(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像処理装置と前記サーバーとの間のデータの送受信が発生していないときは、前記画像処理装置が前記サーバーへジョブのデータを送信していないときを含む、請求項1に記載の中継装置。
前記画像処理装置が前記サーバーへジョブのデータを送信していないときは、当該画像処理装置がファックス受信連携ジョブを実行中であるときに、当該画像処理装置が前記ファックス受信連携ジョブに係るデータを前記サーバーに向けて送信するまでの期間を含む、請求項2に記載の中継装置。
前記画像処理装置が前記サーバーへジョブのデータを送信していないときは、当該画像処理装置がスキャンされた文書の前記サーバーへの送信を含むジョブを実行中であるときに、当該画像処理装置が前記スキャンされた文書を前記サーバーに向けて送信するまでの期間を含む、請求項2または請求項3に記載の中継装置。
前記画像処理装置と前記サーバーとの間のデータの送受信が発生していないときは、前記サーバーが前記所定のネットワークにおいて中継装置として動作している他の装置を介して前記画像処理装置にジョブのデータを送信していないときを含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の中継装置。
前記プロセッサーは、前記要求を前記サーバーに送信した後、前記要求を送信した画像処理装置に前記所定のネットワークのゲートウェイとして前記中継装置を指定することを通知するように構成されている、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の中継装置。
所定のネットワーク内の画像処理装置、および、前記所定のネットワーク外のサーバーと通信可能な通信インターフェースを備えたコンピューターによって実行されるプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピューターに、
前記画像処理装置と前記サーバーとの間のデータの送受信が発生しているか否かを判断するステップと、
前記画像処理装置と前記サーバーとの間のデータの送受信が発生していない場合に、前記画像処理装置および前記サーバーに、前記所定のネットワークのゲートウェイとして前記コンピューターを指定することを通知するステップと、
前記サーバーに前記所定のネットワークのゲートウェイとして前記コンピューターを指定することを通知した後、前記画像処理装置が前記所定のネットワークにおいて中継装置として動作している他の装置を介して前記サーバーにジョブ送信の要求を送信した場合に、当該要求を前記サーバーに送信するステップと、を実行させ、
前記画像処理装置と前記サーバーとの間のデータの送受信が発生しないときは、前記画像処理装置と前記サーバーとの間でジョブに関する接続が確立されているときであって、前記画像処理装置と前記サーバーとの間でデータの送受信が発生していないときを含む、プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しつつ、本開示に係るネットワークシステムの実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0018】
[1.ネットワークシステムの構成の概要]
図1は、ネットワークシステムの構成の一例を模式的に示す図である。
図1に示されるように、チャットシステムは、ローカルエリアネットワーク(LAN)200と、クラウドネットワーク300とを含む。
【0019】
LAN200は、5台のMFP100A〜100Eを含む。クラウドネットワーク300は、クラウドサーバー400とクライアント500とを含む。クライアント500は、たとえばクラウドネットワーク300におけるユーザーによって操作されるパーソナルコンピューターである。
【0020】
LAN200において、5台のMFP100A〜100EのうちMFP100Aがゲートウェイ(GW)として機能している。GWは、クラウドサーバー400との間で、いわゆる「トンネル」(
図1中のトンネルTN)と呼ばれる仮想的な通信パスを確立させる。クラウドサーバー400は、トンネルTNを介して、MFP100A〜100Eのそれぞれへジョブ送信の要求およびジョブデータを送信する。また、MFP100A〜100Eのそれぞれは、トンネルTNを介して、クラウドサーバー400へジョブ送信の要求およびジョブデータを送信する。これにより、MFP100A〜100Eを利用したクラウドサービスが提供される。
【0021】
MFP100A〜100Eのそれぞれの構成は等価であってもよい。したがって、以下の説明では、MFP100A〜100Eに共通する構成が「MFP100」として称される。
【0022】
[2.仮想的なトンネルを利用した通信]
図2は、GWとクラウドサーバー400との間のトンネルを利用したジョブデータの送受信に係るデータの一例を模式的に示す図である。
図2に示されたHTTP(Hypertext Transfer Protocol)リクエスト50は、クラウドサーバー400からGWへ送信されるデータの一例であって、クライアント500からの印刷要求に従った印刷用のHTTPリクエストを表わす。HTTPリクエスト50は、ヘッダー51とボディ52とを含む。ヘッダー51は、プロトコル標準ヘッダーと、中継装置としてのMFP100に利用されるトンネル通信用ヘッダーとを含む。ボディ52は印刷データ52Aを含む。
【0023】
GW(中継装置としてのMFP100)は、HTTPリクエスト50を受けると、当該HTTPリクエスト50から印刷データ52Aを取り出し、取り出した印刷データ52Aを当該印刷データ52Aに係る印刷ジョブを実行するMFP100に送信する。
【0024】
[3.LANにおけるゲートウェイの切替]
図3は、
図1のネットワークシステムにおけるGWとして機能するMFPが、MFP100AからMFP100Bへと切り替えられた状態を示す図である。
図3に示されるようにGWとして動作するMFPがMFP100AからMFP100Bへと切り替えられると、MFP100Bは、クラウドサーバー400との間で仮想的なトンネルを確立させて、クラウドサーバー400とMFP100との間のジョブ送信の要求およびジョブデータの、送受信を中継する。
【0025】
すなわち、クラウドサーバー400は、MFP100Bを介して、MFP100にジョブ送信の要求およびジョブデータを送信する。各MFP100は、MFP100Bを介して、クラウドサーバー400にジョブ送信の要求およびジョブデータを送信する。
【0026】
[4.MFP100のハードウェア構成]
図4は、MFP100のハードウェア構成を概略的に示す図である。
図3を参照して、MFP100は、全体を制御するためのCPU(Central Processing Unit)150、プログラムおよびデータを格納するための記憶部160、操作パネル170を含む。
【0027】
記憶部160は、CPU150により実行されるプログラムおよび各種データを記憶する。操作パネル170は、ディスプレイ171と、操作部172とを含む。ディスプレイ171の一例は、液晶表示装置である。ディスプレイ171の他の例は、プラズマディスプレイである。操作部172は、MFP100に対する操作の入力を受け付ける。
【0028】
MFP100は、さらに、画像処理部151と、画像形成部152と、画像読取部153と、ファクシミリ通信部154と、ネットワーク通信部155とを含む。画像処理部151は、入力された画像に対して拡大・縮小を含む各種の処理を施す。画像形成部152は、感光体等の、記録用紙に画像を形成するための要素を含む。画像読取部153は、スキャナー等の原稿の画像データを生成するための要素を含み、原稿のスキャンによりスキャンデータを生成する。ファクシミリ通信部154は、モデム等のファクシミリ通信により画像データの送受信するための要素を含む。ネットワーク通信部155は、ネットワークカード等の、ネットワークを介してデータ通信をするための要素を含む。画像処理部151、画像形成部152、画像読取部153、ファクシミリ通信部154、および、ネットワーク通信部155のそれぞれの機能は、画像形成装置においてよく知られたものであるから、ここでは詳細な説明は繰返さない。
【0029】
[5.GWとしての機能構成]
図4において「ゲートウェイ機能40」として示されるように、MFP100のCPU150は、たとえば所定のプログラムを実行することによって、GWとして機能する。ゲートウェイ機能40は、機能的な構成として、通信制御部41、速度測定部45、動作制御部47、および、プロトコル取得部49を含む。
【0030】
通信制御部41は、ネットワーク通信部155および/またはファクシミリ通信部154を用いて、他の装置との通信を制御する処理部である。通信制御部41は、メッセージセッション通信制御部42とトンネル通信制御部43とを有する。
【0031】
メッセージセッション通信制御部42は、クラウドネットワーク300内の管理サーバーとの通信をメッセージセッションを用いて実行する処理部である。メッセージセッション通信制御部42は、管理サーバーとの間にメッセージセッションを確立して、管理サーバーとの通信を実行する。
【0032】
トンネル通信制御部43は、ネットワーク通信部155を用いて、GWとクラウドサーバー400との間にトンネル接続を確立して、クラウドサーバー400と特定のデバイス(たとえば、MFP100A〜100Eのいずれか)との通信を中継する。
【0033】
速度測定部45は、ネットワーク通信部155および/またはファクシミリ通信部154を用いて、データの送信経路の通信速度を表わす値を測定する処理部である。動作制御部47は、GWおよびLAN200内の装置のそれぞれの動作モードを制御する処理部である。動作制御部47は、たとえばMFP100A〜100EにGWとして動作するMFP100を特定する情報を送信し、当該MFP100をGWとして登録することを指示する。プロトコル取得部49は、クライアント500および/またはクラウドサーバー400がデータ送信に利用するプロトコルを取得する。
【0034】
[6.ジョブ送信の要求の送信とジョブデータの送信]
本開示に係るネットワークシステムでは、ジョブ送信の要求により、クラウドサーバー400とMFP100との間でセッションが確立され、その後、当該セッションを介してジョブデータが送受信される。
【0035】
一例では、MFP100Cがスマートスキャンジョブを実行する場合、MFP100Cはクラウドサーバー400にスマートスキャンジョブに係るジョブ送信の要求を送信する。これにより、MFP100Cとクラウドサーバー400との間でセッションが確立される。その後、MFP100Cは、当該セッションを介して、スマートスキャンジョブに係るスキャンデータをジョブデータとしてクラウドサーバー400へ送信する。
【0036】
他の例では、クラウドサーバー400がMFP100Dを利用したリモートプリントジョブを実行する場合、クラウドサーバー400はMFP100Dにリモートプリントジョブに係るジョブ送信の要求を送信する。これにより、クラウドサーバー400とMFP100Dとの間でセッションが確立される。その後、クラウドサーバー400は、当該セッションを介して、MFP100Dに印刷対象の文書をジョブデータとして送信する。
【0037】
ジョブが完了すると、セッションは切断される。
[7.ジョブの種類]
本開示に係るネットワークシステムにおいてMFP100が実行するジョブについて、具体例を以下に示す。
【0038】
A.デバイストリガーのジョブ
デバイストリガーのジョブは、ユーザーがMFP100またはクライアント500を操作することによって開始される種類のジョブであり、たとえば、「スマートスキャン」「プルプリント」「ファックス受信連携ジョブ」と呼ばれるジョブを含む。各ジョブを以下に説明する。
【0039】
・スマートスキャンジョブ
スマートスキャンジョブは、MFP100におけるスキャンによって生成された画像データをクラウドサーバー400を介して所定の記憶装置に格納するジョブであり、たとえば次の(1)〜(3)の工程を含む。
【0040】
(1)ユーザーが任意のタイミングでMFP100の操作パネル170を操作することにより、MFP100は、当該MFP100にインストールされているスマートスキャン用のアプリケーションを起動する。
【0041】
(2)起動されたアプリケーションは、GW経由で、クラウドサーバー400と通信し、操作パネル170上に表示する情報を得る。
【0042】
(3)起動されたアプリケーションは、GW経由で、MFP100におけるスキャンによって生成された画像データを、クラウドサーバー400へ送信する。
【0043】
・プルプリントジョブ
プルプリントジョブは、MFP100に対する操作に応じて、クラウドネットワーク300上の文書を印刷するジョブであり、たとえば次の(1)〜(3)の工程を含む。
【0044】
(1)ユーザーが任意のタイミングでMFP100を操作したことに応じて、MFP100は、GW経由でクラウドサーバー400と接続し、当該操作によって指定された文書を要求する。
【0045】
(2)クラウドサーバー400は、GW経由で、要求された文書をMFP100へ送信する。
【0046】
(3)MFP100は、GW経由で受信した文書を印刷する。
・ファックス受信連携ジョブ
ファックス受信連携ジョブは、MFP100が受信したファクシミリ文書(データ)をクラウドサーバー400へ送信するジョブであり、たとえば次の(1)〜(4)の工程を含む。
【0047】
(1)MFP100は、任意のタイミングでファクシミリ通信用の回線のコールを受信する。
【0048】
(2)MFP100は、ファクシミリ通信を確立させる。
(3)MFP100は、ファクシミリ通信を介してファクシミリ文書を受信する。
【0049】
(4)MFP100は、受信したファクシミリ文書をGW経由でクラウドサーバー400へ送信する。なお、MFP100は、ファクシミリ文書の受信完了後に、クラウドサーバー400へのファクシミリ文書の送信を開始する。
【0050】
B.アプリトリガーのジョブ
アプリトリガーのジョブは、ユーザーが任意のタイミングでクラウドネットワーク300からMFP100に対して文書の印刷等を要求するジョブであり、たとえば、「リモートプリント」「リモートファックス」と呼ばれるジョブを含む。各ジョブを以下に説明する。
【0051】
・リモートプリントジョブ
リモートプリントジョブは、ユーザーがクライアント500を操作することにより、MFP100に文書の印刷を指示するジョブであり、たとえば次の(1)〜(3)の工程を含む。
【0052】
(1)ユーザーからの操作に応じて、クライアント500がクラウドサーバー400に文書の印刷を要求する。当該要求は、文書を印刷するMFP100の指定を含んでいてもよい。
【0053】
(2)クラウドサーバー400がGW経由でMFP100に上記文書を送信するとともに、当該文書の印刷を指示する。
【0054】
(3)MFP100が受信した文書を印刷する。
なお、MFP100は印刷対象の文書を格納していてもよい。この場合、クラウドサーバー400からMFP100への文書の送信は省略されてもよい。
【0055】
・リモートファックスジョブ
リモートファックスジョブは、ユーザーが指定した文書をMFP100にファクシミリ送信させるジョブであり、たとえば次の(1)〜(3)の工程を含む。
【0056】
(1)ユーザーからの操作に応じて、クライアント500がクラウドサーバー400に文書のファクシミリ送信を要求する。当該要求は、ファクシミリの送信元となるMFP100の指定、および、送信先を特定する情報を含んでいてもよい。
【0057】
(2)クラウドサーバー400がGW経由でMFP100に上記文書を送信するとともに、当該文書のファクシミリ送信を指示する。
【0058】
(3)MFP100が受信した文書をファクシミリ送信する。なお、MFP100はファクシミリ送信の対象の文書を格納していてもよい。この場合、クラウドサーバー400からMFP100への文書の送信は省略されてもよい。
【0059】
[8.MFP100におけるジョブ処理状態]
本開示に係るネットワークシステムにおいて、GWとして動作するMFP100およびこれからGWとして動作するMFP100は、LAN200内の各MFP100におけるジョブの状態を監視する。
図5は、各MFP100のジョブ処理状態を管理するためのリストの一例を表わす図である。
図5に示されたリストは、たとえば、GWであるMFP100の記憶部160に格納され、適宜更新される。
【0060】
図5に示されるように、ジョブ処理状態は、実行中のジョブ(上段)とジョブのステータス(下段)とを含む。なお、実行中のジョブが無いMFP100については、ジョブ処理状態はステータスを含まない。
図5の例では、MFP100A,100Dについては、ジョブ処理状態として値「実行中のジョブ無し」が設定されている。
【0061】
MFP100Bについては、値「ファックス受信連携ジョブ実行中」が設定されている。ステータスは、「通信確立処理中」である。すなわち、MFP100Bは、ファックス受信連携ジョブにおいてファックスの送信元とファクシミリ通信を確立するための処理を実行中である。当該通信が確立すると、MFP100Bはファクシミリ文書を受信し、受信したファクシミリ文書をクラウドサーバー400へ送信する。
【0062】
MFP100Cについては、値「スマートスキャンジョブ実行中」が設定されている。ステータスは、「スキャンデータ送信中」である。すなわち、MFP100Cは、スマートスキャンジョブにおいてスキャンデータをクラウドサーバー400へ送信している。
【0063】
MFP100Eについては、値「リモートファックスジョブ実行中」が設定されている。ステータスは、「ファクシミリ送信中」である。すなわち、MFP100Eは、リモートファックスジョブにおいて、クラウドサーバー400から受信したファクシミリ文書を指定された送信先にファクシミリ通信によって送信している。
【0064】
[9.クラウドサーバー400におけるジョブ処理状態]
本開示に係るネットワークシステムにおいて、クラウドサーバー400は、LAN200内の各MFP100から送信されているまたは各MFP100に送信されているジョブの状態を管理している。
図6は、クラウドサーバー400におけるジョブの状態を管理するためのリストの一例を表わす図である。
図6に示されたリストは、たとえば、クラウドサーバー400内の記憶装置に格納され、適宜更新される。
【0065】
図6のリストは、項目「対象デバイス名」と項目「ジョブ処理状態」とを表わす。項目「対象デバイス名」は、ジョブのために確立されているセッションの相手を表わす。項目「ジョブ処理状態」は、ジョブの処理状態を表わす。
【0066】
図6の例では、クラウドサーバー400は、MFP100B,100C,100Eのそれぞれとの間でセッションを確立させている。MFP100Bについて、クラウドサーバー400は、「ファックス受信連携ジョブ」(ジョブ処理状態)におけるMFP100Bからのファクシミリ文書の送信に向けて待機している。MFP100Cについて、クラウドサーバー400は、「スマートスキャンジョブ」(ジョブ処理状態)におけるMFP100Cからのスキャンデータを受信している。MFP100Eについて、クラウドサーバー400は、「リモートファックスジョブ」(ジョブ処理状態)におけるMFP100Eからのファクシミリ文書を受信している。
【0067】
[10.処理の流れ]
図7は、本開示に係るネットワークシステムにおいて、GWがMFP100AからMFP100Bに切り替えられるときの処理の流れを示す図である。
図7の処理は、たとえば、MFP100AがGWとして動作している状況において、MFP100BにGWとして動作する指示が入力されたことをトリガーとして開始される。
【0068】
ステップS10にて、MFP100BのCPU150は、MFP100Aに対して、クラウドサーバー400との間でトンネル通信を確立するための情報(ゲートウェイID:GWID)を要求する。ステップS10にて、MFP100BのCPU150は、さらにクラウドサーバー400のIP(Internet Protocol)アドレス等の、クラウドサーバー400に接続するための情報を要求してもよい。
【0069】
ステップS12にて、MFP100AのCPU150は、MFP100Bに対して、GWIDを通知する。ステップS12にて、MFP100AのCPU150は、MFP100Bに対して、さらにクラウドサーバー400に接続するための情報を送信してもよい。
【0070】
ステップS14にて、MFP100BのCPU150は、クラウドサーバー400に、LAN200内のMFP100との間での実行中のジョブの状態を問合せる。
【0071】
ステップS16にて、クラウドサーバー400は、MFP100Bに対して、LAN200内のMFP100との間での実行中のジョブの状態を回答する。クラウドサーバー400からの回答は、たとえば、
図6に示されたリストによって特定される情報の送信である。
【0072】
ステップS18にて、MFP100BのCPU150は、クラウドサーバー400からMFP100A〜100Eにジョブ送信が要求されているジョブが無いかどうかを判断する。当該ジョブの一例は「リモートプリント」である。他の例は「リモートファックス」である。ある実施の形態において、CPU150は、クラウドサーバー400から受信したリストにおいて、「ジョブ処理状態」として「リモートプリント」または「リモートファックス」が含まれていない場合には上記ジョブが無いと判断し、含まれている場合には上記ジョブがあると判断する。CPU150は、上記ジョブが無いと判断するとステップS20へ制御を進め、上記ジョブがあると判断するとステップS14へ制御を戻す。
【0073】
ステップS20にて、MFP100BのCPU150は、LAN200内のMFP100であって、MFP100A(現在GWとして動作している)の支配下にあるMFP100のそれぞれに、各MFP100からクラウドサーバー400へジョブ送信を要求しているジョブの有無を問い合わせる。「支配下」にあるMFP100とは、GWとしてMFP100Aを利用してクラウドサーバー400と通信するMFP100を意味し、
図1の例ではMFP100A〜100Eである。
【0074】
ステップS22にて、各MFP100は、MFP100Bに対してジョブの状態を回答する。MFP100BのCPU150は、各MFP100からの回答を受信し、受信した回答を記憶部160等に格納する。これにより、MFP100Bにおいて、たとえば
図5に示されたようなリストが生成される。
【0075】
ステップS24にて、MFP100BのCPU150は、すべてのMFP100について、MFP100からクラウドサーバー400にジョブ送信が要求されているジョブが無いかどうかを判断する。当該ジョブの一例は、「スマートスキャン」である。他の例は、「プルプリント」である。さらに他の例は、「ファックス受信連携ジョブ」である。
【0076】
ある実施の形態において、MFP100BのCPU150は、ステップS22において作成されたリストに、すべてのMFP100について「スマートスキャン」「プルプリント」および「ファックス受信連携ジョブ」が含まれていなければ、すべてのMFP100について、MFP100からクラウドサーバー400に送信されているジョブは無いと判断し、ステップS26へ制御を進める。一方、CPU150は、当該リストに、「スマートスキャン」「プルプリント」および「ファックス受信連携ジョブ」のいずれかが含まれていれば、ステップS14へ制御を戻す。
【0077】
ステップS26にて、MFP100BのCPU150は、クラウドサーバー400に対してGWの設定の切替の指示を送信する。より具体的には、当該指示は、クラウドサーバー400に対して、LAN200のGWをMFP100AからMFP100Bへ切り替えることを指示する。
【0078】
ステップS28にて、MFP100BのCPU150は、MFP100Aの支配下にある全てのMFP100に対してGWの設定の切替の指示を送信する。
【0079】
ステップS30にて、MFP100BのCPU150は、クラウドサーバー400とトンネル接続を確立する。この場合、クラウドサーバー400は、ステップS26において送信された情報を利用して、MFP100BがGWであることを認識し、MFP100Bとのトンネル接続を確立する。
【0080】
図7の処理によれば、LAN200では、MFP100とクラウドサーバー400との間でジョブが送信されていない状態でGWが切り替えられる。これにより、LAN200におけるクラウドサービスの提供においてダウンタイムは発生しない。また、各MFP100は、作業員による操作ではなく、MFP100Bからの指示に応じて、GWの設定を変更する。これにより、作業員が各MFP100を操作するという煩雑な作業を省略することができ、また、当該操作によるGWの設定ミスが極力回避され得る。
【0081】
[11.クラウドサーバー400への設定切替指示後のジョブの送信]
図7のステップS26においてクラウドサーバー400に設定切替の指示が送信された後、ステップS28において各MFP100に設定切替の指示が送信される前に、MFP100からクラウドサーバー400にジョブが送信された状況において場合の処理について説明する。
図8は、本開示に係るネットワークシステムの挙動の一例を示す図である。
【0082】
図8において「(1)」が付されて示されるように、MFP100は、MFP100A(切替前のGW)にジョブ送信を要求する。これに応じて、MFP100AのCPU150は、「(2)」が付されて示されるように、クラウドサーバー400に対してジョブ送信を要求する。
【0083】
クラウドサーバー400は、既にステップS26(
図7)にて、MFP100BからGWの設定切替の指示を受信している。したがって、「(3)」が付されて示されるように、MFP100A(現GW)からの(2)のジョブ送信の要求に対して、応答(Res)の送信を所定時間遅らせる。
【0084】
一方、MFP100Bは、ステップS24にて全てのMFP100からジョブが送信されていないと判断した後、MFP100Aの支配下にあるMFP100の状態をウォッチング(監視)する。上記ウォッチングにより、MFP100Bは、「(4)」が付されて示されるように、「(1)」のジョブ送信の要求を認識する。
【0085】
「(5)」が付されて示されるように、MFP100BのCPU150は、クラウドサーバー400とのトンネル接続を確立する。当該トンネル接続の確立は、
図7のステップS30の制御に相当する。
【0086】
次に、「(6)」が付されて示されるように、MFP100BのCPU150は、「(1)」のジョブ送信を要求したMFP100から、ジョブのデータを取得する。当該ジョブのデータの取得は、たとえば、MFP100Bから当該MFP100にジョブのデータの送信を要求し、当該要求に応じて当該MFP100がMFP100Bにジョブのデータを送信することによって実現される。
【0087】
次に、「(7)」が付されて示されるように、MFP100BのCPU150は、「(1)」のジョブ要求の送信をクラウドサーバー400へ送信する。
【0088】
次に、「(8)」が付されて示されるように、MFP100BのCPU150は、「(1)」のジョブ要求を送信したMFP100に対して、LAN200内のGWをMFP100AからMFP100Bへ切り替えるように設定を変更することを指示する。
【0089】
以上、
図8を参照して説明された処理によれば、MFP100Bがクラウドサーバー400へ設定切替を指示(ステップS26)した後にMFP100がMFP100Aを介してクラウドサーバー400にジョブ送信を要求した場合であっても、改めて、当該ジョブ送信がMFP100Bを介してクラウドサーバー400に要求される。これによる、(1)のジョブ送信の要求に対するResが、クラウドサーバー400からMFP100B(切替後のGW)を介して、MFP100へ送信される。
【0090】
図8の(3)の「所定時間」は、クラウドサーバー400がMFP100Aからジョブ送信の要求((2))を受けてから、MFP100Bからジョブ送信の要求((7))を受けるまでに想定される時間の長さを少し上回るように設定される。具体的な値は、たとえば、クラウドネットワーク300におけるデータ伝送速度等の具体的な条件に従って設定され得る。
【0091】
[12.ジョブの状態の問合せに回答できなかったMFP100が存在した場合]
図7のステップS20においてジョブの状態が問合せられたときに、電源OFFなどで当該問合せに回答できない状態のMFP100が存在した場合の処理について説明する。
【0092】
ある実施の形態では、
図7のステップS24における、すべてのMFP100がクラウドサーバー400へジョブ送信の要求を送信していない状態(セッションが確立されていない状態)であるかどうかの判断は、LAN200内の全てのMFP100を対象としてもよいし、MFP100Bが問合せ(ステップS20)の送信から所定時間(実施されるシステムにおいて適宜設定される)内に回答(ステップS22)を受信しなかったMFP100を除外してもよい。
【0093】
[13.設定切替の指示の受領が確認できなかったMFP100が存在した場合]
図7のステップS28において設定切替の指示が送信されたときに、電源OFFなどで当該指示を受信できない状態のMFP100が存在した場合の処理について説明する。
【0094】
ある実施の形態において、CPU150は、ステップS28にて、MFP100Aの支配下のMFP100に設定切替の指示を送信する。各MFP100は、当該指示を受信すると、MFP100Bに受領の応答を送信する。MFP100BのCPU150は、受領の応答を受信しなかったMFP100を特定し、特定されたMFP100のそれぞれからのジョブ送信の要求の有無をウォッチングしてもよい。そして、MFP100BのCPU150は、当該特定されたMFP100からのジョブ送信の要求の送信を検出すると、
図8に示されたようなスキムに従って、要求の対象となったジョブデータを取得し、クラウドサーバー400へジョブ送信の要求を送信してもよい。
【0095】
[14.その他の変形例]
ある実施の形態では、MFP100Aがゲートウェイ(中継装置)として動作しているネットワークシステムにおいて、ゲートウェイがMFP100AからMFP100Bへ切り替えられるとき、クラウドサーバー400と全てのMFP100との間でデータの送受信が無い場合に、MFP100Bは、クラウドサーバー400と各MFP100に当該MFP100Bを新GWとして設定することを指示する。MFP100Aは、LAN200において中継装置として動作している「他の装置」の一例である。クラウドサーバー400と全てのMFP100との間のデータの送受信が無い場合の一例は、クラウドサーバー400と全てのMFP100との間でセッションが確立されていない場合(ステップS18およびステップS24においてYES)である。
【0096】
他の実施の形態では、クラウドサーバー400とMFP100との間でセッションが確立していていも、クラウドサーバー400とMFP100との間でジョブに係るデータの送受信が無い場合には、MFP100Bは、クラウドサーバー400と各MFP100に当該MFP100Bを新GWとして設定することを指示する。
【0097】
ジョブに係るデータの送受信が無い場合の一例は、MFP100が、ファックス受信連携ジョブが実行中であるが、ファクシミリ文書の送信元との間でファクシミリ通信を確立させている等の、ファクシミリ文書をクラウドサーバー400に送信する前の状態にあるときである。ジョブに係るデータの送受信が無い場合の他の例は、MFP100が、スマートスキャンジョブを実行中であるが、スキャンデータをクラウドサーバー400に送信する前の状態(スキャンデータを生成中等)にあるときである。ジョブに係るデータの送受信が無い場合のさらに他の例は、クラウドサーバー400が、リモートプリントジョブまたはリモートファックスジョブに係るジョブ送信を要求している場合であって、MFP100にデータを送信していない状態にあることである。
【0098】
以上説明された本開示では、GWは、画像処理装置と一体的に構成されていた。すなわち、MFP100は、画像処理部151等の画像処理装置としての構成を備え、かつ、所定のプログラムを実行すること等によりゲートウェイ機能40を実現するCPU150を備えていた。なお、GWは、画像処理装置と一体的に構成されていなくてもよい。
【0099】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。