(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導光板のうち前記出光面側には、各々が前記第2方向に延在する複数の出光側単位光学部であって、前記第1方向に垂直且つ前記第2方向に垂直に配列される複数の出光側単位光学部が形成されている請求項1〜8のいずれか一項に記載の導光板。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面に示される要素には、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等が実物のそれらから変更されている要素が含まれる。
【0029】
[第1実施形態]
図1は、表示装置10の概略構成を示す分解断面図である。
【0030】
表示装置10は、面状に発光する面光源装置20と、面光源装置20の光学シート60に対向して配置される液晶表示パネル15と、面光源装置20と液晶表示パネル15との間に設けられる粘着層17と、を備える。面光源装置20及び液晶表示パネル15は、粘着層17で接着され、当該粘着層17を介して一体的に設けられている。表示装置10は、画像を表示する表示面11を有する。液晶表示パネル15は、面光源装置20からの光の透過または遮断を画素毎に制御するシャッターとして機能し、表示面11に像を表示するように構成されている。
【0031】
図示された液晶表示パネル15は、出光側に配置された上偏光板13と、入光側に配置された下偏光板14と、上偏光板13と下偏光板14との間に配置された液晶層12と、を有する。偏光板13、14は、入射した光を直交する二つの偏光成分(P波およびS波)に分解し、一方の方向(透過軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えばP波)を透過させ、前記一方の方向に直交する他方の方向(吸収軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えばS波)を吸収する機能を有する。
【0032】
液晶層12には、一つの画素を形成する領域毎に、電界印加がなされ得るようになっている。そして、電界印加の有無によって液晶層12中の液晶分子の配向方向が変化するようになる。一例として、入光側に配置された下偏光板14を透過した特定方向の偏光成分は、電界印加されていない液晶層12を通過する際にその偏光方向を90°回転させ、その一方で、電界印加された液晶層12を通過する際にその偏光方向を維持する。この場合、液晶層12への電界印加の有無によって、下偏光板14を透過した特定方向に振動する偏光成分が、下偏光板14の出光側に配置された上偏光板13をさらに透過するか、あるいは、上偏光板13で吸収されて遮断されるか、を制御することができる。
【0033】
このようにして液晶表示パネル(液晶表示部)15では、面光源装置20からの光の透過または遮断を画素毎に制御し得るようになっている。
【0034】
粘着層17は、面光源装置20と液晶表示パネル15との間に設けられ、面光源装置20と液晶表示パネル15とを貼り合わせて一体化する。粘着層17は、その内部に光拡散成分を含んでいてもよい。粘着層17としては、アクリル系粘着剤が用いられることが好ましい。また、粘着層17の厚みは、表示装置10の厚さが厚くなりすぎないこと等を考慮すると、100μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。また粘着層17の屈折率は、光学シート60の屈折率よりも大きく、粘着層17の屈折率と光学シート60の屈折率との差は0.3以下である。
【0035】
次に、面光源装置20について説明する。
【0036】
面光源装置20は、面状に光を発光する発光面21を有し、本実施形態では、液晶表示パネル15を背面側から照明する装置として用いられている。
【0037】
面光源装置20は、エッジライト型の面光源装置として構成され、導光板30と、導光板30の出光面31に対向して配置される光学シート60と、導光板30の入光面33に対向して配置される光源24と、導光板30の裏面32に対向して配置され光を反射する反射シート28とを備える。
【0038】
図示の例では、光学シート60が粘着層17を介して液晶表示パネル15に面している。そして、光学シート60の出光面61によって、面光源装置20の発光面21が画成されている。また光学シート60のうち、導光板30の出光面31に対向する面側には、プリズム層19が形成されている。
【0039】
図示の例において、導光板30の出光面31は、表示装置10の表示面11および面光源装置20の発光面21と同様に、平面視形状(光学シート60側から見た形状)が四角形形状となるように形成されている。この結果、導光板30は、一対の主面間において画成される4つの側面を含む。光学シート60は、全体的に、相対的に厚み方向の辺が他の辺よりも小さい直方体状の部材として構成されている。
【0040】
導光板30は、液晶表示パネル15側の一方の主面によって構成される出光面31と、出光面31に対向して配置されるもう一方の主面からなる裏面32と、出光面31と裏面32との間において第1方向D1に延在する入光面33(第1側面)及び反対面34(第2側面)とを有する。導光板30は、全体として楔形形状を有し、第1方向D1に関して入光面33は反対面34よりも大きく形成されている。なお第1方向D1は、面光源装置20及び液晶表示パネル15の積層方向に一致し、
図1では上下方向に対応する。また第2方向D2は、入光面33から反対面34に向かう方向に一致し、
図1では左右方向に対応する。
【0041】
入光面33から導光板30内に入射した光は、入光面33に対向する反対面34(
図1の右側の側面)に向け、概ね第2方向D2に沿って導光板30内を進行する。
【0042】
光源24は、例えば、線状の冷陰極管等の蛍光灯や、点状のLED(発光ダイオード)や白熱電球等の種々の態様で構成されうる。本実施形態における光源24は、入光面33の長手方向(第1方向D1に垂直且つ第2方向D2に垂直な第3方向D3)に沿って、並んで配置された多数の点状発光体25、具体的には、多数の発光ダイオード(LED)によって構成されている。
【0043】
反射シート28は、導光板30の裏面32から漏れ出した光を反射して、再び導光板30内に入射させるための部材である。反射シート28は、白色の散乱反射シート、金属等の高い反射率を有する材料からなるシート、高い反射率を有する材料からなる薄膜(例えば金属薄膜)を表面層として含んだシート、或いはESR(Enhanced Specular Reflector)等の反射型偏光シート等によって構成されうる。反射シート28での反射は、正反射(鏡面反射)でもよく、拡散反射でもよい。反射シート28での反射が拡散反射の場合、当該拡散反射は、等方性拡散反射であってもよいし、異方性拡散反射であってもよい。反射シート28のうち導光板30の裏面32と対向する反射面28aは、後述の複数の第1傾斜面(
図2の符合「37」参照)と平行に延在し、全体として傾斜している。したがって、本実施形態の反射シート28は楔形形状を有し、反射シート28上に導光板30が積層された際に、各第1傾斜面は反射面28aと接触する。
【0044】
ところで、本明細書において、「出光側」とは、光源24、導光板30、光学シート60及び液晶表示パネル15と、表示装置10の構成要素間を逆戻りすることなく進んで、表示装置10から出射して観察者へ向かう光の進行方向における下流側(観察者側、例えば
図1における紙面の上側)のことであり、「入光側」とは、光源24、導光板30、光学シート60及び液晶表示パネル15と、表示装置10の構成要素間を逆戻りすることなく進んで、表示装置10から出射して観察者へ向かう光の進行方向における上流側のことである。
【0045】
また、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。
【0046】
さらに、本明細書において「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。そして、本実施形態において、光学シート60のシート面、液晶表示パネル15のパネル面、表示装置10の表示面11、および、面光源装置20の発光面21は、互いに平行となっている。また、本明細書において、シート状の部材の法線方向とは、対象となるシート状の部材のシート面への法線方向のことを指す。さらに、本明細書において「正面方向」とは、面光源装置20の発光面21への法線方向のことであり、本実施形態においては、面光源装置20の発光面21への法線方向、導光板30の出光面31側の板面への法線方向、光学シート60のシート面への法線方向、表示装置10の表示面11への法線方向等にも一致する。
【0047】
次に、導光板30についてさらに詳述する。
【0048】
図2は、第1実施形態に係る導光板30の概略構成を示す断面図である。導光板30は、板状に形成された基部40と、基部40の一側の面(観察者側を向く面、出光側面)上に形成された複数の表面側単位光学要素50と、を有する。基部40は、一対の主面を有する楔形形状の部材として構成されている。そして、反射シート28に対面している側に位置する基部40の他側の面によって、導光板30の裏面32が構成されている。
【0049】
なお、本明細書における「単位プリズム」、「単位形状要素」、「単位光学要素」および「単位レンズ」とは、屈折や反射等の光学的作用を光に及ぼして、当該光の進行方向を変化させる機能を有した要素のことを指し、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
【0050】
導光板30の裏面32をなす基部40の他側面は凹凸面として形成されている。すなわち導光板30のうち裏面32側には、入光面33から反対面34に向かう第2方向D2に関し、互いに隣接する第1傾斜部41及び第2傾斜部42の複数のセットが繰り返し形成されている。この「第1傾斜部41及び第2傾斜部42のセット」が裏面側単位光学要素51を構成する。第1傾斜面37は、第1傾斜部41のうち裏面32の少なくとも一部(本実施形態では裏面32の全部(ただし段差面39を除く))によって形成されており、入光面33から反対面34に向かう第2方向D2に関して出光面31に徐々に近づくように傾斜する。また第2傾斜面38は、第2傾斜部42のうち裏面32の少なくとも一部(本実施形態では裏面32の全部(ただし段差面39を除く))によって形成されており、入光面33から反対面34に向かう第2方向D2に関して出光面31に徐々に近づくように傾斜する。第1傾斜面37が第2方向D2に対して成す鋭角の角度αは、第2傾斜面38が第2方向D2に対して成す鋭角の角度βよりも小さい。具体的には、これらの角度α及び角度βは以下の条件を満たす。
α<β≦4.2°、且つ
β−α≦3°
なお角度αは、0≦α≦1.2°、を満たすように設定されることが好ましい。
【0051】
例えば、角度βが「α<β≦4.2°」条件から外れた角度(特に4.2°よりも大きい角度)である場合には、導光板30からの出射光がブロードになり過ぎてしまう。具体的には角度βが「α<β≦4.2°」を満たさない場合、導光板30からの出射光のFWHM(Full Width at Half Maximum:半値全幅)が20°を超えてしまうことがあり、出射光の十分な指向性が得られなくなる。本件発明者は、鋭意研究の結果、「α<β≦4.2°」が満たされるように角度βを設定することによって、出射光がブロードになり過ぎることを効果的に防げることを知見するに至った。
【0052】
また、角度αと角度βとの差が大きくなると、第1傾斜面37で反射して出光面31から出射する光の出光量と、第2傾斜面38で反射して出光面31から出射する光の出光量との差が大きくなり、面光源装置20の出光面61において明暗縞が生じる。この面光源装置20の明暗縞と液晶表示パネル15の画素(ドット)とが干渉することによって、表示装置10の表示面11上で、人間の目に認識されやすいモアレが発生しうる。本件発明者は、鋭意研究の結果、「β−α≦3°」が満たされるように角度α及び角度βを設定することによって、第1傾斜面37と第2傾斜面38との間における反射光の出光量差を抑え、そのようなモアレの発生を効果的に防げることを知見するに至った。
【0053】
さらに、上述の「α<β≦4.2°」及び「β−α≦3°」という条件によってもたらされる効果は、例えば、入光面33から反対面34までの第1方向D1に沿った導光距離Lが120mm、入光面33の第1方向D1に関する大きさ(後述の「S1」)が3mm、及び反対面34の第1方向D1に関する大きさ(後述の「S2」)が0.5mmの場合、「0≦α≦1.2°」が満たされるように角度αを設定することが好ましいことを、本件発明者は知見するに至った。
【0054】
なお導光板30の裏面32に設けられた全ての第1傾斜面37は同一の角度αを有していてもよいし、また全ての第2傾斜面38は同一の角度βを有していてもよい。
【0055】
また入光面33の第1方向D1に関する大きさをS1で表し、反対面34の第1方向D1に関する大きさをS2で表した場合、S1及びS2は以下のそれぞれの条件を満たすことが好ましく、特に「S1=1.8mm」及び「S2=0.7mm」であることが好ましい。
S2≦2/3×S1
1.5mm≦S1≦3mm
0mm≦S2≦2mm
【0056】
本件発明者は、鋭意研究の結果、上記の条件を満たすようにS1及びS2を設定することによって、光の取り出し効率が効果的に向上させることができるという知見を得るに至った。特にS2が「2/3×S1」よりも大きい場合(すなわち「S2>2/3×S1」の場合)、光の取り出し効率が悪くなる。例えばS1よりもS2が大きい場合、入光面33に入射する光源24(すなわちLED等の点状発光体25)からの光には、導光板30の出光面31や裏面32に入射することなく反対面34から出光してしまう光が比較的多く含まれうることになるため、好ましくない。一方、上述の条件式で表されるようにS2をS1よりも小さくすることによって、光源24から入光面33を介して導光板30に入射した光が出光面31や裏面32に入射する確率が増大し、光の取り出し効率を効果的に向上させることができる。
【0057】
なお、複数の第1傾斜面37(
図2に示す例では全ての第1傾斜面37)が、同一平面上(すなわち同一傾斜面上)に形成されている。
【0058】
上述の条件を満たす第1傾斜面37は相対的に緩やかな傾斜を有する緩斜面として形成され、第2傾斜面38は相対的に急な傾斜を有する急斜面として形成される。相互に隣接する「第1傾斜部41及び第2傾斜部42のセット」のうち、一方のセットの第2傾斜面38と他方のセットの第1傾斜面37とは、第1方向D1に延在する段差面39によって接続されている。
【0059】
上述の構成を有する導光板30内での導光は、導光板30の一対の主面31、32での全反射作用に基づいている。その一方で、第1傾斜面37及び第2傾斜面38は、入光面33側から反対面34側へ向かうにつれて出光面31に接近するよう傾斜している。したがって、第1傾斜面37及び第2傾斜面38で反射した光については、一対の主面31、32に入射する際の入射角度は小さくなる。第1傾斜面37及び第2傾斜面38で反射することにより、一対の主面31、32への入射角度が全反射臨界角度未満になると、当該光は、導光板30から出射するようになる。すなわち、第1傾斜面37及び第2傾斜面38は、導光板30から光を取り出すための要素として機能する。
【0060】
導光方向である第2方向D2に関する第1傾斜面37及び第2傾斜面38の分布を裏面32内で調節することにより、導光板30からの出射光量の第2方向D2に沿った分布を調整することができる。
図2に示す導光板30では、第2方向D2に沿って入光面33から反対面34に接近するにつれて、裏面32うちの第2傾斜面38が占める割合が高くなっている。この導光板30によれば、導光方向に沿って入光面33から離間した領域での導光板30からの光の出射が促進され、入光面33から離間するにつれて出射光量が低下してしまうことを効果的に防止することができる。
【0061】
なお、図示の例では、第1傾斜部41及び第2傾斜部42の複数のセットは、それぞれ第2方向D2に関して第1の距離d1を占め、当該第1の距離d1を配置ピッチP1として第2方向D2へ連続的に配置されている。各セットにおいて第1傾斜面37及び第2傾斜面38が第2方向D2に関して占める割合は、これらの複数のセット間において異なっている。すなわち上述のように、入光面33から反対面34に接近するにつれて、第2方向D2に関する第1傾斜面37の占める割合が徐々に低減する一方で、第2方向D2に関する第2傾斜面38の占める割合が徐々に増大する。なお、「徐々に低減」及び「徐々に増大」とは、常に変化し続けている必要はなく、第2方向D2に隣り合うセット間の第1傾斜面37同士及び第2傾斜面38同士が第2方向D2に関して同じ割合を占めていてもよい。
【0062】
さらに、導光板30の入光面33には、光源24からの光を拡散させる光拡散部が形成されている。
【0063】
図3は、入光面33の平面図である。
図3に示す入光面33には、光拡散部35が形成されている。この光拡散部35は、入光面33の全面若しくは光源24からの光が入射する領域の大部分に形成されており、入光面33に入射した光を第1方向D1へ拡散する。この光拡散部35は、例えば第3方向に延在する細かい傷を入光面33に付与するヘアライン加工によって実現可能である。光源24から発せられた光は、光拡散部35により第1方向D1へ拡散された後に、入光面33から導光板30に入射する。そのため、導光板30に入射した直後の光が、効果的に、入光面33に近い位置の裏面32(すなわち第1傾斜面37及び第2傾斜面38)に導かれる。これにより、入光面33に近い位置における出光面31からの出光を効果的に促すことができる。なお光拡散部35によってもたらされる光の拡散の方向は、第1方向D1以外の方向であってもよく、例えば第3方向D3であってもよい。
【0064】
次に、基部40の一側の面上に設けられた出光側単位光学部として機能する表面側単位光学要素50について説明する。
【0065】
図4は、表面側単位光学要素50を説明するための図であり、導光板30の一部の断面が拡大して示されている。
【0066】
導光板30の裏面32側には上述の第1傾斜部41及び第2傾斜部42のセットによって構成される複数の裏面側単位光学要素51が第2方向D2に配列されるのに対し、導光板30の出光面31側には複数の表面側単位光学要素50が第3方向D3に配列されている。複数の表面側単位光学要素50は、各々が第2方向D2に延在している。
【0067】
図4に示す表面側単位光学要素50の各々は、出光面31側から裏面32側に凹となる凹曲面50aを有する溝形状に形成されている。その凹曲面50aの第3方向D3の両端には、溝形状の端縁部50dから底部50c側へと傾斜する傾斜面50bが形成されている。表面側単位光学要素50は、
図4に示す断面において、底部50cを通り厚み方向(すなわち第1方向D1)に平行な線を境に左右対称(線対称)に形成されている。
【0068】
これにより本実施形態の導光板30は、導光板30内において導光される光をより第3方向D3へ広げて出射させることができる。そのため、出光面31の中央部分に筋状のムラが生じてしまったり、入光面33近傍にホットスポットと呼ばれる周囲より局所的に明るい箇所が生じてしまったりするのを抑制することができる。また導光板30の出光面31に付着した塵等の異物をエアーブロー等によって容易に除去することが可能になる。
【0069】
また、隣り合う表面側単位光学要素50間に、出光面31と略平行な平坦部52が設けられている。導光板30の出光面31において、表面側単位光学要素50が出光面31から窪んだ溝形状に形成されているため、この平坦部52が、導光板30の厚み方向(第1方向D1)において最も出光側に位置する部位となり、出光面31上に積層される光学シート60と接触する。このように表面側単位光学要素50間に平坦部52を設けることによって、導光板30の出光面31と光学シート60の導光板30側の面との接触面積を増やすことができる。これにより、表面側単位光学要素50の境界部(平坦部52)や光学シート60の導光板30側の面が、傷ついたり破損したりしてしまうことを大幅に抑制することができる。
【0070】
ここで平坦部52が出光面31と略平行であるとは、平坦部52が出光面31に対して完全に平行である場合だけでなく、平坦部52が出光面31に対して若干傾斜(例えば出光面31に対して±5度の範囲で傾斜)している場合も含む。また平坦部52とは、完全に平坦な面だけでなく、裏面32側に微少に湾曲した凹曲面状や出光面31側に微少に湾曲した凸曲面状に形成される面(例えば曲率半径が10μm以上の凹曲面及び凸曲面)も含む。
【0071】
図4において、表面側単位光学要素50の配列ピッチは「P2」で表され、配列方向(第3方向D3)における表面側単位光学要素50の幅は「W21」で表され、配列方向(第3方向D3)における平坦部52の幅は「W23」で表されている。本実施形態では表面側単位光学要素50及び平坦部52が交互に配列されているため、配列ピッチP2は、表面側単位光学要素50の幅W21及び平坦部52の幅W23の和に等しい(すなわちP2=W21+W23)。
【0072】
この配列ピッチP2としては、10〜100μm程度とすることが好ましい。配列ピッチP2がこの範囲よりも小さいと、表面側単位光学要素50の製造が困難となり、設計通りの形状が得られなくなる。また配列ピッチP2がこの範囲よりも大きいと、液晶表示パネル15の画素とのモアレが生じやすくなったり、面光源装置20等としての使用状態において、表面側単位光学要素50のピッチが認識されやすくなったりする。したがって、配列ピッチP2は、上記範囲とすることが好ましい。
【0073】
また平坦部52の幅W23は、0.5μm≦W23≦2.5μmの範囲で形成されるのが望ましい。仮に平坦部52の幅W23が0.5μm未満の場合、平坦部52の幅が狭くなりすぎて、平坦部52や光学シート60の導光板30側の面を傷つけたり破損させたりするので望ましくない。また平坦部52の幅W23が2.5μmよりも大きい場合、導光板30及び光学シート60の損傷を回避することはできるが、導光板30から出光する光にホットスポットが顕著に生じてしまう可能性があるため望ましくない。導光板30から出射する光にホットスポットが生じてしまうのをより効果的に抑制する観点からは、平坦部52の幅W23は、2.0μm以下(すなわちW23≦2.0μm)であることがより望ましい。
【0074】
次に、光学シート(プリズムシート)60(
図1参照)について更に詳述する。光学シート60は、透過光の進行方向を変化させる機能を有する部材である。
【0075】
図5によく示されているように、光学シート60は、板状に形成された本体部65と、本体部65の入光側面上に形成された複数の単位プリズム(単位形状要素、単位光学要素、単位レンズ)70と、を有する。本体部65は、一対の平行な主面を有する平板状の部材として構成されている。そして、導光板30に対面しない側に位置する本体部65の出光側面66によって、光学シート60の出光面61が構成されている。
【0076】
複数の単位プリズム70は、本体部65の入光側面67上に並んで配置されている。各単位プリズム70は、柱状に形成され、その配列方向と交差する方向に延びている。
【0077】
本実施形態において、各単位プリズム70は直線状に延びている。また、各単位プリズム70は、柱状に形成され、その長手方向に沿って同一の断面形状を有するようになっている。さらに、複数の単位プリズム70は、その長手方向に直交する方向に沿って、本体部65の入光側面67上に隙間無く並べられている。したがって、光学シート60の入光面は、本体部65上に隙間無く配列された単位プリズム70の表面(プリズム面)71,72によって形成されている。複数の単位プリズム70は、プリズム配列方向に配列されている。各単位プリズム70は、その配列方向に直交する方向に直線状に延びている。
【0078】
光学シート60は、導光板30に重ねられるようにして配置され、光学シート60の単位プリズム70が導光板30の出光面31に対面する。そして、光学シート60は、単位プリズム70の長手方向が導光板30による導光方向(導光板30の入光面33と当該入光面に対向する反対面34とを結ぶ第2方向D2)と非平行となるように、導光板30に対して位置決めされている。そして、単位プリズム70の配列方向は、導光方向である第2方向D2に対して平行又は傾斜して配置される。本実施形態の光学シート60を用いた場合、第2方向D2に対して単位プリズム70の配列方向を傾斜させることにより、輝度ピークが発生する方向を種々の方向に制御することができる。とりわけ、第2方向D2に対して単位プリズム70の配列方向を15°以上傾斜させた場合には、簡易な構成の面光源装置ではこれまで実現し得なかった範囲で、輝度ピークが生じる方向を制御することができる。
【0079】
図6によく示されているように、各単位プリズム70は、単位プリズム70の配列方向に沿って、互いに対向して配置された第1プリズム面71および第2プリズム面72を有する。各単位プリズム70の第1プリズム面71は、単位プリズム70の配列方向における一方の側(
図6の左側)に位置し、第2プリズム面72は、単位プリズム70の配列方向における他方の側(
図6の右側)に位置している。
【0080】
したがって、面光源装置20において、各単位プリズム70の第1プリズム面71は、単位プリズム70の配列方向における光源24の側に位置して第2方向D2における一側(光源側)を向く。各単位プリズム70の第2プリズム面72は、単位プリズム70の配列方向における光源24から離間する側に位置し、第2方向D2における他側(光源とは反対側)を向く。第1プリズム面71は、主として、第2方向D2における一側に配置された光源24から導光板30内に進み、その後に導光板30から出射した光が、光学シート60へ入射する際の入射面として機能する。一方、第2プリズム面72は、光学シート60へ入射した光を反射して、当該光の光路を補正する機能を有する。
【0081】
第1プリズム面71および第2プリズム面72は、それぞれ本体部65から延び出るとともに互いに接続されている。第1プリズム面71および第2プリズム面72が本体部65にそれぞれ接続する位置において、単位プリズム70の基端部75bが画成されている。また、第1プリズム面71および第2プリズム面72が互いに接続する位置において、本体部65から最も入光側に突出した単位プリズム70の先端部(頂部)75aが画成されている。
【0082】
本体部65のシート面(本体部65の入光側面67、光学シート60のシート面)への法線方向ndおよび単位プリズム70の配列方向の両方に平行な断面(以下においては、単に光学シートの主切断面とも呼ぶ)における各単位プリズム70の断面形状は、当該単位プリズム70の長手方向(直線状に延びている方向)に沿って一定となっている。
【0083】
本実施形態において、光学シート60の主切断面における各単位プリズム70の断面形状は、入光側(導光板の側)に向けて先細りしていく形状となっている。つまり、光学シートの主切断面において、本体部65のシート面と平行な単位プリズム70の幅は、本体部65の法線方向ndに沿って本体部65から離間するにつれて小さくなっていく。
【0084】
図示された例において、光学シート60の主切断面において単位プリズム70の外輪郭の一部をなす第2プリズム面72が、単位プリズム70の配列方向に対してなす角度を傾斜角度θ
tとすると、少なくとも一つの単位プリズム70の傾斜角度θ
tは、第2プリズム面72内において一定とはなっていない。単位プリズム70の傾斜角度θ
tは、第2プリズム面72内において、本体部65から最も離間した当該単位プリズムの先端部75aから本体部65に最も接近した当該単位プリズム70の基端部75bへ向けて、大きくなるように変化する。第2プリズム面72のうちの基端部75b側の領域には、正面方向に対する傾斜角度が比較的小さくなる方向に進む比較的に立ち上がった光が入射しやすくなる。また、第2プリズム面72のうちの先端部75a側の領域には、正面方向に対する傾斜角度が非常に大きくなる方向に進む比較的に寝た光が入射しやすくなる。第2プリズム面72内で傾斜角度θ
tが変化することにより、光学シート60が、導光板30の光に対して集光機能をより効果的に発揮することができる。すなわち、一つの単位プリズム70から進み出る光が、より狭い角度範囲内の方向に進むようになる。
【0085】
具体的な構成として、光学シート60の主切断面において、複数の単位プリズム70の配列方向に対する傾斜角度θ
tが、単位プリズム70の先端部75aの側から基端部75bの側へ向けて、しだいに大きくなるように配置されたn(nは2以上の自然数)個の要素面73、すなわち複数の要素面73a、73bを、各第2プリズム面72は含む。図示された単位プリズム70の第2プリズム面72の輪郭は、光学シート60の主切断面において、直線部をつなぎ合わせてなる、或いは、直線部をつなぎ合わせるとともにつなぎ目を面取りしてなる形状を有する。言い換えると、単位プリズム70の第2プリズム面72の外輪郭は、折れ線状に、或いは、折れ線の角部を面取りしてなる形状に、形成されている。とりわけ図示された例において、第2プリズム面72は、先端部75aを画成する第1要素面73aと、第1要素面73aに本体部65の側から隣接する第2要素面73bと、を有する。そして、第1要素面73aの傾斜角度θ
1が、第2要素面73bでの傾斜角度θ
2よりも小さくなっている。ただし、この例に限られず、第2プリズム面72は、三以上の要素面を有してもよいし、曲面となっていてもよいし、単一性の平坦面(単一の要素面)となっていてもよい。
【0086】
なお、上述の傾斜角度θ
t,θ
1,θ
2とは、光学シート60の主切断面において、単位プリズム70の入光側面(第2プリズム面72)が単位プリズム70の配列方向に対してなす角度である。より具体的には、光学シート60の主切断面において折れ線を構成する各要素面73a、73bと、単位プリズム70の配列方向と、の間に形成される角度(厳密には、形成される二つの角のうちの小さい方の角度(劣角の角度))が傾斜角度θ
t,θ
1,θ
2となる。
【0087】
以上のような構成を有した光学シート60において、光学シートの主切断面において単位プリズム70の配列方向に沿った単位プリズム70の幅W
bの、光学シート60の主切断面において本体部65の法線方向ndに沿った単位プリズム70の高さH
bに対する比、すなわち第2プリズム面72のアスペクト比(W
b/H
b)の大きさ、並びに、第2プリズム面72をなす各要素面73a、73bの傾斜角度θ
1、θ
2は、当該光学シート60の集光性、さらには集光されるべき方向、言い換えると輝度ピークが生じる方向に影響を与える。例えば、第2方向D2と複数の単位プリズム70が配列される方向とが同じ方向である場合に、正面方向から導光方向である第2方向D2へ傾斜した方向に導光板30の出光面31から進み出る出射光の進行方向を、正面方向ndまで戻しきらないようにして、輝度ピークを第2方向D2に対して傾斜した方向に生じさせるには、単位プリズム70のアスペクト比(W
b/H
b)を1.15以上1.5以下とし、さらに、第1要素面73aの傾斜角度θ
1を38°以上53°以下とし、第2要素面73bの傾斜角度θ
2を43°以上57°以下とすることが好ましい。一方、正面方向から導光方向である第2方向D2へ傾斜した方向に導光板30の出光面31から進み出る出射光の進行方向を、正面方向を越えて変化させるようにして、輝度ピークを第2方向D2に対して傾斜した方向に生じさせるには、単位プリズム70のアスペクト比(W
b/H
b)を1.1以上1.50以下とし、さらに、第1要素面73aの傾斜角度θ
1を53°以上68°以下とし、第2要素面73bの傾斜角度θ
2を59°以上72°以下とすることが好ましい。
【0088】
上述の構成を有する光学シート60によれば、第2プリズム面72が発光面21に垂直な方向に対して傾斜し、発光面21への法線方向とプリズム配列方向との両方に平行な面において、導光板30から第1プリズム面71に入射して第2プリズム面72で反射した光を、発光面21に垂直な方向から傾斜させて出光させることができる。さらに、プリズム配列方向は、第2方向D2に対して傾斜し、各単位プリズム70が第2方向D2と直交する方向に対して傾斜する方向に線状に延びることで、発光面21への法線方向に沿って光学シート60を見た際に、導光板30から第1プリズム面71に入射して第2プリズム面72で反射した光を第2方向D2に平行な方向から傾斜した方向に出光させることができる。これにより、発光面21の任意の方向にピーク輝度を有する角度分布の光を出光させることができる。
【0089】
ここで、本実施形態では、光学シート60からの光を、上述のように発光面21の任意の方向にピーク輝度を有する角度分布の光として出光させるように調整されている。さらに発光面21上での全方向における輝度の角度分布において、ピーク輝度が得られる方向から少なくとも一つの方向に向けて40°傾斜した方向での輝度が、ピーク輝度の5.5%以下となっている。なお、発光面21上での全方向における輝度の角度分布においては、ピーク輝度が得られる方向から複数の方向に向けて40°傾斜した各方向での輝度が、ピーク輝度の5.5%以下となっていることが好ましく、ピーク輝度が得られる方向から全方向に向けて40°傾斜した各方向での輝度が、ピーク輝度の5.5%以下であることがより好ましい。なお、本実施の形態では、ピーク輝度が得られる方向から全方向に向けて40°傾斜した各方向での輝度が、ピーク輝度の5.5%以下となっている。
【0090】
光学シート60のその他の寸法は、一例として、以下のように設定され得る。まず、以上のような構成からなる単位プリズム70の具体例として、単位プリズム70の配列ピッチ(図示された例では、単位プリズム70の幅W
bに相当)を10μm以上200μm以下とすることができる。ただし、昨今においては、単位プリズム70の配列の高精細化が急速に進んでおり、単位プリズム70の配列ピッチを10μm以上35μm以下とすることが好ましい。同様に、単位プリズム70の第2プリズム面72の幅W
b2を5μm以上100μm以下とすることができ、昨今の傾向を考慮すると、5μm以上20μm以下とすることができる。また、光学シート60のシート面への法線方向ndに沿った本体部65からの単位プリズム70の突出高さH
bを5.5μm以上180μm以下とすることができる。
【0091】
以上のような構成からなる光学シート60は、基材上に光学シート60を賦型することにより、あるいは、押し出し成型により、作製することができる。光学シート60の本体部65及び単位プリズム70をなす材料としては、種々の材料を使用することができる。とりわけ、表示装置に組み込まれる光学シート用の材料として広く使用され、優れた機械的特性、光学特性、安定性および加工性等を有するとともに安価に入手可能な材料、例えば、アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、及びポリアクリロニトリル等の一以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)が好適に使用され得る。
【0092】
電離放射線硬化型樹脂を基材上に硬化させることによって光学シート60を作製する場合、単位プリズム70とともに、単位プリズム70と基材との間に位置するようになるシート状のランド部(例えば平板状の介在部)を、基材上に形成するようにしてもよい。この場合、本体部65は、基材と電離放射線硬化型樹脂によって形成されたランド部とから構成されるようになる。一方、押し出し成型で作製された光学シート60においては、本体部65と、本体部65の入光側面上の複数の単位プリズム70と、が一体的に形成され得る。
【0094】
本件発明者の鋭意の研究によれば、粘着層17の屈折率は、光学シート60、特にその本体部65の屈折率よりも大きいことが好ましい。この場合、ピーク輝度を呈する方向に、より集光されるからである。とりわけ、粘着層17の屈折率と光学シート60、特にその本体部65の屈折率との差が、0.3以下である場合には、上述の特定角度以上傾斜した方向において光が視認されにくくなるという効果を、より一層奏しやすくなることを、本件発明者は確認した。
【0095】
このような粘着層17によって面光源装置20及び液晶表示パネル15一体化することで、ピーク輝度が得られる方向から任意の方向に傾斜した方向において、輝度が小さくなる。すなわち、任意の方向において、光源24からの光をピーク輝度が得られる特定の方向に集光させ、他の方向へは視認されにくくなるよう出光が抑制されるようにすることが可能となる。
【0096】
面光源装置20の光学シート60と液晶表示パネル15との間に粘着層17が設けられて一体となっていることによる効果は、光学シート60と液晶表示パネル15との間が空気層である場合に比べて屈折率差が小さくなるため奏される。これにより、上述の特定角度以上傾斜した方向において光が視認されにくくなるという効果を、より奏しやすくなる。
【0097】
以上説明したように本実施形態の表示装置10では、導光板30の裏面32に第1傾斜面37及び第2傾斜面38が形成されるため、より効率的に光を反射して出光面31から出射させることができる。特に、第1傾斜部41及び第2傾斜部42により構成される裏面側単位光学要素51を間断なく連続的に設けることによって、裏面側単位光学要素51が設けられた裏面32の大部分が出光面31からの出光に寄与し、出光ムラを低減して、モアレの発生を効果的に抑えることができる。また楔形形状の導光板30を用いることによって、光源24から導光板30に入射した光を効率的に反射させて、光の利用効率を高めることができる。
【0098】
このように本実施形態の表示装置10、面光源装置20及び導光板30によれば、光を効率良く利用しつつ輝度ムラを低減することができる面光源装置を提供することができる。
【0099】
なお第1傾斜面37の角度α及び第2傾斜面38の角度βの比率は、任意の観点に基づいて決定することができ、例えばモアレの発生を防止する観点や出光面31全体の輝度分布の均一性を確保する観点に基づいてこれらの角度α、βを決めることが可能である。
【0100】
[第2実施形態]
本実施形態において、上述の第1実施形態と同一又は類似の要素には同一の符合を付し、その詳細な説明は省略する。
【0101】
図7は、第2実施形態に係る第1傾斜部41の一例を拡大して示す断面図である。
【0102】
本実施形態において、導光板30の裏面32側に設けられた複数の第1傾斜部41の各々は、第2方向D2に階段状に並んで配置される複数の段部80を含む。各第1傾斜部41は、複数の段部80のうち裏面32によって形成される複数の段面81を含む。
【0103】
図7に示す例では、第1段面81a及び第2段面81bによって各段面81が構成され、第1段面81a及び第2段面81bの複数のセットが第2方向D2に並んで連続的に配列されている。複数の第1段面81aは相互に平行に設けられ、複数の第2段面81bは相互に平行に設けられている。入光面33(
図1参照)から反対面34に向かう第2方向D2に関し、各第1段面81aは出光面31に徐々に近づくように傾斜するのに対し、各第2段面81bは出光面31から徐々に遠ざかるように傾斜する。このように本実施形態の第1傾斜面37は、複数の段部80のうち裏面32の少なくとも一部によって形成される複数の段面を含み、
図7に示す導光板30では各第1段面81aによって第1傾斜面37が構成される。
【0104】
したがって、複数の第1段面81aの各々が第2方向D2に対して成す鋭角の角度が「第1傾斜面37が第2方向D2に対して成す鋭角の角度α」に相当する。そのため、各第1段面81aが第2方向D2に対して成す鋭角の角度αは、上述の「α<β≦4.2°」及び「β−α≦3°」を満たすとともに「0≦α≦1.2°」を満たす。各第1段面81aの角度αがこれらの関係を満たすことで、光の導光効率が向上し、導光板30の導光方向における出光量の差が低減され、導光板30の出光量差に起因する面光源装置20の発光面21の明暗縞と液晶表示パネル15の画素との干渉によるモアレが改善されることを、本件発明者は確認した。なお本件発明者は、入光面33から反対面34までの第2方向D2に沿った導光距離Lが120mm、入光面33の第1方向D1に関する大きさS1が3mm、及び反対面34の第1方向D1に関する大きさS2が0.5mmの場合に、各第1段面81aの角度αを上記範囲に設定することによってモアレが改善されることを実際に確認した。
【0105】
このようにして設けられる各段部80は、第3方向D3に延在し、第3方向D3にわたってほぼ同一の断面形状を有する。また各第1傾斜部41に含まれる複数の第1段面81aは、裏面32側への高さhが相互に異なっており、入光面33(
図1参照)から反対面34に向かう第2方向D2に関して各第1傾斜部41の複数の第1段面81aの高さhは徐々に大きくなっている。同様に、各第1傾斜部41に含まれる複数の第2段面81bも、裏面32側への高さhが相互に異なっており、入光面33から反対面34に向かう第2方向D2に関して各第1傾斜部41の複数の第2段面81bの高さhは徐々に大きくなっている。なお裏面32側への高さhは、例えば第2傾斜面38と段差面39との交点vを通り導光板30の板面に平行な面(すなわち第2方向D2へ延在する面)からの距離によって表すことができ、第1段面81a及び第2段面81bの各々に関しては中央点までの距離によって高さhを表すことができる。
【0106】
なお、各第1傾斜部41に含まれる第1段面81aと第2段面81bとの裏面32側の交点c1は、裏面32側への高さhが相互に異なっており、また各第1傾斜部41に含まれる第1段面81aと第2段面81bとの出光面31側の交点c2も、裏面32側への高さhが相互に異なっている。特に
図7に示す例では、入光面33から反対面34に向かう第2方向D2に関し、裏面32側の交点c1の高さhが徐々に大きくなっており、また出光面31側の交点c2の高さhが徐々に大きくなっている。したがって、各第1傾斜部41に含まれる第1段面81aと第2段面81bとの裏面32側の交点c1のうち、段差面39側(すなわち
図7の左側(
図1の入光面33側))に位置する交点c1が最も出光面31側に配置され、第2傾斜面38側(すなわち
図7の右側(
図1の反対面34側))に位置する交点c1が最も裏面32側に配置されている。同様に、各第1傾斜部41に含まれる第1段面81aと第2段面81bとの出光面31側の交点c2のうち、段差面39側に位置する交点c2が最も出光面31側に配置され、第2傾斜面38側に位置する交点c2が最も裏面32側に配置されている。
【0107】
なお段部80及び段面81に関する
図7に示すこのような形態は一例に過ぎず、他の形態の段部80及び段面81が設けられてもよい。例えば、各第1傾斜部41に含まれる第1段面81aと第2段面81bとの裏面32側の交点c1の高さhが、入光面33から反対面34に向かうに従って徐々に小さくなってもよい。同様に、各第1傾斜部41に含まれる第1段面81aと第2段面81bとの出光面31側の交点c2の高さhが、入光面33から反対面34に向かうに従って徐々に小さくなってもよい。これらの場合、各第1傾斜部41に含まれる第1段面81aと第2段面81bとの裏面32側の交点c1のうち、段差面39側(すなわち
図7の左側(
図1の入光面33側))に位置する交点c1が最も裏面32側に配置され、第2傾斜面38側(すなわち
図7の右側(
図1の反対面34側))に位置する交点c1が最も出光面31側に配置される。同様に、各第1傾斜部41に含まれる第1段面81aと第2段面81bとの出光面31側の交点c2のうち、段差面39側に位置する交点c2が最も裏面32側に配置され、第2傾斜面38側に位置する交点c2が最も出光面31側に配置される。
【0108】
また各第1傾斜部41には、交点c1の高さhが入光面33から反対面34に向かうに従って徐々に大きくなる部分と、交点c1の高さhが入光面33から反対面34に向かうに従って徐々に小さくなる部分とが含まれていてもよい。同様に、各第1傾斜部41には、交点c2の高さhが入光面33から反対面34に向かうに従って徐々に大きくなる部分と、交点c2の高さhが入光面33から反対面34に向かうに従って徐々に小さくなる部分とが含まれていてもよい。なお、各第1傾斜部41において隣接して配置される2つの第1段面81a同士をつなぐ部分(すなわち第2段面81b)における光の入射をできる限り回避する観点からは、
図7に示すように、入光面33から反対面34に向かう第2方向D2に関し、裏面32側の交点c1の高さhが徐々に大きくなっており、また出光面31側の交点c2の高さhが徐々に大きくなっていることが、より好ましい。
【0109】
上述の段部80及び段面81を各第1傾斜部41に設けることによって、第1傾斜面37(すなわち複数の第1段面81a)が単一平面に含まれなくなり、第1傾斜面37と反射シート28の反射面28aとの接触面積を小さくすることができる。これにより、表示装置10の表示面11に現れるモアレを抑制して良好な映像を表示することができ、また導光板30の導光方向(すなわち第2方向D2)に関する輝度ムラを抑制して、明るさの面均一性を向上させることができる。
【0110】
特に、導光板30の裏面32全体における斜面角度γを、導光板30の第2方向D2に関する導光距離L、入光面33の第1方向D1に関する大きさS1、及び反対面34の第1方向D1に関する大きさS2に基づいて、以下のように定義する。
γ=tan
−1((S1−S2)/L)
この場合、「γ≦α」の関係が満たされるように、導光板30の裏面32全体の斜面角度γと第1傾斜面37(すなわち複数の第1段面81a)の角度αを設定することによって、導光板30の裏面32と反射シート28の反射面28aとの間における光学的な密着を効果的に防ぐことができる。
図7に示す導光板30では、「γ=α」の関係が満たされている。
【0111】
なお
図7に示す導光板30では、各第1傾斜部41に含まれる複数の第1段面81aは配列方向(すなわち第2方向D2)に関して相互に等しい幅を有し、また各第1傾斜部41に含まれる複数の第2段面81bも配列方向に関して相互に等しい幅を有する。ただし各第1傾斜部41に含まれる複数の第1段面81aは配列方向に関して異なる幅を有していてもよく、また各第1傾斜部41に含まれる複数の第2段面81bは配列方向に関して異なる幅を有していてもよい。また
図7に示す導光板30では、複数の第1段面81aの各々が第2方向D2に対して成す角度(
図7の「α」参照)が相互に等しいが、当該角度は相互に異なっていてもよい。同様に、
図7に示す導光板30では、複数の第2段面81bの各々が第2方向D2に対して成す角度が相互に等しいが、当該角度は相互に異なっていてもよい。
【0112】
[第3実施形態]
本実施形態において、上述の第1実施形態と同一又は類似の要素には同一の符合を付し、その詳細な説明は省略する。
【0113】
図8は、第3実施形態に係る導光板30の概略構成を示す断面図である。
【0114】
本実施形態では、導光板30の裏面32のうち、反対面34から少なくとも第1の距離d1以上の範囲では、第2傾斜面38のみが形成される。すなわち
図8に示すように、反対面34からは第2傾斜面38が延在する。反対面34から延在するこの第2傾斜面38が第2方向D2に関して占める距離を「E1」で表した場合、E1は以下の関係式を満たす。
E1≧d1
【0115】
このように、反対面34から延在する第2傾斜面38であって、第2方向D2に関して入光面33から最も遠い位置の第2傾斜面38は、第1傾斜部41及び第2傾斜部42のセット(すなわち裏面側単位光学要素51)の配置ピッチP1の第2方向D2に関する距離d1と同じ距離又はそれよりも大きい距離の範囲を占める。
【0116】
反対面34から延在する第2傾斜面38を上述のように構成することで、光源24から入光面33を介して導光板30内に入射する光を効率良く導光板30から出射させることができる。特に、導光板30のうち入光面33から遠く導光板30からの出光強さが弱まりやすい反対面34近傍に第2傾斜部42を広範囲に設けることによって、反対面34近傍における出光面31の輝度の低減を抑え、出光面31全体の輝度分布の均一性を向上させることができる。
【0117】
[第4実施形態]
本実施形態において、上述の第1実施形態と同一又は類似の要素には同一の符合を付し、その詳細な説明は省略する。
【0118】
図9は、第4実施形態に係る導光板30の概略構成を示す断面図である。
【0119】
本実施形態では、導光板30の裏面32側のうち、第2方向D2に関して入光面33から少なくとも第2の距離の範囲E2は、第2傾斜部42のみが形成されている。すなわち
図9に示すように、入光面33からは第2傾斜面38が延在する。
【0120】
入光面33から延在する第2傾斜面38を上述のように構成することで、光源24から入光面33を介して導光板30内に入射する光を効率良く導光板30から出射させることができる。一般に、入光面33を介して導光板30内に入射した直後の光は裏面32に到達しにくく、導光板30のうち入光面33近傍の出光面31では出光の強さが弱まりやすい。しかしながら本実施形態のように入光面33から延在する斜面を急斜面である第2傾斜面38とすることによって、入光面33近傍における出光面31の輝度の低減を抑え、出光面31全体の輝度分布の均一性を向上させることができる。
【0121】
なお、入光面33から延在するこの第2傾斜面38の第2方向D2に関して占める距離E2の大きさは、特に限定されない。入光面33から延在する第2傾斜面38の範囲を大きくする程、出光面31からの出光が促される入光面33近傍の範囲が大きくなる。例えば、第1傾斜部41及び第2傾斜部42のセットの配置ピッチP1の第2方向D2に関する距離(すなわち第1の距離d1)と同じ距離又はそれよりも大きい距離を、上記の距離E2とすることが可能である。
【0122】
[他の変形例]
本発明は、上述の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形が加えられた各種態様も含みうるものであり、本発明によって奏される効果も上述の事項に限定されない。したがって、本発明の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲及び明細書に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【0123】
例えば、上述の第1実施形態〜第4実施形態のうちの2以上の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。したがって、第2実施形態及び第3実施形態を組み合わせて、各第1傾斜部41に段部80及び段面81(
図7参照)を設けつつ、反対面34から延在する斜面を急斜面である第2傾斜面38としてもよい(
図8参照)。また第2実施形態及び第4実施形態を組み合わせて、各第1傾斜部41に段部80及び段面81(
図7参照)を設けつつ、入光面33から延在する斜面を急斜面である第2傾斜面38としてもよい(
図9参照)。また第3実施形態及び第4実施形態を組み合わせて、反対面34から延在する斜面を急斜面である第2傾斜面38としつつ(
図8参照)、入光面33から延在する斜面を急斜面である第2傾斜面38としてもよい(
図9参照)。また上述の第2実施形態、第3実施形態及び第4実施形態を組み合わせてもよい。
【0124】
なお上述の表示装置10、面光源装置20及び導光板30の用途は特に限定されず、例えば車載表示装置に対して表示装置10、面光源装置20及び導光板30を適用することができる。一般に車両搭乗者は概ね一定の方向から車載表示装置を観察する。搭乗者の観察方向は、通常は、スペースの制約により、当該車載表示装置の表示面への法線方向に対して傾斜した方向となる。そのため、車載表示装置からの光が正面方向以外の方向に強く出射することが望まれる。したがって、輝度ピークが生じる方向を正面方向以外の方向に設定することができる上述の表示装置10、面光源装置20及び導光板30は、車載表示装置に好適であり、例えば車載センターコンソール、車載バックミラー、車載サイドミラー及びインストルメントパネル等に適用可能である。これらの装置において画像光の出射方向を制御することで、フロントガラス等への画像の映り込みが搭乗者に観察されることを防止しながら、搭乗者に向けて画像を明るく表示することができる。