特許第6980790号(P6980790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6980790龍眼肉抽出物を含有する二日酔い予防または解消用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980790
(24)【登録日】2021年11月19日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】龍眼肉抽出物を含有する二日酔い予防または解消用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/77 20060101AFI20211202BHJP
   A61K 36/69 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 36/236 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 36/488 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 36/539 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 36/346 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 36/232 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 36/71 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 36/31 20060101ALI20211202BHJP
   A61K 36/882 20060101ALI20211202BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20211202BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20211202BHJP
【FI】
   A61K36/77
   A61K36/69
   A61K36/236
   A61K36/488
   A61K36/539
   A61K36/346
   A61K36/232
   A61K36/71
   A61K36/31
   A61K36/882
   A61P39/02
   A23L33/105
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-535808(P2019-535808)
(86)(22)【出願日】2017年12月26日
(65)【公表番号】特表2020-514285(P2020-514285A)
(43)【公表日】2020年5月21日
(86)【国際出願番号】KR2017015502
(87)【国際公開番号】WO2018124708
(87)【国際公開日】20180705
【審査請求日】2019年9月11日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0184103
(32)【優先日】2016年12月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】304039548
【氏名又は名称】コリア・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ヒョンオク
(72)【発明者】
【氏名】ベ, ナヨン
(72)【発明者】
【氏名】リー, フーアン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジュンギ
【審査官】 柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2005−0105781(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2006−0117550(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00−36/9068
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
龍眼肉(longan arillus)抽出物を有効成分として含有する、肝組織でのアルコール代謝活性化またはアルコール性二日酔い予防若しくは減少用薬学組成物であって、
前記抽出物は、龍眼肉、遠志および藁本の1:0.1乃至10:0.1乃至10の重量比での混合物からの混合抽出物である、薬学組成物
【請求項2】
葛根、黄ごん、桔梗、白し、升麻、らいふく子および石菖蒲からなる群より選択される少なくとも1種の抽出物を追加的に含有する、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項3】
前記抽出物は、水、C乃至Cの直鎖または分枝型低級アルコールからなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒、または水と前記少なくとも1種の有機溶媒との混合物を用いて抽出されたものである、請求項1又は2に記載の薬学組成物。
【請求項4】
前記抽出物は、水、エタノール、または水とエタノールの混合物を用いて抽出されたものである、請求項に記載の薬学組成物。
【請求項5】
龍眼肉(longan arillus)抽出物を有効成分として含有する、肝組織でのアルコール代謝活性化またはアルコール性二日酔い予防若しくは減少用食品組成物であって、
前記抽出物は、龍眼肉、遠志および藁本の1:0.1乃至10:0.1乃至10の重量比での混合物からの混合抽出物である、食品組成物
【請求項6】
葛根、黄ごん、桔梗、白し、升麻、らいふく子および石菖蒲からなる群より選択される少なくとも1種の抽出物を追加的に含有する、請求項に記載の食品組成物。
【請求項7】
前記抽出物は、水、C乃至Cの直鎖または分枝型低級アルコールからなる群より選択された少なくとも1種の有機溶媒、または水と前記少なくとも1種の有機溶媒との混合物を用いて抽出されたものである、請求項5又は6に記載の食品組成物。
【請求項8】
前記抽出物は、水、エタノール、または水とエタノールの混合物を用いて抽出されたものである、請求項に記載の食品組成物。
【請求項9】
前記食品は、飲料である、請求項5から8のいずれか一項に記載の食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール摂取後に発生する二日酔い現像の改善効能、アルコール脱水素酵素(ADH)、およびアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)活性化効能を有する龍眼肉抽出物のアルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消用途に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会の頻繁な飲酒と過飲により、二日酔いを除去できる薬物または飲料に対する関心が高まっている。二日酔い解消飲料市場は毎年成長の傾向を示して売上1千億ウォンを越える規模に成長しており、海外市場でも注目されている(キム・オンギョン、二日酔い解消飲料市場動向、韓国食品情報院・食品世界、2009)。
【0003】
二日酔いは、酒を飲んだ後に現れる頭痛、下痢、食欲不振、悪心、嘔吐、悪寒、冷や汗などの症状を意味し、客観的な症状としては認知、運動能力の低下、血液学的変化およびホルモンの変化を称す。二日酔いの原因は、脱水、アルコールおよびアルコール代謝物(アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトンなど)の毒性、吸収障害による栄養素欠乏(血糖、ビタミン、無機質欠乏)などと言われている。二日酔い程度は、遺伝に応じた個人の偏差、環境状態(栄養状態、運動状態、脱水程度、健康状態)により程度の差が非常に激しい(クォンら、韓国応用薬物学会誌、2005、13、107)。
【0004】
飲酒後にアルコールは3つの経路を通じて代謝されるが、エタノールの濃度が低い時は、胃腸管または肝に存在するアルコール脱水素酵素(Alcohol dehydrogenase)とアセトアルデヒド脱水素酵素(Acetaldehyde dehydrogenase)の作用によって、エタノールの濃度が高い時は、小胞体に存在するマイクロゾームエタノール酸化体系(MEOS:Microsom alethanol oxidizing system)によりアセトアルデヒドと酢酸に代謝され、以降、ペルオキシソーム(peroxisome)に存在するカタラーゼ(catalase)の作用などを経て二酸化炭素(CO)と水(HO)に最終分解される。適当量のアルコールが流入されると、前述した代謝体系が円滑に作用してアルコールのために発生する諸般症状が起こらないが、多量のアルコール流入時に代謝体系の均衡が破壊されて生体恒常性を維持することができず、短期的には頭痛または頭重感、集中力減退、胸焼けおよび消化不良などがもたらされ、長期的には肝機能障害が発生することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一例は、龍眼肉(longan arillus)の抽出物、前記抽出物の乾燥物および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上を有効性分として含有するアルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消用薬学組成物を提供する。
【0006】
他の例は、龍眼肉(longan arillus)の抽出物、前記抽出物の乾燥物および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上を有効性分として含有するアルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消用食品組成物を提供する。前記食品は、飲料であってもよい。
【0007】
他の例は、龍眼肉(longan arillus)の抽出物、前記抽出物の乾燥物および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上の有効量をアルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消を必要とする対象に投与する段階を含む、アルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消方法を提供する。
【0008】
他の例は、龍眼肉(longan arillus)の抽出物、前記抽出物の乾燥物および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上の、アルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消用薬学組成物および/または食品組成物に用いるための用途を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書では、龍眼肉(longan arillus)に由来する抽出物がアルコール摂取後に発生する運動能力消失と睡眠誘導症状から迅速に回復されるように作用し、アルコール脱水素酵素とアセトアルデヒド脱水素酵素の活性を増加させてアルコール代謝を促進することによって二日酔い解消に効果があることが提案される。
【0010】
より具体的に、本明細書は、龍眼肉(longan arillus)の抽出物がアルコールを投与したマウスで発生する運動能力低下現像を改善し、アルコール投与による睡眠誘導症状も改善し、またアルコールを投与したマウスの肝組織でアルコール脱水素酵素(ADH)およびアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の活性を増加させる効能があることを提案する。
【0011】
一例は、龍眼肉抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上を有効性分として含有するアルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消用薬学組成物を提供する。
【0012】
他の例は、龍眼肉抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上を有効性分として含有するアルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消用食品組成物を提供する。
【0013】
他の例は、龍眼肉(longan arillus)の抽出物、前記抽出物の乾燥物および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上を有効性分として含有するアルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消用食品組成物を提供する。前記食品は、飲料であってもよい。
【0014】
他の例は、龍眼肉(longan arillus)の抽出物、前記抽出物の乾燥物および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上、または前述したアルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消用薬学組成物または食品組成物の有効量をアルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消を必要とする対象に投与する段階を含む、アルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消方法を提供する。
【0015】
他の例は、龍眼肉(longan arillus)の抽出物、前記抽出物の乾燥物および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上の、アルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消用薬学組成物および/または食品組成物に用いるための用途を提供する。
【0016】
前記薬学組成物および食品組成物は、
(1)龍眼肉抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上に加えて、
(2)藁本、遠志、またはこれらの混合物の抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上
を追加的に含むことができる。
【0017】
したがって、本発明の一例は、
(1)龍眼肉抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上;および
(2)藁本、遠志、またはこれらの混合物の抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上
を有効性分として含むアルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消用薬学組成物を提供する。
【0018】
他の例は、
(1)龍眼肉抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上;および
(2)藁本、遠志、またはこれらの混合物の抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上
を有効性分として含むアルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消用食品組成物を提供する。
【0019】
他の例で、前記薬学組成物および食品組成物は、
(1)龍眼肉抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上、および
(2)藁本、遠志、またはこれらの混合物の抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上に加えて、
(3)葛根、黄ごん、桔梗、升麻、白し、らいふく子、および石菖蒲からなる群より選択された1種以上の抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上
を追加的に含むことができる。
【0020】
したがって、本発明の一例は、
(1)龍眼肉抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上;
(2)藁本、遠志、またはこれらの混合物の抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上;および
(3)葛根、黄ごん、桔梗、升麻、白し、らいふく子、および石菖蒲からなる群より選択された1種以上の抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上
を有効性分として含むアルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消用薬学組成物を提供する。
【0021】
他の例は、
(1)龍眼肉抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上;
(2)藁本、遠志、またはこれらの混合物の抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上;および
(3)葛根、黄ごん、桔梗、升麻、白し、らいふく子、および石菖蒲からなる群より選択された1種以上の抽出物、前記抽出物の乾燥物、および前記抽出物の濃縮物からなる群より選択された1種以上
を有効性分として含むアルコール性二日酔い予防および/または二日酔い解消用食品組成物を提供する。
【0022】
本明細書で、「二日酔い」は、酒などのアルコール飲料(エタノール)を自身の代謝能力以上に摂取することで発生する不快な身体的状態を意味する。アルコール(エタノール)がアセトアルデヒドに代謝されて体内に残ってそれが二日酔い症状を起こす。二日酔いは、夜間に酒を飲んで翌朝起きた後に顕著に現れる現像であってもよい。二日酔いは、急性アルコール中毒とは異なり、生活に直接的な危険ではないが、しばしば酔いと頭痛などの顕著な不快感を伴うことがある。
【0023】
本明細書で提供される二日酔い予防および/または改善効果は、アルコール飲料の摂取前、同時、または後に投与されて、二日酔い症状が発生することを防止したり非投与時と比較して二日酔い症状を弱化/緩和させる効果を総称することができる。
【0024】
本明細書で、別途の言及がない限り、「抽出物」は、抽出物と抽出物を乾燥した乾燥物、および抽出物を濃縮した濃縮物のうちのいずれか一つを意味するために用いられ得る。
【0025】
「龍眼肉」は、龍眼の木の仮種皮を意味し、生薬名がLongan arillusである。
【0026】
「藁本」は、セリ科に属する薬品植物で、生薬名がAngelicae tenuissimae Radixであり、前記植物の根、茎および葉の部位を抽出して用いることができ、一例で前記植物の根を用いることができる。
【0027】
「遠志」は、遠志科(Polygalaceae)に属する薬品植物で、生薬名がPolygalae Radixであり、前記植物の根、茎および葉の部位を抽出して用いることができ、一例で前記植物の根を用いることができる。
【0028】
「葛根」は、葛(Puerarialobate(Willd.) Ohwi)の周皮を除去した根を意味する。
【0029】
「黄ごん」は、生薬名がScutellariae Radixで、双子葉植物シソ目シソ科の多年草であり、前記植物の根、茎および葉の部位を抽出して用いることができ、例えば前記植物の根を用いることができる。
【0030】
「桔梗」は、生薬名がPlatycodi Radixで、キキョウ科の多年草であり、夏に白色と紫色の花が咲く。前記植物の根、茎および葉の部位を抽出して用いることができ、例えば前記植物の根を用いることができる。
【0031】
「升麻」は、生薬名がCimicifugae Rhizomaで、キンポウゲ科の升麻(Cimicifuga heracleifolia Komarov)または同属植物の根茎で作った薬剤である。
【0032】
「白し」は、繖形科のヨロイグサ(Angelica dahurica Bentham et Hooker)またはその変種の根を乾燥させて作った薬剤で、生薬名がAngelicae Dahuricae Radixである。
【0033】
「らいふく子」は、十字花科の大根(Raphanus sativus L.)または同属植物の種を用いて作った薬剤であり、生薬名がRaphani Semenである。
【0034】
「石菖蒲」は、生薬名がAcori Gramineri Rhizomaで、単子葉植物天南星科目天南星科の多年草である。前記植物の根、茎および葉の部位を抽出して用いることができ、例えば、前記植物の根を用いることができる。
【0035】
龍眼肉を含む前述した生薬の抽出物は、熱水抽出物または有機溶媒抽出物であってもよく、当業界に公知の植物抽出物製造方法を利用して製造されてもよい。例えば、抽出溶媒として水;C乃至Cの直鎖または分枝型低級アルコール、ヘキサン、塩化メチレン、アセトニトリル、およびアセトンなどからなる群より選択された1種以上の有機溶媒;および水と前記1種以上の有機溶媒の混合溶媒からなる群より選択されたものを用いることができる。
【0036】
一例で、前記抽出溶媒は、水、または水とC乃至Cの直鎖または分枝型低級アルコール(例えば、エタノール)の混合溶媒(例えば、10乃至50%(v/v)、10乃至45%(v/v)、10乃至40%(v/v)、10乃至35%(v/v)、10乃至30%(v/v)、10乃至25%(v/v)、10乃至22%(v/v)、15乃至50%(v/v)、15乃至45%(v/v)、15乃至40%(v/v)、15乃至35%(v/v)、15乃至30%(v/v)、15乃至25%(v/v)、15乃至22%(v/v)、18乃至50%(v/v)、18乃至45%(v/v)、18乃至40%(v/v)、18乃至35%(v/v)、18乃至30%(v/v)、18乃至25%(v/v)、または18乃至22%(v/v)のC乃至Cの直鎖または分枝型低級アルコール(例えば、エタノール)水溶液)であってもよい。
【0037】
一例で、前記抽出物は、生薬を水、C乃至Cの直鎖または分枝型低級アルコールからなる群より選択された1種以上、またはこれらの混合物で抽出した1次抽出物;前記1次抽出物を水、ヘキサン、塩化メチレン、およびC乃至Cの直鎖または分枝型低級アルコールからなる群より選択された1種以上を用いて追加的に抽出した2次抽出物;前記2次抽出物をアセトニトリル、C乃至Cの直鎖または分枝型低級アルコール(例えば、メタノール)、アセトンおよび水からなる群より選択された1種以上を用いて追加的に抽出した3次抽出物;またはこれらのうちの2以上の混合物であってもよい。例えば、前記1次抽出物および/または2次抽出物および/または3次抽出物を得るに使用された抽出溶媒は、水、または水とC乃至Cの直鎖または分枝型低級アルコール(例えば、エタノール)の混合溶媒(例えば、10乃至50%(v/v)、10乃至45%(v/v)、10乃至40%(v/v)、10乃至35%(v/v)、10乃至30%(v/v)、10乃至25%(v/v)、10乃至22%(v/v)、15乃至50%(v/v)、15乃至45%(v/v)、15乃至40%(v/v)、15乃至35%(v/v)、15乃至30%(v/v)、15乃至25%(v/v)、15乃至22%(v/v)、18乃至50%(v/v)、18乃至45%(v/v)、18乃至40%(v/v、18乃至35%(v/v)、18乃至30%(v/v)、18乃至25%(v/v)、または18乃至22%(v/v)のC乃至Cの直鎖または分枝型低級アルコール(例えば、エタノール)水溶液)であってもよい。
【0038】
一具体例で、前記抽出物は、龍眼肉および遠志の混合抽出物である場合、前記混合抽出物は、龍眼肉抽出物および遠志抽出物の混合物または龍眼肉および遠志の混合物の抽出物を意味し得る。例えば、前記龍眼肉および遠志の混合抽出物は、龍眼肉および遠志が1:0.2乃至1:10、1:0.4乃至1:5、1:0.8乃至1:2.5、または1:1の重量比(龍眼肉重量:遠志重量)で混合されて抽出されたり、龍眼肉抽出物および遠志抽出物を1:0.2乃至1:10、1:0.4乃至1:5、1:0.8乃至1:2.5、または1:1の重量比(龍眼肉抽出物重量:遠志抽出物重量)で含むものであってもよい。
【0039】
前記抽出物が龍眼肉および藁本の混合抽出物の場合、前記混合抽出物は、龍眼肉抽出物および藁本抽出物の混合物または龍眼肉および藁本の混合物の抽出物を意味し得る。例えば、龍眼肉および藁本の混合抽出物は、龍眼肉および藁本が1:0.1乃至1:5、1:0.2乃至1:2.5、1:0.8乃至1:1.25、または1:1の重量比(龍眼肉重量:藁本重量)で混合されて抽出されたり、龍眼肉抽出物および藁本抽出物を1:0.1乃至1:5、1:0.2乃至1:2.5、1:0.8乃至1:1.25、または1:1の重量比(龍眼肉抽出物重量:藁本抽出物重量)含むものであってもよい。
【0040】
前記抽出物が龍眼肉、遠志および藁本の混合抽出物である場合、前記抽出物は、龍眼肉抽出物、遠志抽出物および藁本抽出物の混合物または龍眼肉、遠志および藁本の混合物の抽出物であってもよい。例えば、前記龍眼肉、遠志および藁本の混合抽出物は、龍眼肉、遠志および藁本が1:0.1乃至10:0.1乃至10、1:0.2乃至5:0.2乃至5、1:0.4乃至2.5:0.4乃至2.5、または1:1:1の重量比(龍眼肉重量:遠志重量:藁本重量)で混合されて抽出されたり、龍眼肉抽出物、遠志抽出物、および藁本抽出物を1:0.1乃至10:0.1乃至10、1:0.2乃至5:0.2乃至5、1:0.4乃至2.5:0.4乃至2.5、または1:1:1の重量比(龍眼肉抽出物重量:遠志抽出物重量:藁本抽出物重量)で含むものであってもよい。
【0041】
前記抽出物が龍眼肉、遠志、藁本、葛根、黄ごん、桔梗、白し、升麻、らいふく子および石菖蒲抽出物を全て含む混合抽出物である場合、前記混合抽出物は、龍眼肉抽出物、遠志抽出物、藁本抽出物、葛根抽出物、黄ごん抽出物、桔梗抽出物、白し抽出物、升麻抽出物、らいふく子抽出物、および石菖蒲抽出物の混合物、または龍眼肉、遠志、藁本、葛根、黄ごん、桔梗、白し、升麻、らいふく子および石菖蒲の混合物の抽出物であってもよい。例えば、前記龍眼肉、遠志、藁本、葛根、黄ごん、桔梗、白し、升麻、らいふく子および石菖蒲の混合抽出物は、
龍眼肉15乃至20重量部、15乃至18重量部、または16乃至18重量部;
藁本10乃至15重量部、10乃至13重量部、または10乃至12重量部;
遠志10乃至15重量部、10乃至13重量部、または10乃至12重量部;
葛根15乃至20重量部、15乃至18重量部、または16乃至18重量部;
黄ごん5乃至10重量部、5乃至8重量部、または5乃至7重量部;
桔梗1乃至5重量部、1乃至3重量部、または2乃至3重量部;
白し5乃至10重量部、5乃至8重量部、または5乃至7重量部;
升麻5乃至10重量部、5乃至8重量部、または5乃至7重量部;
らいふく子5乃至10重量部、5乃至8重量部、または5乃至7重量部;および
石菖蒲15乃至20重量部、15乃至18重量部、または16乃至18重量部
が混合されて抽出されたり、
龍眼肉抽出物15乃至20重量部、15乃至18重量部、または16乃至18重量部;
藁本抽出物10乃至15重量部、10乃至13重量部、または10乃至12重量部;
遠志抽出物10乃至15重量部、10乃至13重量部、または10乃至12重量部;
葛根抽出物15乃至20重量部、15乃至18重量部、または16乃至18重量部;
黄ごん抽出物5乃至10重量部、5乃至8重量部、または5乃至7重量部;
桔梗抽出物1乃至5重量部、1乃至3重量部、または2乃至3重量部;
白し抽出物5乃至10重量部、5乃至8重量部、または5乃至7重量部;
升麻抽出物5乃至10重量部、5乃至8重量部、または5乃至7重量部;
らいふく子抽出物5乃至10重量部、5乃至8重量部、または5乃至7重量部;および
石菖蒲抽出物15乃至20重量部、15乃至18重量部、または16乃至18重量部
を含むものであってもよい。
前記記載された各成分の重量部は、抽出物(前記成分の混合物)100重量部に対する数値であってもよい。
【0042】
本明細書で、前記抽出物の重量は、抽出溶媒を除去した固形分の重量であってもよく、前記重量部は、抽出物に含有された各成分間の重量比を示すために使用される。
【0043】
前記抽出物を得るための抽出溶媒の使用量は制限がなく、通常使用される量で使用可能である。例えば、有効成分抽出効率を考慮して、抽出溶媒の使用量は、生薬の重量の1乃至20体積倍(例えば、生薬1kg当り1L乃至20L、ただし、抽出溶媒が水である場合、溶媒使用量は重量基準で表現されてもよい)、1乃至15体積倍、1乃至10体積倍、または1乃至5体積倍であってもよいが、これに制限されるのではない。
【0044】
抽出時間は、これに限定されないが、有効成分の十分な抽出のために1乃至12時間、好ましくは3乃至6時間にすることができる。抽出温度は、これに限定されないが、有効成分の効果的な抽出のために、室温乃至抽出溶媒の沸点まで(例えば、25乃至100℃、30乃至100℃、35乃至100℃、40乃至100℃、45乃至100℃、50乃至100℃、55乃至100℃、60乃至100℃、65乃至100℃、70乃至100℃、75乃至100℃、80乃至100℃、25乃至97℃、30乃至97℃、35乃至97℃、40乃至97℃、45乃至97℃、50乃至97℃、55乃至97℃、60乃至97℃、65乃至97℃、70乃至97℃、75乃至97℃、80乃至97℃、25乃至95℃、30乃至95℃、35乃至95℃、40乃至95℃、45乃至95℃、50乃至95℃、55乃至95℃、60乃至95℃、65乃至95℃、70乃至95℃、75乃至95℃、または80乃至95℃)にすることができる。
【0045】
前記抽出物を得るための抽出方法は、本発明が属する技術分野の通常使用される公知の抽出方法により製造されてもよい。具体的に、冷浸法、加熱抽出法、熱水抽出法、超音波抽出法、濾過法、加圧抽出法、還流抽出法、超臨界抽出法、電気的抽出法など通常使用される抽出法を用いることができる。
【0046】
前記薬学組成物内の有効成分として抽出物の含有量は、使用形態および目的、使用対象の状態、症状の種類および軽重などにより適切に調節することができ、固形分重量を基準に、0.001乃至99.9重量%、または0.1乃至50重量%であってもよいが、これに限定されない。
【0047】
前記薬学的組成物は、ヒトを含むほ乳動物に多様な経路で投与されてもよい。投与方式は通常使用される全ての方式であってもよく、例えば、経口投与、静脈、筋肉、皮下、または腹腔注射により投与されてもよい。前記薬学的組成物は、それぞれ通常の方法により散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアゾールなどの経口型剤形、経皮剤、座剤および滅菌注射溶液の形態の非経口剤形などで剤形化して用いられてもよい。
【0048】
前記薬学組成物は、前記の有効成分の他にも、一般に投与方式と標準薬剤学的慣行(Standard pharmaceutical practice)を考慮して選択した薬剤学的および/または生理学的に許容される担体、賦形剤、および希釈剤などからなる群より選択された1種以上の補助剤と混合して投与されてもよい。例えば、前記薬剤学的および/または生理学的に許容される担体は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレートおよび鉱物油などからなる群より選択された1種以上を含むものであってもよいが、これに制限されるのではなく、薬剤学分野で通常使用される全ての担体であってもよい。
【0049】
前記薬剤学的および/または生理学的に許容される希釈剤および/または賦形剤は、薬学組成物の適切な製剤化に通常使用される全ての充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、潤滑剤、界面活性剤などからなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0050】
例えば、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、またはカプセル剤などの経口投与のための固形製剤の場合、前記賦形剤はこのような固形製剤の製剤化のための少なくとも1種以上の物質、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート(Calcium carbonate)、スクロース(Sucrose)、ラクトース(Lactose)、ゼラチンなどからなる群より選択された1種以上であってもよい。その他にも、マグネシウムステアレート、タルクなどのような潤滑剤も用いられてもよい。また、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などの経口投与のための液状製剤の製剤化の場合、通常使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィンなどからなる群より選択された1種以上が用いられてもよく、その他に、通常使用される多様な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、および/または保存剤などが含まれてもよいが、これに制限されるのではない。
【0051】
例えば、前記薬学的組成物は、デンプンまたはラクトースを含有する錠剤形態で、または適切な賦形剤を含有するカプセル形態で、または味を付けたり色を付けるようにする化学薬品を含有するエリキシルまたは懸濁剤形態で経口、口腔内または舌下投与されてもよい。このような液体製剤は、懸濁剤(例えば、メチルセルロース、ウイテプゾール(Witepsol)のような半合成グリせライドまたは杏子油(Apricot kernel oil)とPEG−6エステルの混合物またはPEG−8とカプリリック/カプリックグリせライドの混合物のようなグリせライド混合物)のような薬剤学的に許容可能な添加剤と共に剤形化されてもよい。
前記食品組成物で、用語「食品」は、栄養素を一つ以上含有している食用の天然物または加工品を意味し、通常の意味として、各種食品、健康機能食品、飲料、食品添加剤、および飲料添加剤のうちのいずれか一つを意味するために用いられてもよく、用語「食品組成物」は、前記食品を製造するための材料の組み合わせを意味し得る。前記食品の例として各種食品類、飲料、ガム、キャンディ類、お茶、機能性食品などがある。一例で、前記食品は、二日酔い解消飲料であってもよい。
【0052】
前記食品組成物内の有効性分としての前記抽出物の含有量は、食品使用形態、目的などにより適切に調節することができ、例えば、固形分重量を基準に、0.00001乃至99.9重量%、または0.001乃至50重量%であってもよいが、これに限定されない。
【0053】
また他の側面からアルコール代謝活性化作用および/または二日酔い解消作用に優れた生薬抽出物の製造方法が提供される。前記製造方法は、
生薬に水;C乃至Cの直鎖または分枝型低級アルコール、ヘキサン、塩化メチレン、アセトニトリル、およびアセトンなどにからなる1種以上の有機溶媒;および水と前記1種以上の有機溶媒の混合溶媒からなる群より選択された溶媒を加えて抽出して生薬抽出物を得る段階
を含むことができる。
【0054】
より具体的に、一例で、前記製造方法は、
1)生薬に水、C乃至Cの直鎖または分枝型低級アルコールからなる群より選択された1種以上、またはこれらの混合物を加えて1次抽出する段階
を含むことができる。
【0055】
他の例で、前記製造方法は、
1)生薬に水、C乃至Cの直鎖または分枝型低級アルコールからなる群より選択された1種以上、またはこれらの混合物を加えて1次抽出して1次抽出物を得る段階;および
2)前記1次抽出物に水、ヘキサン、塩化メチレン、およびC乃至Cの直鎖または分枝型低級アルコールからなる群より選択された1種以上を加えて2次抽出して2次抽出物を得る段階
を含むことができる。
【0056】
また他の例で、前記製造方法は
1)生薬に水、C乃至Cの直鎖または分枝型低級アルコールからなる群より選択された1種以上、またはこれらの混合物を加えて1次抽出して1次抽出物を得る段階;
2)前記1次抽出物に水、ヘキサン、塩化メチレン、およびC乃至Cの直鎖または分枝型低級アルコールからなる群より選択された1種以上を加えて2次抽出して2次抽出物を得る段階;および
3)前記2次抽出物にアセトニトリル、メタノール、アセトンおよび水からなる群より選択された1種以上を加えて3次抽出して3次抽出する段階
を含むことができる。
【0057】
前記生薬は、
(1)龍眼肉、
(2)龍眼肉と、藁本、遠志、またはこれらの混合物との混合物、または
(3)前記(2)の混合物および葛根、黄ごん、桔梗、升麻、白し、らいふく子、および石菖蒲からなる群より選択された1種以上との混合物
であってもよい。
【0058】
一例で、前記生薬は、
龍眼肉;
龍眼肉、藁本および遠志の混合物;または
龍眼肉、藁本、遠志、葛根、黄ごん、桔梗、升麻、白し、らいふく子、および石菖蒲の混合物
であってもよい。
【0059】
生薬が混合物形態である場合、混合物内の各生薬間比率は前述したとおりである。
前記方法において、前記それぞれの抽出する段階1)は、生薬に抽出溶媒を生薬の重量の1乃至20体積倍(例えば、生薬1kg当り1L乃至20L、ただし、抽出溶媒が水である場合、溶媒使用量は重量基準で表現されてもよい)、1乃至15体積倍、1乃至10体積倍、または1乃至5体積倍で加えて行われるものであってもよい。
【0060】
また、前記抽出段階は、1回行われるか、2回以上、例えば、2回または3回反復して行われて各抽出段階で得られた濾液を合わせて最終抽出物を得ることができる。したがって、前記製造方法の各抽出段階は、抽出後に抽出物を濾過して濾液を得る段階を追加的に含むことができる。
【0061】
また、前記製造方法は、必要に応じて、最終的に得られた抽出物を濃縮および/または乾燥する段階を追加的に含むことができる。
【0062】
前記抽出は、通常使用される公知の全ての抽出方法により行われてもよく、例えば、冷浸法、加熱抽出法、熱水抽出法、超音波抽出法、濾過法、加圧抽出法、還流抽出法、超臨界抽出法、電気的抽出法など通常使用される抽出法により行われてもよい。
【0063】
抽出時間は、これに限定されないが、有効成分の十分な抽出のために1乃至12時間、好ましくは3乃至6時間にすることができる。抽出温度は、これに限定されないが、有効成分の効果的な抽出のために、室温乃至抽出溶媒の沸点まで(例えば、25乃至100℃、30乃至100℃、35乃至100℃、40乃至100℃、45乃至100℃、50乃至100℃、55乃至100℃、60乃至100℃、65乃至100℃、70乃至100℃、75乃至100℃、80乃至100℃、25乃至97℃、30乃至97℃、35乃至97℃、40乃至97℃、45乃至97℃、50乃至97℃、55乃至97℃、60乃至97℃、65乃至97℃、70乃至97℃、75乃至97℃、80乃至97℃、25乃至95℃、30乃至95℃、35乃至95℃、40乃至95℃、45乃至95℃、50乃至95℃、55乃至95℃、60乃至95℃、65乃至95℃、70乃至95℃、75乃至95℃、または80乃至95℃)にすることができる。
【0064】
前記濾過、濃縮(例えば、減圧濃縮など)、および/または乾燥(例えば、凍結乾燥など)は、生薬抽出物製造分野に通常使用される全ての方法により行われてもよいが、特別な制限はない。
【発明の効果】
【0065】
以上で説明した通り、本明細書で提供される二日酔い解消用組成物は、アルコール投与により誘導された運動能力低下および睡眠誘導現像を顕著に改善させ、アルコール脱水素酵素とアセトアルデヒド脱水素酵素の活性度を増加させることによって、優れた二日酔い解消効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】龍眼肉、藁本および遠志の混合エタノール抽出物をマウスに経口投与した後、アルコールを腹腔投与して低下した運動能力に対する効能をRota−rodtestで測定した結果(Latency of Fallen off(s))を示すグラフである。
図2】龍眼肉、藁本および遠志の混合水抽出物(DG)をマウスに経口投与した後、アルコールを腹腔投与して低下した運動能力に対する効能をRota−rodtestで測定した結果(Latency of Fallen off(s))を示すグラフである。
図3】龍眼肉、藁本および遠志の混合エタノール抽出物をマウスに経口投与した後、アルコールを腹腔投与して誘導された睡眠を覚醒させる効能をLORR testで測定した結果(LORR duration)を示すグラフである。
図4】龍眼肉、藁本および遠志の混合水抽出物をマウスに経口投与した後、アルコールを腹腔投与して誘導された睡眠を覚醒させる効能をLORR testで測定した結果(LORR duration)を示すグラフである。
図5】龍眼肉、藁本および遠志の混合エタノール抽出物(WIN−1001X)をマウスに経口投与した後、アルコールを腹腔投与した後、当該マウスの肝組織でのアルコール脱水素酵素の活性変化を示すグラフである。
図6】龍眼肉、藁本および遠志の混合水抽出物(DG)をマウスに経口投与した後、アルコールを腹腔投与した後、当該マウスの肝組織でのアルコール脱水素酵素の活性変化を示すグラフである。
図7】龍眼肉、藁本および遠志の混合エタノール抽出物(WIN−1001X)をマウスに経口投与した後、アルコールを腹腔投与した後、当該マウスの肝組織でのアセトアルデヒド脱水素酵素の活性変化を示すグラフである。
図8】龍眼肉、藁本および遠志の混合水抽出物(DG)をマウスに経口投与した後、アルコールを腹腔投与した後、当該マウスの肝組織でのアセトアルデヒド脱水素酵素の活性変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、本発明を下記の実施例によりさらに具体的に説明する。しかし、これらは本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例により制限されるのではない。
【0068】
<実施例1>龍眼肉抽出物および龍眼肉が含有された混合抽出物の製造
<1−1>龍眼肉抽出物の製造
龍眼肉40gをきれいに洗浄し、細かく切断した後、重量比率で4倍の水を加えて陶器薬湯器で95℃で4時間1次抽出した後、濾過して残った固形分に再び水を半分量追加して前記と同一の条件により2次抽出した。
前記2種の抽出液を集めて濾過して固形分を除去した後、3200rpmで20分間遠心分離した後、上清液を収集した。再び上清液を2.0umマイクロフィルターを用いてフィルタリングした液体のみを収集して龍眼肉抽出物を製造した。
【0069】
<1−2>龍眼肉、藁本および遠志の多様な混合比による混合抽出物の製造
<1−2−1>水抽出物の製造
龍眼肉および藁本あるいは龍眼肉および遠志の混合抽出物と龍眼肉、藁本および遠志を全て混合した混合抽出物を多様な混合比率で構成して前記<実施例1−1>と同様な方法で混合抽出物を製造した。前記薬剤原料は、全て大田大学附属天安漢方病院で購入した。
特に龍眼肉、藁本および遠志を1:1:1の比率で混合した混合水抽出物をDGと命名した。
【表1】
【0070】
<1−2−2>エタノール抽出物の製造
龍眼肉20g、遠志20g、および藁本20gをきれいに洗浄して細かく切断した後、4体積倍の20%(v/v)エタノール/水(エタノール水溶液)溶媒を加えて陶器薬湯器で95℃で4時間1次抽出した後、濾過して残った固形分に再び20%(v/v)エタノール/水溶媒を半分量追加して前記と同一の条件により2次抽出した。
前記2種の抽出液を集めて濾過して固形分を除去した後、3200rpmで20分間遠心分離した後、上清液を収集した。再び上清液を2.0umマイクロフィルターを用いてフィルタリングした液体のみを収集して龍眼肉、遠志、および藁本の混合エタノール抽出物を得ており、これをWIN−1001Xと命名した。
【0071】
<1−3>龍眼肉、葛根、藁本、黄ごん、桔梗、白し、升麻、らいふく子、遠志および石菖蒲の混合抽出物の製造
葛根12g、藁本8g、黄ごん4g、桔梗2g、白し4g、升麻4g、らいふく子4g、遠志8g、石菖蒲12g、および龍眼肉12gを準備し、これを前記<実施例1−1>と同様な方法で抽出して混合抽出物を製造した。
【表2】
【0072】
<実験例1>エタノール投与マウスに対する運動能力低下抑制効能の測定(Alcohol−Induced Motor Impairment−RotaRod Test)
前記実施例1で得られた龍眼肉抽出物または龍眼肉および他の生薬成分の混合抽出物のエタノール投与による運動能力低下抑制効能を測定した。そのために実験動物として6週齢の雄性C57BL/6Jマウス(Japan SLC Inc., Shizuoka、Japan)を用い、固形飼料と水道水を自由摂取するようにして1週間予備飼育後、試験に用いた。試験2日前から毎日前記マウスを運動能力を測定できるRota−rod機器(2〜16rpm)で3分間4回ずつ訓練させた。
【0073】
まず、実施例1−2−2で製造されたWIN−1001X抽出物のエタノール投与による運動能力低下抑制効能を次のような方法で測定した:18時間絶食後、正常群および対照群にはSaline溶液を投与し、実験群にはWIN−1001X抽出物をSalineに溶かしてそれぞれ300mg/kgまたは600mg/kg濃度で経口投与した。比較群には市中に販売する二日酔い解消飲料のうちの1種(モーニングケア((株)東亜製薬))を選定して、一回推奨摂取量を凍結乾燥した後、成人1人の基準体重(70kg)に適用してこれに比例する投与濃度を選定してSaline溶液に溶かした後、経口投与した(投与濃度:凍結乾燥モーニングケア3g/10g)。1時間後、前記正常群、対照群、比較群および実験群(WIN−1001X150および300mg/kg投与)にアルコール(20%(v/v)エタノール)を4g/kg濃度で腹腔投与した。以降、それぞれ5分、30分、60分、120分、180分および300分後、Rota−rod機器(2〜16rpm、3分間等加速条件)にマウスを乗せて運動能力を喪失して下端の踏み台に落ちるのにかかる時間(秒)を測定した(Latency of Fallen off(s))。
【0074】
前記得られた結果(Latency of Fallen off(s))を図1に示した。図1に示したように、本発明によるWIN−1001Xは、試験された全ての容量でアルコール摂取による運動能力低下を有意性あるように改善させることが分かり、このような効果は市中に販売される二日酔い解消飲料より優れたことが明らかになった。
【0075】
また、実施例1−2−1で製造されたDG抽出物(龍眼肉:遠志:藁本=1:1:1重量比)に対して前記と同一の試験を行った。ただし、対照群としてモーニングケア0.17ml/10gを経口投与した群を、試験群としてDG抽出物を0.085ml/10gまたは0.17ml/10gの量で経口投与した群をそれぞれ準備し、前記モーニングケアまたはDG抽出物の投与はアルコール投与前1時間30分前および30分前に総2回実施した。
【0076】
前記得られた結果(Latency of Fallen off(s))を下記の表3および図2に示した:
【表3】
【0077】
図2でモーニング(−▲−)はモーニングケア投与群、DG(1/2)(−●−)はDG 0.085ml/10g投与群、DG(−■−)はDG 0.17ml/10g投与群、およびcontrol(−□−)はアルコールのみを投与した群(アルコール対照群)をそれぞれ意味する。
【0078】
図2および表3に示されているように、DG投与群の場合、アルコール対照群と比較してアルコール摂取による運動能力低下を有意味な水準に改善させることを確認することができ、その改善程度はDGの投与容量依存的に増加することを確認することができる。
【0079】
<実験例2>エタノール投与マウスに対する睡眠覚醒効能(Alcohol−Induced Sedation:LORR test)の測定
2.1.WIN−1001X試験
前記実施例1で得た龍眼肉抽出物または龍眼肉および他の生薬成分の混合抽出物のエタノール投与による睡眠覚醒効能を測定するために、実験動物として10週齢の雄性C57BL/6マウス(Japan SLC Inc., Shizuoka、Japan)を用い、固形飼料と水道水を自由摂取するようにして1週間予備飼育後に試験に用いた。
【0080】
18時間絶食後、対照群にはSaline溶液を投与し、実験群には実施例1−2−2で製造されたWIN−1001XをSalineに溶かして300および600mg/kg濃度でそれぞれ経口投与した。比較群として市中に販売する二日酔い解消飲料のうちの1種(モーニングケア((株)東亜製薬))を選定し、一回推奨摂取量を凍結乾燥した後、成人1人の基準体重(70kg)に適用してこれに比例する投与濃度を選定してSaline溶液に溶かした後、経口投与した(投与濃度:凍結乾燥モーニングケア3g/kg)。
【0081】
1時間後、前記対照群、比較群および実験群(龍眼肉抽出物150および300mg/kg/10ml投与)にアルコール(20%エタノール)を4g/kgの量で腹腔投与した。アルコール投与により睡眠に突入したマウスの睡眠覚醒を判定するためにLORR実験法(Loss of righting reflex test)を行った。睡眠状態に突入したマウスを四肢が上に向かうように藁が敷かれた飼育ケージ内に横にしてこれらが睡眠から目覚めて四肢を下にして正姿勢に戻る(60秒以内に3回以上正姿勢に戻るか否かにより判定)までかかった時間(LORR duration)を測定した。
【0082】
前記得られた結果(LORR duration)を図3に示した。図3に示したように、WIN−1001Xはアルコール摂取による睡眠状態を覚醒させるのに有意性ある効果を示し、試験した全ての容量で市中に販売する二日酔い解消飲料より改善された効能を示した。
【0083】
2.1.DG抽出物の試験
また、実施例1−2−1で製造されたDG抽出物に対して前記と同一の試験を行った。ただし、対照群としてモーニングケア0.17ml/10gを経口投与した群を、試験群としてDG抽出物を0.085ml/10gまたは0.17ml/10gの量で経口投与した群をそれぞれ準備し、前記モーニングケアまたはDG抽出物の投与はアルコール投与前1時間30分前および30分前に総2回実施し、LORR試験はアルコール投与後30分後に実施した。
前記得られた結果(LORR duration)を図4に示した。図4に示したように、DG抽出物はアルコール対照群と比較してアルコール摂取による睡眠状態を覚醒させることに有意性ある効果を示し、特に、0.17ml/10gの容量では市販される二日酔い解消飲料より改善された効能を示した。
【0084】
<実験例3>アルコール脱水素酵素(ADH)およびアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の活性度測定
前記実施例1で得た龍眼肉抽出物および龍眼肉と他の生薬成分の混合抽出物のアルコール脱水素酵素(ADH)の活性化効果およびアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の活性化効果を把握するために前記実験例2.1(WIN−1001X投与群LORR試験)および2.2(DG投与群LORR試験)のLORR duration2時間でマウスの肝組織を取った。Protein Extraction Solution(PRO−PREPTM、iNtRON Biotechnology、Korea)を肝組織10mg当り600μl加えて粉砕して20分間氷の上で保管した後、遠心分離(13,000g、20分、4℃)された上澄液を測定試料として用いた。
【0085】
3.1.アルコール脱水素酵素(ADH)の活性度測定
アルコール脱水素酵素活性度の測定は、10ml当り、蒸溜水5.214ml、1.0M Tris−HCl buffer(pH8.8)2.642ml、20mM NAD+1.072mlおよび99.9% Absolute Ethanol 1.072mlを含有するReaction bufferを用いて測定した。簡略に説明すると、96 well plateにReaction buffer 285μlと測定試料15μlを注入した後、30℃で10分間保管した。以降、0、10、20、30分後の吸光度を340nmで測定し、0minに対する各時間帯別吸光度偏差を算出し、その結果を図5(WIN−1001X投与群に対する試験結果)および図6(DG投与群に対する試験結果)に示した。
【0086】
図5および図6に示したように、龍眼肉抽出物(WIN−1001XまたはDG)投与群は、時間経過に比例して顕著なアルコール脱水素酵素活性増加効能を示し、このような効能は投与濃度依存的に現れた。
【0087】
3.2.アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の活性度測定
アセトアルデヒド脱水素酵素活性度測定は、10ml当り、蒸溜水7.492ml、1.0M Tris−HCl buffer(pH8.8)1.072ml、20mM NAD+0.359ml、1.0M Acetaldehyde 0.359ml、3.0M KCl 0.359mlおよび0.33M 2−Mercaptoethanol 0.359mlを含有するReaction bufferを用いて測定した。簡略に説明すると、96 well plateにReaction buffer 285μlと測定試料15μlを注入した後、30℃で10分間保管した。以降、0、10、20、30分後の吸光度を340nmで測定して、0minに対する各時間帯別吸光度偏差を算出した。
【0088】
その結果を図7(WIN−1001X投与群に対する試験結果)および図8(DG投与群に対する試験結果)に示した。図7および図8に示したように、龍眼肉抽出物(WIN−1001XまたはDG)投与群は、時間経過に比例してアセトアルデヒド脱水素酵素活性を増加させる傾向を示した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8