(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置ずれ取得部は、前記画像データと前記色データとの間においてテンプレートマッチングをしたときの最小色差値を色の特徴量の差とすることを特徴とする請求項1に記載の色処理装置。
前記位置ずれ取得部は、色のばらつきがより大きい領域における前記画像データと前記色データとの間の平行移動量を求めることで位置ずれ量を取得することを特徴とする請求項3に記載の色処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<画像形成システムの全体構成の説明>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成システムの全体構成の一例を示す図である。
図示する画像形成システムSは、画像形成装置1と、画像形成装置2とを備える。
画像形成装置1および画像形成装置2は、詳しくは後述するが、画像データを基に用紙(記録材)に画像を形成する印刷機構部であり、少なくとも1種類の色材を用いて用紙に画像を形成する。この画像データは、例えば、ユーザから送信された印刷ジョブの画像をあらわすデータであり、ラスタ画像の形式のデータでもよいし、ページ技術言語のPDL(Page Description Language)の形式で記述されたデータでもよい。
画像形成装置1および画像形成装置2は、本実施の形態では、例えば、電子写真方式のものである。画像形成装置1および画像形成装置2は、用紙に印刷を行った後は、用紙を印刷物として装置外に出力する。
図1では、画像形成装置1により用紙P1に画像G1(第1の画像)を形成して出力し、画像形成装置2により用紙P2に画像G2(第2の画像)を形成して出力した場合を示している。
また詳しくは後述するが、少なくとも画像形成装置2には、画像を読み取る画像読取装置100が備えられ、画像読取装置100により用紙P1に形成された画像G1が読み取られる。
【0010】
<画像形成装置の全体説明>
次に画像形成装置1および画像形成装置2の全体説明を行う。ただし画像形成装置1および画像形成装置2の構成は、基本的に同一である。よって以下、画像形成装置2を例に取り説明を行う。
図2は、本実施の形態に係る画像形成装置2の外観図である。
図3は、本実施の形態に係る画像形成装置2の内部構造を示す図である。
画像形成装置2は、原稿の画像を読み取る画像読取装置100と、画像データを基に用紙に画像を形成する画像形成手段の一例としての画像記録装置200と、を備えている。なお画像記録装置200は、画像形成装置1では、第1の画像形成手段として機能し、画像形成装置2では、第2の画像形成手段として機能する。また、画像形成装置2は、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行うユーザインタフェース(UI)300と、画像形成装置2全体の動作を制御する制御装置900とを備える。
【0011】
画像読取装置100は、画像読取手段の一例であり、画像形成装置2の上部に配置される。また画像記録装置200は、画像読取装置100の下側に配置され、制御装置900を内蔵している。ユーザインタフェース300は、画像形成装置1の上部の手前側、つまり画像読取装置100の後述する画像読取部110の手前側に配置されている。
【0012】
まずは、画像読取装置100について説明する。
画像読取装置100は、原稿の画像を読み取る画像読取部110と、この画像読取部110に原稿を搬送する原稿搬送部120と、を備えている。原稿搬送部120は、画像読取装置100の上部に配置され、画像読取部110は、画像読取装置100の下部に配置されている。
原稿搬送部120は、原稿を収容する原稿収容部121と、この原稿収容部121から搬送された原稿が排出される原稿排出部122とを有し、原稿収容部121から原稿排出部122へ原稿を搬送する。
【0013】
画像読取部110は、プラテンガラス111と、光を原稿の被読取面(画像面)へ照射する光照射ユニット112と、光照射ユニット112から原稿の被読取面へ光Lが照射されて原稿の被読取面で反射した光Lを導く導光ユニット113と、導光ユニット113によって導かれた光Lの光学像を結像する結像レンズ114と、を備えている。また、画像読取部110は、結像レンズ114によって結像された光Lを光電変換するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の光電変換素子で構成され、結像された光学像を検出する検出部115と、検出部115と電気的に接続されて、検出部115によって得られた電気信号が送られる画像処理部116と、を備えている。
画像読取部110は、原稿搬送部120によって搬送される原稿の画像、及びプラテンガラス111に載せられた原稿の画像を読み取る。
【0014】
次に、画像記録装置200について説明する。
画像記録装置200は、用紙上に画像を形成する画像形成部20と、画像形成部20に対して用紙Pを供給する用紙供給部60と、画像形成部20にて画像が形成された用紙Pを排出する用紙排出部70と、画像形成部20にて一方の面に画像が形成された用紙Pの表裏を反転させて再度画像形成部20に向けて搬送する反転搬送部80と、を備えている。
【0015】
画像形成部20は、一定の間隔を置いて並列的に配置されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット21(21Y、21M、21C、21K)を備えている。各画像形成ユニット21は、感光体ドラム22と、感光体ドラム22の表面を一様に帯電する帯電器23と、後述する光学系ユニット50によるレーザ照射によって形成された静電潜像を予め定められた色成分トナーで現像し可視化する現像器24とを備えている。また、画像形成部20には、画像形成ユニット21Y、21M、21C、21Kの現像器24に対して各色のトナーを供給するためのトナーカートリッジ29Y、29M、29C、29Kが設けられている。
【0016】
画像形成部20は、画像形成ユニット21Y、21M、21C、21Kの下方に、画像形成ユニット21Y、21M、21C、21Kの感光体ドラム22に対してレーザ光を照射する光学系ユニット50を備えている。光学系ユニット50は、図示しない半導体レーザ、変調器の他、半導体レーザから出射されたレーザ光を偏向走査するポリゴンミラー(不図示)と、レーザ光を通過するガラス製のウィンドウ(不図示)と、各構成部材を密閉するためのフレーム(不図示)とを備えている。
【0017】
また、画像形成部20は、画像形成ユニット21Y、21M、21C、21Kの感光体ドラム22に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト31上に多重転写させる中間転写ユニット30と、中間転写ユニット30上に重畳されて形成されたトナー像を用紙Pに転写する二次転写ユニット40と、用紙P上に形成されたトナー像を加熱および加圧して定着する定着装置45と、を備えている。
【0018】
中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31と、この中間転写ベルト31を駆動するドライブローラ32と、中間転写ベルト31に一定のテンションを付与するテンションローラ33と、を備えている。また、中間転写ユニット30は、各感光体ドラム22と中間転写ベルト31を挟んで対向して感光体ドラム22上に形成されたトナー像を中間転写ベルト31上に転写するための複数(本実施の形態においては4つ)の一次転写ローラ34と、中間転写ベルト31を介して後述する二次転写ローラ41と対向するバックアップローラ35とを備えている。
【0019】
中間転写ベルト31は、ドライブローラ32、テンションローラ33、複数の一次転写ローラ34、バックアップローラ35および従動ローラ36などの複数の回転部材に張りかけられている。そして、中間転写ベルト31は、駆動モータ(不図示)によって回転駆動されるドライブローラ32により、矢印方向に予め定められた速度で循環駆動される。この中間転写ベルト31は、例えば、ゴムまたは樹脂にて成形されたものが使用される。
また、中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31上に存在する残留トナー等を除去するクリーニング装置37を備えている。クリーニング装置37は、トナー像の転写工程が終了した後の中間転写ベルト31の表面から残留トナーや紙粉等を除去する。
【0020】
二次転写ユニット40は、二次転写位置に設けられ中間転写ベルト31を介してバックアップローラ35を押圧し、用紙P上に画像を二次転写する二次転写ローラ41を備えている。二次転写ローラ41と、中間転写ベルト31を介して二次転写ローラ41と対向するバックアップローラ35とで、中間転写ベルト31に転写されたトナー画像が用紙Pに転写される二次転写位置が構成される。
定着装置45は、中間転写ユニット30によって二次転写された用紙P上の画像(トナー像)を、加熱定着ローラ46と加圧ローラ47とにより、熱および圧力を用いて用紙Pに定着させる。
【0021】
用紙供給部60は、画像が記録される用紙を収容する用紙収容部61と、用紙収容部61の各々に収容された用紙Pを送り出す送出ロール62と、送出ロール62にて送り出された用紙Pが搬送される搬送路63と、搬送路63に沿って配置され送出ロール62によって送り出された用紙Pを二次転写位置へ搬送する搬送ロール64、65、66と、を備えている。
【0022】
用紙排出部70は、画像形成部20の上方に設けられて、画像形成部20にて画像が形成された用紙を積載する第1の積載トレイ71と、この第1の積載トレイ71と画像読取装置100との間に設けられて、画像形成部20にて画像が形成された用紙を積載する第2の積載トレイ72と、を備えている。
用紙排出部70は、定着装置45よりも搬送方向下流側に設けられて、トナー画像が定着された用紙Pを搬送する搬送ロール75と、この搬送ロール75の搬送方向下流側に設けられて、用紙Pの搬送方向を切り替える切替ゲート76と、を備えている。また、用紙排出部70は、切替ゲート76の搬送方向下流側に、切替ゲート76によって切り替えられた搬送方向の一方側(
図3における右側)に搬送される用紙Pを第1の積載トレイ71に排出する第1の排出ロール77を備えている。また、用紙排出部70は、切替ゲート76の搬送方向下流側に、切替ゲート76によって切り替えられた搬送方向の他方側(
図3における上側)に搬送される用紙Pを搬送する搬送ロール78と、搬送ロール78によって搬送される用紙Pを第2の積載トレイ72に排出する第2の排出ロール79と、を備えている。
【0023】
反転搬送部80は、定着装置45の側方に、搬送ロール78を第2の積載トレイ72に用紙Pを排出する方向とは反対の方向に回転させることで反転された用紙Pが搬送される反転搬送路81を備えている。この反転搬送路81には、反転搬送路81に沿って複数の搬送ロール82が設けられている。これらの搬送ロール82によって搬送された用紙Pは、搬送ロール82によって、再度二次転写位置へ送り込まれる。
【0024】
また、画像記録装置200は、画像形成部20、用紙供給部60、用紙排出部70、反転搬送部80および制御装置900を、直接的または間接的に支持する装置本体フレーム11と、この装置本体フレーム11に取り付けられて画像形成装置1の外面を形成する装置筐体12と、を備えている。
装置本体フレーム11は、画像形成装置1における横方向の一方の端部側で、内部に、切替ゲート76、第1の排出ロール77、搬送ロール78および第2の排出ロール79などを備えるとともに上下方向に伸びて、画像読取装置100を支持する読取装置支持部13を備えている。読取装置支持部13は、装置本体フレーム11における奥側の部位と協働して画像読取装置100を支持する。
【0025】
また、画像記録装置200は、装置筐体12の一部として、画像形成部20の手前側に設けられるとともに、装置本体フレーム11に対して開閉可能に装着されるフロントカバー15を備えている。
ユーザは、フロントカバー15を開くことで、画像形成部20の中間転写ユニット30やトナーカートリッジ29Y、29M、29C、29Kを新しい物と取り替えることが可能となっている。
【0026】
ユーザインタフェース300は、例えばタッチパネルである。ユーザインタフェース300をタッチパネルにすることで、画像形成装置1の画像形成条件などの各種情報はタッチパネルに表示される。またユーザは、タッチパネルをタッチすることで画像形成条件などの入力操作を行う。
【0027】
<制御装置の機能構成例>
図4は、制御装置900における信号処理系を示すブロック図である。なおここでは制御装置900が有する種々の機能のうち信号処理に関するものを選択して図示している。
制御装置900は、画像記録装置200にて画像を出力するために作成された画像データを取得するデータ取得部91と、取得した画像データからラスタイメージを作成するラスタライズ(rasterize)部92と、CMYKデータの色調整を行う色調整部93と、色調整部93で色調整を行なうためのプロファイルを作成する色処理部94と、色調整部93により変換されたラスタイメージの調整を行なうラスタイメージ調整部95と、ハーフトーン処理を行なうハーフトーン処理部96と、色変換処理された画像データを画像記録装置200に出力する画像データ出力部97とを備える。
【0028】
本実施の形態では、まずデータ取得部91が画像データとしたPDLデータを受け取る。
【0029】
ラスタライズ部92は、データ取得部91で取得したPDLデータを各画素毎のラスタデータに変換する。またこのときラスタライズ部92は、RGBデータで構成されるラスタデータを、CMYKデータで構成されるラスタデータに変換するものとする。例えば、ラスタライズ部92は、ラスタデータを生成後、ラスタデータに含まれるRGBデータをデバイスインディペンデントなXYZのカラーバリューに変換した後、画像記録装置200の再現色(色材であるトナーの色:シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K))であるCMYKデータに変換して出力する。このCMYKデータは、色毎に分離されたC色データ、M色データ、Y色データ、K色データからなる。
【0030】
そして、ラスタライズ部92は、生成されたCMYKデータから構成されたラスタイメージを、色処理部94へ出力する。このデータは、色調整部93で調整される前のデータであり、色調整を行なう対象となるデータである。
【0031】
色調整部93は、画像記録装置200で形成される画像の色調整を行う。色調整部93は、CMYKデータに対応して画像記録装置200で本来出力されるべき目標色に合うように、このCMYKデータの色調整を行う。なお画像形成装置2では、色調整部93は、画像形成装置1で出力される印刷物の色に合わせた画像とするための色調整を行うためにも使用される。この事項については後述する。
色調整は、例えば、C
inM
inY
inK
inデータをC
outM
outY
outK
outデータに変換する((C
in、M
in、Y
in、K
in)→(C
out、M
out、Y
out、K
out))処理である。本実施の形態では、この変換は、C
inM
inY
inK
inデータをL
*a
*b
*色空間等の他の色空間に変換せずに、C
inM
inY
inK
inデータと同じCMYK色空間中のC
outM
outY
outK
outデータに直接変換するいわゆるデバイスリンクプロファイルを用いることで行う。色調整部93は、このデバイスリンクプロファイルを記憶し、C
inM
inY
inK
inデータをこのデバイスリンクプロファイルに適用することで、色調整を行なう。
本実施の形態では、色調整部93は、画像形成装置2の画像記録装置200で形成される画像の色調整を行う色調整手段として機能する。またデバイスリンクプロファイルは、変換関係の一例であり、例えば、4次元LUT(Look up Table)として作成することができる。
【0032】
色処理部94は、詳しくは後述するが、色調整部93で色調整を行うために使用されるデバイスリンクプロファイルを作成する。色処理部94は、色処理装置の一例である。また色処理部94は、色調整部93で色調整を行うために使用される変換関係(デバイスリンクプロファイル)を作成する変換関係作成手段の一例である。
【0033】
ラスタイメージ調整部95は、色調整部93から入力されるC
outM
outY
outK
outデータに対し、γ変換、精細度処理、中間調処理等を施すことで、より良好な画質を画像記録装置200で得られるように各種の調整を行う。
【0034】
ハーフトーン処理部96は、主走査方向および副走査方向に予め定められた閾値配列を有するディザマスクを使用したディザマスク処理により、画像データにハーフトーン処理を行う。これにより画像データは、例えば、多値で表されるものから二値で表されるものとなる。
【0035】
画像データ出力部97は、色変換処理等の画像処理をされた画像データを画像記録装置200に出力する。
【0036】
<色処理部の説明>
次に画像形成装置2の色処理部94について詳述する。ここでは、色処理部94が、画像形成装置1で出力される印刷物の色に合わせた画像とする色調整を行う場合について説明を行う。
【0037】
色処理部94は、上述したように色調整を行うために使用するデバイスリンクプロファイルを作成する。
図5は、色処理部94の機能構成について説明したブロック図である。
色処理部94は、画像データ取得部941と、色データ取得部942と、ばらつき取得部943と、位置ずれ取得部944と、領域群抽出部945と、第1の対応関係作成部946と、第2の対応関係取得部947と、第2の対応関係記憶部948と、変換関係作成部949とを備える。
【0038】
画像データ取得部941は、ラスタライズ部92から画像データを取得する。
【0039】
色データ取得部942は、画像形成装置1の画像記録装置200により出力された画像G1(第1の画像)の色データ(第1の色データ)を取得する。この色データは、例えば、この印刷物を画像形成装置2の画像読取装置100を使用して読み取ることで取得する。即ち、画像読取装置100の画像読取部110が、印刷物の色度を読み取り、色データを生成する。色データとしては、デバイスに依存しないデータとして、例えばL
*a
*b
*値が用いられる。L
*a
*b
*値は、CIELAB色空間とも呼ばれるL
*a
*b
*色空間で定義される値である。また、L
*a
*b
*色空間は、明度L
*と、色味を表す量の色度a
*、b
*とを軸とする直交座標色空間で表される。
【0040】
なお画像読取部110に備えられたCCDは通常RGBデータで画像を読み取る。ただし画像読取部110は、読み取った後でCCDの読取特性に応じた多次元テーブルによりRGBからL
*a
*b
*に変換することで、L
*a
*b
*値の色データを出力することができる。この多次元テーブルは、例えば、CCDの読取特性にしたがって作成されたICCプロファイルを使用することができる。
【0041】
ばらつき取得部943は、画像データの色のばらつきの程度を算出することでこれを取得する。ばらつき取得部943が画像データの色のばらつきの程度を取得する方法については後述する。
【0042】
位置ずれ取得部944は、色のばらつきがより大きい領域において画像データと色データ(第1の色データ)との間の位置ずれ量を算出することでこれを取得する。つまり色データ(第1の色データ)は、上述のように画像読取部110で読み取られたものであるが、このとき位置ずれが生じることがある。
【0043】
図6は、画像データと色データ(第1の色データ)との間で位置ずれが生じた例を示した図である。
この場合、色データ(第1の色データ)は、画像データに対して上下左右方向に移動(平行移動)したり、拡大縮小、回転が生じている。位置ずれ取得部944は、この位置ずれ量を取得する。なお位置ずれ量を取得する方法については後述する。
【0044】
領域群抽出部945は、画像データを基に、色のばらつきがより小さい領域を領域群として抽出する。この領域群は、画像形成装置2で出力される印刷物の色を、画像形成装置1で出力される印刷物の色に合わせるために、双方の色の相違を把握するために設定される抽出領域から構成される。領域群抽出部945は、ラスタデータである画像データから、領域群を抽出する。
【0045】
また領域群抽出部945は、抽出した領域群に関する情報を領域群情報として生成する。領域群情報は、領域群を構成する各抽出領域を特定できる情報を含む。例えば、色領域群情報は、各抽出領域の位置情報または画像情報を含むものであり、詳細については後述する。
【0046】
第1の対応関係作成部946は、位置ずれを合わせた上で、色のばらつきがより小さい領域において画像データと色データ取得部942で取得した色データ(第1の色データ)との対応関係である第1の対応関係を作成する。
この第1の対応関係は、画像データであるCMYKデータと、色データ(第1の色データ)であるL
*a
*b
*データ(以後、この第1の色データを「L
*1a
*1b
*1データ」と言うことがある)との対応関係(CMYK−L
*1a
*1b
*1)となる。この第1の対応関係を作成する詳しい方法については、後述する。
【0047】
第2の対応関係取得部947は、画像データと画像形成装置2の第1の関係に対応する画像記録装置200についての第2の対応関係を取得する。
この第2の対応関係は、CMYKデータと、色データ(第2の色データ)であるL
*a
*b
*データ(以後、この第2の色データを「L
*2a
*2b
*2データ」と言うことがある)との対応関係(CMYK−L
*2a
*2b
*2)となる。第2の対応関係は、第2の対応関係記憶部948に記憶されており、第2の対応関係取得部947は、第2の対応関係記憶部948から第2の対応関係を取得する。
【0048】
第2の対応関係は、予め作成され、第2の対応関係記憶部948に記憶される。第2の対応関係を作成するには、従来の方法を使用することができる。例えば、画像形成装置2の画像記録装置200の色域全体を網羅した色パッチの画像を印刷する。そしてこれを測色計等で測定して色データを取得する。このとき取得した色データは、第2の色データ(L
*2a
*2b
*2データ)となる。よって色パッチの画像を印刷するための画像データとこの第2の色データを対応付けることで、第2の対応関係が得られる。
【0049】
変換関係作成部949は、第1の対応関係および第2の対応関係から、画像G2(第2の画像)の色が画像G1(第1の画像)の色になるように、画像形成装置2の画像記録装置200の色調整を行う変換関係を作成する。
【0050】
具体的には、第1の対応関係と第2の対応関係の双方のL
*a
*b
*データ(L
*1a
*1b
*1データとL
*2a
*2b
*2データ)を比較し、L
*a
*b
*データが一致するときのCMYKデータ同士の対応関係を作成する。つまり第1の対応関係は、画像データであるCMYKデータと、このCMYKデータを入力したときに画像形成装置1で印刷される画像G1の色との関係を表す。ここでいう「一致する」とは、完全に一致すること、または、予め定められた範囲で近似することを示す。また第2の対応関係は、同じCMYKデータを入力したときに画像形成装置2で印刷される画像G2の色との関係を表す。同じCMYKデータを入力しても、印刷される画像G1と画像G2とは、各々の装置特性が異なるため通常は同じ色とはならない。しかしながら変換関係は、画像形成装置1および画像形成装置2で印刷される画像の色が同じとなる場合のCMYKデータ同士の関係を表すものである。よって画像データであるCMYKデータを変換関係を使用して変換し、この変換後のCMYKデータを使用して画像形成装置2で印刷を行えば、画像形成装置1で印刷した画像G1と同じ色の画像G2が出力されることになる。つまりこの変換関係を使用することで、画像形成装置1から出力された印刷物の色に合わせ、画像形成装置2で印刷物を出力する色調整が行える。なおこの変換関係は、上述したように、4次元LUTであり、デバイスリンクプロファイルである。このデバイスリンクプロファイルは、色調整部93に送られ、色調整部93では、このデバイスリンクプロファイルを使用して画像記録装置200で形成される画像の色調整を行う。
【0051】
<ばらつき取得部の説明>
ばらつき取得部943は、画像データであるCMYKデータをいったんL
*a
*b
*データに変換する。変換後の画像データは、L
*a
*b
*データであるとともにラスタデータである。次にばらつき取得部943は、
図7に示すように予め定められた大きさの走査矩形Tを設定し、この走査矩形Tでラスター画像を走査していく。
【0052】
次にばらつき取得部943は、それぞれの走査矩形T内の画素について分散を求める。この分散は、走査矩形T内の各画素の画素値を(L
0*、a
0*、b
0*)、走査矩形T内の全画素の平均画素値を(L
ave*、a
ave*、b
ave*)としたときに、各画素について(L
0*−L
ave*)
2+(a
0*−a
ave*)
2+(b
0*−b
ave*)
2の値を考え、そしてこれを走査矩形T内の全画素について総和した値として定義できる。つまり分散は、下記数1式のようになる。
【0054】
ばらつき取得部943は、この分散をばらつきの程度として算出する。
【0055】
<位置ずれ取得部の説明>
図8は、位置ずれ取得部944の機能構成について説明したブロック図である。
図示するように位置ずれ取得部944は、抽出部944−1と、テンプレートマッチング部944−2と、第1の除外部944−3と、第2の除外部944−4と、アフィン変換部944−5とを備える。
【0056】
抽出部944−1は、ばらつき取得部943が算出した分散を基に、色のばらつきがより大きい領域を抽出する。具体的には、位置ずれ取得部944は、分散が予め定められた閾値を超えた走査矩形Tを抽出する。
【0057】
図9(a)〜(b)は、抽出部944−1が色のばらつきがより大きい領域を抽出した結果について示した図である。
このうち
図9(a)は、画像データを基に形成した画像G1(第1の画像)の例である。そしてこの画像G1中で示した矩形は、抽出部944−1が抽出した走査矩形Tである。つまり分散が予め定められた閾値を超えた走査矩形Tを示している。また
図9(b)は、抽出された走査矩形Tに対応する分散の値である。ここでは、上記閾値を300とし、分散が300を超えた場合に、色のばらつきがより大きい領域であるとしている。色のばらつきがより大きい領域としては、例えば、エッジ部が挙げられる。
図9(a)の画像G1の場合、人物と背景との境界に位置する走査矩形Tが抽出されている。また人物の頭髪と肌との境界に位置する走査矩形Tが抽出されている。
【0058】
なお設定された閾値を超える色のばらつきがより大きい領域が見つからない場合もあり得る。この場合は、閾値をより小さい値に変更し、再度色のばらつきがより大きい領域を抽出する。また画像データと色データ(第1の色データ)のコントラストを強調する前処理を行い、その後で色のばらつきがより大きい領域を抽出するようにしてもよい。
【0059】
次にテンプレートマッチング部944−2は、抽出された走査矩形Tにおいてテンプレートマッチングを行ない、画像データと色データ(第1の色データ)との間の最小色差値および位置ずれ量を取得する。
【0060】
図10−1〜
図10−3は、テンプレートマッチングについて説明した図である。
このうち
図10−1は、画像データ中での走査矩形Tとこれに対応する位置の色データ(第1の色データ)中の矩形領域Uとを概念的に示した図である。
そして
図10−1において画像データ中の走査矩形Tの各画素の画素値を(L
0*、a
0*、b
0*)とする。またこれに対応する位置の色データ(第1の色データ)中の矩形領域Uの各画素の画素値を(L
*、a
*、b
*)とする。
そしてテンプレートマッチング部944−2は、各画素について(L
*−L
0*)
2+(a
*−a
0*)
2+(b
*−b
0*)
2の値を考え、そしてこれを走査矩形T内の全画素について総和した値として、下記数2式により定義される差分eを算出する。
【0062】
そしてテンプレートマッチング部944−2は、色データ(第1の色データ)中の矩形領域Uを画像中で左右上下方向にずらし、eが最小となるときを求める。そしてeの最小値を最小色差値とする。
【0063】
図10−2(a)〜(b)は、最小色差値を求める方法を示した図である。
このうち
図10−2(a)は、画像データを示す。また
図10−2(b)は、色データ(第1の色データ)中の矩形領域Uのデータを示す。なおここでは、説明をわかりやすくするため、矩形領域Uは4画素だけからなるものとする。また画素値を(L
*、a
*、b
*)のうち、例えば、L
*について示している。よってここでは矩形領域Uのデータとして、4画素の、L
*について示している。
【0064】
このときテンプレートマッチング部944−2は、矩形領域Uを画像データ中で左右上下方向にずらしつつ走査を行ない、上記数2式によりeを求めていく。例えば、
図10−2(a)太線U1で示した箇所に矩形領域Uを合わせたときは、eの値は、(3−0)
2+(11−10)
2+(2−0)
2+(22−20)
2=18となり、この箇所で最小となる。
【0065】
またテンプレートマッチング部944−2は、eが最小となるときの移動量を求める。eが最小となるときの移動量は、画像データと色データ(第1の色データ)とのこの箇所における位置ずれ量であると考えることができる。またこの位置ずれ量は、ここでは平行移動量として算出される。またここでは主走査方向の平行移動量をΔx、副走査方向の平行移動量をΔyとする。走査矩形T内の(x、y)に位置する画素が矩形領域U内の(u、v)に位置する画素に対応する場合、Δx=x−u、Δy=y−vと表すことができる。
【0066】
図10−3(a)は、抽出部944−1で抽出した走査矩形Tにおいて、最小色差値を示した図である。また
図10−3(b)は、抽出部944−1で抽出した走査矩形Tにおいて、Δxを示した図である。また
図10−3(c)は、抽出部944−1で抽出した走査矩形Tにおいて、Δyを示した図である。
【0067】
次に位置ずれ取得部944は、
図10−3(a)〜(c)に示した最小色差値、Δx、Δyの中から適当でないものを除外する。本実施の形態では、この除外処理を、第1の除外部944−3および第2の除外部944−4の2段階で行なう。
【0068】
第1の除外部944−3は、最小色差値が他の箇所に比較してより大きいものを除外する。これは例えば、最小色差値について閾値を設定し、この閾値を超える最小色差値を除外する。
図10−3(a)において太線で囲った箇所は、第1の除外部944−3が除外した最小色差値を示している。この場合、最小色差値は、閾値(この場合、例えば、30)を設定し、この閾値を超えた数値となっている。なお画像データと色データ(第1の色データ)は、ここでは色調整を行なっているわけではないため、これらの間にはもともと色差が存在する。よって最小色差値の絶対値には大きな意味はなく、相対値として、より大きなものを除外することが好ましい。この場合閾値は、統計的処理により設定される。また簡易的な色補正を行ない、その上で除外する最小色差値を決めてもよい。またここでは閾値を設定して最小色差値が他の箇所に比較してより大きいものを除外したが、これに限られるものではなく、例えば、最小色差値のヒストグラムを作成し、このヒストグラムを基に行なってもよい。さらにクラスタリング処理により行なってもよい。
【0069】
第1の除外部944−3は、最小色差値が他の箇所に比較してより大きいものを見つけることで、画像データについて編集等により変更されていた箇所を検知する。なお画像データについて編集等により変更されるとは、例えば、内容の訂正や修正、あるいはレタッチなどがされる場合である。
【0070】
図11(a)〜(b)は、画像データが変更された場合について示した図である。
このうち
図11(a)は、画像データを画像とした場合を示している。そして抽出部944−1が抽出した走査矩形Tを示している。また
図11(b)は、画像G1(第1の画像)の色データ(第1の色データ)を画像とした場合を示している。そして走査矩形Tに対応する位置の矩形領域Uを示している。また
図10−3(a)において太線で囲った箇所は、
図11(a)〜(b)でも太線としている。
【0071】
この場合、
図10−3(a)で最小色差値が38となっている箇所は、
図11(a)では、「700」の数値が印刷される箇所であり、
図11(b)では、「710」の数値が印刷される箇所である。即ち、画像G1(第1の画像)が印刷された段階では、画像データは、「710」であったが、その後、画像データが変更され、その結果、「700」になったことを示している。
【0072】
また
図10−3(a)で最小色差値が35や41となっている箇所は、
図11(a)および
図11(b)で「FUJI Xerox」の文字とロゴが印刷される箇所である。しかし
図11(a)と
図11(b)とでは、その位置が異なる。即ち、画像G1(第1の画像)が印刷された段階では、これらの文字とロゴは、
図11(b)の位置にあったが、その後、画像データが変更され、位置が変更されたことを示している。
【0073】
つまり
図11(a)〜(b)に示したように画像データが変更されると、テンプレートマッチングを行ない、位置合わせを行なったとしても、画像データが異なるため、対応する走査矩形T内に色の特徴量の差が生ずる。ここでは、第1の除外部944−3は、この色の特徴量の差を最小色差値により評価する。即ち、ここでは、画像データと色データ(第1の色データ)との間においてテンプレートマッチングをしたときの最小色差値を色の特徴量の差とする。そして第1の除外部944−3は、最小色差値が他の箇所に比較してより大きい場合、画像データが変更されたと判断し、この走査矩形Tを除外する。
このように第1の除外部944−3は、最小色差値が他の箇所に比較してより大きいものを除外することにより、画像データについて編集等により変更されていたことを検知し、変更された画像領域を除外することができる。
【0074】
第2の除外部944−4は、位置ずれ量について誤差の大きいものを除外する。さらに具体的には、第2の除外部944−4は、ヒストグラムを作成したときに、ピーク値から外れるものを除外する。これによりテンプレートマッチングで、ΔxやΔyについて誤差が大きくなってしまった場合でも、これを検知し、このΔxやΔyを除外することができる。
【0075】
図12(a)は、テンプレートマッチングでΔyの誤差が大きくなりやすい画像について示した図である。また
図12(b)は、テンプレートマッチングでΔxの誤差が大きくなりやすい画像について示した図である。
図12(a)〜(b)の画像は、走査矩形Tや矩形領域Uの中にエッジ部を含む画像である。そして
図12(a)の場合は、副走査方向の平行移動量Δyは、誤差が小さくなりやすいが、主走査方向の平行移動量Δxは、矩形領域Uをずらしても元の画像と変化が生じにくく、誤差が大きくなりやすい。また同様に
図12(b)の場合は、主走査方向の平行移動量Δxは、誤差が小さくなりやすいが、副走査方向の平行移動量Δyは、矩形領域Uをずらしても元の画像と変化が生じにくく、誤差が大きくなりやすい。
【0076】
そこで第2の除外部944−4は、例えば、以下の方法によりΔx、Δyの中から誤差が大きい箇所を除外する。
第2の除外部944−4は、まずΔx、Δyのそれぞれについてヒストグラムを作成する。
図13は、Δx、Δyについて作成したヒストグラムを示した図である。図中横軸は、Δyの各値を表し、縦軸は、頻度を表す。
図示するようにΔxおよびΔyのヒストグラムは、それぞれについて円形の点線で囲んだピークPxおよびPyを有する。そして大部分のΔxおよびΔyは、この点線内に入るが、この点線外のΔxおよびΔyについては、大きな誤差を含むものとして除外する。図示する例では、図中矢印で示したΔyの−19、−3、7について除外する。つまりΔyは、画像読取部110で画像G1を読み取ったときの副走査方向の位置ずれ量であり、画像全体で大きなばらつきは生じない。よってΔxやΔyについてヒストグラムを作成したときには、ピークPx、ピークPyが生ずることになる。そのためこのピークPx、ピークPyから外れたΔxおよびΔyについては、大きな誤差を含んでいると考えることができる。
【0077】
さらに上述した例では、画像データに対し色のばらつきがより大きい領域を抽出し、その領域について、最小色差値が他の箇所に比較してより大きい領域や、位置ずれ量の誤差が他の箇所に比較してより大きい領域を除外していたが、色データ(第1の色データ)について同じことを行なってもよい。つまり色データ(第1の色データ)に対し色のばらつきがより大きい領域を抽出し、その領域の中で最小色差値が他の箇所に比較して大きい領域や、位置ずれ量の誤差が他の箇所に比較してより大きい領域を除外する。これは、位置ずれ取得部944は、色データ(第1の色データ)の色のばらつきがより大きい領域における画像データと色データ(第1の色データ)との間の色の特徴量の差を取得し、取得した色の特徴量の差から適当でない領域をさらに除外する、と言うこともできる。また位置ずれ取得部944は、色データ(第1の色データ)の色のばらつきがより大きい領域における位置ずれ量について誤差が大きいものをさらに除外する、と言うこともできる。
つまり色データ(第1の色データ)では、例えば、何らかのオブジェクトが描画されており、画像データでは、編集の結果、それが消去され平坦な画像になったような場合、画像データからは、色のばらつきがより大きい領域として抽出できない。対して色データ(第1の色データ)からは、色のばらつきがより大きい領域として抽出でき、その結果、除外を行なうことができる。
【0078】
アフィン変換部944−5は、ヒストグラム中のピーク内のΔxおよびΔyを使用してアフィン変換係数を求める。このとき使用するΔxおよびΔyは、第1の除外部944−3および第2の除外部944−4での除外後に残ったものである。
アフィン変換係数は、下記数3式により定義されるa、b、c、d、e、fの各係数である。この場合、アフィン変換部944−5は、色のばらつきがより大きい領域における平行移動量のうち異常値を除いた平行移動量の総和を用いてアフィン変換係数を算出する、と言うことができる。
【0080】
数3式により、画像データの(x、y)に位置する画素と色データ(第1の色データ)の(u、v)に位置する画素との対応関係がわかるようになる。この場合、色データ(第1の色データ)の(u、v)に位置する画素は、画像データの(x、y)の画素に対応し、位置ずれを補正すると互いに一致する画素である。また数3式により、上記走査矩形T内や矩形領域U内以外の領域についても対応関係がわかるようになる。
つまりこれにより位置ずれ取得部944は、色のばらつきがより大きい領域における画像データと色データ(第1の色データ)との間の位置ずれ量から、色のばらつきがより小さい領域における画像データと色データ(第1の色データ)との間の位置ずれ量を推定することができる。
【0081】
またアフィン変換係数を使用すると、画像データと色データ(第1の色データ)との間の平行移動量、拡大縮小率および回転角を推定することができる。そしてこれは、上述した平行移動量であるΔx、Δyより求めることができる。よって位置ずれ取得部944は、色のばらつきがより大きい領域における画像データと色データ(第1の色データ)との間の平行移動量から、色のばらつきがより小さい領域における画像データと色データ(第1の色データ)との間の平行移動量、拡大縮小率および回転角を推定する、と言うこともできる。
【0082】
なおこのとき色のばらつきがより小さい領域に対し色のばらつきがより大きい領域がより近くにあれば、推定された位置ずれ量の精度はより向上する。
【0083】
<領域群情報の説明>
次に領域群抽出部945が生成する領域群情報について説明する。
領域群を構成する各抽出領域は、それぞれの抽出領域内の色がほぼ均一な領域(以下、均一領域と称する)であって、その均一領域間でほぼ同一の色信号である範囲が選択される。つまり画像データ内で色のばらつきがより小さい領域が抽出される。均一領域間でほぼ同一の色信号を持てば、均一領域の大きさは同じである必要はない。
【0084】
図14(a)〜(b)は、領域群を生成する方法について示した図である。
領域群抽出部945は、上述した走査矩形T内に含まれる画素値のヒストグラムを作成する。
【0085】
図14(a)は、1つの走査矩形Tについて作成されるヒストグラムの一例を示した図である。
図14(a)では、CMYK値で表されたラスター画像を、明度、彩度、色相で色を表すLCH色空間の色値に変換し、明度(L
*)、彩度(C
*)、色相(H
*)のそれぞれのヒストグラムを作成した場合を示している。横軸は、明度(L
*)、彩度(C
*)、色相(H
*)のそれぞれを表し、縦軸は、頻度を画素数で表している。
そしてこれらのヒストグラムから最も頻度の高いピークを含む範囲を主要色範囲として決定する。
図14(a)では、この範囲を主要色範囲として図示している。そして走査矩形T内で主要色範囲内に入る領域を主要色領域とする。そして主要色領域の面積(画素数)が、走査矩形Tの面積(画素数)に対して予め定められた閾値以上であり、かつ主要色領域に含まれる画素の色分散が予め定められた閾値以内であったとき、この走査矩形Tを抽出領域として選定する。また隣接する走査矩形Tの主要色領域についても参照し、同じ色であれば、走査矩形Tを連結する。そしてさらにこの処理を連続して配置する走査矩形Tについて繰り返し、より大きい単位として1つにまとめる(グルーピング)。そしてグルーピングした後の主要色領域を、抽出領域とする。抽出領域は、例えば、
図14(b)に示すように不定形の範囲となる。
なお
図14(a)において予め定められた閾値を設け、ピークの高さがこの閾値に達しない場合は、このピークについては、主要色範囲とせず、抽出領域として選定しない方が望ましい。
【0086】
領域群抽出部945は、領域群情報を作成する。領域群情報は、抽出領域の位置情報を含む。この位置情報は、例えば、外接矩形左上X座標、外接矩形左上Y座標、外接矩形幅、外接矩形高さ、Bitmap情報からなる。
外接矩形左上X座標および外接矩形左上Y座標は、
図14(b)に示すような抽出領域に対し、点線で示す抽出領域の外接矩形を考え、この外接矩形の左上頂点のX座標およびY座標である。また外接矩形幅は、この外接矩形の幅Wであり、外接矩形高さは、この外接矩形の高さHである。これらの情報により外接矩形の位置が特定できる。
Bitmap情報は、外接矩形内で抽出領域に属する画素を「1」、それ以外の領域の画素を「0」とする2値からなる画像情報である。この場合、2値画像において、「1」の部分は、抽出領域であり、「0」の部分は、それ以外の領域であることを意味するため、外接矩形内での抽出領域の位置がわかることになる。
また領域群情報は、主要色領域の明度(L
*)、彩度(C
*)、色相(H
*)のそれぞれの最小値(L
*min、C
*min、H
*min)と最大値(L
*max、C
*max、H
*max)の情報を含む。これにより抽出領域に含まれる色の色範囲がわかる。
【0087】
なお領域群抽出部945で使用する走査矩形Tは、ばらつき取得部943で使用するものに比べ、小さいものを使用することが好ましい。
図15(a)〜(b)は、ばらつき取得部943で使用する走査矩形Tと領域群抽出部945で使用する走査矩形Tとを比較した図である。
図15(a)は、
図9(a)と同様の図であり、色のばらつきがより大きい領域を抽出した結果について走査矩形Tで示した図である。また
図15(b)は、領域群抽出部945が選定した抽出領域を走査矩形Tで示している。
図15(a)と
図15(b)とを比較すると、領域群抽出部945で使用する走査矩形Tの方が、ばらつき取得部943で使用する走査矩形Tよりも小さいことがわかる。
【0088】
ばらつき取得部943で使用する走査矩形Tは、走査矩形T内の色のばらつきの程度を求め、そして位置ずれ取得部944で最小色差値および位置ずれ量を取得するために使用する。そして最小色差値および位置ずれ量を取得する際には、上述した通り、テンプレートマッチングを使用する。このとき走査矩形Tの個数が多いと、最小色差値および位置ずれ量を算出する際の演算負荷が過度に大きくなることがある。よって走査矩形Tをより大きくし、走査矩形Tの個数を少なくする方が好ましい。
対して領域群抽出部945で使用する走査矩形Tは、より多くの抽出領域を得た方が、第1の対応関係をより精度よく作成できるため、その個数を多くした方がよい。よって走査矩形Tをより小さくし、走査矩形Tの個数を多くする方が好ましい。
【0089】
<第1の対応関係を作成する方法の説明>
次に第1の対応関係作成部946が第1の対応関係を作成する方法について説明する。ここでは、Step1とStep2の2段階で第1の対応関係を作成する。
【0090】
図16(a)〜(l)は、第1の対応関係作成部946が第1の対応関係を作成する際のStep1について説明した図である。
【0091】
まず
図16(a)は、画像データであるCMYKデータを示している。そしてこれを
図16(b)に示すL
*C
*H
*データに変換する。次に
図16(c)に示す領域群情報を参照し、
図16(d)に示すように、各抽出領域に含まれる画素についてのL
*C
*H
*データを抽出する。これは、領域群情報に含まれる位置情報から各抽出領域の位置をまず特定し、さらに抽出領域のL
*、C
*、H
*のそれぞれの最小値(L
*min、C
*min、H
*min)と最大値(L
*max、C
*max、H
*max)から、各抽出領域をさらに特定することで行う。
そして
図16(e)に示すように再び、抽出領域内の各画素のL
*、C
*、H
*データをCMYKデータに戻す。さらに抽出領域内の各画素のCMYKデータの平均をとり、これを
図16(f)に示す各抽出領域のCMYKデータとする。
【0092】
一方、
図16(g)は、色データ(第1の色データ)であるL
*1a
*1b
*1データを示している。以後、
図16(h)〜(j)は、上述した
図16(b)〜(d)の処理と同様である。そして
図16(k)に示すように再び、抽出領域内の各画素のL
*、C
*、H
*データをL
*1a
*1b
*1データに戻す。さらに抽出領域内の各画素のL
*1a
*1b
*1データの平均をとり、これを
図16(l)に示す各抽出領域のL
*1a
*1b
*1データとする。
【0093】
そして
図16(f)に示すように、各抽出領域のCMYKデータと
図16(l)に示す領域群の各領域のL
*1a
*1b
*1データとを関連付ける。
【0094】
また第1の対応関係作成部946は、各抽出領域のCMYKデータと領域群の各領域のL
*1a
*1b
*1データについて、第1の対応関係を作成するのに適当でないものを除外する。
【0095】
例えば、第1の対応関係作成部946は、位置ずれ取得部944が除外した領域中の画像データおよび色データ(第1の色データ)については、第1の対応関係を作成する際に除外する。つまり位置ずれ取得部944が除外した領域は、画像データに対し編集等により変更が行われたり、位置ずれ量の誤差が大きい領域であり、第1の対応関係を作成する際に適当ではないので除外を行なう。
【0096】
また位置ずれ取得部944では、画像データの中から領域の除外を行なっていたが、これに対応する箇所の色データ(第1の色データ)についても除外を行なってもよい。つまり画像データおよび色データ(第1の色データ)のOR領域について除外を行なう。
【0097】
図17(a)〜(c)は、画像データおよび色データ(第1の色データ)のOR領域について除外を行なう場合について示した図である。
図17(a)は、位置ずれ取得部944が除外した画像データの領域を太線で示した図である。また
図17(b)は、この画像データに対応する色データ(第1の色データ)の領域である。そして
図17(c)は、
図17(a)で示した領域と
図17(b)で示した領域のOR領域を太線で示している。この場合、第1の対応関係作成部946は、太線で示した領域中の画像データおよび色データ(第1の色データ)については、第1の対応関係を作成する際に除外する。
【0098】
ただし、第1の対応関係作成部は、位置ずれ取得部944が除外した領域であっても、画像データと色データ(第1の色データ)との間の最小色差値がより小さい領域であれば第1の対応関係を作成するのに使用してもよい。つまり他の領域と位置ずれ量が異なり、画像データに対し編集等により変更が行われたと位置ずれ取得部944が判断した領域は、位置ずれ量を把握するには、適当でない。ただしこの領域であっても、テンプレートマッチングの結果、画像データと色データ(第1の色データ)との間の最小色差値がより小さい領域であれば、第1の対応関係を作成するために使用するには問題がないため使用する。
【0099】
図18(a)〜(b)は、位置ずれ取得部944が除外した領域であっても、画像データと色データ(第1の色データ)との間の最小色差値が小さくなる場合について示した図である。
このうち
図18(a)は、画像データの場合を示している。また
図18(b)は、色データ(第1の色データ)の場合を示している。この場合、双方を比較すると、
図18(a)に示す画像データは、「FUJI Xerox」の文字とロゴを移動させる変更が行われている。しかし位置ずれを合わせれば、これらの画像は一致する。つまり画像データと色データ(第1の色データ)との間の最小色差値は小さくなる。即ち、この場合、この画像領域は、位置ずれ量を把握するには適当ではないが、本実施の形態では、第1の対応関係作成部946は、位置ずれを合わせた上で、第1の対応関係を作成するため、第1の対応関係を作成するのに使用するには問題ない。
【0100】
また第1の対応関係を作成するのに適当でないものを除外する方法は、これに限られるものではない。例えば、第1の対応関係作成部946は、画像データと色データ(第1の色データ)との色差を比較し、この色差がより大きい領域については、第1の対応関係を作成する際に除外するようにしてもよい。
【0101】
図19は、第1の対応関係作成部946が、画像データと色データ(第1の色データ)との色差を比較する第1の手順を示した図である。
ここでは第1の対応関係作成部946は、図示するように、まず
図16(f)に示す各抽出領域のCMYKデータをデフォルトデータを使用して予測色変換し、L
*a
*b
*データ(変換L
*a
*b
*データ)とする。このデフォルトデータは、これまでに色処理部94が行なった色処理の結果から予め作成しておく。またデフォルトデータを複数用意しておき、その中から
図16(f)に示す各抽出領域のCMYKデータと
図16(l)に示すL
*a
*b
*データとの組からより合うものをフィードバックすることで選択してもよい。
【0102】
そして第1の対応関係作成部946は、変換L
*a
*b
*データと
図16(l)に示すL
*a
*b
*データとの色差を比較し、除外するか否かの判定(除外判定)を行なう。つまり色差が予め定められた閾値より大きい場合は、これを除外する。また色差が予め定められた閾値以下である場合は、第1の対応関係を作成するのに使用する。
【0103】
また
図20は、第1の対応関係作成部946が、画像データと色データ(第1の色データ)との色差を比較する第2の手順を示した図である。
ここでは第1の対応関係作成部946は、図示するように、
図16(f)に示す各抽出領域のCMYKデータを色予測モデルを使用して予測色変換を行ない、L
*a
*b
*データ(変換L
*a
*b
*データ)とする。この色予測モデルは、色のばらつきがより小さい領域を使用して
図16(f)に示す各抽出領域のCMYKデータと
図16(l)に示すL
*a
*b
*データとの組を抽出し、この組を基に、これらの対応を予測したモデルである。色予測モデルは、第1の対応関係作成部946が作成する。また第1の対応関係作成部946は、色予測モデルを、このように画像データおよび色データを使用して作成する。なおこの後の処理は、
図19の場合と同様である。
【0104】
さらに
図21は、第1の対応関係作成部946が、画像データと色データ(第1の色データ)との色差を比較する第3の手順を示した図である。
ここでは第1の対応関係作成部946は、図示するように、
図16(l)に示す各抽出領域のL
*a
*b
*データに
図16(f)に示すKデータを加えたものを色予測モデルを使用して予測色変換を行ない、CMYデータ(変換CMYデータ)とする。
【0105】
そして第1の対応関係作成部946は、変換CMYデータと
図16(f)に示すCMYKデータのうちCMYデータとの色差を比較し、除外するか否かの判定(除外判定)を行なう。つまり色差が予め定められた閾値より大きい場合は、これを除外する。また色差が予め定められた閾値以下である場合は、第1の対応関係を作成するのに使用する。
【0106】
図20および
図21の方法は、何れか一方を使用して判定を行なうことができるが、双方を使用して判定をしてもよい。またこれらを使い分けてもよい。例えば、輝度が大きい(明るい)色領域では、
図20で説明したL
*a
*b
*データ同士の比較の方がより精度が向上する。また輝度が小さい(暗い)色領域では、
図21で説明したCMYKデータ同士の比較の方がより精度が向上する。
【0107】
このように
図19〜
図21の方法では、第1の対応関係作成部946は、画像データおよび色データ(第1の色データ)の一方を他方の色空間に色変換した後で色差を比較する。そして第1の対応関係作成部946は、色差がより大きい領域については、第1の対応関係を作成する際に除外する。なおこのとき第1の対応関係作成部946が、除外判定を行なうのに、上述したような閾値処理による判定の他に、ヒストグラムを作成しての判定、クラスタリング処理による判定を行なってもよい。
【0108】
ただし画像データに含まれる色は、通常は画像形成装置1の色域全体を網羅するものとは言えない。そのためStep1の段階では、第1の対応関係(CMYK−L
*1a
*1b
*1)の数は、通常は少なく、精度のよい変換関係を作成するためには数が充足しているとは言えない場合が多い。そこで次のStep2において、不足分を補う処理を行う。
【0109】
図22(a)〜(d)は、第1の対応関係作成部946が第1の対応関係を作成する際のStep2について説明した図である。
第1の対応関係作成部946は、画像データと取得した色データ(第1の色データ)とを、色データ(第1の色データ)の占める色域よりも広い色域に対して予め用意しておいた第1の対応関係候補に対して当てはめ整合させる。
図22(a)は、予め用意しておいた第1の対応関係候補について示した概念図である。
図22(a)で示した第1の対応関係候補は、画像形成装置1の色域全体(菱形で表した領域)について、第1の対応関係(CMYK−L
*1a
*1b
*1)の候補が予め用意されていることを示している。
【0110】
また
図22(b)は、Step1で得られた第1の対応関係(CMYK−L
*1a
*1b
*1)について示している。この場合、第1の対応関係は、6個のデータよりなる。
そして本実施の形態では、
図22(c)に示すように、
図22(a)に示した第1の対応関係候補に対して、
図22(b)に示した画像データと取得した色データ(第1の色データ)とを当てはめ、合成する。
【0111】
しかし
図22(a)と
図22(b)に含まれる各データは、必ずしも整合しているとは言えないため、単に当てはめるだけでなく、整合を行う処理を行う。例えば、
図22(b)に含まれる各データから予め定められたユークリッド距離より近いものを
図22(a)から除去する。または
図22(b)に含まれる各データからのユークリッド距離に応じた重みを設定し、
図22(b)に含まれる各データをこの重みにより重み付けをする。
【0112】
図22(d)は、ユークリッド距離dと設定される重みwについて示した図である。
図22(d)では、横軸がユークリッド距離dを表し、縦軸が重みwを表す。そしてw=1/(1+d)の関係としている。
この場合、設定される重みwは、
図22(b)に含まれる各データからのユークリッド距離dがより近いほどより小さくなる。例えば、ユークリッド距離dが0の場合は、重みwは0であり、この場合、
図22(a)に示したデータは、ないのと同じとなる。また設定される重みwは、
図22(b)に含まれる各データからのユークリッド距離dがより遠いほどより大きくなる。そして予め定められたユークリッド距離d
0より大きいときは、重みwは1となる。重みwが1の場合、重みwを設定しない場合と同様となる。
【0113】
図22(c)では、
図22(a)に含まれる各データのうち、除去もしくは重み付けの対象となるものの位置をD1〜D3で図示している。
このようにすることで、第1の対応関係作成部946は、Step1における第1の対応関係の数の不足分を補い、最終的な第1の対応関係(CMYK−L
*1a
*1b
*1)を作成する。
【0114】
なおStep1で得られた第1の対応関係(CMYK−L
*1a
*1b
*1)が、画像データに含まれる色が、画像形成装置1の色域全体を網羅するものである場合もあり得る。この場合は、上述したStep2の処理は必要ない。よってStep2の処理が必要であるか、必要でないかの第1の対応関係作成部946に判定部を設け、この判定部の判定結果によりStep2の処理を行うか否かを決定してもよい。この判定方法としては、例えば、画像形成装置1の色域を分割して、それぞれの分割領域で、
図22(b)に示すデータがどの程度含まれるかの頻度分布を算出する。そして頻度が少ない分割領域があるか否かで判定を行う。
【0115】
また
図22(a)で示した第1の対応関係候補は、
図22(b)のStep1で得られた第1の対応関係に近いものであることが望ましい。両者が大きく異なると、上述した整合処理を行っても、両者の境界付近で色再現精度や連続性が低下する。
そこで第1の対応関係候補を予め複数用意し、その中から1つを選択するようにしてもよい。即ち、複数の第1の対応関係候補の中から、Step1で得られた第1の対応関係により近いものを選択する。この場合、例えば、第1の対応関係作成部946に第1の対応関係候補を選択して設定する設定部を設けてもよい。
【0116】
例えば、画像G1がJapanColor2011に近い条件で出力されていることがわかっていれば、複数の第1の対応関係候補の中に、JapanColor2011の条件のものを含ませるようにする。また他に、使用頻度が高い標準的な条件のものを含ませるようにしてもよい。あるいは過去に販売された画像形成装置について、代表的な条件のものを含ませるようにしてもよい。さらに複数の第1の対応関係候補を自動的に生成するようにしてもよい。
【0117】
<画像形成装置2の色調整の手順の説明>
次に、画像形成装置2で画像形成装置1の色に合わせた画像G2を出力するための色調整を行う際の手順について説明する。
【0118】
図23は、画像形成装置2で画像形成装置1の色に合わせた画像G2を出力するための色調整を行う際の手順について説明したフローチャートである。
以下、
図5、
図8および
図23を主に用いて説明を行う。
【0119】
まず画像形成装置1で出力した画像G1が印刷された印刷物およびこの印刷物を印刷したときの画像データを用意する(ステップ101)。
そして色処理部94では、ラスタライズ部92から画像データ取得部941が画像データを取得する(ステップ102)。
【0120】
次に画像形成装置2の画像読取装置100で画像G1を読み取る(ステップ103)。
画像読取装置100で読み取られた画像G1の色データ(第1の色データ)は、制御装置900の色処理部94に送られ、制御装置900の色データ取得部942が、この色データ(第1の色データ)を取得する(ステップ104)。
【0121】
次にばらつき取得部943が、画像データの色のばらつきを算出する(ステップ105)。ばらつき取得部943は、例えば、予め定められた大きさの走査矩形Tを設定し、走査矩形T内の画素について、数1式を使用して分散を求めることでばらつきを算出する。
【0122】
そして位置ずれ取得部944の抽出部944−1が、ばらつき取得部943が算出した分散を基に、色のばらつきがより大きい領域を抽出する(ステップ106)。この場合、抽出部944−1は、分散が予め定められた閾値を超えた走査矩形Tを抽出する。
【0123】
そして位置ずれ取得部944のテンプレートマッチング部944−2は、走査矩形Tと矩形領域Uとの間でテンプレートマッチングを行ない、画像データと色データ(第1の色データ)との間の最小色差値および位置ずれ量を求める(ステップ107)。具体的には、数2式を使用し、最小色差値として、差分eの最小値を求める。また位置ずれ量として、差分eが最小となるときの主走査方向の平行移動量Δxと副走査方向の平行移動量Δyを求める。
【0124】
次に位置ずれ取得部944の第1の除外部944−3が、最小色差値が他の箇所に比較してより大きいものを除外する(ステップ108)。これは上述したように、例えば、最小色差値について予め定められた閾値を設け、この閾値を超える最小色差値を除外する。
【0125】
さらに位置ずれ取得部944の第2の除外部944−4は、平行移動量Δx、Δyのそれぞれについてヒストグラムを作成し、このヒストグラムにより、大きな誤差を含む平行移動量Δx、Δyを除外する(ステップ109)。
【0126】
そして位置ずれ取得部944のアフィン変換部944−5は、数3式を使用してアフィン変換係数を算出する(ステップ110)。これにより画像全体の位置ずれ量が把握できる。
【0127】
そして領域群抽出部945が、色のばらつきがより小さい領域を領域群として抽出する(ステップ111)。領域群を抽出するには、例えば、
図14で説明した方法を使用する。
【0128】
次に第1の対応関係作成部946が、
図16(f)に示す各抽出領域のCMYKデータと
図16(l)に示す領域群の各領域のL
*1a
*1b
*1データについて、第1の対応関係を作成するのに適当でないものを除外する(ステップ112)。これは上述したように、例えば、位置ずれ取得部944が除外した領域中の画像データおよび色データ(第1の色データ)について、第1の対応関係を作成する際に除外する。
【0129】
次に第1の対応関係作成部946が、適当でないものを除外した後に、画像データと色データ取得部942で取得した色データ(第1の色データ)との対応関係である第1の対応関係を作成する(ステップ113)。このとき上述した位置ずれを合わせた上で第1の対応関係を作成する。
【0130】
また第2の対応関係取得部947が、第2の対応関係記憶部948に記憶されている第2の対応関係を取得する(ステップ114)。
【0131】
そして変換関係作成部949が、第1の対応関係および第2の対応関係から、画像形成装置2の画像記録装置200の色調整を行う変換関係を作成する(ステップ115)。
この変換関係は、デバイスリンクプロファイルとして、色調整部93に出力する(ステップ116)。
色調整部93では、このデバイスリンクプロファイルにより、画像G2の色が画像G1の色になるように、画像データを変換する。これにより画像形成装置2で出力される画像G2は、画像形成装置1で出力される画像G1の色に合わせたものとなる。
【0132】
以上詳述した方法によれば、画像データ中の色のばらつきがより大きい領域においてまず位置ずれ量として平行移動量を取得する。そしてこの色のばらつきがより大きい領域における平行移動量を基に、色のばらつきがより小さい領域の位置ずれ量を推定する。推定された位置ずれ量は、平行移動量、拡大縮小率および回転角の情報を含む。これにより画像データと色データ(第1の色データ)との間の全体の位置ずれ量が把握できる。また第1の対応関係を作成するために使用する色のばらつきがより小さい領域における位置ずれ量を高速かつ高精度に検出することができる。そのためデバイスリンクプロファイルの精度がより向上する。
【0133】
そして以上詳述した方法によれば、画像データや色データについて、色のばらつきがより大きい領域における画像データと色データとの間の色の特徴量の差を取得し、色の特徴の差が他の箇所に比較してより大きい領域を、適当でないものとして除外する。また画像データや色データについて、色のばらつきがより大きい領域における位置ずれ量について誤差が大きいものをさらに除外する。具体的には、テンプレートマッチングを行ない、最小色差値、Δx、Δyの中から適当でないものを除外する。またこのとき第1の除外部944−3と第2の除外部944−4の2段階で除外を行なう。第1の除外部944−3で、最小色差値が他の箇所に比較してより大きいものを除外することで、画像データが編集等により変更されていた場合に、これを検知し、変更された画像領域を除外することができる。また第2の除外部944−4で、位置ずれ量が、ヒストグラム等のピーク値から外れるものを除外することで、テンプレートマッチングでの際に、位置ずれ量に大きな誤差が生じた場合でもこれを検知し、除外することができる。これにより位置ずれ量の精度がさらに向上する。
【0134】
また
図7に示した走査矩形Tを1回走査させるだけで、位置ずれの検出に使用する色のばらつきがより大きい領域と第1の対応関係を作成するために使用する色のばらつきがより小さい領域とを決定することができる。そのため高速かつ高精度にデバイスリンクプロファイルを作成することができる。
【0135】
そして以上詳述した方法によれば、第1の対応関係作成部946が第1の対応関係を作成する際に、適当でないものを除外する。これにより第1の対応関係の精度が向上し、さらに高精度にデバイスリンクプロファイルを作成することができる。
【0136】
また以上詳述した方法によれば、画像形成装置1から出力した印刷物と画像データがあれば、画像形成装置1から出力された印刷物の色に合わせた印刷物が、画像形成装置2から出力される。この場合、画像形成装置1から出力した印刷物を画像形成装置2の画像読取装置100で読み取るが、画像形成装置に画像読取装置100が備えられている場合は、ユーザは、画像読取装置100において原稿を読み取らせるだけで、色調整が完了し、画像形成装置2で印刷が実行される。従ってユーザは、専門的なスキルを備えていなくてもよい。
また本実施の形態では、第1の対応関係作成部966が上述したStep2を行うことで、第1の対応関係を作成する。これにより画像形成装置1から出力した印刷物の画像G1に使用されている色が画像形成装置1の色再現範囲に対して部分的であっても、第1の対応関係作成部966は、より精度の高い変換関係を作成する。そのためこのような場合でも色調整の精度が低下しにくい。
【0137】
なお以上詳述した例では、画像読取装置100は、画像形成装置2に内蔵されていたが、それぞれを別体とし、画像読取装置100を独立の装置としてもよい。
また以上詳述した例では、色の特徴量の差として、最小色差値により評価を行なったが、これに限られるものではない。例えば、走査矩形T内における色統計値により評価を行なってもよい。また、走査矩形Tに対し複数種類の統計処理を行い、それらの結果を組み合わせて判定するようにしてもよい。
また同様に制御装置900は、画像形成装置2に内蔵されていたが、制御装置900の色処理部94で行う機能を独立させ、例えば、PC(Personal Computer)、タブレット端末、スマートフォン等により実行してもよい。この場合、色処理部94の機能は、これらの機器で動作するソフトウェア(プログラム)により実現することができる。
【0138】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、種々の変更または改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。