特許第6981068号(P6981068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981068
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20211202BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20211202BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20211202BHJP
   F21V 13/00 20060101ALI20211202BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20211202BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20211202BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20211202BHJP
   F21S 41/143 20180101ALN20211202BHJP
   F21S 41/25 20180101ALN20211202BHJP
   F21S 41/275 20180101ALN20211202BHJP
   F21S 41/16 20180101ALN20211202BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20211202BHJP
【FI】
   F21S2/00 311
   F21S2/00 350
   F21V5/02 400
   F21V5/04 350
   F21V13/00 100
   F21V5/04 600
   F21S2/00 330
   G02B5/18
   G02B5/04 A
   G02B5/00 C
   G02B5/00 Z
   !F21S41/143
   !F21S41/25
   !F21S41/275
   !F21S41/16
   F21Y115:30
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-138208(P2017-138208)
(22)【出願日】2017年7月14日
(65)【公開番号】特開2019-21471(P2019-21471A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(72)【発明者】
【氏名】西 尾 俊 平
(72)【発明者】
【氏名】倉 重 牧 夫
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/043531(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/086439(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0167688(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 5/02
F21V 5/04
F21V 13/00
G02B 5/18
G02B 5/04
G02B 5/00
F21S 41/00
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コヒーレント光を射出する光源と、
前記光源から射出されたコヒーレント光をコリメートする整形光学系と、
前記整形光学系にてコリメートされたコヒーレント光の進行方向を個別に調整する複数の単位光方向調整部を有する光方向調整部材と、
前記光方向調整部材からの複数のコヒーレント光の入射位置および入射角度に応じた方向に前記複数のコヒーレント光を回折させて被照明領域を照明する回折光学素子と、を備え、
前記複数の単位光方向調整部は、前記回折光学素子へのコヒーレント光の入射角度を個別に調整
前記光方向調整部材は、複数の単位プリズムを有するプリズムアレイであり、
前記プリズムアレイには、コヒーレント光が前記整形光学系にてコリメートされた状態で入射し、
前記複数の単位プリズムは、前記回折光学素子へのコヒーレント光の入射角度を個別に調整する照明装置。
【請求項2】
前記複数の単位光方向調整部は、前記回折光学素子で回折された複数のコヒーレント光が同一位置に設けられる同一サイズの前記被照明領域を重ねて照明するように、前記回折光学素子へのコヒーレント光の入射角度を調整する、請求項1に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被照明領域を照明する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コヒーレント光を発光するレーザ光源は、一般に、LED(Light Emitting Device)に比べて発光強度が高く、また、レーザ光源から発光された光はコヒーレントであることから、配光を細かく制御できるとともに、遠方まで光を届けることができるという利点がある。
【0003】
特許文献1には、レーザ光を光偏向器で二次元的に走査させて、投影レンズを通して所定の配光パターンを形成する車両用灯具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−146621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の場合、励起光源からのレーザ光を集光させた後に光偏向器に入射させており、光偏向器からレンズに入射されるレーザ光の単位面積当たりの光強度は非常に高くなる。特許文献1では、光偏向器によりレンズ上でレーザ光を走査させているが、レンズ上の各位置には瞬時的に強いレーザ光が入射されるため、レーザ光の安全性に対する配慮が十分とは言えない。
【0006】
また、レーザ光は、例えばLED光などの光に比べて、発光部の面積が小さいことから、出射光の角度の制御を高精度で行えるため、原理的には被照明領域を鮮明に照明できるものの、実際には、レーザ光源から出射されるレーザ光のビーム径などに起因して、被照明領域内の照明にボケが生じてしまう。
【0007】
本開示は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、コヒーレント光の安全性に配慮しつつ、被照明領域のボケを抑制可能な照明装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示によれば、コヒーレント光を射出する光源と、
前記光源から射出されたコヒーレント光をコリメートする整形光学系と、
前記整形光学系にてコリメートされたコヒーレント光の進行方向を個別に調整する複数の単位光方向調整部を有する光方向調整部材と、
前記光方向調整部材からの複数のコヒーレント光の入射位置および入射角度に応じた方向に前記複数のコヒーレント光を回折させて被照明領域を照明する回折光学素子と、を備え、
前記複数の単位光方向調整部は、前記回折光学素子へのコヒーレント光の入射角度を個別に調整する、照明装置が提供される。
【0009】
前記複数の単位光方向調整部は、前記回折光学素子で回折された複数のコヒーレント光が同一位置に設けられる同一サイズの前記被照明領域を重ねて照明するように、前記回折光学素子へのコヒーレント光の入射角度を調整してもよい。
【0010】
前記光方向調整部材は、複数の単位プリズムを有するプリズムアレイであり、
前記複数の単位プリズムは、前記回折光学素子へのコヒーレント光の入射角度を個別に調整してもよい。
【0011】
コヒーレント光を射出する光源と、
前記光源から射出されたコヒーレント光をコリメートする整形光学系と、
前記整形光学系にてコリメートされたコヒーレント光を所定の拡散角度空間内に回折させる回折光学素子と、
前記回折光学素子にて回折されたコヒーレント光をいったん集光させた後に拡散させて被照明領域を照明する投影光学系と、を備えてもよい。
【0012】
前記投影光学系は、前記回折光学素子および前記被照明領域の位置に応じた焦点距離を有してもよい。
【0013】
前記投影光学系は、前記回折光学素子および前記被照明領域の位置に応じた角度に傾斜して配置してもよい。
【0014】
前記回折光学素子は、それぞれが固有の方向にコヒーレント光を拡散させる複数の要素回折部を有し、
前記投影光学系は、前記複数の要素回折部にて拡散された複数のコヒーレント光をいったん集光させた後に拡散させて、同一位置に設けられる同一サイズの前記被照明領域を重ねて照明してもよい。
【0015】
前記回折光学素子は、それぞれが固有の方向にコヒーレント光を拡散させる複数の要素回折部を有し、
前記投影光学系は、前記複数の要素回折部にて拡散された複数のコヒーレント光をいったん集光させた後に拡散させて、前記被照明領域内のそれぞれ固有の位置に設けられる照明範囲を照明してもよい。
【0016】
前記回折光学素子は、それぞれが固有の方向にコヒーレント光を拡散させる複数の要素回折部を有し、
前記投影光学系は、前記複数の要素回折部に対応づけて設けられる複数の要素光学系を有し、
前記複数の要素光学系は、対応する要素回折部にて拡散されたコヒーレント光をいったん集光させた後に拡散させて、前記被照明領域内のそれぞれ固有の位置に設けられる照明範囲を照明してもよい。
【0017】
前記複数の要素回折部は、互いに交差する第1方向および第2方向に沿った二次元方向に配置されており、
前記複数の要素光学系は、前記第2方向に沿った一次元方向に配置されており、
前記第2方向の所定位置に配置された2以上の要素回折部で回折されたコヒーレント光は、対応する要素光学系にて、いったん集光された後に拡散されて、前記被照明領域内の対応する位置に設けられる照明範囲を重ねて照明してもよい。
【0018】
前記複数の要素回折部は、互いに交差する第1方向および第2方向に沿った二次元方向に配置されており、
前記複数の要素光学系は、前記第1方向および前記第2方向に沿った二次元方向に、前記複数の要素回折部に対応づけて配置されており、
前記要素回折部で回折されたコヒーレント光は、対応する前記要素光学系を通過して、いったん集光された後に拡散されて、前記被照明領域内の対応する位置に設けられる照明範囲を重ねて照明してもよい。
【0019】
前記複数の要素回折部のうち2以上の要素回折部で回折されたコヒーレント光は、対応する前記要素光学系を通過して、前記被照明領域内の同一位置に設けられる照明範囲を重ねて照明し、
前記2以上の要素回折部は、前記回折光学素子内の前記第1方向および前記第2方向の少なくとも一方において隣接しないように配置されてもよい。
【0020】
前記複数の要素光学系は、前記投影光学系から前記被照明領域側に100mmの距離に7mm径の開口部を有するアパーチャを配置したときに、前記開口部を通過したコヒーレント光にて前記被照明領域の全域を照明してもよい。
【0021】
本開示によれば、コヒーレント光を射出する光源と、
前記光源から射出されたコヒーレント光をコリメートする整形光学系と、
前記整形光学系にてコリメートされたコヒーレント光を回折させる回折光学素子と、を備え、
前記回折光学素子は、回折されたコヒーレント光をいったん集光させた後に拡散させて被照明領域を照明する複数の要素回折部を有する、照明装置が提供される。
【0022】
前記複数の要素回折部は、回折されたコヒーレント光をいったん集光させた後に拡散させて、それぞれが固有の前記被照明領域を照明してもよい。
【0023】
前記複数の要素回折部は、回折されたコヒーレント光をいったん集光させた後に拡散させて、同一位置に設けられる同一サイズの前記被照明領域を重ねて照明してもよい。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、コヒーレント光の安全性に配慮しつつ、被照明領域のボケを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施形態による照明装置の概略構成を示す斜視図。
図2】プリズムアレイの一部の断面構造を拡大した図。
図3】一比較例による照明装置の光線軌跡を示す図。
図4】本実施形態による回折光学素子のコヒーレント光の拡散範囲を示す図。
図5】第2の実施形態による照明装置の概略構成を示す斜視図。
図6A】レンズアレイ内の2つの単位レンズの焦点距離が等しい場合の照明範囲を示す図。
図6B】レンズアレイ内の2つの単位レンズの焦点距離、レンズの傾きが異なる場合の照明範囲を示す図。
図7A】照明装置から被照明領域までの距離が長い例を示す図。
図7B】照明装置から被照明領域までの距離が短い例を示す図。
図8A】回折光学素子と被照明領域との距離が短い例を示す図。
図8B】回折光学素子と被照明領域との距離が長い例を示す図。
図9】第1具体例による照明装置の光線軌跡を示す図。
図10】第2具体例による照明装置の光線軌跡を示す図。
図11】第3具体例による照明装置の光線軌跡を示す図。
図12】第3の実施形態による照明装置の概略構成を示す斜視図。
図13】第3の実施形態の第1変形例による照明装置の概略構成を示す斜視図。
図14】第3の実施形態の第2変形例による照明装置の概略構成を示す斜視図。
図15】第3の実施形態の第3変形例による照明装置の概略構成を示す斜視図。
図16】第4の実施形態による照明装置の概略構成を示す斜視図。
図17図16の照明装置の光線軌跡を示す図。
図18A】本実施形態による照明装置の光線軌跡をより具体的に示す図。
図18B】一比較例による照明装置の光線軌跡を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0027】
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0028】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態による照明装置1の概略構成を示す斜視図である。図1の照明装置1は、例えば乗物のヘッドライトの一部として用いられるものである。ただし、図1の照明装置1は、乗物のテールライトや、サーチライトなどの種々の照明灯としても適用可能である。また、乗物とは、自動車や自転車等の車両だけでなく、船舶や飛行機、列車などの照明装置1を備えた種々の乗物を含む趣旨である。以下では、一例として、車両のヘッドライトの一部に図1の照明装置1を適用した例を説明する。
【0029】
図1の照明装置1は、光源2と、整形光学系3と、光方向調整部材4と、回折光学素子5とを備えている。光源2は、典型的には、コヒーレント光すなわちレーザ光を放射するレーザ光源である。レーザ光源には、半導体レーザなどの種々のタイプがあるが、いずれのタイプのレーザ光源でもよい。ここで、コヒーレント光とは、位相および周波数が揃った光である。
【0030】
整形光学系3は、光源2から射出されたコヒーレント光をコリメートする。コリメートとは、光源2から出射されたコヒーレント光のビーム径を広げて平行化することである。より具体的には、整形光学系3は、光源2から出射されたコヒーレント光のビーム径を広げる第1レンズ3aと、第1レンズ3aを通過した光を平行化する第2レンズ3bとを有する。
【0031】
光方向調整部材4は、整形光学系3にてコリメートされたコヒーレント光の進行方向を個別に調整する複数の単位光方向調整部4aを有する。光方向調整部材4の一例は、複数の単位プリズム6aが二次元方向に配置されたプリズムアレイ6である。この他、光方向調整部材4は、複数のミラーを備え、各ミラーの傾斜角度を個別に細かく調整可能なDMD(Digital Mirror Device)でもよい。以下では、光方向調整部材4としてプリズムアレイ6を用いた例を説明する。
【0032】
図2はプリズムアレイ6の一部の断面構造を拡大した図である。プリズムアレイ6は、図2に示すように、基材層6bの上に、複数の単位プリズム6aを一体成形したものであり、各単位プリズム6aの傾斜面の角度を各単位プリズム6aごとに調整することで、各単位プリズム6aで屈折されたコヒーレント光の進行方向を任意に可変させることができる。
【0033】
図1の回折光学素子5は、プリズムアレイ6からの複数のコヒーレント光の入射位置および入射角度に応じた方向に複数のコヒーレント光を回折させて被照明領域7を照明する。回折光学素子5は、典型的には、ホログラム素子である。後述するように、回折光学素子5としてホログラム素子を用いることで、回折特性を設計しやすくなり、予め定めた位置、サイズおよび形状の被照明領域7の全域を照明するようなホログラム素子の設計も比較的容易に行うことができる。
【0034】
被照明領域7は、回折光学素子5に対して予め定めた位置に、予め定めたサイズおよび形状で設けられている。被照明領域7の位置、サイズおよび形状は、回折光学素子5の回折特性に依存しており、回折光学素子5の回折特性を調整することで、被照明領域7の位置、サイズおよび形状を任意に調整できる。従って、回折光学素子5を設計する際には、まず被照明領域7の位置、サイズおよび形状を決定して、決定した被照明領域7の全域を照明できるように、回折光学素子5の回折特性を調整すればよい。
【0035】
回折光学素子5は、計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)でもよいし、その他のホログラム(例えば、体積ホログラム)でもよい。CGHは、コンピュータにより干渉パターンを設計できるため、被照明領域7の照明態様を複雑化したい場合や、被照明領域7に文字等の何らかの情報を表示させたい場合には、有効である。
【0036】
回折光学素子5は、それぞれが異なる回折特性を有する複数の要素回折部に分割されていてもよいし、分割されていなくてもよい。以下では、複数の要素回折部に分割されていない回折光学素子5について説明する。
【0037】
図1の回折光学素子5は、コヒーレント光の入射角度に応じた方向にコヒーレント光を拡散させて被照明領域7を照明する。図3は一比較例による照明装置1の光線軌跡を示す図である。図3では、y軸上に回折光学素子5が位置する例を示している。図3の一比較例による照明装置1は、図1の照明装置1からプリズムアレイ6を省略したものであり、整形光学系3でコリメートされたコヒーレント光が回折光学素子5に入射される。図3の回折光学素子5は、任意の点に入射されたコヒーレント光が同一の被照明領域7を照明するように設計されているものとする。
【0038】
図3に示す一比較例の場合、回折光学素子5上の各点にはほぼ平行なコヒーレント光が入射される。例えば、回折光学素子5の点A1に入射されたコヒーレント光は、回折光学素子5で回折されて、照明範囲a1を照明する。また、点A2に入射されたコヒーレント光は、回折光学素子5で回折されて、照明範囲a2を照明する。図3に示すように、照明範囲a1とa2は一部が重複しているものの、位置がずれており、これがボケの要因になる。
【0039】
図4は本実施形態による回折光学素子5のコヒーレント光の拡散範囲を示す図である。本実施形態による照明装置1は、整形光学系3と回折光学素子5との間にプリズムアレイ6を配置しており、プリズムアレイ6内の各単位プリズム6aごとに、回折光学素子5に入射されるコヒーレント光の入射角度を調整可能としている。図4では、回折光学素子5の点A1に入射されるコヒーレント光の入射角度は図3の点A1への入射角度と同じにしているが、図4の点A2への入射角度を図3の点A2への入射角度とは相違させている。このような回折光学素子5の各点への入射角度の調整は、プリズムアレイ6にて行われる。これにより、回折光学素子5の点A2に入射されたコヒーレント光は、点A1と同様の照明範囲a1を照明することができる。すなわち、本実施形態では、回折光学素子5の任意の点に入射されたコヒーレント光が同一の被照明領域7を照明するように、プリズムアレイ6内の各単位プリズム6aの光学特性を調整する。各単位プリズム6aの光学特性の調整は、例えば各単位プリズム6aごとに、傾斜面の角度を可変させればよい。
【0040】
このように、本実施形態による回折光学素子5では、プリズムアレイ6内の各単位プリズム6aごとにコヒーレント光の進行方向を個別に調整するため、例えば回折光学素子5上の任意の点に入射されたコヒーレント光により、同一の照明範囲を照明させることも可能となる。よって、本実施形態によれば、被照明領域7でのボケを抑制できる。
【0041】
なお、上記の説明では、回折光学素子5上の任意の点に入射されたコヒーレント光が同一の照明範囲を照明するように、各単位プリズム6aにてコヒーレント光の進行方向を個別に調整する例を説明したが、回折光学素子5上の複数の点に入射されたコヒーレント光がそれぞれ別々の照明範囲を照明してもよい。本実施形態では、回折光学素子5に入射されるコヒーレント光の入射角度を調整することで、予め設計された回折光学素子5の回折特性通りに、ボケなく被照明領域7を照明することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
図5は第2の実施形態による照明装置1の概略構成を示す斜視図である。図5の照明装置1は、光源2と、整形光学系3と、回折光学素子5と、投影光学系8とを備えている。光源2と整形光学系3は図1の照明装置1と同様であるため、詳細な説明を割愛する。
【0043】
図5の回折光学素子5は、整形光学系3にてコリメートされたコヒーレント光を所定の拡散角度空間内に回折させる。回折光学素子5で回折されたコヒーレント光は、投影光学系8に入射される。回折光学素子5は、それぞれが固有の回折特性を有する複数の要素回折部に分割されていてもよいし、分割されていなくてもよい。
【0044】
投影光学系8は、回折光学素子5にて回折されたコヒーレント光をいったん集光させた後に拡散させて被照明領域7を照明する。投影光学系8は、回折光学素子5および被照明領域7の位置に応じた焦点距離を有する。あるいは、投影光学系8は、回折光学素子5および被照明領域7の位置に応じた角度に傾斜して配置されていてもよい。
【0045】
投影光学系8は、回折光学素子5内の複数の要素回折部5aに対応づけて設けられる複数の要素光学系8aを有していてもよい。より具体的には、投影光学系8は、複数の単位レンズ9aを有するレンズアレイ9であってもよい。あるいは、投影光学系8は、単一の投影レンズ10で構成されていてもよい。以下では、投影光学系8として、レンズアレイ9または単一の投影レンズ10を使用する例を説明する。
【0046】
図6Aはレンズアレイ9内の2つの単位レンズ9aの照明範囲を示す図である。回折光学素子5の点A1に入射されて拡散されたコヒーレント光は、対応する単位レンズ9aに入射される。この単位レンズ9aは、入射されたコヒーレント光をいったん集光させた後に拡散させて照明範囲a1を照明する。回折光学素子5の点A2に入射されて拡散されたコヒーレント光は、対応する単位レンズ9aに入射された後、いったん集光してから拡散されて照明範囲a2を照明する。図6Aに示すように、2つの単位レンズ9aの焦点距離、傾きが同じである場合は、照明範囲a1とa2は一部が重複しているものの、位置がずれてしまい、これがボケの要因になる。
【0047】
図6Bは本実施形態による回折光学素子5のコヒーレント光の拡散範囲を示す図である。本実施形態による照明装置1では、各単位レンズ9aごとに焦点距離、傾きを相違させている。これにより、点A1を通って単位レンズ9aから出射されたコヒーレント光と、点A2を通って単位レンズ9aから出射されたコヒーレント光はともに、いったん集光してから拡散されて、同じ照明範囲a1を照明する。これにより、被照明領域7でのボケを抑制できる。
【0048】
このように、本実施形態では、投影光学系8としてレンズアレイ9を用いる場合には、レンズアレイ9内の各単位レンズ9aごとに焦点距離を調整することで、被照明領域7のボケを抑制できる。なお、被照明領域7のボケを抑制するには、レンズアレイ9内の各単位レンズ9aごとに焦点距離を調整する以外に、各単位レンズ9aの傾斜角度を個別に調整してもよい。
【0049】
図7A図7Bは、回折光学素子5が要素回折部に分割されておらず、かつ投影光学系8が単一の投影レンズ10で構成されている場合のコヒーレント光の追跡図である。図7Aは照明装置1から被照明領域7までの距離が長い例、図7Bは照明装置1から被照明領域7までの距離が短い例を示している。
【0050】
図7A図7Bにおいて、回折光学素子5にて回折すなわち拡散されたコヒーレント光は、投影レンズ10に入射された後、いったん集光してから拡散されて投影面11に投影される。被照明領域7は、投影面11と同じ位置に設けられていてもよいし、投影面11から例えば90度傾いた面に設けられていてもよい。
【0051】
被照明領域7(投影面11)までの距離が短い場合は、被照明領域7(投影面11)までの距離が長い場合よりも、投影レンズ10の焦点距離は短く設定される。図7A図7Bでは、回折光学素子5から投影レンズ10までの距離をa、投影レンズ10から集光点Pまでの距離をbとしている。a、b、fの間には、以下の(1)式が成り立つ。
【数1】
【0052】
(1)式からわかるように、投影レンズ10の焦点距離fが大きくなると、距離a、bも大きくなり、照明装置1から被照明領域7までの距離が長くなる。
【0053】
図8Aおよび図8Bは、投影光学系8なしで、回折光学素子5で拡散されたコヒーレント光により直接、被照明領域7を照明する例を示している。図8Aは回折光学素子5と被照明領域7との距離が短い例、図8Bは回折光学素子5と被照明領域7との距離が長い例を示している。回折光学素子5の回折特性を調整することで、図8Aのように回折光学素子5の近くに位置する被照明領域7を照明したり、図8Bのように回折光学素子5の遠くに位置する被照明領域7を照明することが可能となる。ところが、被照明領域7が回折光学素子5から遠くなりすぎると、回折光学素子5の角度解像度が不足してしまい、被照明領域7にボケが生じてしまう。
【0054】
これに対して、図7Aおよび図7Bのように、回折光学素子5と被照明領域7の間に投影レンズ10を設けた場合、回折光学素子5で回折されたコヒーレント光を投影レンズ10に入射させた後、いったん集光させてから拡散させる。したがって、被照明領域7が遠方にある場合には、投影レンズ10の焦点距離を長くすればよく、回折光学素子5の角度解像度の不足により被照明領域7がぼけるという不具合が起きなくなる。
【0055】
本実施形態による回折光学素子5は、第1の実施形態と同様に、例えばCGHや体積ホログラムなどで構成可能である。回折光学素子5は、それぞれが固有の回折特性を有する複数の要素回折部に分割されていてもよい。
【0056】
本実施形態による照明装置1における回折光学素子5が複数の要素回折部に分割されている場合の光学構成として複数通りが考えられる。以下では、そのうちの代表的な第1具体例〜第3具体例を順に説明する。
【0057】
図9は第1具体例による照明装置1の光線軌跡を示す図である。図9の照明装置1は、複数の要素回折部5aに分割された回折光学素子5と、単一の投影レンズ10とを備えている。各要素回折部5aにて回折すなわち拡散されたコヒーレント光は、投影レンズ10に入射される。投影レンズ10は、入射されたコヒーレント光をいったん集光させた後に拡散させて、投影面11に投影する。投影面11に被照明領域7があってもよいし、投影面11から90度傾いた方向に被照明領域7があってもよい。
【0058】
図9の第1具体例では、各要素回折部5aで拡散されたコヒーレント光は、それぞれ異なる集光点Pで集光した後、同一位置に設けられる同一サイズの投影面11(被照明領域7)に投影される。これにより、被照明領域7でのボケを抑制できる。回折光学素子5と投影レンズ10との距離a、投影レンズ10と集光点Pまでの距離b、および投影レンズ10の焦点距離fの間には、上述した(1)式の関係が成り立つため、例えば投影面11での投影像の適性サイズと投影レンズ10の焦点距離fを先に決めることで、(1)式に従って回折光学素子5と投影レンズ10との距離aと投影レンズ10と集光点Pとの距離bを設定することができる。
【0059】
また、回折光学素子5の各要素回折部5aの回折特性を個別に調整することで、各要素回折部5aで拡散されたコヒーレント光を投影面11上に重ねて照明でき、被照明領域7でのボケを抑制できる。
【0060】
図10は第2具体例による照明装置1の光線軌跡を示す図である。図10の照明装置1は、図9と同様に、複数の要素回折部5aに分割された回折光学素子5と、単一の投影レンズ10とを備えている。図10の照明装置1では、各要素回折部5aで拡散されたコヒーレント光が投影レンズ10を通って、いったん集光された後に拡散し、投影面11上のそれぞれ別々の場所に投影される点で図9の照明装置1とは異なっている。
【0061】
図10の場合、各要素回折部5aからのコヒーレント光が投影される複数の投影像は、同じ投影面11上に別個に設けられているが、複数の投影像は少なくとも一部が重なり合ってもよいし、分離して設けられてもよい。
【0062】
図11は第3具体例による照明装置1の光線軌跡を示す図である。図11の照明装置1は、複数の要素回折部5aに分割された回折光学素子5と、複数の単位レンズ9aを有するレンズアレイ9とを備えている。複数の単位レンズ9aは、複数の要素回折部5aに対応づけて設けられている。各要素回折部5aで回折(拡散)されたコヒーレント光は、対応する単位レンズ9aに入射される。各単位レンズ9aは、入射されたコヒーレント光をいったん集光させた後に拡散させて、対応する投影面11に投影する。
【0063】
このように、図11の照明装置1では、各要素回折部5aで拡散されたコヒーレント光が、それぞれ固有の位置に設けられる投影面11に投影される。よって、図11の照明装置1では、複数の要素回折部5aに対応づけて、複数の単位レンズ9aと、複数の投影面11とが設けられることになる。複数の投影面11のうち少なくとも一部の投影面11は、レンズアレイ9から同一距離に設けられていてもよい。
【0064】
このように、第2の実施形態では、回折光学素子5と被照明領域7の間に投影光学系8を設けるため、回折光学素子5で回折されたコヒーレント光を投影光学系8にていったん集光させた後に拡散させて、被照明領域7を照明できる。これにより、投影光学系8から遠方に被照明領域7が存在したとしても、回折光学素子5の角度分解能を不足させることなく被照明領域7を照明でき、被照明領域7のボケを抑制できる。
【0065】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、第2の実施形態よりもコヒーレント光の安全性を高めたものである。
図12は第3の実施形態による照明装置1の概略構成を示す斜視図である。図12の照明装置1は、光源2と、整形光学系3と、回折光学素子5と、投影光学系8とを備えている。
【0066】
回折光学素子5は、それぞれが固有の回折特性を持つ複数の要素回折部5aを有する。これら要素回折部5aは、互いに交差する第1方向xおよび第2方向に沿った二次元方向に配置されている。
【0067】
投影光学系8は、それぞれが固有の光学特性を持つ複数の単位レンズ9aを有するレンズアレイ9である。各単位レンズ9aは、第1方向xに延在する細長形状のレンズ(例えば、シリンドリカルレンズ)である。複数の単位レンズ9aは、第2方向yに沿った一次元方向に配置されている。
【0068】
第2方向yに配置された要素回折部5aの数は、第2方向yに配置された単位レンズ9aの数と同数であり、第2方向yの同じ位置における第1方向xの2以上の要素回折部5aで回折されたコヒーレント光は、対応する単位レンズ9aに入射される。各単位レンズ9aに入射されたコヒーレント光は、いったん集光された後に拡散されて、被照明領域7内の対応する照明範囲を照明する。
【0069】
例えば、図12の回折光学素子5の第2方向yの下から3ライン目の各要素回折部5aで回折されたコヒーレント光は、レンズアレイ9の第2方向yの下から3ライン目の単位レンズ9aに入射される。この単位レンズ9aに入射されたコヒーレント光は、いったん集光された後に拡散されて、第3方向のレンズアレイ9側から3番目の照明範囲に入射される。
【0070】
このように、回折光学素子5の第2方向yの各ライン上の全要素回折部5aからのコヒーレント光が対応する単位レンズ9aを通して、同一の照明範囲を照明するため、被照明領域7のボケを抑制できる。また、各単位レンズ9aには、回折光学素子5の第2方向yの対応するラインの全要素回折部5aからのコヒーレント光が入射されるため、被照明領域7内の各点に入射されるコヒーレント光の方向が分散され、一方向から光強度の高いコヒーレント光が入射されなくなるため、コヒーレント光の安全性が向上する。
【0071】
図13は第3の実施形態の第1変形例による照明装置1の概略構成を示す斜視図である。図13は、レンズアレイ9内の単位レンズ9aの分割の仕方が図12と異なっている。図13のレンズアレイ9は、第1方向xおよび第2方向yに沿った二次元方向に配置された複数の単位レンズ9aを有する。これら複数の単位レンズ9aは、回折光学素子5内の複数の要素回折部5aに対応づけて設けられている。すなわち、各要素回折部5aで回折されたコヒーレント光は、対応する単位レンズ9aに入射される。
【0072】
レンズアレイ9内の第2方向yの各ラインの全単位レンズ9aを通過したコヒーレント光は、第2方向yの各ラインごとに被照明領域7内の同一の照明範囲を照明する。よって、被照明領域7には、レンズアレイ9内の第2方向yのライン数分の照明範囲が設けられる。
【0073】
図13では、レンズアレイ9の第2方向yの各ラインの全単位レンズ9aからのコヒーレント光が同一の照明範囲を照明する例を説明したが、レンズアレイ9の第1方向xの各ラインの全単位レンズ9aからのコヒーレント光が第1方向xの各ラインごとに同一の照明範囲を照明するようにしてもよい。
【0074】
このように、被照明領域7内の各照明範囲は、レンズアレイ9内の対応するラインの全単位レンズ9aを通過したコヒーレント光により重ねて照明されるため、各照明範囲のボケを抑制できる。また、被照明領域7内の各点には、レンズアレイ9内のいずれかのラインの全単位レンズ9aからのコヒーレント光が入射されるため、被照明領域7に入射されるコヒーレント光の方向が分散されて、コヒーレント光の安全性が向上する。
【0075】
図14は第3の実施形態の第2変形例による照明装置1の概略構成を示す斜視図である。図13では、レンズアレイ9の第1方向xまたは第2方向yの各ラインの全単位レンズ9aが各ラインごとに同一の照明範囲を照明する例を示したが、レンズアレイ9内の第1方向または第2方向yに隣接しない複数の単位レンズ9aが同一の照明範囲を照明してもよい。
【0076】
図14は、ハッチングされた複数の要素回折部5aで回折されたコヒーレント光が対応する単位レンズ9aを介して同一の照明範囲を照明する例を示している。この場合、被照明領域7の各点に入射されるコヒーレント光の入射方向が図12図13よりも広い範囲に広がっており、コヒーレント光の安全性がより向上する。
【0077】
図15は第3の実施形態の第3変形例による照明装置1の概略構成を示す斜視図である。図15の照明装置1は図14の照明装置1と同じ光学構成を備えている。
【0078】
レーザの安全基準では、レーザ光源から距離100mmの場所に開口径7mmのアパーチャ13を配置して、アパーチャ13の開口部13aを通過したレーザ光の光量とレーザ光の拡散角度から、その装置の危険性を定量的に評価する。
【0079】
そこで、図15では、レンズアレイ9から距離100mmの場所に開口径7mmのアパーチャ13を配置し、アパーチャ13の開口部13aを通過したコヒーレント光により、被照明領域7の全域を照明できるようにする事で、光の拡散性を高めてレーザー安全性が向上する。
【0080】
図15の照明装置1によれば、レーザの安全基準をクリアしつつ、被照明領域7の全域をボケなしで照明することができる。
【0081】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、回折光学素子5にて回折されたコヒーレント光にて直接、被照明領域7を照明するものである。
【0082】
図16は第4の実施形態による照明装置1の概略構成を示す斜視図である。図16の照明装置1は、光源2と、整形光学系3と、回折光学素子5とを備えている。光源2と整形光学系3は図1の照明装置1と同様であるため、詳細な説明を割愛する。
【0083】
図16の回折光学素子5は、整形光学系3にてコリメートされたコヒーレント光を所定の拡散角度空間内に回折させる。より具体的には、回折光学素子5は、回折されたコヒーレント光をいったん集光させた後に拡散させて被照明領域7を照明する。回折光学素子5は、それぞれが固有の回折特性を有する
【0084】
図17図16の照明装置1の光線軌跡を示す図である。図17の要素回折部5aで回折されたコヒーレント光はいったん集光した後に拡散されて投影面11に投影される。一方、要素回折部5aで回折されたコヒーレント光はいったん集光した後に拡散されて投影面11に投影される。
【0085】
このように、回折光学素子5の各要素回折部5aは、それぞれ固有の点で集光された後に拡散されて、それぞれ固有の位置にある投影面11に投影される。2以上の要素回折部5aが同じ位置にある投影面11にコヒーレント光を投影してもよい。
【0086】
各要素回折部5aは、回折されたコヒーレント光をいったん集光させた後に拡散させて投影面11に投影するため、回折光学素子5と投影面11との距離が離れていても、回折光学素子5の角度分解能が不足するおそれがなく、投影面11でのボケを抑制できる。
【0087】
図18Aは本実施形態による照明装置1の光線軌跡をより具体的に示す図、図18Bは一比較例による照明装置1の光線軌跡を示す図である。
【0088】
一比較例による回折光学素子5は、図18Bに示すように複数の要素回折部5aに分割されており、各要素回折部5aはコヒーレント光を拡散させて投影面11に投影する。これに対して、本実施形態による回折光学素子5の各要素回折部5aは、図18Aに示すように、回折されたコヒーレント光をいったん集光させた後に拡散させて投影面11に投影する。
【0089】
図18Bに示す一比較例の場合、回折光学素子5と投影面11までの距離が離れるほど、回折光学素子5からの拡散角度範囲が狭くなり、投影面11が遠方にある場合は、回折光学素子5の角度解像度が不足して、投影像にボケが生じてしまう。
【0090】
一方、図18Aに示す本実施形態の場合、要素回折部5aで回折されたコヒーレント光をいったん集光させた後に拡散させて投影面11を投影するため、投影面11が遠方にあったとしても、回折光学素子5の角度解像度が不足するおそれがない。よって、図18Aの投影面11の投影像は、図18Bの投影像よりもボケが少なくなる。
【0091】
このように、第4の実施形態では、回折光学素子5で回折されたコヒーレント光を、いったん集光させてから拡散させて被照明領域7を照明するため、第1および第2の実施形態よりも簡易な光学構成にて、ボケなく被照明領域7を照明できる。
【0092】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 照明装置、2 光源、3 整形光学系、4 光方向調整部材、4a 単位光方向調整部、5 回折光学素子、6 プリズムアレイ、6a 単位プリズム、6b 基材層、7 被照明領域、8 投影光学系、9 レンズアレイ、9a 単位レンズ、10 投影レンズ、11 投影面、13 アパーチャ、13a 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B