特許第6981004号(P6981004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981004
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】光位相歪補償装置および光位相歪補償方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/2557 20130101AFI20211202BHJP
【FI】
   H04B10/2557
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-282(P2017-282)
(22)【出願日】2017年1月4日
(65)【公開番号】特開2018-110331(P2018-110331A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年10月7日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智行
(72)【発明者】
【氏名】星田 剛司
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−132895(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/013795(WO,A1)
【文献】 特開平8−125605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/2557
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される波長多重された光信号の光位相歪を補償する光位相歪補償装置において、
前記光信号の強度変動を検出する検出部と、
前記強度変動の成分から光位相歪が主に発生する帯域を抽出するフィルタと、
前記フィルタの抽出に基づき、入力される光信号の時間的な強度変動を有する補償信号を生成する制御部と、
前記制御部の補償信号に基づき、前記強度変動に対して逆相の強度変動を有し、前記光信号の波長と異なる波長の補償信号光を出力する補償信号光源と、
前記光信号と前記補償信号光とを合波した信号光を伝送路へ出力する光合波器と、
前記光合波器の出力に接続された非線形媒質と、を有し、
前記非線形媒質で光位相変調を生じさせることを特徴とする光位相歪補償装置。
【請求項2】
前記フィルタは、時間的に低速な前記光信号の強度変動を検出するローパスフィルタであることを特徴とする請求項1に記載の光位相歪補償装置。
【請求項3】
入力される前記光信号を分岐する光分岐部と、
前記光分岐部で分岐された一方に設けられ、前記光信号を所定量遅延させる光遅延線と、
前記光分岐部で分岐された他方に前記検出部と前記フィルタを設け、
前記フィルタの出力を所定量遅延させ、前記光信号の遅延量と整合させた前記補償信号を前記補償信号光源に出力する遅延部と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光位相歪補償装置。
【請求項4】
前記補償信号光源は、前記補償信号光を、前記光信号の使用チャネル以外、前記光信号の空きチャネル、前記光信号の通信波長帯域外、の少なくとも一つの所定の波長で出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光位相歪補償装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記光信号が伝送する伝送路の種類、および前記光信号の種類に対応する前記フィルタの帯域幅、前記光信号と前記補償信号光の遅延整合のための遅延量、前記補償信号光の波長およびチャープ量の各設定値を設定保持する設定部を有し、
前記光信号が伝送する伝送路の種類、および前記光信号の種類の入力に基づく前記設定値を用いて前記補償信号を生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光位相歪補償装置。
【請求項6】
前記光合波器が出力する前記光信号を分岐する第2光分岐部と、
前記第2光分岐部で分岐された前記光信号の光強度を検出する第2検出器と、
前記第2検出器で検出されたフィードバックの強度変動の成分から光位相歪が主に発生する帯域を抽出する第2フィルタと、を有し、
前記制御部は、前記第2フィルタの出力に基づき、前記補償信号の生成を調整することを特徴とする請求項3に記載の光位相歪補償装置。
【請求項7】
前記検出部の出力を分岐するディバイダと、
前記ディバイダで分岐された各系統にそれぞれ複数の前記フィルタと、前記補償信号光源を設け、
前記第2検出器の出力を分岐する第2ディバイダと、
前記ディバイダで分岐された各系統にそれぞれ複数の第2フィルタを設け、
前記制御部は、複数の前記フィルタおよび複数の補償信号光源を制御し、複数の補償信号光源に対し複数の異なる補償信号光を出力させる制御信号を出力し、
複数の前記第2フィルタの出力に基づき、複数の前記補償信号の生成を調整することを特徴とする請求項6に記載の光位相歪補償装置。
【請求項8】
前記光分岐部の出力を光分岐する第3光分岐部と、
前記第3光分岐部で光分岐された各系統にそれぞれ設けられ、前記信号光をそれぞれ異なる波長で透過させる複数の光フィルタと、
複数の光フィルタが出力する光信号の強度変動をそれぞれ検出し、前記フィルタに出力する複数の検出部と、
を備えたことを特徴とする請求項7に記載の光位相歪補償装置。
【請求項9】
前記光分岐部の出力を直交する偏波別に分離出力する偏波分離部と、
複数の前記補償信号光源と、を設け、
前記制御部は、
複数の前記補償信号光源に対し、偏波別の補償信号光を出力させることを特徴とする請求項3,6,7のいずれか一つに記載の光位相歪補償装置。
【請求項10】
前記第2光分岐部の出力を直交する偏波別に分離出力する第2偏波分離部と、
前記第2偏波分離部の各偏波別の出力を検出する複数の第2検出部と、を有し、
前記制御部は、前記第2検出部に接続された各偏波別の複数の第2フィルタの出力に基づき、複数の前記補償信号の生成を偏波別に調整することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載の光位相歪補償装置。
【請求項11】
入力される波長多重された光信号の光位相歪を補償する光位相歪補償方法において、
前記光信号の強度変動を検出し、
前記強度変動の成分から光位相歪が主に発生する帯域を抽出し、
前記抽出に基づき、入力される光信号の時間的な強度変動を有する補償信号を生成し、
前記補償信号に基づき、前記強度変動に対して逆相の強度変動を有し、前記光信号の波長と異なる波長の補償信号光を出力し、
前記光信号と前記補償信号光とを合波した信号光を伝送路へ出力し、
記出力に接続された非線形媒質により前記非線形媒質で光位相変調を生じさせる、
ことを特徴とする光位相歪補償方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送路中で生じる光位相歪を補償する光位相歪補償装置および光位相歪補償方法に関する。
【背景技術】
【0002】
伝送路は、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplex)通信により、入力する光信号数の増加、および波長間隔の狭窄化で伝送容量を拡大できる。これら光信号数の増加や波長間隔の狭窄化に伴い、伝送路中で生じる相互位相変調による光位相歪が増大し、伝送容量の増大と伝送距離の延長を両立することが困難となる。伝送路中で生じる光位相歪を補償できることで、伝送容量を増大させた光信号を長距離伝送できるようになる。
【0003】
図12は、伝送路で生じる光位相歪を説明する図である。図12(a)は波長多重された光信号(WDM信号)の時間−光強度特性の例であり、WDM信号の強度変動(数GHz)、変調成分は数十GHzである。図12(b)に示すWDM信号(波長−光強度特性)を伝送路Dに入力させると、図12(c)のように(b)同様のWDM信号が出力される。ここで、WDM信号の持つ低速な強度変動(数GHz)が伝送路D中で光位相歪を生じ、伝送路Dから出力された(受信側の)WDM信号は、図12(d)の時間−光位相歪特性に示すように、時間経過で変動する光位相歪の成分を有する。
【0004】
従来、伝送路で劣化した光信号を2分岐し、一方をLN(LiNbO3:ニオブ酸リチウム)型位相変調器に入力し、他方の受光器の出力によりLN型位相変調器を制御して光位相歪を補償する技術がある(例えば、下記特許文献1,2参照。)。光位相歪は、例えば、光信号の送信端、受信端、中継箇所で補償できる。送信端では送信装置の後段に、受信端では受信装置の前段に補償器を設け、中継箇所では中継器の光増幅器の後段に補償器を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−58699号公報
【特許文献2】特開2007−189402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では、広帯域な伝送帯域(例えば、Cバンド)で発生する光位相歪を補償することができなかった。従来は、上述した波長多重した光信号の比較的低速な強度変動に対応して、光信号を位相変調することで相互位相変調による光位相歪を補償している。この場合、下記の問題がある。
1.既存の位相変調器は挿入損失が大きく偏光依存性が大きい。
2.伝送路中で分布的に発生する光位相歪を位相変調器により補償すると、補償量が小さくなる。
【0007】
位相変調器による光位相歪の補償では、位相変調器を設けることによる付加的な挿入損失が発生する。また、集中定数的に補償するため、分布的に変動しながら発生する位相歪に対し部分的な補償となる。また、変調度の調整は、位相変調器による変調後の位相をモニタする必要があり、複雑な構成となる。
【0008】
一つの側面では、本発明は、広帯域な伝送帯域で発生する光位相歪を簡単な構成で低損失に補償できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの案では、光位相歪補償装置は、入力される波長多重された光信号の光位相歪を補償する光位相歪補償装置において、前記光信号の強度変動を検出する検出部と、前記強度変動の成分から光位相歪が主に発生する帯域を抽出するフィルタと、前記フィルタの抽出に基づき、入力される光信号の時間的な強度変動を有する補償信号を生成する制御部と、前記制御部の補償信号に基づき、前記強度変動に対して逆相の強度変動を有し、前記光信号の波長と異なる波長の補償信号光を出力する補償信号光源と、前記光信号と前記補償信号光とを合波した信号光を伝送路へ出力する光合波器と、前記光合波器の出力に接続された非線形媒質と、を有し、前記非線形媒質で光位相変調を生じさせることを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
一つの実施形態によれば、広帯域な伝送帯域で発生する光位相歪を簡単な構成で低損失に補償できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態1にかかる光位相歪補償装置の構成例を示す図である。
図2図2は、実施の形態1にかかる光位相歪補償装置による光位相歪の補償の処理を説明するフローチャートである。
図3図3は、実施の形態2にかかる光位相歪補償装置の構成例を示す図である。
図4図4は、実施の形態2にかかる光位相歪補償装置による光位相歪の補償の処理を説明するフローチャートである。
図5図5は、各実施の形態において用いる補償信号光の設定例を示す図である。
図6図6は、実施の形態3にかかる光位相歪補償装置の構成例を示す図である。
図7図7は、実施の形態3にかかる光位相歪補償装置による光位相歪の補償の処理を説明するフローチャートである。
図8図8は、実施の形態4にかかる光位相歪補償装置の構成例を示す図である。
図9図9は、実施の形態4にかかる2つの補償信号光の設定例を示す図である。
図10図10は、実施の形態5にかかる光位相歪補償装置の構成例を示す図である。
図11図11は、実施の形態6にかかる光位相歪補償装置の構成例を示す図である。
図12図12は、伝送路で生じる光位相歪を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する各実施の形態では、波長多重された光信号(WDM信号)の強度変動を検出し、光信号と逆相の強度変動を持つ補償信号光を生成し、WDM信号と補償信号光を合波して、伝送路(光ファイバ等)を伝送した後のWDM信号の光位相歪を補償する。この際、WDM信号に付加的な挿入損失等の損失が加わることなく光位相歪を補償する。以下の説明では、光信号とWDM信号は同じである。
【0013】
光位相歪は、例えば、光信号の送信端、受信端、中継箇所で補償できる。送信端では送信装置の後段に、受信端では受信装置の前段に光位相歪補償装置を設け、中継箇所では中継器の光増幅器の後段に光位相歪補償装置を設ければよい。以下の各実施の形態では、中継器への適用例について説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる光位相歪補償装置の構成例を示す図である。光位相歪補償装置100は、光スプリッタ101、光遅延線102、光検出器(フォトディテクタ:PD)103、低域透過フィルタ(LPF)104、遅延部105、補償信号光源106、光合波器107、を含む。LPF104と遅延部105は、電気信号を扱う制御部110として機能する。
【0015】
図中A〜Cは、図1の各箇所でのWDM信号の波形図であり、Aは装置に入力されるWDM信号の波形図であり、(a)はWDM信号の時間−光強度特性、(b)はWDM信号の波長−光強度特性を示す(図12(a),(b)と同様)。Bは光合波器107の出力波形図であり、(c)はWDM信号の波長−光強度特性を示す(図12(c)と同じ)。(d)はWDM信号の時間−光強度変動特性を示す。Cは伝送路Dの波形図であり、WDM信号の時間−光位相変動特性を示す。
【0016】
図中A(a)波長−光強度特性に示す強度変動(数GHz)と、数十GHzの変調成分を有するWDM信号は、例えば、伝送路Dを介して装置の光スプリッタ101に入力される。光スプリッタ101は、入力されたWDM信号を2分岐する。分岐の一方側には、例えば光ファイバを用いた光遅延線102が設けられ、光遅延線102は、他方の分岐側のLPF104等の遅延量に対応した所定の遅延量を有してWDM信号を光合波器107に出力する。
【0017】
光スプリッタ101の分岐の他方側に設けられるPD103は、WDM信号を電気信号に変換し、LPF104に出力する。LPF104は、入力されたWDM信号の光強度変動の周波数(数GHz)の成分(光位相歪が主に発生する帯域に相当)を抽出する。遅延部105は、LPF104が有する群遅延分の遅延量を調整し、補償信号を出力する。制御部110として機能するLPF104と遅延部105は、LPF104により帯域制限された強度変動を持つWDM信号の波長帯とは異なる波長の補償信号光を生成する。
【0018】
補償信号光源106は、遅延部105から入力された補償信号より反転増幅器等を用いて生成する逆相の補償信号に基づき、装置に入力されたWDM信号が有する低速(数GHz)な光強度変動の逆相の光強度変動を持つ補償信号光Xを生成する。補償信号光Xは、光源を逆相の補償信号で直接変調する、または連続発振する光源の出力を逆相の補償信号で外部変調器により変調することで生成される。補償信号光Xは、例えば、図中B(c)に示すように、WDM信号の通信波長帯域外に設定する(設定例は後述する)。
【0019】
光合波器107は、分岐の一方側の光遅延線102のWDM信号と、分岐の他方側の補償信号光源106の補償信号光Xとを合波したWDM信号を装置外部の伝送路Dに出力する。
【0020】
図1に記載の各構成のうち、制御部110として機能し、電気信号処理を行うLPF104、遅延部105は、それぞれの機能を有するアナログ回路やFPGA(Field−Programmable Gate Array)で構成できる。また、CPUおよびメモリ等のハードウェアを用いても構成でき、PD103からの入力部、および補償信号光源106に対する出力部にAD変換器、DA変換器を設ければよい。CPUを用いる場合、メモリに格納されたプログラムを実行し、この際メモリの一部を作業領域に用いることで、上記機能を実現できる。
【0021】
図2は、実施の形態1にかかる光位相歪補償装置による光位相歪の補償の処理を説明するフローチャートである。図1の構成に対応する動作内容を示している。はじめに、装置に入力されるWDM信号は、光スプリッタ101により2分岐される(ステップS201)。分岐された一方のWDM信号は、光遅延線102によりフィルタ(LPF104等)の群遅延分の遅延が調整され、光合波器107に出力される(ステップS202)。
【0022】
また、分岐された他方のWDM信号は、PD103により電気信号に変換され(ステップS203)、LPF104に出力される。LPF104は、低速なWDM信号の光強度変動を抽出し(ステップS204)、遅延部105に出力する。遅延部105は、LPF104の群遅延分の遅延を調整し、補償信号を補償信号光源106に出力する(ステップS205)。補償信号光源106は、入力される補償信号より反転増幅器等を用いて生成する逆相の補償信号に基づき、低速なWDM信号の光強度変動の逆相の光強度(強度変動)を持つ補償信号光Xを生成して光合波器107に出力する(ステップS206)。ステップS204〜ステップS206は、制御部110が電気信号により実行処理する。
【0023】
光合波器107は、分岐の一方の光遅延線102から出力されるWDM信号と、分岐の他方のWDM信号に基づき補償信号光源106が出力する補償信号光Xを合波し、装置外部の伝送路Dに出力する(ステップS207)。
【0024】
上記構成の光位相歪補償装置100は、装置外部の伝送路Dを位相変調器として用いる。そして、伝送路D中で生じる光位相歪を補償する補償信号光Xを生成して伝送路Dに送出する。伝送路D中でのWDM信号により生じる光位相歪を補償するように伝送路D中で補償信号光XによりWDM信号に光位相歪を生じさせることで、WDM信号の伝送による光位相歪を抑えることができる。
【0025】
上記説明のように、装置に入力されたWDM信号の強度変動をPD103で検出し、光信号と逆相の強度変動を持つ補償信号光Xを補償信号光源106で生成し、WDM信号と補償信号光Xを光合波器107で合波する。これにより、装置から出力するWDM信号は、箇所Bの(d)に示すように、光強度変動が抑えられる(数GHz未満)。そして、箇所Cの(e)に示すように、伝送路Dにおける光位相変動(光位相歪)を抑えることができる。
【0026】
実施の形態1によれば、光ファイバ等の伝送路を位相変調器として用い、光ファイバによる光−光変調により分布定数的に光位相歪を補償することができるため、挿入損失を低減させ、伝送信号に生じる光位相歪を効果的に補償することができる。
【0027】
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2にかかる光位相歪補償装置の構成例を示す図である。実施の形態2において、実施の形態1(図1)と同一の構成部には同一の符号を付している。実施の形態2では、光位相歪補償装置100が光ファイバ(高屈折率差導波路や高非線形係数媒質を用いた非線形光学媒質)301を介してWDM信号を伝送路Dに出力する。Cは光ファイバ301の出力波形図、D’は伝送路Dの出力波形図である。
【0028】
図4は、実施の形態2にかかる光位相歪補償装置による光位相歪の補償の処理を説明するフローチャートである。図3の構成に対応する動作内容を示している。はじめに、光位相歪補償装置100に入力されるWDM信号は、光スプリッタ101により2分岐される(ステップS401)。分岐された一方のWDM信号は、光遅延線102によりフィルタ(LPF104等)の群遅延分の遅延が調整され、光合波器107に出力される(ステップS402)。
【0029】
また、分岐された他方のWDM信号は、PD103により電気信号に変換され(ステップS403)、LPF104に出力される。LPF104は、低速なWDM信号の光強度変動を抽出し(ステップS404)、遅延部105に出力する。遅延部105は、LPF104の群遅延分の遅延を調整し、補償信号を補償信号光源106に出力する(ステップS405)。補償信号光源106は、入力される補償信号より反転増幅器等を用いて生成する逆相の補償信号に基づき、低速なWDM信号の光強度変動の逆相の光強度(強度変動)を持つ補償信号光Xを生成して光合波器107に出力する(ステップS406)。ステップS404〜ステップS406は、制御部110が電気信号により実行処理する。
【0030】
光合波器107は、分岐の一方の光遅延線102から出力されるWDM信号と、分岐の他方のWDM信号に基づき補償信号光源106が出力する補償信号光Xを合波し、光ファイバ301に出力する(ステップS407)。光ファイバ301は、補償信号光Xによる光ファイバ301内での相互位相変調によりWDM信号に光位相変動を付加して装置外部の伝送路Dに出力する(ステップS408)。
【0031】
上記構成の光位相歪補償装置100は、装置内の光ファイバ301を位相変調器として用いる。そして、伝送路D中で生じる光位相歪を補償する補償信号光Xを生成して光ファイバ301に送出する。伝送路D中でのWDM信号により生じる光位相歪を補償するように、装置内の光ファイバ301で補償信号光Xにより光位相歪を生じさせることで、伝送路DでのWDM信号の伝送による光位相歪を抑えることができる。
【0032】
光位相歪補償装置100から出力する補償信号光Xを含むWDM信号は、箇所Bの(d)に示すように、光位相歪補償装置100に入力されたWDM信号(a)の逆相を有する。そして、箇所Cの(e)に示すように、光ファイバ301内で相互位相変調により光位相歪を生じさせる。これにより、箇所D’の(f)に示すように伝送路Dにおける光位相変動(光位相歪)を抑えることができる。
【0033】
実施の形態2によれば、装置内に光ファイバ等の非線形光学媒質を設けて、光ファイバによる光−光変調により分布定数的に光位相歪を発生させることで、伝送路に対して光位相歪を除去したWDM信号を出力する。実施の形態2においても挿入損失を低減させ、伝送信号に生じる光位相歪を効果的に補償することができる。
【0034】
図5は、各実施の形態において用いる補償信号光の設定例を示す図である。補償信号光Xは、WDM信号に影響を与えない各種周波数(波長)に設定することができる。
【0035】
例えば、図5(a)のように、補償信号光Xは、通信波長帯内において、WDM信号の各チャネルの間に設定することができる。また、図5(b)のように、補償信号光XをWDM信号の空きチャネルに設定することができる。また、図5(c)のように、補償信号光XをWDM信号の通信波長帯域外(通信波長帯外)の短波長側に設定することができる。また、図5(d)のように、補償信号光XをWDM信号の通信波長帯域外(通信波長帯外)の長波長側に設定することができる。
【0036】
(実施の形態3)
図6は、実施の形態3にかかる光位相歪補償装置の構成例を示す図である。実施の形態3では、伝送路D中でのWDM信号の光強度変動、およびWDM信号の種類等の変化に対応する構成である。
【0037】
制御部110は、LPF104、遅延部105のほかに、制御回路601、ルックアップテーブル(LUT)602を含む。また、光合波器107の後段には、光ファイバ301との間に光スプリッタ2(603)を設け、PD2(604)で光強度を検出する。PD2(604)の出力は、LPF2(605)を介して制御部110の制御回路601に入力される。なお、101は光スプリッタ1とし、103はPD1、104はLPF1とする。LUT602は、例えば、メモリを用いて構成でき、メモリに設定内容を記憶保持できる。
【0038】
LUT602には、伝送路Dや、伝送するWDM信号の種類に応じたLPF104,605の帯域幅、遅延部105の遅延量、補償信号の波長およびチャープ量が設定される。制御回路601は、光スプリッタ2(603)〜LPF2(605)のフィードバック(FB)系統の出力により、光合波器107で合波したWDM信号と補償信号光Xの光信号をモニタし、補償信号光Xの強度を調整する。また、制御回路601は、WDM信号が経由する伝送路Dの変化(光ファイバの分散特性や損失の変化)や、WDM信号のチャネル数、チャネル間隔が変化した場合に、LUT602の設定を参照して、補償信号の各パラメータを再設定する。
【0039】
図7は、実施の形態3にかかる光位相歪補償装置による光位相歪の補償の処理を説明するフローチャートである。図6の構成に対応する動作内容を示している。はじめに、光位相歪補償装置100に入力されるWDM信号は、光スプリッタ1(101)により2分岐される(ステップS701)。分岐された一方のWDM信号は、光遅延線102によりフィルタ(LPF1(104))の群遅延分の遅延が調整され、光合波器107に出力される(ステップS702)。
【0040】
また、分岐された他方のWDM信号は、PD1(103)により電気信号に変換され(ステップS703)、LPF1(104)に出力される。LPF1(104)は、低速なWDM信号の光強度変動を抽出し(ステップS704)、遅延部105に出力する。遅延部105は、LPF1(104)の群遅延分の遅延を調整し、補償信号を補償信号光源106に出力する(ステップS705)。補償信号光源106は、入力される補償信号より反転増幅器等を用いて生成する逆相の補償信号に基づき、低速なWDM信号の光強度変動の逆相の光強度(強度変動)を持つ補償信号光Xを生成して光合波器107に出力する(ステップS706)。ステップS704〜ステップS706、ステップS710、ステップS711、ステップS712、ステップS713、ステップS715は、制御部110が電気信号により実行処理する。
【0041】
光合波器107は、分岐の一方の光遅延線102から出力されるWDM信号と、分岐の他方のWDM信号に基づき補償信号光源106が出力する補償信号光Xを合波し、光ファイバ301に出力する(ステップS707)。光ファイバ301は、補償信号光Xによる光ファイバ301内での相互位相変調によりWDM信号に光位相変動を付加して装置外部の伝送路Dに出力する。
【0042】
光位相歪補償装置100が出力するWDM信号は光スプリッタ2(603)で分岐され(ステップS708)、PD2(604)で電気信号に変換される(ステップS709)。PD2(604)の出力により、LPF2(605)が低速な光強度変動を抽出し、制御部110の制御回路601に出力する(ステップS710)。
【0043】
制御回路601は、LPF2(605)から入力される光強度変動が最小であるかを判断する(ステップS711)。例えば、LPF2(605)から入力される光強度変動は時間とともに変動するがこの変動量が前回値よりも低いかを判断する。そして、制御回路601は、光強度変動が最小であれば(ステップS711:Yes)、FB制御を完了する。一方、光強度変動が最小でなければ(ステップS711:No)、遅延部105に対する遅延量を変化させる調整を行い(ステップS712)、補償信号光源106に対する光強度を変化させる調整を行う(ステップS713)。
【0044】
ステップS712の調整により、次回制御においてステップS705の遅延量が調整され、ステップS713の調整により、次回制御においてステップS706の補償信号光Xの光強度が調整される。
【0045】
また、制御回路601は、光位相歪補償装置100の外部からWDM信号が経由する伝送路Dが変化した場合や、WDM信号のチャネル数、チャネル間隔が変化した場合に、LUT602を再設定する(ステップS714)。この際、LUT602に設定される補償信号の各パラメータ(LPF1,2(104,605))の帯域幅(ステップS715)、遅延部105の遅延量(ステップS712)、補償信号光源106の光強度(ステップS713)、がそれぞれ再設定される。ステップS715の調整により、次回制御においてステップS704,ステップS710におけるLPF1,2(104,605)の帯域幅が調整される。
【0046】
実施の形態3によれば、実施の形態1,2同様の作用効果を有する。そして、実施の形態2同様に装置内に光ファイバ等の非線形光学媒質を設けて、光ファイバによる光−光変調により分布定数的に光位相歪を発生させることで、伝送路に対して光位相歪を除去したWDM信号を出力する。
【0047】
加えて、実施の形態3では、装置から出力するWDM信号をフィードバック制御して、WDM信号の光強度変動を抑える制御を行う。これにより、WDM信号の伝送路や伝送信号の種類の変化、例えば、伝送信号のチャネル数やチャネル間隔の変動に対応して、LPFの帯域幅、遅延量、補償信号光の波長やチャープ量を調整し、WDM信号の光強度変動(光位相歪)を抑えることができる。そして、伝送路の前段に光変調用の光ファイバを挿入する構成において、光ファイバのゼロ分散と補償信号光の波長を調整することで効果的に光位相歪を補償できるようになる。
【0048】
(実施の形態4)
図8は、実施の形態4にかかる光位相歪補償装置の構成例を示す図である。実施の形態4では、実施の形態3の構成に加えて、伝送路中での低速な光強度変動に対応した制御を行い、光位相歪をより低減させる構成である。
【0049】
PD1(103)の出力は、制御部110内のディバイダ1(801)で分岐され、一方はLPF1(104a)側に出力され、他方はLPF2(104b)側に出力される。
【0050】
一方側のLPF1(104a)と、他方側のLPF2(104b)は同一または異なる透過帯域を有している。一方側の系統では、LPF1(104a)の透過帯域に基づき遅延部1(105a)で遅延させ、補償信号光源1(106a)から補償信号光X1を出力する。他方側の系統では、LPF2(104b)の透過帯域に基づき遅延部2(105b)で遅延させ、補償信号光源2(106b)から補償信号光X1と異なる波長の補償信号光X2を出力する。LPF1,2(104a,104b)は、例えば、WDM信号全体の位相歪に対応する透過特性とWDM信号から波長に対して一つ置きに間引いたWDM信号の位相歪に対応する透過特性を有する。
【0051】
また、制御部110は、上記2つの補償信号光X1,X2の生成に関連して、FB系統も2系統を有する。制御部110は、PD2(604)の出力をディバイダ2(802)で分岐する。分岐した一方の出力は、LPF3(605a)を介して制御回路601に出力され、他方の出力は、LPF4(605b)を介して制御回路601に出力される。LPF3(605a)は、LPF1(104a)と同じ透過帯域を有し、LPF4(605b)は、LPF2(104b)と同じ透過帯域を有する。
【0052】
図9は、実施の形態4にかかる2つの補償信号光の設定例を示す図である。補償信号光X1、X2は、WDM信号に影響を与えない各種周波数(波長)に設定することができる。
【0053】
例えば、図9(a)のように、補償信号光X1,X2をいずれもWDM信号の通信波長帯域外(通信波長帯外)の短波長側に設定することができる。また、図9(b)のように、補償信号光X1,X2をいずれもWDM信号の通信波長帯域外(通信波長帯外)の長波長側に設定することができる。また、図9(c)のように、補償信号光X1,X2をWDM信号の通信波長帯域外(通信波長帯外)とし、補償信号光X1をWDM信号の通信波長帯域外の短波長側に設定し、補償信号光X2をWDM信号の通信波長帯域外の長波長側に設定することができる。
【0054】
実施の形態4によれば、実施の形態1〜3同様の作用効果を有する。加えて、実施の形態4では、装置から出力するWDM信号をフィードバック制御して、WDM信号の光強度変動を抑え、さらに、2つの異なる透過特性のLPFを用いて2つの異なる波長の補償信号光を出力する。例えば、LPFをアナログ回路で構成した場合、一つのLPFだけでは任意の透過特性を得ることができず、上述したWDM信号の強度変動の特性に十分対応できない。しかし、上記のように、LPFを複数用いて補償信号光を合波することで、WDM信号の強度変動の特性に対応できるようになる。
【0055】
そして、実施の形態4では、伝送路中でWDM信号の低速な光強度信号は一定ではなく変化することに対応し、異なる波長の補償信号光を出力することで、波長分散により光強度変動を変化させることができる。これにより、伝送路中で生じる光位相歪をより低減させることができるようになる。
【0056】
(実施の形態5)
図10は、実施の形態5にかかる光位相歪補償装置の構成例を示す図である。実施の形態5では、実施の形態4と同様に、伝送路中での低速な光強度変動に対応した制御を行い、光位相歪をより低減させる構成であり、2系統のLPF1,2の前段の構成が異なる。
【0057】
実施の形態5では、実施の形態4の構成に加えて、光スプリッタ3(1001)と、光フィルタ1,2(1002a,1002b)と、PD1a,1b(103a,103b)とを含む。
【0058】
光スプリッタ3(1001)は、光スプリッタ1(101)が出力するWDN信号の光を2分岐する。分岐された一方には、所定の透過波長を有する光フィルタ1(1002a)が設けられ、PD1a(103a)で検出される。PD1a(103a)の出力は、LPF1(104a)に入力される。分岐された他方には、光フィルタ1(1002a)と異なる透過波長を有する光フィルタ2(1002b)が設けられ、PD1b(103b)で検出される。PD1b(103b)の出力は、LPF2(104b)に入力される。
【0059】
実施の形態5によれば、実施の形態4と同様の作用効果を有する。さらに、実施の形態5では、光フィルタ1,2(1002a,1002b)によりWDM信号に対し、光波長別に異なる透過特性を有してLPF1,2(104a,104b)による透過を行う。これにより、LPF1,2(104a,104b)の透過特性に加えて、光フィルタ1,2(1002a,1002b)の透過特性により、異なる2つの補償信号光X1,X2を生成でき、透過特性を多様化できる。また、LPF1,2(104a,104b)がアナログ回路で構成した場合でも、任意の透過特性を得ることができるようになる。これにより、実施の形態5によれば、伝送路中で生じる光位相歪を実施の形態4よりもさらに効果的に補償できるようになる。
【0060】
(実施の形態6)
図11は、実施の形態6にかかる光位相歪補償装置の構成例を示す図である。実施の形態6では、実施の形態5と同様に、伝送路中での低速な光強度変動に対応した制御を行い、さらに偏波多重されたWDM信号に対応して光位相歪をより低減させる構成である。
【0061】
実施の形態6では、実施の形態5と異なる構成として、偏波分離部としての偏波ビームスプリッタ1,2(1101,1102)と、PD3,4(1103a,1103b)と、偏波制御器1,2(1104a,1104b)を設けている。なお、実施の形態5で説明した光スプリッタ3(1001)と、光フィルタ1,2(1002a,1002b)は説明を省略しているが、これらの構成を加えてもよい。
【0062】
偏波ビームスプリッタ1(1101)は、光スプリッタ1(101)の出力を直交する偏波(H,V)に分離出力する。偏波ビームスプリッタ1(1101)により分離出力されたH偏波成分のWDM信号は、PD1a(103a)に出力され、V偏波成分のWDM信号は、PD1b(103b)に出力される。
【0063】
また、FB系統に設けられる偏波ビームスプリッタ2(1102)は、光スプリッタ2(603)の出力を直交する偏波(H,V)に分離出力する。偏波ビームスプリッタ2(1102)により分離出力されたH偏波成分のWDM信号は、PD3(1103a)に出力され、V偏波成分のWDM信号は、PD4(1003b)に出力される。PD3(1103a)の出力は、LPF3(605a)に出力され、PD4(1103b)の出力は、LPF4(605b)に出力される。
【0064】
偏波制御器1(1104a)は、補償信号光源1(106a)が出力する補償信号光X1のH成分の偏波を制御する。偏波制御器2(1104b)は、補償信号光源2(106b)が出力する補償信号光X2のV成分の偏波を制御する。偏波制御器1,2(1104a,1104b)は、補償信号光X1、X2のH成分、V成分の偏波状態を安定化させる。
【0065】
実施の形態6によれば、実施の形態5と同様の作用効果を有する。さらに、実施の形態6では、偏波多重されたWDM信号の各偏波成分の光位相歪を補償できるようになる。これにより、実施の形態6によれば、伝送路中で生じる光位相歪を実施の形態5よりもさらに効果的に補償できるようになる。また、実施の形態6で説明した偏波分離は、図11に示した構成に限らず、各実施の形態1〜5に適用することができる。各実施の形態に適用し、補償信号光源を偏波別に設けることで、直交偏波多重されたWDM信号の各偏波別の光位相歪を補償できるようになる。
【0066】
以上説明した各実施の形態によれば、光ファイバによる光−光変調を行うことで分布定数的に光位相歪を補償し、広帯域な伝送帯域で発生する光位相歪を補償できる。そして、LN型光位相変調器等の特別な位相変調器を設ける必要がないため挿入損失を低減化できる。実施の形態では、光ファイバまたは伝送路である光ファイバを位相変調器として用い、変調信号である補償信号光をWDM信号と合波して光ファイバ内を伝搬させることで、WDM信号に生じる光位相歪を効果的に補償できる。補償信号光は、伝送するWDM信号の波長を避けた各波長、例えば、短波長、長波長、WDMチャネル間、空きWDMチャネル等に簡単に設定できる。
【0067】
より具体的には、伝送するWDM信号の強度変動を検出し、逆相の強度変動を持つ補償信号光を生成し、WDM信号と補償信号光とを合波して、伝送路である光ファイバを伝送するWDM信号に付加的な損失を与えることなく光位相歪を補償する。また、補償信号光の波長やチャープ等を調整することで、より効果的に光位相歪を補償できるようになる。また、合波後のWDM信号をモニタし、フィードバック制御することで、WDM信号の光強度の時間的な変動に対応して補償信号光の光強度を適切に調整できるようになる。また、異なる波長の複数の補償信号光を生成し、WDM信号に合波する構成により、LPFや光フィルタの透過特性を組み合わせて、任意の特性(入力されるWDM信号の強度変動の逆相)を有する補償信号光を生成でき、光位相歪を効果的に補償できる。
【0068】
また、上記実施の形態では、ローパスフィルタ、補償信号光源、さらには光フィルタを2系統設けて異なる2波長の補償信号光を生成する構成とした。これに限らず、補償信号光として3以上の異なる波長を生成する構成としてもよく、さらに光位相歪を効果的に抑制できるようになる。
【0069】
なお、本実施の形態で説明した光位相歪補償方法は、予め用意された制御プログラムを対象機器(上記光位相歪補償装置)等のコンピュータ(CPU等)が実行することにより実現することができる。本制御プログラムは、磁気ディスク、光ディスク、USB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
【0070】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0071】
(付記1)入力される波長多重された光信号の光位相歪を補償する光位相歪補償装置において、
前記光信号の強度変動を検出する検出部と、
前記強度変動の成分から光位相歪が主に発生する帯域を抽出するフィルタと、
前記フィルタの抽出に基づき、入力される光信号の時間的な強度変動を有する補償信号を生成する制御部と、
前記制御部の補償信号に基づき、前記強度変動に対して逆相の強度変動を有し、前記光信号の波長と異なる波長の補償信号光を出力する補償信号光源と、
前記光信号と前記補償信号光とを合波した信号光を伝送路へ出力し、当該伝送路で光位相変調を生じさせる光合波器と、
を備えたことを特徴とする光位相歪補償装置。
【0072】
(付記2)前記光合波器の出力に接続された非線形媒質を有し、
前記非線形媒質で光位相変調を生じさせることを特徴とする付記1に記載の光位相歪補償装置。
【0073】
(付記3)前記フィルタは、時間的に低速な前記光信号の強度変動を検出するローパスフィルタであることを特徴とする付記1または2に記載の光位相歪補償装置。
【0074】
(付記4)入力される前記光信号を分岐する光分岐部と、
前記光分岐部で分岐された一方に設けられ、前記光信号を所定量遅延させる光遅延線と、
前記光分岐部で分岐された他方に前記検出部と前記フィルタを設け、
前記フィルタの出力を所定量遅延させ、前記光信号の遅延量と整合させた前記補償信号を前記補償信号光源に出力する遅延部と、を有することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の光位相歪補償装置。
【0075】
(付記5)前記補償信号光光源は、前記補償信号光を、前記光信号の使用チャネル以外、前記光チャネルの空きチャネル、前記光信号の通信波長帯域外、の少なくとも一つの所定の波長で出力することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の光位相歪補償装置。
【0076】
(付記6)前記制御部は、
前記光信号が伝送する伝送路の種類、および前記光信号の種類に対応する前記フィルタの帯域幅、前記光信号と前記補償信号光の遅延整合のための遅延量、前記補償信号光の波長およびチャープ量の各設定値を設定保持する設定部を有し、
前記光信号が伝送する伝送路の種類、および前記光信号の種類の入力に基づく前記設定値を用いて前記補償信号を生成することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の光位相歪補償装置。
【0077】
(付記7)前記光合波器が出力する前記光信号を分岐する第2光分岐部と、
前記第2光分岐部で分岐された前記光信号の光強度を検出する第2検出器と、
前記第2検出器で検出されたフィードバックの強度変動の成分から光位相歪が主に発生する帯域を抽出する第2フィルタと、を有し、
前記制御部は、前記第2フィルタの出力に基づき、前記補償信号の生成を調整することを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の光位相歪補償装置。
【0078】
(付記8)前記検出部の出力を分岐するディバイダと、
前記ディバイダで分岐された各系統にそれぞれ複数の前記フィルタと、前記補償信号光源を設け、
前記第2検出器の出力を分岐する第2ディバイダと、
前記ディバイダで分岐された各系統にそれぞれ複数の第2フィルタを設け、
前記制御部は、複数の前記フィルタおよび複数の補償信号光源を制御し、複数の補償信号光源に対し複数の異なる補償信号光を出力させる制御信号を出力し、
複数の前記第2フィルタの出力に基づき、複数の前記補償信号の生成を調整することを特徴とする付記7に記載の光位相歪補償装置。
【0079】
(付記9)前記光分岐部の出力を光分岐する第2光分岐部と、
前記第2光分岐部で光分岐された各系統にそれぞれ設けられ、前記信号光をそれぞれ異なる波長で透過させる複数の光フィルタと、
複数の光フィルタが出力する光信号の強度変動をそれぞれ検出し、前記フィルタに出力する複数の検出部と、
を備えたことを特徴とする付記8に記載の光位相歪補償装置。
【0080】
(付記10)前記光分岐部の出力を直交する偏波別に分離出力する偏波分離部と、
複数の前記補償信号光源と、を設け、
前記制御部は、
複数の前記補償信号光源に対し、偏波別の補償信号光を出力させることを特徴とする付記1〜9のいずれか一つに記載の光位相歪補償装置。
【0081】
(付記11)前記第2光分岐部の出力を直交する偏波別に分離出力する第2偏波分離部と、
前記第2偏波分離部の各偏波別の出力を検出する複数の第2検出部と、を有し、
前記制御部は、前記第2検出部に接続された各偏波別の複数の第2フィルタの出力に基づき、複数の前記補償信号の生成を偏波別に調整することを特徴とする付記10に記載の光位相歪補償装置。
【0082】
(付記12)入力される波長多重された光信号の光位相歪を補償する光位相歪補償方法において、
前記光信号の強度変動を検出し、
前記強度変動の成分から光位相歪が主に発生する帯域を抽出し、
前記抽出に基づき、入力される光信号の時間的な強度変動を有する補償信号を生成し、
前記補償信号に基づき、前記強度変動に対して逆相の強度変動を有し、前記光信号の波長と異なる波長の補償信号光を出力し、
前記光信号と前記補償信号光とを合波した信号光を伝送路へ出力し、当該伝送路で光位相変調を生じさせる、
ことを特徴とする光位相歪補償方法。
【0083】
(付記13)前記抽出は、前記光信号を低域濾過することで、時間的に低速な前記光信号の強度変動を検出することを特徴とする付記12に記載の光位相歪補償方法。
【0084】
(付記14)前記補償信号光は、前記光信号の使用チャネル間、前記光チャネルの空きチャネル、前記光信号の通信波長帯域外、の少なくとも一つの所定の波長であることを特徴とする付記12または13に記載の光位相歪補償方法。
【符号の説明】
【0085】
100 光位相歪補償装置
101,603,1001 光スプリッタ
102 光遅延線
103,103a,103b,604,1103a,1103b 光検出器(PD)
104,104a,104b,605,605a,605b 低域透過フィルタ(LPF)
105,105a,105b 遅延部
106,106a,106b 補償信号光源
107 光合波器
110 制御部
301 光ファイバ(非線形光学媒質)
601 制御回路
602 ルックアップテーブル(LUT)
801,802 ディバイダ
1002a,1002b 光フィルタ
1101,1102 偏波ビームスプリッタ
D 伝送路
X,X1,X2 補償信号光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12