(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明を詳細に説明する。
【0018】
図1aは、本発明の実施例に係るフラットパネルアンテナ100の構造を概略的に示す斜視図であり、
図1bは、本発明の実施例に係るフラットパネルアンテナ100の構造を示す分解斜視図である。
【0019】
本発明の実施例に係るフラットパネルアンテナ100は、第1基板110と、第2基板120と、液晶層130と、給電部140とを備える。
【0020】
第1基板110は、第1厚さH1を有し、電場内で極性を持つ絶縁体である誘電体であり得る。
【0021】
また、第1基板110は、第1誘電率ε
1を有するガラスからなる基板であり得る。
【0022】
第1基板110上には、放射パッチ111および接地面112が備えられる。放射パッチ111は、第1基板110の第1面に備えることができ、接地面112は、第1基板110の第2面に備えることができる。一例として、第1基板110の第1面は、第1基板110の上面であり、第1基板110の第2面は、第1基板110の下面であり得る。したがって、第1基板110の上部には放射パッチ111が配置され、第1基板110の下部には接地面112が配置され得る。
【0023】
放射パッチ111と接地面112との間には、フリンジフィールドが形成され得る。そして、放射パッチ111の縁部と接地面112との間で発生する電場は、放射パッチ111の上部に露出され、自由空間へ放射され得る。
【0024】
接地面112は、開口部であるスロット113を含み、スロット113は、矩形状であり得る。
【0025】
スロット113が矩形状である場合、スロット113は、第1方向D1に形成することができる。すなわち、スロット113の長辺は第1方向D1に形成することができ、短辺は第1方向D1に垂直な第2方向D2に形成することができる。
【0026】
スロット113は、インピーダンス変圧器および並列LC回路として働き、給電部140によって形成された電場を通過させ、この電場が放射パッチ111に伝達されることで、放射パッチ111に電流が流れるように誘導することができる。
【0027】
第2基板120は、第2厚さH2を有し、第1基板110と同様に電場内で極性を持つ絶縁体である誘電体であり得る。
【0028】
また、第2基板120は、第2誘電率ε
2を有するガラスからなる基板であってもよく、ポリイミドからなる基板であってもよい。
【0029】
第2基板120がガラスからなる基板である場合、第2基板120の第2誘電率ε
2は、第1基板110の第1誘電率ε
1と同じであり得る。
【0030】
第1基板110と第2基板120との間には、液晶層130を配置することができ、液晶層130の内部には液晶分子が含まれ、液晶層130に印加される電圧によって液晶分子の配列が変わり得る。
【0031】
給電部140は、給電線141と、給電線141と給電部140の両側との間に設けられた離隔空間である第1離隔部ap1および第2離隔部ap2とを含み、給電部140は、第2基板120の下部に配置することができる。かかる給電線141と第1離隔部ap1および第2離隔部ap2は、第1方向D1に直交する第2方向D2に配置することができる。すなわち、給電線141の長辺と第1離隔部ap1および第2離隔部ap2の長辺が、第2方向D2に平行であり得る。
【0032】
さらに詳細には、給電線141は、第1方向D1に第1幅W1を有し、給電線141の長辺を第2方向D2に配置することができ、フラットパネルアンテナ100の平面視において、給電線141の長辺を、放射パッチ111の長辺およびスロット113の長辺と交差するように配置することができる。
【0033】
また、給電線141は、外部から印加された電圧によって電場を形成し、形成された電場がスロット113を通過して放射パッチ111に達することで、放射パッチ111に電流が流れるように誘導することができる。すなわち、給電線141と放射パッチ111がカップリングし、給電線141に印加されたエネルギーを放射パッチ111に伝達することができる。
【0034】
第1離隔部ap1および第2離隔部ap2は、第1方向D1に第2幅W2を有し、給電線141と平行な長辺を第2方向D2に配置することができ、第1離隔部ap1と第2離隔部ap2との間に給電線141を配置することができる。
【0035】
接地面112と給電線141との間に印加される電圧により、液晶層130に含まれた液晶分子の配列が変わり得る。また、それによって液晶層130の誘電率も変わり得る。
【0036】
液晶層130の誘電率が変わると、電磁波の位相速度が変わるので、液晶層130に含まれた液晶分子の配列を変えることで、フラットパネルアンテナ100で送受信する信号の位相を変化させることができる。
【0037】
このように、接地面112と給電線141および液晶層130は、アンテナで送信受信する信号の位相を変化させる位相シフター(phase shifter)の役割を果たすことができる。
【0038】
また、放射パッチ111および接地面112を第1基板110に備え、給電線141を第2基板120に隣接して配置することで、フラットパネルアンテナ100は、パッチアンテナとしての役割を果たすことができる。
【0039】
本発明の実施例に係るフラットパネルアンテナ100は、
図1aおよび
図1bに示すように、放射パッチ111と接地面112、および給電線141をそれぞれ1つずつ備え、1つのパッチアンテナとして示されているが、本発明はこれに限定されることなく、放射パッチと接地面、および給電線をそれぞれ2つ以上備えてもよい。それぞれの放射パッチと接地面、および給電線は、第1基板および第2基板を介在して複数のパッチアンテナを構成し、複数のパッチアンテナは、アレイアンテナを構成することができる。すなわち、複数の放射パッチが第1基板の上面に備えられ、複数の接地面が第1基板の下面に備えられ、複数の給電線が第2基板の下面に備えられることができる。互いに対応し、重畳する複数の放射パッチと、複数の接地面、および複数の給電線は、複数のパッチアンテナをそれぞれ構成することができる。
【0040】
そのとき、給電部140は、印刷回路基板からなる電力分配部(不図示)をさらに含むことができ、電力分配部(不図示)は、T分岐型電力分配器(T‐junction power divider)、またはウィルキンソン電力分配器(Wilkinson power divider)などを適用することができる。
【0041】
図2は、本発明の実施例に係るフラットパネルアンテナ100における電磁波の放射を示す図である。
【0042】
アンテナは、共振現象によって電磁波を放射し、または自由空間で伝達される電磁波に感応して動作する。共振現象は、アンテナの固有振動数と電磁波の振動数が一致した際に生じる。アンテナの固有振動数を共振周波数というが、この共振周波数はアンテナの構造によって異なり得る。
【0043】
本発明の実施例に係るフラットパネルアンテナ100は、放射パッチ111の両端が開放された回路で終端され、共振器として動作することができる。
【0044】
具体的に、給電線(
図1aおよび
図1bの給電線141)は、外部から印加された電圧によって電場を形成することができ、給電線(
図1aおよび
図1bの給電線141)によって形成された電場がスロット(
図1aおよび
図1bのスロット113)を通過し、放射パッチ111に達することで、放射パッチ111に電流が流れるように誘導することができる。
【0045】
また、電流が誘導された放射パッチ111は、接地面112との間において電場Eを形成することができる。
【0046】
放射パッチ111の両端S1、S2においては、放射パッチ111と接地面112との間に形成されるフリンジフィールドF1、F2が放射パッチ111の上部に露出され、放射パッチ111の上部に露出されたフリンジフィールドF1、F2により、フラットパネルアンテナ100が共振周波数を有する電磁波を放射することができるようになる。
【0047】
かかるフラットパネルアンテナ100は、放射パッチ111の長さL1が共振周波数に対応し、長さL1は、共振周波数に対応する、第1基板110内の管内波長(guided wavelength)の長さ(λ
d)の半分であり得る。
【0048】
また、
図2に示すように、放射パッチ111の両端S1、S2に形成され得るフリンジフィールドF1、F2が放射パッチ111の有効長さを増加させるため、放射パッチ111の長さL1は、第1基板110内の管内波長の長さ(λ
d)の半分よりも短くてもよい。
【0049】
ここで、下記の数式(1)は、放射パッチ111の長さL1の近似値Lを表したものであって、放射パッチ111の長さL1の近似値Lは第1基板110内の管内波長(λ
d)の0.49倍となり得る。特定の誘電体内における管内波長は、自由空間における波長を、誘電体の誘電率の平方根で割ったものであるので、放射パッチ111の長さL1の近似値Lは、共振周波数に対応する、自由空間における波長の長さ(λ)を、第1基板110の誘電率(ε
1)の平方根で割った値の0.49倍となり得る。
【0051】
このように、放射パッチ111の両端S1、S2間の距離は、半波長に近似するので、放射パッチ111の両端S1、S2に形成され得るフリンジフィールドF1、F2の位相差は180°程度となり得る。また、フリンジフィールドF1、F2の大きさは同じであり得る。
【0052】
図3は、本発明の実施例に係るフラットパネルアンテナ100の等価回路を示す図である。
【0053】
放射パッチ(
図1a、
図1b、および
図2の放射パッチ111)の両端(
図2の両端S1、S2)は、抵抗Rs1、Rs2とそれぞれ並列接続されたキャパシタCs1、Cs2を含むRC回路であり得る。
【0054】
スロット(
図1aおよび
図1bのスロット113)は、インピーダンス変圧器TとLC回路であり得る。そして、LC回路は、インダクタLsとキャパシタCsとが並列接続された並列LC回路であり得る。
【0055】
LC回路のインダクタLsおよびキャパシタCsとインピーダンス変圧器Tは、給電線(
図1aおよび
図1bの給電線141)に相当する入力端Iに接続することができる。
【0056】
入力端Iに電圧が印加されると、LC回路は第1共振周波数f1に応じて共振し、インピーダンス変圧器Tを通して周波数を変更し、第2共振周波数f2に応じて共振する電圧をRC回路に伝達する。
【0057】
そのとき、RC回路のキャパシタCs1、Cs2は、フリンジフィールド(
図2のフリンジフィールドF1、F2)を形成し、放射パッチ(
図1a、
図1bおよび
図2の放射パッチ111)の両端で電磁波を放射することができるようにする。
【0058】
このような原理で、本発明の実施例に係るフラットパネルアンテナ100は、電磁波を放射することができる。そして、以下に説明するように、第1基板(
図1aおよび
図1bの第1基板110)と第2基板(
図1aおよび
図1bの第2基板120)を利用してアンテナ利得Gおよび帯域幅BWを増加させ、カップリング損失Lを減少させることができる。
【0059】
図4aは、本発明の実施例に係るフラットパネルアンテナにおける第1基板の厚さに対応するアンテナ利得および帯域幅を示す表である。
【0060】
本発明の実施例に係るフラットパネルアンテナに備えられた第1基板(
図1aおよび
図1bの第1基板110)は、誘電体であり得る。
【0061】
誘電体の厚さが増加するにつれて、アンテナから放射される電磁波の波長が大きくなるので、共振周波数は減少し得る。
【0062】
また、誘電体の厚さが増加するにつれて、漏れ出す電場の大きさが増加し、それによって共振におけるQ値(quality factor)が減少し得る。
【0063】
Q値が減少するにつれて帯域幅BWが増加するので、誘電体である第1基板(
図1aおよび
図1bの第1基板110)の厚さが増加するほど、広帯域の電磁波を放射することができる。
【0064】
図4aは、第1基板(
図1aおよび
図1bの第1基板110)の第1厚さH1が0.2mmから0.7mmまでの帯域幅BWを0.1mm毎に示している。
図4aに示すように、第1厚さH1が0.2mmから0.7mmまで増加すると、帯域幅BWが0.64GHz(640MHz)から0.76GHz(760MHz)へと大きくなる。また、
図4aに示すように、第1厚さH1が0.2mmから0.7mmまで増加するにつれて、共振周波数fが11.62GHzから10.68GHzへと減少する。
【0065】
特に、第1厚さH1が0.5mmであるとき、帯域幅BWが780MHzと最大となるので、アンテナを広帯域で利用するためには、第1基板(
図1aおよび
図1bの第1基板110)の第1厚さH1は、好ましくは0.5mmであり得る。
【0066】
誘電体の厚さが増加して漏れ出す電場の大きさが増加すると、放射電力が増加し得る。それにより、アンテナ利得Gが大きくなる。したがって、誘電体である第1基板(
図1aおよび
図1bの第1基板110)の厚さが増加すると、アンテナ利得Gが増加し得る。
【0067】
図4aは、第1基板(
図1aおよび
図1bの第1基板110)の第1厚さH1が0.2mmから0.7mmまでのアンテナ利得Gを0.1mm毎に示している。
図4aに示すように、第1厚さH1が0.2mmから0.7mmまで増加すると、アンテナ利得Gが1.98dBiから3.03dBiへと大きくなる。
【0068】
特に、第1厚さH1が0.5mmであるとき、アンテナ利得Gが3.35dBiと最大となるので、アンテナの放射効率を向上させるためには、第1基板(
図1aおよび
図1bの第1基板110)の第1厚さH1は、好ましくは0.5mmであり得る。
【0069】
図4bは、本発明の実施例に係るフラットパネルアンテナにおける第1基板の第1厚さが0.2mmであるときの放射パターンを示す図であり、
図4cは、第1基板の第1厚さが0.5mmであるときの放射パターンを示す図である。
【0070】
第1基板(
図1aおよび
図1bの第1基板110)の第1厚さH1が0.2mmである
図4bでは、水平線における放射パターンの色が黄色に近く、アンテナ利得Gの値が−5.0dBから−2.5dBの間である。
【0071】
一方、第1基板(
図1aおよび
図1bの第1基板110)の第1厚さH1が0.5mmである
図4cでは、水平線における放射パターンの色がオレンジ色に近く、アンテナ利得Gの値が−2.5dBから0dBの間であって、第1厚さH1が0.2mmである場合より増加している。
【0072】
このように、本発明の実施例に係るフラットパネルアンテナでは、第1基板(
図1aおよび
図1bの第1基板110)の第1厚さH1を増加させ、好ましくは0.5mmにしたときに、帯域幅BWおよびアンテナ利得Gを最大にすることができる。
【0073】
図5aは、本発明の実施例に係るフラットパネルアンテナにおける第2基板の厚さに対応するカップリング損失を示す表である。
【0074】
第2基板(
図1aおよび
図1bの第2基板120)の下部に取り付けられる給電線(
図1aおよび
図1bの給電線141)は、外部から印加された電圧によって電場を形成し、形成された電場が、スロット(
図1aおよび
図1bのスロット113)を通過して放射パッチ(
図1aおよび
図1bの放射パッチ111)に達することで、放射パッチ(
図1aおよび
図1bの放射パッチ111)に電流が流れるように誘導することができる。
【0075】
給電線(
図1aおよび
図1bの給電線141)と放射パッチ(
図1aおよび
図1bの放射パッチ111)との間の距離が増加するにつれて、放射パッチ(
図1aおよび
図1bの放射パッチ111)に及ぶ電場の大きさが小さくなるので、カップリング損失Lが増加し得る。
【0076】
したがって、給電線(
図1aおよび
図1bの給電線141)と放射パッチ(
図1aおよび
図1bの放射パッチ111)との間に位置し得る第2基板(
図1aおよび
図1bの第2基板120)の厚さが増加すると、カップリング損失Lが増加し得る。
【0077】
図5aは、第2基板(
図1aおよび
図1bの第2基板120)の第2厚さH2が0.1mmから0.5mmまでの共振周波数(11GHz、11.5GHz、12GHz)によるカップリング損失Lを0.1mm毎に示している。平均の共振周波数で比べると、第2厚さH2が0.1mmから0.5mmまで増加すると、平均のカップリング損失Lが大きくなり、第2厚さH2が0.5mmから0.1mmまで減少すると、平均のカップリング損失Lが−5.56dBから−1.77dBへと小さくなる。
【0078】
特に、第2厚さH2が0.2mmであるとき、平均カップリング損失Lが−1.32dBと最小になるので、給電線(
図1aおよび
図1bの給電線141)から放射パッチ(
図1aおよび
図1bの放射パッチ111)へ給電する際の伝達効率を向上させるためには、第2基板(
図1aおよび
図1bの第2基板120)の第2厚さH2は、好ましくは0.2mmであり得る。
【0079】
図5bは、本発明の実施例に係るフラットパネルアンテナにおける第2基板の第2厚さを、放射される電磁波の波長の倍数に対応して形成するときのカップリング損失を示す表である。
【0080】
図5bの表では、第2基板の第2厚さH2を4つの帯域に分け、カップリング損失Lを示した。
【0081】
放射される電磁波の波長(λ)が27300μmであるとき、第2基板(
図1aおよび
図1bの第2基板120)の第2厚さH2が波長(λ)の0.018倍から0.026倍である場合には、カップリング損失Lが−1.5705dBであるが、第2厚さH2の帯域が低くなり、波長(λ)の0.007倍から0.015倍である場合には、カップリング損失Lが−1.0624dBと最小になる。
【0082】
しかしながら、第2厚さH2が波長(λ)の0.007倍以下である場合には、カップリング損失Lが−1.6247dBと増加する。
【0083】
放射される電磁波の波長(λ)が26100μmであるとき、第2基板(
図1aおよび
図1bの第2基板120)の第2厚さH2が波長(λ)の0.019倍から0.027倍である場合には、カップリング損失Lが−1.8157dBであるが、第2厚さH2の帯域が低くなり、波長(λ)の0.008倍から0.015倍である場合には、カップリング損失Lが−0.6959dBと最小になる。
【0084】
しかしながら、第2厚さH2が波長(λ)の0.008倍以下である場合には、カップリング損失Lが−0.8299dBと増加する。
【0085】
放射される電磁波の波長(λ)が25000μmであるとき、第2基板(
図1aおよび
図1bの第2基板120)の第2厚さH2が波長(λ)の0.020倍から0.028倍である場合には、カップリング損失Lが−13.3117dBであるが、第2厚さH2の帯域が低くなり、波長(λ)の0.008倍から0.016倍である場合には、カップリング損失Lが−0.6987dBと最小になる。
【0086】
しかしながら、第2厚さH2が波長(λ)の0.008倍以下である場合は、カップリング損失Lが−0.9106dBと増加する。
【0087】
図5bでは、第2基板の第2厚さH2の帯域が最も高いとき(0.018λ〜0.026λ、0.019λ〜0.027λ、または0.020λ〜0.028λ)と、最も低いとき(〜0.007λ、または〜0.008λ)にカップリング損失Lが増加し、その間の帯域では、カップリング損失Lが減少している。
【0088】
これは、第2基板(
図1aおよび
図1bの第2基板120)の第2厚さH2が増加すると、給電線(
図1aおよび
図1bの給電線141)と放射パッチ(
図1aおよび
図1bの放射パッチ111)との間の距離が増加し、放射パッチ(
図1aおよび
図1bの放射パッチ111)に及ぶ電場の大きさが小さくなるためである。また、第2基板(
図1aおよび
図1bの第2基板120)の第2厚さH2が所定の範囲より小さくなると、給電線(
図1aおよび
図1bの給電線141)で形成され、放射パッチ(
図1aおよび
図1bの放射パッチ111)に及ぶ電場が接地面(
図1aおよび
図1bの接地面112)の影響を受け、カップリング損失Lが増加し得るためである。
【0089】
したがって、第2基板(
図1aおよび
図1bの第2基板120)の第2厚さH2が、
図5bにおける最低帯域中の最大値である0.008倍から最高帯域中の最小値である0.018倍の範囲であるとき、カップリング損失Lを最小化することができる。
【0090】
このように、本発明の実施例では、第1基板(
図1aおよび
図1bの第1基板110)の第1厚さH1を増加させ、または第2基板(
図1aおよび
図1bの第2基板120)の第2厚さH2を減少させることで、全体の厚さを一定に保つことができ、第1基板(
図1aおよび
図1bの第1基板110)の厚さが、第2基板(
図1aおよび
図1bの第2基板120)の厚さより大きい、非対称形に形成することができる。
【0091】
図6は、本発明の実施例に係るフラットパネルアンテナにおける給電線と給電部の離隔距離に対応するクロストークを示す表である。
【0092】
給電線(
図1aおよび
図1bの給電線141)と放射パッチ(
図1aおよび
図1bの放射パッチ111)は接続されておらず、独立した線路であって、エネルギーを互いに伝達することにより、カップリングすることができる。
【0093】
ところが、給電線(
図1aおよび
図1bの給電線141)が放射パッチ(
図1aおよび
図1bの放射パッチ111)とカップリングせず、他の構成とカップリングしてエネルギーを伝達するクロストークが発生することがある。かかるクロストークは、アンテナの効率を低下させる原因となる。
【0094】
本発明の実施例に係るフラットパネルアンテナでは、第1離隔部(
図1aおよび
図1bの第1離隔部ap1)および第2離隔部(
図1aおよび
図1bの第2離隔部ap2)を含み、給電線(
図1aおよび
図1bの給電線141)と、導電性を帯びた他の構成との距離を離隔させることで、クロストークを減らすことができる。
【0095】
図6では、共振周波数(11GHz、11.5GHz、または12GHz)別でクロストークを示している。共振周波数が11GHzであるとき、第1離隔部(
図1aおよび
図1bの第1離隔部ap1)および第2離隔部(
図1aおよび
図1bの第2離隔部ap2)の第2幅W2が、給電線(
図1aおよび
図1bの給電線141)の第1幅W1の2倍以上である場合には、クロストークは−1.0624dBまたは−1.0684dBであるが、2倍未満である場合には、クロストークが−1.0749dBと、より大きいことが分かる。共振周波数が11.5GHzまたは12GHzであるときにも同様の傾向がある。
【0096】
したがって、クロストークを最小化するため、第1離隔部(
図1aおよび
図1bの第1離隔部ap1)および第2離隔部(
図1aおよび
図1bの第2離隔部ap2)の第2幅W2を、給電線(
図1aおよび
図1bの給電線141)の第1幅W1の2倍以上にすることができる。
【0097】
以上、実施例を挙げ、本発明について説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で様々に変更し、実施することができる。