【実施例】
【0017】
図1は、本発明が適用された車両制御装置である駐車支援システムの全体構成を示した図である。
【0018】
図1において、車両制御装置である駐車支援システムは、車両に搭載されるものであり、障害物検知装置(障害物検知器)であるソナー11(11A〜11L)と、障害物検知装置(障害物検知器)であるカメラ12(12a〜12d)と、表示器13と、スピーカー14と、ナビゲーション装置15とを備える。
【0019】
さらに、上記駐車支援システムは、車輪速センサ16と、操舵角センサ17と、アクセルペダル18と、ブレーキペダル19と、シフトレバー20と、ステアリング21と、これらが接続され、これらが運転者により操作された量が入力される駐車支援ECU(駐車支援部)22とを備える。
【0020】
また、駐車支援ECU22は、障害物記憶部22aと、障害物種類判別部22bと、障害物画面表示部22cとを備え、車両制御ネットワークに接続されている。
【0021】
ソナー11は、自車両の周囲に向かって超音波を送波し、その反射波を受信することで障害物との距離を検知するために用いられる。
【0022】
カメラ12は、自車両の周囲に取り付けられた撮像素子により、障害物の情報を撮像するために用いられる。
【0023】
図2は、自車両30の前部、側部、後部に搭載されるソナー11A〜11Lとカメラ12a〜12dの配置及び検知範囲を示す図である。
【0024】
図2に示すように、自車両30の前方には計6個のソナー11A、11B、11C、11D、11E、11Fが配置され、自車両30の後方には計6個のソナー11G、11H、11I、11J、11K、11Lが配置される。
【0025】
図2の点線で示した楕円は、超音波センサ11A〜11Lの各々の検知範囲を示している。
【0026】
カメラ12a、12b、12c、12dは、撮像素子を用いた車載カメラであり、自車両30の駐車位置の周囲に存在する障害物を検知すると共に、自車両30周辺の障害物のナンバープレートを認識し、車両周囲の障害物を検知する際に用いる。
【0027】
図2に示すように、自車両30の前方にカメラ12aが取付けられ、自車両30の左右にカメラ12b、12cが取り付けられ、自車両30の後方にカメラ12dが取付けられている。
図2に示した直線の点線は、各カメラ12a〜12dの検知範囲を示している。4つのカメラ12a〜12dにより撮像された映像を変換し、組み合わせることで、自車両30と自車両30の周辺を上方から見下ろした俯瞰図が生成可能である。
【0028】
なお、俯瞰図は表示器13に表示する際に使用する。
【0029】
表示器13は、例えば、液晶ディスプレイによって構成され、表示器13の表示画面には、カメラ12a〜12dの撮像した俯瞰画像を表示したり、駐車支援ECU22からの画像信号の画像を表示したりする。
【0030】
また、表示器13の表示画面にはタッチパネルが採用され、各種の入力操作に使用される。
【0031】
スピーカー14は、自車両30の車室内の適切な場所に配置され、ユーザーへの音声案内や警告音の出力に利用される。
【0032】
ナビゲーション装置15は、自車両30の現在位置とその周辺の道路地図を表示す
る地図表示機能、目的地までの経路を案内する経路案内機能などを備えるナビゲーション装置である。
【0033】
ナビゲーション装置15は、自車両30の現在位置を検出する位置検出器(図示せず)を備えている。
【0034】
位置検出器は、自車両30の前方の方位を測定する方位センサ、衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機で構成される。
【0035】
これらの測定結果と車輪速センサ16から出力される車速パルス信号、及び舵角センサ17から出力される操舵角信号などから、自車両30の自己位置及び方位を測定する。
【0036】
車輪速センサ16は、自車両30の車輪の回転に応じたパルス信号を発生するものであり、この車輪速パルスの発生回数を積算し、自車両30の移動距離を計算する。
【0037】
操舵角センサ17は、自車両30のステアリングの操舵角を検出するセンサであり、操舵角センサ17が検出した値から、ステアリング角度を算出する。
【0038】
アクセルペダル18は、ユーザーが駆動モータ(図示せず)に駆動力を指示する際に使用する。
【0039】
ブレーキペダル19は、ユーザーがホイールシリンダ―(図示せず)に制動力を指示する際に使用する。
【0040】
シフトレバー20は、ユーザーが自車両30の進行方向である前進、後退を指示する際に使用する。
【0041】
ステアリング21は、ユーザーが左右前輪(操舵輪)の操作を行い、自車両30の進む進行方向を指示する際に使用する。
【0042】
駐車支援ECU22は、上述したように、障害物記憶部22aと、障害物種類判別部22bと、障害物画面表示部22cとを備え、これらは、CPU(Central Processing Unit)、不揮発性メモリであるROM(Read Only Memory)、揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)、バス等を備えるマイクロコンピュータとして主に構成されるもので、ROMに書込まれた処理プログラムに従ってCPUが記憶演算処理を実行する。
【0043】
次に、駐車支援ECU22の動作について説明する。
【0044】
駐車支援ECU22では、先ず、自車両の運転者の運転操作によって自車両の目標とする駐車空間(以下、駐車位置)に自車両を駐車するとき、自車両を移動させながらソナー11A〜11L及びカメラ12a〜12dの検知した障害物の情報を記憶する(障害物記憶処理)。
【0045】
この障害物の情報は、駐車支援ECU22の不揮発性メモリである障害物記憶部22aに記憶する。
【0046】
以下、駐車支援ECU(運転支援システム)22における障害物記憶処理及び障害物選定処理について、
図3乃至
図8を用いて説明する。
【0047】
図3、
図4、
図5は、自車両30が駐車位置PAに駐車する動作を説明する図である。また、
図6は、障害物選定処理にて障害物の種類を自動で区別し、移動体、静止体の配色変更を行い、障害物情報マップ生成完了を示す画面表示例を示す図である。
【0048】
本実施例では、
図3に示すように、自車両30が駐車場に前進して進入し、隣接する車両40及び50と後方に壁60とがあり、自車両30が目標とする駐車位置PAに後退して駐車する場合を例として説明する。
【0049】
図7は、本発明の実施例における障害物記憶処理のフローチャートである。
【0050】
図7において、ステップS101では、表示器13の表示画面に「メモリ開始」というボタンを表示する。そして、ユーザーが「メモリ開始」ボタンを押すことで、ステップS102に処理を進める。
【0051】
ステップS102では、
図4に示すように、ユーザーが「メモリ開始」をタッチ操作した時の自車両30の現在位置を、自車両30上に設定した仮座標系(VX−VY)の原点VOとして設定する。なお、VX軸(自車両30前後方向の中心線)は自車両30前方の方位と一致し、VY軸(車幅方向の中心線)はVX軸に直交する。
【0052】
ステップS103では、ソナー11A〜11L及びカメラ20a〜20dの駆動を開始する。
【0053】
次に、ステップS104では、ユーザーに運転操作(駐車操作)の開始を促し、ユーザーは手動にて駐車操作を行う。
【0054】
図4に示した例では、ユーザーは、はじめに自車両30を矢印のように前進させ、その後、後退させながら駐車位置PAの目的駐車枠PAfへ自車両30を駐車させる操作を行うことになる。
【0055】
図7のステップS105では、自車両30が駐車位置PAに駐車するまでの間に、ソナー11A〜11L及びカメラ20a〜20dが障害物を検知したかどうかを判別する。このステップS105にて肯定判別、つまり、障害物を検知した場合にはステップS106へ処理を進める。
【0056】
ステップS105にて否定判別、つまり、障害物を検知しなかった場合にはステップS107へ処理を移行する。
【0057】
ステップS106では、自車両30の現在位置、障害物を検知したソナー11A〜11Lの搭載位置、及び障害物までの距離から仮座標系(VX−VY)における障害物点の座標値とカメラ12でナンバープレートを認識した座標値を演算して、記憶する。
【0058】
ステップS107では、表示器13の表示画面に表示された「メモリ終了」ボタンが押されたかどうかを判別する。
【0059】
ステップS107にて肯定判別した場合、つまり、「メモリ終了」ボタンが押された場合には、自車両30が駐車位置PAに駐車したものとしてステップS108へ処理を進める。ステップS107にて否定判別した場合、つまり、「メモリ終了」ボタンが押されていない場合には、自車両30が駐車位置PAに到達していないものとして、ステップS105へ処理を移行し、上述した処理を繰り返す。つまり、自車両30が駐車位置PAに到達して駐車したかどうかについては、ユーザーによる「メモリ終了」ボタンのタッチ操作の有無によって判別する。
【0060】
ステップS108では、駐車位置PAに駐車した自車両30の絶対位置(緯経度)、自車両30の絶対方位を駐車支援ECU22の
メモリ22aに記憶する。
【0061】
ステップS109では、仮座標系(VX−VY)上の座標値として記憶した障害物点(車両40、50、壁60)の座標値を、ステップS108にて
図5に示すように、障害物記憶部22aに記憶した絶対値を原点ROとし、その記憶した自車両30の絶対方位をRX軸、それに直交する軸をRY軸とする実座標系(RX−RY)の座標値に変換する。また、仮座標系(VX−VY)の原点VOについても、実座標系(RX−RY)の座標値に変換する。
【0062】
ステップS110では、
図8に示す障害物選定処理を実行する。
【0063】
図8のステップS201では、実座標系(RX−RY)の座標値に変換された障害物点の連続性からグループ化を行うことで、障害物毎に分割する。これにより、実座標系(RX−RY)における障害物点のグループ毎の座標値が決定する。また、障害物点の連続性から分割した障害物の位置関係と、ナンバープレートを認識した障害物の位置関係より、ソナー11とカメラ12で検知した障害物毎に情報を関連付ける処理を行う。
【0064】
ステップS202では、障害物情報より表示器13に表示される障害物毎に移動体、静止体の配色を変更する処理へと進む。
【0065】
ステップ203では、配色を変更していない障害物があるか否かを判別する。このステップS203にて肯定判別した場合、つまり、配色を変更していない障害物がある場合にはステップS204へ処理を進める。ステップS203にて、否定判別した場合、つまり、配色を変更していない障害物がない場合にはステップS207へ処理を移行する。
【0066】
ステップS204では、ステップ203で肯定判別をされ、選択された障害物情報よりナンバープレートの情報があるかどうかを判別する。すなわち、障害物種類判別部22bは、障害物情報からナンバープレートを認識した障害物は移動体と判別し、それ以外のナンバープレートを認識しなかった障害物は静止体と判別する(障害物の種類を判別する)。
【0067】
このステップS204にて、肯定判別した場合にはステップS205へ処理を進め、否定判別した場合にはステップS206へ処理を移行する。
【0068】
ステップS205では、障害物種類判別部22bは、ステップ204で移動体と判別された障害物情報の配色を変更する。つまり、移動体と識別する識別表示を選択する。
【0069】
本実施例では移動体の配色を赤色に変更するが、移動体である旨をユーザーに表示することができれば良いので、表示方法に規定は設けない。例えば、移動体を赤以外の配色で表示する方法や、
図6の様に移動体を太い実線で表示する方法など、表示方法は問わない。このステップS205の処理が終了した後、ステップ203の処理へ移行する。
【0070】
ステップS206では、ステップ204で静止体と判別された障害物情報の配色を変更する。本実施例では静止体の配色を静止体であることを識別する識別表示である青色を選択して変更するが、静止体である旨をユーザーに表示することができれば良いので、表示方法に規定は設けない。
【0071】
例えば、静止体を青以外の配色の色で表示する場合や、
図6に示した障害物情報マップのように、斜線での表示や模様などで識別可能とするなど、移動体と静止体とを切り分ける表示方法は問わない。
【0072】
つまり、移動体と静止体とを互いに識別するように、移動体の識別表示と静止体の識別表示とを互いに異なるものに設定することができる。このステップS206の処理が終了した後、ステップ203の処理へ移行する。
【0073】
ステップS207では、静止体と移動物とに区別(識別)された障害物の情報を不揮発性メモリである障害物記憶部22aに記憶する。また、障害物画面表示部22cは、障害物種類判別部22bにより選択された識別表示を
図6に示すような障害物地図を表示器13の表示画面に表示させる。
【0074】
つまり、障害物画面表示部は22c、表示器13に、障害物記憶部22aに記憶された障害物情報に基づいて、障害物の位置を示す障害物情報マップを表示する。
【0075】
そして、ユーザーに対するメッセージとして、「障害物を記憶しました」のような内容を表示器13に表示して、障害物の種類の区別が終了したことをユーザーに伝える。
【0076】
ステップS208では、
図6に示された表示画面中の「終了」ボタンが押されたかどうかを判別する。このステップS208にて肯定判別した場合には本処理を終了し、否定判別した場合にはステップS207へ処理を移行する。
【0077】
このように、
図8に示した障害物選定処理により、ソナー11A〜11L及びカメラ12a〜12dで検知した障害物について、移動することのできない静止体と、移動することのできる移動体の種類が自動で区別されるため、不揮発性メモリである障害物記憶部22aには、障害物の情報として、障害物の種類を含めて記憶することができる。つまり、静止体と移動体とを区別して記憶することができる。
【0078】
以上、説明した障害物記憶処理により、不揮発性メモリには、種類分けされた障害物の情報(障害物の種類、形状や大きさ、座標値からなる障害物情報)、実座標系(RX−RY)の原点RO、RX軸の方位、及び仮座標系(VX−VY)の原点VOの各々の座標値が記憶されることになる。
【0079】
ここで、カメラ12a〜12dによる障害物の記憶処理の際、障害物記憶部22aへの記憶開始から記憶終了の区間に、カメラ12a〜12dのレンズの汚れ等の付着物が有るか否かを駐車支援ECU22の障害物種類判別部22bが判別し、レンズや撮像素子等の撮像部分に汚れ等の付着物があると判別した場合は、ナンバープレートや周囲の障害物を検知できないと判別して、障害物種類判別部22bが障害物マップの生成を禁止するように構成することもできる(障害物記憶処理の禁止)。
【0080】
撮像部分に汚れ等の付着物があるか否かの判別は、撮像した複数の画像中に一定の画像が有るか否か等により行うことができる。
【0081】
また、ソナー11A〜11Lによる障害物の記憶処理の際、障害物記憶部22aへの記憶開始から記憶終了の区間に、ソナー11A〜11Lの周辺に遮蔽物が有るか否かを駐車支援ECU22bの障害物種類判別部22bが判別し、遮蔽物等があると判別した場合は、周囲の障害物を検知できないと判別して、障害物マップの生成を禁止するように構成することもできる(障害物記憶処理の禁止)。
【0082】
障害物記憶処理の停止を行った場合は、表示器13に「障害物記憶処理の禁止」等のように、障害物記憶処理を禁止したことを表示することもできる。
【0083】
ソナー11A〜11Lの周辺に遮蔽物があるか否かの判別は、ソナー11A〜11Lのいずれかが常時一定の数値を示しているか否か等により行うことができる。
【0084】
上述したレンズに汚れ等があるか否かおよびソナー11A〜11Lの周辺に遮蔽物が有るか否かの判別は、
図7のステップS103に続いて実行し、レンズに汚れ等が無い場合やソナー11A〜11Lの周辺に遮蔽物が無い場合は、ステップS105に進むように構成することができる。そして、レンズに汚れ等がある場合やソナー11A〜11Lの周辺に遮蔽物がある場合は、障害物記憶処理を禁止する。
【0085】
なお、レンズの汚れ判別およびソナーの遮蔽物有無判別は、両者共に実行するように構成してもよいし、レンズの汚れ判別またはソナーの遮蔽物有無判別のいずれか一方のみを実行するように構成してもよい。
【0086】
以上に説明した、本発明の実施例によれば、自車両の周辺に存在する障害物の種類として定義する移動体と静止体との区別を自動で行い、ユーザーの操作処理を低減し、負担を軽減して駐車処理時間を短縮可能な車両制御装置を実現することができる。
【0087】
なお、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0088】
例えば、本実施形態の障害物選定処理では、カメラの認識によるナンバープレート有無で障害物の種類を区別するが、タイヤを認識した場合、移動体と判別するなどに処理を変更してもよい。
【0089】
また、本実施形態の障害物選定処理では、カメラの認識によるナンバープレート有無で障害物の種類を区別するが、バイクなどは後方にしかナンバープレートがないため、前方からのセンシングだけでは移動体と区別できず、静止体として記憶してしまう。
【0090】
そこで、ユーザー(操作者)が任意に情報を変更したい障害物を、表示機器13を用いて選択し、静止体を移動体に変更、または移動体を静止体に変更する処理を加えると、障害物種類判別部22bがユーザーの変更指示に応じて、静止体または移動体への識別表示の変更処理を行い、障害物画面表示部22cを介して、表示器13に変更処理された識別表示を表示画面に表示させる。これにより、バイク等のナンバープレートが後方にしかない移動体やナンバープレートが無い自転車等にたいしても対処可能となる。