(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981035
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】情報処理装置及び停電時のシャットダウン動作決定方法
(51)【国際特許分類】
H02J 9/00 20060101AFI20211202BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20211202BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
H02J9/00 120
G03G21/00 398
G03G21/00 500
B41J29/38 104
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-82989(P2017-82989)
(22)【出願日】2017年4月19日
(65)【公開番号】特開2018-182979(P2018-182979A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】笹本 能史
(72)【発明者】
【氏名】玉田 武司
(72)【発明者】
【氏名】神谷 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】生田 克行
(72)【発明者】
【氏名】伊郷 翔太
【審査官】
下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−218672(JP,A)
【文献】
特開2007−179094(JP,A)
【文献】
特開2004−318296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00 ー 11/00
G03G 21/00
B41J 29/00 ー 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を有する無停電電源装置と、外部電源の停電時にも不具合なくシャットダウンすることが必要な第1の機器と、第1の機器とは別の第2の機器とを備えた情報処理装置であって、前記第2の機器は用紙に画像を形成する画像形成装置であり、
外部電源の停電を検出する停電検出装置と、
非停電時には前記外部電源から前記第1の機器と第2の機器に電力が供給され、前記停電検出装置により停電が検出されたときは、前記無停電電源装置における畜電池の電力が前記第1の機器と第2の機器に供給されるように、電力供給経路を切り替える切替手段と、
第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を算出する算出手段と、
前記蓄電池の残電力量を検出する残電力量検出手段と、
前記残電力量検出手段により検出された蓄電池の残電力量のうち、前記算出手段により算出された第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を確保した残りの余剰電力量に応じて、停電時の第2の機器のシャットダウン動作を決定する決定手段と、
を備え、
前記決定手段は、第2の機器が決定されたシャットダウン動作を実施中に、蓄電池の残電力量と第2の機器のシャットダウン動作の完了までの必要電力量に基づいて、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量が確保されるように、第2の機器のシャットダウン動作を変更することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
蓄電池を有する無停電電源装置と、外部電源の停電時にも不具合なくシャットダウンすることが必要な第1の機器と、第1の機器とは別の第2の機器とを備えた情報処理装置であって、前記第2の機器は用紙に画像を形成する画像形成装置であり、
外部電源の停電を検出する停電検出装置と、
非停電時には前記外部電源から前記第1の機器と第2の機器に電力が供給され、前記停電検出装置により停電が検出されたときは、前記無停電電源装置における畜電池の電力が前記第1の機器と第2の機器に供給されるように、電力供給経路を切り替える切替手段と、
第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を算出する算出手段と、
前記蓄電池の残電力量を検出する残電力量検出手段と、
前記残電力量検出手段により検出された蓄電池の残電力量のうち、前記算出手段により算出された第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を確保した残りの余剰電力量に応じて、停電時の第2の機器のシャットダウン動作を決定する決定手段と、
を備え、
前記余剰電力量が、第2の機器である画像形成装置において、低カバレッジまたは薄紙の印刷モードであれば、定着ヒーターをオンにして印刷を行っても印刷物を排出できる電力量を上回っているときは、前記決定手段は、前記画像形成装置のシャットダウン動作として、印刷モードを低カバレッジまたは薄紙用紙の印刷モードに変更して印刷を行い印刷物を排出することを決定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
蓄電池を有する無停電電源装置と、外部電源の停電時にも不具合なくシャットダウンすることが必要な第1の機器と、第1の機器とは別の第2の機器とを備えた情報処理装置であって、前記第2の機器は用紙に画像を形成する画像形成装置であり、
外部電源の停電を検出する停電検出装置と、
非停電時には前記外部電源から前記第1の機器と第2の機器に電力が供給され、前記停電検出装置により停電が検出されたときは、前記無停電電源装置における畜電池の電力が前記第1の機器と第2の機器に供給されるように、電力供給経路を切り替える切替手段と、
第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を算出する算出手段と、
前記蓄電池の残電力量を検出する残電力量検出手段と、
前記残電力量検出手段により検出された蓄電池の残電力量のうち、前記算出手段により算出された第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を確保した残りの余剰電力量に応じて、停電時の第2の機器のシャットダウン動作を決定する決定手段と、
を備え、
前記停電検出装置により停電が検出されたタイミングが、前記第2の機器である画像形成装置における用紙搬送中かそれ以外かで、第1の機器と第2の機器のシャットダウンの順番が変更されることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
第2の機器のシャットダウン動作として、必要な電力量が異なる複数のシャットダウン動作が設定されており、
前記決定手段は、前記余剰電力量と予め決められた優先順位とにより、前記複数のシャットダウン動作の中から第2の機器のシャットダウン動作を決定する請求項1〜3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
第1の機器はサーバであり、該サーバはサーバ機能以外に、ウィルスチェック、システムアップデート、データバックアップ、シミュレーションのうちの少なくとも何れかの機能を有している請求項1〜4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記決定手段で決定される第2の機器である画像形成装置のシャットダウン動作は、メモリ内容の退避と合わせて、
(1)実行中のジョブの完了・用紙の排出、(2)画像形成装置内にある給紙中の用紙の排出、(3)画像形成装置内の定着ヒータのオフと給紙中の用紙の排出、(4)画像形成装置内の定着ヒーターのオフとジャム解除が容易な場所での用紙搬送の停止、(5)画像形成装置内の定着ヒーターのオフと用紙搬送の即時停止、のいずれかを含む動作である請求項1〜5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記決定手段は、第2の機器が決定されたシャットダウン動作を実施中に、蓄電池の残電力量と第2の機器のシャットダウン動作の完了までの必要電力量に基づいて、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量が確保されるように、第2の機器のシャットダウン動作を変更する請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記余剰電力量が、第2の機器である画像形成装置において、低カバレッジまたは薄紙の印刷モードであれば、定着ヒーターをオンにして印刷を行っても印刷物を排出できる電力量を上回っているときは、前記決定手段は、前記画像形成装置のシャットダウン動作として、印刷モードを低カバレッジまたは薄紙用紙の印刷モードに変更して印刷を行い印刷物を排出することを決定する請求項1または3に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記停電検出装置により停電が検出されたタイミングが、前記第2の機器である画像形成装置における用紙搬送中かそれ以外かで、第1の機器と第2の機器のシャットダウンの順番が変更される請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
第1の機器と第2の機器は1つの筐体に収容されている請求項1〜9のいずれかに記載の情報処理装置
【請求項11】
蓄電池を有する無停電電源装置と、外部電源の停電時にも不具合なくシャットダウンすることが必要な第1の機器と、第1の機器とは別の第2の機器とを備え、前記第2の機器は用紙に画像を形成する画像形成装置である情報処理装置が、
外部電源の停電を検出する停電検出ステップと、
非停電時には前記外部電源から前記第1の機器と第2の機器に電力が供給され、前記停電検出ステップにより停電が検出されたときは、前記無停電電源装置における畜電池の電力が前記第1の機器と第2の機器に供給されるように、電力供給経路を切り替える切替ステップと、
第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を算出する算出ステップと、
前記蓄電池の残電力量を検出する残電力量検出ステップと、
前記残電力量検出ステップにより検出された蓄電池の残電力量のうち、前記算出ステップにより算出された第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を確保した残りの余剰電力量に応じて、停電時の第2の機器のシャットダウン動作を決定する決定ステップと、
を実行し、
前記決定ステップでは、第2の機器が決定されたシャットダウン動作を実施中に、蓄電池の残電力量と第2の機器のシャットダウン動作の完了までの必要電力量に基づいて、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量が確保されるように、第2の機器のシャットダウン動作を変更することを特徴とする停電時のシャットダウン動作決定方法。
【請求項12】
蓄電池を有する無停電電源装置と、外部電源の停電時にも不具合なくシャットダウンすることが必要な第1の機器と、第1の機器とは別の第2の機器とを備え、前記第2の機器は用紙に画像を形成する画像形成装置である情報処理装置が、
外部電源の停電を検出する停電検出ステップと、
非停電時には前記外部電源から前記第1の機器と第2の機器に電力が供給され、前記停電検出ステップにより停電が検出されたときは、前記無停電電源装置における畜電池の電力が前記第1の機器と第2の機器に供給されるように、電力供給経路を切り替える切替ステップと、
第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を算出する算出ステップと、
前記蓄電池の残電力量を検出する残電力量検出ステップと、
前記残電力量検出ステップにより検出された蓄電池の残電力量のうち、前記算出ステップにより算出された第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を確保した残りの余剰電力量に応じて、停電時の第2の機器のシャットダウン動作を決定する決定ステップと、
を実行し、
前記余剰電力量が、第2の機器である画像形成装置において、低カバレッジまたは薄紙の印刷モードであれば、定着ヒーターをオンにして印刷を行っても印刷物を排出できる電力量を上回っているときは、前記決定ステップでは、前記画像形成装置のシャットダウン動作として、印刷モードを低カバレッジまたは薄紙用紙の印刷モードに変更して印刷を行い印刷物を排出することを決定することを特徴とする停電時のシャットダウン動作決定方法。
【請求項13】
蓄電池を有する無停電電源装置と、外部電源の停電時にも不具合なくシャットダウンすることが必要な第1の機器と、第1の機器とは別の第2の機器とを備え、前記第2の機器は用紙に画像を形成する画像形成装置である情報処理装置が、
外部電源の停電を検出する停電検出ステップと、
非停電時には前記外部電源から前記第1の機器と第2の機器に電力が供給され、前記停電検出ステップにより停電が検出されたときは、前記無停電電源装置における畜電池の電力が前記第1の機器と第2の機器に供給されるように、電力供給経路を切り替える切替ステップと、
第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を算出する算出ステップと、
前記蓄電池の残電力量を検出する残電力量検出ステップと、
前記残電力量検出ステップにより検出された蓄電池の残電力量のうち、前記算出ステップにより算出された第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を確保した残りの余剰電力量に応じて、停電時の第2の機器のシャットダウン動作を決定する決定ステップと、
を実行し、
前記停電検出ステップにおいて停電が検出されたタイミングが、前記第2の機器である画像形成装置における用紙搬送中かそれ以外かで、第1の機器と第2の機器のシャットダウンの順番が変更されることを特徴とする停電時のシャットダウン動作決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蓄電池を有する無停電電源装置と、外部電源の停電時にも不具合なくシャットダウンすることが必要な第1の機器と、第1の機器とは別の第2の機器とを備えた情報処理装置、及び同装置で実行される停電時のシャットダウン動作決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置とは別電源で、画像形成装置がオフの期間中にも稼働するサーバ等の外部装置が配置されている構成がある。このような構成においては、サーバなどの動作を停電時(コンセント抜け等による電源遮断時も含む)に不具合なく終了させる(シャットダウンさせる)ために無停電電源装置(UPS)が搭載されることがある。
【0003】
また同様に、画像形成装置は停電の際に破損回避の動作が必要であり、さらに用紙搬送中の停電の場合は、回復後にユーザーによる紙詰まり(ジャム)の除去や中断された印刷の再設定等が必要である。
【0004】
このような停電時の課題に対しては、特許文献1に記載されているように紙排出を蓄電池電力で動作させるものがある。また、特許文献2に記載されているように、破損回避(メモリやハードディスクの待避)を優先させるため、停電時は印刷を停止するものもある。
【0005】
しかしこれらの場合、蓄電池の残電力量や劣化によって、データ待避や紙排出動作等の必要な動作ができない場合がある。
【0006】
逆に、特許文献3に記載されているように、蓄電池の残電力量が足りない場合、供給を遮断する方法もあるが、これではユーザーの利便性を考慮しているとは言えない。
【0007】
一方、特許文献4に記載されているように、電池を監視しその残電力量によって機器(サーバ)のシャットダウン動作を決定するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−042707号公報
【特許文献2】特開2001−253152号公報
【特許文献3】特開2016−093080号公報
【特許文献4】特開2017−005833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、サーバと画像形成装置が一体となって使用されるような情報処理装置では、停電時にサーバの他に画像形成装置もシャットダウンする必要があるが、特許文献4に記載の技術では、画像形成装置のシャットダウンについては言及されていない。つまり特許文献4の技術は、あくまで安全なシャットダウン動作が必須な機器であるサーバについてのシャットダウン動作の決定であり、無定電源装置の蓄電池電力を、サーバと画像形成装置の両方をシャットダウンする時の電力として使用する技術ではない。
【0010】
画像形成装置の動作モードによっては、停電時にサーバよりも優先的に待避行動を行ってしまうものもあり、この場合は、本来安全にシャットダウンされるべきサーバのシャットダウン時に蓄電池電力が不足してしまう恐れがある。
【0011】
また、例えば画像形成装置を印刷中のジョブの排出後にシャットダウンさせる場合等のように、ユーザーの利便性が高いシャットダウン動作を常時実行させるとなると、画像形成装置のシャットダウン動作に必要な電力量が多くなるため、サーバと画像形成装置の両方のシャットダウンに必要な電力量も大きくなり、このため大容量の蓄電池を積む必要がありコストが高くつく恐れがある。
【0012】
逆に、サーバをシャットダウンさせる電力量を優先するために、停電の発生時に画像形成装置を直ちにシャットダウンさせると、画像形成装置が印字中の場合は、停電回復後に用紙詰まりの処理や途中で中断したジョブの再開操作等、ユーザーによるリカバリ操作が必要となり操作性の低下を招く。
【0013】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、外部電源の停電時にも不具合なくシャットダウンすることが必要な例えばサーバのような第1の機器と、第1の機器とは別の例えば画像形成装置のような第2の機器を、停電時には無停電電源装置における畜電池の電力を用いて共にシャットダウン動作を実行する場合、大容量の蓄電池を必要とすることなく、第1の機器のシャットダウン動作を不具合なく行いながら、かつ停電回復後にユーザーのリカバリ操作が可及的に少なくなるように第2の機器のシャットダウン動作を行うことができる情報処理装置、及び同装置で実行される停電時のシャットダウン動作決定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
[1]蓄電池を有する無停電電源装置と、外部電源の停電時にも不具合なくシャットダウンすることが必要な第1の機器と、第1の機器とは別の第2の機器とを備えた情報処理装置であって、前記第2の機器は用紙に画像を形成する画像形成装置であり、外部電源の停電を検出する停電検出装置と、非停電時には前記外部電源から前記第1の機器と第2の機器に電力が供給され、前記停電検出装置により停電が検出されたときは、前記無停電電源装置における畜電池の電力が前記第1の機器と第2の機器に供給されるように、電力供給経路を切り替える切替手段と、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を算出する算出手段と、前記蓄電池の残電力量を検出する残電力量検出手段と、前記残電力量検出手段により検出された蓄電池の残電力量のうち、前記算出手段により算出された第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を確保した残りの余剰電力量に応じて、停電時の第2の機器のシャットダウン動作を決定する決定手段と、を備え、前記決定手段は、第2の機器が決定されたシャットダウン動作を実施中に、蓄電池の残電力量と第2の機器のシャットダウン動作の完了までの必要電力量に基づいて、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量が確保されるように、第2の機器のシャットダウン動作を変更することを特徴とする情報処理装置。
[2]蓄電池を有する無停電電源装置と、外部電源の停電時にも不具合なくシャットダウンすることが必要な第1の機器と、第1の機器とは別の第2の機器とを備えた情報処理装置であって、前記第2の機器は用紙に画像を形成する画像形成装置であり、外部電源の停電を検出する停電検出装置と、非停電時には前記外部電源から前記第1の機器と第2の機器に電力が供給され、前記停電検出装置により停電が検出されたときは、前記無停電電源装置における畜電池の電力が前記第1の機器と第2の機器に供給されるように、電力供給経路を切り替える切替手段と、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を算出する算出手段と、前記蓄電池の残電力量を検出する残電力量検出手段と、前記残電力量検出手段により検出された蓄電池の残電力量のうち、前記算出手段により算出された第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を確保した残りの余剰電力量に応じて、停電時の第2の機器のシャットダウン動作を決定する決定手段と、を備え、前記余剰電力量が、第2の機器である画像形成装置において、低カバレッジまたは薄紙の印刷モードであれば、定着ヒーターをオンにして印刷を行っても印刷物を排出できる電力量を上回っているときは、前記決定手段は、前記画像形成装置のシャットダウン動作として、印刷モードを低カバレッジまたは薄紙用紙の印刷モードに変更して印刷を行い印刷物を排出することを決定することを特徴とする情報処理装置。
[3]蓄電池を有する無停電電源装置と、外部電源の停電時にも不具合なくシャットダウンすることが必要な第1の機器と、第1の機器とは別の第2の機器とを備えた情報処理装置であって、前記第2の機器は用紙に画像を形成する画像形成装置であり、外部電源の停電を検出する停電検出装置と、非停電時には前記外部電源から前記第1の機器と第2の機器に電力が供給され、前記停電検出装置により停電が検出されたときは、前記無停電電源装置における畜電池の電力が前記第1の機器と第2の機器に供給されるように、電力供給経路を切り替える切替手段と、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を算出する算出手段と、前記蓄電池の残電力量を検出する残電力量検出手段と、前記残電力量検出手段により検出された蓄電池の残電力量のうち、前記算出手段により算出された第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を確保した残りの余剰電力量に応じて、停電時の第2の機器のシャットダウン動作を決定する決定手段と、を備え、前記停電検出装置により停電が検出されたタイミングが、前記第2の機器である画像形成装置における用紙搬送中かそれ以外かで、第1の機器と第2の機器のシャットダウンの順番が変更されることを特徴とする情報処理装置。
[4]第2の機器のシャットダウン動作として、必要な電力量が異なる複数のシャットダウン動作が設定されており、前記決定手段は、前記余剰電力量と予め決められた優先順位とにより、前記複数のシャットダウン動作の中から第2の機器のシャットダウン動作を決定する前項1〜3のいずれかに記載の情報処理装置。
[5]第1の機器はサーバであり、該サーバはサーバ機能以外に、ウィルスチェック、システムアップデート、データバックアップ、シミュレーションのうちの少なくとも何れかの機能を有している前項1〜4のいずれかに記載の情報処理装置。
[6]前記決定手段で決定される第2の機器である画像形成装置のシャットダウン動作は、メモリ内容の退避と合わせて、(1)実行中のジョブの完了・用紙の排出、(2)画像形成装置内にある給紙中の用紙の排出、(3)画像形成装置内の定着ヒータのオフと給紙中の用紙の排出、(4)画像形成装置内の定着ヒーターのオフとジャム解除が容易な場所での用紙搬送の停止、(5)画像形成装置内の定着ヒーターのオフと用紙搬送の即時停止、のいずれかを含む動作である前項1〜5のいずれかに記載の情報処理装置。
[7]前記決定手段は、第2の機器が決定されたシャットダウン動作を実施中に、蓄電池の残電力量と第2の機器のシャットダウン動作の完了までの必要電力量に基づいて、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量が確保されるように、第2の機器のシャットダウン動作を変更する前項2または3に記載の情報処理装置。
[8]前記余剰電力量が、第2の機器である画像形成装置において、低カバレッジまたは薄紙の印刷モードであれば、定着ヒーターをオンにして印刷を行っても印刷物を排出できる電力量を上回っているときは、前記決定手段は、前記画像形成装置のシャットダウン動作として、印刷モードを低カバレッジまたは薄紙用紙の印刷モードに変更して印刷を行い印刷物を排出することを決定する前項1または3に記載の情報処理装置。
[9]前記停電検出装置により停電が検出されたタイミングが、前記第2の機器である画像形成装置における用紙搬送中かそれ以外かで、第1の機器と第2の機器のシャットダウンの順番が変更される前項1または2に記載の情報処理装置。
[10]第1の機器と第2の機器は1つの筐体に収容されている前項1〜9のいずれかに記載の情報処理装置
[11]蓄電池を有する無停電電源装置と、外部電源の停電時にも不具合なくシャットダウンすることが必要な第1の機器と、第1の機器とは別の第2の機器とを備え、前記第2の機器は用紙に画像を形成する画像形成装置である情報処理装置が、外部電源の停電を検出する停電検出ステップと、非停電時には前記外部電源から前記第1の機器と第2の機器に電力が供給され、前記停電検出ステップにより停電が検出されたときは、前記無停電電源装置における畜電池の電力が前記第1の機器と第2の機器に供給されるように、電力供給経路を切り替える切替ステップと、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を算出する算出ステップと、前記蓄電池の残電力量を検出する残電力量検出ステップと、前記残電力量検出ステップにより検出された蓄電池の残電力量のうち、前記算出ステップにより算出された第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を確保した残りの余剰電力量に応じて、停電時の第2の機器のシャットダウン動作を決定する決定ステップと、を実行し、前記決定ステップでは、第2の機器が決定されたシャットダウン動作を実施中に、蓄電池の残電力量と第2の機器のシャットダウン動作の完了までの必要電力量に基づいて、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量が確保されるように、第2の機器のシャットダウン動作を変更することを特徴とする停電時のシャットダウン動作決定方法。
[12]蓄電池を有する無停電電源装置と、外部電源の停電時にも不具合なくシャットダウンすることが必要な第1の機器と、第1の機器とは別の第2の機器とを備え、前記第2の機器は用紙に画像を形成する画像形成装置である情報処理装置が、外部電源の停電を検出する停電検出ステップと、非停電時には前記外部電源から前記第1の機器と第2の機器に電力が供給され、前記停電検出ステップにより停電が検出されたときは、前記無停電電源装置における畜電池の電力が前記第1の機器と第2の機器に供給されるように、電力供給経路を切り替える切替ステップと、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を算出する算出ステップと、前記蓄電池の残電力量を検出する残電力量検出ステップと、前記残電力量検出ステップにより検出された蓄電池の残電力量のうち、前記算出ステップにより算出された第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を確保した残りの余剰電力量に応じて、停電時の第2の機器のシャットダウン動作を決定する決定ステップと、を実行し、前記余剰電力量が、第2の機器である画像形成装置において、低カバレッジまたは薄紙の印刷モードであれば、定着ヒーターをオンにして印刷を行っても印刷物を排出できる電力量を上回っているときは、前記決定ステップでは、前記画像形成装置のシャットダウン動作として、印刷モードを低カバレッジまたは薄紙用紙の印刷モードに変更して印刷を行い印刷物を排出することを決定することを特徴とする停電時のシャットダウン動作決定方法。
[13]蓄電池を有する無停電電源装置と、外部電源の停電時にも不具合なくシャットダウンすることが必要な第1の機器と、第1の機器とは別の第2の機器とを備え、前記第2の機器は用紙に画像を形成する画像形成装置である情報処理装置が、外部電源の停電を検出する停電検出ステップと、非停電時には前記外部電源から前記第1の機器と第2の機器に電力が供給され、前記停電検出ステップにより停電が検出されたときは、前記無停電電源装置における畜電池の電力が前記第1の機器と第2の機器に供給されるように、電力供給経路を切り替える切替ステップと、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を算出する算出ステップと、前記蓄電池の残電力量を検出する残電力量検出ステップと、前記残電力量検出ステップにより検出された蓄電池の残電力量のうち、前記算出ステップにより算出された第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を確保した残りの余剰電力量に応じて、停電時の第2の機器のシャットダウン動作を決定する決定ステップと、を実行し、前記停電検出
ステップにおいて停電が検出されたタイミングが、前記第2の機器である画像形成装置における用紙搬送中かそれ以外かで、第1の機器と第2の機器のシャットダウンの順番が変更されることを特徴とする停電時のシャットダウン動作決定方法。
【発明の効果】
【0015】
前項[1]に記載の発明によれば、非停電時には外部電源から第1の機器と第2の機器
である画像形成装置に電力が供給され、停電が検出されたときは電力供給経路が切り替えられて、無停電電源装置における畜電池の電力が第1の機器と第2の機器に供給される。このとき、残電力量検出手段により検出された蓄電池の残電力量のうち、算出手段により算出された第1の機器のシャットダウンに必要な電力量を確保した残りの余剰電力量に応じて、停電時の第2の機器のシャットダウン動作が決定される。このように、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量は確保されるから、第1の機器のシャットダウンを不具合なく行うことができる。しかも、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を確保した残りの余剰電力量が多い場合は、第2の機器の実行中の処理を終了した状態で第2機器をシャットダウンすることも可能であるから、停電回復時にユーザーのリカバリ操作を可及的に少なくした状態でのシャットダウンが可能となる。また、余剰電力量が少ない場合は、その少ない電力量に応じた第2の機器のシャットダウン動作が可能であるから、ユーザーのリカバリ操作を常に少なくするための電力量を大容量の蓄電池で確保する必要はなく、従って蓄電池のコストを安価にできる。
また、第2の機器である画像形成装置が決定されたシャットダウン動作を実施中に、蓄電池の残電力量と第2の機器のシャットダウン動作の完了までの必要電力量に基づいて、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量が確保されるように、第2の機器のシャットダウン動作が変更されるから、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を確保しつつ、第2の機器のシャットダウン動作を実施することができる。
前項[2]に記載の発明によれば、余剰電力量が、第2の機器である画像形成装置において、低カバレッジまたは薄紙の印刷モードであれば、定着ヒーターをオンにして印刷を行っても印刷物を排出できる電力量を上回っているときは、第2の機器のシャットダウン動作として、印刷モードを低カバレッジまたは薄紙用紙の印刷モードに変更して印刷を行い印刷物を排出することが決定されるから、停電後の復帰時のユーザーのリカバリ操作が不要となる。
前項[3]に記載の発明によれば、停電が検出されたタイミングが、第2の機器である画像形成装置における用紙搬送中かそれ以外かで、第1の機器と第2の機器のシャットダウンの順番が変更される。
【0016】
前項[
4]に記載の発明によれば、第2の機器のシャットダウン動作として、必要な電力量が異なる複数のシャットダウン動作が設定されており、余剰電力量と予め決められた優先順位とにより、複数のシャットダウン動作の中から第2の機器のシャットダウン動作が決定されるから、適切なシャットダウン動作を迅速に効率よく決定することができる。
【0017】
前項[
5]に記載の発明によれば、サーバ機能以外に、ウィルスチェック、システムアップデート、データバックアップ、シミュレーションのうちの少なくとも何れかの機能を有しているサーバを、停電時に不具合なくシャットダウンさせることができる。
【0019】
前項[
6]に記載の発明によれば、第2の機器のシャットダウン動作として、メモリ内容の退避と合わせて、(1)実行中のジョブの完了・用紙の排出、(2)装置内にある給紙中の用紙の排出、(3)定着ヒータのオフと給紙中の用紙の排出、(4)定着ヒーターのオフとジャム解除が容易な場所での用紙搬送の停止、(5)定着ヒーターのオフと用紙搬送の即時停止、のいずれかを含む動作が決定される。
【0023】
前項[
10]に記載の発明によれば、第1の機器と第2の機器は1つの筐体に収容されているから、第1の機器と第2の機器を一つの情報処理装置として利用することができる。
【0024】
前項[
11]に記載の発明によれば、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量は確保されるから、第1の機器のシャットダウンを不具合なく行うことができるうえ、第1の機器のシャットダウン動作に必要な電力量を確保した残りの余剰電力量が多い場合は、第2の機器の実行中の処理を終了した状態で第2機器をシャットダウンすることも可能であるから、停電後の復帰時にユーザーのリカバリ操作を可及的に少なくした状態でのシャットダウンが可能となる。また、余剰電力量が少ない場合は、その少ない電力量に応じた第2の機器のシャットダウン動作が可能であるから、ユーザーのリカバリ操作を常に少なくするための電力量を大容量の蓄電池で確保する必要はなく、従って蓄電池のコストを安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成図である。
【
図4】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、この発明の一実施形態に係る情報処理装置1の構成図である。情報処理装置1は第1の機器10と第2の機器20と無停電電源装置(UPS)30を備えている。
【0028】
この実施形態では、第1の機器10がサーバであり、第2の機器20が画像形成装置である場合を示しており、また画像形成装置20として、コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、ファクシミリ機能等の機能を有する多機能デジタル画像形成装置であるMFP(Multi Function Peripherals)が用いられている。以下、第1の機器をサーバともいい、第2の機器をMFP、無停電電源装置をUPSともいう。なお、サーバ10とMFP20とUPS30は一つの筐体に収容された一体の構成であっても良い。
【0029】
図1に示すように、MFP20は作像を行うエンジン部21と、エンジン部21を含むMFP20の全体を制御する制御CPU22を備えている。一方、サーバ10は、ネットワークインターフェース、記憶装置等の回路機器11と、サーバ10の全体を制御する制御CPU12を備え、回路機器11を介してLAN等のネットワークと接続可能であり、あるいはUSB機器と接続可能となっている。
【0030】
UPS30は、外部AC電源2より入力された電力を蓄電池31に充電し、通常時は外部AC電源2の電力を負荷であるサーバ10とMFP20に供給し、停電時には蓄電池31の電力を負荷に供給するものであり、蓄電池31と、切替器32と、停電検出装置33と、UPS30の全体を制御する制御CPU34を備えている。
【0031】
蓄電池31は、外部AC電源2の停電時にサーバ10及びMFP20に電力を供給する役割を果たし、非停電時は外部AC電源2からの電力供給により充電されている。なお図示は省略したが、蓄電池31にはインバータやコンバータが接続されている。また、外部AC電源2としては100V商用電源が使用されている。
【0032】
切替器32は、サーバ10とMFP20への電力供給経路を切り替えるものである。具体的には、外部AC電源2の非停電時には、外部AC電源2からの電力をUPS30を介してサーバ10及びMFP20に供給し、外部AC電源2の停電時にはUPS30の蓄電池31からの電力をサーバ10及びMFP20に供給するように、電力供給路を切り替える。
【0033】
なお、この実施形態では外部AC電源2の停電とは、外部AC電源2に接続するためにUPS30から延出する電源コード3がコンセントから抜かれたような場合(コンセント抜け)も含まれる。また、停電検出装置33は外部AC電源2の停電を検出する。
【0034】
サーバ10としては、プリントサーバ、メールサーバ、WEBサーバ、DHCTサーバ、DNSサーバ等が挙げられ、サーバ10が持つ機能については一意に決まるものではない。またサーバ10が有するサーバ機能以外の機能についても、代表的にはウィルスチェック、システムアップデート、データバックアップ、シミュレーション等のうちの少なくとも何れかが挙げられるが、こちらも同様に一意に決まるものではない。
【0035】
図2はMFP20を示す概略構成図である。この例では、MFP20としてタンデム型のカラープリンタが用いられている。
【0036】
図2において、このMFP20は、装置本体20Aの下部に給紙部200が、中央部にカラー画像形成部100が、上部に排紙部600がそれぞれ配されて構成されている。給紙部200から排紙部600に渡っては給紙部200から繰り出されたシート(用紙)Sを上方へ搬送するシート搬送路206が設けられている。
【0037】
カラー画像形成部100は、装置本体20Aの上下方向の略中央に配置された駆動ローラ51及び従動ローラ50と、これら駆動および従動ローラ51,50間に水平に掛設されて矢印方向へ走行する中間転写ベルト60と、この走行方向に沿って配置されたイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色の作像ユニット62Y,62M,62C,62Kとを備えている。
【0038】
各作像ユニット62Y,62M,62C,62Kで作成されたトナー画像を重ね合わせて転写ベルト60に転写し、シート搬送路206を搬送されてくるシートSに対して転写ベルト60の搬送端(図中右端)で2次転写を行い、シートSを定着部300に送給してトナー画像の定着を行うようになっている。
【0039】
各作像ユニット62Y,62M,62C,62Kは、静電複写方式により作像するもので、それらの周囲に配設された帯電器、4個のレーザーダイオード、ポリゴンミラー、および走査レンズ等を有するプリントヘッド21ならびに4つの反射ミラー22等を備えた露光部40と、現像器61Y,61M,61C,61Kと、感光体ドラムと、転写器等とを備えている。
【0040】
また、各作像ユニット62Y,62M,62C,62Kの現像器61Y,61M,61C,61Kにトナーを補給する補給機構として、トナーカートリッジ70Y,70M,70C,70Kおよびサブホッパ80Y,80M,80C,80Kが前記作像ユニット62Y,62M,62C,62Kの上方位置に配置されている。
【0041】
なお、図中、400は外部装置との通信手段であり、また500はキー部や表示部を備えた操作パネル部である。
【0042】
図3は定着部300の構成図である。定着部300は、加熱ローラ302及び加圧ローラ303を備え、これらのローラが当接してニップを形成する。加熱ローラ302は周知の誘導加熱装置やハロゲンヒーター301で加熱される。加熱ローラ302は加圧ローラ303の回転に従動して回転する。用紙がニップに送り込まれると、加熱ローラ302により加熱されて用紙上のトナーが定着され、その後、排紙部600に排紙される。定着部300はさらに、例えばサーミスタからなる温度検出部304を備えている。
【0043】
なお、このような電子写真法による画像形成プロセスは周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0044】
次に、
図1に示した情報処理装置1の動作を説明する。外部AC電源2が停電でない状態では、サーバ10、MFP20及びUPS30は以下のような動作を行う。
【0045】
まずUPS30の制御CPU34は、蓄電池31の残電力量(供給可能電力量)を検知するとともに、検知した残電力量をMFP20の制御CPU22へ通知している。また、畜電池31への充電開始・停止を指示し、外部AC電源2と負荷であるサーバ10及びMFP20との接続を切替器32へ指示し、外部AC電源2の入力状況(停電かどうか)を停電検出装置33を用いて常時監視する。
【0046】
サーバ10の制御CPU12は、サーバ機能の動作状況を検出するとともに、検出結果から停電時のデータ退避を含むシャットダウン動作に必要な電力量を算出し、算出された必要電力量をMFP20の制御CPU22に通知している。
【0047】
MFP20の制御CPU22は、MFP20の通常の動作として作像エンジン部21を制御(コピー/スタンバイ/プリントなど)するとともに、UPS30の制御CPU34から受信した蓄電池31の残電力量情報と、サーバ10の制御CPU12から受信した、サーバ10がシャットダウン動作を行うための必要電力量情報から、停電時にMFP203が使用できる余剰電力量を算出し、算出した余剰電力量に応じて停電時のMFP20のシャットダウン動作を決定し、更新していく。
【0048】
MFP20の制御CPU22による停電時のMFP20のシャットダウン動作の決定方法を更に具体的に説明すると、制御CPU22は、MFP20のシャットダウン動作に必要な電力量を、ジョブの残量、定着ヒータ301や駆動部品等の各ユニットの消費電力、必要時間等から算出する。
【0049】
通常、MFP20自体が保有するコンデンサなどの少量の電力蓄電装置があり、外部AC電源2の入力が急に遮断されても、ハードディスク(HDD)ヘッドの退避、最低限必要なメモリの退避、現像キャリアの飛散を防ぐための現像帯電部の短時間の高電圧出力はなされる場合が多い。この実施形態では、それ以外に、停電回復後の用紙詰まり(ジャム)の処理や途中で中断したジョブの再開操作等のユーザーによるリカバリ操作を極力少なくして、ユーザーの利便性を確保する観点から、以下の(1)〜(5)のいずれかの動作を含むシャットダウン動作を行うこととし、制御CPU22はそれぞれのシャットダウン動作に必要な電力量を算出する。
【0050】
なお、必要電力量は(1)>(2)>(3)>(4)>(5)となっている。またユーザーのリカバリ操作(ユーザーの手間)の多さでは、(1)<(2)<(3)<(4)<(5)であり、ユーザーにとっては(1)が一番望ましいことになる。
(1)実行中のジョブの完了・用紙の排出
この処理では、停電回復後のユーザーのリカバリ操作は不要であり、ユーザーにとっては最も好ましいが、ジョブ残量によっては大きな電力量を使用してしまう。
(2)装置内にある給紙中の用紙の排出
この処理はジョブの途中で終了するため、停電回復後はジョブの再設定が必要となるが、ジャム処理は必要ない。
(3)定着ヒータのオフと給紙中の用紙の排出
この処理では、定着ヒータ301をオフにするのでMFP20の使用電力は少ない。ジャム処理も不要である。ただし定着不足の用紙排出が起こる可能性があり、ユーザーによる品質の確認とそれに伴うジョブの再設定が必要となる。
(4)定着ヒーター301のオフとジャム解除が容易な場所での用紙搬送の停止
この処理では、用紙の排出まで行かないため同様にジャムが発生するが、ユーザーが処理しやすい位置、たとえばジャム解除用の扉の近辺等で用紙搬送を止める。
(5)定着ヒーター301のオフと用紙搬送の即時停止
この処理はMFP20の使用電力が最も少なくて済むが、ユーザーはジャム処理やジョブの再設定のリカバリ操作が必要となる。
【0051】
MFP20の制御CPU22は、受信した蓄電池31の残電力量(供給可能電力量)と、サーバ10のシャットダウンに必要な電力量から、蓄電池31の残電力量のうちサーバ10のシャットダウンに必要な電力量を確保した残りの余剰電力量を算出する。そして、この余剰電力量と上記(1)〜(5)について各算出された電力量とを比較し、余剰電力量で実行が可能なシャットダウン動作を(1)〜(5)の中から選択して決定する。その際、ユーザーによるリカバリ操作が極力少なくなるシャットダウン動作を優先する。
【0052】
また、MFP20が使用できる余剰電力量によっては、残ジョブの用紙を排出させために、定着部300の温度センサ304によって検出された定着加熱ローラ302の温度を低下させることにより、定着ヒーター301による使用電力量を削減するとともに、その設定した温度で熱定着可能なカバレッジ(トナー付着量)の潜像を形成するようなシャットダウン動作を採用しても良い。
【0053】
さらに、シャットダウン動作として、排出される用紙の画品質を重視しカバレッジを変更することなく排紙量を少量にする動作を選択しても良い。あるいは、余剰電力量が、低カバレッジまたは薄紙の印刷モードであれば、定着ヒーターをオンにして印刷を行っても印刷物を排出できる電力量を上回っているときは、MFP20のシャットダウン動作として、印刷モードを低カバレッジまたは薄紙用紙の印刷モードに変更して印刷を行い印刷物を排出する動作を採用しても良い。
【0054】
次に、停電が起こり外部AC電源2からの電力供給が遮断されたときの情報処理装置1の動作を説明する。
【0055】
UPS30の停電検出装置33が停電を検出すると、自装置30、サーバ10、MFP20の各制御CPU34、12、22へ停電を通知する。UPS30の制御CPU34は切替器32に対し蓄電池31からの電力供給への切替えを指示し、蓄電池31の電力が負荷であるサーバ10及びMFP20に供給される。また、蓄電池31の残電力量をMFP20の制御CPU22へ通知し続ける。
【0056】
サーバ10の制御CPU12は、停電検出装置33からの停電の通知を受け、実行中の動作を終了するシャットダウンモードへ移行する。そして、サーバ機能の動作状況を検出し、検出結果に基づいて停電時のデータ退避を含むシャットダウン動作に必要な電力量を算出するとともに、算出した必要電力量をMFP20の制御CPU22に通知し続ける。
【0057】
MFP20の制御CPU22は、前述した方法であらかじめ決定していたシャットダウン動作を実施する。シャットダウン動作の実施中も、UPS30から送られてくる蓄電池31の残電力量とサーバ10から送られてくるシャットダウン動作の必要電力量を監視するとともに、MFP20のシャットダウン動作が完了するまでに必要な電力量を算出する。算出された電力量とサーバ10のシャットダウン動作に必要な電力量の合計が蓄電池31の残電力量を超える場合、サーバ10のシャットダウン動作に必要な電力量が確保されるように、MFP20のシャットダウン動作をより使用電力の少ない動作に変更し、これを実行する。
【0058】
そして、MFP20の制御CPU22はMFP20のシャットダウン動作の完了直前に、サーバ10の制御CPU12に、シャットダウン動作が完了することを通知したのち、MFP20はシャットダウン動作を完了する。
【0059】
MFP20からのシャットダウン動作が完了することの通知を受けて、サーバ10はシャットダウン動作を開始する。
【0060】
なお、停電発生時にMFP20が用紙搬送を行っていない場合は、サーバ10のシャットダウン動作を先行して行い、その後MFP20のシャットダウン動作を行ってもよい。用紙搬送中は用紙搬送を止められないため、ユーザの利便性を考えMFP20の動作を優先させるが、用紙搬送中でない場合は、サーバ10のシャットダウンを優先して確実に実行させる。
【0061】
このように、この実施形態では、非停電時には外部AC電源2からサーバ10とMFP20に電力が供給され、停電検出装置33により停電が検出されたときは切替器32により電力供給経路が切り替えられて、UPS30における畜電池31の電力がサーバ10とMFP20に供給される。このとき、制御CPU34により検出された蓄電池31の残電力量のうち、サーバ10の制御CPU12により算出されたサーバ10のシャットダウンに必要な電力量を確保した残りの余剰電力量に応じて、MFP20のシャットダウン動作が決定される。従って、サーバ10のシャットダウン動作に必要な電力量は確保されるから、サーバ10のシャットダウンを不具合なく行うことができる。しかも、サーバ10のシャットダウン動作に必要な電力量を確保した残りの余剰電力量が多い場合は、MFP20の実行中の処理を終了した状態でMFP20をシャットダウンすることも可能であるから、停電回復時にユーザーのリカバリ操作を可及的に少なくした状態でのシャットダウンが可能となる。また、余剰電力量が少ない場合は、その少ない電力量に応じたMFP20のシャットダウン動作が可能であるから、ユーザーのリカバリ操作を常に少なくするための電力量を大容量の蓄電池で確保する必要はなく、従って蓄電池31のコストを安価にできる。
【0062】
また、MFP20のシャットダウン動作として、必要な電力量が異なる複数のシャットダウン動作(1)〜(5)が設定されており、余剰電力量と予め決められた優先順位(この例ではユーザーのリカバリ操作の少ないものを優先)とにより、複数のシャットダウン動作の中からMFP20のシャットダウン動作が決定されるから、適切なシャットダウン動作を迅速に効率よく決定することができる。
【0063】
図4は、上述した情報処理装置1の動作を纏めたフローチャートである。
【0064】
ステップS01でUPS30の制御CPU34は、蓄電池31の残電力量(a)をMFP20の制御CPU22へ通知する。またステップS02で、サーバ10の制御CPU12はシャットダウン動作に必要な電力量を算出し、算出された必要電力量(b)をMFP20の制御CPU22に通知する。
【0065】
ステップS03で、MFP20の制御CPU22は、MFP20のシャットダウン動作として例えば前述した(1)〜(5)の各シャットダウン動作に必要な電力量を算出する。そして、UPS30の制御CPU34から受信した蓄電池31の残電力量(a)と、サーバ10の制御CPU12から受信したシャットダウン動作に必要な電力量(b)から、停電時にMFP20が使用できる余剰電力量を算出し、算出した余剰電力量と算出したシャットダウン動作に必要な電力量を比較し、余剰電力量で賄うことができかつユーザーのリカバリ操作が最も少ないシャットダウン動作を、停電時のシャットダウン動作として決定する。
【0066】
ステップS04で、UPS30の停電検出装置33は外部AC電源2を常時モニタし、ステップS05で停電かどうかを判断する。停電でなければ(ステップS05でNO)、ステップS01及びステップS02に戻り、ステップS01〜05の動作を繰り返す。停電であれば(ステップS05でYES)、ステップS06で、UPS30の制御CPU34は、切替器32を介して、サーバ10及びMFP20への電力供給路を外部AC電源2から蓄電池31に切替える。
【0067】
次いでステップS07で、UPS30の制御CPU34は、蓄電池31の残電力量(a’)をMFP20の制御CPU22へ通知する。またステップS08で、サーバ10の制御CPU12はシャットダウン動作に必要な電力量を算出し、算出された必要電力量(b’)をMFP20の制御CPU22に通知する。
【0068】
ステップS09では、MFP20は、停電の直前にステップS03で決定されたシャットダウン動作を実施するとともに、シャットダウン動作の完了までの必要電力量を算出する。そして、ステップS10で、蓄電池31の残電力量(a’)と、サーバのシャットダウン動作に必要な電力量(b’)と、MFP20のシャットダウン動作の完了までの必要電力量から、サーバ10のシャットダウン動作に必要な電力量(b’)を確保しているかどうかを判断する。
【0069】
確保していない場合(ステップS10でNO)、ステップS11で、MFP20のシャットダウン動作を、電力消費量の少ないシャットダウン動作に変更した後、ステップS07及びステップS08に戻り、サーバ10のシャットダウン動作に必要な電力量(b’)を確保するまで、ステップS07〜ステップS11を繰り返す。
【0070】
サーバ10のシャットダウン動作に必要な電力量(b’)を確保すると(ステップS10でYES)、ステップS12で、MFP20の処理(シャットダウン動作)が終了したかどうかを判断し、終了していなければ(ステップS12でNO)、ステップS07及びステップS08に戻る。終了していれば(ステップS12でYES)、MFP20からの通知に基づき、サーバ10の制御CPU12はサーバ10のシャットダウン処理(シャットダウン動作)を開始する。
【0071】
このように、この実施形態では、MFP20が決定されたシャットダウン動作を実施中においても、蓄電池31の残電力量とMFP20のシャットダウン動作の完了までの必要電力量に基づいて、サーバ10のシャットダウン動作に必要な電力量が確保されるように、MFP20のシャットダウン動作が変更されるから、サーバ10のシャットダウン動作に必要な電力量を確保しつつ、MFP20のシャットダウン動作を実施することができる。
【0072】
なお、
図4のフローチャートに示す動作では、非停電時に、UPS30の制御CPU34は蓄電池31の残電力量(a)をMFP20の制御CPU22へ通知し(ステップS01)、サーバ10の制御CPU12はシャットダウン動作に必要な電力量(b)をMFP20の制御CPU22に通知し(ステップS02)、MFP20の制御CPU22は、MFP20のシャットダウン動作を決定した(ステップS03)が、非停電時におけるこれらの動作は必ず必要なものではなく、停電後におけるステップS03の処理で、MFP20のシャットダウン動作を決定して実施する構成であっても良い。
【0073】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。例えば、第1の機器10がサーバ、第2の機器20がMFPとして説明したが、第1の機器10と第2の機器20との関係は、2つの機器ともに別々の機器であり、停電時において、第1の機器10のシャットダウン動作を第2の機器20のシャットダウン動作よりも確実に終了させる必要のある関係であれば良い。例えば第1の機器10がレコーダーであり、第2の機器20がテレビであっても良い。
【符号の説明】
【0074】
1 情報処理装置
2 外部AC電源
10 第1の機器(サーバ)
12 制御CPU
20 第2の機器(画像形成装置)
22 制御CPU
30 無停電電源装置
31 蓄電池
32 切替器
33 停電検出装置
34 制御CPU