記複数の受信スロット放射体のうちの前記受信スロット放射体が作動する衛星帯域に基づいて選択される、請求項5に記載のアンテナ。
前記金属パターンが、前記アンテナ開口面と自由空間との間のインピーダンス整合を提供するようなサイズに設定された周期的パターン要素を含む、請求項13に記載のアンテナ。
誘電材料上にプリントされ且つ前記アンテナ開口面からある距離だけ離れた金属層を更に備え、該金属層が、複数のダイポール素子を含む、請求項19に記載のアンテナ。
前記複数のダイポール素子の各々は、前記複数のアンテナ素子のうちの1又は2以上のアンテナ素子の単位セルの動作周波数帯域を下方にシフトさせるように作動する、請求項19に記載のアンテナ。
前記アンテナ素子の前記アレイが、複数の送信スロット放射体と交互配置された複数の受信スロット放射体を含み、前記複数のダイポール素子が、前記複数の受信スロット放射体及び前記複数の送信スロット放射体の一方又は両方における受信スロット放射体又は送信スロット放射体の上方で整列されている、請求項28に記載のアンテナ。
誘電材料上にプリントされ且つ前記アンテナ開口面からある距離だけ離れた金属層を更に備え、該金属層が、複数のダイポール素子を含み、前記複数のダイポール素子の各々は、前記複数のアンテナ素子のうちの1つのアンテナ素子の単位セルを装荷するよう作動する、請求項31に記載のアンテナ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において、本発明をより完全に説明するために、多数の詳細事項が記載されている。しかしながら、本発明は、これらの具体的な詳細事項がなくとも実施できることは、当業者には明らかであろう。場合によっては、本発明を曖昧にするのを避けるために、周知の構造及び装置は、詳細には示さずにブロック図の形式で示される。
【0010】
アンテナ開口面と、該アンテナ開口面と自由空間との間のインピーダンス整合のためアンテナ開口面に結合され且つそれを上で位置付けられるインピーダンス整合ネットワークとを備えたアンテナが開示される。インピーダンス整合ネットワークは、アンテナ開口面の放射面と機械的に接触する一体化複合積層構造体の一部である。1つの実施形態において、一体化複合積層構造体は、アンテナ開口面の放射効率を改善すると同時に広角インピーダンス整合を提供する。一体化複合積層構造体はまた、ブロードサイド及び複数の走査角度でのアンテナ利得を改善する。1つの実施形態において、一体化複合積層構造体は、無線周波数(RF)電流を分布させるよう作動するダイポール装荷を含み、これにより放射素子のサイズを効果的に増大させ、これによって放射素子の効率を高める。1つの実施形態において、一体化複合積層構造体は、1又は2以上の均質なメタ表面及びアンテナのレードームを含む。
【0011】
1つの実施形態において、一体化複合積層構造体は、効率の向上と、同じ物理的構造体上に受信及び送信放射アンテナ素子の両方を含むアンテナ開口面の開示された整合を提供する点で、広帯域設計である。
【0012】
より具体的には、1つの実施形態において、インピーダンス整合ネットワークは、所望のインピーダンス整合を提供するようアンテナ素子(例えば、アイリス)に対してサイズ指定され位置付けられた素子を含む。1つの実施形態において、素子は、アンテナ開口面においてアンテナ素子と整列した1又は2以上のダイポール素子を備え、ここでアンテナ素子は、無線周波数(RF)エネルギーを放射するよう作動する。1つの実施形態において、インピーダンス整合ネットワークは、ブロードサイドから極度走査ロールオフ角度までの範囲に含まれる全ての走査角度についてインピーダンス整合を提供する点で、広角インピーダンス整合である。本明細書において、ブロードサイド(0°)以外の角度は、走査ロールオフ角度とみなされる。走査ロールオフ角度では、アンテナの走査損失は、角度の純余弦よりも大きくなるので、より大きい走査ロールオフ角では、走査損失は更に一層顕著になる。1つの実施形態において、極度走査ロールオフ角度は通常、50〜75°であるが、エンドファイア角度(90°)に向けてその範囲外であってもよい。1つの実施形態において、走査ロールオフ角度は60°であるが、別の実施形態では、走査ロールオフ角度は75°である。
【0013】
本明細書に開示される複数の異なる広角インピーダンス整合ネットワークが存在する。1つの実施形態において、広角インピーダンス整合ネットワークは、メタ表面積層体を含む。別の実施形態において、広角インピーダンス整合ネットワークは、広角インピーダンス整合(WAIM)表面層を含む。これらの各々は、以下で更に詳細に記載される。
【0014】
(メタ表面積層体)
上述のように、メタ表面積層体は、アンテナ素子を有するアンテナ開口面のインピーダンス整合を提供する広角インピーダンス整合ネットワークとして用いることができる。1つの実施形態において、メタ表面積層体は、複数のメタ表面層を備え、ここでメタ表面層は、望ましい電磁応答を提供する特定の金属パターンを有する層を含む。金属パターンは、プリントパターンとすることができる。1つの実施形態において、メタ表面積層体は、複数の金属層と、アンテナ開口面上に所定の距離で配置される誘電体層ペアとを備える。1つの実施形態において、メタ表面積層体は、アンテナ開口面の利得を改善する。
【0015】
1つの実施形態において、メタ表面積層体は、液晶(LC)ベースのホログラフィックラジアル開口面アンテナ上に位置付けられて、そのアンテナの利得を改善する。このようなメタ表面積層体はまた、受信(Rx)及び送信(Tx)周波数の両方にわたって水平及び垂直偏波の両方について全ての走査角度(ブロードサイドから走査ロールオフ角度のような極度角度まで)で動的帯域幅を拡大する。Rx及びTx周波数は、例えば、限定ではないが、Kuバンド、Kaバンド、Cバンド、Xバンド、Vバンド、Wバンド、その他などのバンド(帯域)の一部とすることができる。
【0016】
1つの実施形態において、メタ表面積層体は、ラジアル開口面の全ての走査角度で顕著な性能改善を提供する。1つの実施形態において、アンテナ開口面は、互いに交互配置されたアンテナ素子として数千の別々のRx及びTxスロット放射体を含むアンテナ素子を含む。このようなアンテナ素子は、表面散乱アンテナ素子を備え、以下でより詳細に記載される。メタ表面積層体は、アンテナ開口面と自由空間との間の強力なインピーダンス整合ネットワークとして機能を果たし、Rx及びTx周波数帯域の両方にわたって同時にアンテナ開口面により自由空間内に放射された電力を最大にする。更に、メタ表面積層体は、全ての走査角度にわたりRx及びTx放射体の両方に対して極めて良好なインピーダンス整合を提供する。
【0017】
1つの実施形態において、メタ表面積層体は、誘電体層(例えば、限定ではないが、クローズドセル発泡体、オープンセル発泡体、ハニカム、その他など、発泡スラブ、あらゆるタイプの低損失誘電材料(例えば、通常は0.02誘電正接未満))によって分離されたメタ表面層を含む。1つの実施形態において、メタ表面層は、基板の表面上又は基板全体にわたって周期的に分布した回転ダイポール素子を含む。1つの実施形態において、基板は、回路基板表面を含む。各メタ表面上のダイポールは、回転タイプの分布であるが、インピーダンス表面の概念は、構造体のサブ波長の性質に起因して設計プロセスで効果的に適用することができる。
【0018】
1つの実施形態において、メタ表面積層体の使用は、Rx及びTx帯域の両方にわたって全ての走査角度においてアンテナ利得を顕著に改善する。1つの実施形態において、各層においてインピーダンス表面値及び基板層(例えば、PCB、発泡体、金属パターンを接着又はプリントすることができる他の材料、その他)及び誘電体層(例えば、発泡層)の厚みを特徴付けることにより、全ての走査角度にわたり、例えば、ブロードサイドから70°までにわたって最大で+3.8dBの利得改善を得ることができる。船用用途に設計されたKu−ASMアンテナの1つの実施形態では、全ての走査角度は0〜60°である。1つの実施形態において、ラジアル開口面の上部で本明細書にて開示されるメタ表面積層体を用いると、Rx帯域にわたってブロードサイド角度で+2dB及び60度走査ロールオフ角度で+3.8dBだけ利得が改善され、他方、Tx帯域にわたっては、ブロードサイド角度で+1dB及び60度走査ロールオフ角度で+3dBだけ利得が改善される。
【0019】
図1Aは、円筒状給電ホログラフィックラジアル開口面アンテナの1つの実施形態の概略図を示している。
図1Aを参照すると、アンテナ開口面は、円筒状給電アンテナの入力給電部102の周りに同心リング状に配置されたアンテナ素子103の1又は2以上のアレイ101を有する。1つの実施形態において、アンテナ素子103は、RFエネルギーを放射する無線周波数(RF)共振器である。1つの実施形態において、アンテナ素子103は、アンテナ開口面の表面全体で交互配置され分布されたRx及びTxアイリスの両方を含む。このようなアンテナ素子の実施例について、以下でより詳細に説明する。本明細書で記載されるRF共振器は、円筒状給電部を含まないアンテナで用いることもできる点に留意されたい。
【0020】
1つの実施形態において、アンテナは、入力給電部102を介して円筒波給電を提供するのに使用される同軸給電部を含む。1つの実施形態において、円筒波給電アーキテクチャは、給電点から円筒状に外向きに広がる励起を中心点からアンテナに供給する。すなわち、円筒状給電アンテナは、外向きに進む同心状給電波を生成する。それでも、円筒状給電部の周りの円筒状給電アンテナの形状は、円形、正方形、又は何らかの形状とすることができる。別の実施形態において、円筒状給電アンテナは、内向きに進む給電波を生成する。このような場合、円形構造から生じる給電波が最も自然である。
【0021】
1つの実施形態において、アンテナ素子103はアイリスを含み、
図1Aの開口面アンテナは、調節可能液晶(LC)材料を通じてアイリスを放射する円筒給電波からの励起を用いることにより成形された主ビームを生成するのに使用される。1つの実施形態において、アンテナは、所望の走査角度にて水平又は垂直方向に分極した電界を放射するよう励起することができる。
【0022】
1つの実施形態において、インピーダンス整合ネットワークは、少なくとも1つの誘電体層により互いに分離された複数のメタ表面層を有するメタ表面積層構造体を備え、メタ表面層の各々は、複数のダイポール素子を含み、各ダイポール素子は、アンテナアレイ101において1つのアンテナ素子(例えば、アイリス)に対して整列される。メタ表面層の数は、1、2、3、4、5、その他であり、アンテナ開口面にとって望ましいインピーダンス整合に基づいている。
【0023】
1つの実施形態において、各ダイポール素子は、1つのアンテナ素子の軸線に対して回転される。1つの実施形態において、アンテナ素子のアレイは、複数の送信スロット放射体と交互配置された複数の受信スロット放射体を含む。1つの実施形態において、各Rxアンテナ素子(例えば、受信スロット放射体)に対して少なくとも1つのダイポール素子が存在する点に留意されたい。代替の実施形態において、Rxアンテナ素子(例えば、受信スロット放射体)の全てがダイポール素子をアンテナ素子上に有する訳ではない。1つの実施形態において、送信スロット放射体は、ダイポール素子をアンテナ素子上に有していない。1つの実施形態において、複数のダイポール素子の各々は、その対応する受信スロット放射体の分極と整列されている。1つの実施形態において、複数のダイポール素子の各々は、その対応する受信スロット放射体(アンテナ素子)に対して垂直である。
【0024】
図1Bは、アンテナ開口面110から正確な距離又は高さでアンテナの上部に配置される積層体幾何形状の1つの実施形態を示している。
図1Bを参照すると、積層体は、誘電体層(例えば、発泡体、又は低損失低誘電材料)によって分離されるN個のメタ表面を含む。積層体は、アンテナ素子のTxアイリスの上部にダイポール素子がない状態で、メタ表面のダイポール素子がアンテナ素子のRxアイリスに対して整列されるようにアンテナの上部に配置される。
【0025】
一例として、
図1Bにおいて、ダイポール素子を含む第1の2つのメタ表面層(メタ表面1及び2)のサブセットは、Rxアンテナ素子上に位置付けられて示されている。すなわち、下層にRxアンテナ素子を備えて、2つのメタ表面層の膨張セクションの上面図が示されている。1つの実施形態において、ダイポール素子は、基板上にプリント又は他の方法で作製された金属ストリップであり、ダイポール素子のサイズは、各層で同じである。しかしながら、ダイポール素子は、異なる層又は同じ層上で異なるサイズとすることができる。ダイポール素子は、Rxアンテナ素子(例えば、Rxアイリス)のサイズに対して求められる所望のインピーダンス整合に基づいてサイズ設定される。1つの実施形態において、ダイポール素子は、180ミル×30ミルの金属構造体である。1つの実施形態において、金属は銅である。しかしながら、金属は、例えば、限定ではないが、アルミニウム、銀、金、その他などの高伝導性の金属又は合金の他のタイプとすることができる。
【0026】
2つのダイポール素子111が、異なる又は同じ高さを有する誘電体層を用いてアンテナ素子112から異なる距離で離隔されて示されている。1つの実施形態において、誘電体層の高さは、Rx/Txアンテナ素子の動作周波数の関数である。すなわち、メタ表面層の誘電体層の高さは、複数の受信スロット放射体の受信スロット放射体が作動する衛星帯域と複数の送信スロット放射体の送信スロット放射体が作動する衛星帯域とに基づいて選択される。1つの実施形態において、誘電体層の高さは、周波数が高くなるほど(及びひいては波長が短くなるほど)、誘電体層のサイズが小さくなるようなものである。1つの実施形態において、ダイポール素子111の1つは、アンテナ素子112から高さh
0にあり、Rxアイリスであり、他のダイポール素子は、アンテナ素子112から高さh
0+h
1にある。1つの実施形態において、h
0は40±5ミル、h
1は60±5ミルであり、アンテナ開口面からの第2のメタ表面層は、100±5ミル離れるようになる。
【0027】
図1Bに示す積層体のような積層体におけるメタ表面層のサブ波長の性質に起因して、積層体は、等価表面インピーダンスとして扱うことができる。
図1Cは、インピーダンス整合分析でどのように使用されるかを示した、アンテナ開口面の上部の積層体の等価伝送線路モデルを示している。1つの実施形態において、ダイポール素子を有するメタ表面は、積層体において等価表面インピーダンスによってモデル化される。積層体の層の数、厚さ、及び材料特性は、全ての走査角度でのRx及びTx帯域の両方にわたる及び直交する直線分極(水平及び垂直)の両方についての性能を向上するよう、及び場合によっては最大にするように選択される点に留意されたい。
図1Cで描かれるように、積層体は、アンテナインピーダンスを自由空間インピーダンス(η=377オーム)に整合させる。従って、アンテナと自由空間との間の伝送係数が増大し、これは、より大きな電力が自由空間に放射できることを意味する。従って、積層体は、アンテナの放射効率を大幅に向上させる。
【0028】
積層体は、製造が容易な点で有利である。1つの実施形態において、メタ表面層は、薄い基板(例えば、最大で5ミル)を備え、該基板上にダイポール素子がプリントされている。基板は、複数の異なる材料を含むことができる。1つの実施形態において、基板は、プリント回路基板(PCB)を含む。或いは、基板は、例えば、熱可塑性フィルム(例えば、ポリイミド)、薄板(例えば、テフロン、ポリエステル、ポリエチレン、その他)などの発泡層又は何らかの低損失誘電材料を含むことができる。1つの実施形態において、メタ表面層と、メタ表面層を分離し且つ積層体をアンテナ開口面から分離する誘電体層とが共に境界付けられる。1つの実施形態において、メタ表面層と、メタ表面層を分離し且つ積層体をアンテナ開口面から分離する誘電体層とは、接着剤(例えば、感圧接着剤(PSA)、Bステージエポキシ、或いは、例えば、エポキシ又はアクリルベースの接着剤又は薄く低損失の何らかの接着材料のような分注接着剤)を用いて共に境界付けられ又は接着される。別の実施形態において、熱及び圧力を加えることにより、低誘電体層(例えば、クローズドセル材料発泡体)がメタ表面層に溶融される。更に別の実施形態において、導電層は、低誘電体層(例えば、発泡体)に直接溶融されて直接エッチングされ、従って、基板及び接着剤が排除される。
【0029】
1つの実施形態において、メタ表面積層体の層は、メタ表面上のフィデューシャル(fiducial)を用いて互いに整列される。整列されると、積層体は互いに境界付けられ、レードームに取り付けられる。1つの実施形態において、レードームは、環境エンクロージャを提供するだけでなく、アンテナに対する構造的安定性も提供する点に留意されたい。その後、積層体を有するレードームは、フィデューシャルを用いてアンテナ開口面のアンテナ素子と整列されて、アンテナ開口面に取り付けられる。
【0030】
図2A及び2Bは、異なる走査角度(すなわち、0、30、45、及び60度)で生成されたスミスチャート上のRx帯域にわたるアンテナの反射係数を示している。
図2Aは、積層体のない状態のアンテナ自体の結果を示し、インピーダンス整合が極めて不十分であることを示す。メタ表面積層体が、アンテナの上部に含まれるときには、
図2Bに示されるように、曲線は、スミスチャートの中心に極めて近くなり、インピーダンス整合が全ての走査角度にて顕著に改善されることを意味する。
【0031】
図3A及び3Bは、2つの走査角度、すなわち、ブロードサイド(0°)及び極度の走査角度(60°)でのRx及びTx周波数帯域の両方にわたるアンテナの測定利得を示している。
図3A及び3Bは、アンテナの上部の本明細書で記載される積層体を用いることにより利得が大幅に改善されることを明らかにしている。Rxでは、ブロードサイド及び60°走査角度それぞれで、最大+2dB及び+3dBの利得改善がある。Txでは、ブロードサイド及び60°走査角度それぞれで、+1dB及び+3dBの利得が改善される。従って、積層体は、Rx及びTx周波数帯域の両方にわたって全ての走査角度でアンテナ性能を顕著に改善する。これにより、ネットワークカバレッジ、帯域幅及び速度が大幅に向上する。更にまた、メタ表面積層体は、アンテナの放射効率を向上させると同時に、利得を改善して雑音温度を低下させ、これにより衛星アンテナにおいて更に高い利得−雑音温度(G/T)をもたらす。
【0032】
開示された積層体は、利得改善及びインピーダンス整合の目的で、例えば、限定ではないが、フェーズドアレイ又は漏れ波アンテナなどの電子ビーム走査アンテナの多くのタイプに適用できる点に留意されたい。積層体はまた、設計の広帯域性質に起因して、周波数走査レーダーアンテナにも用いることができる。
【0033】
従って、開口面アンテナ(例えば、円筒状給電ホログラフィックラジアル開口面アンテナ)の磁気及び電気的応答の両方を調整する調節可能インピーダンス整合層を含むメタ表面積層体が開示されている。
【0034】
(WAIMレードーム)
別の実施形態において、インピーダンス整合ネットワークは、水平方向に分極した電界(H−polE−field)の場合において走査斜角度でアンテナ利得を改善するよう、アンテナ開口面(例えば、円筒状給電ホログラフィックラジアル開口面アンテナ)上に広角インピーダンス整合(WAIM)表面層を備える。換言すると、本発明の実施形態は、WAIM層と円筒状給電ホログラフィックラジアル開口面アンテナの組み合わせを含む。より具体的には、ラジアル開口面漏洩波アンテナのH−pol利得は、ビームが斜めの角度を向いているときに顕著に劣化する。本明細書で開示されるWAIM層を用いると、利得が大幅に改善される。
【0035】
図4Aは、放射アイリスを有するアンテナ素子の適切な励起分布を用いることにより主ビームが成形されるようになる、円筒状給電ホログラフィックアンテナの概略図を示している。その1つの実施例が
図1Aに示されている。アイリスを有するアンテナ素子については、以下でより詳細に説明する。走査ロールオフ角度(例えば、60°)でH−polE−fieldを放射するようにしてアイリスが励起されると、放射性能が顕著に劣化する。
【0036】
図4Bは、アンテナ開口面と自由空間との間のインピーダンス整合のためのWAIM層の1つの実施形態を示している。
図4Bを参照すると、極薄WAIM層402は、金属パターンを有し、アンテナ表面の上方に配置される。1つの実施形態において、パターンは周期的であるが、これは必須ではなく、非周期的パターンを用いてもよい。1つの実施形態において、WAIM層は、金属パターンがプリント又は製作された2ミル厚の基板である。WAIM基板は、走査ロールオフ角度でのH−polE−fieldビーム性能を改善するよう設計される。
【0037】
ロールオフ走査角度では、円筒状給電ホログラフィックアンテナの放射インピーダンスと自由空間インピーダンスとの間の不整合が、H−polE−fieldにおいて顕著である。結果として、アンテナ放射特性は、これらの角度で大幅に劣化する。1つの実施形態において、WAIM層は、リング状要素を含む。WAIM層の要素のリング形状に起因して、リングの主軸が磁界に平行であるので、WAIM層は、H−polE−fieldに反応する。結果として、WAIM層は、インピーダンス整合回路としての機能を果たして、WAIMを有するアンテナがロールオフ走査角度でより大きな電力を効率的に放射するようになる。
【0038】
WAIM層の金属パターンにおける要素の形状は、必要なインピーダンス整合が得られるように選択される点に留意されたい。1つの実施形態において、要素は、リング状パターンを有する。1つの実施形態において、リング状要素は、分割リング共振器(SRR)である。これらの非閉鎖リングは、内部に1つのギャップを有するので、リングは、完全な円を形成しない。
図4Cは、分割リング共振器の1つの実施例を示している。1つの実施形態において、リング状要素の厚み、サイズ及び位置は、アンテナ開口面を自由空間に整合させるのに必要なインピーダンスを得るように選択される要因である。すなわち、厚み、サイズ及び位置を選ぶことにより、ロールオフでの最良の性能で且つ他の角度及び分極性能に対する影響が少ない、望ましいインピーダンス整合を得ることができる。リング状要素は、メタ表面積層体と同様に、アンテナ開口面の共振アンテナ素子と整列する必要はない点に留意されたい。1つの実施形態において、リング状要素は、周期性を有する。1つの実施形態において、リング状要素の周期性は、およそ80ミル±10ミルである。
【0039】
WAIM層は、誘電体層(例えば、発泡体、又は何らかの種類の低損失低誘電率材料、その他)を介してアンテナ開口面から分離される。1つの実施形態において、誘電発泡層は、140ミル±10ミルの高さを有し、1〜1.05に近い誘電定数を有し、WAIM層は、通常最大で5ミル(例えば、2ミル)の厚み及びおよそ4(例えば、3.5)の誘電定数を有して誘電体層にプリントされる。より高い周波数では、WAIMは、低誘電回路基板材料(例えば、5〜10ミル5880)上にプリントされて、発泡スペーサ無しでアンテナ開口面の上部に直接配置することができる。
【0040】
WAIM層は、走査ロールオフ角度でのH−polE−fieldのビーム性能を改善するため、例えば、限定ではないが、フェーズドアレイアンテナ、漏洩波アンテナ、その他などの円筒状給電電子ビーム走査アンテナの他のタイプで用いることができる。スケーラビリティ機能に起因して、WAIM層は、様々な周波数帯域(例えば、Kaバンド、Kuバンド、Cバンド、Xバンド。Vバンド、Wバンド、その他)でも用いることができる。
【0041】
各特定のアンテナタイプは、給電機構及び作動概念に応じて、固有の放射特性を有する点に留意されたい。従って、何らかの特定のタイプのアンテナと共に機能するWAIM層の設計は様々である。1つの実施形態において、幾何形状が最適化された分割リング共振器(SRR)WAIM層は、H−pol走査ロールオフ問題を解消するため円筒状給電ホログラフィックアンテナと共に使用されるように設計される。
【0042】
(ダイポールスーパーストレート)
放射開口面の上部にダイポールパターン付きスーパーストレートを用いることにより、周波数応答を変更(共振周波数を下方にシフトさせること)し、ホログラフィックメタ表面アンテナの放射効率を改善する方法及び装置が記載される。これにより、アイリス周囲の装荷キャパシタインスが増大し、所望の値までの共振周波数の下方シフトをもたらし、また、単位セルにおける抵抗損を低減してアンテナの放射効率を改善して、例えば、
図1Aで上述されたアンテナのようなメタ表面アンテナの構築後の周波数再設定が可能になる。1つの実施形態において、本明細書で記載される広角インピーダンス整合ネットワークと併せて、ダイポール基板が使用される点に留意されたい。ダイポール基板は、アンテナの周波数帯域を所望の周波数にまで下方にシフトさせるが、広角インピーダンス整合は、全ての走査角度において所望の帯域にわたって放射効率を改善する。換言すると、ダイポール基板が広角インピーダンス整合ネットワークと共に使用される場合には、ダイポール基板が、動作周波数帯域を調整すると同時に、インピーダンス整合ネットワークにより放射効率の改善が達成される。
【0043】
メタ表面アンテナは、顕著な抵抗損を生じやすい調節可能損失材料を含むことができる。更に、メタ表面アンテナは、例えば、製造限度又は他のいずれかの実施上の理由により、所望の周波数帯域にわって動作しない場合がある。しかしながら、1つの実施形態において、無給電素子がアンテナ素子の単位セル(例えば、液晶(LC)ベースのセル)の基本設計の一部として使用されて、動作周波数帯域を下方にシフトさせるのを助け、これにより抵抗損を低減し、このようなアンテナ構造において放射電力を増強させる。
【0044】
1つの実施形態において、ダイポール素子にパターン形成されたスーパーストレートは、放射開口面の上部(何らかの広角インピーダンス整合ネットワークの下方)に含められて、動作周波数帯域を調整すると同時に、広角インピーダンス整合ネットワークは、全ての走査角度において放射効率を改善する。1つの実施形態において、このダイポールパターン付きスーパーストレートは、アンテナ素子のスロットに対する相対角度を調整することにより楕円偏波アンテナの軸比を制御し、これは、全ての偏波及び走査角度について同様に当てはまる。
【0045】
ダイポールパターン付き基板の実施形態は、以下の利点の1又は2以上を有する。1つの利点は、アンテナの放射効率及び動的帯域幅を改善しながら、メタ表面アンテナの構築後の周波数再設定を可能にすることである。単位セルの近傍にダイポール素子が存在することで、単位セルが装荷され、単位セルの周波数をシフトする助けとなる。この特定の特徴は、単位セルを可変共振周波数で作動させ、ひいては調節可能帯域幅を制御するのを助け、これによりアンテナの動的帯域幅を改善する助けとなる。
【0046】
1つの実施形態において、ダイポール素子の物理的構造体は、
図5に示された所定の性能のため、誘電材料上にプリントされ、共振器から一定の距離だけ離れた所望の電気的寸法の金属ストリップを含む。寸法及び距離は、ダイポール素子の長さ及び高さを含めて、Rxアンテナ素子のRxアイリスの共振のようなアンテナ素子の特性を阻害するのを避けるように選択される。別の実施形態において、寸法及び距離は、アンテナ素子のRx及びTxアイリスの共振など、アンテナ素子の特性を阻害するのを避けるように選択される。
【0047】
図5Aを参照すると、ダイポール素子501は、誘電材料503(例えば、発泡層)上にあり、アンテナ素子のアイリス502の上方で垂直に位置付けられる。ガラス層504は、アイリスグラウンドと誘電体層503との間にある。ダイポール素子501は、矩形の金属ストリップを含む。物理的構造体は、矩形ストリップに限定されず、必要な周波数シフトを提供するのに望ましい電気的寸法を有するあらゆる実施可能な形状のものとすることができる。
【0048】
1つの実施形態において、アンテナのスイッチング速度要件に起因して、極薄単位セル幾何形状を有することが必要である。例えば、1つの実施形態において、パッチとアイリスグラウンドの間の距離は、通常1〜10ミクロン(例えば、3ミクロン)である。このような状況では、パッチは、アイリスグラウンドに極めて近接している必要があり、放射電力に対するパッチの寄与は、アイリスグラウンドへのパッチの近接近(通常は数ミクロン)に起因して、極めて限定的である。特に、共振時には抵抗損が支配的になり、放射効率の低下をもたらす。このような事例での共振時又は近共振での放射電力を改善する方法は、単位セルに十分に整合したインピーダンスの無給電素子を用いることであり、単位セル近傍で強い共振電流の分割を促進することで、単位セルの抵抗損を低減する。無給電素子の使用には、2つの利点があり、1つは、単位セルの抵抗損を低減する助けとなることであり、また、アンテナのアレイ環境では、十分に整合したダイポール素子が、内部カップリングを低減することにより単位セル間の相互カップリングを抑制し、アンテナ上でのより制御された開口面分布をもたらすようになる。
図5Bは、ダイポール素子有りと無しの場合の単位セルにおける抵抗損のグラフを示している。
【0049】
1つの実施形態において、単位セル上の複数の無給電素子が使用され、ここで無給電素子は、単位セルの複数の誘電体層上に配列された積層状形状になっている。別の実施可能な実施形態は、単位セル上に複数の共平面無給電素子を含む。
図6A及び6Bは、このような配列の一部の実施例を示している。
【0050】
スロットダイポール素子構成のメタ表面アンテナへの適用により、放射特性が向上し、特に上部に無給電ダイポールがない場合に比較的損失が多いセルの放射効率が改善される。種々の走査角度においてアンテナの放射効率の向上も生じる。また、ダイポールは、構築後プロセスの後に動作周波数帯域をシフトさせる補助として使用され、また、各単位セルに対する1又は複数のダイポールの相対配向を調整することによりアンテナの偏波を制御することができる。
【0051】
(液晶(LC)ベースの調節可能インピーダンス整合層)
アンテナの放射特性は、走査角度、動作周波数、及び放射界の偏波に応じて大幅に変化する可能性がある。アンテナ開口面の上方の磁気及び電気インピーダンス整合層は、アンテナの磁気応答及び電気応答にそれぞれ影響を与える可能性がある。結果として、インピーダンス層を調節可能にすることで、磁気的又は電気的事例に対して同時に又は別個にアンテナインピーダンス(又は性能)を調整する優れた能力を提供する。また、場合によっては状況又は仕様に応じて、アンテナ放射特性は、使用時に調整する必要がある。
【0052】
1つの実施形態において、インピーダンス整合メタ表面層は、調節構成要素として液晶(LC)材料を用いて、様々な走査角度での放射性能を調節する。より具体的には、1つの実施形態において、調節は、各セル要素にてLC材料を用いることにより実施され、LCの誘電定数を電子的に変更することにより、各要素の電磁気特性が変化し、その結果、層の等価表面インピーダンスを調整することができる。LC材料は、1又は2以上のインピーダンス整合層に含まれる。例えば、リング状要素からなる調節可能WAIMメタ表面において、LC材料が各リング要素に組み込まれて、極度走査ロールオフ角度にて水平偏波された電界放射に対するアンテナの磁気応答を調節する。別の実施例として、LCベースの調節可能電気ダイポールの表面層は、アンテナの電気応答を制御するのに用いることができる。
【0053】
1つの実施形態において、LCベースの調節可能インピーダンス整合層は、円筒状給電ホログラフィックラジアル開口面の上部で使用される。1つの実施形態において、インピーダンス整合層は、広角度インピーダンス整合(WAIM)層又はダイポールスクリーン層又はこれらの組み合わせである。これらの層を調節することにより、アンテナの磁気及び電気応答は、同時に又は別個に調節することができる。
【0054】
1つの実施形態において、調節可能インピーダンス整合層は、周期的調節可能放射素子(例えば、ダイポール、リング、その他)から構成されるスクリーン層であり、これらの要素により、メタ表面の等価表面インピーダンスを変更することによって、様々な走査角度にて広帯域周波数範囲にわたりアンテナの磁気及び電気周波数応答を調整することができる。1つの実施形態において、調節可能インピーダンス整合層は、周期的調節可能放射素子(例えば、ダイポール、リング、その他)から構成されるスクリーン層であり、これらの要素により、メタ表面の等価表面インピーダンスを変更することによって、様々な走査角度にてかなり広帯域の周波数範囲にわたりアンテナの磁気及び電気周波数応答を調整することができる。従って、調節可能インピーダンス整合層は、アンテナの改善された性能を得るために、様々な走査角度及び周波数帯域で性能の現場での微調整を可能にする。
【0055】
図15は、アンテナ開口面上で調節可能LC構成要素(例えば、マルチバンド円筒状給電ホログラフィックアンテナ、その他)を有する極薄インピーダンス整合層の1つの実施例を示している。1つの実施形態において、インピーダンス整合層(PCBとすることができる)は、2〜60ミルの厚みを有する。マルチバンド円筒状給電ホログラフィックアンテナの場合、主ビームは、アイリスを放射する適切な励起分布を用いることにより成形され、アイリスは、所望の走査角度で水平又は垂直偏波の電界を放射するようにして励起することができる。
【0056】
1つの実施形態において、インピーダンス整合層は単一の層である。1つの実施形態において、LCベースの調節可能インピーダンス整合層は、何らかのプリント回路基板(PCB)又は他の基板上に容易にプリントすることができる単純な薄層である。しかしながら、インピーダンス整合層は、必ずしも単一の層でなくてもよい。別の実施形態において、インピーダンス整合層は、調節可能LC材料により、等価表面インピーダンスの変化を通じて対応する層の磁気又は電気応答を調節できるように、複数の層の積み重ねである。
【0057】
1つの実施形態において、特定の金属パターンは、
図16A及び16Bに示すリングのような、1又は2以上のリングを含む。
図16Aを参照すると、リング1601は単一要素である。
図16Bのリングは、2つの部分を含み、各部分の1つの端部が重なり合っている。2つの部分は、LC材料の対向する側部上に存在することができ、LC材料は、2つの端部の重なり領域の間にある。或いは、別の実施形態において、周期的ダイポールを用いることができる。1つの実施形態において、リングは、金属又は何らかの種類の高伝導性の材料から作られる。
【0058】
調節可能インピーダンス整合層は、様々な偏波、周波数帯域、及び走査角度についてのアンテナ放射特性を調節するため、全てのタイプの電子ビーム走査アンテナで用いることができる点に留意されたい。
【0059】
(アンテナ実施形態の実施例)
上述の技術は、平面アンテナ(flat panel antenna)と共に使用することができる。このような平面アンテナの実施形態が開示される。平面アンテナは、アンテナ開口面上にアンテナ素子の1又は2以上のアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナ素子は、液晶セルを含む。1つの実施形態において、平面アンテナは、行及び列状に配置されていないアンテナ素子の各々を一意的にアドレス指定して駆動するためのマトリクス駆動回路を含む円筒状給電アンテナである。1つの実施形態において、アンテナ素子は、リング状に配置される。
【0060】
1つの実施形態において、アンテナ素子の1又は2以上のアレイを有するアンテナ開口面は、共に結合された複数のセグメントから構成される。セグメントの組み合わせは、共に結合されたときに、アンテナ素子の閉じた同心リングを形成する。1つの実施形態において、同心リングは、アンテナ給電部に対して同心である。
【0061】
(アンテナシステムの実施例)
1つの実施形態において、平面アンテナは、メタマテリアルアンテナシステムの一部である。通信衛星地上局用のメタマテリアルアンテナシステムの実施形態について説明する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、民間商用衛星通信用のKa帯域周波数又はKu帯域周波数のいずれかを使用して動作するモバイルプラットフォーム(例えば、航空、海上、陸上など)上で動作する衛星地上局(ES)のコンポーネント又はサブシステムである。アンテナシステムの実施形態はまた、モバイルプラットフォーム上でない地上局(例えば、固定地上局又は可搬型地上局)でも使用できることに留意されたい。
【0062】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、表面散乱メタマテリアル技術を使用して、別個のアンテナを介して送受信ビームを形成して誘導する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、デジタル信号処理を使用してビームを電気的に形成し誘導するアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。
【0063】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、3つの機能的サブシステム、すなわち、(1)円筒波給電アーキテクチャからなる導波路構造、(2)アンテナ素子の一部である波散乱メタマテリアル単位セルのアレイ、(3)ホログラフィ原理を使用してメタマテリアル散乱素子からの調整可能な放射場(ビーム)の形成を命令する制御構造から構成される。
【0064】
(アンテナ素子)
1つの実施形態において、アンテナ素子は、1つのグループのパッチアンテナを含む。このパッチアンテナのグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナシステムにおける各散乱素子は、下部導体、誘電体基板、及び上部導体からなる単位セルの一部であり、上部導体は、上部導体にエッチングされ又は堆積された相補的電気誘導型容量性共振器(「相補型電気LC」又は「CELC」)を組み込んでいる。当業者には理解されるであろうが、CELC関連におけるLCは、液晶とは対照的に、インダクタンス−キャパシタンスを指す。
【0065】
1つの実施形態において、液晶(LC)は、散乱素子の周りのギャップに配置される。この液晶は、上述の直接駆動型実施形態によって駆動される。1つの実施形態において、液晶は、各単位セルに封入されて、スロットに関連する下部導体をスロットのパッチに関連する上部導体から分離する。液晶は、液晶を構成する分子の配向の関数である誘電率を有し、分子の配向(従って、誘電率)は、液晶の両端のバイアス電圧を調整することによって制御することができる。1つの実施形態において、液晶は、この特性を利用して、誘導波からCELCへのエネルギー伝達のためにオン/オフスイッチを組み込む。スイッチオンになると、CELCは、電気的に小さなダイポールアンテナのように電磁波を放射する。本明細書における教示は、エネルギー伝達に関して2値的に動作する液晶を有することに限定されるものではない点に留意されたい。
【0066】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの給電幾何形状は、アンテナ素子を給電波における波ベクトルに対して45度(45°)の角度に位置決めすることを可能にする。他の位置(例えば、40°)を利用できる点に留意されたい。この素子の位置により、素子が受け取った又は素子から送信/放射される自由空間波の制御が可能となる。1つの実施形態において、アンテナ素子は、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも小さい素子間隔で配列される。例えば、1波長当たりに4つの散乱素子が存在する場合には、30GHzの送信アンテナにおける素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の1/4)である。
【0067】
1つの実施形態において、素子の2つのセットは、互いに垂直であり、同じ同調状態に制御された場合に等しい振幅の励起を同時に有する。これら素子のセットを給電波励起に対して+/−45度回転させると、両方の所望の特徴を同時に達成する。一方のセットを0度回転させ、他方を90度回転させると、垂直目標は達成されるが、等振幅励起の目標は達成されないことになる。0度及び90度は、単一の構造でのアンテナ素子のアレイが2つの側から給電されるときに、分離を達成するのに使用できることに留意されたい。
【0068】
各単位セルからの放射電力の量は、コントローラを使用してパッチに電圧(LCチャネルの両端の電位)を印加することによって制御される。各パッチへのトレースは、パッチアンテナに電圧を供給するのに使用される。この電圧は、静電容量及びひいては個々の素子の共振周波数を同調又は離調させて、ビーム形成を実現するのに使用される。必要な電圧は、使用される液晶混合物に依存する。液晶混合物の電圧同調特性は、液晶が電圧の影響を受け始める閾値電圧と、それ以上に電圧を高めても液晶での大きな同調が生じなくなる飽和電圧とによって、主として説明される。これらの2つの特性パラメータは、異なる液晶混合物については変化することができる。
【0069】
1つの実施形態において、上記で検討したように、マトリクス駆動回路は、セル毎に別個の接続(直接駆動)を有することなく各セルを他の全てのセルとは別個に駆動するために、パッチに電圧を印加するのに使用される。素子の密度が高いので、マトリクス駆動回路は、各セルを個別にアドレス指定する効率的な方法である。
【0070】
1つの実施形態において、アンテナシステム用の制御構造は、2つの主要コンポーネントを含み、アンテナシステム用のアンテナアレイコントローラ(駆動電子機器を含む)は、波散乱構造の下方に存在し、マトリクス駆動スイッチングアレイは、放射を妨害しないように、放射RFアレイ全体にわたって散在する。1つの実施形態において、アンテナシステム用の駆動電子機器は、各散乱素子へのACバイアス信号の振幅又はデューティサイクルを調整することによって、この素子に対するバイアス電圧を調整し、商用テレビ機器で使用される商用既製LCD制御装置を含む。
【0071】
1つの実施形態において、アンテナアレイコントローラはまた、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサを含有する。制御構造はまた、プロセッサに位置及び向き情報を提供するセンサ(例えば、GPS受信機、3軸コンパス、3軸加速度計、3軸ジャイロ、3軸磁力計など)を組み込むこともできる。位置及び向き情報は、地上局内の他のシステムによってプロセッサに提供することができ、及び/又はアンテナシステムの一部でないものとすることができる。
【0072】
より具体的には、アンテナアレイコントローラは、動作周波数においてどの位相レベル及び振幅レベルで、どの素子をオフにしてオンにするかを制御する。これらの素子は、電圧の印加によって周波数動作に対して選択的に離調される。
【0073】
送信については、コントローラが、RFパッチに一連の電圧信号を供給して、変調又は制御パターンを生成する。制御パターンにより、素子が異なる状態に同調するようになる。1つの実施形態において、多状態制御が使用され、この多状態制御では、様々な素子が異なるレベルにオン及びオフされ、矩形波(すなわち、正弦波グレイシェード変調パターン)ではなく、正弦波制御パターンに更に近付く。1つの実施形態において、一部の素子が放射し、一部の素子が放射しないのではなく、一部の素子が他の素子よりも強力に放射する。可変放射は、特定の電圧レベルを印加することによって達成され、これにより液晶誘電率を様々な量に調整し、素子を可変的に離調させて一部の素子に他の素子よりも多く放射させるようにする。
【0074】
メタマテリアル素子アレイによる集束ビームの生成は、増加的干渉及び減殺的干渉の現象よって説明することができる。個々の電磁波は、これらの電磁波が自由空間で交わったときに同相を有する場合には合算(増加的干渉)され、これらの電磁波が自由空間で交わった場合に、これらの電磁波が逆位相にある場合には、電磁波は互いに打ち消し合う(減殺的干渉)。スロット式アンテナにおけるスロットが、各連続するスロットが誘導波の励起点から異なる距離に位置するように位置決めされた場合には、この素子からの散乱波は、前のスロットの散乱波と異なる位相を有するようになる。スロットが、誘導波長の4分の1の間隔を空けて配置される場合には、各スロットは、前のスロットから4分の1位相遅延を有して波を散乱させることになる。
【0075】
アレイを使用すると、生成できる増加的干渉及び減殺的干渉のパターン数を増加させることができるので、理論的には、ホログラフィの原理を使用して、アンテナアレイのボアサイトからプラスマイナス90度(90°)のあらゆる方向にビームを向けることができるようになる。このように、どのメタマテリアル単位セルをオンにするか又はオフにするかを制御することによって(すなわち、どのセルをオンにし、どのセルをオフにするかについてのパターンを変更することによって)、異なる増加的干渉及び減殺的干渉パターンを生成でき、アンテナは、メインビームの方向を変えることができる。単位セルをオン及びオフにするのに必要な時間は、ビームが1つの位置から別の位置に切り替わることができる速度を決定付ける。
【0076】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、アップリンクアンテナ用の1つの誘導可能なビームと、ダウンリンクアンテナの用の1つの誘導可能なビームとを生成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、メタマテリアル技術を使用して、ビームを受信し、衛星からの信号を復号し、及び衛星に向けられる送信ビームを形成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、デジタル信号処理を使用してビームを電気的に形成し誘導するアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。1つの実施形態において、アンテナシステムは、特に、従来のディッシュ型衛星受信機と比較したときに、平面で比較的薄型である「表面」アンテナとみなされる。
【0077】
図7は、グランドプレーン及び再構成可能な共振器層を含むアンテナ素子の1つの列の斜視図を示している。再構成可能共振器層1230は、調節可能スロット(tunable slots)1210のアレイを含む。調節可能スロット1210のアレイは、アンテナを所望の方向に向けるように構成することができる。調節可能スロットの各々は、液晶の両端の電圧を変化させることによって同調/調整することができる。
【0078】
御モジュール1280は、再構成可能共振器層1230に結合され、
図11における液晶の両端の電圧を変化させることによって調節可能スロット1210のアレイを変調する。制御モジュール1280は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、マイクロプロセッサ、コントローラ、システムオンチップ(SoC)、又は他の処理論理回路を含むことができる。1つの実施形態において、制御モジュール1280は、調節可能スロット1210のアレイを駆動するための論理回路(例えば、マルチプレクサ)を含む。1つの実施形態において、制御モジュール1280は、調節可能スロット1210のアレイ上に駆動されるホログラフィック回折パターンに関する仕様を含むデータを受け取る。ホログラフィック回折パターンは、アンテナと衛星との間の空間関係に応答して生成され、ホログラフィック回折パターンが、ダウンリンクビーム(及びアンテナシステムが送信を行う場合には、アップリンクビーム)を通信に好適な方向に誘導することができる。各図には図示されていないが、制御モジュール1280と同様の制御モジュールは、本開示の図に記載された調節可能スロットの各アレイを駆動することができる。
【0079】
無線周波数(「RF」)ホログラフィもまた、RF基準ビームがRFホログラフィック回折パターンに遭遇したときに、所望のRFビームを生成できる類似の技術を使用して実施可能である。衛星通信の場合には、基準ビームは、給電波1205などの給電波の形態である(幾つかの実施形態において、約20GHz)。給電波を放射ビームに変換するために(送信又は受信のいずれかの目的で)、所望のRFビーム(目標ビーム)と給電波(基準ビーム)との間の干渉パターンが計算される。干渉パターンは、給電波が、所望のRFビーム(所望の形状及び方向を有する)に「誘導(steering)」されるように、調節可能スロット1210のアレイ上に回折パターンとして駆動される。言い換えると、ホログラフィック回折パターンに遭遇した給電波は、通信システムの設計要件に従って形成される目標ビームを「再構成」する。ホログラフィック回折パターンは、各素子の励起を包含し、導波路における波動方程式としてのwin及び射出波上の波動方程式としてのwoutを用いて、whologram=win*woutによって計算される。
【0080】
図8Aは、調節可能共振器/スロット1210の1つの実施形態を示している。調節可能スロット1210は、アイリス/スロット1212、放射パッチ1211、及びアイリス1212とパッチ1211との間に配置された液晶1213を含む。1つの実施形態において、放射パッチ1211は、アイリス1212と同じ場所に配置される。
【0081】
図8Bは、物理的アンテナ開口面の1つの実施形態の断面図を示している。アンテナ開口面は、グランドプレーン1245と、再構成可能共振器層1230に含まれるアイリス層1233内の金属層1236とを含む。1つの実施形態において、
図13のアンテナ開口面は、
図12の複数の調節可能共振器/スロット1210を含む。アイリス/スロット1212は、金属層1236の開口部によって定められる。
図11の給電波1205などの給電波は、衛星通信チャネルに適合するマイクロ波周波数を有することができる。給電波は、グランドプレーン1245と共振器層1230との間を伝播する。
【0082】
再構成可能共振器層1230はまた、ガスケット層1232及びパッチ層1231を含む。ガスケット層1232は、パッチ層1231及びアイリス層1233の下方に配置される。1つの実施形態において、スペーサは、ガスケット層1232と置き換えることができることに留意されたい。1つの実施形態において、アイリス層1233は、金属層1236として銅層を含むプリント回路基板(「PCB」)である。1つの実施形態において、アイリス層1233はガラスである。アイリス層1233は、他のタイプの基板とすることができる。
【0083】
開口部は、銅層内でエッチングされて、スロット1212を形成する。1つの実施形態において、アイリス層1233は、導電性接合層によって、
図13における別の構造(例えば、導波路)に導電的に結合される。1つの実施形態において、アイリス層は、導電性接合層によって導電的に結合されるものではなく、その代わりに、非導電性接合層と相互連結することに留意されたい。
【0084】
また、パッチ層1231は、放射パッチ1211として金属を含むPCBとすることができる。1つの実施形態において、ガスケット層1232は、金属層1236とパッチ1211との間の寸法を定める機械的離隔部をもたらすスペーサ1239を含む。1つの実施形態において、スペーサは75ミクロンであるが、他のサイズ(例えば3から200mm)が使用できる。上述したように、1つの実施形態において、
図13のアンテナ開口面は、
図12のパッチ1211、液晶1213、及びアイリス1212を含む調節可能共振器/スロット1210などの複数の調節可能共振器/スロットを備える。液晶1213用のチャンバは、スペーサ1239、アイリス層1233、及び金属層1236によって定められる。チャンバが、液晶で充填された場合には、パッチ層1231は、スペーサ1239上に積層されて、共振器層1230内に液晶をシールすることができる。
【0085】
パッチ層1231とアイリス層1233との間の電圧は、パッチとスロット(例えば、調節可能共振器/スロット1210)との間のギャップ内の液晶を同調するように変調することができる。液晶1213の両端の電圧を調整すると、スロット(例えば、調節可能共振器/スロット1210)の静電容量が変化する。従って、スロット(例えば、調節可能共振器/スロット1210)のリアクタンスは、静電容量を変化させることによって変えることができる。また、スロット1210の共振周波数は、次式:
【数1】
に従って変化し、ここで、fは、スロット1210の共振周波数であり、L及びCは、それぞれ、スロット1210のインダクタンス及び静電容量である。スロット1210の共振周波数は、導波路を通って伝播する給電波1205から放射されるエネルギーに影響を与える。一例として、給電波1205が20GHzである場合には、スロット1210の共振周波数は、17GHzに調整(静電容量を調整することによって)されて、スロット1210が、給電波1205からのエネルギーを実質的に結合しないようにすることができる。或いは、スロット1210の共振周波数は、20GHzに調整されて、スロット1210が、給電波1205からのエネルギーを結合し、このエネルギーを自由空間に放射するようにすることができる。所与の実施例は、2値的(完全に放射するか、又は全く放射しない)であるが、リアクタンス及びひいてはスロット1210の共振周波数の完全なグレイスケール制御は、多値範囲にわたる電圧変化を用いて実施可能である。従って、各スロット1210から放射されるエネルギーを精密に制御して、調節可能スロットのアレイによって詳細なホログラフィック回折パターンを形成できるようになる。
【0086】
1つの実施形態において、行における調節可能スロットは、互いにλ/5だけ離間して配置される。他の間隔を使用することもできる。1つの実施形態において、行における各調節可能スロットは、隣接する行における最も近い調節可能スロットからλ/2だけ離間して配置され、従って、異なる行における共通して配向された調節可能スロットは、λ/4だけ離間して配置されるが、他の間隔(例えば、λ/5、λ/6.3)も可能である。別の実施形態において、行における各調節可能スロットは、隣接する行における最も近い調節可能スロットからλ/3だけ離間して配置される。
【0087】
本発明の実施形態は、2014年11月21日に出願された「Dynamic Polarization and Coupling Control from a Steerable Cylindrically Fed Holographic Antenna(誘導可能な円筒状給電ホログラフィックアンテナからの偏波及び結合の動的制御)」という名称の米国特許出願14/550,178号、及び2015年1月30日に出願された「Ridged Waveguide Feed Structures for Reconfigurable Antenna(再構成可能アンテナのためのリッジ型導波路給電構造)」という名称の米国特許出願14/610,502号に記載されているような再構成可能なメタマテリアル技術を使用する。
【0088】
図9A〜9Dは、スロットアレイを形成する様々な層の1つの実施形態を示している。アンテナアレイは、
図1Aに示されている例示的なリングのようなリング状に位置決めされたアンテナ素子を含む。この実施例では、アンテナアレイは、2つの異なるタイプの周波数帯域に使用される2つの異なるタイプのアンテナ素子を有することに留意されたい。
【0089】
図9Aは、スロットに対応する位置を有する第1のアイリス基板層の一部を示している。
図9Aを参照すると、円は、アイリス基板の底部側におけるメタライゼーション内の空き領域/スロットであり、給電部(給電波)への素子の結合を制御するためのものである。この層は、任意選択の層であり、全ての設計で使用される訳ではない点に留意されたい。
図9Bは、スロットを含む第2のアイリス基板層の一部を示している。
図9Cは、第2のアイリス基板層の一部を覆うパッチを示している。
図9Dは、スロットアレイの一部の上面図を示している。
【0090】
図10は、円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態の側面図を示している。アンテナは、二重層給電構造(すなわち、2つの層の給電構造)を使用して内向き進行波を生成する。1つの実施形態において、アンテナは、円形の外形を含むが、このことは必須ではない。すなわち、非円形の内向き進行波を使用することができる。1つの実施形態において、
図10のアンテナ構造は、例えば、2014年11月21日出願の名称「Dynamic Polarization and Coupling Control from a Steerable Cylindrically Fed Holographic antenna(可動型円筒状給電ホログラフィックアンテナからの動的偏波及びカップリング制御)」の米国特許出願公開第2015/0236412号に記載されるなどの同軸給電部を含む。
【0091】
図10を参照すると、同軸ピン1601は、アンテナの下側レベルで場を励起するのに使用される。1つの実施形態において、同軸ピン1601は、容易に入手できる50Ω同軸ピンである。同軸ピン1601は、導電性グランドプレーン1602であるアンテナ構造の底部に結合(例えば、ボルト締め)される。
【0092】
内部導体である間隙導体1603は、導電性グランドプレーン1602から離隔される。1つの実施形態において、導電性グランドプレーン1602及び間隙導体1603は互いに平行である。1つの実施形態において、グランドプレーン1602と間隙導体1603との間の距離は、0.1インチ〜0.15インチである。別の実施形態において、この距離はλ/2とすることができ、ここでλは、動作周波数での進行波の波長である。
【0093】
グランドプレーン1602は、スペーサ1604を介して間隙導体1603から離隔される。1つの実施形態において、スペーサ1604は、発泡体又は空気状スペーサである。1つの実施形態において、スペーサ1604は、プラスチックスペーサを含む。
【0094】
間隙導体1603の上部には、誘電体層1605がある。1つの実施形態において、誘電体層1605はプラスチックである。誘電体層1605の目的は、自由空間速度に対して進行波を減速することである。1つの実施形態において、誘電体層1605は、自由空間に対して30%進行波を減速する。1つの実施形態において、ビーム形成に好適な屈折率の範囲は、1.2〜1.8であり、自由空間は、定義上、1に等しい屈折率を有する。例えば、プラスチックなどの他の誘電スペーサ材料を用いて、この効果を達成することができる。所望の波動減速効果を達成する限り、プラスチック以外の材料を使用できる点に留意されたい。或いは、例えば機械加工又はリソグラフィにより定めることができる周期的サブ波長金属構造などの分散構造を有する材料を誘電体1605として使用することができる。
【0095】
RFアレイ1606は誘電体1605の上部にある。1つの実施形態において、間隙導体1603とRFアレイ606との間の距離は、0.1〜0.15インチである。別の実施形態において、この距離はλ
eff/2とすることができ、ここでλ
effは設計周波数での媒体中の有効波長である。
【0096】
アンテナは、側面1607及び1608を含む。側面1607及び1608は、同軸ピン1601からの進行波給電が反射によって間隙導体1603の下方の領域(スペーサ層)から間隙導体1603の上方の領域(誘電体層)に伝播するような角度が付けられる。1つの実施形態において、側面1607及び1608の角度は45度の角度である。代替の実施形態において、側面1607及び1608は、反射を達成するために連続した半径に置き換えることができる。
図10は、45度の角度を有する角度付き側部を示しているが、下部給電レベルから上部給電レベルへの信号伝播を達成する他の角度を使用することができる。すなわち、下部給電の有効波長が、上部給電の有効波長とは一般的に異なることを考慮すると、理想的な45度の角度からの何らかの偏差を使用して、下部給電レベルから上部給電レベルへの伝送を助けることができる。例えば、別の実施形態において、45度の角度は、単一の段部に置き換えられる。アンテナの一端上の段部は、誘電体層、間隙導体、及びスペーサ層を一周する。同じ2つの段部が、これらの層の他方の端部に存在する。
【0097】
動作中、給電波が同軸ピン1601から供給されると、この給電波は、グランドプレーン1602と間隙導体1603との間の領域で同軸ピン1601から同心円状に外向きに進む。同心円状射出波は、側部1607及び1608により反射され、間隙導体1603とRFアレイ1606との間の領域で内向きに進む。円形外周の縁部(エッジ)からの反射は、この波を同相に留まらせる(すなわち、この反射は、同相反射である)。進行波は、誘電体層1605によって減速する。この時点で、進行波は、RFアレイ1606の素子との相互作用及び励起を開始して、所望の散乱を取得する。
【0098】
進行波を終了させるため、アンテナの幾何学的中心で終端部1609がアンテナに含まれる。1つの実施形態において、終端部1609は、ピン終端(例えば、50Ωピン)を含む。別の実施形態において、終端部1609は、未使用エネルギーを終端させて、アンテナの給電構造を通る当該未使用エネルギーが反射して戻るのを阻止するRF吸収体を含む。これらは、RFアレイ1606の上部で使用することができる。
【0099】
図11は、アンテナシステムの別の実施形態を射出波と共に示している。
図11を参照すると、2つのグランドプレーン1610、1611は、互いに実質的に平行であり、グランドプレーンの間に誘電体層1612(例えば、プラスチック層など)を有している。RF吸収体1619(例えば、抵抗器)は、2つのグランドプレーン1610及び1611を共に結合する。同軸ピン1615(例えば、50Ω)は、アンテナに給電する。RFアレイ1616は、誘電体層1612及びグランドプレーン1610の上部に存在する。
【0100】
動作中、給電波は、同軸ピン1615を介して供給され、同心円状外向きに進んでRFアレイ1616の素子と相互作用をする。
【0101】
図10及び
図11の両方のアンテナにおける円筒状給電部は、アンテナのサービス角度を改善する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、プラスマイナス45度の方位角(±45° Az)及びプラスマイナス25度の仰角(±25° El)からなるサービス角度の代わりに、全方向でボアサイトから75度(75°)のサービス角度を有する。多数の個々の放射体から構成された何らかのビーム形成アンテナと同様に、全体のアンテナ利得は、それ自体が角度に依存するものである構成素子の利得に依存する。一般的な放射素子が使用される場合には、全体のアンテナ利得は、典型的には、ビームがボアサイトから離れて向けられるにつれて減少する。ボアサイトから75度外れたところでは、約6dBの有意な利得低下が予期される。
【0102】
円筒状給電部を有するアンテナの実施形態は、1又は2以上の問題を解決する。これらは、共通分割器ネットワークを用いて給電されるアンテナと比較して給電構造を飛躍的に簡素化し、及びひいては全体で必要とされるアンテナ及びアンテナ給電量を低減するステップと、より粗い制御(全てを単純なバイナリ制御にまで拡張すること)で高ビーム性能を維持することによって製造及び制御誤差に対する感度を低下させるステップと、円筒状に配向された給電波が遠距離場において空間的に多様なサイドローブをもたらすので、直線的給電部と比較してより有利なサイドローブパターンを与えるステップと、偏波器を必要とせずに、左旋円偏波、右旋円偏波及び直線偏波を可能にすることを含めて偏波を動的であることを可能にするステップと、を含む。
【0103】
(波散乱素子のアレイ)
図10のRFアレイ1606及び
図11のRFアレイ1616は、放射体として機能する1つのグループのパッチアンテナ(すなわち、散乱体)を含む波散乱サブシステムを含む。このパッチアンテナのグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを含む。
【0104】
1つの実施形態において、アンテナシステムにおける各散乱素子は、下部導体と、誘電体基板と、相補的電気誘導型容量性共振器(「相補型電気LC」又は「CELC」)を組み込んだ上部導体とからなる単位セルの一部であり、相補的電気誘導型容量性共振器は、上部導体にエッチング又は堆積される。
【0105】
1つの実施形態において、液晶(LC)が散乱素子の周りのギャップに注入される。液晶は、各単位セルに封入され、スロットに関連する下部導体をパッチに関連する上部導体から分離する。液晶は、この液晶を構成する分子の配向の関数である誘電率を有し、分子の配向(従って、誘電率)は、液晶の両端のバイアス電圧を調整することによって制御することができる。この特性を利用して、液晶は、誘導波からCELCへのエネルギー伝達のためのオン/オフスイッチとして機能する。スイッチオンになると、CELCは、電気的に小さなダイポールアンテナのように電磁波を放射する。
【0106】
LCの厚みを制御することにより、ビームスイッチング速度が増大する。下部導体と上部導体との間のギャップ(液晶の厚み)が50パーセント(50%)減少すると、速度が4倍に増大する。別の実施形態において、液晶の厚みは、約14ミリ秒(14ms)のビームスイッチング速度を結果としてもたらす。1つの実施形態において、LCは、応答性が向上するような当技術分野で周知の方法でドープされ、7ミリ秒(7ms)要件に適合できるようになる。
【0107】
CELC素子は、CELC素子の面に平行で且つCELCギャップ補完物に垂直に印加される磁界に応答する。電圧がメタマテリアル散乱単位セルにおいて液晶に印加されると、誘導波の磁界成分がCELCの磁気励起を誘導し、その結果、誘導波と同じ周波数の電磁波が生成される。
【0108】
単一のCELCによって生成される電磁波の位相は、誘導波ベクトル上のCELCの位置によって選択することができる。各セルは、CELCと平行な誘導波と同相の波を生成する。CELCは、波長よりも小さいので、出力波は、誘導波がCELCの下を通過するときのこの誘導波の位相と同じ位相を有する。
【0109】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの円筒状給電幾何形状は、CELC素子を、給電波における波ベクトルに対して45度(45°)の角度で位置決め可能になる。この素子の位置により、素子から生成され又は素子によって受け取られる自由空間波の偏波の制御が可能になる。1つの実施形態において、CELCは、アンテナの動作周波数の自由空間波長よりも小さい素子間隔で配列される。例えば、1波長当たりに4つの散乱素子が存在する場合、30GHzの送信アンテナの素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の1/4)となる。
【0110】
1つの実施形態において、CELCは、スロットの上方に並置されたパッチを含むパッチアンテナで実施され、該パッチアンテナは、これらパッチとアンテナ間に液晶を備える。この点において、メタマテリアルアンテナは、スロット(散乱)導波路のように作用する。スロット導波路に関しては、出力波の位相は、誘導波に対するスロットの位置に依存する。
【0111】
(セル配置)
1つの実施形態において、アンテナ素子は、系統的マトリクス駆動回路を可能にするように円筒状給電アンテナの開口面上に配置される。セルの配置は、マトリクス駆動用のトランジスタの配置を含む。
図12は、アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示している。
図12を参照すると、行コントローラ1701は、行選択信号Row1(行1)及びRow2(行2)それぞれを介してトランジスタ1711、1712に結合され、列コントローラ1702は、列選択信号Column1(列1)を介してトランジスタ1711、1712に結合される。また、トランジスタ1711は、パッチへの接続1731を介してアンテナ素子1721に結合され、トランジスタ1712は、パッチへの接続1732を介してアンテナ素子1722に結合される。
【0112】
単位セルが非正規グリッド内に配置されて円筒状給電アンテナ上でマトリクス駆動回路を実現する最初の手法では、2つのステップが実行される。第1のステップでは、セルが同心リング上に配置され、セルの各々は、セルの傍らに配置されたトランジスタに接続され、このトランジスタが、各セルを別々に駆動するスイッチとして機能する。第2のステップでは、マトリクス駆動回路は、このマトリクス駆動手法が必要とするときにあらゆるトランジスタを一意のアドレスで接続するように構築される。マトリクス駆動回路は、行と列のトレースによって構築される(LCDと同様)が、セルはリング上に配置されるので、各トランジスタに一意のアドレスを割り当てる系統的方法は存在しない。このマッピング問題は、全てのトランジスタをカバーするために極めて複雑な回路を生じさせ、経路設定を行う物理的トレースの数が著しく増加させることになる。セルが高密度であるので、これらのトレースは、カップリング効果に起因してアンテナのRF性能を妨げる。また、トレースが複雑であり実装密度が高いことに起因して、トレースの経路設定は、商業的に入手可能なレイアウトツールによって行うことができない。
【0113】
1つの実施形態において、マトリクス駆動回路は、セル及びトランジスタが配置される前に事前に定められる。このことは、各々が一意のアドレスを有する全てのセルを駆動するのに必要な最小数のトレースが確保される。この方式は、駆動回路の複雑性を軽減して経路設定を簡素化し、これによってアンテナのRF性能が向上する。
【0114】
より具体的には、1つの手法では、第1のステップにおいて、セルは、各セルの一意のアドレスを表す行及び列から構成された正方形グリッド上に配置される。第2のステップにおいて、セルは、セルのアドレス、及び第1のステップで定められた行及び列への接続性が維持されながら、グループ化されて同心円に変換される。この変換の目的は、セルをリング上に配置するだけでなく、開口面全体にわたってセル間の距離及びリング間の距離を一定に保つことである。この目的を達成するために、セルをグループ化する幾つかの方法が存在する。
【0115】
1つの実施形態において、TFTパッケージは、マトリクス駆動回路における配置及び一意のアドレス指定を可能にするのに使用される。
図13は、TFTパッケージの1つの実施形態を示している。
図13を参照すると、TFT及び保持キャパシタ1803が、入力ポート及び出力ポートと共に示されている。トレース1801に接続された2つの入力ポートと、トレース1802に接続された2つの出力ポートとがあり、行及び列を使用してTFTを共に接続する。1つの実施形態において、行のトレース及び列のトレースは、90°の角度で交差して、行のトレースと列のトレースとの間の結合が低減され、場合によっては最小となることがある。1つの実施形態において、行のトレース及び列のトレースは、様々な層上に存在する。
【0116】
全二重通信システムの例
別の実施形態において、複合アンテナ開口面は、全二重通信システムで使用される。
図14は、同時送信及び受信経路を有する通信システムの別の実施形態のブロック図である。1つの送信経路及び1つの受信経路のみが示されているが、通信システムは、1つよりも多い送信経路及び/又は1つよりも多い受信経路を含むことができる。
【0117】
図14を参照すると、アンテナ1401は、上述のように異なる周波数で同時に送信及び受信するように独立して動作可能な2つの空間的に交互配置されたアンテナアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナ1401は、ダイプレクサ1445に結合される。この結合は、1又は2以上の給電ネットワークによるものとすることができる。1つの実施形態において、放射状給電アンテナの場合、ダイプレクサ1445は、2つの信号を組み合わせるものであり、アンテナ1401とダイプレクサ1445の間の接続は、両方の周波数を搬送できる単一の広帯域給電ネットワークである。
【0118】
ダイプレクサ1445は、低ノイズブロックダウンコンバータ(LNB)1427に結合され、このLNBは、当技術分野において周知の方法でノイズフィルタリング機能、ダウンコンバート機能、及び増幅機能を実行する。1つの実施形態において、LNB1427は、室外ユニット(ODU)に存在する。別の実施形態において、LNB1427は、アンテナ装置に組み込まれる。LNB1427は、コンピューティングシステム1440(例えば、コンピュータシステム、モデムなど)に結合されたモデム1460に結合される。
【0119】
モデム1460は、アナログデジタル変換器(ADC)1422を含み、このADCは、LNB1427に結合されて、ダイプレクサ1445から出力された受信信号をデジタル形式に変換する。デジタル形式に変換されると、信号は、復調器1423によって復調されて、復号器1424によって復号されて、受信波上の符号化されたデータが得られる。次に、復号されたデータは、コントローラ1425に送られ、このコントローラが、このデータをコンピューティングシステム1440に送る。
【0120】
モデム1460は更に、コンピューティングシステム1440から送信されたデータを符号化するエンコーダ1430を含む。符号化されたデータは、変調器1431によって変調され、次に、デジタルアナログ変換器(DAC)1432によってアナログに変換される。次に、アナログ信号は、BUC(アップコンバート及び高域増幅器)1433によってフィルタリングされて、ダイプレクサ1445の1つのポートに供給される。1つの実施形態において、BUC1433は、室外ユニット(ODU)に存在する。
【0121】
当技術分野において周知の方法で動作するダイプレクサ1445は、伝送のため送信信号をアンテナ1401に供給する。
【0122】
コントローラ1450は、単一の複合物理的開口面上のアンテナ素子の2つのアレイを含むアンテナ1401を制御する。
【0123】
通信システムは、上述の合成器/アービターを含むように修正されることになる。このような場合、合成器/アービターはモデムの後でBUC及びLNBの前にある。
【0124】
図14に示された全二重通信システムは、限定ではないが、インターネット通信、車両通信(ソフトウェア更新を含む)などを含む幾つかの用途があることに留意されたい。
【0125】
以上の詳細説明の幾つか部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズム及び記号表現の観点で提示されている。これらのアルゴリズム的記述及び表現は、データ処理技術分野の当業者により、自らの作業の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用される手段である。アルゴリズムは、ここでは一般的に、望ましい結果に至る自己矛盾のない一連のステップであると考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。必須ではないが、通常は、これらの量は、格納、転送、結合、比較、及び他の操作が可能な電気信号又は磁気信号の形式を取る。これらの信号をビット、値、要素、記号、符号、用語、又は数字などと言及することは、主として共通使用という理由で時に好都合であることが判明している。
【0126】
しかしながら、これらの用語及び類似の用語は、全て適切な物理量に関連付けられるものとし、且つこれらの量に付与される有利なラベルに過ぎないことに注意されたい。以下の説明から明らかなように、特に明記しない限り、説明全体を通して、「処理する」又は「演算する」又は「計算する」又は「決定する」又は「表示する」などのような用語を利用する説明は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的な(電子的な)量として表されるデータをそのコンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のそのような情報ストレージ、送信又は表示デバイス内の物理量として同様に表される別のデータに操作及び変換するコンピュータシステム又は類似の電子コンピュータデバイスのアクション及び処理を指すことが認められる。
【0127】
本発明はまた、本明細書の作動を実行するための装置に関する。この装置は、必要とされる目的のために特別に構成することができ、又はコンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成される汎用コンピュータを有することができる。このようなコンピュータプログラムは、限定ではないが、フロッピーディスク、光ディスク、CD−ROM、及び光磁気ディスクを含むあらゆるタイプのディスク、読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光カード、又は電子命令の格納に適するあらゆるタイプの媒体のようなコンピュータ可読ストレージ媒体に格納することができ、各々がコンピュータシステムバスに結合される。
【0128】
本明細書に提示したアルゴリズム及び表示は、いずれの特定のコンピュータ又は他の装置とも本質的に関連付けられたものではない。様々な汎用システムを本明細書の教示によるプログラムと共に使用することができ、又は必要とされる方法ステップを実行するより特殊化された装置を構成することが有利であることが判明する場合がある。様々なこれらのシステムに必要とされる構造は、以下の説明から明らかであろう。これに加えて、本発明は、いずれの特定のプログラミング言語に関連しても説明されていない。様々なプログラミング言語を使用して、本明細書に説明した本発明の教示を実施することができることが認められるであろう。
【0129】
機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって可読の形態の情報を格納又は送信するためのいずれかの機構を含む。例えば機械可読媒体は、読取専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスクストレージ媒体、光学ストレージ媒体、フラッシュメモリデバイスなどを含む。
【0130】
本発明の多くの改変及び修正が前述の説明を読んだ後で疑いなく当業者には明らかになるであろうが、例証によって図示及び説明されたいずれの特定の実施形態も限定として捉えられるものではない点を理解されたい。従って、様々な実施形態の詳細事項への言及は、本発明にとって基本的なものとしてみなされる特徴のみを記載する請求項の範囲を限定するものではない。