(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
インテリジェントパワーモジュール(Intelligent Power Module:IPM)と呼ばれる半導体装置は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等の半導体素子と共に、半導体素子の駆動・保護機能を内蔵した
ドライブIC(Integrated Circuit)を含んでいる(例えば、特許文献1,2参照)。このような半導体装置は、モータ駆動装置、電源装置等の幅広い分野に使用されている。
【0003】
以下、従来のIPMの半導体装置の一例について、
図11及び
図12を用いて説明する。
【0004】
図11は、従来の半導体装置の平面図であり、
図12は、従来の半導体装置におけるプリント基板の取り付けを説明するための断面図である。なお、
図12(A)の切断箇所は
図11の一点鎖線X−Xであり、
図12(B)の切断箇所は
図11の一点鎖線Y−Yである。
【0005】
半導体装置100は、ケース11と、ケース11内に収納されたプリント基板13、セラミック回路基板15、及びプリント基板13をケース11に接合するための接着剤18を有している。
【0006】
ケース11は、プリント基板13及びセラミック回路基板15を囲む枠部11aと、枠部11aの内側に設けられた端子台11bと、プリント基板13が設置される底部11cと、セラミック回路基板15が設置される開口部11dとを有している。
【0007】
また、ケース11は、枠部11aに形成された外部接続端子12a1〜12g1と、枠部11a内で外部接続端子12a1〜12g1と接続されて端子台11b上に配置された内部接続端子12a2〜12g2とを有している。
【0008】
また、ケース11の開口部11dの裏面側から金属ベース板17が接合されており、開口部11d内の金属ベース板17上にセラミック回路基板15がはんだ(図示を省略)を介して接合されている。
【0009】
プリント基板13は、樹脂で構成された絶縁板と、絶縁板のおもて面に形成された導電パターン(図示を省略)を有している。また、プリント基板13のおもて面には、駆動・保護機能のための、ICチップ等の電子部品(図示を省略)が接合されている。プリント基板13は、その製造過程で、主面が平坦であるだけでなく、おもて面に凸に反る場合(以下、主面が上に凸と記載する)や、裏面が凸に反る場合(以下、主面が下に凸と記載する)がある。
【0010】
セラミック回路基板15は、絶縁板15aと、絶縁板15aの裏面に形成された金属板と、絶縁板15aのおもて面に形成された導電パターン15b1〜15b6とを有している。また、セラミック回路基板15の導電パターン15b3,15b4上には半導体素子16a,16bが接合されている。
【0011】
このようなケース11の底部11cに対して、
図12に示されるように、プリント基板13の裏面に接着剤18を塗布しておき、プリント基板13を、接着剤18を介してケース11の底部11cに押圧して接合する。
【0012】
次に、このようにしてケース11の底部11cにプリント基板13を接合した際の接着剤18の一例について
図13〜
図15を用いて説明する。
【0013】
図13は、従来の半導体装置における接着剤を説明するための平面図である。
【0014】
図14は、従来の半導体装置における主面が平坦なプリント基板の取り付け後を説明するための断面図であり、
図15は、従来の半導体装置における主面が上に凸に反ったプリント基板の取り付け後を説明するための断面図である。
【0015】
なお、
図13の破線はプリント基板13と底部11cとの間における接着剤18の位置を表している。また、
図14(A)及び
図15(A)の切断箇所は
図13の一点鎖線X−Xであり、
図14(B)及び
図15(B)の切断箇所は
図13の一点鎖線Y−Yである。
【0016】
まず、プリント基板13から底部11c側に押圧された接着剤18は底部11c上で四方に広がる。この場合、
図13、
図14(A)及び
図15(A)に示されるように、プリント基板13の長手方向の両端部まで接着剤18が広がらず、プリント基板13と底部11cとの未接合箇所が発生してしまう。特に、プリント基板13が上に凸に反っている場合には(
図15(A)を参照)、接着剤18がプリント基板13の長手方向の中央部に取り残されるために、プリント基板13と底部11cとの未接合箇所が発生しやすい。
【0017】
一方、プリント基板13の短手方向の両端部は、プリント基板13から押圧された接着剤18が底部11c上で短手方向に広がる。すると、接着剤18は、
図13、
図14(B)及び
図15(B)に示されるように、プリント基板13と端子台11bとの間隙及びセラミック回路基板15と開口部11dとの間隙にはみ出してしまう。
【0018】
次いで、プリント基板13が下に凸に反っている場合の、プリント基板13のケース11の底部11cに対する取り付けについて
図16及び
図17を用いて説明する。
【0019】
図16は、従来の半導体装置における主面が下に凸に反ったプリント基板の押圧が弱い時を説明するための断面図であり、
図17は、従来の半導体装置における主面が下に凸に反ったプリント基板の押圧が強い時を説明するための断面図である。なお、
図16(A)及び
図17(A)の切断箇所は
図13の一点鎖線X−Xであり、
図16(B)及び
図17(B)の切断箇所は
図13の一点鎖線Y−Yである。
【0020】
下に凸の反りが生じているプリント基板13の裏面に接着剤18を塗布して、このようなプリント基板13を、接着剤18を介してケース11の底部11cに押圧する。すると、プリント基板13に押圧された接着剤18がケース11の底部11c上で広がる。
【0021】
この際、ケース11の底部11cに対するプリント基板13の押圧が十分ではない(弱い)場合には、
図16(A)に示されるように、プリント基板13の長手方向の両端部まで接着剤18が広がらず、プリント基板13と底部11cとの未接合箇所が発生してしまう。
【0022】
この場合において、
図16(B)に示されるように、プリント基板13の短手方向の両端部には接着剤18が広がり、プリント基板13とケース11の底部11cとを接合することができる。
【0023】
一方、ケース11の底部11cに対するプリント基板13の押圧が十分である(強い)場合には、
図17(A)に示されるように、プリント基板13の長手方向の両端部まで接着剤18が広がり、プリント基板13とケース11の底部11cとを接合することができる。
【0024】
この場合において、プリント基板13の短手方向の両端部にも接着剤18が広がる。すると、接着剤18は、
図17(B)に示されるように、プリント基板13と端子台11bとの間隙及びセラミック回路基板15と開口部11dとの間隙にはみ出してしまう。
【0025】
さらに、ケース11の底部11cに対するプリント基板13の押圧が強いために、プリント基板13の裏面の中央部とケース11の底部11cとの間の接着剤18の厚さが低下してしまう。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。
【0036】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態の半導体装置について、
図1及び
図2を用いて説明する。
【0037】
図1は、第1の実施の形態の半導体装置の平面図であり、
図2は、第1の実施の形態の半導体装置の断面図である。なお、
図2(A)の切断箇所は
図1の一点鎖線X−Xであり、
図2(B)の切断箇所は
図1の一点鎖線Y−Yである。また、
図2(B)では、セラミック回路基板15の導電パターン15b1〜15b6及び半導体素子16a,16bの図示を省略している。
【0038】
半導体装置10は、ケース11と、ケース11内に収納されたプリント基板13、セラミック回路基板15、及びプリント基板13をケース11に接合するための接着剤18を有している。
【0039】
ケース11は、プリント基板13及びセラミック回路基板15を囲む枠部11aと、枠部11aの内側に設けられた端子台11bと、プリント基板13が設置される底部11cと、セラミック回路基板15が設置される開口部11dとを有している。
【0040】
また、ケース11は、枠部11aに形成された外部接続端子12a1〜12g1と、枠部11a内で外部接続端子12a1〜12g1と接続されて端子台11bに配置された内部接続端子12a2〜12g2とを有している。なお、
図2(B)では、枠部11aに形成された外部接続端子12d1と、枠部11a内で外部接続端子12d1と接続されて端子台11bに配置された内部接続端子12d2とを表している。
【0041】
また、ケース11の開口部11dの裏面側から金属ベース板17が接合されており、開口部11d内の金属ベース板17上にセラミック回路基板15がはんだ(図示を省略)を介して接合されている。
【0042】
さらに、底部11cのプリント基板13の設置領域の所定の形成位置F1〜F4(所定位置)には、突起部11e1〜11e4がプリント基板13の各角付近に対応してそれぞれ形成されている。なお、
図1では、突起部11e1〜11e4の形成位置F1〜F4を破線で示している。また、以下において、突起部11e1〜11e4について、区別しない場合には、突起部11eと表す。
【0043】
ケース11は、熱可塑性樹脂により構成されている。このような樹脂として、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリアミド樹脂、または、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂等がある。
【0044】
ケース11の内部を封止部材(図示を省略)により封止させることも可能である。封止部材は、例えば、マレイミド変性エポキシ樹脂、マレイミド変性フェノール樹脂、マレイミド樹脂等の熱硬化性樹脂で構成されている。また、封止部材は、ゲルにより構成されても構わない。
【0045】
プリント基板13は、エポキシ樹脂やフェノール樹脂等の樹脂で構成された絶縁板と、絶縁板のおもて面に形成された導電パターン(図示を省略)とを有している。また、プリント基板13のおもて面には、種々のICチップ等の電子部品(図示を省略)が配置されている。そして、導電パターンにより電気的に接続されている。このようなプリント基板13によりドライブ回路が構成される。また、第1の実施の形態のプリント基板13は、後述するように、上に凸に(頂点がプリント基板13のおもて面側になるように)反っているものとする。プリント基板13の配線と内部接続端子12a2〜12g2とが、ボンディングワイヤ(図示を省略)で電気的にそれぞれ接続される。なお、
図1及び
図2中のプリント基板13のP1〜P4は、プリント基板13を底部11cに取り付ける際のプリント基板13に対する押圧位置を表している。
【0046】
接着剤18は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂系等を主成分とする熱硬化樹脂系接着剤、及び、シリコーンゴムやクロロプレンゴムなどを主成分とするエラストマー系接着剤等の有機系接着剤からなる。
【0047】
セラミック回路基板15は、絶縁板15aと、絶縁板15aの裏面に形成された金属板(図示を省略)と、絶縁板15aのおもて面に形成された導電パターン15b1〜15b6とを有している。
【0048】
絶縁板15aは、熱伝導性に優れた酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素等の高熱伝導性のセラミックスにより構成されている。
【0049】
金属板は、熱伝導性に優れたアルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの一種を含む合金等の金属により構成されている。
【0050】
導電パターン15b1〜15b6は、導電性に優れた銅あるいは銅合金等の金属により構成されている。また、導電パターン15b3,15b4には半導体素子16a,16bがはんだ(図示を省略)を介して接合されている。
【0051】
このような構成を有するセラミック回路基板15として、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板、AMB(Active Metal
Brazed)基板を用いることができる。セラミック回路基板15は、半導体素子16a,16bで発生した熱を導電パターン15b1〜15b6、絶縁板15a及び金属板を介して、金属ベース板17側に伝導させることができる。
【0052】
半導体素子16a,16bは、例えば、IGBT、パワーMOSFET等のスイッチング素子を含んでいる。このような半導体素子16a,16bは、例えば、裏面に主電極としてドレイン電極(または、コレクタ電極)を、おもて面に、主電極としてゲート電極及びソース電極(または、エミッタ電極)をそれぞれ備えている。
【0053】
また、半導体素子16a,16bは、必要に応じて、SBD(Schottky Barrier Diode)、FWD(Free Wheeling Diode)等のダイオードを含んでいる。このような半導体素子16a,16bは、裏面に主電極としてカソード電極を、おもて面に主電極としてアノード電極をそれぞれ備えている。
【0054】
このような半導体素子16a,16bは、その裏面側が、導電パターン15b3,15b4上に、例えば、鉛を含まない銀系、金系、銅系または錫系のはんだ(図示を省略)により接合されている。また、半導体素子16a,16bは、この場合に限らず、複数あってもよく、適宜導電パターン15b1〜15b6上に接合される。
【0055】
なお、セラミック回路基板15上では、導電パターン15b1〜15b6間、所定の導電パターン15b1〜15b6と半導体素子16a,16bとの間がボンディングワイヤ(図示を省略)で電気的にそれぞれ接続される。これにより、半導体素子16a,16bを含む所定の回路が構成される。
【0056】
金属ベース板17は、熱伝導性に優れた、例えば、アルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの一種から構成される合金、アルミニウムと炭化シリコンからなる複合材、マグネシウムと炭化シリコンとからなる複合材により構成されている。また、耐食性を向上させるために、例えば、ニッケル等の材料をめっき処理等により金属ベース板17の表面に形成してもよい。具体的には、ニッケルの他に、ニッケル−リン合金、ニッケル−ボロン合金等がある。
【0057】
このような金属ベース板17上に、例えば、鉛を含まない銀系、金系、銅系または錫系のはんだを介してセラミック回路基板15の金属板が接合される。
【0058】
なお、この金属ベース板17の裏面側に冷却器(図示を省略)をはんだまたは銀ろう等を介して接合させ、または、サーマルペースト等を介して機械的に取りつけることで放熱性を向上させることも可能である。この場合の冷却器は、例えば、熱伝導性に優れたアルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの一種から構成される合金等により構成されている。また、冷却器として、フィン、または、複数のフィンから構成されるヒートシンク並びに水冷による冷却装置等を適用することができる。また、金属ベース板17は、このような冷却器と一体的に構成されてもよい。その場合は、熱伝導性に優れたアルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの一種により構成される。そして、耐食性を向上させるために、例えば、ニッケル等の材料をめっき処理等により冷却器と一体化された放熱板の表面に形成してもよい。具体的には、ニッケルの他に、ニッケル−リン合金、ニッケル−ボロン合金等がある。
【0059】
このような構成を有する半導体装置10において、ケース11の底部11cに対するプリント基板13の設置について
図3(並びに
図1及び
図2)を用いて説明する。
【0060】
図3は、第1の実施の形態のプリント基板の押圧治具の一例を示す図である。
【0061】
まず、上に凸に反ったプリント基板13の裏面(ケース11の底部11cと対向する側)に接着剤18を塗布する(例えば、
図12を参照)。または、接着剤18は、ケース11の底部11cのプリント基板13の設置領域上に塗布してもよい。接着剤18の塗布は、マスクによるスクリーン印刷法やシリンジを用いたディスペンス法等の当該技術において知られている任意の方法を用いることができる。
【0062】
このようなプリント基板13を底部11cの設置領域上にセットする。この際、プリント基板13の裏面の各角部が、底部11c上に形成された突起部11e1〜11e4によりそれぞれ支持される。
【0063】
また、予め、
図3に示す押圧治具50が設置されたプレス装置(図示を省略)を用意しておく。押圧治具50は、押圧用ピン52a〜52dがプリント基板13の押圧位置P1〜P4に位置が合わせられてピン固定部51に形成されている。なお、押圧用ピン52a〜52dは、ピン固定部51に対する形成位置、個数はこの場合に限らず、プリント基板13の押圧位置に応じてピン固定部51の任意の位置に、また、任意の個数を形成することができる。このような押圧治具50は、プレス装置のプレス部に対して取り付け部53a,53bにより取り付けられている。プレス装置のプレス部は、後述するようにセットされたケース11の主面に対して垂直方向に動作する。
【0064】
このようなプレス装置の所定領域に、プリント基板13が底部11cにセットされたケース11を設置する。そして、プレス装置はプレス部を下降させて、押圧治具50の押圧用ピン52a〜52dの押圧部52a1〜52d1をプリント基板13の押圧位置P1〜P4にそれぞれ同時に当接させる。この際、上に凸に反ったプリント基板13の押圧位置P1〜P4は、突起部11e1〜11e4よりも内側である(
図1を参照)。
【0065】
この状態において、プレス装置によりプリント基板13に対して押圧を行って、接着剤18が硬化するまでその押圧を維持する。プリント基板13は、その裏面が底部11cの突起部11e1〜11e4により支持されながら、突起部11e1〜11e4よりも内側の押圧位置P1〜P4が押圧される。このため、プリント基板13の反りが緩和される。この際のプレス装置による押圧は、プリント基板13の反りが多少残る程度に押圧する。そして、プリント基板13が押圧されることにより接着剤18がケース11の底部11c上で押し広げられる。このように押圧されたプリント基板13は、その裏面側が底部11cの突起部11e1〜11e4により支持されるために、プリント基板13と底部11cとの間に突起部11e1〜11e4の高さ程度の隙間が保たれる。
【0066】
このため、プリント基板13の長手方向の両端部では、
図2(A)に示されるように、接着剤18の端部がプリント基板13の当該両端部の側面における、裏面からおもて面までの間に位置する。
【0067】
また、プリント基板13の短手方向の両端部では、
図2(B)に示されるように、接着剤18の端部がプリント基板13の当該両端部の側面における、裏面からおもて面までの間に位置する。
【0068】
図2(A),(B)のように、接着剤18は、プリント基板13の端部から多少はみ出している。しかし、プリント基板13の両端部からはみ出した接着剤18は、プリント基板13のおもて面、内部接続端子12d2上、並びにセラミック回路基板15のおもて面に回り込んではいない。なお、プリント基板13の両端部からはみ出した接着剤18は、内部接続端子12a2,12c2〜12g2上にも回り込まない。
【0069】
また、プリント基板13と底部11cとの間で押し広げられた接着剤18は、その中央部が最も厚い、厚さT1、外周部が最も薄い、厚さT2でそれぞれ保たれている。厚さT1は、厚すぎると、接着剤18の層の内部に亀裂欠陥による剥離が生じやすくなる。そのため、厚さT1は、0.30mm以下であることが好ましく、さらには、0.20mm以下であることがより好ましい。また、厚さT2は、薄すぎると、プリント基板13と底部11cとの剥離が生じやすくなる。そのため、厚さT2は、0.04mm以上であることが好ましく、さらには、0.06mm以上であることがより好ましい。
【0070】
上記半導体装置10は、平面視で矩形状のプリント基板13と、プリント基板13が接着剤18を介して設置される設置領域上の形成位置F1〜F4に、プリント基板13を裏面側から支持して設置領域と裏面との間に所定間隔(T1からT2まで)の間隙を維持する突起部11e1〜11e4が形成されたケース11とを有している。
【0071】
これにより、接着剤18を介してプリント基板13をケース11の底部11c側に押圧すると、プリント基板13の裏面は底部11cに形成された突起部11e1〜11e4から支持される。このため、プリント基板13と底部11cとの間隙が突起部11e1〜11e4の高さ程度に保たれて、プリント基板13により押圧される接着剤18がプリント基板13の裏面全面に広がる。また、プリント基板13の裏面からの広がり過ぎがなくなる。この結果、プリント基板13の長手方向及び短手方向のそれぞれ両端部では、接着剤18の端部がプリント基板13のそれぞれの当該両端部側面において、裏面からおもて面までの間に位置する。そのため、プリント基板13の端部からはみ出した接着剤18は、プリント基板13のおもて面、内部接続端子12a2〜12g2上、並びにセラミック回路基板15のおもて面に回り込まない。
【0072】
したがって、プリント基板13と底部11cとの未接合箇所が無くなり、また、プリント基板13と底部11cとの間隙の接着剤18の接着力が保たれる高さが維持されるため、プリント基板13の底部11cからの剥離が防止される。さらに、プリント基板13のおもて面、セラミック回路基板15のおもて面及び内部接続端子12a2〜12g2上の接着剤18による損傷が抑制される。これらにより、半導体装置10の信頼性の低下が抑制される。
【0073】
ここで、突起部11eについて
図4を用いて説明する。
【0074】
図4は、第1の実施の形態の半導体装置の突起部を説明するための図である。
【0075】
既述の通り、プリント基板13を裏面から支持する突起部11eは、接着剤18の流動を妨げず、空隙を生じないような形状、サイズであることが望まれる。
【0076】
このような突起部11eとして、
図4(A)の(a)に示されるように、ケース11の底部11cの主面に対して垂直な断面の形状が方形状であることが望まれる。この高さは、高すぎると底部11cに配置した際のプリント基板13が浮きやすく、低すぎると接合に必要な接着剤18の厚さを確保することができなくなる。このような要求を満たす高さは、0.08mm以上、0.15mm以下であることが好ましく、例えば、0.1mmである。
【0077】
また、ケース11の底部11cの主面に対して平行な断面が、
図4(A)の(b),(c),(d)に示されるように、円形状、楕円形状、または方形状であることが望まれる。例えば、円形状の場合には、その直径は、小さすぎるとプリント基板13を支持する際に傾きやすく、大きすぎると、接着剤18による接合領域が低下してしまう。このような要求を満たす直径は、0.5mm以上、1.5mm以下であることが好ましく、例えば、1mmである。楕円形状及び方形状の場合も、円形状と同等の大きさ(幅)であることが好ましい。
【0078】
また、突起部11eとして、
図4(B)の(a)に示されるような、底部11cの主面に対して垂直な断面の形状が台形状であっても構わない。この高さも、
図4(A)の場合と同様に、0.08mm以上、0.15mm以下であることが好ましく、例えば、0.1mmである。
【0079】
また、ケース11の底部11cの主面に対して平行な断面が、
図4(B)の(b),(c),(d)に示されるように、円形状、楕円形状、または方形状である。例えば、
図4(B)の(b)の円形状(円錐台状)の場合には、その下底の直径は、
図4(A)の場合と同様に、0.5mm以上、1.5mm以下であることが好ましく、例えば、1mmである。その上底の直径も同様に、0.2mm以上、1.0mm以下であることが好ましく、例えば、0.7mmである。楕円形状及び方形状の場合も、円形状と同等の大きさ(上底及び下底の幅)であることが好ましい。
【0080】
次に、ケース11の底部11cに形成される突起部の配置位置例について
図5を用いて説明する。
【0081】
図5は、第1の実施の形態の半導体装置の突起部の配置位置を説明するための平面図である。なお、
図5(A),(B)では、プリント基板13の設置領域を破線でそれぞれ表している。
【0082】
図5(A)に示す半導体装置10aは、半導体装置10の底部11cのプリント基板13の設置領域13aの中心部に突起部11e5をさらに形成したものである。
【0083】
このようなケース11の底部11cの設置領域13aに、
図1〜
図3で説明したように、上に凸に反ったプリント基板13の押圧位置P1〜P4を、プレス装置に取り付けた押圧治具50により押圧する。プリント基板13は、その裏面が底部11cの設置領域13aの突起部11e1〜11e4により支持されながら、突起部11e1〜11e4よりも内側の押圧位置P1〜P4が押圧されて、反りが緩和される。例えば、押圧が強くなっても、プリント基板13は、その裏面の中心部が設置領域13aの突起部11e5から支持された状態で接着剤18により底部11cに固着される。
【0084】
また、
図5(B)に示す半導体装置10bは、半導体装置10の底部11cの設置領域13aの角部からそれぞれ長手方向内側に所定距離、離れた箇所に突起部11e6〜11e9がそれぞれさらに形成されたものである。すなわち、突起部11e1,11e3の間に突起部11e6,11e7が、突起部11e2,11e4の間に突起部11e8,11e9がそれぞれさらに形成されたものである。
【0085】
この場合についても、ケース11の底部11cの設置領域13aに、
図1〜
図3で説明したように、上に凸に反ったプリント基板13の押圧位置P1〜P4を、プレス装置に取り付けた押圧治具50により押圧する。プリント基板13は、既述の通り、反りが緩和される。例えば、押圧が強くなっても、プリント基板13は、その裏面の両端部が突起部11e6,11e7及び突起部11e8,11e9からそれぞれ支持された状態で接着剤18により底部11cに固着される。
【0086】
突起部11e1〜11e4の他にさらに突起部を形成する場合、さらに形成する突起部の数は、4つ以下であることが好ましい。多すぎると、接着剤18による接合領域が低下してしまう。
【0087】
また、
図5の半導体装置10a,10bの場合でも、半導体装置10と同様に、接着剤18は、プリント基板13の裏面全面に広がる。また、接着剤18は、プリント基板13の裏面からの広がり過ぎがなくなる。プリント基板13の長手方向及び短手方向のそれぞれの両端部では、接着剤18の端部がプリント基板13の当該両端部の側面において、裏面からおもて面までの間に位置する。そのため、プリント基板13の端部からはみ出した接着剤18は、プリント基板13のおもて面、内部接続端子12a2〜12g2上、並びにセラミック回路基板15のおもて面に回り込まない。
【0088】
したがって、半導体装置10a,10bは、プリント基板13と底部11cとの未接合箇所が無くなり、また、プリント基板13と底部11cとの間隙の接着剤18の接着力が保たれる高さが維持されるため、プリント基板13の底部11cからの剥離が防止される。さらに、プリント基板13のおもて面、セラミック回路基板15のおもて面及び内部接続端子12a2〜12g2上の接着剤18による損傷が抑制される。これらにより、半導体装置10a,10bの信頼性の低下が抑制される。
【0089】
また、
図5の半導体装置10a,10bの場合、突起部11e5、または突起部11e6〜11e9がさらに形成されている。そのため、仮に押圧が強くなっても、プリント基板13と底部11cとの間隙が維持される。また、プリント基板13の裏面からの広がり過ぎがなくなる。そのため、半導体装置10a,10bの更なる信頼性の向上ができる。
【0090】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、ケース11の底部11cの設置領域に下に凸に(頂点がプリント基板の裏面側になるように)反ったプリント基板を配置する場合について
図6及び
図7を用いて説明する。
【0091】
図6は、第2の実施の形態の半導体装置の平面図であり、
図7は、第2の実施の形態の半導体装置の断面図である。なお、
図7(A)の切断箇所は
図6の一点鎖線X−Xであり、
図7(B)の切断箇所は
図6の一点鎖線Y−Yである。
【0092】
半導体装置10cは、
図1〜
図3で説明した半導体装置10と同様に、ケース11と、ケース11内に収納されたプリント基板23及びセラミック回路基板15とを有している。但し、プリント基板23は、下に凸の反りを有している。
図6中のプリント基板23のP5〜P8は、プリント基板23を底部11cに取り付ける際のプリント基板23に対する押圧位置を表している。
【0093】
また、底部11cのプリント基板23の配置領域に突起部21e1〜21e4がプリント基板23の角部からそれぞれ所定距離、離れて形成されている。なお、
図6では、突起部21e1〜21e4の形成位置F5〜F8を破線で示している。また、以下において、突起部21e1〜21e4について、区別しない場合には、突起部21eと表す。
【0094】
次に、このような構成を有する半導体装置10cにおいて、ケース11の底部11cの設置領域に対するプリント基板23の設置について(
図6及び
図7を用いて)説明する。
【0095】
まず、第1の実施の形態と同様に、下に凸に反ったプリント基板23の裏面(ケース11の底部11cと対向する側)に接着剤18を塗布する(例えば、
図12を参照)。または、接着剤18は、ケース11の底部11cのプリント基板23の設置領域上に塗布してもよい。
【0096】
このようなプリント基板23を底部11cの設置領域上にセットする。この際、プリント基板23上の裏面の各角部近傍が、底部11c上に形成された突起部21e1〜21e4によりそれぞれ支持される。
【0097】
押圧治具50(
図3を参照)が設置されたプレス装置の所定領域に、プリント基板23が底部11cの設置領域にセットされたケース11を設置する。なお、押圧治具50の押圧用ピン52a〜52dは、プリント基板23の押圧位置P5〜P8に位置を合わせておく。このようなプレス装置はプレス部を降下させて、押圧治具50の押圧用ピン52a〜52dの押圧部52a1〜52d1をプリント基板23の押圧位置P5〜P8にそれぞれ当接させる。この際、下に凸に反ったプリント基板23の押圧位置P5〜P8は、突起部21e1〜21e4の外側である(
図6を参照)。
【0098】
この状態において、プレス装置によりプリント基板23に対して押圧を行って、接着剤18が硬化するまでその押圧を維持する。プリント基板23は、その裏面が底部11cの突起部21e1〜21e4により支持されながら、突起部21e1〜21e4よりも外側の押圧位置P5〜P8が押圧される。このため、プリント基板23の反りが緩和される。この際のプレス装置による押圧は、プリント基板23の反りが多少残る程度に押圧する。そして、プリント基板23が押圧されることにより接着剤18がケース11の底部11c上で押し広げられる。このように押圧されたプリント基板23は、その裏面側が底部11cの突起部21e1〜21e4により支持されるために、プリント基板23と底部11cとの間に突起部21e1〜21e4の高さ程度の隙間が保たれる。
【0099】
このため、プリント基板23の長手方向の両端部では、
図7(A)に示されるように、接着剤18の端部がプリント基板23の当該両端部の側面における、裏面からおもて面までの間に位置する。
【0100】
また、プリント基板23の短手方向の両端部では、
図7(B)に示されるように、接着剤18の端部がプリント基板
23の当該両端部の側面における、裏面からおもて面までの間に位置する。
【0101】
図7(A),(B)のように、接着剤18は、プリント基板23の端部から多少はみ出している。しかし、プリント基板23の両端部からはみ出した接着剤18は、プリント基板23のおもて面、内部接続端子12d2上、並びにセラミック回路基板15のおもて面に回り込んではいない。なお、プリント基板23の両端部からはみ出した接着剤18は、内部接続端子12a2,12c2〜12g2上にも回り込まない。
【0102】
このようにしてプリント基板23と底部11cとの間で押し広げられた接着剤18は、その中央部が最も薄い、厚さT3、外周部が最も厚い、厚さT4でそれぞれ保たれている。厚さT3は、薄すぎると、プリント基板
23と底部11cとの剥離が生じやすくなる。そのため、厚さT3は、0.04mm以上であることが好ましく、さらには、0.06mm以上であることがより好ましい。また、厚さT4は、厚すぎると、接着剤層の内部に亀裂欠陥による剥離が生じやすくなる。そのため、厚さT4は、0.30mm以下であることが好ましく、さらには、0.20mm以下であることがより好ましい。
【0103】
上記半導体装置10cは、平面視で矩形状のプリント基板23と、プリント基板23が接着剤18を介して設置される設置領域上の形成位置F5〜F8に、プリント基板23を裏面側から支持して設置領域と裏面との間に所定間隔(T3からT4まで)の間隙を維持する突起部21e1〜21e4が形成されたケース11とを有している。
【0104】
これにより、裏面に接着剤18が塗布されたプリント基板23をケース11の底部11c側に押圧すると、プリント基板23は底部11cに形成された突起部21e1〜21e4から裏面が支持される。このため、プリント基板23と底部11cとの間隙が突起部21e1〜21e4の高さ程度に保たれて、プリント基板23により押圧される接着剤18がプリント基板
23の裏面全面に広がる。また、プリント基板
23の裏面からの広がり過ぎがなくなる。この結果、プリント基板23の長手方向及び短手方向のそれぞれ両端部では、接着剤18の端部がプリント基板23のそれぞれの当該両端部の側面において、裏面からおもて面までの間に位置する。そのため、プリント基板23端部からはみ出した接着剤18は、プリント基板23のおもて面、内部接続端子12a2〜12g2上、並びにセラミック回路基板15のおもて面に回り込まない。
【0105】
したがって、プリント基板23と底部11cとの未接合箇所が無くなり、また、プリント基板23と底部11cとの間隙の接着剤18の接着力が保たれる高さが維持されるため、プリント基板23の底部11cからの剥離が防止される。さらに、プリント基板23のおもて面、セラミック回路基板15のおもて面及び内部接続端子12a2〜12g2上の接着剤18による損傷が抑制される。これらにより、半導体装置10cの信頼性の低下が抑制される。
【0106】
次に、ケース11の底部11cに形成される突起部の配置位置例について
図8を用いて説明する。
【0107】
図8は、第2の実施の形態の半導体装置の突起部の配置位置を説明するための平面図である。なお、
図8(A),(B)では、プリント基板23の設置領域を破線でそれぞれ表している。
【0108】
図8に示す半導体装置10dでは、突起部21eの形成位置が、設置領域23aのプリント基板23の長辺の中心を通って当該長辺に直交する方向の線に沿って少なくとも1箇所に存在する。
【0109】
具体的には、まず、
図8(A)に示す半導体装置10dは、ケース11の底部11cの中心部のみに突起部21e5を形成したものである。
【0110】
このようなケース11の底部11cの設置領域23aに、上記で説明したように、下に凸に反ったプリント基板23の押圧位置P5〜P8をプレス装置に取り付けた押圧治具50により押圧する。プリント基板23は、底部11cの突起部21e5により裏面の中心部が支持されながら、突起部21e5から外側の押圧位置P5〜P8が押圧されて、反りが緩和される。すると、プリント基板23は、その裏面の中央部が突起部21e5から支持された状態で接着剤18により底部11cに固着される。
【0111】
また、
図8(B)に示す半導体装置10eは、ケース11の底部11cのプリント基板23の設置領域23aの長辺の中心を通って当該長辺に直交する線上の2箇所に突起部21e6,21e7を形成したものである。
【0112】
このようなケース11の底部11cの設置領域23aに、
図8(A)の場合と同様に、下に凸に反ったプリント基板23をプレス装置に取り付けた押圧治具50により押圧する。プリント基板23は、底部11cの突起部21e6,21e7により裏面の中央部が支持されながら、突起部21e6,21e7よりも外側の押圧位置P5〜P8が押圧されて、反りが緩和される。すると、プリント基板23は、その裏面の中央部が突起部21e6,21e7から支持された状態で接着剤18により底部11cに固着される。
【0113】
これにより、
図8の半導体装置10d,10eの場合でも、半導体装置10cと同様に、接着剤18は、プリント基板23の裏面全面に広がる。また、接着剤18は、プリント基板23の裏面からの広がり過ぎがなくなる。プリント基板23の長手方向及び短手方向のそれぞれの両端部では、接着剤18の端部がプリント基板23の当該両端部の側面において、裏面からおもて面までの間に位置する。そのため、プリント基板23端部からはみ出した接着剤18は、プリント基板23のおもて面、内部接続端子12a2〜12g2上、並びにセラミック回路基板15のおもて面に回り込まない。
【0114】
したがって、半導体装置10d,10eは、プリント基板23と底部11cとの未接合箇所が無くなり、また、プリント基板23と底部11cとの間隙の接着剤18の接着力が保たれる高さが維持されるため、プリント基板23の底部11cからの剥離が防止される。さらに、プリント基板23のおもて面、セラミック回路基板15のおもて面及び内部接続端子12a2〜12g2上の接着剤18による損傷が抑制される。これらにより、半導体装置10d,10eの信頼性の低下が抑制される。
【0115】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、ケース11の底部11cの設置領域に下に凸に反った、または、上に凸に反ったプリント基板を配置する場合について
図9を用いて説明する。
【0116】
図9は、第3の実施の形態の半導体装置の突起部の配置位置を説明するための平面図である。なお、
図9では、突起部31e1〜31e8の形成位置F9〜F16を破線で示している。
【0117】
半導体装置10fは、
図6及び
図7で説明した半導体装置10cと同様に、ケース11と、ケース11内に収納されたプリント基板33及びセラミック回路基板15とを有している。
図9中のプリント基板33のP9〜P12は、プリント基板33を底部11cに取り付ける際のプリント基板33に対する押圧位置を表している。また、底部11cのプリント基板33の設置領域の角部に突起部31e1〜31e4がそれぞれ形成されている。さらに、突起部31e5〜31e8が突起部31e1〜31e4からプリント基板33の長手方向内側に所定距離、離れてそれぞれ形成されている。
【0118】
次に、このような構成を有する半導体装置10fにおいて、ケース11の底部11cの設置領域に対するプリント基板33の設置について
図10を用いて説明する。
【0119】
図10は、第3の実施の形態の半導体装置の断面図である。なお、
図10(A)の切断箇所はプリント基板33が上に凸に反っている場合の
図9の一点鎖線X−Xであり、
図10(B)の切断箇所はプリント基板33が下に凸に反っている場合の
図9の一点鎖線X−Xである。
【0120】
まず、ケース11の底部11cの設置領域に設置するプリント基板33が上に凸に反っている場合について説明する。
【0121】
第1,第2の実施の形態と同様に、上に凸に反ったプリント基板33の裏面(ケース11の底部11cと対向する側)に接着剤18を塗布する(例えば、
図12を参照)。または、接着剤18は、ケース11の底部11cのプリント基板33の設置領域上に塗布してもよい。
【0122】
このようなプリント基板33を底部11cの設置領域上にセットする。すると、この際、プリント基板33の各角部が、底部11c上に形成された突起部31e1〜31e8のうち突起部31e1〜31e4によりそれぞれ支持される。
【0123】
第1,第2の実施の形態と同様にして、押圧治具50(
図3を参照)が設置されたプレス装置の所定領域に、プリント基板33が底部11cにセットされたケース11を設置する。なお、押圧治具50の押圧用ピン52a〜52dは、プリント基板33の押圧位置P9〜P12に位置を合わせておく。このようなプレス装置はプレス部を降下させて、押圧治具50の押圧用ピン52a〜52dの押圧部52a1〜52d1をプリント基板33の押圧位置P9〜P12にそれぞれ当接させる。この際、上に凸に反ったプリント基板33の押圧位置P9〜P12は、突起部31e1〜31e4の内側である(
図9を参照)。
【0124】
この状態において、プレス装置によりプリント基板33に対して押圧を行って、接着剤18が硬化するまでその押圧を維持する。プリント基板33は、底部11cの突起部31e1〜31e4により裏面が支持されながら、突起部31e1〜31e4から内側の押圧位置P9〜P12が押圧される。このため、プリント基板33の反りが緩和される。この際のプレス装置による押圧は、プリント基板33の反りが多少残る程度に押圧する。そして、プリント基板33が押圧されることにより接着剤18がケース11の底部11c上で押し広げられる。このように押圧されたプリント基板33は、その裏面側が底部11cの突起部31e1〜31e4により支持されるために、プリント基板33と底部11cとの間に突起部31e1〜31e4の高さ程度の隙間が保たれる。
【0125】
このため、プリント基板33の長手方向の両端部では、
図10(A)に示されるように、接着剤18の端部がプリント基板33の当該両端部の側面における、裏面からおもて面までの間に位置する。
【0126】
また、プリント基板33の短手方向の両端部でも、接着剤18は、
図2(B)と同様に、接着剤18の端部がプリント基板13の当該両端部の側面における、裏面からおもて面までの間に位置する。
【0127】
この場合、接着剤18は、プリント基板33の端部から多少はみ出しながら、プリント基板33のおもて面、内部接続端子12a2〜12g2上、並びにセラミック回路基板15のおもて面に回り込まない。
【0128】
次に、ケース11の底部11cの設置領域に設置するプリント基板33が下に凸に反っている場合について説明する。
【0129】
第1,第2の実施の形態と同様に、下に凸に反ったプリント基板33の裏面(ケース11の底部11cと対向する側)に接着剤18を塗布する(例えば、
図12を参照)。または、接着剤18は、ケース11の底部11cのプリント基板33の設置領域上に塗布してもよい。
【0130】
このようなプリント基板33を底部11cの設置領域上にセットする。すると、この際、プリント基板33の角部よりも内側の四点(
図9を参照)が、底部11c上に形成された突起部31e1〜31e8のうち突起部31e5〜31e8によりそれぞれ支持される。
【0131】
第1,第2の実施の形態と同様にして、押圧治具50(
図3を参照)が設置されたプレス装置の所定領域に、プリント基板33が底部11cにセットされたケース11を設置する。なお、押圧治具50の押圧用ピン52a〜52dは、プリント基板33の押圧位置P9〜P12に位置を合わせておく。このようなプレス装置はプレス部を降下させて、押圧治具50の押圧用ピン52a〜52dの押圧部52a1〜52d1をプリント基板33の押圧位置P9〜P12にそれぞれ当接させる。この際、下に凸に反ったプリント基板33の押圧位置P9〜P12は、突起部31e5〜31e8の外側である(
図9を参照)。
【0132】
この状態において、プレス装置によりプリント基板33に対して押圧を行って、接着剤18が硬化するまでその押圧を維持する。プリント基板33は、底部11cの突起部31e5〜31e8により裏面が支持されながら、突起部31e5〜31e8から外側の押圧位置P9〜P12が押圧される。このため、プリント基板33の反りが緩和される。そして、プリント基板33が押圧されることにより接着剤18がケース11の底部11c上で押し広げられる。このように押圧されたプリント基板33は、その裏面側が底部11cの突起部31e5〜31e8により支持されるために、プリント基板33と底部11cとの間に突起部31e5〜31e8の高さ程度の隙間が保たれる。
【0133】
このため、プリント基板33の長手方向の両端部では、
図10(B)に示されるように、接着剤18の端部がプリント基板33の当該両端部の側面における、裏面からおもて面までの間に位置する。
【0134】
また、プリント基板33の短手方向の両端部でも、接着剤18は、
図7(B)と同様に、側面における、裏面からおもて面までの間に位置する。
【0135】
この場合でも、接着剤18は、プリント基板33の端部から多少はみ出しながら、プリント基板33のおもて面、内部接続端子12a2〜12g2上、並びにセラミック回路基板15のおもて面に回り込まない。
【0136】
上記半導体装置10fは、平面視で矩形状のプリント基板33と、プリント基板33が接着剤18を介して設置される設置領域上の形成位置F9〜F16に、プリント基板33を裏面側から支持して設置領域と裏面との間に所定間隔の間隙を維持する突起部31e1〜31e8が形成されたケース11とを有している。
【0137】
これにより、プリント基板33が上に凸に反っている場合、裏面に接着剤18が塗布されたプリント基板33をケース11の底部11c側に押圧すると、プリント基板33は底部11cに形成された突起部31e1〜31e8のうち外側の突起部31e1〜31e4から裏面が支持される。また、プリント基板33が下に凸に反っている場合、裏面に接着剤18が塗布されたプリント基板33をケース11の底部11c側に押圧すると、プリント基板33は底部11cに形成された突起部31e1〜31e8のうち内側の突起部31e5〜31e8から裏面が支持される。
【0138】
このため、プリント基板33と底部11cとの間隙が維持されて、プリント基板33により押圧される接着剤18がプリント基板
33の裏面全面に広がる。また、接着剤18がプリント基板
33の裏面からの広がり過ぎがなくなる。この結果、プリント基板33の長手方向及び短手方向のそれぞれの両端部では、接着剤18の端部がプリント基板
33のそれぞれの当該両端部側面において、裏面からおもて面までの間に位置する。そのため、プリント基板33の短手方向の両端部からはみ出した接着剤18は、プリント基板33のおもて面、内部接続端子12a2〜12g2上、並びにセラミック回路基板15のおもて面に回り込まない。
【0139】
したがって、半導体装置10fは、プリント基板33と底部11cとの未接合箇所が無くなり、また、プリント基板33と底部11cとの間隙の接着剤18の接着力が保たれる高さが維持されるため、プリント基板33の底部11cからの剥離が防止される。さらに、プリント基板33のおもて面、セラミック回路基板15のおもて面及び内部接続端子12a2〜12g2上の接着剤18による損傷が抑制される。これらにより、半導体装置10fの信頼性の低下が抑制される。
【0140】
なお、第1の実施の形態では、プリント基板13が上に凸に反っている場合に、
図5(B)が適用されることを説明した。これに加えて、
図5(B)は、
図10(B)の場合と同様にして、プリント基板13が下に凸に反っている場合にも適用することができる。