(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記目標速度修正部は、前記目標速度を修正した後に前記回転速度の誤差が前記設定値を超えた場合に、その後に前記誤差が前記設定値以下になったときに前記目標速度の修正をやり直す、
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1には本発明の一実施形態に係るモータ制御装置2を備えた画像形成装置1の構成の概要が、
図2には画像形成装置1におけるシートPの搬送に関わる要部の構成が、それぞれ示されている。
【0018】
図1において、画像形成装置1は、コピー機、プリンタ、ファクシミリ機などの機能を集約したMFP(Multi-functional Peripheral :多機能機または複合機)である。画像形成装置1は、自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)1A、フラットベッド型のスキャナ1B、プリンタ部1C、および給紙部1Dなどを備える。
【0019】
自動原稿送り装置1Aは、原稿トレイにセットされたシート状の原稿をスキャナ1Bの読取り位置へ搬送する。スキャナ1Bは、自動原稿送り装置1Aから搬送されてきた原稿またはプラテンガラスの上にユーザによりセットされた原稿の画像を読み取って画像データを生成する。
【0020】
プリンタ部1Cは、コピー、ネットワークプリンティング(PCプリント)、ファクシミリ受信、およびボックスプリントなどの印刷ジョブにおいてシート(記録用紙)の片面または両面にカラーまたはモノクロの画像を形成する。
【0021】
給紙部1Dは、多数枚のシートの収納が可能は複数の給紙トレイを備え、選択された給紙トレイからシートを取り出してプリンタ部1Cに供給する。給紙部1Dは、標準装備である本体給紙ユニット1Daとオプション装備である給紙キャビネット1Dbとから構成されている。
【0022】
図2において、プリンタ部1Cは、電子写真法により画像を形成するタンデム型のプリンタエンジン10を備えている。プリンタエンジン10は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)のトナー像を形成する4個のイメージングステーション11,12,13,14を有する。イメージングステーション11〜14の基本的な構成は同様であり、それぞれ筒状の感光体、帯電チャージャ、プリントヘッド、現像器、およびクリーナを有する。
【0023】
カラー印刷モードにおいて、イメージングステーション11〜14は、それぞれトナー像を形成する。形成されたトナー像は、中間転写ベルト15に一次転写され、レジストローラ67を経て搬送されてきたシートPに二次転写される。二次転写の後、シートPは定着器17の内部を通って排紙トレイ18へ送り出される。定着器17を通過するとき、加熱および加圧によってトナー像がシートPに定着する。
【0024】
画像形成装置1は、図中に太い実線で示す搬送路50を有している。搬送路50は、給紙部1Dから上方に延びてレジストローラ67、二次転写ローラ68、および定着器17を順に経て排出口570,590に通じている。搬送路50は、レジストローラ67の上流で1つに合流する複数の給紙路51,52,55、定着器17から片面印刷用の排出口570に通じる排出路57、両面印刷に際してシートPの表裏を反転してレジストローラ67へ戻すための反転路58、および反転路58へシートPを送り込むためのスイッチバック通路59を含んでいる。スイッチバック通路59は、両面印刷用の排出路でもある。給紙路51は、本体給紙ユニット1Daに対応し、給紙路52は、給紙キャビネット1Dbに対応する。給紙路55は、手差し給紙のための通路である。
【0025】
給紙路51には、ピックアップローラ61および給紙ローラ62が配置されている。ピックアップローラ61は、収納カセットからそれに積層されているシート群のうちの最上のシートPを取り出して搬送路50に搬入する。給紙ローラ62は、搬入されたシートPを下流の搬送ローラ63へ送る。搬送ローラ63は、シートPをレジストローラ67へ搬送する。ピックアップローラ61および給紙ローラ62の駆動源は、モータ3a(給紙モータ)であり、搬送ローラ63の駆動源は、モータ3b(搬送モータ)である。
【0026】
給紙路52には、ピックアップローラ64および給紙ローラ65が配置されている。ピックアップローラ61により搬入されたシートPは、給紙ローラ65により搬送ローラ66へ進む。搬送ローラ66は、シートPを下流の搬送ローラ63へ送る。ピックアップローラ64および給紙ローラ65の駆動源は、モータ3g(キャビネット給紙モータ)であり、搬送ローラ66の駆動源は、モータ3h(キャビネット搬送モータ)である。
【0027】
レジストローラ67は、シートPが到着するときには停止しており、中間転写ベルト15に一次転写されたトナー像とシートPとを位置合わせするタイミングで起動されてシートPを二次転写ローラ68へ送り出す。レジストローラ67の駆動源は、モータ3c(レジストモータ)である。レジストローラ67の上流側の近傍に、シートPの到着を検知するためのシートセンサ87が配置されている。
【0028】
排出路57には、シートPを排紙トレイ18へ送り出す排紙ローラ69が配置されている。排紙ローラ69の駆動源は、モータ3d(排紙モータ)である。
【0029】
スイッチバック通路59には、反転/排紙ローラ70が配置されている。反転/排紙ローラ70は、正転駆動されてシートPを排出口590へ送る。シートPが通過し終える以前のタイミングで反転駆動され、シートPを反転路58へ搬入する。そして、その後に正転駆動され、両面印刷後のシートPを排出口590から排紙トレイ18へ送り出す。反転/排紙ローラ70の駆動源は、モータ3e(反転/排紙モータ)である。
【0030】
反転路58には、シートPを搬送する複数のローラ71,72が配置されている。これらのローラ71,72の駆動源は、モータ3f(反転搬送モータ)である。
【0031】
画像形成装置1は、シートPの搬送に関わるモータの他に、モータ3i,3j,3kを有している。モータ3iは、イメージングステーション11〜14の現像器にトナーボトルからトナーを補給する機構を駆動するトナー補給モータである。モータ3jは、自動原稿送り装置1Aにおいて、原稿を搬送する機構を駆動する原稿搬送モータである。モータ3kは、スキャナ1Bにおいて、原稿の副走査のためのスライダを駆動するスキャナモータである。
【0032】
以下において、モータ3a〜3kを区別せずにこれらの全体またはそれぞれを「モータ3」と記すことがある。また、例えばモータ3aを給紙モータ3aと記すというように、各モータ3の用途を示す語句を付して記すことがある。
【0033】
図3には画像形成装置1におけるモータ3の制御に関わる要部の構成が示され、
図4にはモータ3の構成の例、モータ3のd−q軸モデル、およびモータ3の運転パターン9の概要が示されている。
【0034】
図3(A)に示すように、画像形成装置1は、メカコントローラ20a、キャビネットコントローラ20b、スキャナコントローラ20c、およびDFコントローラ20dを有する。これらのコントローラは、それぞれ
図3(B)に示すモータ制御装置2における上位制御部20としてモータ3の制御に関わる。モータ制御装置2は、上位制御部20とベクトル制御部25とから構成され、モータ3に電流を流すモータ駆動部26を制御する。
【0035】
図3(A)では、上位制御部20とそれが受け持つモータ3との対応をわかりやすくするために、ベクトル制御部25およびモータ駆動部26の図示が省略されている。
【0036】
メカコントローラ20aは、プリンタ部1Cおよび本体給紙ユニット1Da内のメカニズム(機械装置)のコントローラであり、モータ3a〜3f,3iの制御を受け持つ。例えば汎用のCPU(Central Processing Unit)、または特定の用途向けASIC(Application Specific Integrated Circuit )を用いてメカコントローラ20aを構成することができる。
【0037】
キャビネットコントローラ20bは、給紙キャビネット1Dbのコントローラであり、モータ3g,3hの制御を受け持つ。スキャナコントローラ20cは、スキャナ1Bのコントローラであり、モータ3kの制御を受け持つ。例えば受光信号の量子化およびシェーディング補正などのデータ処理の機能も有したSOC(System on a chip) を用いてスキャナコントローラ20cを構成することができる。DFコントローラ20dは、自動原稿送り装置1Aのコントローラであり、モータ3jの制御を受け持つ。
【0038】
図4(A)において、モータ3は、センサレス型の永久磁石同期電動機(PMSM:Permanent Magnet Synchronous Motor)である。モータ3は、回転磁界を発生させる電機子としての固定子31と、永久磁石を用いた回転子32とを備えている。固定子31は、電気角120度間隔で配置されたU相、V相、W相のコア36,37,38、およびY結線された3つの捲線(コイル)33,34,35を有している。U相、V相およびW相の3相交流電流を捲線33〜35に流してコア36,37,38を順に励磁することによって回転磁界が生じる。回転子32は、この回転磁界に同期して回転する。
【0039】
図4(A)に示す例では、回転子32の磁極数は2である。ただし、回転子32の磁極数は2に限らず、4、6またはそれ以上であってもよい。回転子32は、アウター式でもよく、インナー式でもよい。また、固定子31のスロット数は3に限らない。いずれにしても、モータ3に対して、d−q座標系を基本とした制御モデルを用いて磁極位置および回転速度の推定を行うベクトル制御(センサレスベクトル制御)が、モータ制御装置2のベクトル制御部25により行われる。
【0040】
なお、以下において、回転子32のS極およびN極のうちの黒丸で示すN極の回転角度位置を、回転子32の「磁極位置PS」と記すことがある。
【0041】
モータ3のベクトル制御では、モータ3の捲線33〜35に流れる3相の交流電流を、回転子32である永久磁石と同期して回転している2相の捲線に流す直流電流に変換して制御を簡単化する。
【0042】
図4(B)に示すように、永久磁石の磁束方向(N極の方向)をd軸とし、d軸から電気角でπ/2[rad](90°)進んだ方向をq軸とする。d軸およびq軸はモデル軸である。U相の捲線33を基準とし、これに対するd軸の進み角をθと定義する。この角度θは、U相の捲線33に対する磁極の角度位置(磁極位置PS)を示す。d−q座標系は、U相の捲線33を基準としてこれより角度θだけ進んだ位置にある。
【0043】
モータ3は回転子32の角度位置(磁極位置)を検出する位置センサを有していないので、ベクトル制御部25は、回転子32の磁極位置PS、すなわち角度θを推定し、その推定した角度θである推定角度θmを用いて回転子32の回転を制御する。
【0044】
図4(C)に示す通り、複数のモータ3に適用される運転パターン、すなわちモータ3の回転を制御するモータ制御期間T3における回転速度ωの推移の設定は、基本的にはいわゆる台形駆動を行う加減速パターンである。つまり、停止状態から駆動を開始して定常速度ω1まで加速し、所定の時間にわたって定常速度ω1を維持し、その後に減速して停止させる。
【0045】
加速区間T31の開始タイミングである起動タイミングt0、定速区間T32の開始タイミングt1、減速区間T33の開始タイミング(停止制御開始タイミング)t2、および停止タイミングt3は、モータ3の駆動対象に応じてあらかじめ定められる。起動タイミングt0から他のタイミングt1,t2,t3のそれぞれまでの時間の長さは、固定であったり可変であったりする。可変の例として、搬送中のシートPを検出するセンサがオンになるタイミングに応じてタイミングt2,t3を調整する場合がある。
【0046】
なお、回転速度の推定が困難な低速回転時には、強い回転磁界を発生させて強制的に磁極位置PSを追従させる手法を用いることができる。また、停止状態の磁極位置PS(初期位置)を検知する必要がある場合には、例えばインダクティブセンシングによって初期位置を検知する。
【0047】
さて、画像形成装置1は、モータ3の設定タイミングからの回転角度量を目標角度量と一致するよう補正する機能を有している。例えばシートPの搬送において、目標角度量に対する回転角度量の誤差は、搬送方向のシートPの位置ずれとして顕在化する。自動原稿送り装置1Aにおける原稿の搬送においては、スキャナ1Bの読取り位置に対する原稿の位置ずれとして顕在化する。また、スキャナ1Bにおいては、原稿画像に対する読取り開始位置の副走査方向のばらつきとなって顕在化する。回転角度量を補正することにより、画像の印刷または読取りの品質を高めることができる。
【0048】
以下、回転角度量を補正する機能を中心に画像形成装置1の構成および動作を説明する。
【0049】
図5には回転角度量の補正を行う補正期間の設定の例が示されている。
【0050】
画像形成装置1は、モータ制御期間T3にわたって常に誤差を抑えるよう逐次に補正するのではなく、回転角度量を目標角度量と一致させたい「位置決めタイミング」を基準に定めた補正期間に、それまでに蓄積した誤差がなくなるよう補正(角度量補正)を行う。
【0051】
なお、この角度量補正は、シートPを搬送するためのモータ3においては、設定タイミングからの搬送距離を補正するものであり、目標角度量と一致させたいタイミングにおける搬送路50上のシートPの位置を補正する位置補正となる。
【0052】
本実施形態において、角度量補正を行うタイミングである補正期間T5は、
図5に示す〔1〕〜〔3〕の3つに分類される。
【0053】
図5に示す〔1〕の「定常初期」は、起動から回転速度が定常速度ω1になって安定するまでの立上げ期間T3aの直後の期間であり、定速区間T32の前半において回転角度量に高い精度が要求される場合に適用される。例えば、搬送モータ3b、レジストモータ3b、キャビネット搬送モータ3h、原稿搬送モータ3j、およびスキャナモータ3kに適用される。
【0054】
立上げ期間T3aは、目標速度に対する実際の回転速度の誤差が変動すると予想される期間の例である。一般に、モータ3およびその駆動対象(ローラなど)の回転が始まってから暫くの間は、回転速度の制御において比較的大きなオーバーシュートおよびアンダーシュートが発生する。回転速度の誤差が変動すると、回転角度量の誤差の増加の度合いが変動する。このため、その後における回転角度量の誤差の大きさ、つまり補正量を決定するのが困難である。したがって、立上げ期間T3aに誤差補正を行ったとしても、正しく補正することができないおそれがある。そこで、定常初期は、このような立上げ期間T3aを避けた期間のうちの比較的に早い時期とされている。
【0055】
図5に示す〔2〕の「定常中」は、定速区間T32のうちの立上げ期間T3aよりも後の期間であり、立上げ期間T3aに生じた誤差を定速区間T32の大半を用いて補正することが許される場合に適用される。例えば、シートPを排紙するときにはシートPを位置決めする必要がないので、排紙モータ3dおよび反転/排紙モータ3eの正転駆動に適用される。補正にかけることができる時間が長ければ、補正に伴う回転速度の変化を緩やかにして補正の影響を小さくすることができる。
【0056】
図5に示す〔3〕の「停止直前」は、減速区間T33内の期間であり、モータ3が停止したときの回転角度量を目標角度量と一致させたい場合などに適用される。例えば、給紙モータ3a、搬送モータ3b、反転/排紙モータ3eの反転駆動、反転搬送モータ3f、キャビネット給紙モータ3g、およびキャビネット搬送モータ3nなどに適用される。複数のシートPを連続的に搬送する場合には、先行のシートPがレジスト位置でいったん停止するのに合わせて後続のシートPを必要最小限のシート間距離(紙間)を設けて停止させる必要がある。紙間が長いと、印刷の生産性が低下し、紙間が短すぎると、ジャムが発生するおそれがあるからである。
【0057】
図6にはモータ制御装置2の構成の例が、
図7にはベクトル制御部25の構成の例が、それぞれ示されている。
【0058】
図6に示すモータ制御装置2aは、メカコントローラ20aを上位制御部20として備えており、モータ3a〜3f,3iを制御する(
図3参照)。なお、
図6では、モータ3a〜3f,3iのうちのモータ3a〜3cに対応する部分の構成が示されている。
【0059】
図6において、モータ制御装置2aは、モータ3a〜3cをそれぞれベクトル制御するベクトル制御部25a,25b,25cと、ベクトル制御部25a,25b,25cに目標速度(ω*)を入力する速度指令部21と、モータ3a〜3cの回転角度量を補正するための角度量補正部22とを有する。ベクトル制御部25a,25b,25cの構成はいずれも同様である。速度指令部21および角度量補正部22は、メカコントローラ20aに設けられている。つまり、速度指令部21および角度量補正部22の機能は、メカコントローラ20aのハードウェア構成により、および制御プログラムがシートPの搬送を制御するプロセッサ(例えばCPU)によって実行されることにより実現される。
【0060】
ベクトル制御部25a,25b,25cは、それぞれモータ3a〜3cの回転速度(ωm)および磁極位置PSを推定する速度・位置推定部46を有している。速度・位置推定部46は、モータ3の回転子32の磁極位置PSを周期的に推定する磁極位置推定部の例である。ベクトル制御部25a,25b,25cの構成については後で述べる。
【0061】
速度指令部21は、モータ3a〜3cごとにあらかじめ定められた運転パターンに従って、各モータ3a〜3cの目標速度(ω*)を、ベクトル制御部25a,25b,25cに対して周期的に出力する。なお、そのような運転パターンは、制御データの一部として適当なメモリに記憶しておけばよい。
【0062】
角度量補正部22は、角度量積算部23と目標速度修正部24とを有する。
【0063】
角度量積算部23は、モータ3a〜3cごとに定められた設定期間中に各ベクトル制御部25a,25b,25cにおいて推定された磁極位置PSを示す推定角度θmに基づいて、モータ3a〜3cごとにその設定期間における回転角度量を積算する。
【0064】
設定期間は、モータ制御期間T3における位置決めタイミングに対して定められる期間であって、回転角度量を補正する補正期間T5とその補正量を決定するために回転角度量を積算する補正前期間とからなる。モータ制御期間T3に複数の位置決めタイミングがある場合は、位置決めタイミングごとに設定期間が定められる。モータ制御期間T3の全体が設定期間とされる場合もあるし、モータ制御期間T3の一部が設定期間とされる場合もある。
【0065】
回転角度量を積算する処理として、角度量積算部23は、例えば次式により表わされる積算量Σdθを算出する。
【0066】
Σdθ=(360°−θm1)+360°×n+θm2
θm1:積算を開始するときの推定角度θm
θm2:現在の(最新の)推定角度θm
n:推定角度θmが0になるかまたは減少した回数のカウント値
なお、積算量Σdθは、1よりも細かい刻みの回転回数Nに1回転分の角度量(360°)を乗じた値に相当する。そして、この回転回数N、搬送用のローラにモータ3の回転駆動力を伝えるギヤの減速比、およびローラの半径などにより、シートPの搬送距離が決まる。
【0067】
目標速度修正部24は、速度指令部21が各ベクトル制御部25a〜25cに対して補正期間T5において出力する目標速度ω*を修正する。つまり、各モータ3a〜3cの運転パターンを部分的に修正する。修正は、詳しくは、補正期間T5の開始タイミングにおける回転角度量の積算量Σdθに基づいて、補正期間T5の終了タイミングにおける回転角度量が目標角度量と一致するよう目標速度ω*の推移を変更するものである。修正の内容は、適時に速度指令部21に通知され、ベクトル制御部25a〜25cに対する指令に反映される。ただし、修正は当該補正期間T5に限って有効であり、当該補正期間T5の以後は元の運転パターンが有効となる。つまり、モータ3を起動するごとに改めて修正が行われる。
【0068】
図7において、ベクトル制御部25は、電流検出部27による検出値に基づいて、モータ駆動部26に与える制御信号U+,U−,V+,V−,W+,W−を生成する。
【0069】
モータ駆動部26は、モータ3の捲線33〜35に電流を流して回転子を駆動するためのインバータ回路である。モータ駆動部26は、ベクトル制御部25からの制御信号U+,U−,V+,V−,W+,W−に従って複数のトランジスタをオンオフすることにより、直流電源ライン260から接地ラインへ捲線33〜35を介して流れる電流を制御する。詳しくは、捲線33を流れる電流Iuを制御信号U+,U−に従って制御し、捲線34を流れる電流Ivを制御信号V+,V−に従って制御し、捲線35を流れる電流Iwを制御信号W+,W−に従って制御する。
【0070】
電流検出部27は、捲線33,34に流れる電流Iu,Ivを検出する。Iu+Iv+Iw=0であるので、検出した電流Iu,Ivの値から計算によって電流Iwを求めることができる。なお、W相電流検出部を有してもよい。
【0071】
電流検出部27は、電流Iu,Ivの流路に挿入されているシャント抵抗による電圧降下を増幅してA/D変換し、電流Iu,Ivの検出値として出力する。すなわち、2シャント方式の検出を行う。シャント抵抗の抵抗値は1/10Ωオーダーの小さい値である。
【0072】
ベクトル制御部25には、上位制御部20から目標速度(速度指令値)ω*を示す速度指令S1が入力される。
【0073】
ベクトル制御部25は、速度制御部41、電流制御部42、出力座標変換部43、PWM変換部44、入力座標変換部45、および速度・位置推定部46を有する。
【0074】
速度制御部41は、上位制御部20からの目標速度ω*と速度・位置推定部46からの推定速度ωmとの差を零に近づける比例積分制御(PI制御)のための演算を行い、d−q座標系の電流指令値Id*,Iq*を決定する。推定速度ωmは周期的に入力される。速度制御部41は、推定速度ωmが入力されるごとに電流指令値Id*,Iq*を決定する。
【0075】
電流制御部42は、電流指令値Id*と入力座標変換部45からの推定電流値(d軸電流値)Idとの差、および電流指令値Iq*と同じく入力座標変換部45からの推定電流値(q軸電流値)Iqとの差を零に近づける比例積分制御のための演算を行う。そして、d−q座標系の電圧指令値Vd*,Vq*を決定する。
【0076】
出力座標変換部43は、速度・位置推定部46からの推定角度θmに基づいて、電圧指令値Vd*,Vq*をU相、V相、およびW相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変換する。つまり、電圧について2相から3相への変換を行う。
【0077】
PWM変換部44は、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に基づいて制御信号U+,U−,V+,V−,W+,W−のパターンを生成し、モータ駆動部26へ出力する。制御信号U+,U−,V+,V−,W+,W−は、モータ3に供給する3相交流電力の周波数および振幅をパルス幅変調(PWM: Pulse Width Modulation )により制御するための信号である。
【0078】
入力座標変換部45は、電流検出部27により検出されたU相の電流IuおよびV相の電流Ivの各値からW相の電流Iwの値を算出する。そして、速度・位置推定部46からの推定角度θmと3相の電流Iu,Iv,Iwの値とに基づいて、d−q軸座標系の推定電流値であるd軸電流値Idおよびq軸電流値Iqを算出する。つまり、電流について3相から2相への変換を行う。
【0079】
速度・位置推定部46は、入力座標変換部45からの推定電流値(Id,Iq)と電流制御部52からの電圧指令値Vd*,Vq*とに基づいて、いわゆる電圧電流方程式に従って速度推定値ωmおよび推定角度θmを求める。求められた速度推定値ωmは、速度制御部41および上位制御部20に入力される。求められた推定角度θmは、出力座標変換部43および入力座標変換部45に入力されるとともに、回転角度量を特定するための情報として上位制御部20に入力される。
【0080】
なお、上に示したベクトル制御部25および上位制御部20などの構成は一例であり、ベクトル制御を行うために他の種々の構成を採用することが可能である。
【0081】
図8には角度量補正の一例が、
図9には補正期間T5の設定の変形例が、
図10には補正期間T5の設定の他の変形例が、
図11には各モータ3の諸元および駆動条件を示す情報84の例が、それぞれ示されている。
【0082】
図8の例では、レジストモータ3cにおける角度量補正が想定されている。レジストモータ3cは、シートPがレジストローラ67に到着するタイミングでは停止しており、シートPの先端部が適度に撓むタイミングで起動される。起動によりレジストローラ67によるシートPの搬送が始まる。その後、シートPがレジストローラ67を通過し終えたタイミングでレジストモータ3cの制御が定速制御から減速制御に切り替わり、レジストモータ3cは停止する。
【0083】
レジストモータ3cについては、トナー像が二次転写位置に到着する転写開始タイミングにシートPにおける転写予定領域の先端が二次転写位置を通過するよう制御することが要求される。この制御が正しく行われないと、シートPと画像との位置ずれが生じる。
【0084】
そこで、
図8(A)のように、位置決めタイミングtxは、転写開始タイミングまたはその直前のタイミングとされる。そして、レジストローラ67によるシートPの搬送距離をレジストローラ67から二次転写位置までの搬送路の長さと一致させる必要があるので、設定期間T4の開始タイミングは、レジストモータ3cの起動タイミング(t0)とされる。
【0085】
補正期間T5は、
図8(B)に示すように、設定期間T4のうちの立上げ期間T3a以降の期間とされる。この場合には、立上げ期間T3aが、補正量を特定するための補正前期間となる。
【0086】
立上げ期間T3aとして、目標速度ω*に対する回転速度ωの誤差の変動が設定範囲内に収束するタイミングをあらかじめ実験などにより求め、収束に要する時間以上の適切な待ち期間を定めておくことができる。その場合には、起動タイミング(t0)からその待ち時間が経過したタイミングが補正期間T5の開始タイミングtwとなる。または、定速区間T32において誤差の変動を監視し、変動が実際に収束したタイミングを開始タイミングtwとすることができる。
【0087】
いずれにしても、立上げ期間T3aでは、目標速度ω*に対して実際の回転速度ωが大きくずれる。特に、加速区間T31と定速区間T32との境界付近で回転速度ωに大きなオーバーシュートが生じることが多い。このため、
図8(C)中に一点鎖線で示す目標角度量Θoに対して、太い実線で示す回転角度量Θは、ずれる。回転速度ωのずれが大きくなれば、回転角度量Θのずれも大きくなる。
【0088】
立上げ期間T3a以降では、
図8(B)に示すように、回転速度ωはほぼ目標速度ω*とほぼ同じ値に保たれる。したがって、
図8(C)中に破線で示すように、角度量補正をしない場合の回転角度量Θは、目標角度量Θoに対してずれたまま目標角度量Θoと平行な状態で推移していく。
【0089】
補正期間T5では、位置決めタイミングtxにおいて回転角度量Θが目標角度量Θoと一致するよう、すなわち補正期間T5の開始タイミングtwにおける回転角度量Θの誤差dΘが位置決めタイミングtxにおいて0になるよう、角度量補正を行う。
【0090】
角度量補正として、
図8(D)に示すように、補正期間T5における目標速度ω*を修正する。これにより、運転パターン9が部分的に修正されて運転パターン9bとなる。
図8の例では、開始タイミングtwにおいて回転角度量Θが目標角度量Θoよりも多いので、つまりシートPの搬送が進み過ぎているので、搬送を誤差dΘの分だけ遅らすよう目標速度ω*を下げる。ただし、位置決めタイミングtxの以降もシートPを一定の速度で搬送し続けるので、位置決めタイミングtxにおいては目標速度ω*を元の運転パターン9と一致させる。つまり、位置決めタイミングtxまたはそれより前に元の定常速度ω1に戻すよう補正期間T5において目標速度ω*を推移させる。
【0091】
図9(A)に示すように、補正期間T5を、高負荷期間T6を避けた期間とすることにより、上位制御部20のプロセッサの処理負担を軽減することができる。
【0092】
高負荷期間T6とは、上位制御部20が1つのモータ3を制御しているモータ制御期間T3において、上位制御部20が所定以上の負荷となる何らかの処理を実行する期間、つまりプロセッサに加わる制御負荷が集中すると予想される期間である。
【0093】
あらかじめ、
図9(B)に示すように複数のモータ3のそれぞれについて高負荷期間T6を示す情報82に基づいて、高負荷期間T6を避けた補正期間T5を設定しておくことができる。
【0094】
図9(B)の例において、情報82は、モータ3の1つである「モータA」については、起動タイミングからの経過時間が10〜30msである期間が、プロセッサがセンサ出力に基づく高精度検知を行うので高負荷期間T6であることを示している。情報82中の「時間外」は、モータAの制御以外の高負荷処理がモータAのモータ制御期間T3ではない期間に実行されることを示している。また、「モータB」については、起動タイミングからの経過時間が40〜50msである期間と100〜120msである期間とが高負荷期間T6であることを示している。
【0095】
他の変形例として、
図10(A)に示すように、目標速度ω*に対する回転速度ωの誤差が設定値以下に減少するタイミングを補正期間T5の開始タイミングとしてもよい。この変形例においては、目標速度修正部24は、目標速度ω*を修正した後に回転速度ωの誤差が設定値を超えた場合に、その後に回転速度ωの誤差が設定値以下になったときに目標速度ω*の修正をやり直す。
【0096】
この変形例において、
図10(B)に示すように、補正期間T5の開始タイミングtwの許容範囲を示す情報83として、最も早い開始タイミングtwyおよび最も遅い開始タイミングtwzを定めておくことができる。その際に、
図11のように各モータの諸元および駆動条件を示す情報84を用いる。
図10(B)の例において、例えばモータAについて最も早い開始タイミングtwyとして起動タイミングからの経過時間が30msであるタイミングが、最も遅い開始タイミングtwzとして同じく経過時間が95msであるタイミングが定められている。
【0097】
目標速度修正部24は、最も早い開始タイミングtwyの以前に回転速度ωの誤差が設定値以下になっても目標速度ω*を修正しない。また、最も遅い開始タイミングtwzが到来すると、そのときの回転速度ωの誤差が設定値を超えていても、目標速度ω*の修正を開始する。
【0098】
最も早い開始タイミングtwyは、回転速度ωの誤差が短い周期で変動しやすい起動直後に、角度量補正の開始と停止とを頻繁に繰り返すのを防ぐために設定される。最も遅い開始タイミングtwzは、回転速度ωの変動の収束が予想よりも遅れた場合に、角度量補正が急峻になり過ぎて回転の制御に乱れが生じるのを防ぐために設定される。位置決めタイミングtxから
図11の情報84のうちの補正所要時間を逆算したタイミングが、最も遅い開始タイミングtwzとされる。
【0099】
図12には減速区間T33に行う場合の角度量補正の一例が、
図13には減速区間T33に行う場合の角度量補正の他の例が、それぞれ示されている。
【0100】
図12(A)において、位置決めタイミングtxは、停止タイミング(t3)とされ、補正期間T5の開始タイミングtwは、減速区間T33の初期とされている。
図12(B)に示す例では、補正期間T5の開始タイミングtwにおける回転角度量Θは、目標角度量Θoよりも少ない。
【0101】
補正期間T5では、位置決めタイミングtxにおいて回転角度量Θが目標角度量Θoと一致するよう角度量補正を行う。その角度量補正として、
図12(C)に示すように、運転パターン9を目標速度ω*の減速をいったん遅らせてその後に戻す運転パターン9bに修正する。
【0102】
図13(A)において、位置決めタイミングtxは、停止タイミング(t3)とされ、補正期間T5の開始タイミングtwは、定速区間T32の終盤とされている。
図13(B)に示す例では、補正期間T5の開始タイミングtwにおける回転角度量Θは、目標角度量Θoよりも多い。
【0103】
補正期間T5では、位置決めタイミングtxにおいて回転角度量Θが目標角度量Θoと一致するよう角度量補正を行う。その角度量補正として、
図13(C)に示すように、運転パターン9を減速区間T33の開始タイミングt2を開始タイミングt2’に早める運転パターン9bに修正する。
【0104】
図13の例は、位置決めタイミングtxにおいて回転角度量Θが目標角度量Θoと一致していれば、位置決めタイミングtxの以前に回転角度量Θが目標角度量Θoと一致してもよい場合に適用することができる。
【0105】
図14には補正期間T5の設定が異なる複数の運転パターンが適用される場合の例が示されている。
【0106】
図14の例では、レジストローラ67の上流に配置される搬送ローラ63を駆動する搬送モータ3bにおける角度量補正が想定されている。
【0107】
複数枚のシートPに順に画像を形成するマルチ印刷において、搬送ローラ63は、シートPごとに起動と停止とを繰り返す。その際、
図14(A)に示すように、1枚目のシートP1を搬送するときには第1の運転パターン9Aおよび第2の運転パターン9Bが適用され、2枚目以降のシートP2を搬送するときには第2の運転パターン9Bが適用される。
【0108】
図14(B)では、1枚目および2枚目のシートP1,P2を搬送する期間内の複数のタイミングt11〜t15のシートP1,P2の状態が模式的に示されている。
【0109】
1枚目のシートP1については、先行のシートPがないので、紙間を制御することなく下流のレジストローラ67までシートP1を搬送すればよい。また、レジストローラ67に到着した後の制御のタイミングは、シートセンサ87によるシートP1の検出を契機として調整することができる。したがって、搬送モータ3bの起動後の早い段階で角度量補正を行う必要はない。
【0110】
シートP1は、その先端がシートセンサ87を通過するタイミングt10から間もないタイミングt11に、レジストローラ67に到着する。到着後、先端部を撓ませていわゆるループを形成するために、例えば3mmだけシートP1を下流に送って停止させるよう搬送モータ3bを制御する。過不足のないループを形成するために、シートP1の停止位置に高い精度が要求される。そこで、1枚目のシートP1については、第1の運転パターンにおける停止直前(
図5参照)に補正期間T5を設定して角度量補正を行う。
【0111】
搬送モータ3bが停止した後、レジストモータ3cが起動されてシートP1が二次転写位置へ搬送される。レジストローラ67の手前のループを保ったまま搬送するために、レジストローラ67の起動とほぼ同時に搬送モータ3bが起動される。
【0112】
1枚目のシートP1が搬送ローラ63を通過した後、所定の紙間を設けて2枚目のシートP2が搬送ローラ63に到着し、搬送ローラ63によるシートP2の搬送が始まる。先行のシートP1との紙間を制御する必要があるので、第2の運転パターン9Bにおける定常初期に補正期間T5を設定して角度量補正を行う。
【0113】
その後、1枚目のシートP1の場合と同様に適正なループを形成するために、第2の運転パターン9Bにおける停止直前に補正期間T5を設定して角度量補正を行う。
【0114】
つまり、搬送モータ3cを第1の運転パターン9Aにより制御するときには角度量補正を1回行い、第2の運転パターン9Bにより制御するときには角度量補正を2回行う。
【0115】
図15にはクラッチ630,670を用いる場合の角度量補正の例が示されている。
【0116】
図15(A)においては、搬送ローラ63およびレジストローラ67の共通の駆動源としてレジストモータ3cが用いられ、その回転駆動力はクラッチ630,670を介して搬送ローラ63およびレジストローラ67に伝達される。
【0117】
レジストローラ67の回転および停止は、クラッチ670の連結(オン)および解放(オフ)により制御される。
【0118】
図15(B)において、レジストモータ3cが定常速度で回転しているタイミングt31にクラッチ670に対してオフからオンへの切替えが指令される。しかし、何らかの要因により想定よりも大きい連結遅れが生じる場合がある。連結遅れは、クラッチ670の接続条件の例である。
【0119】
連結遅れが生じると、目標角度量Θoに対して回転角度量Θに誤差が生じる。そこで、補正期間T5において、この誤差が0になるよう角度量を補正する。
【0120】
図16にはモータ制御装置2における処理の流れが、
図17には角度量補正処理の流れの例が、
図18には開始判定処理の流れの複数の例が、
図19には開始判定処理の流れの他の例が、それぞれ示されている。
【0121】
図16において、モータ3を起動し(#101)、回転速度ωと目標速度ω*とのずれの監視を開始する(#102)。角度量補正処理を実行し(#103)、モータ3を停止させる(#104)。
【0122】
図17において、開始条件を満たす場合に角度量補正を開始する開始判定処理を実行する(#301)。位置決めタイミングtxまでの所定の時間が経過するか(#302でYES)、または停止条件となる状態をセンサにより検出したときに(#303でYES)、角度量補正を終了する(#304)。
【0123】
その後も角度量補正を行う必要がある場合には(#305でYES)、ステップ#301へ戻る。その後に角度量補正を行う必要がない場合には(#305でNO)、メインルーチンへリターンする。
【0124】
図18(A)において、所定時間T3aが経過した場合に(#311でYES)、角度量補正を開始する(#312)。
【0125】
図18(B)において、回転速度ωの変動量が所定値より小さくなったときに(#321でYES)、角度量補正を開始する(#322)。
【0126】
図18(C)において、所定時間T3aが経過しかつ制御負荷が所定値よりも小さい場合に(#331でYES、#332でYES)、角度量補正を開始する(#333)。
【0127】
図18(D)において、回転速度ωの変動量が所定値より小さくなりかつ制御負荷が所定値よりも小さい場合に(#341でYES、#342でYES)、角度量補正を開始する(#343)。
【0128】
図19において、回転速度ωの誤差が設定値以下に減少したときに(#351でYES)、角度量補正を開始し(#352)、回転速度ωの誤差が設定値を超えたときに(#353でYES)、角度量補正を終了する(#354)。角度量補正を開始していない状態において、他の開始条件を満たすタイミングになると(#355でYES)、角度量補正を開始する(#356)。
【0129】
以上の実施形態によると、従来よりも簡便に回転角度量ωの誤差を低減することができる。
【0130】
上に述べた実施形態において、スイッチバック通路59の反転/排紙ローラ70を駆動する反転/排紙モータ3eについて、設定期間T4として、シートPをスイッチバック搬送する期間を含む第1設定期間を設定することができる。そして、その補正期間T5を、対応する運転パターン9における減速区間内の期間とすることができる。また、その後に反転/排紙ローラ70について、設定期間T4として、両面に画像を形成したシートPを排出する期間を含む第2設定期間を設定することができる。そして、その補正期間T5を、対応する運転パターン9における定速区間内の期間とすることができる。
【0131】
上に述べた実施形態においては、立上げ期間T3aに生じた誤差dΘが角度量補正をしない場合にそのまま保たれるものとして説明したが、この誤差dΘが立上げ期間T3a以後に変化することがあり得る。その場合の角度量補正においては、補正期間T5の開始タイミングにおける誤差dΘにその後の変化分を加減算して位置決めタイミングtxにおける誤差dΘを求め、求めた誤差dΘが位置決めタイミングtxでは0となるよう目標速度ω*の推移を修正すればよい。
【0132】
上に述べた実施形態において、自動原稿送り装置1Aの原稿搬送モータ3jについては、原稿がスキャナ1Bの読取り位置に到着する予定のタイミングを位置決めタイミングtxとして角度量補正を行えばよい。これにより、スキャナ1Bの読取り位置に対する原稿の位置ずれがなくなり、原稿画像の読取りの品質が高まる。また、スキャナ1Bのスキャナモータ3kについては、スライダが退避位置から移動して読取り位置に到着する予定のタイミングを位置決めタイミングtxとして角度量補正を行えばよい。これにより、原稿画像に対する読取り開始位置の副走査方向のばらつきがなくなり、読取りの品質が高まる。
【0133】
その他、画像形成装置1およびモータ制御装置2のそれぞれの全体または各部の構成、処理の内容、順序、またはタイミング、モータ3の構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。