(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送風ユニットが、前記ファンを挟んで前記ベース部と反対側に配置され、前記ファン及び前記通気膜を覆うように前記ハウジングに固定されたファンカバー(46)を有する請求項5に記載の電子装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的に及び/又は構造的に対応する部分には同一の参照符号を付与する。以下において、回路基板の板厚方向をZ方向と示す。また、Z方向に直交する一方向であって、コネクタの長手方向をY方向、Z方向及びY方向の両方向に直交する方向をX方向と示す。特に断りのない限り、Z方向において平面視したときの形状(XY平面に沿う形状)を平面形状とする。
【0014】
(第1実施形態)
先ず、
図1〜
図6に基づき、本実施形態に係る電子装置について説明する。
図4は、
図3に対して送風ユニットを構成する羽根を省略している。
図5では、ファンの回転にともなう空気の流れを一点鎖線の矢印で示している。
【0015】
図1〜
図6に示すように、電子装置10は、防水筐体20、回路基板30、送風ユニット40、及び呼吸フィルタ50を備えている。この電子装置10は、車両のエンジンを制御する電子制御装置(ECU)として構成されている。
【0016】
防水筐体20は、回路基板30を収容し、回路基板30を保護する。防水筐体20は、回路基板30の板厚方向であるZ方向において、2つの部材に分割されている。防水筐体20は、たとえば
図1に示すように、ケース21及びカバー22を有している。防水筐体20は、図示しないシール部材を介して、ケース21及びカバー22を相互に組み付けて構成される。
【0017】
ケース21は、一面が開口する箱状をなしている。本実施形態では、放熱のために、ケース21が金属材料を用いて形成されている。具体的には、ケース21がアルミダイカストによって成形されている。
【0018】
ケース21の底壁210は、平面略矩形状をなしている。ケース21の底壁210が、防水筐体20の壁部に相当する。底壁210に連なる4つの側壁のひとつには、図示しない切り欠きが設けられている。この切り欠きは、ケース21の一面の開口につながっている。
【0019】
底壁210には、たとえば
図2〜
図4に示すように、貫通孔211が形成されている。貫通孔211は、防水筐体20のケース21に送風ユニット40を取り付けるための開口部である。貫通孔211は、ケース21の外面21a及び内面21bにわたって形成されている。
【0020】
本実施形態では、ケース21が、底壁210の一部として、底壁210の他の部分に対して凹んで設けられた第1収容部212及び第2収容部213を有している。第1収容部212は、コネクタ34を収容すべくX方向における一端側に設けられている。第2収容部213は、回路基板30を構成する電子部品32のうち、アルミ電解コンデンサなどの高背部品を収容すべく設けられている。第2収容部213は、X方向に延設されるとともに、一端が第1収容部に連なっている。貫通孔211は、底壁210のうち、第1収容部212及び第2収容部213を除く部分に形成されている。貫通孔211は、底壁210の略平坦な部分に形成されている。
【0021】
なお、
図1に示す符号214は電子装置10を車両に取り付けるための取り付け部であり、符号215は、ケース21とカバー22とを固定するための固定孔である。固定孔215には、図示しないねじが挿入される。これら取り付け部214及び固定孔215は、ケース21と一体に設けられている。
【0022】
ケース21は、外面21a側に複数の放熱フィン216を有している。各放熱フィン216は、X方向に沿って延設されている。放熱フィン216は、底壁210において、第1収容部212、第2収容部213、及び送風ユニット40の配置領域を除く部分に形成されている。
【0023】
図5及び
図6に示すように、カバー22は、ケース21とともに、回路基板30を収容する内部空間20sを形成する。ケース21とカバー22を組み付けることで、カバー22によりケース21における一面の開口が閉塞される。また、カバー22によりケース21の一面の開口が閉塞されることで、側壁に形成された切り欠きが区画され、図示しない開口部となる。この開口部により、コネクタ34の一部が外部に露出される。
【0024】
本実施形態では、放熱性向上のために、カバー22も金属材料を用いて形成されている。カバー22も、アルミダイカストによって成形されている。カバー22は、一面が開口する底の浅い箱状をなしている。カバー22は、外面側に複数の放熱フィン220を有している。
【0025】
防水筐体20のシール部材は、ケース21とカバー22との間、ケース21とコネクタ34との間、及びカバー22とコネクタ34との間を介して、内部空間20sが防水筐体20の外部の空間と連通するのを遮断するように設けられている。このシール部材は、内部空間20sを取り囲むようにケース21及びカバー22の周縁部に配置されている。シール部材により、ケース21及びカバー22の周縁部が水密に封止されている。シール部材として、たとえば硬化前において液状の接着材を採用することができる。
【0026】
回路基板30は、ケース21に固定されている。
図5及び
図6に示すように、回路基板30は、プリント基板31、及び、プリント基板31に実装された電子部品32を有している。プリント基板31は、樹脂などの電気絶縁材料を用いて形成された基材に、配線が配置されてなる。そして、配線と電子部品32とにより、回路が形成されている。プリント基板31は、平面略矩形状をなしている。
【0027】
電子部品32は、プリント基板31におけるケース21側の面である一面31a及びカバー22側の面である裏面31bの少なくとも一方に実装されている。本実施形態では、電子部品32のうち、パワーMOSFETなどの発熱素子32aが、プリント基板31の一面31aであって、Z方向の平面視において送風ユニット40の周囲に配置されている。発熱素子32aは、放熱ゲル33を介して、ケース21の底壁210と熱的に接続されている。また、プリント基板31には、電子部品32として大気圧センサ32bが実装されている。回路基板30は、大気圧センサ32bにより検出される外部空間の空気の情報、すなわち大気圧情報を用いて、所定の処理を実行する。
【0028】
回路基板30には、コネクタ34が実装されている。コネクタ34は、回路基板30におけるX方向の一端側に実装されている。コネクタ34の一部は防水筐体20の上記した開口部を介して外部に露出され、残りの部分は内部空間20sに収容されている。図示を省略するが、コネクタ34は、樹脂材料を用いて形成されたハウジング、及び、導電性材料を用いて形成され、ハウジングに保持された複数の端子を有している。
【0029】
送風ユニット40は、ケース21の底壁210に取り付けられている。送風ユニット40は、ケース21の貫通孔211に取り付けられている。送風ユニット40は、回転により空気の流れを形成し、これによりケース21、ひいては回路基板30を冷却する。送風ユニット40は、ファン41、ハウジング42、端子43、及びファン基板44を備えている。ファン41の構造は、軸流ファンにおける周知の構造と同じとされている。このため、各図において、ファン41を簡略化して図示している。
【0030】
ファン41は、軸部410及び複数の羽根411を有している。軸部410は、回転シャフト410aを含んでいる。羽根411は、回転シャフト410aと一体に回転する。よって、回転シャフト410aが、ファン41の回転軸となる。回転シャフト410aの軸方向、すなわちファン41の回転軸の方向が、Z方向と一致するように、送風ユニット40がケース21に取り付けられている。
【0031】
軸部410は、回転シャフト410a以外にも、図示しないボス及びマグネットを有している。ボスは、Z方向において回路基板30側に開口し、他端側に閉じた有底の円筒形状をなしている。ボスの外周面には、複数の羽根411が等間隔で設けられている。羽根411は、Z方向において、外面21aにおける貫通孔211の周囲部分よりも上方に位置している。ボス及び羽根411は、所謂インペラとして一体に成形されている。回転シャフト410aは、ボスの内部に設けられており、一端がボスの略中心に固定されている。金属製の回転シャフト410aは、樹脂製のインペラにインサート成形されて、インペラに一体化されている。ボスの内周面にはマグネットが取り付けられている。このように、ボス、羽根411、回転シャフト410a、及びマグネットを含んでロータが構成されている。
【0032】
軸部410は、上記以外にも、図示しないコイル、軸受、軸受ホルダなどを有している。軸受は、回転シャフト410aを回転可能に支持している。軸受ホルダは、軸受を保持している。軸受ホルダは、ハウジング42の後述する底壁422からZ方向に突出している。本実施形態では、軸受ホルダが、ハウジング42と同一材料を用いて一体に設けられている。軸受は、軸受ホルダの内周面に配置されている。コイルは、軸受ホルダの外周面に配置されている。このように、コイル、軸受、及び軸受ホルダを含んでステータが構成されている。すなわち、ファン41は、モータを有している。
【0033】
ハウジング42は、ファン41を回転可能に収容している。ハウジング42は、貫通孔211を塞ぐように、外面21a又は内面21bにおける貫通孔211の周囲部分に対向しつつ貫通孔211を覆うように配置されている。ハウジング42とケース21(底壁210)との間は、貫通孔211周りの全周で水密に封止されている。すなわち、貫通孔211周りにも防水構造が形成されている。本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、ハウジング42が、貫通孔211に挿入されている。ハウジング42は、貫通孔211を通じて、ケース21の内外にわたって配置されている。
【0034】
ハウジング42には、複数の通気口が形成されている。複数の通気口は、ファン41(羽根411)の回転にともなって、底壁210の外面21aに沿った空気の流れが形成されるように、Z方向において異なる位置に形成されている。
【0035】
ハウジング42は、第1通気口420及び第2通気口421を有している。第1通気口420及び第2通気口421の一方が空気の吸込口として機能し、他方が排出口として機能する。第1通気口420及び第2通気口421は、いずれも、外面21aにおける貫通孔211の周囲部分よりも上方、すなわちZ方向において外面21aよりも回路基板30から離れた位置に形成されている。第1通気口420は、少なくとも一部分が羽根411よりも上方に位置し、第2通気口421は、少なくとも一部分が羽根411よりも下方に位置するように形成されている。
【0036】
本実施形態のハウジング42は、底壁422及び側壁423を有している。ハウジング42は樹脂材料を用いて形成されている。底壁422及び側壁423は、Z方向において一端側が開口する有底の筒形状をなしている。この筒の開口が、第1通気口420とされている。第1通気口420は、Z方向において羽根411の上方に設けられている。そして、筒内が、ファン41を収容する収容空間42sとされている。収容空間42sは、防水筐体20の外部の空間につながっている。以下、防水筐体20の外部の空間を、単に外部空間と示す。
【0037】
ハウジング42は、4つの側壁423を有している。4つの側壁423は一体に連なり、略矩形の筒状をなしている。側壁423は、底壁422からZ方向に延設されている。
図6では、底壁422と側壁423の境界を破線で示している。そして、側壁423の少なくともひとつに、第2通気口421が形成されている。本実施形態では、4つの側壁423のそれぞれに、第2通気口421が形成されている。第2通気口421は、Z方向が短手方向、Z方向に直交する方向が長手方向となるように、形成されている。隣り合う側壁423の角部、すなわち連結部分はR形状をなしており、第2通気口421は、R形状の部分を除く平坦部分に形成されている。
【0038】
Z方向に直交する方向において、底壁422は、側壁423よりも外側に延設されている。この延設部分であるフランジ部422aは、貫通孔211の周囲において、ケース21の内面21bに対向している。そして、フランジ部422aとケース21の内面21bとの間にシール部材45が介在し、防水シール部が形成されている。
【0039】
シール部材45は、貫通孔211を取り囲むように環状に設けられている。本実施形態では、シール部材45として、硬化前において液状の接着材を採用している。送風ユニット40は、シール部材45によりケース21に接着固定されている。ケース21の内面21bにはシール部材45を収容するシール溝が形成されている。また、ハウジング42におけるケース21との対向面には、シール溝に対応してシール突起が形成されている。
【0040】
底壁422は、ケース21との間がシール部材45により水密に封止された水密封止部分よりも内側の部分、すなわち防水シール部に囲まれた部分であるベース部422bを有している。本実施形態では、フランジ部422aよりも内側の部分が、ベース部422bとされている。
図5及び
図6では、フランジ部422aとベース部422bとの境界を破線で示している。そして、ベース部422bにおける収容空間42s側の面である底面422cが、収容空間42sを形成する筒状のハウジング42の底面全体をなしている。
【0041】
図5に示すように、ベース部422bの底面422cは、ケース21の外面21aにおける貫通孔211の周囲部分よりも、Z方向において回路基板30から離れた位置とされている。すなわち、回路基板30を基準として、底面422cのほうが外面21aよりも上方に位置している。上記した第2通気口421は、側壁423の下端に設けられており、第2通気口421を規定する下面と底面422cとが略面一とされている。第2通気口421が、通気口に相当する。
【0042】
底壁422のベース部422bには、
図6に示すように通気孔424が形成されている。通気孔424は、ベース部422bを貫通している。通気孔424は、上記した底面422c、及び、ベース部422bにおける底面422cと反対の裏面422dに開口している。通気孔424は、ハウジング42の収容空間42sと防水筐体20の内部空間20sとを連通させる。
【0043】
ファン41のうち、羽根411を含む一部分は、ベース部422bの底面422cとの間に隙間を有して設けられている。たとえば軸受ホルダよりも外側の部分が、底面422cに対向しつつ底面422cとの間に隙間を有して設けられている。そして、通気孔424は、上記したファン41の一部分の直下に設けられている。本実施形態では、羽根411の直下に、通気孔424が設けられている。すなわち、通気孔424は、Z方向の平面視において、静止状態の羽根411と重なる位置に設けられている。
【0044】
端子43は、ハウジング42のベース部422bから内部空間20s側に突出し、回路基板30と電気的に接続されている。端子43の一端はファン基板44と電気的に接続され、他端は回路基板30と接続されている。このように、端子43を介して、ファン基板44、すなわち送風ユニット40と、回路基板30が電気的に接続されている。
【0045】
ファン基板44には、ファン41を回転させるための駆動回路が形成されている。ファン基板44には、軸部410を構成するコイルが電気的に接続されている。回路基板30、端子43、及びファン基板44を通じてコイルが通電されることにより、上記したロータが正方向に回転する。そして、羽根411の所定の形状によりハウジング42内に空気の圧力差が発生し、
図5に示すように、第1通気口420から吸入した空気が第2通気口421から排出される。なお、ロータを正方向とは反対の方向に回転させると、第2通気口421から吸入した空気が第1通気口420から排出される。
【0046】
ファン基板44は、羽根411よりも下方において、ハウジング42に固定されている。本実施形態のファン基板44は、金属製の端子43とともに、樹脂製のハウジング42にインサート成形されている。端子43の一部及びファン基板44は、底壁422に埋設されている。
【0047】
呼吸フィルタ50は、気体の流れを許容しつつ、液体の流れを遮断するものである。呼吸フィルタ50は、液体が、収容空間42s(すなわち、外部空間)から通気孔424を通じて内部空間20sに入るのを抑制する。液体としては、雨水、洗車に用いられる水(たとえば高圧洗浄水)、車両が走行時に巻き上げた水、融雪剤として用いられる塩化カルシウムの融雪による溶液、ブレーキオイル等の有機系溶剤などが想定される。呼吸フィルタ50は、通気孔424を塞ぐようにベース部422bに取り付けられている。
【0048】
本実施形態の呼吸フィルタ50は、通気膜51のみ有している。通気膜51は、防水性及び通気性を有している。通気膜51は、撥水性及び撥油性を有している。通気膜51として、たとえばフッ素樹脂又はポリオレフィンを用いて形成された多孔質膜を採用することができる。通気膜51は、図示しない接着材等により、通気孔424を塞ぐようにベース部422bの底面422cに固定されている。
【0049】
このように、呼吸フィルタ50は、通気孔424に対応して設けられている。呼吸フィルタ50も、上記したファン41の一部分の直下、具体的には羽根411の直下に設けられている。
【0050】
次に、上記した電子装置10の組み付け手順の一例について説明する。
【0051】
先ず、ケース21、カバー22、回路基板30、及び送風ユニット40をそれぞれ準備する。このとき、通気孔424を有し、呼吸フィルタ50が一体化された送風ユニット40を準備する。
【0052】
次いで、送風ユニット40を回路基板30に実装する。本実施形態では、挿入実装型の端子43を採用しており、回路基板30のスルーホールに端子43を挿入し、はんだ付けすることで、回路基板30と送風ユニット40を一体化させる。なお、コネクタ34については、送風ユニット40と同じタイミングで回路基板30に実装してもよいし、送風ユニット40とは別のタイミングで実装してもよい。本実施形態では、挿入実装される電子部品32、コネクタ34、及び送風ユニット40を、同じタイミングではんだ付けする。
【0053】
次いで、回路基板30をケース21に取り付ける。たとえばケース21は、底壁210の内面21b側に図示しない台座を有しており、回路基板30を台座に配置して、ねじ固定する。このとき、送風ユニット40もケース21に取り付ける。回路基板30をケース21の台座に配置する前に、ケース21のシール溝にシール部材45を塗布する。また、ケース21の周縁部のうち、コネクタ34のハウジングが対向する部分にも、図示しないシール部材を塗布する。そして、貫通孔211に対して送風ユニット40を位置決めした状態で、回路基板30を台座に配置し、回路基板30をケース21に固定する。
【0054】
次いで、ケース21の周縁部及びコネクタ34におけるカバー22との対向部分にシール部材を塗布した後、ケース21にカバー22を組み付ける。以上により、上記した電子装置10を得ることができる。
【0055】
次に、上記した電子装置10の効果について説明する。
【0056】
ケースの底壁に貫通孔を設けない構成では、たとえば送風ユニットにコネクタを設け、防水筐体の外で電気的な接続を行わなければならない。これに対し、本実施形態では、防水筐体20を構成するケース21の底壁210に貫通孔211を設けて送風ユニット40を取り付け、貫通孔211を通じて、送風ユニット40を回路基板30と電気的に接続している。したがって、送風ユニット40を備えた電子装置10の構成を簡素化することができる。
【0057】
ところで、ケースの底壁において、送風ユニットと呼吸フィルタの配置箇所には、放熱フィンを設けることができない。また、送風ユニットを取り付けるための貫通孔と、呼吸フィルタ用の通気孔の形成箇所には、発熱素子の熱をケースに放熱させるための放熱ゲルを配置することができない。したがって、貫通孔及び送風ユニットと、通気孔及び呼吸フィルタとを、ケースの底壁において互いに異なる位置に設けると、底壁におけるデッドスペースが増大し、放熱フィンの設置面積、放熱ゲルの塗布面積が減少してしまう。放熱性を確保すべく、放熱フィンの設置面積、放熱ゲルの塗布面積を確保しようとすると、Z方向に直交する方向において電子装置の体格が増大してしまう。
【0058】
これに対し、本実施形態では、通気孔424を、ケース21ではなく、ハウジング42のベース部422bに設けている。すなわち、貫通孔211内に、通気孔424を配置している。したがって、送風ユニット40を備えながらも、ケース21の底壁210におけるデッドスペースの増大を抑制することができる。これにより、放熱性を確保しつつ、電子装置10の体格を小型化することができる。
【0059】
以上により、本実施形態の電子装置10によれば、構成を簡素化し、且つ、デッドスペースの増大を抑制することができる。
【0060】
なお、ケース21に占める面積が同じであれば、送風ユニット40の冷却能のほうが放熱フィンよりも高いため、電子装置10の体格を小型化することもできる。また、送風ユニット40の一部を貫通孔211内に配置しているため、構成を簡素化しつつ、Z方向において電子装置10の体格を小型化することができる。さらには、送風ユニット40の一部を内部空間20s内に配置しているため、Z方向において、体格を小型化することができる。
【0061】
また、本実施形態では、呼吸フィルタ50が、ベース部422bの底面422cに配置されているため、通気孔424内に液体や異物が溜まりにくい。このため、呼吸フィルタ50の詰まりや通気膜51の破れを抑制することができる。すなわち、長期にわたって、呼吸フィルタ50の防水性及び通気性を確保することができる。
【0062】
また、本実施形態では、通気孔424及び呼吸フィルタ50が、羽根411の直下に設けられている。したがって、別部材を設けなくとも、異物や高圧洗浄水などの液体が、呼吸フィルタ50に直接当たるのを抑制することができる。特に本実施形態では、通気膜51のみとすることで呼吸フィルタ50を簡素化しつつ、長期にわたって、呼吸フィルタ50の防水性及び通気性を確保することができる。
【0063】
なお、通気孔424及び呼吸フィルタ50の位置は、羽根411の直下に限定されない。上記したように、ファン41のうち、ベース部422bの底面422cとの間に隙間を有する部分の直下であれば、同等の効果を奏することができる。
【0064】
また、本実施形態では、ベース部422bの底面422cが、ケース21の外面21aにおける貫通孔211の周囲部分よりも、回路基板30から離れた位置とされている。したがって、ハウジング42の収容空間42sに液体が浸入しても、第2通気口421を通じて外面21a側に液体を逃がすことができる。すなわち、呼吸フィルタ50の周辺に液体がとどまるのを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、ファン41の回転軸が、回路基板30の板厚方向であるZ方向と略一致するように、送風ユニット40がケース21に取り付けられている。そして、ハウジング42には、ファン41(羽根411)の回転にともなって、ケース21の外面21aに沿った空気の流れが形成されるように、Z方向において互いに異なる位置に第1通気口420及び第2通気口421が形成されている。このため、送風ユニット40により、ケース21、ひいては回路基板30を効率よく冷却することができる。
【0066】
特に本実施形態では、第1通気口420が吸込口、第2通気口421が排出口とされる。これによれば、第2通気口421が吸込口、第1通気口420が排出口とされる構成に較べて、同じ回転数でも、ケース21の外面21a上の流速を高めることができる。すなわち、ケース21、ひいては回路基板30の温度を低くすることができる。この点については、シミュレーションにより確認されている。
【0067】
上記したように、ケースの底壁に貫通孔を設けない構成では、たとえば送風ユニットにコネクタを設け、防水筐体の外で電気的な接続を行うこととなる。この場合、ケースの外面上に、コネクタに接続されたハーネスが配置されることとなり、冷却の妨げとなる。すなわち、発熱素子などの電子部品の配置も制限される。これに対し、本実施形態では、送風ユニット40の端子43がベース部422bから突出し、回路基板30に接続されている。この構造により、上記したコネクタやハーネスの妨げが無いため、電子部品32の配置自由度を向上することができる。
【0068】
また、送風ユニット40のファン41の回転により、ケース21の底壁210、ひいては回路基板30を冷却することができる。ケース21に占める面積が同じであれば、送風ユニット40の冷却能のほうが放熱フィンよりも高いため、電子装置10の体格を小型化することもできる。特に本実施形態では、コネクタやハーネスの妨げが無いため、ハウジング42の4つの側壁423のすべてに、第2通気口421を設けることができる。これにより、第1通気口420から吸入した空気が、ケース21の外面21a上を四方に広がる。したがって、ケース21を効果的に冷却することができる。
【0069】
(第2実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した電子装置10と共通する部分についての説明は省略する。
【0070】
図7に示すように、本実施形態の呼吸フィルタ50は、ベース部422bの裏面422dに固定されている。この呼吸フィルタ50も通気膜51のみを有しており、通気膜51は、通気孔424を塞ぐように裏面422dに貼り付けられている。それ以外の構成は、先行実施形態と同じである。
【0071】
このような構成としても、先行実施形態と同等の効果を奏することができる。通気孔424及び呼吸フィルタ50が、ファン41の一部分の直下に位置するため、呼吸フィルタ50を裏面422d側に設けつつ、通気孔424内に液体などが入り込むのを抑制することができる。また、呼吸フィルタ50が裏面422dに固定されているため、呼吸フィルタ50に、高圧洗浄水などの液体が直接当たりにくい。
【0072】
(第3実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した電子装置10と共通する部分についての説明は省略する。
【0073】
図8に示すように、本実施形態の送風ユニット40は、ファンカバー46を有している。ファンカバー46は、ファン41及び通気膜51を保護するものである。ファンカバー46は、ファン41及び通気膜51を覆うように配置されている。ファンカバー46は、ファン41を挟んでベース部422bと反対側に配置されている。
【0074】
ファンカバー46は、一面が開口する箱状をなしている。ファンカバー46の側壁の一部には通気口46aが形成されている。この通気口46aが、先行実施形態に示した第1通気口420に相当する。ファンカバー46は、筒状をなす側壁423に固定されており、ファンカバー46及びハウジング42により規定される空間に、ファン41及び通気膜51が配置されている。
【0075】
これによれば、ファンカバー46により、液体や異物が収容空間42s内に入り込むのを抑制することができる。たとえば高圧洗浄水が呼吸フィルタ50に直接当たるのを抑制することができる。また、異物によって、ファン41の回転が阻害されるのを抑制することができる。
【0076】
(第4実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した電子装置10と共通する部分についての説明は省略する。
【0077】
図9及び
図10に示すように、本実施形態の送風ユニット40は、呼吸フィルタ50を取り囲むように、ベース部422bの底面422cから突出する防護壁425を有している。
【0078】
本実施形態では、防護壁425が、ハウジング42の一部として設けられている。防護壁425は、ベース部422bから収容空間42s側に突出する突起である。防護壁425は、呼吸フィルタ50(通気膜51)を取り囲むように、呼吸フィルタ50周りにおいて不連続で設けられている。
【0079】
これによれば、側壁423の第2通気口421を通じて、液体や異物が収容空間42sに入り込んでも、呼吸フィルタ50に直接当たるのを抑制することができる。すなわち、より長期にわたって、呼吸フィルタ50の防水性及び通気性を確保することができる。
【0080】
(第5実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した電子装置10と共通する部分についての説明は省略する。
【0081】
図11に示すように、本実施形態の呼吸フィルタ50は、通気膜51に加えて、フィルタケース52、フィルタカバー53、及びシール部材54を有している。
【0082】
フィルタケース52は、樹脂材料を用いて形成されている。フィルタケース52は、両端が開口する筒状をなしている。フィルタケース52は、一端側に係止突起を有しており、一端側が通気孔424に挿入された状態で、底壁422のベース部422bに固定されている。フィルタケース52の他端側には、フィルタケース52の開口を閉塞するように通気膜51が固定されている。
【0083】
フィルタカバー53は、通気膜51を保護するものである。フィルタカバー53は、通気膜51を覆うように配置されている。フィルタカバー53は、通気膜51(フィルタケース52)側の面が開口する箱状をなしている。フィルタカバー53の側壁の一部には、通気口53aが形成されている。フィルタカバー53は、フィルタケース52に固定されており、フィルタカバー53及びフィルタケース52により規定される空間に、通気膜51が配置されている。
【0084】
シール部材54は、フィルタケース52とベース部422bとの間を水密に封止している。本実施形態では、シール部材54として、ゴム状弾性体を採用している。シール部材54は、フィルタケース52とベース部422bとの間で挟持されている。
【0085】
このように、フィルタカバー53を有する呼吸フィルタ50を採用しても、先行実施形態と同等の効果を奏することができる。また、フィルタカバー53によって、液体や異物が通気膜51に直接当たるのを抑制することができる。本実施形態では、羽根411の直下に通気膜51が設けられているため、液体などが通気膜51により当たりにくくなっている。
【0086】
なお、本実施形態に示した呼吸フィルタ50を、第3実施形態に示した構成(ファンカバー46)や第4実施形態に示した構成(防護壁425)と組み合わせてもよい。
【0087】
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
【0088】
電子装置10として、車両エンジンを制御する電子制御装置の例を示したが、これに限定されない。
【0089】
送風ユニット40のハウジング42が、ケース21の内面21bに固定される例を示したが、これに限定されない。たとえば
図12の変形例に示すように、ハウジング42をケース21の外面21aに固定してもよい。底壁422において、ケース21との間にシール部材45が介在する水密封止部分より内側の部分が、ベース部422bとされている。
【0090】
第1通気口420及び第2通気口421の位置は、上記例に限定されない。第1通気口420及び第2通気口421は、ともに貫通孔211周囲の外面21aよりも上方に位置する。そして、第1通気口420は、少なくとも一部分がZ方向において羽根411よりも上方に位置し、第2通気口421は、少なくとも一部分がZ方向において羽根411よりも下方に位置すればよい。
【0091】
端子43が回路基板30に挿入実装される例を示したが、これに限定されない。表面実装構造を採用することもできる。
【0092】
シール部材45によりハウジング42がケース21に接着固定される例を示したが、これに限定されない。その他の固定手段を採用する場合、シール部材45として、ゴム状弾性体などを採用することもできる。
【0093】
通気孔424及び呼吸フィルタ50の配置は、上記例に限定されない。通気孔424はベース部422bに設けられれば良い。