特許第6980913号(P6980913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントの特許一覧

特許6980913学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラム
<>
  • 特許6980913-学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラム 図000002
  • 特許6980913-学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラム 図000003
  • 特許6980913-学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラム 図000004
  • 特許6980913-学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラム 図000005
  • 特許6980913-学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラム 図000006
  • 特許6980913-学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラム 図000007
  • 特許6980913-学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラム 図000008
  • 特許6980913-学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラム 図000009
  • 特許6980913-学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラム 図000010
  • 特許6980913-学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラム 図000011
  • 特許6980913-学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラム 図000012
  • 特許6980913-学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラム 図000013
  • 特許6980913-学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラム 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980913
(24)【登録日】2021年11月19日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20211202BHJP
   H04N 5/235 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   G06T1/00 280
   H04N5/235 500
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-524963(P2020-524963)
(86)(22)【出願日】2018年6月11日
(86)【国際出願番号】JP2018022259
(87)【国際公開番号】WO2019239462
(87)【国際公開日】20191219
【審査請求日】2020年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅山 弘孝
【審査官】 村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−138314(JP,A)
【文献】 特開2008−016918(JP,A)
【文献】 平尾克彦,外2名,“Deep Neural Networksを用いたSDR画像からのHDR画像生成手法に関する一検討”,電子情報通信学会技術研究報告,一般社団法人電子情報通信学会,2017年,Vol.116, No.496,p.37-42
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00 − 5/50
H04N 5/222 − 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像を取得する入力画像取得部と、
前記入力画像の入力に応じて当該入力画像よりも画角が広い画像である生成広画角画像を生成する広画角画像生成部と、
前記生成広画角画像と比較される画像である比較広画角画像を取得する比較広画角画像取得部と、
前記生成広画角画像と前記比較広画角画像との比較結果に基づいて、前記広画角画像生成部のパラメータの値を、前記比較広画角画像内における画素の輝度の高さ又は前記生成広画角画像内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう更新することで、前記広画角画像生成部の学習を実行する広画角画像生成学習部と、
を含むことを特徴とする学習装置。
【請求項2】
スタンダードダイナミックレンジの画像の入力に応じて、ハイダイナミックレンジの画像である生成HDR画像を生成するHDR画像生成部と、
前記生成HDR画像と比較されるハイダイナミックレンジの画像である比較HDR画像を取得する比較HDR画像取得部と、
前記生成HDR画像と前記比較HDR画像との比較結果に基づいて、前記HDR画像生成部のパラメータの値を更新することで、前記HDR画像生成部の学習を実行するHDR画像生成学習部と、をさらに含み、
前記入力画像取得部は、学習済の前記HDR画像生成部が生成する前記生成HDR画像を、前記入力画像として取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の学習装置。
【請求項3】
スタンダードダイナミックレンジの画像を取得する画像取得部と、
前記スタンダードダイナミックレンジの画像の入力に応じて、ハイダイナミックレンジの画像を生成するHDR画像生成部と、
前記ハイダイナミックレンジの画像の入力に応じて、当該画像より画角が広い広画角画像を生成する広画角画像生成部と、を含み、

前記広画角画像生成部は、入力画像の入力に応じて当該広画角画像生成部が生成する生成広画角画像と、当該生成広画角画像と比較される比較広画角画像と、の比較結果に基づいて、前記広画角画像生成部のパラメータの値を更新することで学習が実行された学習済の機械学習モデルである、
とを特徴とする画像生成装置。
【請求項4】
前記広画角画像生成部は、前記広画角画像生成部のパラメータの値を前記比較広画角画像内における画素の輝度の高さ又は前記生成広画角画像内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう更新することで学習が実行された学習済の機械学習モデルである、
ことを特徴とする請求項に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記HDR画像生成部は、スタンダードダイナミックレンジの画像の入力に応じて当該HDR画像生成部が生成するハイダイナミックレンジの画像と、当該ハイダイナミックレンジの画像と比較されるハイダイナミックレンジの画像と、の比較結果に基づいて、前記HDR画像生成部のパラメータの値を更新することで学習が実行された学習済の機械学習モデルである、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の画像生成装置。
【請求項6】
入力画像を取得するステップと、
広画角画像生成部を用いて前記入力画像の入力に応じて当該入力画像よりも画角が広い画像である生成広画角画像を生成するステップと、
前記生成広画角画像と比較される画像である比較広画角画像を取得するステップと、
前記生成広画角画像と前記比較広画角画像との比較結果に基づいて、前記広画角画像生成部のパラメータの値を、前記比較広画角画像内における画素の輝度の高さ又は前記生成広画角画像内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう更新することで、前記広画角画像生成部の学習を実行するステップと、
を含むことを特徴とする学習方法。
【請求項7】
画像取得部が、スタンダードダイナミックレンジの画像を取得するステップと、
HDR画像生成部が、前記スタンダードダイナミックレンジの画像の入力に応じて、ハイダイナミックレンジの画像を生成するステップと、
広画角画像生成部が、前記ハイダイナミックレンジの画像の入力に応じて、当該画像より画角が広い広画角画像を生成するステップと、を含み、
前記広画角画像生成部は、入力画像の入力に応じて当該広画角画像生成部が生成する生成広画角画像と、当該生成広画角画像と比較される比較広画角画像と、の比較結果に基づいて、前記広画角画像生成部のパラメータの値を更新することで学習が実行された学習済の機械学習モデルである、
とを特徴とする画像生成方法。
【請求項8】
入力画像を取得する手順、
広画角画像生成部を用いて前記入力画像の入力に応じて当該入力画像よりも画角が広い画像である生成広画角画像を生成する手順、
前記生成広画角画像と比較される画像である比較広画角画像を取得する手順、
前記生成広画角画像と前記比較広画角画像との比較結果に基づいて、前記広画角画像生成部のパラメータの値を、前記比較広画角画像内における画素の輝度の高さ又は前記生成広画角画像内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう更新することで、前記広画角画像生成部の学習を実行する手順、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
スタンダードダイナミックレンジの画像を取得する手順、
前記スタンダードダイナミックレンジの画像の入力に応じて、ハイダイナミックレンジの画像を生成する手順、
広画角画像生成部を用いて前記ハイダイナミックレンジの画像の入力に応じて、当該画像より画角が広い広画角画像を生成する手順、をコンピュータに実行させ、
前記広画角画像生成部は、入力画像の入力に応じて当該広画角画像生成部が生成する生成広画角画像と、当該生成広画角画像と比較される比較広画角画像と、の比較結果に基づいて、前記広画角画像生成部のパラメータの値を更新することで学習が実行された学習済の機械学習モデルである、
とを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
実写の画像に基づいて設定される光源を用いて、リアルなコンピュータグラフィックス(CG)の画像やCGと実写の画像とを合成した画像を生成するイメージベースドライトニング(IBL)の技術が知られている。
【0003】
生成される画像のリアリティを向上させるため、IBLにおいてはハイダイナミックレンジ(HDR)の360度画像などといった広画角画像に基づいて光源が設定されることが望ましい。しかし、広画角画像を得るためには全天周カメラや半天周カメラなどといった専用機材による撮影が必要であり、また、専門の知識も求められる。
【0004】
そのため、撮影によって広画角画像を生成する代わりに、学習済の機械学習モデルなどによって実装された画像生成部を用いて広画角画像を生成することが行われている。この場合は例えば、一般的なカメラにより撮影される画像を画像生成部に入力することで、当該画像の画角の外の物体や風景などといった当該画像の画角の外の環境の推定結果が補われた広画角画像が生成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上述のようにして広画角画像を生成する従来技術では、高輝度部分がうまく推定できず、広画角画像内の不自然な位置に高輝度部分が配置される、あるいは逆に、配置されるべき位置に高輝度部分が配置されないことがあった。その結果、例えばIBLにおける光源の設定が不自然になることがあった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的の1つは、生成される広画角画像の高輝度部分の推定精度を向上できる学習装置、画像生成装置、学習方法、画像生成方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る学習装置は、入力画像を取得する入力画像取得部と、前記入力画像の入力に応じて当該入力画像よりも画角が広い画像である生成広画角画像を生成する広画角画像生成部と、前記生成広画角画像と比較される画像である比較広画角画像を取得する比較広画角画像取得部と、前記生成広画角画像と前記比較広画角画像との比較結果に基づいて、前記広画角画像生成部のパラメータの値を、前記比較広画角画像内における画素の輝度の高さ又は前記生成広画角画像内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう更新することで、前記広画角画像生成部の学習を実行する広画角画像生成学習部と、を含む。
【0008】
本発明の一態様では、スタンダードダイナミックレンジの画像の入力に応じて、ハイダイナミックレンジの画像である生成HDR画像を生成するHDR画像生成部と、前記生成HDR画像と比較されるハイダイナミックレンジの画像である比較HDR画像を取得する比較HDR画像取得部と、前記生成HDR画像と前記比較HDR画像との比較結果に基づいて、前記HDR画像生成部のパラメータの値を更新することで、前記HDR画像生成部の学習を実行するHDR画像生成学習部と、をさらに含み、前記入力画像取得部は、学習済の前記HDR画像生成部が生成する前記生成HDR画像を、前記入力画像として取得する。
【0009】
また、本発明にかかる画像生成装置は、スタンダードダイナミックレンジの画像を取得する画像取得部と、前記スタンダードダイナミックレンジの画像の入力に応じて、ハイダイナミックレンジの画像を生成するHDR画像生成部と、前記ハイダイナミックレンジの画像の入力に応じて、当該画像より画角が広い広画角画像を生成する広画角画像生成部と、を含む。
【0010】
本発明の一態様では、前記広画角画像生成部は、入力画像の入力に応じて当該広画角画像生成部が生成する生成広画角画像と、当該生成広画角画像と比較される比較広画角画像と、の比較結果に基づいて、前記広画角画像生成部のパラメータの値を更新することで学習が実行された学習済の機械学習モデルである。
【0011】
この態様では、前記広画角画像生成部は、前記広画角画像生成部のパラメータの値を前記比較広画角画像内における画素の輝度の高さ又は前記生成広画角画像内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう更新することで学習が実行された学習済の機械学習モデルであってもよい。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記HDR画像生成部は、スタンダードダイナミックレンジの画像の入力に応じて当該HDR画像生成部が生成するハイダイナミックレンジの画像と、当該ハイダイナミックレンジの画像と比較されるハイダイナミックレンジの画像と、の比較結果に基づいて、前記HDR画像生成部のパラメータの値を更新することで学習が実行された学習済の機械学習モデルである。
【0013】
また、本発明に係る学習方法は、入力画像を取得するステップと、広画角画像生成部を用いて前記入力画像の入力に応じて当該入力画像よりも画角が広い画像である生成広画角画像を生成するステップと、前記生成広画角画像と比較される画像である比較広画角画像を取得するステップと、前記生成広画角画像と前記比較広画角画像との比較結果に基づいて、前記広画角画像生成部のパラメータの値を、前記比較広画角画像内における画素の輝度の高さ又は前記生成広画角画像内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう更新することで、前記広画角画像生成部の学習を実行するステップと、を含む。
【0014】
また、本発明に係る画像生成方法は、スタンダードダイナミックレンジの画像を取得するステップと、前記スタンダードダイナミックレンジの画像の入力に応じて、ハイダイナミックレンジの画像を生成するステップと、前記ハイダイナミックレンジの画像の入力に応じて、当該画像より画角が広い広画角画像を生成するステップと、を含む。
【0015】
また、本発明に係るプログラムは、入力画像を取得する手順、広画角画像生成部を用いて前記入力画像の入力に応じて当該入力画像よりも画角が広い画像である生成広画角画像を生成する手順、前記生成広画角画像と比較される画像である比較広画角画像を取得する手順、前記生成広画角画像と前記比較広画角画像との比較結果に基づいて、前記広画角画像生成部のパラメータの値を、前記比較広画角画像内における画素の輝度の高さ又は前記生成広画角画像内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう更新することで、前記広画角画像生成部の学習を実行する手順、をコンピュータに実行させる。
【0016】
また、本発明に係る別のプログラムは、スタンダードダイナミックレンジの画像を取得する手順、前記スタンダードダイナミックレンジの画像の入力に応じて、ハイダイナミックレンジの画像を生成する手順、前記ハイダイナミックレンジの画像の入力に応じて、当該画像より画角が広い広画角画像を生成する手順、をコンピュータに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る第1学習の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る第2学習の一例を示す図である。
図4】学習入力HDR画像の一例を模式的に示す図である。
図5】比較広画角画像の一例を模式的に示す図である。
図6】生成広画角画像の一例を模式的に示す図である。
図7】重みマップの一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る画像の生成の一例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る画像処理装置で実装される機能の一例を示す機能ブロック図である。
図10】本発明の一実施形態に係る画像処理装置で行われる学習処理の流れの一例を示すフロー図である。
図11】本発明の一実施形態に係る画像処理装置で行われる学習処理の流れの一例を示すフロー図である。
図12】本発明の一実施形態に係る画像処理装置で行われる学習処理の流れの一例を示すフロー図である。
図13】本発明の一実施形態に係る画像処理装置で行われるターゲット広画角画像の生成処理の流れの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る画像処理装置10の構成図である。本実施形態に係る画像処理装置10は、例えば、ゲームコンソールやパーソナルコンピュータなどのコンピュータである。図1に示すように、本実施形態に係る画像処理装置10は、例えば、プロセッサ12、記憶部14、操作部16、表示部18を含んでいる。
【0020】
プロセッサ12は、例えば画像処理装置10にインストールされるプログラムに従って動作するCPU等のプログラム制御デバイスである。
【0021】
記憶部14は、ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブなどである。記憶部14には、プロセッサ12によって実行されるプログラムなどが記憶される。
【0022】
操作部16は、キーボード、マウス、ゲームコンソールのコントローラ等のユーザインタフェースであって、ユーザの操作入力を受け付けて、その内容を示す信号をプロセッサ12に出力する。
【0023】
表示部18は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスであって、プロセッサ12の指示に従って各種の画像を表示する。
【0024】
なお、画像処理装置10は、ネットワークボードなどの通信インタフェース、DVD−ROMやBlu−ray(登録商標)ディスクなどの光ディスクを読み取る光ディスクドライブ、USB(Universal Serial Bus)ポートなどを含んでいてもよい。
【0025】
本実施形態に係る画像処理装置10には学習済の機械学習モデルが実装される。そして当該機械学習モデルを用いて、平面画像(二次元画像)に基づいて、当該平面画像の画角の外の物体や風景が補われた画像が生成される。ここで例えば、チャネルあたり8ビットのスタンダードダイナミックレンジ(SDR)の平面画像(二次元画像)に基づいて、チャネルあたり32ビットのハイダイナミックレンジ(HDR)の画像が生成されてもよい。また当該SDRの平面画像は、例えば一般的なカメラで撮影される画像などであってもよい。また例えば、生成されるHDRの画像は、全天周画像(360度画像)や半天周画像(180度画像)などであってもよい。また生成されるHDRの画像は、パノラマ画像であってもよい。
【0026】
以下、画像処理装置10に実装されている機械学習モデルの学習の一例について説明する。
【0027】
本実施形態に係る画像処理装置10に実装されている機械学習モデルの学習においては、まず、図2に示すように、HDR画像生成部20の学習が実行される。ここでHDR画像生成部20の学習に用いられる学習データを第1学習データと呼ぶこととする。また以下、HDR画像生成部20の学習を第1学習と呼ぶこととする。
【0028】
HDR画像生成部20は、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)により実装された機械学習モデルである。HDR画像生成部20は、例えば、チャネルあたり8ビットのSDRの画像の入力に応じて、当該画像に対応付けられるチャネルあたり32ビットのHDRの画像を生成して出力する。
【0029】
第1学習データには、例えば、学習入力SDR画像22と比較HDR画像24との組合せが含まれる。
【0030】
第1学習データに含まれる学習入力SDR画像22は、例えば、第1学習においてHDR画像生成部20に入力される画像である。学習入力SDR画像22は、例えば、一般的なカメラで撮影される画像などといった、SDRの平面画像である。
【0031】
第1学習データに含まれる比較HDR画像24は、例えば、HDR画像生成部20により生成された画像ではない、一般的なカメラで撮影される画像などといった、HDRの平面画像である。
【0032】
本実施形態では例えば、学習入力SDR画像22がHDR画像生成部20に入力される。するとHDR画像生成部20は、当該学習入力SDR画像22の入力に応じて、当該学習入力SDR画像22に対応付けられるHDRの平面画像を生成して出力する。このようにして生成される画像を生成HDR画像26と呼ぶこととする。
【0033】
そして本実施形態では例えば、第1学習データに含まれる学習入力SDR画像22をHDR画像生成部20に入力した際の出力である生成HDR画像26と、当該第1学習データに含まれる比較HDR画像24と、の誤差(比較結果)が特定される。ここで例えば、L1ロスなどの画素間誤差(ピクセル間誤差)が特定されてもよい。そして特定される誤差に基づいて、例えば誤差逆伝搬法により、HDR画像生成部20のパラメータの値が更新される。
【0034】
本実施形態では例えば、上述の第1学習とは別に、図3に示すように、広画角画像生成部28の学習が実行される。ここで広画角画像生成部28の学習に用いられる学習データを第2学習データと呼ぶこととする。また、以下、広画角画像生成部28の学習を第2学習と呼ぶこととする。
【0035】
以下、条件付きGAN(Generative Adversarial Network)の技術を用いて、広画角画像生成部28の学習だけではなくドメイン識別部30の学習も併せて実行される第2学習の一例について説明する。
【0036】
広画角画像生成部28は、例えば、CNNにより実装された機械学習モデルである。広画角画像生成部28には、例えば、HDRの平面画像が入力される。
【0037】
そして広画角画像生成部28は、例えば入力されるHDRの平面画像の画角の外の物体や風景などといった当該画像の画角の外の環境を推定する。そして広画角画像生成部28は例えば、当該推定の結果が反映された、入力される平面画像に含まれる画像よりも画角が広い画像を生成する。ここで例えば、全天周画像や半天周画像が生成されてもよい。また例えば、パノラマ画像が生成されてもよい。そして広画角画像生成部28は、生成された画像を出力する。
【0038】
ドメイン識別部30は、例えば、CNNにより実装された機械学習モデルである。ドメイン識別部30には、例えば、広画角画像生成部28により生成された画像、又は、広画角画像生成部28では生成された画像とは異なる画像のいずれかが入力される。そしてドメイン識別部30は、例えば、ドメイン識別部30に入力される画像が広画角画像生成部28により生成された画像であるか否かの識別結果を出力する。ここでドメイン識別部30が、ドメイン識別部30に入力された画像が広画角画像生成部28により生成された画像である可能性の高さを示すデータを出力してもよい。
【0039】
第2学習データには、学習入力HDR画像32と、比較広画角画像34と、が含まれている。
【0040】
第2学習データに含まれる学習入力HDR画像32は、例えば、一般的なカメラで撮影される画像などといったHDRの平面画像である。図4は、本実施形態に係る学習入力HDR画像32の一例を模式的に示す図である。なお図4にはHDRの画像に対して二値化処理がされた画像が示されている。なお学習入力HDR画像32として、学習済のHDR画像生成部20が生成するHDRの平面画像が用いられてもよい。ここで例えば、学習入力SDR画像22の入力に応じて学習済のHDR画像生成部20が生成するHDRの平面画像が学習入力HDR画像32として用いられてもよい。また学習入力SDR画像22とは異なるSDRの画像の入力に応じて学習済のHDR画像生成部20が生成するHDRの平面画像が学習入力HDR画像32として用いられてもよい。
【0041】
第2学習データに含まれる比較広画角画像34は、例えば、広画角画像生成部28により生成された画像ではない、全天周カメラで撮影された全天周画像や半天周カメラで撮影された半天周画像などのHDRの広画角画像である。なお比較広画角画像34は、パノラマカメラで撮影されたパノラマ画像であってもよい。図5は、本実施形態に係る比較広画角画像34の一例を模式的に示す図である。なお図5にはHDRの画像に対して二値化処理がされた画像が示されている。
【0042】
また、第2学習データに含まれる比較広画角画像34として、当該第2学習データに含まれる学習入力HDR画像32に対応付けられる画像が用いられてもよい。第2学習データに含まれる比較広画角画像34は、例えば、当該第2学習データに含まれる学習入力HDR画像32と同じ位置で撮影された画像であってもよい。
【0043】
第2学習では、第2学習データに含まれる学習入力HDR画像32が広画角画像生成部28に入力される。すると広画角画像生成部28は、当該学習入力HDR画像32の入力に応じて、当該学習入力HDR画像32よりも画角が広い画像を生成する。このようにして生成される画像を生成広画角画像36と呼ぶこととする。図6は、本実施形態に係る生成広画角画像36の一例を模式的に示す図である。なお図6にはHDRの画像に対して二値化処理がされた画像が示されている。
【0044】
そしてドメイン識別部30に、第2学習データに含まれる学習入力HDR画像32に基づいて生成された生成広画角画像36、又は、第2学習データに含まれる比較広画角画像34のいずれかが入力される。
【0045】
そしてドメイン識別部30は、例えば、ドメイン識別部30に入力された画像が生成広画角画像36である可能性の高さを示す生成可能性データ38を出力する。そして当該生成可能性データ38と、ドメイン識別部30に入力された画像が生成広画角画像36であるか比較広画角画像34であるかを示すドメイン識別データ40との誤差(比較結果)であるアドバーサリアルロス(adversarial loss)が特定される。
【0046】
ここで例えばドメイン識別データ40の値として、生成広画角画像36又は比較広画角画像34のいずれかに対応付けられる値が設定されてもよい。
【0047】
例えば生成可能性データ38が0以上1以下の値をとるデータであってもよい。この場合、ドメイン識別データ40は例えば、ドメイン識別部30に入力された画像が生成広画角画像36である場合に値として1をとり比較広画角画像34である場合に値として0をとるデータであってもよい。
【0048】
また生成可能性データ38及びドメイン識別データ40が例えば2個の要素を含むベクトルとして表現されてもよい。例えば、生成可能性データ38の第1の要素の値がドメイン識別部30に入力された画像が生成広画角画像36である可能性の高さを示す値であってもよい。そして生成可能性データ38の第2の要素の値がドメイン識別部30に入力された画像が比較広画角画像34である可能性の高さを示す値であってもよい。この場合、生成広画角画像36に対応付けられるドメイン識別データ40の値が二次元ベクトル(1,0)で表現され、比較広画角画像34に対応付けられるドメイン識別データ40の値が二次元ベクトル(0,1)で表現されてもよい。
【0049】
そして本実施形態では、アドバーサリアルロスに基づいて、例えば誤差逆伝搬法により、広画角画像生成部28又はドメイン識別部30のいずれかのパラメータの値が更新される。
【0050】
ここで本実施形態に係る第2学習において、所定数の第2学習データを用いた広画角画像生成部28のパラメータの値の更新と所定数の第2学習データを用いたドメイン識別部30のパラメータの値の更新とが、交互に繰り返し実行されてもよい。この場合、広画角画像生成部28のパラメータの値の更新の際には、ドメイン識別部30のパラメータの値が固定された状態で、広画角画像生成部28のパラメータの値が更新される。また、ドメイン識別部30のパラメータの値の更新の際には、広画角画像生成部28のパラメータの値が固定された状態で、ドメイン識別部30のパラメータの値が更新される。
【0051】
また本実施形態に係る第2学習は、上述のように条件付きGANの技術を用いて実行される。そのため、広画角画像生成部28のパラメータの値の更新では、アドバーサリアルロスだけではなく、生成広画角画像36と比較広画角画像34との間のL1ロスなどの画素間誤差も加味される。
【0052】
また本実施形態では例えば、各画素について、比較広画角画像34における輝度値の大きさに応じた重み42が決定される。そして上述の画素間誤差に重み42による重み付けを行うことで、修正画素間誤差が決定される。例えば、各画素について、画素間誤差の値に重み42を示す値を乗じることで、修正画素間誤差の値が決定される。そして、アドバーサリアルロス、及び、各画素について決定される修正画素間誤差に基づいて、例えば誤差逆伝搬法により、広画角画像生成部28のパラメータの値が更新される。
【0053】
図7は、本実施形態に係る輝度値に応じた重み42の一例が表現された重みマップ44の一例を示す図である。図7の重みマップ44では、重み42を示す値が大きな画素ほど白く、また重み42を示す値が小さな画素ほど黒く表現されている。なお図7には二値化処理がされた画像が示されている。
【0054】
ここで重み42は、例えば、輝度値の増加関数であってもよい。例えば、輝度値が所定値未満である場合における重み42は1となり、輝度値が所定値以上である場合における重み42は輝度値が大きいほど大きくなるよう、各画素の重み42が設定されてもよい。また例えば、輝度値が所定値未満である場合における重み42は1となり、輝度値が所定値以上である場合における重み42は2となるよう、各画素の重み42が設定されてもよい。なお輝度値と重み42との関係は上述のものに限定されない。
【0055】
以上のようにして本実施形態では、比較広画角画像34内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう広画角画像生成部28のパラメータの値を更新することで、広画角画像生成部28の学習が実行される。
【0056】
なお各画素について、比較広画角画像34ではなく生成広画角画像36における輝度値の大きさに応じた重み42が決定されてもよい。この場合は生成広画角画像36内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう広画角画像生成部28のパラメータの値を更新することで、広画角画像生成部28の学習が実行される。
【0057】
また各画素について、比較広画角画像34内における当該画素の輝度値又は生成広画角画像36内における当該画素の輝度値のうちのいずれか大きな方の大きさに応じた重み42が決定されてもよい。この場合は比較広画角画像34内における画素の輝度の高さ又は生成広画角画像36内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう広画角画像生成部28のパラメータの値が更新される。
【0058】
なお本実施形態に係る学習の方法は上述のものに限定されない。例えば条件付きGANの技術を用いずに、例えば画素間誤差や修正画素間誤差のみに基づく第2学習が実行されてもよい。この場合は、ドメイン識別部30を用いずに広画角画像生成部28の学習が実行されることとなる。
【0059】
以下、学習済のHDR画像生成部20及び広画角画像生成部28を用いた画像の生成について図8を参照しながら説明する。
【0060】
まず、一般的なカメラで撮影される画像などといったSDRの平面画像が学習済のHDR画像生成部20に入力される。以下、このようにして入力される画像をターゲット入力画像46と呼ぶこととする。
【0061】
そしてHDR画像生成部20が、当該ターゲット入力画像46に応じたHDRの平面画像を生成して出力する。以下、このようにして出力されるHDRの画像をターゲット中間画像48と呼ぶこととする。
【0062】
そして当該ターゲット中間画像48が学習済の広画角画像生成部28に入力される。そして広画角画像生成部28が、当該ターゲット中間画像48に応じたHDRの画像を生成して出力する。ここで出力される画像は、例えば、ターゲット中間画像48の画角の外の物体や風景が補われた、当該ターゲット中間画像48よりも画角が広い画像である。以下、当該画像をターゲット広画角画像50と呼ぶこととする。
【0063】
輝度値が大きい画素などといった輝度が高い画素は、太陽や照明などといったいわゆる光源が表現された画素である可能性が高い。そしてこのような輝度が高い画素について広画角画像生成部28の推定がうまくできないと、生成広画角画像36内の不自然な位置に高輝度部分が配置される、あるいは、配置されるべき部分に高輝度部分が配置されない。その結果、例えばIBLにおける光源の設定が不自然になることがあった。
【0064】
本実施形態では上述のように、画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう広画角画像生成部28のパラメータの値を更新することで、広画角画像生成部28の学習が実行される。そのため、輝度が高い画素について広画角画像生成部28の推定精度を向上させることができる。その結果、例えばIBLにおける光源の設定を自然なものとすることができる。また例えばIBLの技術を用いた鏡面物体の反射を繊細に表現できるようになる。
【0065】
ここで例えば、比較広画角画像34内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう広画角画像生成部28のパラメータの値を更新することで、広画角画像生成部28の学習が実行されてもよい。この場合は、生成広画角画像36内の配置されるべき部分に高輝度部分が配置されない可能性を下げることができる。
【0066】
また例えば、生成広画角画像36内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう広画角画像生成部28のパラメータの値を更新することで、広画角画像生成部28の学習が実行されてもよい。この場合は、生成広画角画像36内の不自然な位置に高輝度部分が配置される可能性を下げることができる。
【0067】
また本実施形態では、ダイナミックレンジが広いHDRの画像に基づいて輝度値に応じた各画素の重み42が決定されるため、輝度が特に高い部分に対して特に大きな重み42を付与するなどといった輝度に応じた的確な重み付けを行うことができる。
【0068】
また第2学習において条件付きGANの技術が用いる場合には、広画角画像生成部28により生成されるHDRの画像を高周波なものとすることができる。
【0069】
また本実施形態では例えば上述のように、広画角画像生成部28の学習とは別にHDR画像生成部20の学習が実行される。そしてHDR画像生成部20によりSDRの画像に基づくHDRの画像が行われ、広画角画像生成部28により当該HDRの画像に基づくHDRの広画角の画像の生成が行われる。このようにHDRの広画角の画像の生成が2段階で行われることにより本実施形態によれば高コントラストなHDRの広画角の画像が生成されることとなる。
【0070】
なお本実施形態に係る画像処理装置10で生成されるターゲット広画角画像50に基づいて、イメージベースドライトニング(IBL)における光源が設定されてもよい。なおもちろん、本実施形態に係る画像処理装置10で生成されるターゲット広画角画像50の用途はIBLには限定されない。
【0071】
以下、本実施形態に係る画像処理装置10の機能、及び、画像処理装置10で実行される処理についてさらに説明する。
【0072】
図9は、本実施形態に係る画像処理装置10で実装される機能の一例を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態に係る画像処理装置10で、図9に示す機能のすべてが実装される必要はなく、また、図9に示す機能以外の機能が実装されていても構わない。
【0073】
図9に示すように、本実施形態に係る画像処理装置10には、機能的には例えば、HDR画像生成部20、広画角画像生成部28、ドメイン識別部30、第1学習データ取得部60、第1学習部62、第2学習データ取得部64、第2学習部66、ターゲット入力画像取得部68、ターゲット中間画像取得部70、ターゲット広画角画像取得部72、が含まれる。以上の要素はプロセッサ12、及び、記憶部14を主として実装される。
【0074】
本実施形態に係る画像処理装置10は、画像処理装置10に実装されている機械学習モデルの学習を実行する学習装置としての役割も学習済の機械学習モデルを用いた画像の生成を実行する画像生成装置としての役割も担っている。図9の例では、HDR画像生成部20、広画角画像生成部28、ドメイン識別部30、第1学習データ取得部60、第1学習部62、第2学習データ取得部64、及び、第2学習部66が、学習装置としての役割に相当する。また、HDR画像生成部20、広画角画像生成部28、ターゲット入力画像取得部68、ターゲット中間画像取得部70、及び、ターゲット広画角画像取得部72が、画像生成装置としての役割に相当する。
【0075】
以上の機能は、コンピュータである画像処理装置10にインストールされた、以上の機能に対応する指令を含むプログラムをプロセッサ12で実行することにより実装されてもよい。このプログラムは、例えば、光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を介して、あるいは、インターネットなどを介して画像処理装置10に供給されてもよい。
【0076】
HDR画像生成部20は、上述のように本実施形態では例えば、SDRの平面画像の入力に応じて、HDRの平面画像を生成して出力する。またHDR画像生成部20は、CNNなどの機械学習モデルにより実装されていてもよい。
【0077】
広画角画像生成部28は、上述のように本実施形態では例えば、画像の入力に応じて、当該画像よりも画角が広い画像を生成する。また広画角画像生成部28は、上述のように本実施形態では例えば、生成された画像を出力する。また、HDRの画像の入力に応じて、HDRの画像を出力してもよい。また広画角画像生成部28は、CNNなどの機械学習モデルにより実装されていてもよい。
【0078】
ドメイン識別部30は、上述のように本実施形態では例えば、ドメイン識別部30に入力される画像が広画角画像生成部28により生成された画像であるか否かの識別結果を出力する。またドメイン識別部30は、CNNなどの機械学習モデルにより実装されていてもよい。
【0079】
第1学習データ取得部60は、本実施形態では例えば、学習入力SDR画像22と比較HDR画像24との組合せを含む第1学習データを取得する。
【0080】
第1学習部62は、本実施形態では例えば、第1学習データ取得部60が取得する第1学習データを用いて第1学習を実行する。ここで例えば、第1学習データに含まれる学習入力SDR画像22に基づいてHDR画像生成部20により生成HDR画像26が生成されてもよい。そして当該生成HDR画像26と、当該第1学習データに含まれる比較HDR画像24と、の比較結果に基づいて、HDR画像生成部20のパラメータの値を更新することで、HDR画像生成部20の学習が実行されてもよい。
【0081】
第2学習データ取得部64は、本実施形態では例えば、学習入力HDR画像32と比較広画角画像34との組合せを含む第2学習データを取得する。ここで第2学習データ取得部64は、学習済のHDR画像生成部20が生成する生成HDR画像26を学習入力HDR画像32として含む第2学習データを取得してもよい。
【0082】
第2学習部66は、本実施形態では例えば、第2学習データ取得部64が取得する第2学習データを用いて第2学習を実行する。
【0083】
ここで例えば、第2学習データに含まれる学習入力HDR画像32に基づいて広画角画像生成部28により生成広画角画像36が生成されてもよい。そして当該生成広画角画像36、又は、当該第2学習データに含まれる比較広画角画像34に含まれる各画素について、当該画素の輝度値に応じた重み42が決定されてもよい。
【0084】
また、生成広画角画像36に含まれる画素と比較広画角画像34に含まれる画素とが1対1で対応付けられていてもよい。そして比較広画角画像34に含まれる各画素について、当該画素の輝度値又は当該画素に対応付けられる生成広画角画像36内の画素の輝度値のうちのいずれか大きな方の大きさに応じた重み42が当該画素の重み42として決定されてもよい。
【0085】
そして、当該生成広画角画像36と当該比較広画角画像34との画素間誤差、及び、決定される重み42に応じた更新量となるよう、広画角画像生成部28のパラメータの値を更新することで、広画角画像生成部28の学習が実行されてもよい。例えばある画素についての生成広画角画像36と比較広画角画像34との画素間誤差の値と、当該画素の重み42を示す値と、を乗じた値である修正画素間誤差の値に基づいて、当該画素に係るパラメータの値の更新量が決定されてもよい。
【0086】
ここで例えば、比較広画角画像34内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう広画角画像生成部28のパラメータの値を更新することで、広画角画像生成部28の学習が実行されるようにしてもよい。
【0087】
また例えば、生成広画角画像36内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう広画角画像生成部28のパラメータの値を更新することで、広画角画像生成部28の学習が実行されるようにしてもよい。
【0088】
また例えば、比較広画角画像34内における画素の輝度の高さ又は生成広画角画像36内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう広画角画像生成部28のパラメータの値が更新されてもよい。
【0089】
ターゲット入力画像取得部68は、本実施形態では例えば、学習済のHDR画像生成部20に入力される、上述のターゲット入力画像46を取得する。
【0090】
ターゲット中間画像取得部70は、本実施形態では例えば、上述したようにターゲット入力画像46に基づいてHDR画像生成部20が生成して出力するターゲット中間画像48を取得する。またターゲット中間画像取得部70は、本実施形態では例えば、当該ターゲット中間画像48を広画角画像生成部28に入力する。
【0091】
ターゲット広画角画像取得部72は、本実施形態では例えば、上述したようにターゲット中間画像48に基づいて広画角画像生成部28が生成して出力するターゲット広画角画像50を取得する。
【0092】
ここで、本実施形態に係る画像処理装置10で行われるHDR画像生成部20、広画角画像生成部28、及び、ドメイン識別部30の学習処理の流れの一例を、図10に例示するフロー図を参照しながら説明する。
【0093】
まず、第1学習データ取得部60が、複数の第1学習データを取得する(S101)。
【0094】
そして、第1学習部62が、S101に示す処理で取得された複数の第1学習データを用いて第1学習を実行する(S102)。ここではHDR画像生成部20の学習が実行される。
【0095】
そして、第2学習データ取得部64が、複数の第2学習データを取得する(S103)。ここでは例えば、m×2n(m,nは整数)個の第2学習データが取得されることとする。また、m×2n個の第2学習データは、2n個ずつのデータ群に分割されていることとする。以下、i(1≦i≦m)番目のデータ群を第iデータ群と呼ぶこととする。
【0096】
そして、第2学習部66が、変数iの値に1を設定する(S104)。
【0097】
そして、第2学習部66が、第iデータ群に含まれるn個の第2学習データを用いて、広画角画像生成部28についての第2学習を実行する(S105)。S105に示す処理では、ドメイン識別部30のパラメータの値が固定された状態で、広画角画像生成部28のパラメータの値が更新される。
【0098】
そして、第2学習部66が、第iデータ群に含まれる、S105に示す処理で用いられていない残りのn個の第2学習データを用いて、ドメイン識別部30についての第2学習を実行する(S106)。S106に示す処理では、広画角画像生成部28のパラメータの値が固定された状態で、ドメイン識別部30のパラメータの値が更新される。
【0099】
そして、第2学習部66は、変数iの値がmであるか否かを確認する(S107)。値がmでない場合は(S107:N)、第2学習部66は、変数iの値を1増加させて(S108)、S105に示す処理に戻る。値がmである場合は(S107:Y)、本処理例に示す処理を終了する。
【0100】
次に、上述のS105に示す、第iデータ群に含まれるn個の第2学習データを用いた広画角画像生成部28についての第2学習の処理の流れの一例について、図11に例示するフロー図を参照しながら説明する。
【0101】
まず、第2学習部66が、第iデータ群に含まれるn個の第2学習データのうち、以下のS202〜S212に示す処理が実行されていないものを1つ取得する(S201)。
【0102】
そして第2学習部66が、S201に示す処理で取得された第2学習データに含まれる比較広画角画像34を特定する(S202)。
【0103】
そして第2学習部66は、S201に示す処理で取得された第2学習データに含まれる学習入力HDR画像32を特定する(S203)。
【0104】
そして第2学習部66は、S203に示す処理で特定された学習入力HDR画像32を広画角画像生成部28に入力する(S204)。
【0105】
そして第2学習部66は、S204に示す処理で学習入力HDR画像32が入力された際の広画角画像生成部28の出力である生成広画角画像36を取得する(S205)。
【0106】
そして第2学習部66は、S202に示す処理で特定された比較広画角画像34又はS205に示す処理で取得された生成広画角画像36のいずれかをドメイン識別部30に入力する(S206)。
【0107】
そして第2学習部66は、S206に示す処理における入力に応じたドメイン識別部30の出力である生成可能性データ38を取得する(S207)。
【0108】
そして第2学習部66は、S207に示す処理で取得された生成可能性データ38と、S206に示す処理における入力に対応付けられるドメイン識別データ40と、に基づいて、アドバーサリロスを算出する(S208)。
【0109】
そして第2学習部66は、S202に示す処理で特定された比較広画角画像34と、S205に示す処理で取得された生成広画角画像36と、の画素間誤差を特定する(S209)。
【0110】
そして第2学習部66は、S202に示す処理で特定された比較広画角画像34に含まれる各画素に対応付けられる重み42を決定する(S210)。ここで例えば、S205に示す処理で取得された生成広画角画像36に含まれる各画素に対応付けられる重み42が決定されてもよい。また例えば、各画素について、比較広画角画像34内における当該画素の輝度値又は生成広画角画像36内における当該画素の輝度値のうちのいずれか大きな方の大きさに応じた重み42が決定されてもよい。
【0111】
そして第2学習部66は、S209に示す処理で特定された画素間誤差と、S210に示す処理で決定された重み42と、に基づいて、修正画素間誤差を算出する(S211)。
【0112】
そして第2学習部66は、S209に示す処理で算出されたアドバーサリロス、及び、S211に示す処理で算出された修正画素間誤差、に基づいて、広画角画像生成部28のパラメータの値を更新する(S212)。ここで上述のように、比較広画角画像34内における画素の輝度の高さに応じて当該画素に係るパラメータの値の更新量が大きくなるよう広画角画像生成部28のパラメータの値は更新される。またアドバーサリロスは大きくなる方向で、また、修正画素間誤差は小さくなる方向で、例えば誤差逆伝搬法により、広画角画像生成部28のパラメータの値が更新されてもよい。
【0113】
そして第2学習部66は、第iデータ群に含まれるn個の第2学習データのすべてについてS202〜S212に示す処理が実行されたか否かを確認する(S213)。すべてについてS202〜S212に示す処理が実行されていない場合は(S213:N)、S201に示す処理に戻る。すべてについてS202〜S212に示す処理が実行された場合は(S213:Y)、S105に示す処理は終了される。
【0114】
なおS201〜S213に示す処理の1回のループ中に、比較広画角画像34をドメイン識別部30に入力する場合と、生成広画角画像36をドメイン識別部30に入力する場合のそれぞれについて、S206〜S212に示す処理が2回繰り返して実行されてもよい。
【0115】
次に、上述のS106に示す、第iデータ群に含まれる、S105に示す処理で用いられていない残りのn個の第2学習データを用いた、ドメイン識別部30についての第2学習の処理の流れの一例について、図12に例示するフロー図を参照しながら説明する。
【0116】
まず、第2学習部66が、第iデータ群に含まれる、S105に示す処理で用いられていない残りのn個の第2学習データのうち、以下のS302〜S312に示す処理が実行されていないものを1つ取得する(S301)。
【0117】
そして第2学習部66が、S301に示す処理で取得された第2学習データに含まれる比較広画角画像34を特定する(S302)。
【0118】
そして第2学習部66は、S301に示す処理で取得された第2学習データに含まれる学習入力HDR画像32を特定する(S303)。
【0119】
そして第2学習部66は、S303に示す処理で特定された学習入力HDR画像32を広画角画像生成部28に入力する(S304)。
【0120】
そして第2学習部66は、S304に示す処理で学習入力HDR画像32が入力された際の広画角画像生成部28の出力である生成広画角画像36を取得する(S305)。
【0121】
そして第2学習部66は、S302に示す処理で特定された比較広画角画像34又はS206に示す処理で取得された生成広画角画像36のいずれかをドメイン識別部30に入力する(S306)。
【0122】
そして第2学習部66は、S306に示す処理における入力に応じたドメイン識別部30の出力である生成可能性データ38を取得する(S307)。
【0123】
そして第2学習部66は、S307に示す処理で取得された生成可能性データ38と、S206に示す処理における入力に対応付けられるドメイン識別データ40と、に基づいて、アドバーサリロスを算出する(S308)。
【0124】
そして第2学習部66は、S308に示す処理で算出されたアドバーサリロスに基づいて、ドメイン識別部30のパラメータの値を更新する(S309)。ここでアドバーサリロスは小さくなる方向で、例えば誤差逆伝搬法により、ドメイン識別部30のパラメータの値が更新されてもよい。
【0125】
そして第2学習部66は、第iデータ群に含まれる、S105に示す処理で用いられていない残りのn個の第2学習データのすべてについてS302〜S309に示す処理が実行されたか否かを確認する(S310)。すべてについてS302〜S309に示す処理が実行されていない場合は(S310:N)、S301に示す処理に戻る。すべてについてS302〜S309に示す処理が実行された場合は(S310:Y)、S106に示す処理は終了される。
【0126】
なおS301〜S313に示す処理の1回のループ中に、比較広画角画像34をドメイン識別部30に入力する場合と、生成広画角画像36をドメイン識別部30に入力する場合のそれぞれについて、S306〜S309に示す処理が2回繰り返して実行されてもよい。
【0127】
また図10図12に示す処理例では、S105に示す処理とS106に示す処理とで異なる第2学習データが用いられているが、S105に示す処理とS106に示す処理とで同じ第2学習データが用いられてもよい。
【0128】
次に、本実施形態に係る画像処理装置10で行われる、ターゲット広画角画像50の生成処理の流れの一例を、図13に例示するフロー図を参照しながら説明する。
【0129】
まず、ターゲット入力画像取得部68が、ターゲット入力画像46を取得する(S401)。
【0130】
そして、ターゲット入力画像取得部68が、S401に示す処理で取得されたターゲット入力画像46をHDR画像生成部20に入力する(S402)。
【0131】
そして、HDR画像生成部20は、S302に示す処理で入力されたターゲット入力画像46に応じたターゲット中間画像48を生成して、当該ターゲット中間画像48を出力する(S403)。
【0132】
そして、ターゲット中間画像取得部70が、S403に示す処理で出力されたターゲット中間画像48を取得する(S404)。
【0133】
そして、ターゲット中間画像取得部70が、S404に示す処理で取得されたターゲット中間画像48を広画角画像生成部28に入力する(S405)。
【0134】
そして、広画角画像生成部28は、S405に示す処理で入力されたターゲット中間画像48に応じたターゲット広画角画像50を生成して、当該ターゲット広画角画像50を出力する(S406)。
【0135】
そして、ターゲット広画角画像取得部72が、S406に示す処理で出力されたターゲット広画角画像50を取得して(S407)、本処理例に示す処理を終了する。
【0136】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0137】
また、上記の具体的な文字列や数値及び図面中の具体的な文字列や数値は例示であり、これらの文字列や数値には限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13