(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として実施の形態の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0014】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(動作ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0015】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1にかかる受信回路1の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、受信回路1は、リファレンス信号生成回路11と、遅延回路12_1〜12_n(nは2以上の整数)と、比較器13_1〜13_nと、加算器14と、を有する。
【0016】
リファレンス信号生成回路11は、三角波状のリファレンス信号Vrefを出力する。
【0017】
(リファレンス信号生成回路11の具体的構成例)
図2は、リファレンス信号生成回路11の具体的な構成例を示す図である。
図2を参照すると、リファレンス信号生成回路11は、所謂積分器であって、PLL等の矩形信号生成部111と、オペアンプ112と、抵抗素子R11と、容量素子C11と、を有する。矩形信号生成部111の出力端子と、オペアンプ112の反転入力端子との間には、抵抗素子R11が設けられている。オペアンプ112の出力端子及び反転入力端子間には、容量素子C11が設けられている。オペアンプ112の非反転入力端子は、接地電圧端子GNDに接続されている。オペアンプ112の出力端子は、リファレンス信号生成回路11の出力端子に接続されている。なお、リファレンス信号生成回路11は、
図2に示す構成に限られず、同等の機能を有する他の構成に適宜変更可能である。また、リファレンス信号生成回路11から生成されるリファレンス信号は三角波状であると説明したが、厳密には積分波形である。リファレンス信号として、このような積分波形や、正弦波であっても利用可能である。
【0018】
図1に戻り、説明を続ける。
遅延回路12_1〜12_nは、リファレンス信号Vrefに異なる遅延を付加して、それぞれリファレンス信号Vref_1〜Vref_nとして出力する。例えば、遅延回路12_1〜12_nは、それぞれ、三角波状のリファレンス信号Vrefの周期の範囲内で、当該リファレンス信号Vrefに異なる遅延を付加している。
【0019】
比較器13_1〜13_nは、それぞれ、遅延回路12_1〜12_nからのリファレンス信号Vref_1〜Vref_nと、無線受信したアナログのRF信号Sin_1〜Sin_nと、を比較して、比較結果(デジタル信号)Do_1〜Do_nを出力する。
【0020】
例えば、比較器13_1〜13_nは、それぞれ、RF信号Sin_1〜Sin_nがリファレンス信号Vref_1〜Vref_nよりも大きい場合に値“1”の比較結果Do_1〜Do_nを出力し、RF信号Sin_1〜Sin_nがリファレンス信号Vref_1〜Vref_n以下の場合に値“0”の比較結果Do_1〜Do_nを出力する。つまり、比較器13_1〜13_nは、それぞれ、無線受信したアナログのRF信号Sin_1〜Sin_nを2値にデジタル化して出力する。
【0021】
加算器14は、比較器13_1〜13_nのそれぞれの比較結果Do_1〜Do_nを加算して、デジタル受信信号Doutを出力する。デジタル受信信号Doutは、例えば、図示しない後段のデジタル処理回路において、ダウンコンバート、フィルタリング、ダウンサンプリングなどが行われる。
【0022】
ここで、デジタル信号Do_1〜Do_nは、遅延量の異なるリファレンス信号Vref_1〜Vref_nに基づいて生成されたものであるため、デジタル信号Do_1〜Do_nに含まれる量子化雑音は、それぞれ異なったものとなる。そのため、デジタル信号Do_1〜Do_nのそれぞれを加算した結果であるデジタル受信信号Doutでは、相関関係を持たないこれら量子化雑音に対し、互いに相関関係を持つ主信号が相対的に増幅される。その結果、デジタル受信信号DoutのSN比が改善される。換言すると、デジタル受信信号Doutの品質が向上する。
【0023】
このように、本実施の形態にかかる受信回路1は、遅延量の異なるリファレンス信号Vref_1〜Vref_nを用いてデジタル信号Do_1〜Do_nを生成することにより、デジタル信号Do_1〜Do_nに含まれる量子化雑音を異ならせている。それにより、本実施の形態に係る受信回路1は、デジタル信号Do_1〜Do_nのそれぞれを加算した結果であるデジタル受信信号Doutにおいて、相関関係を持たないこれら量子化雑音に対し、互いに相関関係を持つ主信号を相対的に増幅させることができる。その結果、本実施の形態に係る受信回路1は、デジタル受信信号DoutのSN比を改善させる(品質を向上させる)ことができる。
【0024】
また、本実施の形態にかかる受信回路1は、上述のように量子化雑音を相対的に減衰させることができるため、分解能の低いADコンバータを採用した場合でも、高いSN比を得ることができる。それにより、本実施の形態にかかる受信回路1は、RF信号をダウンコンバートするために必要なミキサや局部発振器を備える必要がないだけでなく、分解能の高いADコンバータを備える必要がないため、回路規模の増大を抑制することができる。また、消費電力の増大を抑制することもできる。
【0025】
(受信回路1の適用事例)
図3は、受信回路1を搭載したリモート局の構成例を示すブロック図である。
図3を参照すると、受信回路1は、例えばリモート局(送受信装置)の無線部であって、その無線部の受信側において、アンテナA_1〜A_nを介して複数のアナログRF信号Sin_1〜Sin_nを受信して、デジタル受信信号Doutを生成する。このデジタル受信信号Doutは、後段のデジタル処理回路により、ベースバンド信号にダウンコンバートされるなどした後、ベースバンド信号処理部2に伝送される。ここで、
図3に示すリモート局は、受信回路1を搭載することにより、高品質なRF信号を受信したうえで、その後の処理を実行することができる。
【0026】
続いて、受信回路1の具体的構成例について説明する。
【0027】
(受信回路1の第1の具体的構成例)
図4は、受信回路1の第1の具体的構成例を受信回路1aとして示すブロック図である。受信回路1aは、受信回路1が基地局装置の無線部として用いられた場合におけるより詳細な構成を示している。
【0028】
図4に示すように、受信回路1aは、リファレンス信号生成回路11、遅延回路12_1〜12_n、比較器13_1〜13_n及び加算器14に加えて、バンドパスフィルタ15_1〜15_n、低雑音増幅器16_1〜16_n、及びデータ変換部17をさらに備える。なお、
図4には、アンテナA_1〜A_nも示されている。
【0029】
バンドパスフィルタ15_1〜15_nは、それぞれ、外部からアンテナA_1〜A_nを介して無線受信したRF信号Sin_1〜Sin_nのうち所望の周波数帯域を通過させる。低雑音増幅器16_1〜16_nは、それぞれ、バンドパスフィルタ15_1〜15_nを通過したRF信号Sin_1〜Sin_nを増幅する。なお、比較器13_1〜13_nには、それぞれ、低雑音増幅器16_1〜16_nにより増幅されたRF信号Sin_1〜Sin_nが入力される。
【0030】
比較器13_1〜13_n、リファレンス信号生成回路11、遅延回路12_1〜12_n及び加算器14の構成及び動作については、既に説明した通りである。
【0031】
データ変換部17は、加算器14から出力されたデジタル受信信号Doutに対して、必要に応じて、ダウンコンバート、フィルタリング、ダウンサンプリング等を実施することにより、当該デジタル受信信号Doutをベースバンド信号に変換する。
【0032】
データ変換部17から出力されたベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部2に伝送される。
【0033】
ここで、加算器14やデータ変換部17は、デジタル信号を処理する回路であるため、アナログ信号を処理する回路とは別の半導体集積回路上に形成されてもよい。加算器14及びデータ変換部17は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成されてもよい。つまり、加算器14やデータ変換部17は、例えばFPGA上に配置された複数の論理ゲートを組み合わせることで形成されたデジタル処理回路である。受信回路1aは、FPGA等の集積回路上に形成された加算器14やデータ変換部17等のデジタル処理回路に対して、比較器13_1〜13_nの比較結果を伝送すればよいため、回路を簡易にできる。それにより、実装面積の縮小が可能であるとともに、消費電力の増大が抑制される。
【0034】
(受信回路1の第1の変形例)
図5は、受信回路1の第1の変形例を受信回路1bとして示すブロック図である。
図5に示す受信回路1bでは、
図1に示す受信回路1と比較して、遅延回路12_1〜12_nの配置位置が異なるとともに、補正回路19_1〜19_nがさらに設けられている。
【0035】
遅延回路12_1〜12_nは、リファレンス信号Vrefが伝搬する信号線上に設けられる代わりに、それぞれ、RF信号Sin_1〜Sin_nが伝搬する信号線上に設けられている。そして、遅延回路12_1〜12_nは、それぞれ、RF信号Sin_1〜Sin_nに異なる遅延を付加して出力する。
【0036】
比較器13_1〜13_nは、それぞれ、遅延回路12_1〜12_nにより異なる遅延が付加されたRF信号Sin_1〜Sin_nと、リファレンス信号生成回路11からのリファレンス信号Vrefと、を比較して、比較結果(デジタル信号)Do_1〜Do_nを出力する。
【0037】
例えば、比較器13_1〜13_nは、それぞれ、異なる遅延が付加されたRF信号Sin_1〜Sin_nがリファレンス信号Vrefよりも大きい場合に値“1”の比較結果Do_1〜Do_nを出力し、異なる遅延が付加されたRF信号Sin_1〜Sin_nがリファレンス信号Vref以下の場合に値“0”の比較結果Do_1〜Do_nを出力する。つまり、比較器13_1〜13_nは、それぞれ、無線受信したアナログのRF信号Sin_1〜Sin_nを2値にデジタル化して出力する。
【0038】
補正回路19_1〜19_nは、それぞれ、比較器13_1〜13_nの比較結果Do_1〜Do_nに付加された異なる遅延を同じになるように補正して出力する。
【0039】
受信回路1bのその他の構成及び動作については、受信回路1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0040】
ここで、デジタル信号Do_1〜Do_nは、遅延量の異なるRF信号Sin_1〜Sin_nと共通のリファレンス信号との比較に基づいて生成されたものであるため、デジタル信号Do_1〜Do_nに含まれる量子化雑音は、それぞれ異なったものとなる。そのため、デジタル信号Do_1〜Do_nのそれぞれを加算した結果であるデジタル受信信号Doutでは、相関関係を持たないこれら量子化雑音に対し、互いに相関関係を持つ主信号が相対的に増幅される。その結果、デジタル受信信号DoutのSN比が改善される。換言すると、デジタル受信信号Doutの品質が向上する。
【0041】
このように、本実施の形態にかかる受信回路1bは、遅延量の異なるRF信号Sin_1〜Sin_nと共通のリファレンス信号との比較に基づいてデジタル信号Do_1〜Do_nを生成することにより、デジタル信号Do_1〜Do_nに含まれる量子化雑音を異ならせている。それにより、本実施の形態に係る受信回路1bは、デジタル信号Do_1〜Do_nのそれぞれを加算した結果であるデジタル受信信号Doutにおいて、相関関係を持たないこれら量子化雑音に対し、互いに相関関係を持つ主信号を相対的に増幅させることができる。その結果、本実施の形態に係る受信回路1eは、デジタル受信信号DoutのSN比を改善させる(品質を向上させる)ことができる。
【0042】
また、本実施の形態にかかる受信回路1bは、上述のように量子化雑音を相対的に減衰させることができるため、分解能の低いADコンバータを採用した場合でも、高いSN比を得ることができる。それにより、本実施の形態にかかる受信回路1bは、RF信号をダウンコンバートするために必要なミキサや局部発振器を備える必要がないだけなく、分解能の高いADコンバータを備える必要がないため、回路規模の増大を抑制することができる。また、消費電力の増大を抑制することもできる。
【0043】
なお、各受信回路1,1bは、比較器13_1〜13_nのそれぞれの比較結果Do_1〜Do_nを直接又は遅延補正後に加算する場合を例に説明したが、これに限られない。各受信回路1,1bは、比較器13_1〜13_nのそれぞれの比較結果Do_1〜Do_nを、ダウンコンバータを用いてダウンコンバートした後に加算してもよい。また、上記ダウンコンバートの後に、フィルタリングやダウンサンプリングを行った後に加算しても良い。
【0044】
ここで、受信回路1bに上記したダウンコンバータの構成が採用されることにより、遅延回路12_1〜12_nによって付加された遅延の影響が無視できるほどに小さくなった場合には、補正回路19_1〜19_nは設けられなくてもよい。以下、
図6を参照しつつ簡単に説明する。
【0045】
(受信回路1の第2の変形例)
図6は、受信回路1の第2の変形例を受信回路1cとして示すブロック図である。
図6に示す受信回路1cは、
図5に示す受信回路1bと比較して、補正回路19_1〜19_nの代わりにダウンコンバータ(ミキサ)20_1〜20_nを備える。
【0046】
ダウンコンバータ20_1〜20_nは、それぞれ、比較器13_1〜13_nの比較結果Do_1〜Do_nをダウンコンバートして出力する。ここでは、遅延回路12_1〜12_nにより付加された遅延時間が、受信信号の変調周期に対して無視できる程度に小さいため、補正回路19_1〜19_nは省略されている。
【0047】
受信回路1cのその他の構成及び動作については、受信回路1bの場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0048】
このように、受信回路1cは、受信回路1bと同等程度の効果を奏することができる。
【0049】
<実施の形態2>
図7は、実施の形態2にかかる受信回路1dの構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、受信回路1dは、エンベロープ信号生成部21_1〜21_nと、リファレンス信号生成回路22と、遅延回路23_1〜23_nと、比較器24_1〜24_nと、バラン25_1〜25_nと、比較器26_1〜26_nと、乗算器27_1〜27_nと、加算器28と、を備える。なお、リファレンス信号生成回路22、遅延回路23_1〜23_n、比較器24_1〜24_n及び加算器28は、それぞれ、リファレンス信号生成回路11、遅延回路12_1〜12_n、比較器13_1〜13_n及び加算器14に対応する。
【0050】
エンベロープ信号生成部21_1〜21_nは、それぞれ、外部から無線受信したRF信号Sin_1〜Sin_nの振幅を検波してエンベロープ信号r_1〜r_nとして出力する。
【0051】
(エンベロープ信号生成部21_iの構成例)
図8は、エンベロープ信号生成部21_i(iは1〜nの整数)の構成例を示すブロック図である。
図8を参照すると、エンベロープ信号生成部21_iは、検波器211及びフィルタ212を有する。検波器211は、RF信号Sin_iの振幅に比例した電圧信号を生成する。フィルタ212は、検波器211から出力された電圧信号に含まれる不要成分を除去しエンベロープ成分のみを通過させて、エンベロープ信号r_iとして出力する。
【0052】
((検波器211の具体的構成例))
図9は、検波器211の具体的構成の一例を示す図である。
図9を参照すると、検波器211は、容量素子C21,C22と、ダイオードD21と、コイルL21と、抵抗素子R21と、を有する。検波器211の入力端子及び出力端子間にはダイオードD21が設けられている。検波器211の入力端子とダイオードD21のアノードとの間には容量素子C21が設けられている。ダイオードD21のアノードと接地電圧端子GNDとの間にはコイルL21が設けられている。ダイオードD21のカソードと接地電圧端子GNDとの間には抵抗素子R21及び容量素子C22が並列に設けられている。なお、検波器211は、
図9に示す構成に限られず、同等の機能を有する他の構成に適宜変更可能である。
【0053】
((フィルタ212の具体的構成例))
図10は、フィルタ212の具体的構成の一例を示す図である。
図10を参照すると、フィルタ212は、容量素子C31,C32と、コイルL31と、を有する。フィルタ212の入力端子及び出力端子間にはコイルL31が設けられている。フィルタ212の入力端子に接続されるコイルL31の一端と、接地電圧端子GNDと、の間には、容量素子C31が設けられている。フィルタ212の出力端子に接続されるコイルL31の他端と、接地電圧端子GNDと、の間には、容量素子C32が設けられている。なお、フィルタ212は、
図10に示す構成に限られず、同等の機能を有する他の構成に適宜変更可能である。また、必要であれば、フィルタ212の前段と後段の両方、又はそのどちらか片方に、オペアンプを用いたボルテージフォロア回路などを追加し、インピーダンスを変換してもよい。また、検波器211が有する高周波成分除去特性によって、必要なエンベロープ成分が得られる場合、フィルタ212は省略可能である。
【0054】
図7に戻り、説明を続ける。
遅延回路23_1〜23_nは、リファレンス信号生成回路22により生成された三角波状のリファレンス信号Vrefに異なる遅延を付加して、それぞれリファレンス信号Vref_1〜Vref_nとして出力する。例えば、遅延回路23_1〜23_nは、それぞれ、三角波状のリファレンス信号Vrefの周期の範囲内で、当該リファレンス信号Vrefに異なる遅延を付加している。
【0055】
比較器24_1〜24_nは、それぞれ、遅延回路23_1〜23_nからのリファレンス信号Vref_1〜Vref_nと、エンベロープ信号生成部21_1〜21_nからのエンベロープ信号r_1〜r_nと、を比較して、2値化されたデジタルの振幅信号Dr_1〜Dr_nを出力する。
【0056】
例えば、比較器24_1〜24_nは、それぞれ、エンベロープ信号r_1〜r_nがリファレンス信号Vref_1〜Vref_nよりも大きい場合に値“1”の比較結果を振幅信号Dr_1〜Dr_nとして出力し、エンベロープ信号r_1〜r_nがリファレンス信号Vref_1〜Vref_n以下の場合に値“0”の比較結果を振幅信号Dr_1〜Dr_nとして出力する。
【0057】
バラン25_1〜25_nは、それぞれ、シングルエンド信号であるRF信号Sin_1〜Sin_nを差動信号に変換する。比較器26_1〜26_nは、それぞれ、バラン25_1〜25_nから出力された差動信号の一方及び他方を比較して、比較結果を位相信号Dθ_1〜Dθ_nとして出力する。
【0058】
(バラン25_iの具体的な構成例)
図11は、バラン25_i(iは1〜nの整数)の具体的構成の一例を示す図である。
図11を参照すると、バラン25_iは、トランスフォーマを構成するコイルL41,L42を備える。コイルL41の一端は、バラン25_iの入力端子に接続され、コイルL41の他端は、接地電圧端子GNDに接続される。コイルL42の一端及び他端は、バラン25_iの2つの出力端子の一方及び他方にそれぞれ接続される。バラン25_iは、コイルL41を用いてシングルエンド信号であるRF信号Sin_iを磁気に変換し、コイルL42を用いて当該磁気を差動信号に変換する。なお、バラン25_iは、
図11に示す構成に限られず、同等の機能を有する他の構成に適宜変更可能である。
【0059】
図7に戻り、説明を続ける。
乗算器27_1〜27_nは、それぞれ、振幅信号Dr_1〜Dr_nと、位相信号Dθ_1〜Dθ_nと、を乗算して、乗算結果(デジタル信号)Do_1〜Do_nを出力する。ここで、デジタル信号Do_1〜Do_nは、それぞれ、RF信号Sin_1〜Sin_nの振幅成分を表す振幅信号Dr_1〜Dr_nと、RF信号Sin_1〜Sin_nの位相成分を表す位相信号Dθ_1〜Dθ_nと、を掛け合わせたものである。そのため、デジタル信号Do_1〜Do_nは、それぞれ、アナログのRF信号Sin_1〜Sin_nの情報を保持した2値化されたデジタルのRF信号であるということができる。
【0060】
加算器28は、乗算器27_1〜27_nから出力されたデジタル信号Do_1〜Do_nを加算して、デジタル受信信号Doutを出力する。デジタル受信信号Doutは、例えば、図示しない後段のデジタル処理回路を用いて、ダウンコンバートや、フィルタリング、ダウンサンプリングなどが行われる。
【0061】
ここで、振幅信号Dr_1〜Dr_nは、遅延量の異なるリファレンス信号Vref_1〜Vref_nに基づいて生成されたものであるため、デジタル信号Do_1〜Do_nの振幅成分に含まれる量子化雑音は、それぞれ異なったものとなる。そのため、デジタル信号Do_1〜Do_nのそれぞれを加算した結果であるデジタル受信信号Doutでは、相関関係を持たないこれら量子化雑音に対し、互いに相関関係を持つ主信号が相対的に増幅される。その結果、デジタル受信信号DoutのSN比が改善される。換言すると、デジタル受信信号Doutの品質が向上する。
【0062】
このように、本実施の形態にかかる受信回路1dは、遅延量の異なるリファレンス信号Vref_1〜Vref_nを用いてRF信号Sin_1〜Sin_nのそれぞれの振幅信号Dr_1〜Dr_nを生成することにより、振幅信号Dr_1〜Dr_nと位相信号Dθ_1〜Dθ_nとを乗算した結果であるデジタル信号Do_1〜Do_n、の振幅成分に含まれる量子化雑音を異ならせている。それにより、本実施の形態に係る受信回路1dは、デジタル信号Do_1〜Do_nのそれぞれを加算した結果であるデジタル受信信号Doutにおいて、相関関係を持たないこれら量子化雑音に対し、互いに相関関係を持つ主信号を相対的に増幅させることができる。その結果、本実施の形態に係る受信回路1dは、デジタル受信信号DoutのSN比を改善させる(品質を向上させる)ことができる。
【0063】
また、本実施の形態にかかる受信回路1dは、上述のように量子化雑音を相対的に減衰させることができるため、分解能の低いADコンバータを採用した場合でも、高いSN比を得ることができる。それにより、本実施の形態にかかる受信回路1dは、RF信号をダウンコンバートするために必要なミキサや局部発振器を備える必要がないだけなく、分解能の高いADコンバータを備える必要がないため、回路規模の増大を抑制することができる。また、消費電力の増大を抑制することもできる。
【0064】
(受信回路1dの第1の変形例)
図12は、
図7に示す受信回路1dの第1の変形例を受信回路1eとして示すブロック図である。
図12に示す受信回路1eでは、
図7に示す受信回路1dと比較して、遅延回路23_1〜23_nに代えて遅延回路29_1〜29_nが設けられるとともに、補正回路30_1〜30_nがさらに設けられている。
【0065】
遅延回路23_1〜23_nは、リファレンス信号Vrefが伝搬する信号線上に設けられていた。それに対し、遅延回路29_1〜29_nは、それぞれ、RF信号Sin_1〜Sin_nが伝搬する信号線上に設けられている。そして、遅延回路29_1〜29_nは、それぞれ、RF信号Sin_1〜Sin_nに異なる遅延を付加して出力する。
【0066】
エンベロープ信号生成部21_1〜21_nには、それぞれ、遅延回路29_1〜29_nにより異なる遅延が付加されたRF信号Sin_1〜Sin_nが入力される。バラン25_1〜25_nには、それぞれ、遅延回路29_1〜29_nにより異なる遅延が付加されたRF信号Sin_1〜Sin_nが入力される。
【0067】
補正回路30_1〜30_nは、それぞれ、乗算器27_1〜27_nの乗算結果であるデジタル信号Do_1〜Do_nに付加された異なる遅延を同じになるように補正したうえで出力する。
【0068】
受信回路1eのその他の構成及び動作については、受信回路1dの場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0069】
ここで、デジタル信号Do_1〜Do_nは、遅延量の異なるRF信号Sin_1〜Sin_nに基づいて生成されたものであるため、デジタル信号Do_1〜Do_nに含まれる量子化雑音は、それぞれ異なったものとなる。そのため、デジタル信号Do_1〜Do_nのそれぞれを加算した結果であるデジタル受信信号Doutでは、相関関係を持たないこれら量子化雑音に対し、互いに相関関係を持つ主信号が相対的に増幅される。その結果、デジタル受信信号DoutのSN比が改善される。換言すると、デジタル受信信号Doutの品質が向上する。
【0070】
このように、本実施の形態にかかる受信回路1eは、遅延量の異なるRF信号Sin_1〜Sin_nに基づいてデジタル信号Do_1〜Do_nを生成することにより、デジタル信号Do_1〜Do_nに含まれる量子化雑音を異ならせている。それにより、本実施の形態に係る受信回路1eは、デジタル信号Do_1〜Do_nのそれぞれを加算した結果であるデジタル受信信号Doutにおいて、相関関係を持たないこれら量子化雑音に対し、互いに相関関係を持つ主信号を相対的に増幅させることができる。その結果、本実施の形態に係る受信回路1eは、デジタル受信信号DoutのSN比を改善させる(品質を向上させる)ことができる。
【0071】
また、本実施の形態にかかる受信回路1eは、上述のように量子化雑音を相対的に減衰させることができるため、分解能の低いADコンバータを採用した場合でも、高いSN比を得ることができる。それにより、本実施の形態にかかる受信回路1eは、RF信号をダウンコンバートするために必要なミキサや局部発振器を備える必要がないだけなく、分解能の高いADコンバータを備える必要がないため、回路規模の増大を抑制することができる。また、消費電力の増大を抑制することもできる。
【0072】
なお、各受信回路1d,1eは、乗算器27_1〜27_nのそれぞれの乗算結果Do_1〜Do_nを直接又は遅延補正後に加算する場合を例に説明したが、これに限られない。各受信回路1d,1eは、乗算器27_1〜27_nのそれぞれの乗算結果Do_1〜Do_nを、ダウンコンバータを用いてダウンコンバートした後に加算してもよい。また、上記ダウンコンバートの後に、フィルタリングやダウンサンプリングを行った後に加算しても良い。
さらに、ダウンコンバータの位置を比較器26_1〜26_nの直後とし、位相信号Dθ_1〜Dθ_nに対してダウンコンバートを行っても良い。また、上記のように、ダウンコンバートとともに、フィルタリングやダウンサンプリングを行ってもよい。
【0073】
ここで、受信回路1eに上記したダウンコンバータの構成が採用されることにより、遅延回路29_1〜29_nによって付加された遅延の影響が無視できるほどに小さくなった場合には、補正回路30_1〜30_nは設けられなくてもよい。以下、
図13及び
図14を参照しつつ簡単に説明する。
【0074】
(受信回路1の第2の変形例)
図13は、受信回路1dの第2の変形例を受信回路1fとして示すブロック図である。
図13に示す受信回路1fは、
図12に示す受信回路1eと比較して、補正回路30_1〜30_nの代わりにダウンコンバータ(ミキサ)31_1〜31_nを備える。
【0075】
ダウンコンバータ31_1〜31_nは、それぞれ、乗算器27_1〜27_nの乗算結果をダウンコンバートして出力する。ここでは、遅延回路29_1〜29_nにより付加された遅延時間が受信信号の変調周期に対して無視できる程度に小さいため、補正回路30_1〜30_nは省略されている。
【0076】
受信回路1fのその他の構成及び動作については、受信回路1eの場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0077】
このように、受信回路1fは、受信回路1eと同等程度の効果を奏することができる。
【0078】
(受信回路1の第3の変形例)
図14は、受信回路1dの第3の変形例を受信回路1zとして示すブロック図である。
図14に示す受信回路1zは、
図12に示す受信回路1eと比較して、補正回路30_1〜30_nの代わりに、フィルタリング及びダウンサンプリング回路32_1〜32_nと、ダウンコンバート、フィルタリング及びダウンサンプリング回路33_1〜33_nと、を備える。
【0079】
フィルタリング及びダウンサンプリング回路32_1〜32_nは、それぞれ、振幅信号Dr_1〜Dr_nに対してフィルタリング及びダウンサンプリングを行う。
【0080】
ダウンコンバート、フィルタリング及びダウンサンプリング回路33_1〜33_nは、それぞれ、位相信号Dθ_1〜Dθ_nに対してダウンコンバート、フィルタリング及びダウンサンプリングを行う。
【0081】
乗算器27_1〜27_nは、それぞれ、フィルタリング及びダウンサンプリング回路32_1〜32_nの出力結果と、ダウンコンバート、フィルタリング及びダウンサンプリング回路33_1〜33_nの出力結果と、を乗算して、乗算結果(デジタル信号)Do_1〜Do_nを出力する。
【0082】
ここでは、遅延回路29_1〜29_nにより付加された遅延時間が受信信号の変調周期に対して無視できる程度に小さいため、補正回路30_1〜30_nは省略されている。
【0083】
受信回路1zのその他の構成及び動作については、受信回路1eの場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0084】
このように、受信回路1zは、受信回路1eと同等程度の効果を奏することができる。
【0085】
(受信回路1の第4の変形例)
図15は、受信回路1dの第4の変形例を受信回路1gとして示すブロック図である。
図15に示す受信回路1gは、受信回路1d,1eの特徴部分を組み合わせた回路である。具体的には、受信回路1gでは、受信回路1dと比較して、リファレンス信号Vrefが伝搬する信号線上に遅延回路23_1〜23_nが設けられるだけでなく、RF信号Sin_1〜Sin_nが伝搬する信号線上に遅延回路29_1〜29_nが設けられ、かつ、補正回路30_1〜30_nが設けられる。
【0086】
受信回路1gのその他の構成及び動作については、少なくとも受信回路1d,1eの何れかと同様であるため、その説明を省略する。
【0087】
このように、受信回路1gは、受信回路1d,1eと同等程度の効果を奏することができる。
【0088】
<実施の形態3>
図16は、実施の形態3に係る受信回路1hの構成例を示すブロック図である。
図16に示すように、受信回路1hは、遅延回路41_1〜41_nと、ミキサ43_1〜43_nと、フィルタ47_1〜47_nと、ADコンバータ44_1〜44_nと、補正回路45_1〜45_nと、加算器46と、を備える。
【0089】
遅延回路41_1〜41_nは、それぞれ、無線受信したRF信号Sin_1〜Sin_nに異なる遅延を付加して出力する。
【0090】
ミキサ43_1〜43_nは、それぞれ、遅延回路41_1〜41_nにより異なる遅延が付加されたRF信号Sin_1〜Sin_nを、局部発振器42からの局部発振信号LOによりダウンコンバートして出力する。
【0091】
ADコンバータ44_1〜44_nは、それぞれ、ミキサ43_1〜43_nの出力結果をフィルタ47_1〜47_nを用いてフィルタリングしたものを、デジタル信号Do_1〜Do_nに変換して出力する。
【0092】
補正回路45_1〜45_nは、それぞれ、ADコンバータ44_1〜44_nから出力されたデジタル信号Do_1〜Do_nに付加された異なる遅延を同じになるように補正したうえで出力する。
【0093】
加算器46は、遅延補正後のデジタル信号Do_1〜Do_nをそれぞれ加算して、デジタル受信信号Doutを出力する。デジタル受信信号Doutは、例えば、図示しない後段のデジタル処理回路を用いて、ベースバンド信号処理が行われる。
【0094】
ここで、デジタル信号Do_1〜Do_nは、遅延量の異なるRF信号Sin_1〜Sin_nに共通の局部発振信号LOを乗ずることで生成されたものであるため、デジタル信号Do_1〜Do_nに含まれる量子化雑音は、それぞれ異なったものとなる。そのため、デジタル信号Do_1〜Do_nのそれぞれを加算した結果であるデジタル受信信号Doutでは、相関関係を持たない量子化雑音に対し、互いに相関関係を持つ主信号が相対的に増幅される。その結果、デジタル受信信号DoutのSN比が改善される。換言すると、デジタル受信信号Doutの品質が向上する。
【0095】
このように、本実施の形態にかかる受信回路1hは、遅延量の異なるRF信号Sin_1〜Sin_nに共通の局部発振信号LOを乗ずることでデジタル信号Do_1〜Do_nを生成することにより、デジタル信号Do_1〜Do_nに含まれる量子化雑音を異ならせている。それにより、本実施の形態に係る受信回路1hは、デジタル信号Do_1〜Do_nのそれぞれを加算した結果であるデジタル受信信号Doutにおいて、相関関係を持たないこれら量子化雑音に対し、互いに相関関係を持つ主信号を相対的に増幅させることができる。その結果、本実施の形態に係る受信回路1hは、デジタル受信信号DoutのSN比を改善させる(品質を向上させる)ことができる。
【0096】
(受信回路1hの変形例)
図17は、受信回路1hの変形例を受信回路1iとして示すブロック図である。
図17に示す受信回路1iでは、
図16に示す受信回路1hと比較して、遅延回路41_1〜41_nの配置位置が異なる。
【0097】
遅延回路41_1〜41_nは、それぞれ、RF信号Sin_1〜Sin_nが伝搬する信号線上に設けられる代わりに、局部発振信号LOが伝搬する信号線上に設けられている。そして、遅延回路41_1〜41_nは、それぞれ、局部発振信号LOにそれぞれ異なる遅延を付加して局部発振信号LO_1〜LO_nとして出力する。
【0098】
ミキサ43_1〜43_nは、RF信号Sin_1〜Sin_nを、異なる遅延が付加された局部発振信号LO_1〜LO_nによりダウンコンバートして出力する。そのため、ミキサ43_1〜43_nのそれぞれの出力結果の位相は、異なったものとなる。
【0099】
ADコンバータ44_1〜44_nは、それぞれ、ミキサ43_1〜43_nの出力結果をフィルタ47_1〜47_nを用いてフィルタリングしたものを、デジタル信号Do_1〜Do_nに変換して出力する。
【0100】
補正回路45_1〜45_nは、それぞれ、ADコンバータ44_1〜44_nから出力されたデジタル信号Do_1〜Do_nに付加された異なる遅延を同じになるように補正したうえで出力する。換言すると、補正回路45_1〜45_nは、位相補正回路であって、それぞれ、ADコンバータ44_1〜44_nから出力されたデジタル信号Do_1〜Do_nの位相を同じになるように補正したうえで出力する。
【0101】
補正回路45_1〜45_nは、それぞれ、ADコンバータ44_1〜44_nから出力されたデジタル信号Do_1〜Do_nに付加された位相差を同じになるように補正したうえで出力する。
【0102】
加算器46は、遅延補正後のデジタル信号Do_1〜Do_nをそれぞれ加算して、デジタル受信信号Doutを出力する。デジタル受信信号Doutは、例えば、図示しない後段のデジタル処理回路を用いて、ベースバンド信号処理が行われる。
【0103】
ここで、デジタル信号Do_1〜Do_nは、遅延量の異なる局部発振信号LO_1〜LO_nに基づいてダウンコンバートされて生成されたものであるため、デジタル信号Do_1〜Do_nに含まれる量子化雑音は、それぞれ異なったものとなる。そのため、デジタル信号Do_1〜Do_nのそれぞれを加算した結果であるデジタル受信信号Doutでは、相関関係を持たない量子化雑音に対し、互いに相関関係を持つ主信号が相対的に増幅される。その結果、デジタル受信信号DoutのSN比が改善される。換言すると、デジタル受信信号Doutの品質が向上する。
【0104】
このように、本実施の形態にかかる受信回路1iは、位相の異なる局部発振信号LO_1〜LO_nに基づいてRF信号Sin_1〜Sin_nをダウンコンバートしたうえでデジタル信号Do_1〜Do_nを生成することにより、デジタル信号Do_1〜Do_nに含まれる量子化雑音を異ならせている。それにより、本実施の形態に係る受信回路1iは、デジタル信号Do_1〜Do_nのそれぞれを加算した結果であるデジタル受信信号Doutにおいて、相関関係を持たないこれら量子化雑音に対し、互いに相関関係を持つ主信号を相対的に増幅させることができる。その結果、本実施の形態に係る受信回路1iは、デジタル受信信号DoutのSN比を改善させる(品質を向上させる)ことができる。
【0105】
上記実施の形態にかかる受信回路の特徴部分は、趣旨を逸脱しない限りにおいて、組み合わせて用いられてもよい。