(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
温度を測定する対象の導体である測定対象導体(2)に取り付けられ、前記測定対象導体の温度を検出し、検出した温度を示す信号を無線送信する無線温度センサであって、
温度を検出する温度検出素子(12)と、
前記温度検出素子が検出した温度を示す信号を送信するアンテナ(11、511)と、
グランド(13、213、313)とを備え、
前記測定対象導体に取り付けられる面に、前記グランドが前記測定対象導体に接触可能に露出しており、
前記無線温度センサが取り付けられる面に穴部(21)が形成されている形状の前記測定対象導体の温度を測定する無線温度センサであり、
前記グランドは、前記測定対象導体の穴部に嵌り、かつ、前記測定対象導体の一部と接触する凸部(213b)を備えている無線温度センサ。
温度を測定する対象の導体である測定対象導体(2)に取り付けられ、前記測定対象導体の温度を検出し、検出した温度を示す信号を無線送信する無線温度センサであって、
温度を検出する温度検出素子(12)と、
前記温度検出素子が検出した温度を示す信号を送信するアンテナ(11、511)と、
グランド(13、213、313)とを備え、
前記測定対象導体に取り付けられる面に、前記グランドが前記測定対象導体に接触可能に露出しており、
前記温度検出素子は空気に接触する露出面(12a、12b)を備え、
前記無線温度センサは、前記温度検出素子の露出面に対向するカバー(315)を備え、
前記カバーは、導体製であって前記グランドと接触している無線温度センサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温度を測定する対象の導体(以下、測定対象導体)と温度算出処理を行う処理回路との間を光ファイバーあるいは電線などにより有線接続させる必要がある場合、温度測定の作業に手間がかかる。
【0005】
測定対象導体が移動する場合、有線接続する必要があると、より接続作業に手間がかかることもある。加えて、測定対象導体が、温度算出処理を行う処理回路を配置出来ないような高温環境下にある場合、測定対象導体と処理回路との間の有線接続は特に手間のかかる作業となる。
【0006】
そこで、測定対象導体に取り付ける無線温度センサと、温度算出処理を行う処理回路とを無線接続し、無線温度センサが検出した温度を示す信号をアンテナから送信することが考えられる。
【0007】
このアンテナを動作させるためには、無線温度センサには周波数に応じた大きさのグランドが必要である。このグランドを含めた無線温度センサが大きくなるほど、無線温度センサの熱容量が大きくなるので、無線温度センサの温度と測定対象導体の温度との間に差が生じやすくなる。その結果、無線温度センサが検出する温度と測定対象導体の温度との差、すなわち、温度測定誤差が大きくなる恐れがある。
【0008】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、温度測定誤差が小さい無線温度センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は、発明の更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
上記目的を達成するための
第1の無線温度センサ、第2の無線温度センサは、温度を測定する対象の導体である測定対象導体(2)に取り付けられ、測定対象導体の温度を検出し、検出した温度を示す信号を無線送信する無線温度センサであって、
温度を検出する温度検出素子(12)と、
温度検出素子が検出した温度を示す信号を送信するアンテナ(11、511)と、
グランド(13、213、313)とを備え、
測定対象導体に取り付けられる面に、グランドが測定対象導体に接触可能に露出している。
【0011】
本発明の無線温度センサは、測定対象導体に取り付けられる面にグランドが露出しており、温度測定時には、グランドが測定対象導体に接触するので、測定対象導体がグランドとして機能する。そのため、無線温度センサが備えるグランドを小さくすることができるので、無線温度センサを小型化できる。無線温度センサが小型になることにより、無線温度センサの熱容量が小さくなる。
【0012】
よって、測定対象導体の温度が変化したときにも、温度検出素子の温度もそれに追従して変化しやすくなるので、温度検出素子と測定対象導体との間の温度差が少なくなる。したがって、温度測定誤差が小さくなる。
【0013】
さらに、第1の無線温度センサは、無線温度センサが取り付けられる面に穴部(21)が形成されている形状の測定対象導体の温度を測定す
る無線温度センサであ
り、
グランドは、測定対象導体の穴部に嵌り、かつ、測定対象導体の一部と接触する凸部(213c)を備えている。
【0014】
このようにすれば、温度測定時に無線温度センサの位置がずれにくくなることに加えて、グランドと測定対象導体との電気的接触の確実性も向上する。
【0015】
第2の無線温度センサでは、温度検出素子は空気に接触する露出面(12a、12b)を備え、
第2の無線温度センサは、温度検出素子の露出面に対向するカバー(315、415、515)を備える。
第1の無線温度センサも、好ましくは、上記露出面とカバーを備える。
【0016】
露出面に対向するカバーを備えることで、温度検出素子が検出する温度が
センサ周辺の空気の影響を受けにくくなり、その結果、温度検出素子が検出する温度と測定対象導体の実際の温度との差が小さくなる。
【0017】
第2の無線温度センサでは、カバー(315)は、導体製であってグランドと接触している。
第1の無線温度センサも、カバーは、導体製であってグランドと接触していることが好ましい。
【0018】
このようにすれば、カバーもグランドとして機能するので、グランドの大きさをより小さくすることができる。よって、無線温度センサをより小型化できる。
【0019】
好ましくは、アンテナは、グランドよりも熱伝導率の低い材料で構成されている。
【0020】
このようにすると、アンテナをグランドと同じ熱伝導率の材料で構成する場合と比較して、アンテナが持つ熱が温度検出素子に伝わりにくくなる。よって、温度検出素子が検出する温度がアンテナの温度の影響を受けてしまうことが抑制される。
【0021】
第1の無線温度センサでは、好ましくは、アンテナ(511)が、カバーに収容されている。
【0022】
このようにすれば、アンテナの温度が雰囲気温度に影響されて変動してしまうことが抑制される。その結果、温度検出素子が検出する温度も雰囲気温度の影響を受けにくくなるので、温度検出素子が検出する温度と測定対象導体の実際の温度との差をより少なくできる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態となる無線温度センサ10の斜視図である。
図1では、無線温度センサ10は、測定対象導体2の上面に乗せられている。測定対象導体2は、導体であれば種々の物質とすることができる。測定対象導体2はたとえば金属製である。以下では、測定対象導体2がアルミニウム製のラジエータであり、アルミロウ付けのために、600度程度の炉内で移動するとして説明する。炉内は、ろう付する部材を所望の温度とするために、熱風が吹いている状態である。
【0025】
無線温度センサ10は、アンテナ11、温度検出素子であるSAWデバイス12、グランド13が、固定板14に固定された構成である。SAWデバイス12およびアンテナ11は、固定板14の一方の面に固定され、グランド13は固定板14の他方の面に設けられている。以下では、固定板14においてSAWデバイス12およびアンテナ11が固定されている側の面を上面とし、グランド13が設けられている側の面を下面とする。
【0026】
アンテナ11は所定の周波数の電波を送受信する。周波数は、ここでは920MHzとする。また、本実施形態のアンテナ11はモノポールアンテナである。920MHzの電波の波長を送受信するモノポールアンテナの場合、アンテナ長を4/λとすると、アンテナ長は約8cmである。なお、2.4GHzなど、920MHz帯以外の周波数の電波を使用してもよい。
【0027】
無線温度センサ10には、炉の外部に設置された送受信機から電波が送信され、その電波をアンテナ11が受信する。アンテナ11は、導体製、たとえば、アルミニウム製、あるいはステンレス製である。
【0028】
図2は、
図1のII−II線断面図である。
図2に示すように、アンテナ11の基端は、固定板14に設けられた配線15に接続されている。この配線15の一端はSAWデバイス12に接続されている。つまり、アンテナ11は、配線15を介してSAWデバイス12に接続されている。
【0029】
SAWデバイス12は、圧電性基板上に櫛形電極が形成された公知の構成であり、アンテナ11が受信した電波が櫛形電極で表面弾性波に変換される。この表面弾性波の反射波が櫛形電極に伝わると、今度は、表面弾性波が電気信号に変換される。この電気信号がアンテナ11に伝達されて、アンテナ11から電波として放射される。アンテナ11から放射された電波は炉外に設置された送受信機により受信される。送受信機は、処理回路に接続されている。
【0030】
処理回路は、無線温度センサ10に電波を送信してから、無線温度センサ10からの電波を受信するまでの時間差を計測する。この時間差は、SAWデバイス12の温度により変化するので、この時間差から、SAWデバイス12の温度を算出することができる。
【0031】
この温度は、厳密には、SAWデバイス12の温度である。しかし、無線温度センサ10が測定対象導体2に乗せられている状態であって、かつ、温度変化がない状態がある程度の時間続けば、SAWデバイス12の温度と測定対象導体2の温度は同じになる。よって、SAWデバイス12の温度、すなわち、無線温度センサ10が検出した温度を、測定対象導体2の温度とする。
【0032】
グランド13は、固定板14の下面に形成されている。グランド13の材質の一例は銅である。グランド13は固定板14の厚み方向に延びる上凸部13aを備えており、上凸部13aの先端は固定板14の上面に露出している。上凸部13aの先端はSAWデバイス12に接続している。
【0033】
本実施形態では、無線温度センサ10は測定対象導体2の上面に乗せられる。この状態では、グランド13の下面13bが、無線温度センサ10において測定対象導体2に取り付けられる取り付け面になる。グランド13の下面13bの全体が取り付け面であることから、グランド13の下面13bはこの取り付け面に露出していることになる。
【0034】
無線温度センサ10は、測定対象導体2の上面に乗せられた状態では、グランド13の下面13bが測定対象導体2の上面に接触する。
図1では図示の便宜上、測定対象導体2の形状を直方体で示しているので、測定対象導体2の上面は平面になっている。しかし、測定対象導体2がラジエータである場合には、上面はフィンの端面が存在している部分以外は空間になっている。よって、グランド13は、その一部のみが測定対象導体2と電気的に接触する。ラジエータのように、測定対象導体2の形状は、グランド13の一部が接触できる形状であればよい。
【0035】
固定板14は、絶縁体であって、かつ、炉内で変形しない材質である必要から、セラミック製である。第1実施形態の固定板14は平面形状が円形である。
【0036】
グランド13が測定対象導体2と電気的に接触しているため、測定対象導体2もグランドとして機能する。グランド13のみでアンテナ11を十分な性能で動作させようとすると、グランド13の大きさは、π(4/λ)
2の大きさ、すなわち約200cm
2が必要である。しかし、本実施形態では、測定対象導体2もグランドとして機能するので、グランド13の大きさは2cm
2以下にすることができる。
【0037】
[第1実施形態のまとめ]
第1実施形態の無線温度センサ10は、測定対象導体2に乗せられた状態では、グランド13の下面13bが測定対象導体2に接触するので、測定対象導体2もグランドとして機能する。
【0038】
そのため、グランド13のみでアンテナ11を十分な性能で動作させようとすると、グランド13の大きさは約200cm
2が必要であるところを、グランド13の大きさを2cm
2以下にすることができる。グランド13が小さくなれば、無線温度センサ10を小型化できる。そして、無線温度センサ10が小型になると、無線温度センサ10の熱容量が小さくなる。
【0039】
よって、測定対象導体2の温度が変化したときにも、SAWデバイス12の温度もそれに追従して変化しやすくなるので、SAWデバイス12と測定対象導体2との間の温度差が少なくなる。したがって、温度測定誤差が小さくなる。
【0040】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。この第2実施形態以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。
【0041】
図3に第2実施形態の無線温度センサ210の断面図を示す。測定対象導体2に載せた状態での無線温度センサ210の外観は
図1と同じになる。
図3に示す断面図は、無線温度センサ210を
図1と同じ断面で切断した断面図である。
【0042】
第2実施形態の無線温度センサ210が、第1実施形態の無線温度センサ10と異なる部分は、グランド213の形状である。グランド213は、上凸部213a、下凸部213b、平板部213cを備える。平板部213cは、固定板14の下面に接合する平板状の部分である。上凸部213aは、第1実施形態の上凸部13aと同じ形状である。下凸部213bは、平板部213cから突き出している部分である。なお、上凸部213a、下凸部213b、平板部213cは、相互に電気的に接続されていれば、別部材として構成してもよく、別部材とする場合、相互に異なる材質としてもよい。
【0043】
下凸部213bの数に特に限定はない。
図3には、2つの下凸部213bを示しているが、下凸部213bの数は1つでもよく、また、3つ以上でもよい。
【0044】
測定対象導体2の上面は、無線温度センサ210が取り付けられる面であり、この上面には、穴部21が形成されている。この穴部21は、測定対象導体2がラジエータである場合、フィンとフィンの間の空間を意味する。なお、ラジエータには、フィンに区切られることにより多数の空間が存在する。すなわち、ラジエータには、上記穴部21が多数存在する。しかし、図示の便宜上、測定対象導体2の穴部21として、グランド213の下凸部213bに対応する数のみを図示している。もちろん、実際に、測定対象導体2に、グランド213の下凸部213bに対応する数の穴部21が形成されていてもよい。
【0045】
グランド213の下凸部213bは、測定対象導体2の穴部21に嵌まっている。また、この状態で、下凸部213bは、穴部21の壁面と接触している。つまり、下凸部213bは、測定対象導体2の部材と接触している。
【0046】
第2実施形態の無線温度センサ210は、グランド213が下凸部213bを備えており、この下凸部213bが測定対象導体2の穴部21に嵌る。よって、炉内に熱風が吹いているなど、無線温度センサ210を測定対象導体2に乗せただけでは、無線温度センサ210が移動してしまう恐れがある環境であったとしても、無線温度センサ210が移動してしまうことを抑制できる。
【0047】
また、グランド213の下凸部213bは、穴部21の壁面と接触しているので、グランド213と測定対象導体2との電気的接触の確実性も向上する。
【0048】
<第3実施形態>
図4に第3実施形態の無線温度センサ310を示す。無線温度センサ310は、第1実施形態と同じアンテナ11、SAWデバイス12を備える。グランド313は、平面形状が第1実施形態のグランド13と異なり、四角形状である。固定板314も、第1実施形態の固定板14とは形状が異なり、直方体形状である。
【0049】
グランド313、固定板314は、形状が異なる以外は、材質、機能などは、第1実施形態のグランド13、固定板14と同じである。SAWデバイス12の上面12aおよび側面12bは、露出している露出面となっており、空気に接する。
【0050】
第3実施形態の無線温度センサ310は、カバー315を備える。このカバー315は導体金属製である。カバー315の材質は、たとえば、アンテナ11と同じ材質とすることができる。
【0051】
カバー315は、屋根部315aと一対の脚部315bとを備えている。屋根部315aは矩形板状の形状であり、長手方向の両端にそれぞれ脚部315bが連結している。屋根部315aの長手方向は、
図4のy軸方向である。
【0052】
脚部315bも矩形板状の形状であり、屋根部315aに対して垂直方向に延びている。脚部315bにおいて、屋根部315aと連結している側とは反対側の端は測定対象導体2に差し込まれて、測定対象導体2と電気的に接触する。
【0053】
第3実施形態では、屋根部315a、脚部315bのx軸方向の長さは、SAWデバイス12のx軸方向の長さよりも僅かに短い長さになっている。
【0054】
屋根部315aは、SAWデバイス12の上面12aと非接触状態で対向する。また、脚部315bはSAWデバイス12の側面12bと非接触状態で対向する。
【0055】
第3実施形態の無線温度センサ310は、カバー315を備えているので、炉内の熱風は、カバー315に遮られて、SAWデバイス12に直接は当たりにくい。これにより、SAWデバイス12が検出する温度が、炉内の空気の温度に影響されて、測定対象導体2の温度からずれてしまうことが抑制される。よって、SAWデバイス12が検出する温度と実際の測定対象導体2の温度との差が小さくなる。
【0056】
加えて、カバー315は、導体金属製であることから、熱伝導率がよい。したがって、カバー315の温度は、測定対象導体2と同じ温度になりやすい。このカバー315がSAWデバイス12の上面12aおよび2つの側面12bに対向しているので、カバー315を介して、測定対象導体2の熱がSAWデバイス12に伝わりやすい。この点でも、SAWデバイス12が検出する温度と実際の測定対象導体2の温度との差が小さくなる。
【0057】
また、カバー315は、導体製であり、測定対象導体2に差し込まれて測定対象導体2と電気的に接触しているので、測定対象導体2とともに、このカバー315もグランドとして機能する。よって、グランド313を小さくすることができる。このことによっても、SAWデバイス12が検出する温度と実際の測定対象導体2の温度との差が小さくなる。
【0058】
<第4実施形態>
図5に第4実施形態の無線温度センサ410を示す。この無線温度センサ410は、第1実施形態の無線温度センサ10に、カバー415が加えられた構成である。カバー415は、SAWデバイス12の上面12aおよび4つの側面12bを全て覆う形状である。
【0059】
第4実施形態のカバー415は、SAWデバイス12が検出する温度が周辺の空気温度の影響を受けてしまうことを抑制する目的である。したがって、熱伝導率の低い材料で構成することが好ましい。たとえば、アンテナ11およびグランド13よりも熱伝導率の低い材料で構成することが好ましい。カバー415は、たとえばセラミック製である。
【0060】
また、カバー415は、SAWデバイス12が検出する温度が周辺の空気温度の影響を受けてしまうことを抑制するため、固定板14の上面に載置されて、固定板14とともに閉じた空間を形成する。この空間にSAWデバイス12は収容されている状態となる。この状態でも、測定対象導体2からの熱は、グランド13を介して、SAWデバイス12に伝達される。
【0061】
第4実施形態では、熱伝導率が低い材料で構成されたカバー415により、SAWデバイス12の露出面である上面12aと側面12bがすべて覆われている。これにより、SAWデバイス12が検出する温度は、周辺の空気温度の影響を受けにくくなる。よって、第4実施形態のようにしても、SAWデバイス12が検出する温度と実際の測定対象導体2の温度との差が小さくなる。
【0062】
<第5実施形態>
図6に第5実施形態の無線温度センサ510を示す。この無線温度センサ510は、第1実施形態のアンテナ11に代えて、パッチアンテナ511を備える。また、カバー515を備える。
【0063】
パッチアンテナ511の動作周波数は、第1実施形態のアンテナ11と同じである。パッチアンテナ511の端は配線15に接続されている。パッチアンテナ511は同じ動作周波数であれば、モノポールアンテナよりもアンテナ長を短くすることが容易である。
【0064】
カバー515は、固定板14の上面に載置されて、固定板14とともに閉じた空間を形成する。SAWデバイス12は、この空間に収容されている。よって、カバー515は、SAWデバイス12の上面12aおよび4つの側面12bを全て覆う。また、パッチアンテナ511もカバー515に収容されている。パッチアンテナ511は、カバー515の内側面に接し、かつ、SAWデバイス12に対向するように配置されている。
【0065】
カバー515は、第4実施形態のカバー415と同様、熱伝導率の低い材料で構成することが好ましい。たとえば、アンテナ11およびグランド13よりも熱伝導率の低い材料で構成することが好ましい。カバー515は、たとえばセラミック製である。
【0066】
第5実施形態でも、熱伝導率が低い材料で構成されたカバー515により、SAWデバイス12の露出面である上面12aと側面12bがすべて覆われている。よって、第4実施形態と同様の効果が得られる。
【0067】
加えて、第5実施形態では、パッチアンテナ511もカバー515に収容されている。よって、パッチアンテナ511の温度が雰囲気温度に影響されて変動してしまうことが抑制される。その結果、パッチアンテナ511の近くに位置するSAWデバイス12が検出する温度も雰囲気温度の影響を受けにくくなる。よって、SAWデバイス12が検出する温度と測定対象導体2の実際の温度との差をより少なくできる。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【0069】
<変形例1>
アンテナ11、511の材質を、グランド13、213、313よりも低熱伝導率の材料としてもよい。こうすると、アンテナ11、511をグランド13、213、313と同じ熱伝導率の材料で構成する場合と比較して、アンテナ11、511が持つ熱がSAWデバイス12に伝わりにくくなる。よって、SAWデバイス12が検出する温度がアンテナ11、511の温度の影響を受けてしまうことが抑制される。
【0070】
<変形例2>
第5実施形態において、パッチアンテナ511に代えて、モノポールアンテナなど、アパッチアンテナ以外のアンテナを用いてもよい。
【0071】
<変形例3>
第5実施形態において、パッチアンテナ511を、固定板14の上面に配置してもよい。
【0072】
<変形例4>
第3実施形態が備える、導電性であって測定対象導体2に接続しているカバー315を、アンテナ11を収容できるようにしてもよい。このようにするためには、カバー315の大きさを大きくしてもよいし、これに代えて、あるいは、これに加えて、アンテナ11を折り曲げアンテナとしたり、パッチアンテナに変更したりしてもよい。